本発明は、魚、特に回遊魚の陸上養殖システムにあって、特に陸上養殖に最適な水を用いての陸上養殖システムに関する。
本発明に関する現時点での技術水準をより十分に説明する目的で、本願で引用され或いは特定される特許、特許出願、特許公報、科学論文等の全てを、ここに、参照することでそれらの全ての説明を組入れる。
我が国にとって漁業資源は、その食材等にあって日常社会の中で、大きな比重を占めているもので、特に、マグロやカジキなどは鮮魚としての利用・消費が諸外国と比べて極めて多いものである。
しかしながら、漁獲される天然のマグロは、その資源維持や有効利用のために国際的な資源管理が図られているので、国内にあって十分な利用・消費がなされておらず、また、その供給量の不足から、市場においては高値で取引される結果となるものであった。
特に、鯖科回遊魚の養殖にあたっては、重要なことは海水や餌の状態あるいは十分な酸素取り入れのための回遊できる場所などが上げられ、しかも、元来神経質なことから養殖環境も考慮しなければならない。
また、養殖中に生ずる天災などの被害もあらかじめ想定しなければならず、自ずとその養殖生け簀は、体長150cmから最大で300cmとなる巨大魚を回遊養殖させるためには、最低でも半径50mの大きさを必要とするもので、養殖に際しての前記悪条件に加え、更には、既存の漁場との関係から希望する設置場所は十分に得られなのが現状であった。
従来の水産養殖の多くは、海面を利用した小割養殖である。この場合には区画漁業権を必要とすることから企業が直接海面を利用することができない。その中でヒラメ、クルマエビなどの陸上養殖については、漁業権を必要としないことから企業体が独自で行うことが可能である。さらに陸上養殖におけるメリットとして現在問題となっている安全・安心といった食品に対するトレサビリティーについても管理しやすい。また、海面養殖では困難なHACCPの衛生管理システムについても可能となる。一方で、陸上養殖では取水が問題となる。一般的には沿岸の一部を専有化して海域に取水設備を伸ばす必要がある。
他方、海域で漁獲された魚類については、従来養殖魚よりも安全面で信頼を受けていた。しかしながら、近年では海域に環境ホルモン、重金属などが存在し、それを生物濃縮していることが明らかになっている。むしろきちんとした管理システムで養殖された魚類のほうが安全という見方になってきている。生物濃縮は生態系で高次消費者ほど蓄積が高く、マグロのような生物ではカドミウムや水銀などが生体内から検出されている。さらに、マグロのような高度回遊魚種の漁業の現状としては、200海里問題、ワシントン条約などの諸問題があり、今のような漁業がいつまで継続できるか判断が難しくなっている。
そこで、出願人らは上記課題について鋭意研究し、特許文献1や特許文献2に示されるように、螺旋状に設けた水槽内へその一側部から水を定められた流速となるように供給しつつ、水槽の他側部より排水した該水槽内に一連の水流路を形成させた状態において、水槽の一側部から魚を投入し、一連の水流路内を前記魚の遊泳速度に合わせて水槽内の水の流速を調整させ、該水槽内においてこの水槽に対する魚の遊泳移動量を抑えさせた状態で該魚を養殖させることにより、魚、特に回遊魚の人工養殖にあって、魚に不要なストレスを与えることなく優良な品質に養殖して、安定的な市場提供を行うことができる魚類の養殖装置およびその方法を提案している。
また、特許文献2では、「内部に魚類を収容する水槽と、水槽より上部に設けられるタンクと、該水槽の一側部へ接続させた前記魚類が生息し得る水を前記タンクから導入する供給手段と、前記水槽の他側部に接続させて該水槽内の水を排出する連結手段と、前記水槽の適所に設けた魚の投入部および魚の取出部とを有する魚類の養殖装置にあって、前記水槽は、その内部を前記一側部から前記他側部にわたって一連となる空洞の筒状に形成して、前記一側部から前記他側部に至るまでを螺旋状となるように設けてあり、前記内部を前記供給手段と前記連結手段とによって前記水を定められた流速となるように充満させたことを特徴とする魚類の養殖装置において、前記水槽の下部に円筒状の下部貯水タンクを設け、前記下部貯水タンクの側面に開口部を設けて前記連結手段と連結して前記水の自重により前記流速で下部貯水タンク内の水平底面上を流すことで前記連結手段における魚の挟みこみを防止することを特徴とする魚類の養殖装置」を開発している。
特許第3584030号公報
特願2005−122335号公報
しかしながら、上記特許文献1、特許文献2のいずれにおいても一定の温度でかつ清廉な養殖用の海水の確保が重大な課題となってくる。一般に表層海水は、冬においても暖かな海水を入手できるという利点や、取水が陸上からできるなどの長所を有している。しかしながら、温度は昼夜や季節に応じて大きく変化し、また、プランクトンや藻を含む様々な生物の混入が指摘されている。これらの生物を除去するためにかえって薬類の混入が必要となる。
そこで、本発明の目的は、魚、特に回遊魚の陸上養殖システムにあって、特に陸上養殖に最適な水を用いる陸上養殖システムを提供することにある。
本発明にかかる陸上養殖システムは、陸上に設置された養殖槽と、陸上養殖に適した陸上養殖水と、前記養殖槽に設けた前記陸上養殖水を排水する排水口とを備える。
また、前記陸上養殖水は地下海水であることを特徴とする。さらに、前記陸上養殖水は海洋深層水であってもよく、前記陸上養殖水はナノバブル含有水であることを特徴とする。
さらに、前記養殖槽の底面は、波形状であることを特徴とする。
次に前記養殖槽は、その底面より一定の高さに餌浮上用ファンを配置したことを特徴とする。
加えて前記養殖槽は、その外形形状は一定の幅の循環する水路であって特に直線状部を含むことを特徴とする。
続いて、前記養殖槽は、その外形形状は一定の幅の循環する水路であって特に直線状部以外が円弧状であることを特徴とする。
また、前記養殖槽は、その外形形状は一定の幅の循環する水路であって特に直線状部以外が多角形状であることを特徴とする。
さらに、前記養殖槽は、複数の一定の幅の循環する水路を有して隣接する水路は互いに水門を介して接続されること特徴とする。
次に前記養殖槽は、その外形形状は一定の幅の循環する水路であって前記水路上部に水路を照射する光源を全水路に沿って複数個配置して任意の部分を照射できるように設定されることを特徴とする。
加えて前記光源は、外光照度センサを内蔵して外光が一定の照度以下で点灯するよう設定される。
続いて、前記養殖槽は、その外形形状は一定の幅の循環する水路であって前記水路の側壁部に水路方向を照射する光源を全水路に沿って複数個配置して水流に相当する速度で各光源を連続して点滅できるように設定されることを特徴とする。
また、前記養殖槽は、その外形形状は一定の幅の循環する水路であって前記水路の底部にガスを供給するパイプを水路幅と同一の長さで一定間隔毎に全水路に渡って配置し、任意のパイプからガスを水中に放出できるように設定されることを特徴とする。
