JP2008150739A - シュープレスベルト - Google Patents

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Takayuki Furusawa
孝之 古澤
Kazumasa Watanabe
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Abstract

【課題】作業性がよく生産性が高く寸法安定性に優れたシュープレスベルトを提供する。
【解決手段】本発明は、シュー側層の表面が磨かれたマンドレル上で形成されたものであり、基体が、少なくとも交差する一方の糸材が組紐を含む補強材と、その上に螺旋状に巻き込まれた糸巻層とからなることを特徴とするシュープレスベルトにより、優れた寸法安定性と製造容易な基材を提供できるという効果を奏する。
【選択図】図1

Description

本発明は、シュープレス機構、例えば、抄紙用シュープレスに利用されるベルト(以下、単にベルトということがある)、特に、クローズドタイプのシュープレスに利用されるベルトに関する。
製紙のプレス領域において原単位低下のためにシュープレスの使用が増加しており、その中でもクローズドタイプは設置スペースが小さくて済むこと、又、オイル飛散の弊害が少ないことから主流になりつつある。
前記クローズドタイプのシュープレスに使用されるベルトは、オープンタイプのシュープレスに使用されるベルトに比して抄紙工程中の抄速やニップ圧等の使用条件が過酷になるため、ユーザーからベルトの耐久性向上が強く求められている。
前記クローズドタイプのベルトを製造する技術の中で代表的な方法としてマンドレルを使用した製造技術がいくつか知られている。例えば、芯材に無端状の織物を使用した製造方法が、特許文献1に開示されている。また、芯材に無端状のメッシュを使用した製造方法が、特許文献2に開示されている。しかし、これらの製造方法によるベルトは、ベルトの走行方向(MD方向)の強度維持が困難である欠点を有している。
また、織物を使用しない製造方法が、特許文献3に開示されている。この製造方法によるベルトは、マンドレルの軸方向に糸材を一定間隔でしかも全周にわたって張るものであるが、マンドレルの軸方向とほぼ平行に、然も均一な張力の元に糸材を弛み無く配置することは難しく、この糸材の張り合わせに非常に時間を要するという欠点が内在していた。
また、未硬化樹脂を含浸させたマット状の繊維帯や織物をマンドレルにスパイラル状に巻き付け硬化させたベルトが、特許文献4に開示されている。しかし、このベルトはスパイラルの継ぎ目で剥離が発生し易いという欠点があった。
次に、従来のシュープレスベルトの一製造方法を図10に示す。2本のロールA、B間に無端織物(無端状に製織した織物)Cを張設し、織物Cの外面に塗布機Dによりシュー側層Eを含浸塗布して硬化させた後、無端織物CをロールA、B間より外して表裏を反転させ、当初内側だった面を外側にしてロールA、B間に掛け直し、織物の外面に湿紙側層Fを含浸塗布し、硬化させ全厚を調整後、凹溝Gを形成してベルト1を得ていた。
従って、上記従来法では、1)無端織物の一方の面にシュー側層Eを、他方の面に湿紙側層Fに含浸塗布するために反転させる必要があり、このときベルト内部に歪みが発生する。2)樹脂硬化時に無端織物の製織中に内在した歪みが解放されるため、ベルトの波打ちによる形態の不安定さが起こり得るといった欠点があった。
これに対し、最初に、マンドレルに樹脂層を形成し、その樹脂層の外周に基体を形成し、しかる後、基体を通して最初の樹脂層に接合させるようにさらに樹脂層を形成するベルトが、特許文献5に開示されている。
このベルトの製造方法によれば、最初の樹脂層を形成した後、その樹脂層を研磨したり反転させたりする必要がなく、作業効率が飛躍的に改善でき、生産性が向上するという効果を奏するとされている。
