JP2008147324A - インダクタンス素子 - Google Patents

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Abstract


【課題】 磁性体粉末からなる圧粉成形体に空心コイルが埋め込まれたインダクタンス素子において、エネルギー損失が少なく効率の高いインダクタンス素子を得る。
【解決手段】 圧粉成形体14に空心コイル11が埋め込まれてなるインダクタンス素子において、圧粉成形体14の上下面の一方もしくは両方に、円錐状の凹部15を設ける。また、インダクタンス素子に埋め込まれた空心コイル11の両端部分16,17の巻き径の内径を、いずれも空心コイル11の中央部分18の巻き径の内径よりも大きくする。
【選択図】 図1

Description

本発明は空心コイルの内部および周囲に磁性体粉末を充填し、圧粉成形によって形成されるインダクタンス素子に関する。
近年、ノートパソコンやPDA(Personal Digital Assistants)などに用いられるCPU(Central Processing Unit)の小型化、高性能化に伴い、これらの機器の消費電力が増加する傾向にある。そのための大電流化に対応できるよう電源部の強化が求められており、電源回路に用いられる回路素子における電力効率の改善、および小型化の要求が強まっている。
比較的大きな電流を供給する電源回路に用いられるチョークコイルとしては、磁気飽和を起こしにくく、かつ高い飽和磁束密度を有する、軟磁性金属粉末を成型した圧粉磁心を採用したインダクタンス素子が一般に用いられている。しかし近年では、圧粉成形体の内部に空心コイルを埋め込んで一体成形し、圧粉磁心とコイルとを一体化したインダクタンス素子が提案されている。このような構成ではデッドスペースが極めて少なくなるため、インダクタンス素子の小型化に適した構成といえる。
図5は特許文献1に示される、このような圧粉成形体の従来例である。図5(a)は特許文献1に記載の圧粉成形体の上面図であり、内部に埋め込まれた空心コイル51は点線にて示している。また図5(b)はこの圧粉成形体の図5(a)のA−A’における断面図である。図5において、空心コイル51はエッジワイズ巻きに形成された平角導線52からなり、両端部に電極端子53が設けられて圧粉成形体54の内部に埋設されている。
なお図5において圧粉成形体54の上面および下面の両端部にはそれぞれ凹部55が設けられているが、これはインダクタンス素子の一体成形後に電極端子53の折り曲げ加工などを行う際に、電極端子53の取り出し領域においてクラックが発生することを防ぐための、特許文献1における工夫である。平角導線52による空心コイルの外周部は内周部よりも厚さが薄くなるため、平角導線52の断面は一般にくさび形となっている。圧粉成形体54の成型時に電極端子53が存在する領域において、上下から圧力を加えて凹部55を形成するようにすれば、平角導線52は図5に示されるように断面が三角形状に押し潰されることになって圧粉成形体54が高密度に充填され、成型時のクラックの発生を防止することができる。
以上記した従来の一体成形されたインダクタンス素子では、高飽和磁束密度を有する軟磁性金属粉末を樹脂バインダーと共に成型し、磁性体によってコイル部分を被覆する構成としている。これによって優れた直流重畳特性が得られるものの、一方で圧粉成形体からなる磁心部分の透磁率が20〜60と、従来よりインダクタンス素子の磁心材料として用いられてきたフェライトなどの高透磁率材料にくらべるとかなり低いため、漏洩磁束が大きくなってしまうという問題があった。一般に漏洩磁束は高周波ノイズの原因となるために、周辺回路に与える影響が懸念されるほか、エネルギー損失を増加させることにもつながるので、結果としてインダクタンス素子が用いられる電源回路の効率を低下させる要因となる場合がある。
さらにインダクタンス素子が用いられる電源部分の小型化のために、その素子厚みを薄くした場合には、内部に埋め込まれた空心コイルの中心軸に垂直な、インダクタンス素子の上下の両端面(以下インダクタンス素子の上下面と記述)からの漏洩磁束がとりわけ大きくなってしまうため、このことがインダクタンス素子の小型低背化の障害となっていた。特許文献2は、このようなインダクタンス素子の上下面からの漏洩磁束の問題の改善を図った、一体成形されたインダクタンス素子の例である。