さらに、前記養殖槽は、その外形形状は一定の幅の循環する水路であって前記水路に設けられ水路中の任意の一部の水位を自在に調整するための水槽水制御口を有することを特徴とする。
次に前記養殖槽は、その外形形状は一定の幅の循環する水路であって前記水路に設けられる自動給餌機と自動給餌機手前に魚検出光学センサを配置し、魚検出光学センサの魚検出時に魚前方に餌を供給するよう設定されることを特徴とする。
前記養殖槽は、育成時は常温で育成し、出荷直前に低温で育成してもよい。
本発明を実施することで魚、特に回遊魚の陸上養殖システムにあって、特に陸上養殖に最適な水を用いることでできる。また、温度は昼夜や季節に応じて大きく変化せず、また、プランクトンや藻を含む様々な生物の混入がないため、養殖魚の発病を予防し、これらの生物を除去するためにかえって薬類の混入をする必要がない。
以下に、この発明の実施形態例を、図面を用いて説明する。
本発明に係る陸上養殖システムの実施例1について図1、2を用いて説明する。図1、2に示すのは長辺部分で互いに結合する長円形状の陸上養殖システム2である。長円形状の陸上養殖システム2は、長円水槽4、6を備え、弧状部8、10、12、14と長辺部16、18と結合部は長辺部20からなり、弧状部8、10と長辺部16、20で長円4を形成し、弧状部12、14と長辺部18、20で長円6を形成する。長円4、6の中央には中洲部22、24が設けられて、長い直線状である直線部を有する循環する水路が形成される。長辺20はその端部に水門26、28が設けられる。水門26、28は図2に示されるようにスルーゲート型水門が配置される。この水門26、28を開放することで養殖される魚類等が自在に一方の水槽4から他方の水槽6に移動することができる。移動を停止するためには水門を閉鎖する。
なお、実施例1では陸上養殖水として地下海水が用いられる。地下海水は、海域の海底から還元層を透過しした海水であり、そのために、無酸素であり、好気性細菌類が皆無である。一般に海水を無菌化するためには紫外線や、オゾンなどを使う必要があるが、地下海水ではこのような必要性もない。さらに地下水であることから温度が年間を通じて一定である。取水は井戸によって行なわれる。取水された地下海水は、長円水槽4、6に直接投入される。多くの地下海水は17〜19℃の範囲で一定水温である。このような海水を取水できる場所は全国でも多くはない。この地下海水を利用した陸上養殖は低コストで安全・安心、HACCPの認定も受けられる可能性がある。なお、養殖用に酸素の供給が行なわれる。より好ましくは酸素飽和度が60%以上の濃縮酸素の供給をおこなう。
本発明に係る陸上養殖システムの実施例2について図3を用いて説明する。実施例1と異なる点についてのみ説明する。実施例2の陸上養殖システム30は、長円水槽32と34が一定の距離を保持して配置される。長円水槽32と34の相対する端部がそれぞれ開口され水門42、44が設けられ、この水門42、44同士が水路36で結合される。
本実施例では、陸上養殖水として海洋深層水が用いられる。海洋深層水とは、一般に、太陽の光の届かない200m以深の海水で、富栄養性、清浄性、低水温性、水質安定性などの優れた資源性を有する海水である。大陸棚よりも沖合いとなる深海で採取されるため陸上より取水管を配設して採取する方法と、採取船によって汲み上げにより採取する方法が採用される。採取された海洋深層水は長円水槽32と34に直接投入される。
本発明に係る陸上養殖システムの実施例3について図4を用いて説明する。実施例1と異なる点についてのみ説明する。実施例3の陸上養殖システム50は、水門58の底部60を長円水槽52の底面に対して高めに設定する。具体的には、底部60の高さは養殖されている魚が回遊可能な水位を保持できる高さとし、その高さは長円水槽52の通常水面の高さ56となる。
一方、養殖用の魚を水門を介してもう一方の水槽62との間で移動させるためには、水位を水門58よりはるかに高い水位54の高さとする。養殖魚の移動時のみ水位を高くすることで移動を容易にできるとともに、非移動時に誤って養殖魚が移動することを防ぐことができる。ここで、水門はスルーゲート等を用いなくともできる。
本実施例では、陸上養殖水としてナノバブル水が用いられる。ナノバブル水とは、特開2005−245817号公報に開示されるこのナノバブルでは前記微小気泡を急激に縮小させる過程において、前記微小気泡の気泡径が50〜500nmまで縮小すると、前記微小気泡表面の電荷密度が上昇し、静電気的な反発力を生じることによって、前記微小気泡の縮小が停止することによって、或いは前記微小気泡を急激に縮小させる過程において、気液界面に吸着したイオンと静電気的な引力により、前記界面近傍の前記溶液中に引き寄せられた反対符号を持つ両方のイオンが微小な体積の中に高濃度に濃縮することにより、前記微小気泡周囲を取り囲む殻の働きをし、前記微小気泡内の気体が前記溶液への拡散を阻害することによって安定化していることによって、或いは前記気液界面に吸着したイオンは、水素イオンや水酸化物イオンであり、前記界面近傍に引き寄せられたイオンとして溶液中の電解質イオンを利用することによりナノバブルを安定化させることによって、或いは前記微小気泡を急激に縮小させる過程において、断熱的圧縮によって前記微小気泡内温度が急激に上昇し、前記微小気泡の周囲に超高温度に伴う物理化学的な変化を与えることで安定化させることによってより効果的に達成される。
ナノバルブを発生させるには、水溶液の入った図示しない容器内に微小気泡発生装置を用いて微小気泡を発生させる。
次に鉄、マンガン、カルシウムその他ミネラル類の電解質を加えて水溶液の電気伝導度が3mS/cm以上になるように電解質を加える。
図示しない放電発生装置を用いて、容器内の微小気泡が含まれる水溶液に水中放電を行う。この水中放電によってナノバルブが生成される。
酸素のナノバブルを多量に含んだ水には、魚介類の環境変化に対する適応性を向上させたり、衰弱した個体を急速に快復させたりする効果がある。淡水・海水魚への影響調査において捕獲時に衰弱した魚のほぼ全てが1%程度の塩分濃度のナノバブルを含む水の中で急速に回復する。また、0.5〜1.5%の広範な塩分濃度環境において30種以上の鯉や金魚などの淡水魚と鯛やヒラメなどの海水魚を6ヶ月以上の期間に渡って同一の水槽内で共存飼育することが可能である。
本発明に係る陸上養殖システムの実施例4について図5を用いて説明する。実施例1と異なる点についてのみ説明する。実施例4における陸上養殖システム64は、図1と同様な長円水槽66、68が配置される。さらに、この長円水槽66、68の上部に列状に配置する。長円水槽66の上には長円形状に照明が水門69から最も遠い70から一方の側が72、74、76、78、80と最も近い82まで配列され、他方が最も遠い70から逆周りに84、86、88最も近い照明90までが配置される。長円水槽67の上にも長円形状に照明が反時計回りに92、94、96、98、100、102、104、106、108、110が配置される。