特公平3−57236号公報 特許3213589号公報 特表平1−503315号公報 特開平1−298292号公報 特許3408416号公報
しかし、特許文献5の製造方法で製造されたシュープレスベルトは、基体を予めヒートセットして寸法を安定化させることができないために、ベルト使用時の走行方向(MD方向)の伸びと幅方向(CMD方向)の伸びを抑制することができず、寸法安定性の良いベルトが求められていた。
本発明は、上記問題に鑑み、作業性がよく生産性が高く寸法安定性に優れたシュープレスベルトを提供することを目的としている。
本発明は、シュープレス装置のプレスロールとシューの間に配置され、基体、湿紙側層、及びシュー側層からなるシュープレスベルトにおいて、
前記シュー側層は表面が磨かれたマンドレル上で形成されたものであり、前記基体が、交差する経糸と緯糸の少なくとも一方の糸材が組紐を含む補強材と、その上に螺旋状に巻き込まれた糸巻層とからなるシュープレスベルトによって、前記の課題を解決した。
また本発明は、前記糸巻層の糸材が組紐を含むことによって、シュープレスベルトのMD方向の寸法安定性を向上することができる。
また本発明は、シュープレス装置のプレスロールとシューの間に配置され、基体、湿紙側層、及びシュー側層からなるシュープレスベルトにおいて、
前記シュー側層は表面が磨かれたマンドレル上で形成されたものであり、前記基体が、交差する経糸と緯糸からなる補強材と、その上に螺旋状に巻き込まれた組紐を含む糸巻層とからなるシュープレスベルトによって、前記の課題を解決することもできる。
本発明によれば、基体が、交差する経糸と緯糸の少なくとも一方の糸材が組紐を含む補強材と、その上に螺旋状に巻き込まれた糸巻層とからなるので、ベルト使用時のMD方向とCMD方向の伸長を抑制して、ベルトの寸法安定化に貢献できる。更に前記糸巻層が螺旋状に巻き込まれた組紐を含む糸巻層とからなる場合は、特にベルト使用時のMD方向の伸長を抑制する効果を奏する。
また、基体形成のために、糸材をベルトのマンドレルの軸方向に張る必要がないので、生産性が格段に向上する。
次に、本発明のシュープレスベルトの実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明のシュープレスベルトの一部拡大断面図、図2(a)はシュー側層の形成過程を示すマンドレルの側面図、(b)は同斜視図、図3は本発明のシュープレスベルトを用いたシュープレス機構の斜視図、図4は基体に用いる補強材を説明するための一部平面図、図5はマンドレル表面に形成したシュー側層の外面に基体となる補強材を配置する過程を示す斜視図、図6は糸巻層を形成する過程を示す斜視図、図7は糸巻層形成後に目止めを行う過程を示す斜視図である。
図1に示すように、本発明のシュープレスベルト10は、シュー側層20と、シュー側層20の外周に形成された基体30と、基体30の外周に形成された湿紙側層60とからなり、シュー側層20の表面が磨かれたマンドレル上で形成され、基体30は、交差する経糸40Aと緯糸40Bの少なくとも一方が組紐を含む補強材40と、その上に糸50Aを螺旋状に巻き込んでなる糸巻層50とからなることを特徴とする。
シュー側層20は、図2(b)に示すように、マンドレルMの磨かれた表面で形成される。この場合、マンドレルMの表面には予め剥離剤(図示せず。)を塗布するか、剥離シート(図示せず。)を貼着し、図2(a)に示すように、塗布機(ドクターバー又はコーターバー等)Tを用いて厚さ=0.5mm〜2.0mm程度に形成される。
本発明のシュープレスベルト10は、図3に示すように、シュープレス機構100のプレスロール102とシュー104との間に通されるため、本発明のシュープレスベルト10の最内層を構成するシュー側層20は、シュー104に強く接触した状態で常時滑走するので高い平滑性が要求される。この平滑性は前述のようにマンドレルMの磨かれた表面で確保されるから、平滑性を得るための後加工が不要となる。
