JP2008153602A - 発光素子用封止材組成物、その硬化物および発光素子封止体 - Google Patents
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Abstract
Description
また、コーティング、成形品として使用することを目的として、オルガノポリシロキサングラフトビニル共重合体を含有する組成物が提案されている(例えば、特許文献2)。
そこで、本発明は、透明性、耐熱着色安定性に優れる硬化物となりうる発光素子用封止材組成物の提供を目的とする。
(1) (メタ)アクリロイル基を有するポリシロキサンと、メルカプト基を有する有機化合物と、ラジカル開始剤とを含有する発光素子用封止材組成物。
(2) 前記ポリシロキサンが、下記式(1)、式(2)および式(3)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記(1)に記載の発光素子用封止材組成物。
(式中、R1〜R4はそれぞれ独立に(メタ)アクリロイル基および(メタ)アクリロイル基を有する基からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、mはそれぞれ独立に0〜165の整数を、nはそれぞれ独立に1〜60の整数を示す。)
(3) 前記ポリシロキサンの、(メタ)アクリロイル基の官能基当量が190〜1,200g/モルであり、数平均分子量が20,000以下である上記(1)または(2)に記載の発光素子用封止材組成物。
(4) 前記有機化合物が、下記式(I)、式(II)、式(III)および式(IV)で表されるものからなる群から選ばれる少なくとも1種である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の発光素子用封止材組成物。
(式中、R8はそれぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜10の1価の飽和炭化水素基であり、R9、R10はそれぞれ独立に炭素原子数1〜10の2価の飽和炭化水素基であり、nは1〜10の整数である。)
(5) 上記(1)〜(4)のいずれかに記載の発光素子用封止材組成物を硬化させることによって得られる硬化物。
(6) LEDチップが上記(5)に記載の硬化物で封止されている発光素子封止体。
本発明の発光素子用封止材組成物は、
(メタ)アクリロイル基を有するポリシロキサンと、メルカプト基を有する有機化合物と、ラジカル開始剤とを含有する組成物である。
本発明の発光素子用封止材組成物を以下「本発明の組成物」ということがある。
本発明の組成物に含有されるポリシロキサンは、(メタ)アクリロイル基およびシロキサン結合を有するものである。
本発明において、(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基およびメタクリロイル基のうちの片方または両方であることを示す。
有機基は、特に制限されず、例えば、アルキレン基、2価の脂環式炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基が挙げられる。有機基は、例えば、酸素原子、窒素原子および硫黄原子からなる群から選ばれる少なくとも1種のヘテロ原子を有することができる。
炭素原子数1〜12のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、−CH2CH(CH3)CH2−、ヘキサメチレン基、−(CH2)12−、−(CH2)2−O−(CH2)3−、−(CH2)2−O−(CH2)2−O−(CH2)3−が挙げられる。
また、得られる硬化物が、(メタ)アクリロイル基が重合してできる、ポリ(メタ)アクリル鎖とポリ(メタ)アクリル鎖とを、ポリシロキサン骨格がつないでいる構造、または主鎖中にポリシロキサン骨格を有する構造となり、耐熱着色安定性により優れるという観点から、(メタ)アクリロイル基の数は、2個以上であるのが好ましい。
式(1)中のmは1〜165が好ましく、nは1〜60が好ましい。
式(1)中の、繰り返し単位数mを有する繰り返し単位と繰り返し単位数nを有する繰り返し単位との配列は特に制限されない。例えば、式(1)で表される化合物は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、またはこれらの複合体であることができる。式(3)で表される化合物も同様である。
式(3)中のmは0〜110が好ましく、nは1〜40が好ましい。
炭素原子数1〜12のアルキレン基は上記と同義である。
