JP2008149737A - エアバッグ内蔵ステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】エアバッグ展開時に運転者の胸部移動許容量を延長できる新たな構造のエアバッグ内蔵ステアリング装置を提供する。
【解決手段】ステアリング装置22(エアバッグ内蔵ステアリング装置)は、エアバッグ14の展開時に当該エアバッグ14を支持するバッグホルダ32をステアリングシャフト20の軸方向前方に移動させる。エアバッグ14が展開した場合、切替機構42で支持部材34の高耐力構造を維持する固定部材44を構成する抜取バー54を抜き取り、バッグホルダ32を支持する支持部材34の構造を高耐力構造状態から低耐力構造状態に変化させて、展開したエアバッグの収縮に伴いステアリングシャフトの軸方向前方に移動してくる運転者の胸部の移動許容量を延長して、運転者に与えれる衝撃力の緩和を行う。
【選択図】図2
【解決手段】ステアリング装置22(エアバッグ内蔵ステアリング装置)は、エアバッグ14の展開時に当該エアバッグ14を支持するバッグホルダ32をステアリングシャフト20の軸方向前方に移動させる。エアバッグ14が展開した場合、切替機構42で支持部材34の高耐力構造を維持する固定部材44を構成する抜取バー54を抜き取り、バッグホルダ32を支持する支持部材34の構造を高耐力構造状態から低耐力構造状態に変化させて、展開したエアバッグの収縮に伴いステアリングシャフトの軸方向前方に移動してくる運転者の胸部の移動許容量を延長して、運転者に与えれる衝撃力の緩和を行う。
【選択図】図2
Description
本発明は、エアバッグ内蔵ステアリング装置、特にエアバッグの展開時に運転者の胸部移動許容量を延長できるエアバッグ内蔵ステアリング装置の改良に関する。
近年、エアバッグシステムを標準装備する車両が増えている。エアバッグシステムは、衝突などが原因で車両に大きな衝撃力が加えられたときに運転者とステアリングホイールの間に瞬間的にエアバッグを膨らませ、前方に投げ出される状態の運転者にエアバッグを押し潰させることにより、当該運転者が受けるダメージを軽減する装置である。
具体的には、前進走行している車両が物体に衝突すると、運転者はシートベルトに拘束されてはいるものの、前方に投げ出される。エアバッグは、車両の衝突を衝撃センサなどで検出してインフレータに通電着火することによりエアバッグにガスを送り込み膨張展開させる。前方に投げ出された運転者の胸部は膨張したエアバッグを潰しながらさらに前方移動し、ステアリングホイールに接触する。運転者の前方移動の運動エネルギが大きい場合、胸部はステアリングホイールを変形させながらさらに前方に移動する。このとき、エアバッグの潰し動作やステアリングホイールの変形動作は運転者の前方移動の運動エネルギを吸収するので、運転者が受ける衝撃を緩和することができる。
ところで、エアバッグは、ステアリングシャフトの先端にステアリングホイールと共に固定された金属板などで形成される支持台で支持されている。また、その支持台には、エアバッグを膨張させるガスを発生するインフレータなどが配置されている。したがって、エアバッグなどの動作によっても前方への運動エネルギが吸収しきれていない場合、運転者はエアバッグ支持台との接触により衝撃を受けてしまう可能性がある。そこで、エアバッグを搭載した車両においては、エアバッグ展開時に運転者の胸部移動許容量を延長して、エアバッグの支持台と運転者の接触をできるだけ回避するような構造が提案されている。
たとえば、特許文献1に記載されるステアリングホイールは、衝撃力が作用した際の、エアバッグ装置が落ち込めるストロークを長く確保するように、ステアリングホイールを支持するボスプレート部を改良した構造が開示されている。
特開平5−254380号公報