なお、マンドレルMの表面を磨いているのは、本発明のシュープレスベルト10の最内層の平滑性の確保のみならず、出来上がった本発明のシュープレスベルトの離脱性を良好にする意図もあることは勿論である。また、マンドレルMには加熱装置(図示せず。)が付属し、シュー側層20を含む樹脂の硬化を促進できるようになっている。
次に、シュー側層20の外周に、交差する経糸40Aと緯糸40Bの少なくとも一方が組紐を含む補強材40と、その上から糸50Aを螺旋状に巻き込んでなる糸巻層50とにより、基体30を形成する。
補強材40は、織物や編み物、或いは格子状素材等が使用できる。特に本発明においては、例えば、図4に示すような、経糸40Aが組紐を含む緯糸40Bにより糸40Aが挟まれ、経糸40Aと緯糸40Bとが交差してなる格子状の補強材40を用いることができる。
ここで図4において、組紐は経糸40Aの配列と緯糸40Bの配列の、少なくとも一方の配列に含んでいれば足りるが、両方に含んでいてもよい。また、緯糸40Bの配列に組紐が含まれる場合、緯糸40Bの配列すべてを組紐にするか、その一部を組紐にするかは、本発明のベルトの寸法安定性を考慮して適宜決めればよい。
基体30の形成方法の一例を、図1及び図5乃至図7に基づいて説明する。
図5ではシュー側層20形成後、最初に、複数枚物の補強材40を、マンドレルMの軸方向Jに沿うようにシュー側層20の外周に1層配置する。この際、マンドレルMの両端に設置されている補強材40の牽引及び固定するための装置(図示せず)を使用して、複数枚物の補強材40を其々均一な張力の元に牽引し固定することが出来る。
ここで、好ましくは緯糸40Bに組紐を含む補強材であって、マンドレルMの軸方向に緯糸40Bを沿わせることで、本発明のシュープレスベルト10に幅方向(CMD方向)の強度と寸法安定性を付与することができる。
なお、ここでは補強材40が、少なくとも交差する一方の糸材に組紐を含む補強材を説明して来たが、経糸40Aと緯糸40Bとが共に組紐を含む糸材であってよい。
補強材40は、図5に示すような複数枚物でなく、1枚物で構成することも可能であるが、マンドレルMの両端に設置されている補強材40の牽引及び固定するための装置(図示せず)を効果的に使用して、補強材40を均一な張力の元に牽引し固定するためには、複数枚物を使う方が好ましく、然も補強材40を簡便に配置できる。
また、補強材40は、マンドレルMの軸方向に沿って配置するものに限るものではなく、例えば、シュー側層20に対してマンドレルMの回転方向に沿わせて螺旋状に巻き込むように配置することもできる。
次に、補強材40の外周に、糸50Aを螺旋状に巻き込んでなる糸巻層50を形成する。この糸巻層50は、図6に示すように、糸50Aを保有する糸供給装置(図示せず)に組み込まれたボビンBoから引き出された糸材を、マンドレルMを回転させつつ補強材40の周囲に全域にわたって螺旋状に糸50Aを巻き込んで行く。このとき、ボビンBoを複数用いて複数条に巻いて行く場合もある。
糸供給装置は、糸50Aを螺旋状に巻き込んでなる糸巻層50を形成しつつ、それに連動してマンドレルMの軸方向に沿って移動するための移動装置をも具備している。
この糸巻層50は、本発明のシュープレスベルト10にMD方向の強度を付与するのに効果があるが、本発明では、糸巻層50が組紐を含む糸材からなる糸巻層50を含むことで、MD方向の寸法安定性を著しく向上させることができる。
糸巻層50形成後、図7に示すように、マンドレルMを回転させながら、補強材40と糸巻層50の隙間を塞ぐ程度に上から樹脂を塗布し、基体30の目止めをする。これにより、基体30が完成する。
このときの樹脂は、補強材40と糸巻層50の隙間に浸透やすい粘度となる温度に加熱されていることが好ましい。
