JP2008154311A - モータ駆動装置およびそのモータ駆動装置を具備した冷凍装置 - Google Patents

モータ駆動装置およびそのモータ駆動装置を具備した冷凍装置 Download PDF

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貴雅 友信
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Abstract

【課題】高効率駆動を可能とする駆動手段を選択中に高回転駆動への加速が必要となった場合、高回転駆動を可能とする駆動手段に強制的に切り替えることによりブラシレスDCモータのもつ高トルク性能を事前に引き出すことで、安定した加速度を得ることができるブラシレスDCモータの駆動方法及びその装置を提供することを目的とする。
【解決手段】交流電源1を整流した電圧をインバータ5の入力とし、ブラシレスDCモータ4を加速運転させる場合、加速判定部17により第1波形発生部13にて運転中であるかを判定し、第1波形発生部13にて運転中であれば第2波形発生部14での出力信号に切り替えた後に加速させることにより、第1波形発生部13で加速させた場合における駆動限界トルクよりも大きな駆動限界トルクで余裕を持たせて加速させることができるので、ブラシレスDCモータ4の加速中の駆動トルク不足回避となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ブラスレスモータをインバータにより駆動制御するモータ駆動装置およびそのモータ駆動装置を具備した冷蔵庫等の冷凍装置に関するものである。
従来、この種のブラスレスモータをインバータにより駆動制御するモータ駆動装置は開示されている(例えば、特許文献1参照)。
従来の技術は、例えば、特許文献1に示されている。その従来の技術を図面に従って説明する。図8は従来のブラシレスDCモータの駆動装置のブロック図である。
図8において、商用電源101は、日本の場合周波数50Hzまたは60Hz、電圧100Vの交流電源である。
整流回路102は商用電源101の交流電圧を直流電圧に変換するである。整流回路102はブリッジ接続された整流用ダイオード102a、102b、102c、102dと平滑用の電解コンデンサ102e、102fとからなり、図8に示す回路では倍電圧整流回路となり、商用電源101のAC100V入力から直流電圧280Vを得ることができる。
インバータ回路103は、6個のスイッチ素子103a、103b、103c、103d、103e、103fを3相ブリッジ構成されている。また、各々のスイッチ素子には各スイッチ素子の逆方向に還流電流用のダイオードが入っているが本図では省略している。
ブラシレスDCモータ104は、永久磁石を有する回転子104aと3相巻線を有した固定子104bとからなる。インバータ103により作られた3相交流電流が固定子104bの3相巻線に流れることにより、回転子104aを回転させることができる。回転子104aの回転運動はクランクシャフト(図示せず)により、往復運動に変更され、ピストン(図示せず)がシリンダ(図示せず)内を往復運動することにより、冷媒を圧縮する圧縮機の駆動を行う。
逆起電圧検出回路105は、ブラシレスDCモータ104の永久磁石を有する回転子104aが回転することにより発生する逆起電圧から、回転子104aの回転相対位置を検出する。
転流回路106は、逆起電圧検出回路105の出力信号によりロジカルな信号変換を行い、インバータ103のスイッチ素子103a、103b、103c、103d、103e、103fを順次切り換えて駆動する信号を作り出す。
同期駆動回路107は、インバータ103から強制的に所定周波数の出力を出し、ブラシレスDCモータ104を駆動するものであり、転流回路106で生成されるロジカルな信号と同等形状の信号を強制的に所定周波数で発生させるものである。
負荷状態判定回路108は、圧縮機104が運転されている負荷状態を判定するものである。
切替回路109は、負荷状態判定回路108の出力により、圧縮機104のブラシレスDCモータを転流回路106で駆動するか、同期駆動回路107で駆動するかを切り替える。
ドライブ回路110は、切替回路109からの出力信号により、インバータ103のスイッチ素子103a、103b、103c、103d、103e、103fを駆動する。
以上の構成において、次に動作の説明を行う。