実施例4の陸上養殖システム64により、養殖魚が鮪類等の暗黒を嫌い明るい場所を好む習性を有する場合に、一方の長円水槽66から他方の長円水槽68へ水門69を介して移動させるために長円水槽66から水門69へこれらの養殖魚を誘導することができる。
具体的には、当初、長円水槽66、68の全照明70乃至110を点灯させる。続いて最も水門69から離れた70から順に一方は72、74、76、78、80の順に消灯させ、他方は照明を84、86、88、90の順に消灯させて最後に照明82を消灯する。この消灯に追われるように養殖魚は照明が点灯している明るい領域へ移動する。
従って、水門の開閉と照明の消灯によって、水槽間の養殖魚の移動が容易に可能となる。
また、本実施例4において、長円水槽66、68を屋外に配置した場合や屋外光を採光可能に配置した場合に、長円水槽66、68に照度センサを設けて、屋外光の照度をモニタし、所定の照度、例えば500〜1500ルクスを下回る場合は、光源を点灯するように設定してもよい。
本発明に係る陸上養殖システムの実施例5について図6を用いて説明する。実施例1と異なる点についてのみ説明する。実施例5における陸上養殖システム112は、図1と同様な長円水槽113、114が配置される。このうち、長円水槽113に、エアカーテンを設けたのが実施例5である。長円水槽113に設けたエアカーテンについて説明する。
エアカーテンは、酸素や空気等のガスを供給する配給管の先に塩化ビニルのパイプを取付け、この塩化ビニルのパイプの上面に一定間隔を保ってガス放出孔を設けて水槽底面に配置することで面状にガスを水中に放出する装置である。
エアカーテンは、長円水槽113の端部に設けられる水門117から最も遠い部分にエアカーテン118が配置され、長辺部壁115と116に挟まれた水路に水門117と反対側からエアカーテン120、122、124、126および128が配置される。また、他方の長辺部壁119と121の間にも水門117から最も遠い部分にエアカーテン130が配置され、132、134、136、138及び水門部分にはエアカーテン140が配置される。
このエアカーテンに対して、一定の視力を有する鮪類の等の養殖魚は水中に存在する壁と認識する。このためこれら養殖魚がエアカーテンを発見すると回避行動を取ることとなる。なお、エアカーテンについてはたとえ養殖魚が衝突しても、スレ等の傷害が発生しないという効果も有している。
また、長円水槽113、114の底面は、波型に構成することが好ましい。水流が生じている時に水流が波型底面によって流れ方向を変化させ沈下した餌を巻き上げるからである。餌が巻き上げられることで、鮪類の養殖魚が再び餌を食することとなり、餌が無駄になったり、放置されて腐敗することで水質が汚濁することを未然に防止できるからである。
次に、本実施例5の動作について説明すると、まず、通常は、水流があるため、いずれのエアカーテンもガスを一切放出しない。続いて、水流を停止して図6において水門117を開放して長円水槽113から長円水槽114へ養殖魚を移動させたい場合は、まず、水門117から最も遠いエアカーテン118、130へガスを供給してエアカーテンを作動させる。これによって養殖魚はエアカーテン118、130との接触を避けて、エアカーテン118、130と反対側である水門117方向にあるエアカーテン120、132側へ移動する。
続いて、順次養殖魚が取り残されない程度の速度でエアカーテン120、132から順次作動させてエアカーテン122、134側へ移動させ、続いてエアカーテン122、134を作動させてエアカーテン124、136側へ移動させる。さらに、エアカーテン126、138に続いて養殖魚をエアカーテン128と138との間に追い込むこととなる。最終的にエアカーテン140を作動させて、完全に長円水槽113から長円水槽114に移動させることができ、水門117を閉鎖できる。いずれも、エアカーテンを使用するために養殖魚へスレを生じさせること無く移動が完了する。
なお、このエアカーテンは実施例4の照明と同期させて活用するとより効果的に養殖魚を移動させることができる。
本発明に係る陸上養殖システムの実施例6について図7を用いて説明する。実施例6における陸上養殖システム142は、複数のドーナツ型水槽を組み合わせて構成されたものである。最外周の最外周水槽144は、角部にRを有する長方形であり、容量が3300m3で深さが3.0mであり、2400匹相当の鮪類を育成可能であり、内部に複数の水槽が配置される。
第1の中間水槽146は、角部にRを有する長方形であり、深さが2.0mであり、容量が458m3で800匹相当の鮪類を育成可能であり、内部に2つの水槽が隣接して配置される。
第1、2の小水槽154、156は、同一形状でいずれも第1の中間水槽146の内部に隣接して設けられ、角部にRを有する正方形であり、いずれも深さが2.0mであり、容量が214m3で400匹相当の鮪類を育成可能であり、中央に中州がそれぞれ設けられる。
第2の中間水槽148は、最外周水槽144の内側であって第1の中間水槽146と濾過槽150、152を介して隣接している。第2の中間水槽148は角部にRを有する長方形であり、深さが1.5mであり、容量が533m3で1600匹相当の鮪類を育成可能であり、内部に5つの水槽が隣接して配置される。
第3、4、5、及び第6の小水槽158、160、162、164は、同一形状でいずれも第2の中間水槽148の内部に隣接して設けられ、角部にRを有する正方形であり、いずれも深さが2.0mであり、容量が214m3で400匹相当の鮪類を育成可能であり、中央に中州がそれぞれ設けられる。
また、第3及び第4の小水槽158、160と、第5及び第6の小水槽162、164との間に隙間があり、多角形状の水槽166が設けられる。水槽166は小水槽間同士で鮪類の養殖魚の移動用に用いられる。
これらの水槽は図示しないがいずれも底面が波型形状に造形される。すなわち、波型形状として流水を通過させると一端落下した餌が再び水中に舞い上がり、水中に浮遊する餌しか食することのできない鮪類等の魚にとって最適である。
このように複数の水槽を設けることで様々な温度環境での養殖魚の育成が可能となる。
マグロを常温で飼育した後、10℃から16℃の低温で一定期間養殖する。これによりトロ(脂肪)が外側の皮の方に集まりシッカリとした張りのある肉質となる。この処理をしたマグロとそうでないマグロでは生で食した場合、全く違った味となってしまうからである。
陸上養殖ではこの様な環境変化を加えられることで高温で成長速度を早めた上、最終出荷時には肉質を低温で管理することができる。
本発明に係る陸上養殖システムの実施例7について図8を用いて説明する。実施例7における陸上養殖システム170は、複数の多角形状ドーナツ型水槽を組み合わせて構成されたものである。
陸上養殖システム170は、中央に親魚用の水槽172があり、両端に養殖水槽174、176、178、180が4槽設けられ、それぞれ水路181、183、184、187で結合される。さらに、各養殖水槽174、176、178、180にはそれぞれ幼魚水槽が4槽隣接して設けられる。養殖水槽174には幼魚水槽182、184、186、188が隣接し、養殖水槽176には幼魚水槽190、192、194、196が隣接し、養殖水槽178には幼魚水槽198、200、202、204が隣接し、養殖水槽180には幼魚水槽206、208、210、212が隣接する。
