JP2008150749A - 衣類 - Google Patents

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瞳 有村
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Abstract

【課題】開口部が嵩張らず、装飾性乃至ファッション性の向上が図れ、着圧も低くでき、通気性にも優れ、素肌感覚に近いフラットで快適な着用感が得られる衣類の提供。
【解決手段】締め付けのある開口部2を有する衣類1において、該開口部2がメッシュ編み組織3で該開口部2の周縁4に沿って帯状に構成されており、前記メッシュ編み組織3が身生地5から一体に編成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、パンツ等の主として締め付けのある開口部(例えば、ウエスト部、裾の穿き口部等)を有する衣類に関するものである。
従来より、衣類のウエスト部や裾の穿き口部等には伸縮性のあるテープ状の生地が縫着等の手段により装着され、身体にフィットさせたり、ずり下がりを防止させたりするために広く用いられている。
これらの衣類は、例えば、ショーツの場合は、生地を身頃や股下等の部品形状に裁断し、これらの部品をミシン等によって縫合するとともに、ウエスト部や裾口周囲に伸縮性のあるテープ状の生地をゴム紐等と共にかぶせ縫合して構成されている。
このため、縫合部分の生地が重なり合って分厚くなり、とくに婦人用のショーツなどにおいては、その上にフィット性の高いアウターウエアを着用した場合、ショーツの裾ラインやウエストラインがアウターウエアの外側に反映して着用外観を損ねるという問題が発生する。
上記問題を解決するために開口部を切りっぱなし仕様とした衣類が公知である(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−113349号公報
上記特許文献1の衣類は、生地を身頃や付属部等の部品形状に裁断し、これらの部品を接合して構成されており、開口部については、身頃等の生地を裁断されたままの切りっぱなし仕様とされている。このため、開口部の組織や柄模様等の外観は、身生地と同じで変化がなく、装飾性乃至ファッション性に乏しい。その上、例えば、下半身用下着に適用した場合、運動等でずり下がる場合があり、これを防止するために、ウエスト部に伸縮性のあるテープ状の生地を縫着すると、ウエスト部が分厚くなり、アウターウエアの外側に反映して着用外観を損ねることになるとともに、通気性も低下し、蒸れやかぶれを誘発し易くなる。
上記テープ状の生地は、婦人用ショーツに適用する場合、デザイン性を考慮して幅狭のものを使用される場合が多いが、幅狭のテープ状生地であると、その伸縮性による単位面積当たりの着圧が高くなり、その上、他の部分に比べてテープ状生地の縫合部が嵩高となりアウターウエアの着圧をより強く受けることになる。
本発明は、従来の衣類の上記問題点を解消するために提案されたもので、開口部が嵩張らず、装飾性乃至ファッション性の向上が図れ、着圧も低くでき、通気性にも優れ、素肌感覚に近いフラットで快適な着用感が得られる衣類を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために本発明は、締め付けのある開口部を有する衣類において、該開口部がメッシュ編み組織で該開口部の周縁に沿って帯状に構成されており、前記メッシュ編み組織が身生地から一体に編成されていることを特徴としている。
上記構成によれば、締め付けのある開口部と身生地とが一体に編成されているため、開口部が嵩張らず、アウターウエアの外側に反映して着用外観を損ねることがない。しかも、開口部をメッシュ編み組織とすることによって、身生地との組織差や外観差を表現でき、装飾性乃至ファッション性が向上し、外観体裁をアップして商品の品質の向上や顧客の購買意欲の促進を図ることができる。さらに、メッシュ編み組織は、デザイン性を損なわないため、このメッシュ編み組織を開口部の周縁に沿って帯状に構成することにより、単位面積当たりの着圧を低くでき、嵩張らなくできることと相俟って、素肌感覚に近い着用感が得られ、また、かぶれを防止できる。そして、メッシュ編み組織は、通気性が高いため、締め付けのある開口部の蒸れを解消し、かぶれの防止が図れる。
また、本発明は、前記身生地が、熱融着弾性糸とそれ以外の糸を編成し、ヒートセット加工により前記熱融着弾性糸を溶融してほつれ止め機能が付与された編地で構成されており、また、前記開口部のメッシュ編み組織が、熱融着弾性糸とそれ以外の糸を前記身生地よりも熱融着弾性糸の使用割合を多くして編成されていることを特徴としている。