負荷状態判定回路108で検出された負荷が、通常負荷の場合、転流回路106による駆動を行う。
逆起電圧検出回路105でブラシレスDCモータ104の回転子104aの相対位置を検出する。次に転流回路106で回転子104aの相対位置からインバータ103を駆動する転流パターンを作り出す。
この転流パターンは切替回路109を通して、ドライブ回路110に供給され、インバータ103のスイッチ素子103a、103b、103c、103d、103e、103fを駆動する。この動作により、ブラシレスDCモータ104はその回転位置に合致した駆動を行うこととなる。
次に、負荷が増加してきたときの動作について説明する。
ブラシレスDCモータの負荷が増加し、ブラシレスDCモータの特性により回転数が低下してくる。この状態を負荷状態判定回路108で高負荷状態であることを判定し、切替回路109の出力を同期駆動回路107からの信号に切り替える。
このように駆動することにより高負荷時の回転数低下を抑えようとするものである。
特開平9−88837号公報
しかしながら、従来の構成では、次のような課題があった。
負荷状態判定回路108の出力信号に応じて、低負荷時には切替回路109が転流回路106に切り替えることで高効率な駆動を、高負荷時には切替回路109が同期駆動回路107に切り替えることで高回転な駆動を可能とするものの、転流回路106で駆動中に高回転の目標回転数に切替える必要が生じた場合、前記目標回転数への加速中にトルク不足に陥ると、加速中でもブラシレスDCモータ104の高トルク性能を満たそうとし、切替回路109が同期駆動回路107に切り替えるために、切り替えの処理時間を要し、圧縮機104の共振周波数に起因する信頼性を十分に満足させる加速度を満たすことが出来なかった。
また、目標回転数への加速中にトルク不足に陥ると、ブラシレスDCモータ104の高速・高トルク性能を十分に満たすため目標回転数到達後も転流回路106で駆動可能なトルクであっても切替回路109が同期駆動回路107を維持したままであり、高効率な駆動となっていなかった。
また、同期駆動回路107で駆動中に低回転の目標回転数に切替える必要が生じた場合、負荷状態判定回路108で検出された負荷が、転流回路106による駆動を行うに十分な負荷状態であると判定すると、減速中でもブラシレスDCモータ104の高効率性能を満たそうとし、切替回路109が転流回路106に切り替えるために、切り替えの処理時間を要し、同様圧縮機104の共振周波数に起因する信頼性を十分に満足させる減速度を満たすことが出来なかった。
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、高効率駆動を可能とする駆動手段を選択中に高回転駆動への加速が必要となった場合、高回転駆動を可能とする駆動手段に強制的に切り替えることによりブラシレスDCモータのもつ高トルク性能を事前に引き出すことで、安定した加速度を得ることができるブラシレスDCモータの駆動方法及びその装置を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、高回転駆動においても高効率駆動を可能とする駆動手段に再度切り替えることで、ブラシレスDCモータのもつ高効率性能を更に引き出すことのできるブラシレスDCモータの駆動方法及びその装置を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、高回転駆動を可能とする駆動手段を選択中に低回転駆動への減速が必要となった場合、高回転駆動を可能とする駆動手段を強制的に維持することによりブラシレスDCモータのもつ高トルク性能を安定駆動まで維持することで、安定した減速度を得ることができるブラシレスDCモータの駆動方法及びその装置を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために本発明の駆動装置は、ブラシレスDCモータを回転子の回転位置に応じて通電角150度以下の波形を出力する第1波形発生部にて低速で駆動中に任意の目標高速回転数に変更するために加速させる際、強制的に所定周波数を変化させながらその周波数に同期させて通電角180度未満の波形を出力する第2波形発生部へ切り替えた後に加速させるものである。
これにより、ブラシレスDCモータのもつ高トルク性能を事前に引き出すことで、安定した加速度を得ることができ、加速時における安定したモータ駆動を可能にすることができる。
