JP2008156575A - ゴム組成物およびその用途 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のゴム組成物は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[A]と、焼成タルク[B]とを含有してなることを特徴としている。
【選択図】なし
Description
耐気体透過性に優れ、燃料電池シール材、ハードディスクドライブなどの電子装置用ガスケット材、電線コネクター用シール材等に好適に用いられるゴム組成物が提案されている。このゴム組成物は、LIM成形が可能な液状ゴム組成物であって、低硬度の成形物が得られることから、高圧縮でも低反力のシールが求められる燃料電池用シール材やハードディスクドライブ用のガスケット材などに好適である。
以下の(a)〜(e)を満足するエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[A]と、
(a)エチレンと、α−オレフィンと、非共役ポリエンとの共重合体であり、
(b)α−オレフィンの炭素数が3〜20であり、
(c)エチレン単位/α−オレフィン単位の重量比が35/65〜95/5であり、
(d)よう素価が0.5〜50の範囲であり、
(e)135℃のデカリン溶液中で測定した極限粘度[η]が0.01〜5.0dl/gである;
焼成タルク[B]と
を含有してなることを特徴としている。
(f)非共役ポリエンが、下記の一般式[I]で表わされる少なくとも一種のノルボルネン化合物である。
0のアルキル基であり、R2は水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基である。)
本発明のゴム組成物は、焼成タルク[B]の平均粒子径2〜15μmであり、
焼成タルク[B]の配合量が、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[A]とゴム組成物を構成するその他の樹脂成分との合計量100重量部に対して、2〜50重量部の範囲であることが好ましい。
沈殿法シリカを表面改質して得られる、BET比表面積が30〜80m2/gであり、コールターカウンター法による粒子径が1〜4μmであり、かつ、M値が50以上の表面改質シリカ[C]
および/または、
よう素吸着量が80mg/g以下であり、平均粒子径が250nm以下であり、かつ、DBP吸収量が10〜300cm3/100gであるカーボンブラック[D]
をさらに含むことが好ましい。
本発明のゴム組成物は、さらに、下記一般式[II]で表される、一分子中にSiH基を2個有するSiH基含有化合物[E]と、下記一般式[III]で表される、一分子中にS
iH基を3個有するSiH基含有化合物[F]とを含有してなることが好ましい。
素基または芳香族炭化水素基であり、1分子内で同種でも異種でもよく、a、bおよびcはそれぞれ独立に0〜20の整数であり、R6は炭素数1〜30の三価の有機基である。)。
本発明の燃料電池は、前記本発明のゴム組成物からなる燃料電池シール材を有する。
本発明のハードディスクドライブトップカバーガスケット、ならびに本発明のLIM成形用ガスケット材は、前記本発明のゴム組成物からなる。
本発明の電線コネクターシール材は、前記本発明のゴム組成物からなる。
<ゴム組成物>
本発明に係るゴム組成物は、特定のエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合
体[A]、焼成タルク[B]を必須成分として含有し、必要に応じて表面改質シリカ[C]および/またはカーボンブラック[D]を含有し、さらに必要に応じて、一分子中にSiH基を2個有するSiH基含有化合物[E]と、一分子中にSiH基を3個有するSiH基含有化合物[F]とを含有する。
本発明で用いられる共重合体[A]は、以下の(a)〜(e)を満足し、好ましくは以下の(a)〜(f)を満足する。
(a)エチレンと、α−オレフィンと、非共役ポリエンとの共重合体であり、
(b)α−オレフィンの炭素数が3〜20であり、
(c)エチレン単位/α−オレフィン単位の重量比が35/65〜95/5であり、
(d)よう素価が0.5〜50の範囲であり、
(e)135℃のデカリン溶液中で測定した極限粘度[η]が0.01〜5.0dl/gであり、
(f)非共役ポリエンが、上記一般式[I]で表わされる少なくとも一種のノルボルネン化合物である。
・α−オレフィン
共重合体[A]を構成するα−オレフィンは、炭素原子数が3〜20のα−オレフィンである。具体的には、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセンなどが挙げられる。中でも、炭素原子数3〜10のα−オレフィンがより好ましく、特にプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが最も好ましく用いられる。これらのα−オレフィンは、単独であるいは2種以上組み合わせて用いられる。