これまで、シュープレスベルトの基体30の成形は、シュー側層20の外周に補強材40を1層配置し、その外周に糸巻層50を形成するものとして説明してきたが、補強材40と糸巻層50の配置形態はこれに限るものではない。
例えば、(1)先に糸巻層50を形成し、次に補強材40を配置したり、(2)補強材40を複数層積層して配置したり、(3)先に糸巻層50を形成し、次に補強材40を配置した後、さらに、糸巻層50を形成したり、(4)先に補強材40を配置し、次に糸巻層50を形成した後、さらに、補強材40を配置して糸巻層50を形成すること等、様々な形態が可能である。
なお、補強材40を複数層積層して配置する場合、或る層の幅方向の端部の接合部分が、他の層の幅方向の端部の接合部分と重ならないように配置することが好ましい。
さらにその後、前記糸巻層50の外周に無端状の湿紙側層60を形成する。湿紙側層60を形成する樹脂は、補強材40と糸巻層50とからなる基体30を通過して含浸し、シュー側層20の外面と接合して一体化する。シュー側層20と湿紙側層60との接合面は、通常、自然に、互いに接合一体化するが、必要に応じて、プライヤや接着剤を用いて一体化の程度を向上させてもよい。
前記シュー側層20及び湿紙側層60に使用される樹脂は、ゴム、エラストマーの中から選択できるが、好ましくはポリウレタン樹脂が使用される。ポリウレタン樹脂としては、その物性面からすると熱硬化性ウレタン樹脂が好ましく、硬度80〜98°(JIS−A)の範囲で選択するとよい。勿論、シュー側層20と湿紙側層60との硬度は同じでも異なっていてもよい。
本発明では、前記基体30として使用する補強材40が、交差する経糸と緯糸の少なくとも一方に組紐を含むように構成したのは、前述のように、本発明のシュープレスベルト10のMD方向とCMD方向の寸法安定性を付与するためである。
前記補強材40で使用する組紐は、比較的太く剛直な糸、例えば、100〜10000デシテックス(d)相当のモノフィラメント糸やマルチフィラメント糸又はこれらの撚糸を糸条として用い、この糸条を3本組物から32本組物のいずれかの組紐に構成したものが使用できる。
本発明の補強材40に用いる糸材は、ナイロン、PET、芳香族ポリアミド、芳香族ポリイミド、高強度ポリエチレン等の高いモジュラス、高弾性率の合成繊維がよい。そして前記補強材40は50〜250kg/cmの範囲の強度、5〜40kg/cmの範囲の1%モジュラスを持つことが好ましい。
前記糸巻層50に用いる糸50Aの素材は、前記補強材40と同様にナイロン、PET、芳香族ポリアミド、芳香族ポリイミド、高強度ポリエチレン等の高強力、高モジュラス、高弾性率の合成繊維からなるモノフィラメント糸やマルチフィラメント糸又はこれらの撚糸が用いられる。
前記糸50AはナイロンやPETのマルチフィラメント(6000d)では10本〜50本/5cmで巻き込み、また、芳香族ポリアミドからなるマルチフィラメント(3000d)では10本〜30本/5cmで巻き込んで、最終製品のMD方向の強度が100〜300kg/cmになるように製造することが望ましい。
本発明では、前記糸巻層50に用いる糸50Aが組紐を含む糸材を使用することができる。糸巻層50に用いる組紐は、前記補強材40を構成するものと同じか、それよりも太い組紐を用いることが好適である。好ましくは前記補強材40を構成するものよりも1.2〜5倍の繊度(デシテックス)を有するものを使用すると良い
図11では、マルチフィラメント糸の撚糸(1,2,3,4)を四つ打ちした、平打ち4本組物の組紐の一例を示している。
ここで、前記糸巻層50に用いる糸50Aは組紐からなる糸材、または組紐を含む糸材である。すなわち、糸50Aは組紐のみからなる糸材、または組紐とその他の糸材、例えば撚糸との混撚糸であってもよい。
前記糸50Aを組紐のみからなる糸材とするか、または組紐とその他の糸材との混撚糸にするかは、本発明のベルトの寸法安定性を考慮して適宜決めればよい。