図6をもとに、特許文献2に開示された従来の圧粉成形体の例について説明する。図6(a)は特許文献1に記載の圧粉成形体の斜視透視図であり、圧粉成形体64の外形は点線により示している。また図6(b)はこの圧粉成形体64の図6(a)のA−A’における断面図である。図6において、空心コイル61は金属板を打ち抜いて折り曲げ加工を行うことで同心円状に構成されたものであり、絶縁被覆66により表面が被覆されている。空心コイル61の両端部には電極端子63が設けられており、前記電極端子63には金属被覆67が施されている。圧粉成形体64の上部には銅製のショートリング65が設けられていて、インダクタンス素子からの漏洩磁束を防止する役割を果たしている。
特開2003−309024号公報 特開2005−5287号公報
しかしながら、特許文献2にて開示されている、ショートリングを用いた圧粉成形体のインダクタンス素子においては、ショートリングの存在によって素子のインダクタンス値が低下してしまうという問題があった。このため、回路構成に必要なインダクタンス値を確保するには、ショートリングを用いない場合に比べてインダクタンス素子の体積を増加させなくてはならず、このことはインダクタンス素子の小型化、低背化を妨げる要因となる。また圧粉成形体の表面もしくは内部に、ショートリングという空心コイルとは別の構成要素を設けることになるので、圧粉成形体の加圧成型の際に磁性体粉末の均一な充填が難しくなって製造工程の難度が上昇することにつながるほか、ショートリングの追加に相当する、インダクタンス素子の材料コストの増加を招くことにもなる。
本発明は前記の課題を解決するものであって、漏洩磁束が少なく、かつ高効率で、低背化が可能な構成である、圧粉成形体の加圧成型によって形成されるインダクタンス素子を提供するものである。
上記課題を解決するために、本発明においては、磁性体粉末からなる圧粉成形体に空心コイルが埋め込まれたインダクタンス素子において、その上下面近傍における磁束の集中を緩和する構造を設けることにより、インダクタンス素子の上下面の中心領域から外部に伸びる漏洩磁束の減少を図る。そのための第1の手段として、インダクタンス素子の上下面の少なくとも一方に円錐状の凹部を設け、かつその円錐状の凹部の中心軸が、素子の内部に埋め込まれた空心コイルの中心軸と一致するように構成する。また第2の手段として、インダクタンス素子の内部に埋め込む空心コイルの両端部分の巻き径を、いずれもその中央部分よりも大きくして、空心コイル全体の形状をつづみ状に構成する。
この2種類の手段により、空心コイルの内部を通過してインダクタンス素子の外部に漏洩する磁束が形成する磁力線は、インダクタンス素子の中心領域では上下面の近傍で外側に向けて大きく曲げられることとなり、それによってインダクタンス素子から漏洩する磁束の量の減少がもたらされる。インダクタンス素子の上下面に設けられた円錐状の凹部は、通過する磁力線の向きを外側に曲げるためのガイドの役割を果たすことになり、また空心コイルの両端部分での巻き径の拡大は、磁力線の方向が外側に曲がる際の通過経路を拡大する作用を果たしている。これら2種類の作用が相乗されて、結果としてインダクタンス素子の外側に向けて磁力線が大きく曲げられる効果が生じることとなる。
なお、インダクタンス素子の上下面に設けられる円錐状の凹部の中心点の深さは、インダクタンス素子全体の高さに対してそれぞれ5〜15%の範囲とすることが望ましい。この深さが5%以下の場合には漏洩磁束を低減する効果が十分に得られず、また15%以上の場合には結果的にインダクタンス素子のうちの磁束が通過できる領域の体積が減少することになり、それによる飽和電流値の低下が避けられないからである。また、インダクタンス素子の上下面に設けられた円錐状の凹部は、その中心軸が、素子内部に埋め込まれた空心コイルの中心軸と一致している必要がある。ここで円錐状の凹部の中心軸の延長が、空心コイルを形成する導体線より外側にはみ出さない程度に中心軸が一致していれば、本発明の効果を奏するものである。