親魚水槽172は、深さが8.0m3であり、養殖水槽174、176、178、180は深さが4.0mであり、容量は3000m3であり、300匹育成可能である。幼魚水槽182〜212は、各水槽はいずれも深さが2.0mであり、容量が125m3であり、100匹の幼魚を育成可能である。
なお、本実施例では、図示しないが水槽中の上下方向に水流を発生させることのできるファンが設置される。このファンは水中で回転することで、底面に落下した餌類を攪拌し、上部へ巻き上げる。この結果落下した餌が再び巻き上げられることにより養殖魚が再度食することとなる。
本発明に係る陸上養殖システムの実施例8について図9を用いて説明する。実施例8における陸上養殖システム220は、養殖水槽222の側壁224に沿って光源226を連続して連接するように水槽内方向へ向けて設置する。
そこで、管理装置278から隣接する光源の点滅後に本光源も点滅し、連続して一定方向に点滅を繰り返すように順に光源226を点滅させると、図9のように光のみが移動するように作動する。鮪類等の養殖魚は、これらの光源の移動によりあたかも水流の中を泳いでいるかのように感じる。
本発明に係る陸上養殖システムの実施例9について図10を用いて説明する。
本発明に係る陸上養殖システム280の養殖槽282は、その外形形状は一定の幅の循環する水路であって前記水路に設けられる自動給餌機290と自動給餌機手前に魚検出光学センサ284、286を配置し、魚検出光学センサ284、286の魚検出時に魚前方に餌292を供給するよう設定される。
従って、魚検出光学センサ284、286に対して養殖魚が通過すると魚検出光学センサ284、286が検出信号を制御機288に伝達される。制御機288は、直ちに自動給餌機290へ餌開放信号が伝達される。自動給餌機290は、餌開放信号を受信すると餌292を開放して養殖魚に供給する。
本実施例9を実施することで最適なタイミングで餌を供給することができるので餌が落下して無駄になることを防止する。
なお、いずれの実施例についても、本実施例に限定されるものではなく、上記実施例の一部を組み合わせたり、実施例同士を組み合わせることができるのは勿論である。
幾つかの好適な実施の形態及び実施例に関連付けして本発明を説明したが、これら実施の形態及び実施例は単に実例を挙げて発明を説明するためのものであって、限定することを意味するものではないことが理解できる。本明細書を読んだ後であれば、当業者にとって等価な構成要素や技術による数多くの変更および置換が容易であることが明白であるが、このような変更および置換は、添付の請求項の真の範囲及び精神に該当するものであることは明白である。
本発明を実施することで、陸上で鮪科の回遊魚を含む魚類の養殖において最適な養殖水を利用することができ、より高品質な養殖鮪の育成が可能となる。
本発明にかかる陸上養殖システムの実施例1において長辺部分で互いに結合する長円形状の陸上養殖システムの構成図である。
本発明にかかる陸上養殖システムの実施例2において長辺部分で互いに結合する長円形状の陸上養殖システムの構成図である。
本発明にかかる陸上養殖システムの実施例2において長辺部分で互いに水路で結合する長円形状の陸上養殖システムの構成図である。
本発明にかかる陸上養殖システムの実施例3において長辺部分で互いに結合する長円形状の陸上養殖システムの構成図である。
本発明にかかる陸上養殖システムの実施例4において長辺部分で互いに結合する照明を有する長円形状の陸上養殖システムの構成図である。
本発明にかかる陸上養殖システムの実施例5において長辺部分で互いに結合するエアカーテンを有する長円形状の陸上養殖システムの構成図である。
本発明にかかる陸上養殖システムの実施例6において大型養殖水槽の陸上養殖システムの構成図である。
本発明にかかる陸上養殖システムの実施例7において大型養殖水槽の陸上養殖システムの構成図である。
本発明にかかる陸上養殖システムの実施例5において長辺部分で互いに結合する長円形状であって、側壁に複数の照明を有する陸上養殖システムの構成図である。
本発明にかかる陸上養殖システムの実施例5において長辺部分で互いに結合する長円形状であって、側壁に複数の照明を有する陸上養殖システムの構成図である。
符号の説明
2 陸上養殖システム
4、6 長円水槽
8、10、12、14 弧状部
16、18 長辺部
20 長辺部
22、24 中洲部
26、28 水門
30 陸上養殖システム
32、34 長円水槽
42、44 水門
50 陸上養殖システム
58 水門
60 底部
52 長円水槽
62 水槽
54 水位
64 陸上養殖システム
66、68 長円水槽
69 水門
70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110 照明
112 陸上養殖システム
113、114 長円水槽
117 水門
118 エアカーテン
115、116 長辺部壁
120、122、124、126、128 エアカーテン
119、121 長辺部壁
130、132、134、136、138、140 エアカーテン
142 陸上養殖システム
144 最外周水槽
146 中間水槽
154、156 第1、2の小水槽
148 第2の中間水槽
150、152 濾過槽
158、160、162、164 第3、4、5、及び第6の小水槽
166 水槽
170 陸上養殖システム
172 親魚用の水槽
174、176、178、180 養殖水槽
181、183、184、187 水路
182、184、186、188 幼魚水槽
190、192、194、196 幼魚水槽
198、200、202、204 幼魚水槽
206、208、210、212 幼魚水槽
220 陸上養殖システム
222 養殖水槽
224 側壁
226 光源
278 管理装置
本発明は陸上鮪養殖システムにあって、特に陸上鮪養殖に最適な水を用いての陸上鮪養殖システムに関する。
本発明に関する現時点での技術水準をより十分に説明する目的で、本願で引用され或いは特定される特許、特許出願、特許公報、科学論文等の全てを、ここに、参照することでそれらの全ての説明を組入れる。
我が国にとって漁業資源は、その食材等にあって日常社会の中で、大きな比重を占めているもので、特に、マグロやカジキなどは鮮魚としての利用・消費が諸外国と比べて極めて多いものである。
しかしながら、漁獲される天然のマグロは、その資源維持や有効利用のために国際的な資源管理が図られているので、国内にあって十分な利用・消費がなされておらず、また、その供給量の不足から、市場においては高値で取引される結果となるものであった。
特に、マグロの養殖にあたっては、重要なことは海水や餌の状態あるいは十分な酸素取り入れのための回遊できる場所などが挙げられ、しかも、元来神経質なことから養殖環境も考慮しなければならない。