共重合体[A]を構成する非共役ポリエンは、特に限定されるものではないが、好ましくは非共役ジエンであり、より好ましくは下記一般式[I]で表わされる少なくとも1種のノルボルネン化合物である。
一般式[I]で表わされるノルボルネン化合物の具体例としては、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−(2−プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−2−プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(2,3−ジメチル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−
(2−エチル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(6−ヘプテニル)−2−ノルボルネン、5−(3−メチル−5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(3,4−ジ
メチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(3−エチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(7−オクテニル)−2−ノルボルネン、5−(2−メチル−6−ヘプテニル)−2−ノルボルネン、5−(1,2−ジメチル−5−ヘキセシル)−2−
ノルボルネン、5−(5−エチル−5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(1,2,3−トリメチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネンなどが挙げられる。
本発明に係る共重合体[A]は、エチレン単位/α−オレフィン単位の比が、重量比で35/65〜95/5であり、好ましくは40/60〜90/10、より好ましくは45/55〜85/15、特に好ましくは50/50〜80/20である。
本発明の共重合体[A]のよう素価は、0.5〜50(g/100g)であり、好ましくは1〜45、より好ましくは1〜43、特に好ましくは3〜40(g/100g)である。
過ぎて引張伸びなどの機械特性が低下する場合がある。
装置 MCR301を用いて測定した複素粘度(25℃、歪み1%)が、105Pa・S
以下、好ましくは4000Pa・S以下、より好ましくは2000Pa・S以下の低粘度であることが望ましい。
本発明に係る共重合体[A]は、エチレンと、α−オレフィンと、上述した式[I]で表されるノルボルネン化合物を含む非共役ポリエンとを、重合用触媒の存在下に共重合させることにより製造することができ、具体的には、例えば「ポリマー製造プロセス」((株)工業調査会発行、365〜378ページ)、特開平9−71617号公報、特開平9−71618号公報、特開平9−208615号公報、特開平10−67823号公報、特開平10−67824号公報、特開平10−110054号公報などに記載されているような従来公知の方法により好ましく調製することができる。
OBr3、VCl4 、VOCl3、VO(O−n−C4H9)3、VCl3・2OC6H12OH
などを例示することができる。
エチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシド等のジアルキルアルミニウムアルコキシド;エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシド等のアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;
R0.5Al(OR)0.5 などで表わされる平均組成を有する部分的にアルコキシ
化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド等のジアルキルアルミニウムハライド;エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミド等のアルキルアルミニウムセスキハライド、エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミド等のアルキルアルミニウムジハライド等の部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリド等のジアルキルアルミニウムヒドリド、エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリド等のアルキルアルミニウムジヒドリド等の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミド等の部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムなどを挙げることができる。
