JP2008151209A - 磁気軸受装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 軸長を短くすることができ、これにより、固有振動数が大きくなって、高速回転への適用に有利となる磁気軸受装置を提供する。
【解決手段】 アキシアル磁気軸受23は、回転軸13端部に一体化されたフランジ35を軸方向内方から臨むアキシアル電磁石25を有している。変位センサ26,27は、軸方向内方からフランジ35を臨むように、アキシアル電磁石25の径方向内方に配置されている。変位センサ26,27のターゲット部28は、フランジ35とは別部材とされている。
【選択図】 図1

Description

この発明は、回転軸を非接触支持する磁気軸受装置に関し、特に、回転軸の一端にインペラ等が設けられる場合に好適な磁気軸受装置に関する。
特許文献1には、磁気軸受装置として、回転体を非接触支持する複数組の制御型磁気軸受と、回転体を回転させる電動モータと、回転体の軸方向および径方向の位置を検出する位置検出装置と、回転体の回転速度を検出する速度検出装置とを備えており、速度検出装置が、回転体の中心を通る径方向の線上に回転体の外周に対向するように配置されたセンサを備えており、センサに対向する回転体の外周の周方向の少なくとも1箇所において、センサから回転体の外周までの距離が他の箇所と異なっているものが提案されている。
特開2004−204939号公報
この種の磁気軸受装置では、軸長(回転体の軸方向の長さ)を短くして、固有振動数を大きくすることが好ましいが、上記特許文献1の磁気軸受装置では、センサがアキシアル磁気軸受よりも軸方向外方に設けられているため、軸長をさらに短くすることが難しいものとなっている。
この発明の目的は、軸長を短くすることができ、これにより、固有振動数が大きくなって、高速回転への適用に有利となる磁気軸受装置を提供することにある。
この発明による磁気軸受装置は、回転軸を軸方向に非接触支持するアキシアル磁気軸受および回転軸の軸方向の変位を検出する変位センサを備えている磁気軸受装置において、アキシアル磁気軸受は、回転軸端部に一体化されたフランジを軸方向内方から臨む少なくとも1つのアキシアル電磁石を有し、変位センサは、軸方向内方からフランジを臨むように、アキシアル電磁石の径方向内方に配置されており、変位センサのターゲット部は、フランジとは別部材とされていることを特徴とするものである。
アキシアル磁気軸受は、電磁石ヨークおよび電磁石コイルからなる1対のアキシアル電磁石間に作用する力を制御するもの(制御型)とされ、アキシアル電磁石の電磁石コイルに流される電流が制御されることにより、非接触で回転軸が保持される。回転軸に設けられるフランジが1つとされて、このフランジを挟むように、第1および第2のアキシアル電磁石が対向させられてもよく、フランジが2つとされて、一方のフランジに第1のアキシアル電磁石が、他方のフランジに第2のアキシアル電磁石が臨まされているようにしてもよい。
フランジは磁性体製とされ、これに対応して、変位センサは、渦電流式とすることが好ましく、この場合、アキシアル電磁石の漏れ磁束の影響を受けるため、ターゲット部は、非磁性体製(例えばアルミニウム製)環状部材とされていることが好ましい。変位センサは、対称位置に2つ(等間隔で複数)設けられることが好ましく、このようにすることで、回転軸に振れ回りが生じても、変位センサからの合計信号が変動することはなく、感度変化をなくすことができる。
回転軸を支持する手段としては、軸方向の非接触支持を行うアキシアル磁気軸受に加えて、径方向の支持を非接触で行う軸受を備えていることが好ましく、このような軸受として、例えば、ラジアルフォイル軸受またはラジアル磁気軸受が使用される。この場合、ラジアルフォイル軸受は、例えば、回転軸に径方向から対向する軸受面を持つ可撓性の軸受フォイルと、軸受フォイルを支持する弾性体と、軸受フォイルおよび弾性体を回転軸との間に保持する外輪とを備えているものとされる。また、ラジアル磁気軸受は、例えば、回転軸を軸方向と直交する2方向に支持する部分(X軸方向磁気軸受およびY軸方向磁気軸受)よりなるものとされ、アキシアル磁気軸受およびラジアル磁気軸受は、磁気軸受制御装置によって制御される。