炭素原子数1〜12のアルキレン基は上記と同義である。
炭素原子数1〜12のアルキレン基は上記と同義である。
なお、ポリシロキサンの数平均分子量は、GPC測定法によって測定されたものである。
また、(メタ)アクリロイル基の官能基当量が1,200g/モル以下である場合、組成物が硬化しやすく、かつ表面硬化性が良好で、ラジカル開始剤を少量とすることができ、ラジカル開始剤によって硬化物が着色するのを抑制し、耐熱着色安定性により優れる。
また、(メタ)アクリロイル基の官能基当量が190g/モル以上である場合、得られる硬化物においてクラックが発生しにくい。
ポリシロキサンは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ポリシロキサンは、その製造について特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
下記反応式は、本発明の組成物に含有されるポリシロキサンが式(2)で表される化合物(R2はアクリロイル基)である場合、この化合物から構造(I)を有するポリマーが得られることを示す。
このような構造(I)は、原料であるポリシロキサン602、604、606において、アクリロイル基608が連鎖的にラジカル反応してポリアクリル鎖614となり、一方、アクリロイル基616、618、620が別のポリシロキサン(図示せず。)とそれぞれラジカル反応してポリアクリル鎖622、624、626を形成することによって得ることができる。
このように、ポリマー中にポリシロキサン骨格が数多く、規則的に含有されることが耐熱着色安定性に優れるという観点から好ましい。
なお、本発明の組成物から得られるポリマーの構造は構造(I)に限定されない。
本発明の組成物に含有される有機化合物は、メルカプト基を有するものである。
また、有機化合物は、得られる硬化物が適正な柔軟性を有し、これによって透明性、耐熱着色安定性により優れるという観点から、式(II)、式(III)および式(IV)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であるのがさらに好ましい。
有機化合物は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の組成物に含有されるラジカル開始剤は、光または熱によって(メタ)アクリロイル基をラジカル重合させるものであれば特に制限されない。
なかでも、光安定性、光開裂の高効率性、硬化性という観点から、t−ブチルパーオキシ−2−エチレンヘキサノネートが好ましい。
ラジカル開始剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
LEDに対する接着性、密着性に優れるという観点から、(メタ)アクリロイル基とメトキシ基およびエトキシ基のうちの一方または両方とを有するシランカップリング剤を含有するのが好ましい。
例えば、下記式(7)で表される化合物が挙げられる。
R−Si−(O−R′)3 (7)
式中、Rは(メタ)アクリロイル基を示し、R′はメチル基、エチル基を示し、R′は同じでも異なってもよい。
なかでも、密着性に優れ、耐熱着色安定性により優れるという観点から、(メタ)アクリロイルトリメトキシシランが好ましい。
シランカップリング剤の量がポリシロキサン100質量部に対して10質量部以下である場合、耐熱着色安定性により優れる。
添加剤としては、例えば、ベンゾイン類、ベンゾインアルキルエーテル類、ベンジル類、芳香族ジアゾニウム塩、アントラキノン類、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類のような増感剤;ポリシロキサン以外の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、顔料、充填剤、レベリング剤、重合禁止剤、消泡剤、硬化促進剤が挙げられる。
本発明の組成物は、耐熱着色安定性に影響しない物または耐熱着色安定性に影響しない量であれば、本発明の組成物に含有されるポリシロキサン以外の(メタ)アクリロイル基を有するポリシロキサン化合物を含有してもよい。
本発明の組成物は、例えば、紫外線照射、電子線照射、加熱によって硬化することができる。
本発明の組成物に含有されるポリシロキサンは(メタ)アクリロイル基がラジカル開始剤によってラジカル重合すると、(メタ)アクリロイル基によって十分に架橋されている架橋構造を有する硬化物となることから、ヒドロシリル基を有する化合物を含有する必要はない。