また、養殖中に生ずる天災などの被害もあらかじめ想定しなければならず、自ずとその養殖生け簀は、体長150cmから最大で300cmとなる巨大魚を回遊養殖させるためには、最低でも半径50mの大きさを必要とするもので、養殖に際しての前記悪条件に加え、更には、既存の漁場との関係から希望する設置場所は十分に得られなのが現状であった。
従来の水産養殖の多くは、海面を利用した小割養殖である。この場合には区画漁業権を必要とすることから企業が直接海面を利用することができない。その中でヒラメ、クルマエビなどの陸上養殖については、漁業権を必要としないことから企業体が独自で行うことが可能である。さらに陸上養殖におけるメリットとして現在問題となっている安全・安心といった食品に対するトレサビリティーについても管理しやすい。また、海面養殖では困難なHACCPの衛生管理システムについても可能となる。一方で、陸上養殖では取水が問題となる。一般的には沿岸の一部を専有化して海域に取水設備を伸ばす必要がある。
他方、海域で漁獲された魚類については、従来養殖魚よりも安全面で信頼を受けていた。しかしながら、近年では海域に環境ホルモン、重金属などが存在し、それを生物濃縮していることが明らかになっている。むしろきちんとした管理システムで養殖された魚類のほうが安全という見方になってきている。生物濃縮は生態系で高次消費者ほど蓄積が高く、マグロのような生物ではカドミウムや水銀などが生体内から検出されている。さらに、マグロのような高度回遊魚種の漁業の現状としては、200海里問題、ワシントン条約などの諸問題があり、今のような漁業がいつまで継続できるか判断が難しくなっている。
そこで、出願人らは上記課題について鋭意研究し、特許文献1や特許文献2に示されるように、螺旋状に設けた水槽内へその一側部から水を定められた流速となるように供給しつつ、水槽の他側部より排水した該水槽内に一連の水流路を形成させた状態において、水槽の一側部から魚を投入し、一連の水流路内を前記魚の遊泳速度に合わせて水槽内の水の流速を調整させ、該水槽内においてこの水槽に対する魚の遊泳移動量を抑えさせた状態で該魚を養殖させることにより、マグロの人工養殖にあって、魚に不要なストレスを与えることなく優良な品質に養殖して、安定的な市場提供を行うことができる魚類の養殖装置およびその方法を提案している。
また、特許文献2では、「内部に魚類を収容する水槽と、水槽より上部に設けられるタンクと、該水槽の一側部へ接続させた前記魚類が生息し得る水を前記タンクから導入する供給手段と、前記水槽の他側部に接続させて該水槽内の水を排出する連結手段と、前記水槽の適所に設けた魚の投入部および魚の取出部とを有する魚類の養殖装置にあって、前記水槽は、その内部を前記一側部から前記他側部にわたって一連となる空洞の筒状に形成して、前記一側部から前記他側部に至るまでを螺旋状となるように設けてあり、前記内部を前記供給手段と前記連結手段とによって前記水を定められた流速となるように充満させたことを特徴とする魚類の養殖装置において、前記水槽の下部に円筒状の下部貯水タンクを設け、前記下部貯水タンクの側面に開口部を設けて前記連結手段と連結して前記水の自重により前記流速で下部貯水タンク内の水平底面上を流すことで前記連結手段における魚の挟みこみを防止することを特徴とする魚類の養殖装置」を開発している。
特許第3584030号公報
特願2005−122335号(特開2006−296283号公報)
しかしながら、上記特許文献1、特許文献2のいずれにおいても一定の温度でかつ清廉な養殖用の海水の確保が重大な課題となってくる。一般に表層海水は、冬においても暖かな海水を入手できるという利点や、取水が陸上からできるなどの長所を有している。しかしながら、温度は昼夜や季節に応じて大きく変化し、また、プランクトンや藻を含む様々な生物の混入が指摘されている。これらの生物を除去するためにかえって薬類の混入が必要となる。
そこで、本発明の目的はマグロの陸上養殖システムにあって、特に陸上鮪養殖に最適な水を用いる陸上鮪養殖システムを提供することにある。
本発明にかかる陸上鮪養殖システムは、陸上に設置された養殖槽と、陸上鮪養殖に適した陸上鮪養殖水と、前記養殖槽に設けた前記陸上鮪養殖水を排水する排水口とを備える。
また、前記陸上鮪養殖水は地下海水であることを特徴とする。さらに、前記陸上鮪養殖水は海洋深層水であってもよく、前記陸上鮪養殖水は微小気泡含有水であることを特徴とする。
さらに、前記養殖槽の底面は、波形状であることを特徴とする。
次に前記養殖槽は、その底面より一定の高さに餌浮上用ファンを配置したことを特徴とする。
加えて前記養殖槽は、その外形形状は一定の幅の循環する水路であって特に直線状部を含むことを特徴とする。
続いて、前記養殖槽は、その外形形状は一定の幅の循環する水路であって特に直線状部以外が円弧状であることを特徴とする。
また、前記養殖槽は、その外形形状は一定の幅の循環する水路であって特に直線状部以外が多角形状であることを特徴とする。
さらに、前記養殖槽は、複数の一定の幅の循環する水路を有して隣接する水路は互いに水門を介して接続されること特徴とする。
次に前記養殖槽は、その外形形状は一定の幅の循環する水路であって前記水路上部に水路を照射する光源を全水路に沿って複数個配置して任意の部分を照射できるように設定されることを特徴とする。
加えて前記光源は、外光照度センサを内蔵して外光が一定の照度以下で点灯するよう設定される。
続いて、前記養殖槽は、その外形形状は一定の幅の循環する水路であって前記水路の側壁部に水路方向を照射する光源を全水路に沿って複数個配置して水流に相当する速度で各光源を連続して点滅できるように設定されることを特徴とする。
また、前記養殖槽は、その外形形状は一定の幅の循環する水路であって前記水路の底部にガスを供給するパイプを水路幅と同一の長さで一定間隔毎に全水路に渡って配置し、任意のパイプからガスを水中に放出できるように設定されることを特徴とする。
さらに、前記養殖槽は、その外形形状は一定の幅の循環する水路であって前記水路に設けられ水路中の任意の一部の水位を自在に調整するための水槽水制御口を有することを特徴とする。
次に前記養殖槽は、その外形形状は一定の幅の循環する水路であって前記水路に設けられる自動給餌機と自動給餌機手前に魚検出光学センサを配置し、魚検出光学センサの魚検出時に魚前方に餌を供給するよう設定されることを特徴とする。
前記養殖槽は、育成時は常温で育成し、出荷直前に低温で育成してもよい。
本発明を実施することでマグロの陸上養殖システムにあって、特に陸上鮪養殖に最適な水を用いることでできる。また、温度は昼夜や季節に応じて大きく変化せず、また、プランクトンや藻を含む様々な生物の混入がないため、養殖魚の発病を予防し、これらの生物を除去するためにかえって薬類の混入をする必要がない。
以下に、この発明の実施形態例を、図面を用いて説明する。