次に前記湿紙側層60の形成は、糸50Aを巻き込んで糸巻層50を形成させた後でもよいが、糸50Aの巻き込みと並行して進めることもできる。この湿紙側層60を形成後、マンドレルMに付属している加熱装置によって樹脂を加熱硬化させ、更に本発明のシュープレスベルト10の目標の厚みに表面を研磨し、必要に応じて表面に凹溝(盲孔でもよい。)70の仕上げ加工を行い、本発明のシュープレスベルト10を得る。
しかる後、前記マンドレルMから本発明のシュープレスベルト10を離脱させる。この離脱は、前述のように、マンドレルM表面に予め剥離材や剥離シートを使用しておき、図8に示すように、ベルト10の一方の端部をマンドレルMより径の大きなリングRに連結し、エア圧、水圧、油圧、又は樹脂の膨張収縮を利用して、リングRをマンドレルMから離すことで、簡易に行われる。
また、従来、上記方法にてベルト10をマンドレルMから離脱させるときに、ベルト10にはマンドレルMの軸方向に強い牽引力が与えられるから、本発明のように交差する糸からなる補強材であって、組紐を含む緯糸40BがマンドレルMの軸方向に沿うように配置されているものの方が、牽引に対する応力抵抗性が強く、しかもそれによる緩みが生じない特性を有しているため、好適に使用できる。離脱後でもベルト10に幅方向(マンドレルMの軸方向)に対する寸法変化を極めて小さくすることができる。
なお本発明で使用する組紐は、補強材40に用いるものも、糸巻層50に用いるものも、任意の本数の糸条を三つ打ち(3本組物)、四つ打ち(4本組物)、六つ打ち(6本組物)、八つ打ち(8本組物)、十二つ打ち(12本組物)、十六つ打ち(16本組物)、二十四つ打ち(24本組物)、三十二つ打ち(32本組物)の組物とし、丸打ち、角打ち、平打ちなどの形態で編み組した組紐を使用することができる。
また本発明で使用する組紐は、いずれも組紐のピッチ数が3〜15回/10cmの範囲にあることが好ましい。ピッチ数が3回以下の場合、糸条の結束がズレて緩みが生じてしまい、糸材の強度やモジュラスが低下して好ましくない。また、15回を超える場合、糸条間隔にズレが生じず、局所的な摩擦磨耗が生じて糸切れの危険性があり、好ましくない。
なお、本発明の組紐は通常の組物機械(編物機械)で製紐することができるが、本発明はその製紐方法に限定されることはない。
本発明では糸材に組紐を使用することで、従来から使用されていた撚糸に比べ寸法安定性のよいシュープレスベルトを提供することができる。すなわち従来の撚糸を使用したシュープレスベルトでは、撚糸の撚り方向に発生するトルクが寸法安定性を阻害していた。これに対して本発明の組紐は、複数本の糸条を交互に真ん中に配置させるように組上げていくものであるから、トルクは発生せず従って高強度で高モジュラスな糸材を提供することができる。すなわち本発明は、糸条間の滑り性が良く、編み縮みが発生せずしかも伸長方向に対する応力抵抗性と、緩みが生じない組紐の特性を最大限に利用したものである。
上記構成による本発明のシュープレスベルトについて、具体的に以下に示す工程により実施例1乃至3及び比較例1のベルトを作製した。
(実施例1)
工程1:適宜駆動手段により回転可能な直径1500mmのマンドレルの磨かれた表面に剥離剤(KS−61:信越化学工業製)を塗布した。次にマンドレルを回転しながらマンドレル表面に熱硬化性ウレタン樹脂『(プレポリマー:TDI系プレポリマー タケネートL2395[武田製薬製])、と(硬化剤:DMTDA アルベマール社製"ETHACURE300" 3,5-ジメチルチオ2,4-トルンジアミン/3,5-ジメチルチオ2,6-トルンジアミンとの混合物)とを、H/NCO当量比が0.97となるように混合したもの』
をドクターバーを用いて1mm厚みに塗布し、マンドレルを回転したまま室温で10分間放置し更にマンドレルMに付属している加熱装置によって樹脂を70℃に加熱硬化した。