近年の車両においては、運転操作性の向上が盛んに行われ、ステアリングホイールの周辺に多数の機器が配置される傾向がある。そのため、ステアリングホイール自体の構造が複雑化すると共に、エアバッグの収納形態やエアバッグの支持構造について設計上の制約を多く受ける傾向がある。そのため、上述したエアバッグ展開時の運転者の胸部移動許容量を延長する構造もステアリングホイールの形態に応じて提供できるようなエアバッグ内蔵ステアリング装置を提案することが要望されている。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、エアバッグ展開時に運転者の胸部移動許容量を延長できる新たな構造のエアバッグ内蔵ステアリング装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様のエアバッグ内蔵ステアリング装置は、ステアリングシャフトの上部先端部に固定されたステアリングホイールと、前記ステアリングホイールの内周側に配置され、内部にエアバッグを収納したホイールパッドと、前記ホイールパッド内でエアバッグを支持するバッグホルダを前記ステアリングシャフトの先端位置から所定の高さに支持する支持部材と、を含み、前記支持部材は、前記エアバッグの展開時に前記バッグホルダを前記ステアリングシャフトの軸方向前方に移動させることを特徴とする。
この態様によれば、エアバッグが展開した場合、バッグホルダがステアリングシャフトの軸方向前方に移動するので、その移動分だけ余計に運転者の胸部移動許容量を延長できる。
また、上記態様において、前記支持部材は、前記エアバッグの収納時に前記ステアリングシャフトの軸方向における外力に対抗して拡張姿勢を維持する所定値以上の耐力を有する高耐力構造と、前記エアバッグの展開時に前記ステアリングシャフトの軸方向における外力により収縮姿勢をとるように前記高耐力構造より低い耐力を有する低耐力構造と、を切り替える切替手段を含んでもよい。切替手段は、高耐力構造から低耐力構造への切り替えをたとえば、エアバッグの展開動作に関連して行うことができる。支持部材が高耐力構造である場合、外力、たとえば、通常のステアリングホイールの操作力や寄りかかったりする力に対抗して維持する拡張姿勢は、たとえば、複数枚の板材を組み合わせた中空の箱形構造により形成することができる。支持部材が高耐力構造時には、ホイールパッドをしっかりと支えて、外力が加わってもステアリングホイールに対して動かないようなる。一方、支持部材が収縮姿勢をとるように高耐力構造より低い耐力を有す低耐力構造に切り替わった場合、運転者が展開したエアバッグを潰しながらバッグホルダを押す。その結果、支持部材は、たとえば、箱形構造を潰すことによりステアリングシャフトの軸方向前側にバッグホルダを逃がして、運転者の胸部移動許容量を延長する。なお、この場合、低耐力構造を収縮姿勢に変形させることで運転者の胸部移動量を延長すると共に運転者の有する運動エネルギの吸収が可能になり、運転者に与える衝撃力が軽減できる。
また、上記態様において、前記切替手段は、前記エアバッグの展開時に前記高耐力構造を構成する構造体の一部を抜き取り、前記低耐力構造に変化させてもよい。たとえば、高耐力構造が箱形構造の場合、箱形構造を形成する壁面材や梁の一部、壁面材や梁を固定してる固定部材の一部または全部を抜き取ることにより構造体の耐力を低下させることができる。なお、ここでいう抜き取り動作は、構造体やその他の部材の一部を別の位置に移動させる場合の他、構造体やその他の部材の一部を破壊して抜き取る場合も含むものとする。
また、上記態様において、前記切替手段は、前記エアバッグを展開するためのガスにより動作するようにしてもよい。たとえば、高耐力構造の構造体の一部または他の部材を抜き取る動作を空気圧駆動のアクチュエータで行う場合、エアバッグを展開するためのガスの一部を利用できると共に、エアバッグの展開動作と低耐力構造への切り替え動作を関連付けて実行することができる。また、エアバッグの展開に利用するガスは高圧であるため構造体や他の部材の抜き取り動作をスムーズかつ確実に実施できる。
また、上記態様において、前記支持部材は、所定値以上の外力を受けたときに、前記ステアリングシャフトの軸方向に折りたたまれる重畳部を有してもよい。エアバッグが展開するような大きな衝撃を車両が受けた場合に、運転者の胸部がエアバッグまたはホイールパッドを介して支持部材を押す力は、通常運転時に運転者やその他搭乗者や搭乗物がホイールパッドを介して支持部材を押す力より遙かに大きい。したがって、重畳部は、予め試験などにより定められた通常運転時に受ける外力より大きな所定値以上の外力を受けたときに折りたたみ動作が起こるような耐力を有する重畳構造、たとえば波形構造や蛇腹構造を有することができる。この態様によれば、容易に運転者の胸部移動許容量を延長できる。また、折りたたみ動作を行うことにより運転者が前方に投げ出されるときの運動エネルギの吸収が可能となる。