本発明に係る陸上鮪養殖システムの実施例1について図1、2を用いて説明する。図1、2に示すのは長辺部分で互いに結合する長円形状の陸上鮪養殖システム2である。長円形状の陸上鮪養殖システム2は、長円水槽4、6を備え、弧状部8、10、12、14と長辺部16、18と結合部は長辺部20からなり、弧状部8、10と長辺部16、20で長円4を形成し、弧状部12、14と長辺部18、20で長円6を形成する。長円4、6の中央には中洲部22、24が設けられて、長い直線状である直線部を有する循環する水路が形成される。長辺20はその端部に水門26、28が設けられる。水門26、28は図2に示されるようにスルーゲート型水門が配置される。この水門26、28を開放することで養殖される魚類等が自在に一方の水槽4から他方の水槽6に移動することができる。移動を停止するためには水門を閉鎖する。
なお、実施例1では陸上鮪養殖水として地下海水が用いられる。地下海水は、海域の海底から還元層を透過した海水であり、そのために、無酸素であり、好気性細菌類が皆無である。一般に海水を無菌化するためには紫外線や、オゾンなどを使う必要があるが、地下海水ではこのような必要性もない。さらに地下水であることから温度が年間を通じて一定である。取水は井戸によって行なわれる。取水された地下海水は、長円水槽4、6に直接投入される。多くの地下海水は17〜19℃の範囲で一定水温である。このような海水を取水できる場所は全国でも多くはない。この地下海水を利用した陸上養殖は低コストで安全・安心、HACCPの認定も受けられる可能性がある。なお、養殖用に酸素の供給が行なわれる。より好ましくは酸素飽和度が60%以上の濃縮酸素の供給をおこなう。
本発明に係る陸上鮪養殖システムの実施例2について図3を用いて説明する。実施例1と異なる点についてのみ説明する。実施例2の陸上鮪養殖システム30は、長円水槽32と34が一定の距離を保持して配置される。長円水槽32と34の相対する端部がそれぞれ開口され水門42、44が設けられ、この水門42、44同士が水路36で結合される。
本実施例では、陸上鮪養殖水として海洋深層水が用いられる。海洋深層水とは、一般に、太陽の光の届かない200m以深の海水で、富栄養性、清浄性、低水温性、水質安定性などの優れた資源性を有する海水である。大陸棚よりも沖合いとなる深海で採取されるため陸上より取水管を配設して採取する方法と、採取船によって汲み上げにより採取する方法が採用される。採取された海洋深層水は長円水槽32と34に直接投入される。
本発明に係る陸上鮪養殖システムの実施例3について図4を用いて説明する。実施例1と異なる点についてのみ説明する。実施例3の陸上鮪養殖システム50は、水門58の底部60を長円水槽52の底面に対して高めに設定する。具体的には、底部60の高さは養殖されている魚が回遊可能な水位を保持できる高さとし、その高さは長円水槽52の通常水面の高さ56となる。
一方、養殖用の魚を水門を介してもう一方の水槽62との間で移動させるためには、水位を水門58よりはるかに高い水位54の高さとする。養殖魚の移動時のみ水位を高くすることで移動を容易にできるとともに、非移動時に誤って養殖魚が移動することを防ぐことができる。ここで、水門はスルーゲート等を用いなくともできる。
本実施例では、陸上養殖水として微小気泡水が用いられる。微小気泡水とは、特開2005−245817号公報に開示されるこのナノバブルでは前記微小気泡を急激に縮小させる過程において、前記微小気泡の気泡径が50〜500nmまで縮小すると、前記微小気泡表面の電荷密度が上昇し、静電気的な反発力を生じることによって、前記微小気泡の縮小が停止することによって、或いは前記微小気泡を急激に縮小させる過程において、気液界面に吸着したイオンと静電気的な引力により、前記界面近傍の前記溶液中に引き寄せられた反対符号を持つ両方のイオンが微小な体積の中に高濃度に濃縮することにより、前記微小気泡周囲を取り囲む殻の働きをし、前記微小気泡内の気体が前記溶液への拡散を阻害することによって安定化していることによって、或いは前記気液界面に吸着したイオンは、水素イオンや水酸化物イオンであり、前記界面近傍に引き寄せられたイオンとして溶液中の電解質イオンを利用することによりナノバブルを安定化させることによって、或いは前記微小気泡を急激に縮小させる過程において、断熱的圧縮によって前記微小気泡内温度が急激に上昇し、前記微小気泡の周囲に超高温度に伴う物理化学的な変化を与えることで安定化させることによってより効果的に達成される。
ナノバブルを発生させるには、水溶液の入った図示しない容器内に微小気泡発生装置を用いて微小気泡を発生させる。
次に鉄、マンガン、カルシウムその他ミネラル類の電解質を加えて水溶液の電気伝導度が3mS/cm以上になるように電解質を加える。
図示しない放電発生装置を用いて、容器内の微小気泡が含まれる水溶液に水中放電を行う。この水中放電によってナノバルブが生成される。
酸素のナノバブルを多量に含んだ水には、魚介類の環境変化に対する適応性を向上させたり、衰弱した個体を急速に快復させたりする効果がある。淡水・海水魚への影響調査において捕獲時に衰弱した魚のほぼ全てが1%程度の塩分濃度のナノバブルを含む水の中で急速に回復する。また、0.5〜1.5%の広範な塩分濃度環境において30種以上の鯉や金魚などの淡水魚と鯛やヒラメなどの海水魚を6ヶ月以上の期間に渡って同一の水槽内で共存飼育することが可能である。
本発明に係る陸上鮪養殖システムの実施例4について図5を用いて説明する。実施例1と異なる点についてのみ説明する。実施例4における陸上鮪養殖システム64は、図1と同様な長円水槽66、68が配置される。さらに、この長円水槽66、68の上部に列状に配置する。長円水槽66の上には長円形状に照明が水門69から最も遠い70から一方の側が72、74、76、78、80と最も近い82まで配列され、他方が最も遠い70から逆周りに84、86、88と最も近い照明90までが配置される。長円水槽67の上にも長円形状に照明92、94、96、98、100、102、104、106、108、110が反時計回りに配置される。
実施例4の陸上鮪養殖システム64により、養殖魚が暗黒を嫌い明るい場所を好む習性を有する鮪類の場合に、一方の長円水槽66から他方の長円水槽68へ水門69を介して移動させるために長円水槽66から水門69へこれらの養殖魚を誘導することができる。
具体的には、当初、長円水槽66、68の全照明70乃至110を点灯させる。続いて最も水門69から離れた70から順に一方は72、74、76、78、80の順に消灯させ、他方は照明を84、86、88、90の順に消灯させて最後に照明82を消灯する。この消灯に追われるように養殖魚は照明が点灯している明るい領域へ移動する。
従って、水門の開閉と照明の消灯によって、水槽間の養殖魚の移動が容易に可能となる。
また、本実施例4において、長円水槽66、68を屋外に配置した場合や屋外光を採光可能に配置した場合に、長円水槽66、68に照度センサを設けて、屋外光の照度をモニタし、所定の照度、例えば500〜1500ルクスを下回る場合は、光源を点灯するように設定してもよい。
