JP2008151383A - プラズマ炉の炉底電極耐火煉瓦 - Google Patents

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勇二 室井
Tetsumichi Okawa
鉄道 大川
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五生 森田
Kunihiro Koide
邦博 小出
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Abstract

【課題】炉内の温度上昇下降により炉底電極や耐火煉瓦の熱膨張収縮が繰り返され、該炉底電極と該炉底電極の周囲に配置された耐火煉瓦間に間隙が形成されても酸化防止を図ることができる炉底電極耐火煉瓦を提供する。
【解決手段】
炉底電極耐火煉瓦60Aは、マグネシア・カーボンからなる定型煉瓦の面に酸化防止用の金属板61を装着して構成されている。プラズマ炉内の温度上昇下降が繰り返されることにより炉底電極耐火煉瓦60Aや周囲の耐火煉瓦の熱膨張収縮が繰り返され、炉底電極耐火煉瓦60Aと周囲の耐火煉瓦間に間隙が形成されても、金属板61により覆われた面の酸化防止がされる。
【選択図】図2

Description

本発明は、プラズマ・トーチを使用して廃棄物を溶融するための炉に使用されるプラズマ炉の炉底電極耐火煉瓦に関するものである。
従来、原子力発電所施設から出た放射性廃棄物を非常に高温で破壊し処理する装置として、プラズマ・トーチで高温を発生させて、放射性廃棄物を処理することができる装置が提案されている。このような装置では、廃棄物を収納したドラム缶等の廃棄物容器が炉内に投入されて、処理されることが行われている。この処理では、その処理毎に炉内に廃棄物容器が入った段階で、プラズマ・トーチによってプラズマを発生させる。そして、プラズマのエネルギーとジュール熱によって、炉内の温度が高くなり炉内の廃棄物がドラム缶等の廃棄物容器とともに溶融される。又、プラズマ・トーチからのアークは炉内に存在する溶融物に移行され、そこで電流が該溶融物を通って、炉底に設けられて接地された耐火煉瓦からなる炉底電極へ流れる。なお、前記炉底電極は、導電性を持たせるためにマグネシア・カーボンから形成されている。
なお、特許文献1には直流電気炉用の導電性耐火物を金属シートで包皮して覆う技術が開示されている。又、特許文献2には、直流電気炉の炉底電極であって、電極ブロックを構成する導電性定型耐火物の表面の一部が金属シートで覆われており、この金属シートを介して電極ブロックとコンタクトピンとを電気的に接続する構成が開示されている。
特開平8−285474号公報 特開2000−130960号公報
ところで、前記放射性廃棄物を処理することができる装置において、炉底に設けられた前記炉底電極は、炉内の温度上昇下降が繰り返されることにより熱膨張収縮が繰り返される。このため、炉底電極と該炉底電極の周囲に配置された耐火煉瓦間に間隙が形成され、この間隙内の空気によってマグネシア・カーボン系の炉底電極の表面が酸化されてしまい、導電性が落ちて電極機能がなくなってしまう問題があった。
なお、特許文献1は金属同士の融着によって煉瓦同士の浮上を防止するための技術であり、上記の炉底電極の表面の酸化防止のための技術ではない。又、特許文献2での金属シートは、コンタクトピンを流れる電流の一部を電極ブロックに流すために設けられており、コンタクトピンに発生するジュール熱の発生を防止するために設けられたものであり、上記の炉底電極の表面の酸化防止のための技術ではない。
本発明は、炉内の温度上昇下降により炉底電極や耐火煉瓦の熱膨張収縮が繰り返され、該炉底電極と該炉底電極の周囲に配置された耐火煉瓦間に間隙が形成されても酸化防止を図ることができる炉底電極耐火煉瓦を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は黒鉛を含有する導電性煉瓦からなる定型煉瓦の面に酸化防止用の金属板が装着されてなるプラズマ炉の炉底電極耐火煉瓦を要旨とするものである。
請求項2の発明は請求項1において、前記金属板は前記定型煉瓦の面の全長に亘って装着されてなることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2において、前記金属板は断面チャンネル状に形成されていることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、炉内の温度上昇下降が繰り返されることにより炉底電極や耐火煉瓦の熱膨張収縮が繰り返され、炉底電極と該炉底電極の周囲に配置された耐火煉瓦間に間隙が形成されても、金属板により覆われた部位の酸化防止を図ることができる。
請求項2の発明によれば、前記金属板が定型煉瓦の面の全長に装着されていることにより、面の全長部分に亘って酸化防止を図ることができる。