本発明のエアバッグ内蔵ステアリング装置によれば、エアバッグの展開時に運転者の胸部移動許容量を延長できる。
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)を、図面に基づいて説明する。
本実施形態のエアバッグ内蔵ステアリング装置は、エアバッグの展開時に当該エアバッグを支持するバッグホルダをステアリングシャフトの軸方向前方に移動させる。その結果、展開したエアバッグの収縮に伴いステアリングシャフトの軸方向前方に移動してくる運転者の胸部の移動許容量を実質的に延長できるので、運転者に与えれる衝撃力の緩和が可能になる。
図1は本実施形態のエアバッグ内蔵ステアリング装置を搭載する車両10において、エアバッグ14が展開した状態を説明する説明図である。エアバッグは、運転席用の他、助手席用、サイドウィンドウ用、後部座席用などがあるが、本実施形態においては、特にステアリングホイール12に内蔵された運転席用のエアバッグ14に着目する。エアバッグ14は、たとえば、シリコンコーティングされたナイロン布などで構成され、インフレータなどで発生した、たとえば窒素ガスにより瞬時に膨らませ展開させることができる。
エアバッグ14を展開させるエアバッグ装置は、主としてエアバッグ14の動作制御を行う制御回路と、衝突など車両に衝撃が加わったことを検出するセンサと、エアバッグ14を展開させる駆動回路などで構成される。衝撃を検出するセンサとして、たとえば、車両10の前部左右に設けられる2個のサテライトセンサ16と、フロアに配置されるフロアセンサ(不図示)がある。サテライトセンサ16は、主として車両10に加わる減速度を検出して減速度に対応する時系列の減速度信号を出力する。また、フロアセンサは、車両10に加わり車体を介して伝達する衝撃を測定する加速度センサであって、具体的には、車両に対して前後方向に加わる減速度を随時測定して、その測定値を信号として出力する。サテライトセンサ16およびフロアセンサにより所定閾値以上の衝撃(たとえば、ステアリングシャフト20の軸方向に1KNの力がかかるような衝撃)が車両10に加えられたとが検出されると、制御回路は、インフレータに着火して折りたたまれたエアバッグ14に窒素ガスを送り込む。エアバッグ14は、ステアリングホイール12の略中央に位置するホイールパッド内部に収納され、展開すると図1に示すように、ステアリングホイール12と運転者18との間の空間を埋めるように膨張する。
たとえば、車両10前方の障害物に当該車両10が衝突することにより衝撃を受けると、運転者18は、前方(ステアリングシャフト20の軸方向前方)に向かって投げ出されるように移動を開始する。続いて、運転者18は衝撃により展開したエアバッグ14と接触し、エアバッグ14を潰しながらさらに前方への移動を継続する。さらに、前方への移動が進むと運転者18はステアリングホイール12に接触する。ステアリングホイール12は、エアバッグ14が展開しているような場合に運転者18へのダメージを軽減するために変形しやすい構造になっている。このようなエアバッグ14の押しつぶし動作やステアリングホイール12の変形動作により運転者18の持つ運動エネルギの一部は吸収される。しかし、運動エネルギが残った場合、継続的に運転者18はステアリングシャフト20の軸方向前方に移動する。前述したように、エアバッグ14は展開時に瞬時に膨張するため、十分な剛性を有する金属等で構成されたバッグホルダに支持されている。したがって、運転者18の前方への移動が継続した場合、バッグホルダとの接触で運転者18にダメージを与えてしまう可能性が高まる。そこで、本実施形態のエアバッグ内蔵ステアリング装置は、エアバッグ14の展開時に、運転者18の胸部移動許容量を延長できる構造を有している。