本発明に係る陸上鮪養殖システムの実施例5について図6を用いて説明する。実施例1と異なる点についてのみ説明する。実施例5における陸上鮪養殖システム112は、図1と同様な長円水槽113、114が配置される。このうち、長円水槽113に、エアカーテンを設けたのが実施例5である。長円水槽113に設けたエアカーテンについて説明する。
エアカーテンは、酸素や空気等のガスを供給する配給管の先に塩化ビニルのパイプを取付け、この塩化ビニルのパイプの上面に一定間隔を保ってガス放出孔を設けて水槽底面に配置することで面状にガスを水中に放出する装置である。
エアカーテンは、長円水槽113の端部に設けられる水門117から最も遠い部分にエアカーテン118が配置され、長辺部壁115と116に挟まれた水路に水門117と反対側からエアカーテン120、122、124、126および128が配置される。また、他方の長辺部壁119と121の間にも水門117から最も遠い部分にエアカーテン130が配置され、132、134、136、138及び水門部分にはエアカーテン140が配置される。
このエアカーテンに対して、一定の視力を有する鮪類は水中に存在する壁と認識する。このためこれら養殖魚がエアカーテンを発見すると回避行動を取ることとなる。なお、エアカーテンについてはたとえ養殖魚が衝突しても、スレ等の傷害が発生しないという効果も有している。
また、長円水槽113、114の底面は、波型に構成することが好ましい。水流が生じている時に水流が波型底面によって流れ方向を変化させ沈下した餌を巻き上げるからである。餌が巻き上げられることで、鮪類の養殖魚が再び餌を食することとなり、餌が無駄になったり、放置されて腐敗することで水質が汚濁することを未然に防止できるからである。
次に、本実施例5の動作について説明すると、まず、通常は、水流があるため、いずれのエアカーテンもガスを一切放出しない。続いて、水流を停止して図6において水門117を開放して長円水槽113から長円水槽114へ養殖魚を移動させたい場合は、まず、水門117から最も遠いエアカーテン118、130へガスを供給してエアカーテンを作動させる。これによって養殖魚はエアカーテン118、130との接触を避けて、エアカーテン118、130と反対側である水門117方向にあるエアカーテン120、132側へ移動する。
続いて、順次養殖魚が取り残されない程度の速度でエアカーテン120、132から順次作動させてエアカーテン122、134側へ移動させ、続いてエアカーテン122、134を作動させてエアカーテン124、136側へ移動させる。さらに、エアカーテン126、138に続いて養殖魚をエアカーテン128と138との間に追い込むこととなる。最終的にエアカーテン140を作動させて、完全に長円水槽113から長円水槽114に移動させることができ、水門117を閉鎖できる。いずれも、エアカーテンを使用するために養殖魚へスレを生じさせること無く移動が完了する。
なお、このエアカーテンは実施例4の照明と同期させて活用するとより効果的に養殖魚を移動させることができる。
本発明に係る陸上鮪養殖システムの実施例6について図7を用いて説明する。実施例6における陸上鮪養殖システム142は、複数のドーナツ型水槽を組み合わせて構成されたものである。最外周の最外周水槽144は、角部にRを有する長方形であり、容量が3300m3で深さが3.0mであり、2400匹相当の鮪類を育成可能であり、内部に複数の水槽が配置される。
第1の中間水槽146は、角部にRを有する長方形であり、深さが2.0mであり、容量が458m3で800匹相当の鮪類を育成可能であり、内部に2つの水槽が隣接して配置される。
第1、2の小水槽154、156は、同一形状でいずれも第1の中間水槽146の内部に隣接して設けられ、角部にRを有する正方形であり、いずれも深さが2.0mであり、容量が214m3で400匹相当の鮪類を育成可能であり、中央に中州がそれぞれ設けられる。
第2の中間水槽148は、最外周水槽144の内側であって第1の中間水槽146と濾過槽150、152を介して隣接している。第2の中間水槽148は角部にRを有する長方形であり、深さが1.5mであり、容量が533m3で1600匹相当の鮪類を育成可能であり、内部に5つの水槽が隣接して配置される。
第3、4、5、及び第6の小水槽158、160、162、164は、同一形状でいずれも第2の中間水槽148の内部に隣接して設けられ、角部にRを有する正方形であり、いずれも深さが2.0mであり、容量が214m3で400匹相当の鮪類を育成可能であり、中央に中州がそれぞれ設けられる。
また、第3及び第4の小水槽158、160と、第5及び第6の小水槽162、164との間に隙間があり、多角形状の水槽166が設けられる。水槽166は小水槽間同士で鮪類の養殖魚の移動用に用いられる。
これらの水槽は図示しないがいずれも底面が波型形状に造形される。すなわち、波型形状として流水を通過させると一端落下した餌が再び水中に舞い上がり、水中に浮遊する餌しか食することのできない鮪類等の魚にとって最適である。
このように複数の水槽を設けることで様々な温度環境での養殖魚の育成が可能となる。
マグロを常温で飼育した後、10℃から16℃の低温で一定期間養殖する。これによりトロ(脂肪)が外側の皮の方に集まりシッカリとした張りのある肉質となる。この処理をしたマグロとそうでないマグロでは生で食した場合、全く違った味となってしまうからである。
陸上養殖ではこの様な環境変化を加えられることで高温で成長速度を早めた上、最終出荷時には肉質を低温で管理することができる。
本発明に係る陸上鮪養殖システムの実施例7について図8を用いて説明する。実施例7における陸上鮪養殖システム170は、複数の多角形状ドーナツ型水槽を組み合わせて構成されたものである。
陸上鮪養殖システム170は、中央に親魚用の水槽172があり、両端に養殖水槽174、176、178、180が4槽設けられ、それぞれ水路181、183、184、187で結合される。さらに、各養殖水槽174、176、178、180にはそれぞれ幼魚水槽が4槽隣接して設けられる。養殖水槽174には幼魚水槽182、184、186、188が隣接し、養殖水槽176には幼魚水槽190、192、194、196が隣接し、養殖水槽178には幼魚水槽198、200、202、204が隣接し、養殖水槽180には幼魚水槽206、208、210、212が隣接する。
親魚水槽172は、深さが8.0m3であり、養殖水槽174、176、178、180は深さが4.0mであり、容量は3000m3であり、300匹育成可能である。幼魚水槽182〜212は、各水槽はいずれも深さが2.0mであり、容量が125m3であり、100匹の幼魚を育成可能である。
なお、本実施例では、図示しないが水槽中の上下方向に水流を発生させることのできるファンが設置される。このファンは水中で回転することで、底面に落下した餌類を攪拌し、上部へ巻き上げる。この結果落下した餌が再び巻き上げられることにより養殖魚が再度食することとなる。