本発明に係るゴム組成物は、樹脂成分として上述したエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[A]のみを含むことが好ましいが、本発明の目的を損なわない範囲で、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[A]以外の樹脂成分を含有してもよい。
R1 tSiO(4-t)/2 …(S)
(式(S)中、R1は炭素数1〜10の一価炭化水素基を示し、該基の水素原子の一部又
は全部がシアノ基またはハロゲン基で置換されていてもよく、tは1.9〜2.1の数である。)
上記式(S)中のR1は、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、
ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基であり、それら該基の水素原子の一部又は全部が塩素原子、フッ素原子、シアノ基で置換されていてもよい。
したオルガノポリシロキサンが特に好適である。
2〜10モル%がかかる脂肪族不飽和基、特にビニル基であることが好ましい。この脂肪族不飽和基は、分子鎖末端でも、分子鎖の途中でも、その両方にあってもよいが、少なくとも分子鎖末端にあることが好ましい。また、分子鎖末端は、トリメチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジメチルヒドロキシシリル基、ジメチルビニルシリル基、トリビニルシリル基等で封鎖されたものを挙げることができる。
オルガノポリシロキサンの重合度は100以上が好ましく、特に好ましくは3,000〜20,000である。また、その粘度は、25℃で100センチストークス(cSt)以上が好ましく、特に好ましくは100,000〜100,000,000cStである。
本発明で用いられる焼成タルク[B]は、ゴム組成物中で補強充填剤として作用するものであって、特に限定されるものではないが、好ましくは、平均粒子径が2〜15μm、好ましくは6〜9μmのものを用いることが望ましい。
本発明で好ましく用られる表面改質シリカ[C]は、沈殿法シリカ(含水珪酸)を表面改質して得られるものであって、一次粒子径を示すBET比表面積が30〜80m2/g、好ましくは40〜60m2/gであり、二次粒子径の指標となるコールターカウンター法による粒子径が1〜4μm、好ましくは1.5〜3μmであり、かつ、M値が50以上である。
[D]カーボンブラック
本発明で好ましく用いられるカーボンブラック[D]は、よう素吸着量が80mg/g以下、好ましくは15〜40mg/gであり、平均粒子径が250nm以下、好ましくは40〜100nmであり、かつ、DBP吸収量が10〜300cm3/100g、好ましくは40〜150cm3/100gである。このようなカーボンブラックとしては、FEF級、GPF級、SRF級などの市販のカーボンブラックを用いることができる。カーボンブラック[D]は、ゴム組成物中において補強材として作用する。
り測定、算出した平均直径を示しており、ゴム組成物に配合した場合の補強性や黒色度と密接に関係している。
本発明のゴム組成物は、必要に応じて、焼成タルク[B]、表面改質シリカ[C]およびカーボンブラック[D]以外のゴム補強材ならびに充填剤を含有してもよい。
本発明のゴム組成物は、架橋剤を含有することが望ましい。架橋剤としては、公知のもの架橋剤を適宜用いてもよいが、共重合体[A]に対して相溶性あるいは良分散性を示す架橋剤を用いることが望ましく、特に共重合体[A]の非共役ポリエン成分が上述した式[I]で表されるノルボルネン系化合物である場合には、架橋点SiH基を有する化合物を用いることがより好ましい。
で表される、一分子中にSiH基を3個有するSiH基含有化合物[F]とを併用することが好ましい。
素基または芳香族炭化水素基であり、1分子内で同種でも異種でもよく、a、bおよびcはそれぞれ独立に0〜20の整数であり、R6は炭素数1〜30の三価の有機基である。)
一分子中にSiH基を2個有するSiH基含有化合物[E]