即ち、本発明は、内部に空心コイルが埋設された圧粉成形体からなり、前記圧粉成形体が、前記空心コイルの中心軸に垂直な2つの端面を有しており、前記端面のうちの少なくとも1つの面に円錐状の凹部が設けられていて、前記円錐状の凹部の中心軸が、前記空心コイルの中心軸と一致していることを特徴とする、インダクタンス素子である。
また、本発明は、前記端面に設けられている前記円錐状の凹部が、前記2つの端面の両方にそれぞれ設けられていることを特徴とする、インダクタンス素子である。
さらに、本発明は、前記円錐状の凹部の中心深さが、前記空心コイルの中心軸に垂直な2つの端面間距離に対して5〜15%の範囲であることを特徴とする、インダクタンス素子である。
さらに、本発明は、前記空心コイルの両端部分の巻き径の内径が、いずれも前記空心コイルの中央部分の巻き径の内径よりも大きいことを特徴とする、インダクタンス素子である。
さらに、本発明は、前記圧粉成形体を構成する成形体粉末が、軟磁性体粉末および樹脂バインダーの複合体を含み構成されていることを特徴とする、インダクタンス素子である。
本発明によれば、磁性体粉末からなる圧粉成形体に空心コイルが埋め込まれたインダクタンス素子において、その上下面近傍からの漏洩磁束が少ない、従ってその実装時に周辺回路に与える影響が少ないインダクタンス素子を提供することができる。また、このようなインダクタンス素子では漏洩磁束が少ないことによって、結果として素子のインダクタンス値が高くなるため、エネルギー損失が少なく効率の高いインダクタンス素子の提供が可能となる。
しかも、インダクタンス素子の上下面近傍における磁束の集中により生じていた磁気飽和が低減されるため、直流重畳特性の良好なインダクタンス素子の提供が可能となる。さらに、インダクタンス素子の上下面に円錐状の凹部を設けることにより、圧粉成形体を構成する磁性体粉末の使用量を若干ではあるが削減することができるため、製造コストの面においても有益である。
本発明の実施の形態に係るインダクタンス素子について、図1〜図4に基づいて以下に説明する。
図1は、本発明におけるインダクタンス素子の実施の形態を示す図である。図1(a)はその斜視図、図1(b)は図1(a)のインダクタンス素子に埋め込まれる空心コイルの正面図である。なお図1(a)では内部に埋め込まれている空心コイル11は省略している。図1(a)において、磁性体粉末を固化してなる圧粉成形体14の上下にはそれぞれ円錐状の凹部15が形成されており、その中心軸は、図示していない空心コイル11の中心軸と互いに一致するように形成されている。また図1(b)において、空心コイル11は平角導線12からなり、その両端部分16,17は、巻き径の内径が中央部分18に比べて大きくなるように構成されている。空心コイル11の両端部には幅を広くした電極端子13が形成されていて、この部分は空心コイル11が圧粉成形体14内に埋め込まれた際には圧粉成形体の外部に露出して、外部電極の役割を果たす。
一方、図2は本発明の実施の形態、および比較例におけるインダクタンス素子の、各素子の内部とその近傍での磁力線の流れを模式的に示したものである。図2(a)は本発明の実施の形態におけるインダクタンス素子の断面図、図2(b)は比較例における断面図を示している。図2(a)および図2(b)の断面図に示すように、圧粉成形体24の内部に埋め込まれている空心コイル21は平角導線22から構成されており、その表面は絶縁被覆30によって被覆されている。本発明の実施の形態を示す図2(a)の断面図においては、空心コイル21の両端部分26,27は中央部分28よりも巻き径の内径が拡大されたつづみ状のコイルを形成しているが、比較例の図2(b)の断面図においては三者の巻き径は同一であり、円筒状のコイルとなっている。また円錐状の凹部25も図2(a)の断面図にのみ設けられている。
図2(b)に示す比較例は、特許文献1に記載の圧粉成形体の従来例に相当するものであって、本発明の実施の形態とは異なり、インダクタンス素子の上下面に円錐状の凹部が設けられておらず、また空心コイルの両端部分での巻き径の内径の拡大も行なわれていない。図2(a)と図2(b)の相違から、従来のインダクタンス素子である比較例の場合には、圧粉成形体の内部を通過する磁束が、素子の上下部からより多く漏洩していることが分かる。これに対して本発明のインダクタンス素子においては、インダクタンス素子の上下面に設けられている円錐状の凹部の存在とつづみ状の空心コイルの形状によって、圧粉成形体の内部を通過する磁束がより多くインダクタンス素子の内部を流れることとなり、そのために素子の上下面からの漏洩磁束が低減することとなる。