工程2:PET(ポリエチレンテレフタレート)繊維の5000dのマルチフィラメント糸の撚糸を補強材の経糸として用意した。またPET繊維の1000dのマルチフィラメント糸の撚糸を糸条とし、この糸条4本を丸打ちしてなる組ピッチ数10回/10cmの4本組物の組紐を緯糸として、前記経糸とで格子状の補強材(経メッシュ本数/cm、緯メッシュ本数/cmは表.1に記載)を作成した。そして複数枚物の補強材を、緯糸がマンドレルの軸方向に沿い、幅方向の端部が接合するように、シュー側層の外周に1層配置した。そして、この補強材の外周に、ポリエステルの6000dのマルチフィラメント糸の撚糸を螺旋状に表.1に記載した本数/5cmのピッチで巻き付けて、糸巻層を形成した。その後、補強材と糸巻層の隙間を塞ぐ程度に樹脂を塗り目止めして、基体を形成した。
工程3:基体の上から、前記シュー側層に用いた樹脂と同じ熱硬化性ウレタン樹脂を、5.5mm厚に含浸コートし、100℃で5時間加熱硬化させた後、湿紙側層の表面を研磨して全厚が5.0mm厚になるようにしてから、回転刃でベルトのMD方向に凹溝を形成して本発明のシュープレスベルト1を得た。
(実施例2)
工程2において、PET繊維の5000dのマルチフィラメント糸の撚糸を経糸とし、PETの5000dのマルチフィラメント糸の撚糸を緯糸として、1/1平織り組織の補強材(経メッシュ本数/cm、緯メッシュ本数/cmは表.1に記載)を作成した。この補強材をシュー側層の外周に、緯糸がマンドレルの軸方向に沿い、幅方向の端部が接合するように複数枚物の補強材を1層配置した。そして、この補強材の外周に、PET繊維の1000dのマルチフィラメント糸の撚糸を糸条として、この糸条6本を平打ちしてなる組ピッチ数5回/10cmの6本組物の組紐を螺旋状に表.1に記載した本数/5cmのピッチで巻き付けて、糸巻層を形成した。その後、補強材と糸巻層の隙間を塞ぐ程度に樹脂を塗り目止めして、基体を形成した。その後、実施例1と同じ工程3を経て本発明のシュープレスベルト2を得た。
(実施例3)
工程2において、PET繊維の1000dのマルチフィラメント糸の撚糸を糸条として、この糸条4本を丸打ちしてなる組ピッチ数10回/10cmの4本組物の組紐を、補強材の経糸と緯糸とし、格子状の補強材(経メッシュ本数/cm、緯メッシュ本数/cmは表.1に記載)を作成した。この補強材をシュー側層の外周に、緯糸がマンドレルの軸方向に沿い、幅方向の端部が接合するように複数枚物の補強材を1層配置した。そして、この補強材の外周に、PET繊維の500dのマルチフィラメント糸の撚糸を糸条として、この糸条12本を平打ちしてなる組ピッチ数8回/10cmの12本組物の組紐を螺旋状に表.1に記載した本数/5cmのピッチで巻き付けて、糸巻層を形成した。その後、補強材と糸巻層の隙間を塞ぐ程度に樹脂を塗り目止めして、基体を形成した。その後、実施例1と同じ工程3を経て本発明のシュープレスベルト3を得た。
(比較例1)
工程2において、PET繊維の5000dのマルチフィラメント糸の撚糸を経糸とし、PETの5000dのマルチフィラメント糸の撚糸を緯糸として、格子状の補強材を作成した。この補強材をシュー側層の外周に、緯糸がマンドレルの軸方向に沿い、幅方向の端部が接合するように複数枚物の補強材を1層配置した。そして、この補強材の外周に、ポリエステルの6000dのマルチフィラメント糸を螺旋状に表.1に記載した本数/5cmのピッチで巻き付けて、糸巻層を形成した。その後、補強材と糸巻層の隙間を塞ぐ程度に樹脂を塗り目止めして、基体を形成した。その後、実施例1と同じ工程3を経て比較例のシュープレスベルト4を得た。
上記実施例1乃至3と比較例1により得られたシュープレスベルト1〜4について、図9の実験装置により寸法安定性を調べた。