また、本発明の駆動装置は、ブラシレスDCモータを第2波形発生部にて高速で駆動中に任意の目標低速回転数に変更するために減速させる際、任意の目標低速回転数に到達するまで第2波形発生部での駆動を維持させるものである。
これにより、安定した減速度を得ることができ、低負荷・高電圧の環境下におけるモータ減速時の減速度低下を解消することができる。
本発明の駆動装置は、加速時における安定したモータ駆動を可能にしたものであり、高負荷・低電圧の環境下におけるモータ加速時のトルク不足、加速度低下を解消し、騒音・振動の低減に対し効果を発揮できる。
また、本発明の駆動装置は、減速時における安定したモータ駆動を可能にしたものであり、低負荷・高電圧の環境下におけるモータ減速時の減速度低下を解消し、騒音・振動の低減に対し効果を発揮できる。
請求項1に記載の発明は、永久磁石を有する回転子と三相巻線を有する固定子からなるブラシレスDCモータと、前記三相巻線に電力を供給するインバータと、モータの運転状態情報からモータの負荷状態を検出する負荷検出回路と、前記回転子の回転位置に応じて通電角150度以下の波形を出力する第1波形発生部と、所定周波数を変化させながらその周波数に同期させて通電角180度未満の波形を出力する第2波形発生部と、前記第1波形発生部と前記第2波形発生部とをモータの運転状態によって切り替える切替判定部とを備え、前記ブラシレスDCモータを前記第1波形発生部にて低速で駆動中に任意の目標高速回転数に変更するために加速させる際、強制的に前記第2波形発生部へ切り替えた後に加速させることにより、ブラシレスDCモータのもつ高トルク性能を事前に引き出すことで、安定した加速度を得ることができるブラシレスDCモータの駆動方法及びその装置となり、加速時における安定したモータ駆動を可能にしたものであり、高負荷・低電圧の環境下におけるモータ加速時のトルク不足、加速度低下を解消し、騒音・振動の低減に対し効果を発揮できる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ブラシレスDCモータを前記第1波形発生部にて低速で駆動中に任意の目標高速回転数に変更するために加速させる際、強制的に前記第2波形発生部へ切り替えた後に加速させ、前記ブラシレスDCモータが任意の目標高速回転数に到達後に前記第1波形発生部に再び切替えることにより、高回転駆動においても高効率駆動を可能とする駆動手段に再度切り替えることで、ブラシレスDCモータのもつ高効率性能を更に引き出すことのできるブラシレスDCモータの駆動方法及びその装置となり、比較的効率の良いモータ駆動が可能としたことで、第2波形発生部で駆動している最中の無効電力を低減する効果を発揮できる。
請求項3に記載の発明は、永久磁石を有する回転子と三相巻線を有する固定子からなるブラシレスDCモータと、前記三相巻線に電力を供給するインバータと、モータの運転状態情報からモータの負荷状態を検出する負荷検出回路と、前記回転子の回転位置に応じて通電角150度以下の波形を出力する第1波形発生部と、所定周波数を変化させながらその周波数に同期させて通電角180度未満の波形を出力する第2波形発生部と、前記第1波形発生部と前記第2波形発生部とをモータの運転状態によって切り替える切替判定部とを備え、前記ブラシレスDCモータを前記第2波形発生部にて高速で駆動中に任意の目標低速回転数に変更するために減速させる際、任意の目標低速回転数に到達するまで前記第2波形発生部での駆動を維持させることで、安定した減速度を得ることができるブラシレスDCモータの駆動方法及びその装置となり、低負荷・高電圧の環境下におけるモータ減速時の減速度低下を解消し、騒音・振動の低減に対し効果を発揮できる。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記ブラシレスモータを、冷却システムを構成する圧縮機の駆動用とし、前記圧縮機を、レシプロ型の構成としたことで、振動・騒音の影響を受けにくく、低騒音・低振動の駆動システムを提供することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載したモータ駆動装置を有する冷凍装置とすることで、低騒音・低振動の冷凍装置を提供することができる。
以下、本発明による冷蔵庫の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における第1波形発生部または第2波形発生部による駆動時、および両波形発生部の切替時に関するブラシレスDCモータの駆動装置のブロック図である。