径方向の支持にラジアルフォイル軸受が使用される場合、好ましくは、ラジアルフォイル軸受の外輪が電磁石ヨークを兼ねさせられ、ラジアルフォイル軸受の外輪に設けられた凹部に電磁石コイルが嵌め入れられることにより、アキシアル磁気軸受の各アキシアル電磁石がラジアルフォイル軸受に一体化される。そして、一方のアキシアル電磁石が回転軸の一端に設けられたフランジ部に対向させられ、他方のアキシアル電磁石が回転軸の他端に設けられたフランジ部に対向させられる。電磁石ヨークは、ラジアルフォイル軸受の外輪とは別の部材としてもよい。
この発明の磁気軸受装置によると、変位センサがアキシアル電磁石の径方向内方に配置されているので、軸長を短くすることができる。この場合に、アキシアル磁気軸受をラジアルフォイル軸受に一体化することにより、より一層軸長を短くすることができる。また、フランジが回転軸の両端部に設けられて、1対のアキシアル電磁石がそれぞれ各端部のフランジに軸方向内方から臨まされているようにすることによっても、軸長を短くすることができる。これにより、回転軸の固有振動数が増大して高速回転が可能となるとともに、回転軸を含む装置全体を小型化および軽量化することができる。
この発明による磁気軸受装置は、例えば、インペラを回転駆動して空気等のガスを昇圧する圧縮機に適用することができ、この場合、フランジが回転軸の両端部に設けられるとともに、一方のフランジの軸方向外方に連なってインペラが設けられており、第1のアキシアル電磁石がインペラ側の端部にあるフランジに軸方向内方から臨まされているとともに、第2のアキシアル電磁石が反インペラ側の端部にあるフランジに軸方向内方から臨まされており、変位センサおよびターゲット部は、インペラ側の端部に配置されていることが好ましい。
このような磁気軸受装置は、例えば、ハウジング内に配置された回転軸と、回転軸端部に設けられたインペラと、回転軸を支持する回転軸支持装置とを備えている圧縮機に適用することができ、この圧縮機によると、軸長を短くできるという効果に加えて、ハウジングとの間の隙間を精度よく管理する必要があるインペラ近くの軸方向変位が検出できることから、温度上昇に伴って回転軸が伸びることの影響が抑えられ、精度のよい制御を行うことができる。
この発明の磁気軸受装置によると、変位センサがアキシアル電磁石の径方向内方に配置されているので、軸長を短くすることができ、高速回転に有利なものとなる。また、変位センサのターゲット部がフランジとは別部材とされているので、変位センサの信号のノイズを小さくすることができる。
この発明の実施の形態を、以下図面を参照して説明する。以下の説明において、図1の右を前、左を後というものとする。
図1は、この発明による磁気軸受装置を圧縮機に適用した実施形態を示すもので、磁気軸受装置(6)は、アキシアル磁気軸受(23)、アキシアル変位センサ(26)(27)、制御装置(図示略)などから構成されて、圧縮機(12)の回転軸(13)を軸方向に非接触支持する。
圧縮機(12)は、非容積形の圧縮機で、前後方向の水平軸上に配置された略円筒状の密閉ハウジング(11)内に配置された水平軸状の回転軸(13)と、回転軸(13)端部に設けられたインペラ(13a)と、回転軸(13)を支持する回転軸支持装置(14)とを備えている。
ハウジング(11)は、前側にあって軸受支持部となる軸受ハウジング部(11a)と、後側にあって気体流通部となるスクロールハウジング部(11b)とから構成されている。
回転軸(13)は、段付軸状をなし、軸受ハウジング部(11a)内の空間内に配置されている。インペラ(13a)は、回転軸(13)の後端に固定されて、スクロールハウジング部(11b)内に配置されている。
軸受ハウジング部(11a)の内周に、回転軸(13)を高速回転させるビルトイン型電動機(20)、回転軸(13)を径方向から支持する前後1対のラジアルフォイル軸受(21)(22)、および前後ラジアルフォイル軸受(21)(22)に一体化されて回転軸(13)を軸方向(前後方向)から支持する1組の制御型アキシアル磁気軸受(23)が設けられている。