図2は、本実施形態のエアバッグ内蔵ステアリング装置(以下、ステアリング装置という)22の概略断面図である。ステアリングシャフト20の上部端部には、ナット24などの締結部材によりステアリングホイール12が固定されている。ステアリングホイール12は、リング状のステアリングリム26と、ステアリングリム26を支持するたとえば4本(2本のみ図示)のスポーク28と、スポーク28が接続されてステアリングシャフト20に固定されるボス30で構成される。ステアリングリム26やスポーク28は、芯金26a、28aの周囲に樹脂部材などが周設され、衝撃吸収を行っていると共に、手触り感や見た目の向上を図っている。
また、ステアリングシャフト20の上部先端部には、ステアリングホイール12のボス30と共に、エアバッグ14を支持するバッグホルダ32をステアリングシャフト20の先端位置から所定の高さに支持する支持部材34が固定されている。エアバッグ14は収納時、図2に示すようにコンパクトに畳み込まれて、開放端をバッグホルダ32上に固定されている。バッグホルダ32は、エアバッグ14の展開時の反力に耐えうるように金属版などで形成された皿型の部材である。このバッグホルダ32上には、インフレータ36が配置され、車両10が所定値以上の衝撃を受けたとき、電気信号により点火され瞬時に大量の窒素ガスを発生させてエアバッグ14を展開させる。エアバッグ14は樹脂などで形成されたパッドカバー38aで覆われ、全体としてホイールパッド38を形成している。パッドカバー38aは、エアバッグ14の展開時に予め設定された割れ目が裂けて当該エアバッグ14をステアリングホイール12と運転者18との間に展開させる。エアバッグ14には、小さな空気抜孔が形成され、運転者18が接触することにより空気抜孔から窒素ガスが抜け、運転者18を支えながら収縮する。なお、ホイールパッド38は支持部材34を覆う支持カバー40に支持されている。
支持部材34は、図2及び図3(a)〜図3(d)に詳細に示すように、複数の板材を組み合わせて形成された箱型構造体である。この支持部材34は、エアバッグ14の収納時にステアリングシャフト20の軸方向における外力に対抗して拡張姿勢を維持する所定値以上の耐力を有する高耐力構造をとることができる。図2は、高耐力構造状態を示している。
また、この支持部材34はエアバッグ14の展開時にステアリングシャフト20の軸方向に対して外力により収縮姿勢をとるように高耐力構造より低い耐力を有する低耐力構造をとることができる。低耐力構造状態は、図3(c)に示されている。高耐力構造と低耐力構造の切り替えは、支持部材34の内部に設けられた切替機構(切替手段)42で行う。詳細は後述するが、切替機構42は、エアバッグ14の展開時に高耐力構造を構成する構造体の一部を抜き取り、支持部材34を低耐力構造に変化させる。支持部材34は低耐力構造に変化することにより、ステアリングシャフト20の軸方向に対して加わる外力、具体的には、運転者18が前方に投げ出され移動してくる力により収縮姿勢をとることができる。その結果、支持部材34が支持するバッグホルダ32をステアリングシャフト20の軸方向に逃がすことが可能になり、運転者18がバッグホルダ32との接触により受けるダメージを軽減することができる。なお、運転者18はシートベルトにより拘束されているため、ステアリングシャフト20の軸方向前方への移動量は物理的に制限される。したがって、僅かでも運転者18と接触する障害物をステアリングシャフト20の軸方向前方に逃がすことにより、運転者18に対するダメージは著しく軽減できる。なお、支持部材34が収縮姿勢をとることにより生じるバッグホルダ32の移動量は、たとえば、30mm程度とすることができる。このようにエアバッグ14が展開したときに、支持部材34が収縮姿勢に変化してバッグホルダ32をステアリングシャフト20の軸方向に逃がすことにより運転者18の安全性向上に大きく寄与することができる。特に、電動パワーステアリングユニットなどの構造物がステアリングシャフト20周辺に配置され、ステアリングシャフト20の収縮構造が採用しにくい場合など、本実施形態によればステアリング装置22で収縮構造を実現できる。その結果、車両10の設計自由度の向上に寄与できると共に、ステアリングシャフト20周辺のスペースの有効利用ができる。