なお、本発明におけるインダクタンス素子を構成する圧粉成形体は、磁性体粉末を樹脂バインダーと混合して複合体となし、そこに空心コイルを埋め込んだ状態で加圧成型して固化したものが好適である。使用される磁性体粉末の材質としては、Fe基アモルファス粉末が好ましいが、それ以外にCo基アモルファス粉末、Fe、Ni、Co、Fe−Ni、Fe−Si、Fe−Si−Alなどの結晶質軟磁性粉末、およびフェライト粉末を用いてもよく、またこれらの磁性体粉末の混合粉末を用いても良好な結果が得られる。
さらにこれらの磁性体粉末どうしを接着するバインダーとしては、エポキシ樹脂が好適であるが、この他にアクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂などの各種の樹脂、および無機ガラスを用いることができる。
またインダクタンス素子に封入される空心コイルは、平角導線をエッジワイズ巻きとしたものが好ましい。平角導線は空間充填率が高く、周波数特性の向上や直流抵抗の低減、およびボビンレスで空心コイルを形成することができるなどの面で有利である。またその材質は、低抵抗、形成容易性、コストなどの面から樹脂により被覆した銅線が好適である。また空心コイルの両端は埋め込まれたインダクタンス素子から突出して電極端子を形成する必要があり、そのためには平角導線の端部を平板状に加工して電極端子とするか、もしくは他の金属端子を電極端子として別途設け、そこに空心コイルの両端部を接続固定するなどの構成が好適である。
(実施例1)
実施例として、図1(b)に示すつづみ状の空心コイルを作製し、磁性体粉末およびバインダーを混合して成型した複合体の中に埋め込み、加熱加圧することにより図1(a)に示す形状のインダクタンス素子を作製した。空心コイルはポリアミドイミド樹脂にて被覆した銅線である幅2mm、厚み0.8mmの平角導線を用いて、両端部分の巻き径の外径を各々8mm(内径は4mm)、中央部分の外径を7mm(内径は3mm)としてつづみ状に形成したコイルである。コイルの巻き数は3ターンとした。磁性体粉末は、レーザー回折法により測定した平均粒径が10μmのFe基アモルファス粉末であり、またバインダーはエポキシ樹脂である。磁性体粉末が100重量部に対してバインダーを4重量部の割合にて両者を混合した後に、メッシュを用いて所定の粒度に分級した複合体粉末を、前記空心コイルとともに金型に充填して加圧成型を行った。その後、150℃、1時間の熱処理を行ってエポキシ樹脂を硬化させた後で、圧粉成形体から突出している空心コイルの両端の端子部をフォーミング加工して電極端子を形成し、本発明に係るインダクタンス素子を得た。
以上の方法にて作製したインダクタンス素子は直方体をなしており、空心コイルの中心軸に垂直な面(上下面)が外形10mm×10mmの正方形、高さが3.75mmであって、前記上下面の両方に設けられた円錐状の凹部の直径は5mm、インダタンス素子の表面から円錐状の凹部の最深部までの深さはそれぞれ0.5mmである。また比較例として、実施例とは外形が同一形状であるが円錐状の凹部が設けられておらず、また埋め込まれた空心コイルを円筒状コイルとした、図2(b)に示される形状のインダクタンス素子を作製した。空心コイルに用いられた平角導線の材質、形状は前記実施例のインダクタンス素子と同一であり、その外径は7mm(内径は3mm)、巻き数は同じく3ターンである。また圧粉成形体に使用した磁性体粉末およびバインダーの材質、粒径、形成方法などは全て前記実施例の場合と同等である。
次に、作製した本発明の実施例および前記比較例における各インダクタンス素子において、そのインダクタンスをLCRメーターにて測定した。従来のインダクタンス素子である比較例のインダクタンスは0.556μHであったが、これに対して本発明の実施例のインダクタンス素子は、0.594μHと高いインダクタンスを示した。