図1において、商用電源1は、日本の場合周波数50Hzまたは60Hz、電圧100Vの交流電源である。
整流回路2は商用電源1の交流電圧を直流電圧に変換する。整流回路2はブリッジ接続された整流用ダイオード2a、2b、2c、2dと平滑用の電解コンデンサ2e、2fと電圧調整回路2gからなり、図1に示す回路は倍電圧整流回路の場合、商用電源1のAC100V入力から直流電圧280Vを得ることができる。ここでは倍電圧整流としたが、電圧調整回路2gは直流電圧可変式のチョッパ回路や倍電圧整流/全波整流の切替方式回路に相当する。
インバータ回路3は、6個のスイッチ素子3a、3b、3c、3d、3e、3fを3相ブリッジ構成されている。また、各々のスイッチ素子には各スイッチ素子の逆方向に還流電流用のダイオードが入っているが本図では省略している。
ブラシレスDCモータ4は、永久磁石を有する回転子4aと3相巻線を有した固定子4bとからなる。インバータ3により作られた3相交流電流が固定子4bの3相巻線に流れることにより、回転子4aを回転させることができる。
圧縮要素5は、ブラシレスDCモータ4の回転子4aの軸に接続され、冷媒ガスを吸入し、圧縮して吐出する周知の構成からなるものである。このブラシレスDCモータ4と圧縮要素5とを同一の密閉容器6に収納し、圧縮機7を構成する。
圧縮機7で圧縮された吐出ガスは、凝縮器8、減圧器9、蒸発器10を通って圧縮機5の吸い込みに戻るような冷凍空調システムを構成し、凝縮器8では放熱が行われ、蒸発器10では吸熱を行うので、冷却や加熱を行うことができる。
尚、必要に応じて凝縮器8や蒸発器10に送風機等を使い、熱交換をさらに促進することもある。また本実施の形態1では、前記冷凍空調システムを、貯蔵装置の一例である冷蔵庫11とした場合で説明しており、冷蔵庫11内の蒸発器10により冷却する構成としている。
負荷検出回路12は、ブラシレスDCモータ4の永久磁石を有する回転子4aが回転することにより発生する逆起電圧から、回転子4aの回転相対位置を検出できる。なお、回転相対位置の検出用途の他にも還流電流用ダイオードに電流が流れる時間の増減を検出することにより、モータ電流の乱れや負荷状態の変化を検出することも可能である。これらの検出によりモータ電流位相の進み度合いを知ることもできる。
なお、ここでは回転子4aが回転することにより発生する逆起電圧から、回転子4aの回転相対位置を検出する構成としたが、回転子4aの位置検出やモータ電流の状態検出を行う手段であれば電流検出などの手段を用いた構成でも良い。
第1波形発生部13は、位置検出回路5の位置検出信号をもとにロジカルな信号変換を行い、インバータ3のスイッチ素子3a、3b、3c、3d、3e、3fを駆動する信号を作り出す。この駆動する信号は矩形波通電を基本として行っており、通電角が120度以上180度未満の矩形波を作り出している。また、ここでは矩形波以外でもそれに準じる波形として立ち上がり/立ち下がりに若干の傾斜を持たせた台形波であってもよい。さらに回転数を一定に保つためにPWM制御のデューティの制御や通電角の制御も行っている。回転位置に従って、ブラシレスDCモータ4の実回転数を検出し、目標回転数との比較を行いながら最適なデューティで運転させることができるため、最も効率的な運転が可能となる。この実回転数の検出は負荷検出回路12の出力信号の一定時間カウントまたは周期測定などによって実現可能である。高効率、低振動が求められる低回転運転領域に適した波形発生手段である。
第2波形発生部14は、デューティを一定にしたまま出力する周波数と通電角を変化させインバータ3のスイッチ素子3a、3b、3c、3d、3e、3fを駆動する信号を作り出す。この駆動する信号は通電角が180度未満の矩形波を作り出している。また、ここでは矩形波以外でも正弦波や歪波などのそれに準じる波形であってもよい。高トルクが求められる高回転運転領域に適した波形発生手段である。
切替判定部15は、第1波形発生部13が算出した回転数、その回転数をもとに制御しているデューティや、第2波形発生部14が制御している周波数や、負荷検出回路12が検出する回転子4aの磁極位置情報、モータ電流の位相情報や、冷蔵庫等の用途におけるシステムの温度状態といった要素に基づいてブラシレスDCモータ4の運転状態を判断し、インバータ3を動作させる波形を第1波形発生部13か第2波形発生部14かを選択し切り替えるものである。たとえば、回転数が低速の場合、第1波形発生部13からの信号を選択し、回転数が高速の場合、第2波形発生部14からの信号を選択してインバータ3を動作させる。