請求項3の発明によれば、断面チャンネル状に形成されていることにより、金属板の底部及び該底部にて連結された一対の両側部を有することになるため、定型煉瓦の3つの面における酸化防止を図ることができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜3を参照して説明する。図1に示すように、プラズマ炉10はプラズマ室20及びプラズマ室20の下方に配置された遠心炉30を有する。プラズマ室20の頂部は図示しないプラズマ・トーチが装着されている。さらに、プラズマ室20の頂部及び上部の側部には、図示しない投入口が設けられて該投入口を介して廃棄物が収納されたドラム缶等の廃棄物容器が室内に投入可能とされている。プラズマ室20の内周面と内頂面には耐火煉瓦からなる耐火材25が層状の構造で配置されている。なお、図面上では説明の便宜上、耐火材25は一層で描かれている。
プラズマ室20の下部に配置された遠心炉30は、有底筒状に形成されているとともに図示しない支持装置を介して回転自在に支持されている。そして、遠心炉30は図示しない回転装置により回転可能とされている。
遠心炉30は、有底円筒状の鉄皮32と、鉄皮32内周面及び炉底に設けられたライニング層40から構成されている。
ライニング層40は、複数の耐火煉瓦を積層することにより構成されているが、説明の便宜上、図1では一層で描かれている。遠心炉30の炉底において、その中央部には、図1に示すように下方に突出したノズル部50が形成されている。
遠心炉30は、遠心炉30内に投入された廃棄物がプラズマにより廃棄物容器とともに溶融される際に回転される。この遠心炉30の回転により溶融物が遠心力により壁に押しつけられて炉底中央部に位置させないようにされている。そして、投入された廃棄物の全てがプラズマにより廃棄物容器とともに溶融されると、遠心炉30の回転が停止されて溶融物がノズル部50のノズル孔58を介して、プラズマ室20の下方に設けられた排出口70を介して外部に排出されるようにされている。
又、遠心炉30の炉底において、中央よりも周縁に近い側には、定型煉瓦である炉底電極耐火煉瓦60A,60B,及び炉底電極耐火物60Cが3層に積層されている。最下層の炉底電極耐火煉瓦60Aは、マグネシア・カーボンからなる定型煉瓦からなり、断面長方形に形成されるとともに平面視円弧状に形成されている。この最下層の炉底電極耐火煉瓦60Aは、互いに連結されて全体がリング状に配置されている。
図2(a)、(b)に炉底電極耐火煉瓦60Aを示す。同図に示すように炉底電極耐火煉瓦60Aは、断面チャンネル状の金属板61を備えている。このため、金属板61には底部61aと該底部61aを介して互いに連結された内外両側部61b,61cが設けられている。なお、本実施形態で、内外とは、例えば、炉底電極耐火煉瓦のように円弧状に形成された面を有する場合、円弧の曲率半径の中心に近い方を内とし、遠い方を外とする。
金属板61はステンレス板や鉄板からなる。金属板61の厚さは限定するものではないが、0.5mm〜4.0mmが好ましい。金属板61が断面チャンネル状に形成されていることによって該金属板61により下面(すなわち、底面)全体と、内外両側面の高さのうち上部周面を除いた70%が覆われている。なお、金属板61にて覆う面は3面に限定するものではなく、全体を覆うようにしてもよい。例えば、本実施形態では6面あるため、この6面全部を覆うようにしてもよい。又、6面のうち、5面を覆ってもよく、3面以下(1〜3面)の面を覆うようにしてもよい。又、上下両面及び円弧状をなす内外周面を覆うようにしてもよい。金属板61にて覆われた面は使用時に酸化を防止することができる。又、金属板61は炉底電極耐火煉瓦60Aの底面及び内外側面の全長に亘って覆うようにしている。
金属板61の煉瓦に対する装着は、予め円弧状に形成された型内の空間に金属板61を入れた状態で、該型内に煉瓦材料を入れて一体成型することにより行われる。一体成型された金属板61が外れないようにするために、底部61a,内外両側部61b,61cのそれぞれには、鉄片からなるスタッド(止め金具)62が複数個溶接等の固定手段により固定されて配列されている。本実施形態では、スタッド62の形状はV状をなすが、この形状に限定されるものではなく、他の形状であってもよい。又、金属板61は煉瓦本体の側面とは段差が生じないように、図2(a)に示すように煉瓦本体と金属板61の面とは面一にされている。このようにする理由は、煉瓦本体と金属板61の面とは面一にせず、金属板61が煉瓦本体よりもその面が高いと、隣接する他の煉瓦とは金属板61のみが接触し、低い煉瓦本体が隣接する他の煉瓦と非接触となって、その上方の煉瓦側面に隙間ができて、溶融物の浸潤が多くなり、寿命が低下するためである。反対に、金属板61が煉瓦本体の面よりも低いと金属板61と、該金属板61に隣接する他の煉瓦間に間隙が生ずるため、好ましくないからである。