上記構成によれば、メッシュ編み組織とした開口部以外の開口部において裁断部のほつれ防止加工が不要になり、切りっぱなし仕様とすることができる。また、布部品の縫製加工部分においてもオーバー縫いが不要であり、ウエスト部、裾部、縫製部など全体的に嵩を低くできる。さらに、締め付けのある開口部のメッシュ編み組織における熱融着弾性糸の使用割合を身生地部分よりも多くして編成することによって、伸縮性のあるテープ状生地(別生地)を開口部に縫合することが不要となるため、工数削減になる。また、縫製部の嵩高により着用感を損なったり、アウターウエアへの影響が軽減される。
本発明によれば、締め付けのある開口部が嵩張らず、装飾性乃至ファッション性の向上が図れ、着圧も低くでき、通気性にも優れ、素肌感覚に近いフラットで快適な着用感が得られる衣類を提供することができる。
以下、本発明にかかる衣類の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の衣類1は、図1及び図2に示すように、締め付けのある開口部2を有する衣類1において、該開口部2がメッシュ編み組織3で該開口部2の周縁4に沿って帯状に構成されており、前記メッシュ編み組織3が身生地5から一体にシームレスで編成され身生地5との境界部6が平坦な構成とされ、接合部及び縫合部等の段差や膨出部のない構成とされている。
そして、前記身生地5は、図3に示すように、熱融着弾性糸7とそれ以外の糸8を編成し、ヒートセット加工により前記熱融着弾性糸7を溶融してほつれ止め機能が付与された編地で構成されている。
上記ほつれ止めは、編地の編成後に行われるヒートセット加工により、熱融着弾性糸7を溶融させ、この熱融着弾性糸7とそれ以外の糸8とをその交点や接触点で溶着させ、また、熱融着弾性糸7同士をその交点や接触点で溶着させることによって行われている。ヒートセット加工は、熱融着弾性糸7の融点付近の温度で行われている。なお、一般のポリウレタンの融点は150〜230℃であり、高融点のポリウレタン弾性糸のヒートセット温度は200〜230℃であり、低温で融着する特殊なポリウレタン弾性糸のヒートセット温度は140〜160℃であり、高融着耐アルカリ性ポリウレタン弾性糸のヒートセット温度は150〜180℃(特開2005−350800号公報参照)であり、ポリウレタンを除く低融点繊維のヒートセット温度は130〜185℃である。
また、前記開口部2のメッシュ編み組織3は、例えば、図4に示すような、網の目のような透かし目の編み組織からなるもので、前記と同様な熱融着弾性糸7とそれ以外の糸8を前記身生地5よりも熱融着弾性糸7の使用割合(使用本数、デニール等)を多くして編成されている。なお、メッシュ編み組織3の部分は、身生地5のヒートセット加工と一緒にほつれ止め機能が付与された編地としてもよく、ヒートセット加工を省略してもよい。
本発明において、熱融着弾性糸7とは、熱融着性を有する弾性糸を指すもので、例えば、ポリウレタン系繊維、ポリエーテルエステル系繊維があり、この弾性糸の形態としては、ベアヤーン(裸糸)、カバリングヤーン(シングル、ダブル)、コアスパンヤーン等がある。
また、本発明において、それ以外の糸8とは、上記した熱融着弾性糸7以外の糸を指すもので、例えば、ナイロン糸、綿糸、レーヨン、アクリル、ポリエステル、その他、各種の糸のいずれであってもよい。なお、それ以外の糸8は、熱融着弾性糸7よりも高い融点の糸を用いるのが好ましい。
そして、身生地5の編み組織は、よこ編、フライス編、天竺編、プレーティング編、リブ編、たて編、その他、種々の編み組織とすることができるが、前記開口部2のメッシュ編み組織3とは異なる編み組織とするのが好ましい。また、熱融着弾性糸7とそれ以外の糸8とは、合撚糸、引き揃え糸、その他、別の糸の形態のいずれの形態で使用してもよい。なお、別の糸の形態で熱融着弾性糸7をベアヤーンとし、それ以外の糸8と添え糸編み(プレーティング編み)組織で編成すると、熱融着弾性糸7の編み組織の表面側への露出面積が他の場合よりも増加し、ヒートセット加工によるほつれ止め機能が向上する。
図1は婦人用ショーツに本発明を適用した場合の正面図、図2はその背面図を示しており、身生地5及び開口部2は、図5及び図6に示すように、両端部が所定の帯幅のメッシュ編み組織3とされ、中央部が身頃生地部分として一体的に編成された生地を用いて、この生地のメッシュ編み組織3とされた両端部を腰部部品とし、中央部を身生地部品として、前身頃5aと後身頃5bとに分けて裁断され、前身頃5aの両サイドと後身頃5bの両サイドとを上下方向に縫合してウエスト部9が形成され、股部5cを後身頃5bから一連に生地取り裁断して該股部5cの前部の端部を前身頃5aの下端部と縫合して股部5cの両側に裾の穿き口10、10が切りっぱなし仕様として形成されている。