本発明に係る陸上鮪養殖システムの実施例8について図9を用いて説明する。実施例8における陸上鮪養殖システム220は、養殖水槽222の側壁224に沿って光源226を連続して連接するように水槽内方向へ向けて設置する。
そこで、管理装置278から隣接する光源の点滅後に本光源も点滅し、連続して一定方向に点滅を繰り返すように順に光源226を点滅させると、図9のように光のみが移動するように作動する。鮪類等の養殖魚は、これらの光源の移動によりあたかも水流の中を泳いでいるかのように感じる。
本発明に係る陸上鮪養殖システムの実施例9について図10を用いて説明する。
本発明に係る陸上鮪養殖システム280の養殖槽282は、その外形形状は一定の幅の循環する水路であって前記水路に設けられる自動給餌機290と自動給餌機手前に魚検出光学センサ284、286を配置し、魚検出光学センサ284、286の魚検出時に魚前方に餌292を供給するよう設定される。
従って、魚検出光学センサ284、286に対して養殖魚が通過すると魚検出光学センサ284、286が検出信号を制御機288に伝達される。制御機288は、直ちに自動給餌機290へ餌開放信号が伝達される。自動給餌機290は、餌開放信号を受信すると餌292を開放して養殖魚に供給する。
本実施例9を実施することで最適なタイミングで餌を供給することができるので餌が落下して無駄になることを防止する。
なお、いずれの実施例についても、本実施例に限定されるものではなく、上記実施例の一部を組み合わせたり、実施例同士を組み合わせることができるのは勿論である。
幾つかの好適な実施の形態及び実施例に関連付けして本発明を説明したが、これら実施の形態及び実施例は単に実例を挙げて発明を説明するためのものであって、限定することを意味するものではないことが理解できる。本明細書を読んだ後であれば、当業者にとって等価な構成要素や技術による数多くの変更および置換が容易であることが明白であるが、このような変更および置換は、添付の請求項の真の範囲及び精神に該当するものであることは明白である。
本発明を実施することで、陸上で鮪科の回遊魚を含む魚類の養殖において最適な養殖水を利用することができ、より高品質な養殖鮪の育成が可能となる。
本発明にかかる陸上鮪養殖システムの実施例1において長辺部分で互いに結合する長円形状の陸上鮪養殖システムの構成図である。
本発明にかかる陸上鮪養殖システムの実施例2において長辺部分で互いに結合する長円形状の陸上鮪養殖システムの構成図である。
本発明にかかる陸上鮪養殖システムの実施例2において長辺部分で互いに水路で結合する長円形状の陸上鮪養殖システムの構成図である。
本発明にかかる陸上鮪養殖システムの実施例3において長辺部分で互いに結合する長円形状の陸上鮪養殖システムの構成図である。
本発明にかかる陸上鮪養殖システムの実施例4において長辺部分で互いに結合する照明を有する長円形状の陸上鮪養殖システムの構成図である。
本発明にかかる陸上鮪養殖システムの実施例5において長辺部分で互いに結合するエアカーテンを有する長円形状の陸上鮪養殖システムの構成図である。
本発明にかかる陸上鮪養殖システムの実施例6において大型養殖水槽の陸上鮪養殖システムの構成図である。
本発明にかかる陸上鮪養殖システムの実施例7において大型養殖水槽の陸上鮪養殖システムの構成図である。
本発明にかかる陸上鮪養殖システムの実施例5において長辺部分で互いに結合する長円形状であって、側壁に複数の照明を有する陸上鮪養殖システムの構成図である。
本発明にかかる陸上鮪養殖システムの実施例5において長辺部分で互いに結合する長円形状であって、側壁に複数の照明を有する陸上鮪養殖システムの構成図である。
符号の説明
2 陸上養殖システム
4,6 長円水槽
8、10、12、14 弧状部
16、18 長辺部
20 長辺部
22,24 中洲部
26,28 水門
30 陸上養殖システム
32、34 長円水槽
42,44 水門
50 陸上養殖システム
58 水門
60 底部
52 長円水槽
62 水槽
54 水位
64 陸上養殖システム
66,68 長円水槽
69 水門
70、72,74,76,78,80、82、84、86、88、90、92,94,96,98,100,102,104,106,108,110 照明
112 陸上養殖システム
113,114 長円水槽
117 水門
118 エアカーテン
115、116 長辺部壁
120,122、124,126、128 エアカーテン
119、121 長辺部壁
130、132,134,136、138、140 エアカーテン
142 陸上養殖システム
144 最外周水槽
146 中間水槽
154,156 第1、2の小水槽
148 第2の中間水槽
150,152 濾過槽
158,160,162,164 第3,4,5、及び第6の小水槽
166 水槽
170 陸上養殖システム
172 親魚用の水槽
174,176,178,180 養殖水槽
181,183,184,187 水路
182,184,186,188 幼魚水槽
190,192,194,196 幼魚水槽
198,200,202,204 幼魚水槽
206,208,210,212 幼魚水槽
220 陸上養殖システム
222 養殖水槽
224 側壁
226 光源
278 管理装置
本発明にかかる陸上鮪養殖システムは、陸上に設置された養殖槽と、陸上鮪養殖に適した陸上鮪養殖水と、前記養殖槽に設けた前記陸上鮪養殖水を排水する排水口とを備え、前記養殖槽は、その外形形状は一定の幅の循環する水路であって特に直線状部を含み、前記養殖槽の底面は、波形状であることを特徴とする。
本発明にかかる陸上鮪養殖システムは、陸上に設置された養殖槽と、陸上鮪養殖に適した陸上鮪養殖水と、前記養殖槽に設けた前記陸上鮪養殖水を排水する排水口とを備え、
前記養殖槽は、その外形形状は一定の幅の循環する水路であって特に直線状部を含み、
前記養殖槽の底面は、波形状であることを特徴とする陸上鮪養殖システムにおいて、
前記養殖槽は、その外形形状は一定の幅の循環する水路であって前記水路上部に水路を照射する光源を全水路に沿って複数個配置して任意の部分を照射できるように設定されるとともに、
前記光源は、外光照度センサを内蔵して外光が一定の照度以下で点灯するよう設定されることを特徴とする。
本発明にかかる陸上鮪養殖システムは、陸上に設置された養殖槽と、陸上鮪養殖に適した陸上鮪養殖水と、前記養殖槽に設けた前記陸上鮪養殖水を排水する排水口とを備え、前記養殖槽は、その外形形状は一定の幅の循環する水路であって特に直線状部を含み、前記養殖槽の底面は、波形状であり、前記養殖槽は、前記水路上部に水路を照射する光源を全水路に沿って複数個配置して任意の部分を照射できるように設定されるとともに、前記光源は、外光照度センサを内蔵して外光が一定の照度以下で点灯するよう設定される陸上鮪養殖システムにおいて、前記養殖槽は、前記水路の側壁部に水路方向を照射する更なる光源を全水路に沿って複数個配置して水流に相当する速度で各光源を連続して点滅できるように設定されることを特徴とする。