また、本発明の組成物が硬化することによって得られる硬化物は、ポリ(メタ)アクリル鎖とポリ(メタ)アクリル鎖との間をポリシロキサン骨格が架橋している構造、主鎖中にポリシロキサン骨格を有する構造となると考えられる。このような構造によって、本発明の組成物から得られる硬化物は、耐熱着色安定性に優れると考えられる。
本発明の組成物は、耐熱着色安定性に影響しない物または耐熱着色安定性に影響しない量であれば、エポキシ樹脂を含有してもよい。
本発明の硬化物は、本発明の発光素子用封止材組成物を硬化させることによって得られるものである。
組成物の硬化について以下に説明する。
本発明において、組成物は、例えば、紫外線照射、電子線照射、加熱によって硬化させることができる。
紫外線照射は、250〜380nmの光を用いるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
また、紫外線の強度の閾値は、80mW/cm以上であるのが好ましく、80〜160mW/cmであるのがより好ましい。
本発明の硬化物について、組成物に光照射装置(商品名:GS UVSYSTEM TYPE S250―01、ジーエス・ユアサ ライティング社製。光源としてメタルハイドロランプを使用し、積算光量1,800mJ/cm2で照射した。)で光を光量120mW/cmで40秒間照射して初期硬化させ硬化物とし、硬化直後(硬化物の厚さ:2mm)の、JIS K0115:2004に準じ紫外・可視吸収スペクトル測定装置(島津製作所社製、以下同様。)を用いて波長400nmにおいて測定された透過率が、80%以上であるのが好ましく、85%以上であるのがより好ましい。
本発明の硬化物は、LEDチップの封止材として使用することができる。
LEDチップは、その発光色について特に制限されない。例えば、青色、赤色、黄色、緑色、白色が挙げられる。
LEDチップは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の発光素子封止体は、LEDチップが本発明の硬化物で封止されているものである。
また、本発明の発光素子封止体に使用されるLEDチップはその発光色について特に制限されない。
白色LEDの場合、例えば、青色LEDチップをイットリウム・アルミニウム・ガーネットのような蛍光物質を含有する色変換部材でコーティングしたもの、赤色・緑色・青色のLEDチップを用いるものが挙げられる。
また、本発明の組成物にイットリウム・アルミニウム・ガーネットのような蛍光物質を含有させて、これで青色LEDチップをコーティングすることができる。
また、赤色・緑色・青色のLEDチップを用いる場合、それぞれのLEDチップを封止すること、または3色のLEDチップをまとめて封止し1個の光源とすることができる。
図2は、本発明の発光素子封止体の一例を模式的に示す断面図である。
図3は、本発明の発光素子封止体の一例を模式的に示す断面図である。
なお、本発明の発光素子封止体は添付の図面に限定されない。
パッケージ204には、内部に一段下がったキャビティー(図示せず。)が設けられている。キャビティー内には、青色LEDチップ203と色変換部材202とが配置されている。
青色LEDチップ203は、基板210上にマウント部材201で固定されている。
色変換部材202は、蛍光物質としてセリウムを付活したイットリウム・アルミニウム・ガーネットと透光性ポリイミド樹脂とを含有することができる。
青色LEDチップ203の各電極(図示せず。)とパッケージ204に設けられた外部電極209とは導電性ワイヤー207によってワイヤーボンディングさせている。
パッケージ204のキャビティー(図示せず。)は、硬化物206によって封止されている。
基板310には、頭部に一段下がったキャビティー(図示せず。)が設けられている。キャビティー内には、青色LEDチップ303と色変換部材302とが配置されている。
青色LEDチップ303は、基板310上にマウント部材301で固定されている。
色変換部材302は、蛍光物質としてセリウムを付活したイットリウム・アルミニウム・ガーネットと透光性ポリイミド樹脂とを含有することができる。
青色LEDチップ303の各電極(図示せず。)と基板310およびインナーリード305とそれぞれ導電性ワイヤー307によってワイヤーボンディングさせている。
この場合、色変換部材202、302は配置しなくともよい。
本発明の発光素子封止体は、その製造について特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
図4は、本発明の発光素子封止体を用いたLED表示器の一例を模式的に示す図である。
図5は、図4に示すLED表示器を用いたLED表示装置のブロック図である。