本発明で好適に用いられるSiH基含有化合物[E]は、上記式[II]で表される化合物であって、分子両末端にSiH基を有し、一分子あたりSiH基を2個有する。一般式[II]中、R3の具体例は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、アミル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、クロロメチル基、2−クロロエチル基、3−クロロプロピル基、フェニル基、フェニルメチル基、2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基などが挙げられる。好ましくは、メチル基、エチル基、およびフェニル基である。aは0〜20の整数であり、bは0〜20の整数である。好ましくは、aおよびb共に10以下、より好ましくは5以下、特に好ましくは2以下であり、最も好ましくはaとbが等しく2以下である。
相当する。これらのSiH基含有化合物[B]は、単独でも2種以上混合して用いることができる。また、SiH基含有化合物[B]は、開示されている公知の方法によって合成することができる。
本発明で好適に用いられるSiH基含有化合物[F]は、上記式[III]で表される化
合物であって、分子の3つの末端にSiH基を有し、一分子中にSiH基を3個有する。一般式[III]中のR5は、一般式[II]中R3と同様のものが例示され、具体的には、
メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、アミル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、クロロメチル基、2−クロロエチル基、3−クロロプロピル基、フェニル基、フェニルメチル基、2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基などが挙げられる。好ましくは、メチル基、エチル基、およびフェニル基である。a、bおよびcは、それぞれ独立に0〜20の整数であり、好ましくは、a、bおよびcが共に10以下、より好ましくは5以下、特に好ましくは2以下であり、最も好ましくはa、bおよびcが等しく2以下である。一般式[III]中のR6は炭素数
1〜30の三価の有機基であり、好ましくは、ケイ素を含有する炭素数1〜30の三価の有機基である。
本発明のゴム組成物は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[A]を必須成分とする樹脂成分と、焼成タルク[B]とを必須成分として含有し、必要に応じて表面改質シリカ[C]および/またはカーボンブラック[D]、ならびに、SiH基含有化合物[E]および[F]などの架橋剤、さらに必要に応じて、後述する触媒、反応抑制
剤、従来公知の無機充填剤、軟化剤、老化防止剤、加工助剤、加硫促進剤、有機過酸化物、架橋助剤、発泡剤、着色剤、分散材、難燃剤などのその他の成分を含有している。
本発明のゴム組成物は、たとえば、バンバリーミキサー、ニーダー、プラネタリーミキサー、インターミックスのようなインターナルミキサー(密閉式混合機)類、2本ロール、3本ロールなどの混練装置により、共重合体[A]および必要に応じてその他の樹脂成分を、焼成タルク[B]および必要に応じて表面改質シリカ[C]および/またはカーボンブラック[D]を含むゴム補強剤・充填剤、さらに必要に応じて添加される軟化剤などのその他の成分と共に、好ましくは50〜180℃の温度で3〜10分間混練した後、オープンロールのようなロール類、あるいはニーダーを使用して、SiH基含有化合物などの架橋剤を、また必要に応じて後述する触媒や反応抑制剤、更には加硫促進剤、架橋助剤を追加混合し、ロール温度100℃以下で1〜30分間混練した後、分出しすることにより調製することができる。
架橋方法
・触媒
本発明のゴム組成物の製造において、SiH基含有化合物などの架橋剤を用いて架橋する場合、架橋で用いられる触媒は付加反応触媒であり、共重合体[A]を含む樹脂成分のアルケニル基などと、SiH基含有化合物のSiH基との付加反応(アルケンのヒドロシリル化反応など)を促進するものである。
他の配位子を配位させる際の溶媒として用いてもよい。ビニル基含有オルガノシロキサンを溶媒として用い、前述のカルボニル基を含む化合物を配位子とする錯体は、触媒として特に好ましい。
化学式2: Pt0・(CH2=CH(Me)SiO)4
化学式3: Pt0−1.5[(CH2=CH(Me)2Si)2O]
これらの触媒に含まれる周期律表8族元素金属(好ましくは白金)の割合は、通常0.1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%、さらに好ましくは2〜4重量%、特に好ましくは2.5〜3.5重量%である。