電動機(20)は、軸受ハウジング部(11a)側に設けられたステータ(20a)および回転軸(13)側に設けられたロータ(20b)から構成されている。
回転軸支持装置(14)は、前後ラジアルフォイル軸受(21)(22)およびアキシアル磁気軸受(23)によって構成されている。
スクロールハウジング部(11b)内の空間の後端に気体流入路(11c)が設けられている。回転軸(13)が回転することにより、インペラ(13a)が回転し、インペラ(13a)の回転により、空気が、気体流入路(11c)からスクロールハウジング部(11b)内の空間(11d)に流入し、同空間(11d)内で圧縮され、同空間(11d)に通じる気体流出路(図示略)を通って排出される。
段付き状の回転軸(13)は、電動機(20)のロータ(20b)が軸方向中間部分に設けられている大径部(31)と、大径部(31)の後側に連なる小径部(32)と、大径部(31)の前端部に設けられた前側フランジ部(34)と、大径部(31)の後端部に設けられた後側フランジ部(35)とからなる。インペラ(13a)は、小径部(32)の後端部に取り付けられており、各ラジアルフォイル軸受(21)(22)は、各フランジ部(34)(35)との間にわずかな隙間が形成されるように、大径部(31)の両端部近傍に設けられている。
図2に示すように、各ラジアルフォイル軸受(21)(22)は、回転軸大径部(31)の径方向外側に軸受隙間(44)を隔てて配置される可撓性を有するトップフォイル(軸受フォイル)(41)と、このトップフォイル(41)の径方向外側に配置されるバンプフォイル(弾性体)(42)と、このバンプフォイル(42)の径方向外側に配置される外輪(43)とからなる。
トップフォイル(41)は、帯状ステンレス鋼板製で、帯状ステンレス鋼板をその長手方向の両端が隣接するようにロール加工で周方向の重なりがない円筒形に成形した後、この円筒形に成形された鋼板の一端部の軸方向の両端部を径方向に切り起こして先端を屈曲させて形成されている。切り起こされた部分以外の円筒部(41a)がトップフォイルの主部になっており、切り起こされた部分(41b)がトップフォイル(41)の係合部になっている。
バンプフォイル(42)は、ステンレス鋼製の波形板材を円筒形に成形した円筒部(42a)と、円筒部(42a)の一端に連なり円筒部(42a)の径方向外側に位置する係合部(42b)とからなる。
外輪(43)の内周面には、略径方向に延びる係合溝(43c)が形成されている。そして、バンプフォイル(42)の円筒部(42a)が外輪(43)の内周面に沿うように配置されて、その係合部(42b)が外輪(43)の係合溝(43c)に係合させられることにより、バンプフォイル(42)が外輪(43)に取り付けられ、このバンプフォイル(42)と回転軸大径部(31)との間にトップフォイル(41)の円筒部(41a)が介在させられるとともに、その係合部(41b)が外輪(43)の係合溝(43c)に係合させられることにより、トップフォイル(41)が外輪(43)に取り付けられている。
ラジアルフォイル軸受(21)(22)は、トップフォイル(41)が帯状ステンレス鋼板をその長手方向の両端が隣接するようにロール加工で周方向の重なりがない円筒形に成形されているので、曲率半径が一定で真円度が高いものとなっていることから、回転軸(13)の支持性能が高くかつ回転軸(13)の浮上特性も良好なものとなっている。
各ラジアルフォイル軸受(21)(22)の外輪(43)は、磁性体製とされており、前側のラジアルフォイル軸受(21)の外輪(43)の軸方向外側端面(前端面)に、環状凹所(43a)が前側フランジ部(34)に臨まされるように設けられており、後側のラジアルフォイル軸受(22)の外輪(43)の軸方向外側端面(後端面)に、環状凹所(43b)が後側フランジ部(35)に臨まされるように設けられている。