上記身生地5は、熱融着弾性糸7として、ポリウレタン弾性糸(モビロンR(日清紡の熱融着スパンデックス糸に付けられた商標)の40〜45デニールのもの)が使用され、それ以外の糸8として、ナイロン糸の25〜30デニールのものが使用され、これらの使用割合(重量比)は、15:85乃至25:75とされている。また、締め付けのある開口部2としてのウエスト部9は、上記身生地5と同様な2種類の糸が40:60乃至60:40、好ましくは50:50の割合のメッシュ編み組織3とされている。
上記仕様からなるメッシュ編み組織3及び身生地5の通気性は、下記の通りであった。
メッシュ編み組織:429[cc/cm2/sec]
身生地 :198[cc/cm2/sec]
測定条件:JIS L 1018 フラジール型
株式会社大栄科学精機製作所 製 MODEL AP-360 で測定した。
なお、ポリウレタン弾性糸の使用割合が多いとき、伸縮性が大きくなり、締付けを強くできるため、ずり下がり防止などに用いられるが、多すぎると、締付けが強すぎて着心地が悪くなる。また、ポリウレタン弾性糸の使用割合が少ないとき、伸縮性が小さく、緩やかな履き心地が得られるが、少なすぎると、生地は伸縮性がなくなり、サイズが小さいときは伸びずに窮屈になり、サイズが大きいと体にフィットせず、ファッション性に乏しい。
上記締め付けのある開口部2のメッシュ編み組織3とされる帯状部の幅は、上記婦人用ショーツのウエスト部9の場合、従来のものよりも幅広(例えば、従来のショーツのウエストに縫合されている伸縮性のあるテープ状の生地の幅は約5mm程度の幅狭のものが多いが、本発明の場合では、約15mm程度の幅広)とされている。
図1の前身頃5aの横幅は、下端よりも上端をやや狭くしてウエスト部9が細くなるようにし、また、デザイン上及び生地取り裁断の都合上、前身頃5aの横幅は後身頃5bよりも狭くされ、その分、両サイドの上下方向の縫合ライン11、11が身生地5の横幅方向両端よりもやや内側に配置されている。前身頃5a及び後身頃5bの下端は、裾の穿き口10、10の開口形状に適合する曲線形状に裁断されている。そして、股部5cの内側には、股部5cに沿う形状に裁断された綿生地12が前後身頃5a、5bに円弧状の縫合ライン13、14で縫着されている。なお、前身頃5a側の円弧状の縫合ライン13は、後身頃5bから一連に生地取り裁断された股部5cの前端と前身頃5aの中央下端と綿生地12の前端とを重ね合わせて縫着されているが、後身頃5b側の円弧状の縫合ライン14は、綿生地12の後端を後身頃5bに縫着されているだけである。
本発明の実施形態は、以上からなるが、本発明の衣類は、上記図面の実施形態にのみ制約されるものではない。例えば、本発明は、パンティ、ショーツ、ガードル、パンティストッキング、タイツ等の下半身用下着のウエスト部、裾口部、足首部や、アンダーシャツの袖口部、手首部、裾口部、靴下の穿き口部等の主として締め付けのある開口部を有する衣類に適用可能である。また、開口部は、ウエスト部、裾の穿き口部、裾口部、袖口部、手首部、足首部等に適用可能である。
婦人用ショーツに本発明を適用した場合の正面図である。 図1の背面図である。 身生地の編み組織の一例を示す編み組織の拡大図である。 開口部のメッシュ編み組織の一例を示す編み組織の拡大図である。 本発明の衣類に用いる生地の概略平面図である。 図5の生地の概略断面図である。
符号の説明
1 衣類
2 開口部
3 メッシュ編み組織
4 開口部の周縁
5 身生地
5a 前身頃
5b 後身頃
5c 股部
6 境界部
7 熱融着弾性糸
8 それ以外の糸
9 ウエスト部
10 裾の穿き口

Claims (2)

  1. 締め付けのある開口部(2)を有する衣類(1)において、該開口部(2)がメッシュ編み組織(3)で該開口部(2)の周縁(4)に沿って帯状に構成されており、前記メッシュ編み組織(3)が身生地(5)から一体に編成されていることを特徴とする衣類。
  2. 前記身生地(5)が、熱融着弾性糸(7)とそれ以外の糸(8)を編成し、ヒートセット加工により前記熱融着弾性糸(7)を溶融してほつれ止め機能が付与された編地で構成されており、また、前記開口部(2)のメッシュ編み組織(3)が、熱融着弾性糸(7)とそれ以外の糸(8)を前記身生地(5)よりも熱融着弾性糸(7)の使用割合を多くして編成されていることを特徴とする請求項1に記載の衣類。
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