又、図3(a)、(b)に示すように中間層の炉底電極耐火煉瓦60Bはマグネシア・カーボンからなる定型煉瓦からなり、平面視円弧状に形成されている。この中間層の炉底電極耐火煉瓦60Bは、最下層の炉底電極耐火煉瓦60Aとは幅が若干長くされるとともに互いに連結されて全体がリング状に配置されている。なお、炉底電極耐火煉瓦60Bの他の構成は、炉底電極耐火煉瓦60Aと同様であるため、炉底電極耐火煉瓦60Aと同一構成については、同一符号を付してその詳細説明を省略する。
又、最上層の炉底電極耐火物60Cはマグネシア・カーボンからなる定型煉瓦からなり、平面視円弧状に形成されている。この最上層の炉底電極耐火物60Cは、最下層や中間層の炉底電極耐火煉瓦60A,60Bとは異なり、高さが高くされている。そして、炉底電極耐火物60Cは互いに連結されて全体がリング状に配置されている。そして、炉底電極耐火物60Cでは、炉底電極耐火煉瓦60A,60Bと異なり、金属板61を備えていない。前記炉底電極耐火煉瓦60Aは、鉄皮32及び図示しない接地ケーブルを介して電気的に接地されている。
プラズマで廃棄物をプラズマで溶融する際、図示しないプラズマ・トーチからのアークはプラズマ炉10内に存在する溶融物に移行され、そこで電流が該溶融物を通って、炉底に設けられて接地された炉底電極耐火物60C,炉底電極耐火煉瓦60B及び炉底電極耐火煉瓦60Aからなる炉底電極へ流れる。
さて、上記のように構成された炉底電極耐火煉瓦60A,60Bの作用効果を説明する。
(1) 本実施形態のプラズマ炉10の炉底電極耐火煉瓦60A,60Bは、マグネシア・カーボンからなる定型煉瓦の面に酸化防止用の金属板61を装着して構成されている。この結果、プラズマ炉10内の温度上昇下降が繰り返されることにより炉底電極耐火煉瓦60A,60Bや周囲の耐火煉瓦の熱膨張収縮が繰り返され、炉底電極耐火煉瓦60A,60Bと周囲の耐火煉瓦間に間隙が形成されても、金属板61により覆われた面の酸化防止ができる。
(2) 本実施形態では、金属板61は炉底電極耐火煉瓦60A,60Bの底面及び内外側面の全長に亘ってそれらの面を覆うように装着されている。この結果、金属板61が炉底電極耐火煉瓦60A,60Bの面の全長に装着されていることにより、面の全長部分に亘って酸化防止を図ることができる。
(3) 本実施形態では、金属板61は断面チャンネル状に形成されている。この結果、金属板61の底部61a及び該底部61aにて連結された一対の内外両側部61b,61cを有することになるため、炉底電極耐火煉瓦60A,60Bの3つの面における酸化防止を図ることができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、下記のように変更してもよい。
○ 前記実施形態では、金属板61により炉底電極耐火煉瓦60A,60Bの内外両周面の高さのうち上部周面を除いた70%を覆うようにしたが、この数値に限定されるものではない。同じ金属板61により、炉底電極耐火煉瓦60A,60Bの内外両周面と同じ高さで覆うようにしてもよい。
○ 前記実施形態では炉底電極耐火煉瓦60A,60Bは断面長方形にしたが、長方形に限定されるものではなく、正方形にしても良く、形状は限定されるものてはない。従って、金属板61の断面形状は、炉底電極耐火煉瓦60A,60Bの断面形状に合わせればよい。
○ 前記実施形態では、スタッド62を金属板61に設けたが、スタッド62を省略してもよい。この場合は、金属板61を炉底電極耐火煉瓦60A,60Bに対してはめ込み構造にしたり、或いは、モルタル等により貼着するようにしてもよい。
○ 前記実施形態では、黒鉛を含有する導電性煉瓦からなる定型煉瓦としてマグネシア・カーボンから形成したが、この材質に限定されるものではなく、アルミナカーボンや、アルミナ・マグネシア・カーボンにて定型煉瓦を形成するようにしてもよい。
プラズマ炉の断面図。 (a)は炉底電極耐火煉瓦の断面図、(b)は炉底電極耐火煉瓦の平面図。 同じく(a)は炉底電極耐火煉瓦の断面図、(b)は炉底電極耐火煉瓦の平面図。
符号の説明
60A,60B…炉底電極耐火煉瓦、61…金属板。

Claims (3)

  1. 黒鉛を含有する導電性煉瓦からなる定型煉瓦の面に酸化防止用の金属板が装着されてなるプラズマ炉の炉底電極耐火煉瓦。
  2. 前記金属板は前記定型煉瓦の面の全長に亘って装着されてなることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ炉の炉底電極耐火煉瓦。
  3. 前記金属板は断面チャンネル状に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプラズマ炉の炉底電極耐火煉瓦。
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