図3(a)〜図5を用いて支持部材34が高耐力構造から低耐力構造に変化するメカニズムを説明する。図3(a)、図3(b)に示すように、支持部材34は複数の板材34a、34b、34c、34d及び固定部材44で構成されている。板材34a、34bはほぼ同じ形状であり、平板の両側を同じ方向に折り曲げた船形になっている。また、板材34c、34dは図4(a)、図4(b)に示すように、長手方向の長さが異なり、長手方向端の一方に略U字形状の切欠34e、34fを有する。板材34a、34b、34cは、長手方向の一端側のカシメ部46aで接続され一体化されている。また、板材34a、34b、34dは、長手方向の一端側のカシメ部46bで接続され一体化されている。なお、カシメ部46a、46bに代えて、溶接やリベット止めなどで各板材を接続固定してもよい。さらに、板材34c、34dは、図4(c)に示すように、切欠34e、34fの部分が重ねられ、固定部材44で固定されている。固定部材44は図5に示すように、ボルト48とナット50、ワッシャ52、及び抜取バー54で構成されている。抜取バー54は、図4(d)に示すように、板材34c、34dと同様な板材であり、長手方向の一端に略U字形状の切欠54aが形成されている。そして、図5に示すように、板材34c、34d及び抜取バー54に形成された切欠34e、34f、54aが一致するように組み合わせられ、ワッシャ52を介してボルト48及びナット50で板厚方向に締め込まれ締結されている。この状態で、板材34c、34dが固定されて引張方向に強い耐力を有しているので、カシメ部46a、46bは矢印B1、B2方向に移動できず、支持部材34はその拡張姿勢を維持した高耐力構造になる。
図5に示すように、抜取バー54の切欠54aが形成されていない側には、アクチュエータ56が接続され、必要に応じて、抜取バー54をボルト48の軸から抜き取ることができる。アクチュエータ56は、たとえば、空気シリンダなど流体圧シリンダで構成することができる。図5の場合、アクチュエータ56は、抜取バー54が接続されたピストン58と、このピストン58を収容するシリンダ本体60、及びピストン58を駆動する駆動源として機能するたとえばインフレータ62から構成されている。インフレータ62は、たとえば、エアバッグ14の展開を制御する制御回路から信号を受け、エアバッグ14の展開とほぼ同時に大量の窒素ガスを瞬間的に発生させる。インフレータ62で発生した窒素ガスは瞬時にガス室60aに導入され、ピストン58を図中矢印A方向に急速に移動させる。窒素ガスが瞬間的に大量に注入されることにより、固定部材44の一部として高耐力構造を構成していた抜取バー54が抜き取られ、固定部材44の締結力は実質的に失われる。つまり、図3(c)に示すように、高耐力構造を維持していた板材34c、34dの接続が解除され、カシメ部46aが矢印B1方向へ、カシメ部46bが矢印B2方向に移動可能となる低耐力構造に変化する。この状態で、運転者18の前方移動に伴う力がバッグホルダ32を介して支持部材34に伝達されると、当該支持部材34は図3(d)に示すように収縮姿勢に変化する。図3(c)の支持部材34の収縮姿勢前の支持高さL1と図3(d)の収縮姿勢移行後の支持高さL2との差分(L1−L2)がエアバッグ14の展開時に運転者18の胸部移動許容量の延長量に相当する。なお、支持部材34は、カシメ部46a、46bで接続されているので、一定量の耐力を有しているが、図3(c)に示すように、変形方向である矢印B1、B2方向にそれぞれ略「く」の字形状に屈曲しているので、外力を受けることにより確実に矢印B1、B2方向に変形する。
なお、支持部材34はエアバッグ14の展開に先立ち、強制的に図3(d)の収縮姿勢に変化させても運転者18の胸部移動許容量を延長することができる。しかし、カシメ部46a、46bには、板材34a、36bの拡張姿勢を図3(b)の状態のように維持しようとする機能がある。したがって、カシメ部46a、46bを図3(d)の収縮姿勢の状態にするには抗力が働く。この抗力により、運転者18が有する運動エネルギが吸収できるので、運転者18の前方移動終点における衝撃力を緩和する効果もある。
このように本実施形態のステアリング装置22によれば、エアバッグ14の展開時に運転者18の胸部移動許容量を速やかに延長できるので、運転者18が受ける衝撃力を軽減できる。