架橋においては、上記の触媒とともに反応抑制剤を用いることが好ましい。反応抑制剤は、ベンゾトリアゾール、(たとえばエチニルシクロヘキサノール等のエチニル基含有アルコール類、アクリロニトリル、N,N−ジアリルアセトアミド、N,N−ジアリルベンズアミド、N,N,N',N'−テトラアリル−o−フタル酸ジアミド、N,N,N',N'−テトラアリル−m−フタル酸ジアミド、N,N,N',N'−テトラアリル−p−フタル酸ジアミド
等のアミド化合物、イオウ、リン、窒素、アミン化合物、イオウ化合物、リン化合物、スズ、スズ化合物、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン、ハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物などが挙げられる。
ス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンのフェノール化合物が好ましい。
成形・架橋法
上述した本発明のゴム組成物は、機械特性に優れ、耐熱性にも優れるため、燃料電池シール材、ハードディスクドライブトップカバーガスケット、および電線コネクター用シール材等の用途に特に好適に用いることができる。本発明のゴム組成物は、特にLIM成形用に好適であるが、その他の成形方法によって成形体を製造することもできる。
たとえば、3本ミルロール、オープンロール、2本オープンロール、バンバリーミキサー、インターナルミキサー、ニーダー、プラネタリーミキサー、高せん断型ミキサー等の各種混練装置を用いて混合された本発明のゴム組成物を、80〜230℃、好ましくは1
00〜180℃の架橋条件で成形し、架橋成形されたものを、必要に応じて約100〜230℃、好ましくは約120〜150℃で約0.5〜24時間程度、ギアオーブンや恒温槽などのエアオーブンで熱処理(二次加硫)することにより、成形・架橋を行うことができる。また、架橋あるいは二次架橋(二次加硫)は、光、γ線、電子線などを照射して行ってもよく、架橋を常温で行うこともできる。上記した方法により架橋ゴム成形体、すなわち本発明の各材が得られる。
本発明のゴム組成物を特にLIM成形に適用する場合は、共重合体[A]を含む樹脂成分と架橋剤を含有する組成物と、共重合体[A]を含む樹脂成分と触媒とを含有する組成物とを調製し、LIM成形装置で両者を混合して本発明のゴム組成物とするとともに成形することが好ましい。ここで、樹脂成分、架橋剤および触媒以外の成分は、どちらの組成物中に含有されてもよく、両者に含有されてもよい。
燃料電池では、セルをシールすることが重要であり、このシールは、特にガスバリヤ性等に優れている必要がある。シールの形状を図面で一例を説明する。
本発明の燃料電池シール材の体積固有抵抗は、1×1010オーム・cm以上であることが望ましい。体積固有抵抗は、電気・電子部品に用いられるシール材に求められる特性の一つで、電気絶縁性の指標である。より好ましくは、1×1012オーム・cm以上であり、シール材として好適な性能を示す。体積固有抵抗は、ゴム組成物を圧力40kgf/cm2で、150℃で10分間プレス架橋して得られた厚さ1mmのシートを用いて、SR
IS2301-1969に従い測定する。
ハードディスクドライブトップカバーガスケット
本発明のハードディスクドライブトップカバーガスケットは、上述の方法で得られた圧縮永久歪みが50%以下である架橋ゴムシートをガスケット部に有することが好ましく、製品でのシール性が充分となる。また、引張強度は2MPa以上、引張破断伸びは200%以上であることが好ましく、製造工程で容易にちぎれたりする不具合が少なくなる。更に、この架橋ゴムシートの硬度(JIS K6253)は70度未満であることが好ましく、硬度が70度以上ではカバー一体型ガスケットを本体に取り付けたときの反力が大きくなり、カバーの変形が生じ、完全に密閉できなくなり、ガスケットとしてのシール性が劣る場合がある。硬度は、10度以上であることが好ましく、10度未満では、ガスケットがちぎれ易い、粘着し易いなどの不具合が生じる。最も好ましい硬度は20〜40度である。
電線コネクター用シール材
本発明の電線コネクターシール材は、上述の本発明のゴム組成物からなるものであって、例えば、固体高分子型(固体高分子電解質型)電線コネクターシール材であることが好ましい。
実施例
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
エチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネンランダム共重合体(A−1)の製造