さらに実施例および比較例の各インダクタンス素子を、一般的な降圧型DC/DCコンバーターのチョークコイルとして実際に評価基板に実装し、インダクタンス素子の上部から10mmの地点での通電動作時の漏洩磁束をガウスメーターで測定した。比較例のインダクタンス素子での漏洩磁束は1.0mTであったが、これに対して実施例のインダクタンス素子における漏洩磁束は0.42mTと極めて低い値を示した。以上より、本発明によるインダクタンス素子においては、円錐状の凹部を設け、内蔵する空心コイルの両端部分の内径を中央部分よりも拡大することにより、漏洩磁束を低減できることが示された。また同じ外形の場合には、インダクタンスについても向上が認められた。
(実施例2)
以上説明したインダクタンス素子の上下面に円錐状の凹部を設けたことの実際の効果と、埋め込まれた空心コイルの両端部分の巻き径の拡大の効果を調べるために、つづみ状コイル、および円筒状コイルが埋め込まれた圧粉成形体をそれぞれ作製した。そして、これら圧粉成形体の上下面に、中心深さを変えた円錐状の凹部を設けて、各インダクタンス素子の漏洩磁束(T)および飽和電流(A)の測定を行った。各インダクタンス素子に埋め込まれた空心コイルの形状および円錐状の凹部の中心深さ以外の条件、即ち空心コイルに用いた平角導線の材質、形状や巻き数、および圧粉成形体に使用した磁性体粉末およびバインダーの材質、粒径、形成方法などは全て前記実施例1の場合と同等である。
実際の測定においては、漏洩磁束については前記実施例1の場合と同様に、各インダクタンス素子を基板に実装して、各インダクタンス素子の上部から10mmの地点での通電動作時の漏洩磁束をガウスメーターで測定した。また飽和電流については、重畳電流を加えることによって各インダクタンス素子のインダクタンスが最大値から20%減少する点を飽和点と規定し、その際に重畳した電流を飽和電流とした。これら漏洩磁束および飽和電流の測定結果を図3(a)および図3(b)に示す。
図3(a)および図3(b)は、円錐状の凹部の中心深さを0mmから0.7mm、即ちインダクタンス素子の高さに対して20%の値まで変化させた場合の、各インダクタンス素子における漏洩磁束(T)および飽和電流(A)の値をグラフとして示したものである。測定したインダクタンス素子は、埋め込まれた空心コイルがつづみ状の場合と円筒状の場合の2種類であるが、漏洩磁束および飽和電流のいずれの測定結果においても、本発明であるつづみ状の空心コイルを用いた場合には、円筒状の空心コイルを用いた場合に比べて円錐状の凹部中心深さの如何に関わらず、特性が向上していることが分かる。
またつづみ状の空心コイルを用いた場合に、円錐状の凹部の中心深さを0mmから少しずつ深くしていくと、漏洩磁束は当初は順調に減少するものの、途中で減少量が頭打ちとなって減少が止まってしまう。一方、飽和電流については当初は増加傾向となっているが、円錐状の凹部の中心深さが0.5mm前後で増加が止まり、それより深くなると逆に減少に転じる。これは円錐状の凹部が過剰に深くなることにより、空心コイル周辺部での圧粉成形体の磁性領域の厚みが極端に薄くなってしまい、そのために低い磁界においても磁気飽和が生じるようになるためである。以上より、漏洩磁束および飽和電流のいずれにおいても良好な結果が得られるインダクタンス素子の円錐状の凹部の中心深さは、図3に示した2種類のグラフにより、圧粉磁性体の厚みの5%以上、15%以内の深さであることが望ましいことが分かる。
ところで円筒状の空心コイルを用いた場合に比べて、本発明の空心コイルを用いたインダクタンス素子の場合には、円錐状の凹部を深くしていく際の飽和電流の減少率が少ない。これは空心コイルと円錐状の凹部の間の領域における圧粉成形体の厚みがより厚く確保されているために、相対的に磁気飽和が起こりにくいためと考えられる。
(実施例3)
さらに、前記実施例1において作製した、つづみ状の空心コイルを有してインダクタンス素子の上下面に円錐状の凹部が設けられた本発明の実施例、および円筒状の空心コイルを有して円錐状の凹部が設けられていない比較例による、各インダクタンス素子をそれぞれ実装してなる各評価基板を用いて、各々の電源効率を評価した。評価においては入力電圧を12V、出力電圧を5V、スイッチング周波数を300kHzの条件として、負荷電流を0Aから10Aの範囲で変動させて測定を行った。この電源効率の測定結果として、本発明の実施例および比較例における、負荷電流と対応する電源効率の値を図4に示す。また、電源効率の値とともに、比較例に対する本発明の実施例における電源効率の改善率を表1に示す。図4および表1における電源効率の値は、