ドライブ部16は、切替判定部15からの出力信号により、インバータ3のスイッチ素子3a、3b、3c、3d、3e、3fを駆動する。この駆動によりインバータ3から最適な交流出力がブラシレスDCモータ4に印加することができるので回転子4aを回転させることができる。
加速判定部17は、冷蔵庫11内の蒸発器10を冷却するためブラシレスDCモータ4をさらに高回転での運転が必要となり、必要目標高回転へ加速させる際に、加速前の状態が第1波形発生部13にてインバータ3を動作であれば、切替判定部15にて強制的に第2波形発生部14に切り替えさせ、必要目標高回転数到達後は切替判定部15にて検出した負荷状態に応じて第1波形発生部13へ戻させる判定手段である。
マイクロコンピュータ18は前述の機能を実現する。これらの機能はマイクロコンピュータのプログラムによって実現可能である。
次に、図2により本実施の形態1における圧縮機7について説明する。図2は、本実施の形態の圧縮機の断面図を示している。
図2において圧縮機7の密封容器19内には、オイル20を貯溜すると共にR600aの冷媒21が封入され、固定子4bと回転子4aからなるブラシレスDCモータ4およびこれによって駆動される圧縮要素7がスプリング等により弾性的に支持されており、ブラシレスDCモータ4の回転による振動が圧縮機7の外部に漏れにくい構成となっている。
圧縮要素7は、回転子4aが固定された主軸部22および偏芯軸部23から構成されたクランクシャフト24の主軸部22を軸支するとともに、圧縮室25を有するシリンダ26と、圧縮室25内で往復運動するピストン27と、偏芯軸部23とピストン27を連結する連結手段28を備え、レシプロ型の圧縮機構を構成している。
したがって、本実施の形態1においては、イナーシャが大きいレシプロ型圧縮機の特徴と構造から、脈動による振動および振動に伴う騒音が圧縮機7の外部に漏れにくくなっている。
以上の構成において、図1、図3および図4を用いて、以下その動作を説明する。ここでは、ブラシレスDCモータ4の任意に設定された現在の運転速度r1[rpm]、目標の高速運転速度r2[rpm](r1<r2)を設けており、r1[rpm]からr2[rpm]への加速途中のr1−2[rpm](r1<r1−2<r2)付近では、ブラシレスDCモータ4を第1波形発生部13で駆動させた場合にはトルク不足に陥るが第2波形発生部14では十分なトルクとなる負荷状態であり、r2[rpm]到達後は第1波形発生部13でブラシレスDCモータ4を運転するに十分な負荷状態となる冷蔵庫11の運転における制御として説明する。
図3は、本実施の形態1におけるブラシレスDCモータの加速動作を示したフローチャートである。
図4は、本実施の形態1におけるブラシレスDCモータの加速動作を示した特性図である。
まず、STEP10において、ブラシレスDCモータ4を任意に設定された運転速度r1[rpm]で運転中に、冷蔵庫11内の蒸発器10を冷却するためブラシレスDCモータ4をさらに高回転での運転が必要となり、ブラシレスDCモータ4を目標の高速運転速度r2[rpm]へ加速させる必要がある場合はSTEP11へ進み、ブラシレスDCモータ4を加速させる必要のない場合はSTEP10へ戻り再度ブラシレスDCモータ4の加速の必要が生じるまで待機する。
STEP11において、加速判定部17によりブラシレスDCモータ4を第1波形発生部13にて運転中であるかを判定し、第1波形発生部13にて運転中であればSTEP12へ進み、第2波形発生部14で運転中であればSTEP13へ進む。
STEP12において、加速判定部17により切替判定部15へ強制的に第1波形発生部13から第2波形発生部14へ切り替えさせ、第2波形発生部14での出力信号によりドライブ部16を駆動させSTEP13へ進む。このときブラシレスDCモータ4を加速させる直前のt1の時点であり、ブラシレスDCモータ4の駆動トルクはA[Nm]で運転中であるが、駆動限界トルクはa[Nm]からa‘[Nm]へ引き上げられる。
STEP13において、ブラシレスDCモータ4を目標の高速運転速度r2[rpm]への加速を開始させる。このときブラシレスDCモータ4を加速開始させるt2の時点である。