撹拌羽根を備えた実質内容積100リットルのステンレス製重合器(撹拌回転数=250rpm)を用いて、連続的にエチレンとプロピレンと5-ビニル-2−ノルボルネン(以下、VNBと略す)との三元共重合を行なった。重合器側部より液相へ毎時ヘキサンを60リットル、エチレンを1.3kg、プロピレンを2.5kg、VNBを130gの速度で、また、水素を30リットル、触媒としてVO(OEt)Cl2 を23ミリモル、Al(Et)1.5Cl1.5 を161ミリモルの速度で連続的に供給し、重合温度40℃、重合
圧力0.7MPaの条件で共重合反応を行ない、エチレン・プロピレン・VNBランダム共重合体(A−1)(以下、共重合体(A−1)と略す)を均一溶液状態で得た。その後、重合器下部から連続的に抜き出した重合溶液中に少量のメタノールを添加して重合反応
を停止させ、スチームストリッピング処理にて重合体を溶媒から分離したのち、55℃で48時間真空乾燥を行った。
溶液中で測定した極限粘度[η]は0.28dl/gであった。なお、共重合体(A−1)の組成は13C−NMR法での測定で求めた値である。
調製例1で得た共重合体(A−1)100重量部と、焼成タルク(浅田製粉社製、商品名:エンスタック24、平均粒子径7μm)15重量部と、表面処理した沈殿法シリカ(東ソー・シリカ社製E75SS、BET表面積:50m2/g、二次粒子径(コールターカウンター法により求めた平均粒子径):2.4μm、M値:65)30重量部とを、容量2リットルのプラネタリーミキサー[(株)井上製作所製、商品名:PLM−2型]で混練し、次いでこれに、触媒として白金−1,3,5,7−テトラビニルメチルシクロシロキサン錯体[白金濃度0.5重量%、末端ビニルシロキサンオイル溶液]0.4重量部、反応抑制剤として1−エチニル−1−シクロヘキサノール0.1重量部、架橋剤として下記式[II−1]で表される化合物を4.5重量部、および、下記式[III−1]で表さ
れる化合物を0.5重量部加えて混合してゴム組成物を調製した。なお、表面処理した沈殿法シリカにおけるM値は、シリカの改質処理度合を示す一般的な指標であり、M値評価対象となるシリカにメタノール水溶液のメタノール濃度を変えて添加とした際、親和し始める(濡れ始める)時のメタノール水溶液濃度(メタノールのvol%)で表される値である。
(1)硬さ
JIS K6253に準拠して、測定温度23℃でデュロメータ法でA硬さを測定した。
(2)引張試験
JIS K6251に準拠して、測定温度23℃、引張速度500mm/分の条件で引
張試験を行い、架橋シートの破断時の引張強度と伸びを測定した。また同様に測定温度90℃にても引張強度と伸びを測定した。
(3)圧縮永久歪み
JIS K6262(1997)に準拠して、2mmシ−トを3枚積層して、空気中、150℃×70時間の圧縮永久歪を測定し、圧縮永久歪み率を求めた。
(4)圧縮割れ性
2mm厚さのゴムシートから、厚さ2mm×幅3mm×長さ40mmに切り抜いた試験片(n=5で測定)について、90℃雰囲気下で厚さ方向に90%圧縮して10分間保持し、その後圧縮を開放して、試験片の割れの有無を確認した。
(5)複素粘度
ゴム組成物の複素粘度を、Anton Paar社(オーストラリア)製の粘弾性装置 MCR3
01を用いて、25℃にてした。
実施例1において、表面処理した沈殿法シリカに替えて、カーボンブラック(旭カーボン社製旭#50HG、ヨウ素吸着量:19mg/g、平均粒子径85μm、DBP吸収量:110cm3/100g)30重量部を用いたことの他は、実施例1と同様にしてゴム組成物および架橋ゴムシートを製造し、性状を評価した。
実施例1において、焼成タルクに替えて、タルク(日本タルク(株)製 L−1、BE
T比表面積:11m2/g、二次粒子径:4.9μm)15重量部を用いたことの他は、実施例1と同様にしてゴム組成物および架橋ゴムシートを製造し、性状を評価した。結果を表1に示す。
比較例1において、表面処理した沈殿法シリカに替えて、カーボンブラック(旭カーボン社製旭#50HG、ヨウ素吸着量:19mg/g、平均粒子径85μm、DBP吸収量:110cm3/100g)30重量部を用いたことの他は、比較例1と同様にしてゴム組成物および架橋ゴムシートを製造し、性状を評価した。結果を表1に示す。
実施例1において、焼成タルクを用いず、表面処理した沈殿法シリカの使用量を45重量部としたことの他は、実施例1と同様にしてゴム組成物および架橋ゴムシートを製造し、性状を評価した。結果を表1に示す。
ルクを用いた実施例1、2では、それぞれ、硬さ、引張強度および破断伸びという、常態での機械的強度がいずれも向上し、高温時の圧縮永久歪み率が減少して復元性が高いことが示されるとともに、90℃、90%圧縮という高温高圧縮条件においても割れが生じない、優れたゴム成形体が得られたことがわかった。従来の配合である比較例1および2では、適度な粘度であって成形性には優れるものの、高温高圧縮条件における圧縮割れ性試験では割れが生じている。また、表面処理シリカのみをフィラーとした比較例3では、高温高圧縮条件においての圧縮割れ性試験では割れが生じたうえ、材料粘度の上昇が大きく成形性が劣ることがわかる。