なお、図5の場合、アクチュエータ56のインフレータ62はエアバッグ14の展開用のインフレータ36とは別に配置され、エアバッグ14の展開制御の信号を取得して動作する例を示したが、他の方法によって動作させてもよい。たとえば、図6に示すように、エアバッグ14を展開させるインフレータ36で発生した窒素ガスの一部を直接アクチュエータ56のガス室60aに導入して、ピストン58を矢印A方向に移動させてもよい。この場合、エアバッグ14の展開動作と抜取バー54の抜き取り動作、つまり低耐力構造への切り替え動作が機械的に連動して実施されるので、確実かつ迅速にエアバッグ14の展開時の運転者18の胸部移動許容量の延長を実施できる。
また、アクチュエータ56の駆動源は駆動反応速度が確保できれば任意であり、空気圧駆動の他、液圧駆動、モータ駆動でもよく、本実施形態と同様な効果を得ることができる。また、支持部材34の箱型形状も一例であり、高耐力構造と低耐力構造とを実現できる形状であればよい。たとえば、支持部材を複数の支柱で構成してエアバッグ14の展開時には、その支柱の一部または全部をアクチュエータにより移動または剪断破壊するようにしてもよく、本実施形態と同様な効果を得ることができる。また、本実施形態では、固定部材44の締結力を無効化することにより、支持部材34を低耐力構造に変化させる例を示したが、外力により板材34c、34dの接合が外れるようにしても本実施形態と同様な効果を得ることができる。
また、本実施形態では、抜取バー54を抜き取ることにより高耐力構造から低耐力構造に切り替える例を示したが、高耐力構造を形成する壁面材や梁の一部、壁面材や梁を固定してる固定部材の一部または全部を抜き取ることにより構造体の耐力を低下させてもよく、本実施形態と同様な効果を得ることができる。
図7は、エアバッグ14の展開時の運転者18の胸部移動許容量の延長を実施する他の構成のステアリング装置64を示す。図7のステアリング装置64の基本構造は、図2に示すステアリング装置22と同じであり、同様の機能を果たす部材には、同じ符号を付しその説明を省略する。ステアリング装置22とステアリング装置64とは、バッグホルダ32を支持する支持部材の形状およびエアバッグ14が展開したときの収縮姿勢が異なる。
ステアリング装置64の支持部材66は、所定値以上の外力を受けたときに、ステアリングシャフト20の軸方向に折りたたまれる重畳部68を有する。支持部材66は、図7に示すように、たとえば、金属材料や樹脂材料の板材を交互に折り返して波形状にしたものを複数立設した中空ブラケットでもよいし、筒状の蛇腹ブラケットでもよい。何れの場合もエアバッグ14が収納されている場合に加わる外力、すなわち通常のステアリングホイール12の操作時に加わる外力では収縮姿勢にならない高耐力を有するように構成される。支持部材66の耐力の調整は、たとえば中空ブラケットや蛇腹ブラケットを構成する板材の板厚の調整や波形の屈曲部や蛇腹の接続部の接合強度を調整することにより行うことができる。
一方、エアバッグ14が展開したときには、重畳部68が折り畳まれることにより潰れて収縮姿勢をとる。重畳部68が収縮姿勢に変化する外力の大きさは予め試験などによって決めることができる。すなわち、エアバッグ14は、ステアリングシャフト20にたとえば、1KNの力が入力されるような衝撃力を車両10が受けたときに展開するように設定されている。また、ステアリングホイール12は運転者18の接触により受ける外力がたとえば2KNを超えると変形するように設計されている。そこで、支持部材66の重畳部68は、たとえば2KNの外力が加わったときに変形するように設定しておくことできる。この場合、支持部材66は、通常のステアリングホイール12の使用時には収縮姿勢に変形せず、エアバッグ14が展開する非常時に、ステアリングホイール12の変形前後のタイミングで収縮姿勢に変化することができる。その結果、エアバッグ14の展開時に運転者18の胸部移動許容量を速やかに延長して、運転者18が受ける衝撃力を軽減できる。なお、支持部材66の重畳部68が運転者18の移動基づく外力で変形するので、この変形によっても運転者18の運動エネルギの吸収が可能となり、運転者18の受ける衝撃の緩和に寄与できる。なお、重畳部68が塑性変形したり剪断破壊した結果、支持部材66が折り畳まれたような収縮姿勢になった場合も、本実施形態では上述の変形と同等であると見なることが可能で、本実施形態と同様な効果を得ることができる。