STEP14において、ブラシレスDCモータ4が目標の高速運転速度r2[rpm]へ到達すればSTEP15へ進む。このときブラシレスDCモータ4を加速終了させるt4の時点である。ブラシレスDCモータ4が目標の高速運転速度r2[rpm]に到達していなければSTEP14へ戻り、到達するまで待機するが、このとき、ブラシレスDCモータ4の駆動トルクA[Nm]からB[Nm]へ下降していくとともにt1の時点で引き上げた駆動限界トルクはa‘[Nm]からb’[Nm]へ下降していく。また、ブラシレスDCモータ4の運転速度は加速途中のr1−2[rpm]となるt3付近を通過したとき、第1波形発生部13で加速させた場合における駆動限界トルクa[Nm]からb[Nm]への下降であれば、ブラシレスDCモータ4の駆動トルクA[Nm]からB[Nm]への下降よりも下回るため第1波形発生部13では駆動不可能となるため、従来の構成であれば第2波形発生部14への切り替えが必要となる。
STEP15において、切替判定部15により負荷検出回路12が検出する回転子4aの磁極位置情報、モータ電流の位相情報や、冷蔵庫等の用途におけるシステムの温度状態といった要素に基づいてブラシレスDCモータ4の運転状態を判断し、負荷状態が第1波形発生部13で駆動する十分な状態であると判断した場合STEP16へ進み、負荷状態が第2波形発生部14で駆動する必要があると判断した場合はSTEP10へ戻り再度ブラシレスDCモータ4の加速の必要が生じるまで待機する。
STEP16において、切替判定部15により強制的に第2波形発生部14から第1波形発生部13へ切り替えさせ、第1波形発生部13での出力信号によりドライブ部16を駆動させSTEP10へ戻り再度ブラシレスDCモータ4の加速の必要が生じるまで待機する。
以上のように本実施の形態1においては、ブラシレスDCモータ4を加速運転させる場合、加速判定部17により第1波形発生部13にて運転中であるかを判定し、第1波形発生部13にて運転中であれば第2波形発生部14での出力信号に切り替えた後に加速させることにより、ブラシレスDCモータ4の運転速度は加速途中のr1−2[rpm]となるt3付近を通過したときも、第1波形発生部13で加速させた場合における駆動限界トルクa[Nm]からb[Nm]への下降よりも大きな駆動限界トルク余裕度で加速させることができるので、ブラシレスDCモータ4の加速中の駆動トルク不足回避となる。
したがって、加速時における安定したモータ駆動を可能にしたものであり、高負荷・低電圧の環境下におけるモータ加速時のトルク不足、加速度低下を解消し、騒音・振動の低減に対し効果を発揮できる信頼性の高いモータ駆動装置を提供できる。
また、本実施の形態1においては、目標の高速運転速度に到達後は負荷状態により第1波形発生部13に戻すことができるので、加速運転後は比較的効率の良いモータ駆動での運転が可能となり、第2波形発生部で駆動している最中の無効電力を低減する効果を発揮できる。
したがって、高効率のモータ駆動装置を提供でき、また、上述のモータ駆動装置を貯蔵装置である冷蔵庫に適用することで、前述の如く低騒音・低振動で高効率な冷蔵庫を提供することができる。
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2における第1波形発生部または第2波形発生部による駆動時、および両波形発生部の切替時に関するブラシレスDCモータの駆動装置のブロック図である。なお、図5中の構成部品において図1と同じものについては、既に説明しているので省略する。
減速判定部29は、冷蔵庫11内の蒸発器10を冷却が十分であるためブラシレスDCモータ4をさらに低回転での運転へ減速させる際に、減速前の状態が第2波形発生部14にてインバータ3を動作であれば、切替判定部15にて目標回転数に到達するまでの減速中は強制的に第2波形発生部14に固定させ、必要目標高回転数到達後は切替判定部15にて検出した負荷状態に応じて第1波形発生部13へ戻させる判定手段である。
以上の構成において、図5、図6および図7を用いて、以下その動作を説明する。ここでは、ブラシレスDCモータ4の任意に設定された現在の運転速度r4[rpm]、目標の低速運転速度r3[rpm](r3<r4)を設けており、r4[rpm]にてブラシレスDCモータ4を運転する場合には第2波形発生部14での駆動が必要な負荷状態であり、r4[rpm]からr3[rpm]への減速途中のr4−3[rpm](r3<r4−3<r4)付近では、ブラシレスDCモータ4を第1波形発生部13で駆動させるのに十分なトルクとなる負荷状態、減速後のr3[rpm]到達後は第1波形発生部13でブラシレスDCモータ4を運転するのに十分なトルクとなる負荷状態となる冷蔵庫11の運転における制御として説明する。