3:セルのシール部品
Claims (15)
- 以下の(a)〜(e)を満足するエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[A]と、
(a)エチレンと、α−オレフィンと、非共役ポリエンとの共重合体であり、
(b)α−オレフィンの炭素数が3〜20であり、
(c)エチレン単位/α−オレフィン単位の重量比が35/65〜95/5であり、
(d)よう素価が0.5〜50の範囲であり、
(e)135℃のデカリン溶液中で測定した極限粘度[η]が0.01〜5.0dl/gである;
焼成タルク[B]と
を含有してなることを特徴とするゴム組成物。 - 焼成タルク[B]の平均粒子径2〜15μmであり、
焼成タルク[B]の配合量が、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[A]とゴム組成物を構成するその他の樹脂成分との合計量100重量部に対して、2〜50重量部の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載のゴム組成物。 - 沈殿法シリカを表面改質して得られる、BET比表面積が30〜80m2/gであり、コールターカウンター法による粒子径が1〜4μmであり、かつ、M値が50以上の表面改質シリカ[C]
および/または、
よう素吸着量が80mg/g以下であり、平均粒子径が250nm以下であり、かつ、DBP吸収量が10〜300cm3/100gであるカーボンブラック[D]
をさらに含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物。 - 焼成タルク[B]と、表面改質シリカ[C]と、カーボンブラック[D]との合計量が、
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[A]とゴム組成物を構成するその他の樹脂成分との合計量100重量部に対して、10〜60重量部の範囲であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のゴム組成物。 - ゴム組成物中の樹脂成分が、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[A]のみであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のゴム組成物。
- さらに、下記一般式[II]で表される、一分子中にSiH基を2個有するSiH基含有
化合物[E]と、
下記一般式[III]で表される、一分子中にSiH基を3個有するSiH基含有化合物
[F]と
を含有してなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のゴム組成物;
素基または芳香族炭化水素基であり、1分子内で同種でも異種でもよく、a、bおよびcはそれぞれ独立に0〜20の整数であり、R6は炭素数1〜30の三価の有機基である。)。 - 請求項1〜7のいずれかに記載のゴム組成物からなることを特徴とする燃料電池シール材。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のゴム組成物からなることを特徴とする燃料電池シール材を有する燃料電池。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のゴム組成物からなることを特徴とするハードディスクドライブトップカバーガスケット。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のゴム組成物からなるLIM成形用ガスケット材。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のゴム組成物からなるハードディスクドライブトップカバーガスケットを有することを特徴とするハードディスクドライブ。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のゴム組成物からなることを特徴とする電線コネクターシール材。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のゴム組成物からなる電線コネクターシール材を有することを特徴とする電線コネクター。
- 自動車用電線コネクターであることを特徴とする請求項14に記載の電線コネクター。
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