なお、本発明の発光素子封止体は使用されるLED表示器、LED表示装置は添付の図面に限定されない。
なお、本発明の発光素子封止体はカラー表示できる、LED表示器やLED表示装置に使用することができる。
また、本発明の硬化物は、特許文献2に記載されている組成物から得られるものと比較して、(メタ)アクリロイル基によって十分硬化がなされており、シロキサン骨格を有するため、透明性、耐熱着色安定性、機械的強度、作業性により優れ、1液型とすることができると考えられる。
1.評価
以下に示すように透明性、耐熱着色安定性、密着性を評価した。結果を第1表に示す。
(1)透明性評価試験
透明性評価試験は、下記に示す、硬化直後(初期)の硬化物および耐熱試験後の硬化物(いずれも厚さが2mm。)についてそれぞれ、JIS K0115:2004に準じ紫外・可視吸収スペクトル測定装置(島津製作所社製)を用いて波長400nmにおける透過率を測定した。
また、耐熱試験後の透明性の保持率を下記計算式によって求めた。
耐熱試験後の硬化物について黄変したかどうかを目視で観察した。
(1)サンプルの作製
サンプルの作製について添付の図面を用いて以下に説明する。
図1は、実施例において本発明の組成物を硬化させるために使用する型を模式的に表す断面図である。
まず、シリコンモールドのスーペーサー1(縦5cm、横5cm、高さ2mm)をガラス2、ガラス3(ガラス2、ガラス3の大きさはそれぞれ、縦5cm、横5cm、厚さ4mm)と、PETフィルム4、PETフィルム5とで挟む。ガラス2とスーペーサー1の間にPETフィルム4を、ガラス3とスーペーサー1の間にPETフィルム5をそれぞれを配置する。
次に、スーペーサー1の内部に組成物6を流し込み、ガラス2、ガラス3をジグ(図示せず。)で固定する。得られた型を型8とする。型8を用いて次のとおりサンプルの硬化を行い、組成物6を硬化させ、硬化物を型から外し、硬化物6(厚さ2mm)が得られる。
ラジカル開始剤を含有する組成物が充填された型8を電気オーブンに入れて、80℃で1時間、さらにその後150℃で1時間加熱して組成物を硬化させ、厚さ2mmの硬化物を得た。
製造から1日経過後の硬化物を150℃に設定されたオーブンに5日間または10日間置いた後取り出し、これを耐熱試験後の硬化物とする。
下記第1表に示す成分を同表に示す量(単位:質量部)で真空かくはん機を用いて均一に混合し組成物を調製した。
・ポリシロキサン1:ポリシロキサン(X−22−164、メタクリロイル基の官能基当量が860g/モルの両末端メタクリル変性シリコーン、信越化学工業社製)
・ポリシロキサン2:エポキシ変性シロキサン(商品名:KF101、信越化学工業社製)
・メルカプト基含有有機化合物1:カレンズMT BD1(昭和電工社製)
・メルカプト基含有有機化合物2:カレンズMT PE1(昭和電工社製)
・メルカプト基含有有機化合物3:商品名:TP−8、(丸善油化社製)
・ラジカル重合開始剤:t−ブチルパーオキシ−2−エチレンヘキサノネート(パーブチルO、日本油脂社製)
・カチオン重合触媒:BF3・Et2O(BF3エチルエテラート錯体、東京化成工業社製)
これに対して、実施例1〜3は、1液型とすることが可能で作業性に優れ、得られる硬化物は透明性、耐熱着色安定性に優れた。
2、3 ガラス
4、5 PETフィルム
6 組成物(硬化後硬化物6となる)
8 内部に組成物6が充填された型
200、300 白色LED
201、301 マウント部材
202、302 色変換部材
203、303 青色LEDチップ
204 パッケージ
206、306 硬化物
207、307 導電性ワイヤー
209 外部電極
210、310 基板
305 インナーリード
400、501 LED表示器
401 白色LED
404 筐体
405 遮光部材
406 充填剤
500 LED表示装置
502 ドライバー
503 階調制御手段(CPU)
504 画像データ記憶手段(RAM)
Claims (6)
- (メタ)アクリロイル基を有するポリシロキサンと、メルカプト基を有する有機化合物と、ラジカル開始剤とを含有する発光素子用封止材組成物。
- 前記ポリシロキサンの、(メタ)アクリロイル基の官能基当量が190〜1,200g/モルであり、数平均分子量が20,000以下である請求項1または2に記載の発光素子用封止材組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の発光素子用封止材組成物を硬化させることによって得られる硬化物。
- LEDチップが請求項5に記載の硬化物で封止されている発光素子封止体。
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