電源効率=(負荷電流×出力電圧)/(入力電流×入力電圧)
として導出したものである。本発明のインダクタンス素子は、いずれの負荷電流の値においても比較例に比べて同一か、もしくはより高い効率を示している。表1に示されているように、負荷電流が1.0Aの場合には最大で0.47%の効率改善が確認された。以上により、本発明によって、従来よりも高効率なインダクタンス素子を提供できることが示された。
Figure 2008147324
なお、上記の説明は、本発明の実施の形態に係るインダクタンス素子の上下面に円錐状の凹部を設けるとともに、埋め込まれる空心コイルの両端部分の巻き径の内径を、いずれも前記コイルの中央部分の巻き径の内径よりも大きくした場合の効果について説明するためのものであって、これによって特許請求の範囲に記載の発明を限定し、あるいは請求の範囲を減縮するものではない。また、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
本発明の実施の形態におけるインダクタンス素子を示す図。図1(a)は斜視図、図1(b)は図1(a)のインダクタンス素子に埋め込まれる空心コイルの正面図。 本発明の実施の形態および比較例の、インダクタンス素子およびその近傍における磁力線の流れを模式的に示す図。図2(a)は実施の形態における断面図、図2(b)は比較例における断面図。 本発明の実施例および比較例のインダクタンス素子において、円錐状の凹部の深さを変えた場合の漏洩磁束および飽和電流の変化を示すグラフ。図3(a)は漏洩磁束の変化、図3(b)は飽和電流の変化をそれぞれ示すグラフ。 本発明の実施例および比較例のインダクタンス素子における、負荷電流を変動させた場合の電源効率の変化をそれぞれ示すグラフ。 特許文献1に記載の従来例の圧粉成形体を示す図。図5(a)は上面図、図5(b)は図5(a)のA−A’における断面図。 特許文献2に記載の従来例の圧粉成形体を示す図。図6(a)は斜視透視図、図6(b)は図6(a)のA−A’における断面図。
符号の説明
11、21 空心コイル
12、22 平角導線
13、23 電極端子
14、24 圧粉成形体
15、25 円錐状の凹部
16、17、26、27 両端部分
18、28 中央部分
29 発生する磁力線
30 絶縁被覆
51、61 空心コイル
52、62 平角導線
53、63 電極端子
54、64 圧粉成形体
55 凹部
65 ショートリング
66 絶縁被覆
67 金属被覆

Claims (5)

  1. 内部に空心コイルが埋設された圧粉成形体からなり、
    前記圧粉成形体が、前記空心コイルの中心軸に垂直な2つの端面を有しており、
    前記端面のうちの少なくとも1つの面に円錐状の凹部が設けられていて、
    前記円錐状の凹部の中心軸が、前記空心コイルの中心軸と一致していることを特徴とする、インダクタンス素子。
  2. 前記端面に設けられている前記円錐状の凹部が、前記2つの端面の両方にそれぞれ設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のインダクタンス素子。
  3. 前記円錐状の凹部の中心深さが、前記空心コイルの中心軸に垂直な2つの端面間距離に対して5〜15%の範囲であることを特徴とする、請求項1または請求項2のいずれか1項に記載のインダクタンス素子。
  4. 前記空心コイルの両端部分の巻き径の内径が、いずれも前記空心コイルの中央部分の巻き径の内径よりも大きいことを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のインダクタンス素子。
  5. 前記圧粉成形体を構成する成形体粉末が、軟磁性体粉末および樹脂バインダーの複合体を含み構成されていることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のインダクタンス素子。
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