前側のラジアルフォイル軸受(21)の外輪(43)の環状凹所(43a)に電磁石コイル(24a)が嵌め入れられており、また、後側のラジアルフォイル軸受(22)の外輪(43)の環状凹所(43b)に電磁石コイル(25a)が嵌め入れられている。この結果、磁性体製の外輪(43)は、アキシアル電磁石(24)(25)のヨーク(24b)(25b)を兼ねさせられ、前側のラジアルフォイル軸受(21)の外輪(43)=電磁石ヨーク(24b)と電磁石コイル(24a)とによって、前側フランジ部(34)に臨まされている前側アキシアル電磁石(24)が形成され、後側のラジアルフォイル軸受(22)の外輪(43)=電磁石ヨーク(25b)と電磁石コイル(24b)とによって、後側フランジ部(35)に臨まされている後側アキシアル電磁石(25)が形成されている。
アキシアル磁気軸受(23)は、上記のように形成された前側アキシアル電磁石(24)と後側アキシアル電磁石(25)とからなる。
後側のラジアルフォイル軸受(22)の外輪(43)の後端部には、トップフォイル(41)およびバンプフォイル(42)に干渉しないように、後側フランジ部(35)の前面に臨まされて回転軸(13)の軸方向の位置を検出するアキシアル変位センサ(26)(27)が設けられている。アキシアル変位センサ(26)(27)は、渦電流式のもので、互いに180°離れた位置に計2つ設けられており、磁性体製の後側フランジ部(35)の前面には、これらのアキシアル変位センサ(26)(27)に対向するように、非磁性体製(例えばアルミニウム製)の環状のターゲット部(28)が埋設されている。そして、これらの変位センサ(26)(27)で検出された回転軸(13)の位置に基づいて、アキシアル磁気軸受(23)の前側アキシアル電磁石(24)の電磁石コイル(24a)の電流および後側アキシアル電磁石(25)の電磁石コイル(25a)の電流が制御されている。各電磁石コイル(24a)(25a)に流される電流は、回転によりインペラ(13a)に作用する力に釣り合う吸引力がアキシアル電磁石(24)(25)に生成されるように制御され、これにより、回転軸(13)は、軸方向の所定位置に非接触支持される。
上記圧縮機(12)によると、回転軸(13)の径方向の支持は、ラジアルフォイル軸受(21)(22)が受け持っており、回転軸(13)は、回転時には、各フォイル軸受(21)(22)で発生する動圧によって非接触で径方向に支持される。また、回転軸(13)の軸方向の支持は、アキシアル磁気軸受(23)が受け持っており、インペラ(13a)に作用する軸方向の力が変動した場合には、これに見合った吸引力がアキシアル電磁石(24)(25)に生成される。これにより、回転軸(13)は、回転負荷変動の影響を受けずに、安定的に非接触支持され、そのスムーズな回転が保証されるとともに、耐久性(寿命)も優れたものとなる。
図1は、この発明による磁気軸受装置の1実施形態である圧縮機を模式的に示す縦断面図である。 図2は、圧縮機で使用されているラジアルフォイル軸受を示す横断面図である。
符号の説明
(6) 磁気軸受装置
(12) 圧縮機
(13) 回転軸
(13a) インペラ
(23) 制御型アキシアル磁気軸受
(24)(25) アキシアル電磁石
(26)(27) アキシアル変位センサ
(28) ターゲット部
(35)(36) フランジ

Claims (2)

  1. 回転軸を軸方向に非接触支持するアキシアル磁気軸受および回転軸の軸方向の変位を検出する変位センサを備えている磁気軸受装置において、
    アキシアル磁気軸受は、回転軸端部に一体化されたフランジを軸方向内方から臨む少なくとも1つのアキシアル電磁石を有し、変位センサは、軸方向内方からフランジを臨むように、アキシアル電磁石の径方向内方に配置されており、変位センサのターゲット部は、フランジとは別部材とされていることを特徴とする磁気軸受装置。
  2. フランジが回転軸の両端部に設けられるとともに、一方のフランジの軸方向外方に連なってインペラが設けられており、第1のアキシアル電磁石がインペラ側の端部にあるフランジに軸方向内方から臨まされているとともに、第2のアキシアル電磁石が反インペラ側の端部にあるフランジに軸方向内方から臨まされており、変位センサおよびターゲット部は、インペラ側の端部に配置されていることを特徴とする請求項1の磁気軸受装置。
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