この装置は、実験片13の両端が、クランプハンドCH、CHにより挟持され、クランプハンドCH、CHが、互いに矢印Aの同方向に連動して往復移動をすることができるように構成されている。実験片13は、往復方向に張力が与えられ、同時にプレスシューPSの回転ロールRR1方向における移動により加圧される。
この装置では、実験片13のシュー側に強い屈曲が与えられるので、補強材の経糸と緯糸および糸巻層の糸材に屈曲による応力(局所的な引張り応力)を与えることができる。
実験ではシュープレスベルト1〜4のそれぞれに対して、MD方向実験片とCMD方向実験片を切り取り、この装置により、往復移動回数50万回まで実験し、実験前後の実験片13の往復方向の寸法変化から寸法安定性を評価した。
なお、この際、実験片13に掛けられる張力は5kg/cm、圧力は50kg/cm2、移動速度は50cm/秒である。寸法安定性は次の式により評価した。
寸法安定性=(実験前の実験片の往復方向寸法/実験後の実験片の往復方向寸法)×100
この式では、数値が高いほど寸法安定性がよいことを表している。
実施例1〜3と比較例1のシュープレスベルト1〜4の評価結果を表1に示す。
表1に示されるように、本発明の実施例1〜3までの全ての実施例は、比較例1と比べて、CD方向およびCMD方向の寸法安定性が優れていることが分かる。
このように、全実施例で寸法安定性が優れているのは、シュープレスベルトの基体が、交差する経糸と緯糸の少なくとも一方の糸材に組紐を含む補強材であるか、または補強材の上に螺旋状に巻き込まれた組紐を含む糸巻層を有するためであると考えられる。
本発明のシュープレスベルトの一部拡大断面図。 (a)はシュー側層の形成過程を示すマンドレルの側面断面図、(b)は同斜視図。 本発明のシュープレスベルトを用いたシュープレス機構の斜視図。 基体に用いる補強材を説明するための一部平面図。 マンドレル表面に形成したシュー側層の外面に基体となる複数枚物の補強材を配置する過程を示す斜視図。 糸巻層を形成する過程を示す斜視図。 糸巻層形成後に目止めを行う過程を示す斜視図。 シュープレスベルト成形後の離脱の過程を示す側面図。 寸法安定性を調べるために使用した装置の概要図。 (a)は従来のシュープレスベルトの製造過程を示す側面断面図、(b)は従来方法で得たシュープレスの部分断面図。 平打ち4本組物の組紐の概要図。
符号の説明
10:シュープレスベルト
20:シュー側層
30:基体
40:補強材
40A:経糸
40B:緯糸
50:糸巻層
50A:糸
60:湿紙側層
70:凹溝
M:マンドレル

Claims (3)

  1. シュープレス装置のプレスロールとシューの間に配置され、基体、湿紙側層、及びシュー側層からなるシュープレスベルトにおいて、
    前記シュー側層が表面が磨かれたマンドレル上で形成されたものであり、前記基体が、交差する経糸と緯糸の少なくとも一方の糸材が組紐を含む補強材と、その上に螺旋状に巻き込まれた糸巻層とからなることを特徴とする、シュープレスベルト。
  2. 前記糸巻層の糸材が組紐を含むことを特徴とする、請求項1のシュープレスベルト。
  3. シュープレス装置のプレスロールとシューの間に配置され、基体、湿紙側層、及びシュー側層からなるシュープレスベルトにおいて、
    前記シュー側層が表面が磨かれたマンドレル上で形成されたものであり、前記基体が、交差する経糸と緯糸からなる補強材と、その上に螺旋状に巻き込まれた組紐を含む糸巻層とからなることを特徴とする、シュープレスベルト。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112534098A (zh) * 2018-08-01 2021-03-19 福伊特专利有限公司 挤压套及其应用及挤压辊子、靴式挤压机

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