図6は、本実施の形態2におけるブラシレスDCモータの減速動作を示したフローチャートである。
図7は、本実施の形態2におけるブラシレスDCモータの減速動作を示した特性図である。
まず、STEP20において、ブラシレスDCモータ4を任意に設定された運転速度r4[rpm]で運転中に、冷蔵庫11内の蒸発器10が十分に冷却されておりブラシレスDCモータ4をさらに低回転での運転が必要となり、ブラシレスDCモータ4を目標の低速運転速度r3[rpm]へ減速させる必要がある場合はSTEP21へ進み、ブラシレスDCモータ4を減速させる必要のない場合はSTEP20へ戻り再度ブラシレスDCモータ4の減速の必要が生じるまで待機する。
STEP21において、減速判定部29によりブラシレスDCモータ4を第2波形発生部14にて運転中であるかを判定し、第2波形発生部14にて運転中であればSTEP22へ進み、第1波形発生部13で運転中であればSTEP23へ進む。
STEP22において、減速判定部29により切替判定部15へ強制的に第2波形発生部14での運転で固定させ、第2波形発生部14での出力信号によりドライブ部16を駆動させSTEP23へ進む。このときブラシレスDCモータ4を減速させる直前のt6の時点であり、ブラシレスDCモータ4の駆動トルクはC[Nm]で運転中であり、駆動限界トルクはc‘[Nm]である。また、第1波形発生部13で駆動させた場合の駆動限界トルクはc[Nm]であるためc[Nm]<C[Nm]からt6時点で第1波形発生部13での駆動は不可能となる。
STEP23において、ブラシレスDCモータ4を目標の低速運転速度r3[rpm]への減速を開始させる。このときブラシレスDCモータ4を減速開始させるt7の時点である。
STEP24において、ブラシレスDCモータ4が目標の低速運転速度r3[rpm]へ到達すればSTEP25へ進む。このときブラシレスDCモータ4を減速終了させるt8の時点である。ブラシレスDCモータ4が目標の低速運転速度r3[rpm]に到達していなければSTEP24へ戻り、到達するまで待機するが、このとき、ブラシレスDCモータ4の駆動トルクC[Nm]からD[Nm]へ上昇していくとともにt6の時点で固定された駆動限界トルクはc‘[Nm]からd’[Nm]へ上昇していく。また、ブラシレスDCモータ4の運転速度は減速途中のr4−3[rpm]となるt8付近を通過したとき、第1波形発生部13で減速させた場合における駆動限界トルクc[Nm]からd[Nm]への上昇であれば、ブラシレスDCモータ4の駆動トルクC[Nm]からD[Nm]への上昇よりも上回るため第1波形発生部13で駆動可能なため、従来の構成であれば第1波形発生部13へ切り替えとなる。
STEP25において、切替判定部15により負荷検出回路12が検出する回転子4aの磁極位置情報、モータ電流の位相情報や、冷蔵庫等の用途におけるシステムの温度状態といった要素に基づいてブラシレスDCモータ4の運転状態を判断し、負荷状態が第1波形発生部13で駆動する十分な状態であると判断した場合STEP26へ進み、負荷状態が第2波形発生部14で駆動する必要があると判断した場合はSTEP20へ戻り再度ブラシレスDCモータ4の減速の必要が生じるまで待機する。
STEP26において、切替判定部15により強制的に第2波形発生部14から第1波形発生部13へ切り替えさせ、第1波形発生部13での出力信号によりドライブ部16を駆動させSTEP20へ戻り再度ブラシレスDCモータ4の加速の必要が生じるまで待機する。
以上のように本実施の形態2においては、ブラシレスDCモータ4を減速運転させる場合、減速判定部29により第2波形発生部14にて運転中であるかを判定し、第2波形発生部14にて運転中であれば切替判定部15にて目標回転数に到達するまでの減速中は強制的に第2波形発生部14に固定させ、ブラシレスDCモータ4の運転速度は減速途中のr4−3[rpm]となるt8付近を通過したときも、減速途中で第1波形発生部13へ切り替えることなく減速させることができるので、安定した減速度を得ることができるブラシレスDCモータの駆動方法及びその装置となり、低負荷・高電圧の環境下におけるモータ減速時の減速度低下を解消し、騒音・振動の低減に対し効果を発揮できる。