なお、上述した重畳部68を形成する波形状や蛇腹形状は、エアバッグ14が展開していない状態でも収縮方向に弾性変形する可能性があり、ステアリングホイール12の定常使用時にもバッグホルダ32が沈み込み運転者18に違和感を与えてしまう場合がある。そこで、支持部材66の内部空間にエアバッグ14の収納時の支持部材66の形状を維持する形状維持材を配置してもよい。形状支持部材を配置することにより上述したようなバッグホルダ32の沈み込み現象を排除することができる。一方、支持部材66を収縮姿勢に変化させる場合、形状支持材を形状維持位置から移動させたり、形状支持材を剪断排除すれば、前述したように、運転者18の移動により加わる外力により収縮姿勢に変形させることができる。その結果、エアバッグ14の展開時に運転者18の胸部移動許容量を速やかに延長して、運転者18が受ける衝撃力を軽減できる。形状支持材の移動や剪断排除は、図2の例と同様に、インフレータにより発生する窒素ガスやその他の駆動源によりアクチュエータを駆動しても同様の効果を得ることができる。
本発明は、上述の各実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能である。各図に示す構成は、一例を説明するためのもので、同様な機能を達成できる構成であれば、適宜変更可能であり、同様な効果を得ることができる。
10 車両、 12 ステアリングホイール、 14 エアバッグ、 16 サテライトセンサ、 18 運転者、 20 ステアリングシャフト、 22 ステアリング装置(エアバッグ内蔵ステアリング装置)、 32 バッグホルダ、 34 支持部材、 36 インフレータ、 38 ホイールパッド、 40 支持カバー、 42 切替機構、 44 固定部材、 46 カシメ部、 54 抜取バー、 56 アクチュエータ。
Claims (5)
- ステアリングシャフトの上部先端部に固定されたステアリングホイールと、
前記ステアリングホイールの内周側に配置され、内部にエアバッグを収納したホイールパッドと、
前記ホイールパッド内でエアバッグを支持するバッグホルダを前記ステアリングシャフトの先端位置から所定の高さに支持する支持部材と、
を含み、
前記支持部材は、前記エアバッグの展開時に前記バッグホルダを前記ステアリングシャフトの軸方向前方に移動させることを特徴とするエアバッグ内蔵ステアリング装置。 - 前記支持部材は、前記エアバッグの収納時に前記ステアリングシャフトの軸方向における外力に対抗して拡張姿勢を維持する所定値以上の耐力を有する高耐力構造と、前記エアバッグの展開時に前記ステアリングシャフトの軸方向に対して外力により収縮姿勢をとるように前記高耐力構造より低い耐力を有する低耐力構造と、を切り替える切替手段を含むことを特徴とする請求項1記載のエアバッグ内蔵ステアリング装置。
- 前記切替手段は、前記エアバッグの展開時に前記高耐力構造を構成する構造体の一部を抜き取り、前記低耐力構造に変化させることを特徴とする請求項2記載のエアバッグ内蔵ステアリング装置。
- 前記切替手段は、前記エアバッグを展開するためのガスにより動作することを特徴とする請求項3記載のエアバッグ内蔵ステアリング装置。
- 前記支持部材は、所定値以上の外力を受けたときに、前記ステアリングシャフトの軸方向に折りたたまれる重畳部を有することを特徴とする請求項1記載のエアバッグ内蔵ステアリング装置。
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-
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- 2006-12-14 JP JP2006336608A patent/JP2008149737A/ja not_active Withdrawn
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US9242614B2 (en) | 2014-03-07 | 2016-01-26 | Autoliv Asp, Inc. | Airbag systems with energy-absorbing components |
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