また、上述のモータ駆動装置を貯蔵装置である冷蔵庫に適用することで、前述の如く低騒音・低振動な冷蔵庫を提供することができる。
以上のように本発明のモータ駆動装置は、加速時および減速時における安定したモータ駆動を可能にしたものであり、高負荷・低電圧の環境下におけるモータ加速時のトルク不足、加速度低下を解消し、さらに、安定した減速度を得ることができるので、騒音・振動の低減に対し効果を発揮できる信頼性の高いモータ駆動装置を提供できる。したがって、家庭用・産業用を問わずブラシレスDCモータを搭載したさまざまな用途にも適用できる。
本発明の実施の形態1におけるブラシレスDCモータの駆動装置のブロック図 本発明の実施の形態1における圧縮機の断面図 本発明の実施の形態1におけるブラシレスDCモータの加速動作を示したフローチャート 本発明の実施の形態1におけるブラシレスDCモータの加速動作を示した特性図 本発明の実施の形態2におけるブラシレスDCモータの駆動装置のブロック図 本発明の実施の形態2におけるブラシレスDCモータの減速動作を示したフローチャート 本発明の実施の形態2におけるブラシレスDCモータの減速動作を示した特性図 従来のブラシレスDCモータの駆動装置のブロック図
符号の説明
3 インバータ回路
4 ブラシレスDCモータ
7 圧縮機
11 冷蔵庫
12 負荷検出回路
13 第1波形発生部
14 第2波形発生部
15 切替判定部
17 加速判定部
29 減速判定部

Claims (5)

  1. 永久磁石を有する回転子と三相巻線を有する固定子からなるブラシレスDCモータと、前記三相巻線に電力を供給するインバータと、モータの運転状態情報からモータの負荷状態を検出する負荷検出回路と、前記回転子の回転位置に応じて通電角150度以下の波形を出力する第1波形発生部と、所定周波数を変化させながらその周波数に同期させて通電角180度未満の波形を出力する第2波形発生部と、前記第1波形発生部と前記第2波形発生部とをモータの運転状態によって切り替える切替判定部とを備え、前記ブラシレスDCモータを前記第1波形発生部にて低速で駆動中に任意の目標高速回転数に変更するために加速させる際、強制的に前記第2波形発生部へ切り替えた後に加速させることを特徴とするブラシレスDCモータの駆動装置。
  2. 前記ブラシレスDCモータを前記第1波形発生部にて低速で駆動中に任意の目標高速回転数に変更するために加速させる際、強制的に前記第2波形発生部へ切り替えた後に加速させ、前記ブラシレスDCモータが任意の目標高速回転数に到達後に前記第1波形発生部に再び切替えることを特徴とする請求項1に記載のブラシレスDCモータの駆動装置。
  3. 永久磁石を有する回転子と三相巻線を有する固定子からなるブラシレスDCモータと、前記三相巻線に電力を供給するインバータと、モータの運転状態情報からモータの負荷状態を検出する負荷検出回路と、前記回転子の回転位置に応じて通電角150度以下の波形を出力する第1波形発生部と、所定周波数を変化させながらその周波数に同期させて通電角180度未満の波形を出力する第2波形発生部と、前記第1波形発生部と前記第2波形発生部とをモータの運転状態によって切り替える切替判定部とを備え、前記ブラシレスDCモータを前記第2波形発生部にて高速で駆動中に任意の目標低速回転数に変更するために減速させる際、任意の目標低速回転数に到達するまで前記第2波形発生部での駆動を維持させることを特徴とするブラシレスDCモータの駆動装置。
  4. 前記ブラシレスモータを、冷却システムを構成する圧縮機の駆動用とし、前記圧縮機を、レシプロ型の構成としたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のモータ駆動装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載したモータ駆動装置を具備した冷凍装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011151957A (ja) * 2010-01-21 2011-08-04 Sanken Electric Co Ltd ブラシレスモータの駆動装置
JP2021072657A (ja) * 2019-10-29 2021-05-06 パナソニックIpマネジメント株式会社 モータ駆動装置およびこれを用いた冷蔵庫

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