JP2008147312A - 磁性素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】高周波の電磁波に対して、誘電率を増大させることなく磁性体として機能する磁性素子を提供する。
【解決手段】線材2の外周に、所定周波数の電磁波により生じる表皮厚δ以下の厚さで強磁性体層3を備えることにより、当該周波数によって、磁性体として機能するようにした。線材2は、絶縁体であってもよく、正磁性体であってもよく、強磁性体層3とは異なる種類の強磁性体であってもよい。また、強磁性体層3が、直流においてニッケルの透磁率以上の透磁率を有する強磁性体であれば、強磁性体層3の厚さは、12μm以下であればよい。
【選択図】図1

Description

本発明は、所定の周波数の電磁波に対して磁性体として機能する磁性素子に関する。
金属面にマイクロ波のような高周波の電磁波が入射した場合、電界及び磁界は表皮効果により金属の極く薄い表皮厚(skin depth)にのみ、存在する。表皮厚δは、以下の式(1)で与えられ、透磁率が大きくなると表皮厚δは小さくなるという関係にある。
Figure 2008147312
但し、ρ:抵抗率(Ω・m)
f:電磁波の周波数(Hz)
μ:真空の透磁率
μ:比透磁率
すなわち、比透磁率μが増大すると表皮厚δが減少してしまうため、マイクロ波に対する表皮厚δは数nm〜数百nm程度となり、磁性体に電磁波が入射した場合、マイクロ波において発生する磁束はほとんど磁性体内部を透過できないために、ほとんど磁性体として機能しない。
そのため従来、マイクロ波に対して磁性体として機能する、すなわちマイクロ波を取り扱い対象とするいわゆるマイクロ波磁性体として、球体や扁平体等の磁性体微粒子をバインダーで固定し、磁性体の表面積を増大させることで、磁束と作用する部分を増大させるようにしたものが知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
日刊工業新聞社「工業材料」平成10年10月発行Vol−46,No−10、p54〜58、フレキシブル電波吸収体「軟磁性デュアルラバーシート」(大同特殊鋼(株)) オーム社刊 内藤嘉之著 電波吸収体 森北出版 橋本修著 高周波領域に於ける材料定数測定法
ところで、上述のような、磁性体微粒子を用いたマイクロ波磁性体は、磁性体微粒子を保持するために用いられるバインダーが誘電体であり、また、磁性体微粒子間には隙間が有るため静電容量が生じる結果、全体として容量性となり、等価的な誘電率が増大する。例えば上述の非特許文献1に記載のマイクロ波磁性体は、1GHzにおいて得られる等価的な比透磁率が8であるのに対し、等価的な比誘電率が80を超えることが示されている。このように、磁性体微粒子を用いたマイクロ波磁性体では、マイクロ波に対してある程度の透磁率が得られるものの、透磁率よりも遙かに大きな誘電率が付随的に生じてしまうため、純粋に透磁率のみが得られるマイクロ波磁性体を実現することが困難であるというという不都合があった。
一方で、磁性体を工学的に用いようとする場合、例えば電波吸収体やアンテナ等、磁性体としての性質を利用した種々の磁性素子においてマイクロ波を取り扱う場合、磁性体には、入射インピーダンスZiを調節する機能が期待されている。上述のような磁性体微粒子を用いたマイクロ波磁性体の入射インピーダンスZiは、下記の式(2)で表される(例えば、非特許文献2、非特許文献3参照。)。
Figure 2008147312
式(2)において、Zは大気の波動インピーダンスで377Ω、μはマイクロ波磁性体の複素透磁率で、μ=μ’−jμ”であり、εはマイクロ波磁性体の複素誘電率で、ε=ε’−jε”であり、λはマイクロ波磁性体に入射する電磁波の波長であり、tはマイクロ波磁性体の厚さである。
式(2)に示すように、上述のようなマイクロ波磁性体の入射インピーダンスZiは、透磁率μが増大すると増大し、誘電率εが増大すると減少する。そのため、磁性体微粒子を用いたマイクロ波磁性体では、透磁率μを増大して入射インピーダンスZiを増大させようとしても、上述のように透磁率μよりも大きな誘電率εが付随的に生じてしまうため、入射インピーダンスZiを増大させることが困難である。
図27、図28は、上述のようなマイクロ波磁性体の100MHz〜10GHzにおけるインピーダンスを示すグラフである。図27はインピーダンスの抵抗成分を示し、図28はインピーダンスのリアクタンス成分を示している。また、図27、図28において、抵抗、リアクタンスは、Ω/口、すなわち縦横同一寸法(非定尺基準(Dimensionless))で表されている。また、図27、図28の、グラフG101はマイクロ波磁性体の厚さtが1mmの場合、グラフ102は厚さtが2mmの場合、グラフ103は厚さtが3mmの場合をそれぞれ示している。
上述のようなマイクロ波磁性体では、図27に示すように、抵抗成分は、大気の波動インピーダンスを超えることはなく、周波数fが3GHzを超えると抵抗値が低下する。また、図28に示すように、リアクタンス成分は、100MHzを超える周波数で負の値となり、すなわち誘電体としての性質を示す。
このような観点からも、高周波の電磁波に対して、誘電率を増大させることなく磁性体として機能する磁性素子の実現が望まれている。
本発明は、このような問題に鑑みて為された発明であり、高周波の電磁波に対して、誘電率を増大させることなく磁性体として機能する磁性素子を提供することを目的とする。
本発明に係る磁性素子は、所定の周波数の電磁波に対して磁性体として機能する磁性素子であって、第1線材の外周に、強磁性体の第1層を備え、前記第1層の厚さは、前記周波数の電磁波により生じる表皮厚以下である。
この構成によれば、磁性素子が線状の形状をしているため、磁性素子の長さ方向の反磁界係数がゼロとなって反磁性効果が低減される。また、後述の式(3)により、第1層の厚さを薄くするほど所定周波数の電磁波に対して実効的に得られる比透磁率である等価比透磁率が増大し、第1層の厚さが当該周波数の電磁波により生じる表皮厚以下であれば、上述の非特許文献1に記載のマイクロ波磁性体よりも十分に大きい比透磁率が得られる。また、強磁性体は導体であるから、第1線材の外周に強磁性体の第1層を備えた磁性素子全体としても導体となり、誘電率が生じない。従って、このように構成された磁性素子は、高周波の電磁波に対して誘電率を増大させることなく磁性体として機能することができる。
また、本発明に係る磁性素子は、所定の周波数の電磁波に対して磁性体として機能する磁性素子であって、第1線材の外周に、直流においてニッケルの透磁率以上の透磁率を有する強磁性体の第1層を備え、前記第1層の厚さは、12μm以下である。
また、前記第1層の厚さは、4μm以下であることが好ましい。
この構成によれば、磁性素子が線状の形状をしているため、磁性素子の長さ方向の反磁界係数がゼロとなって反磁性効果が低減される。また、後述の式(3)により、第1層の厚さを薄くするほど所定周波数の電磁波に対して実効的に得られる比透磁率である等価比透磁率が増大する。そして、第1層が直流においてニッケルの透磁率以上の透磁率を有する強磁性体であって、その厚さが12μm以下であれば、1GHzにおいて上述の非特許文献1に記載のマイクロ波磁性体よりも大きい等価比透磁率が得られる。さらに、第1層の厚さを4μm以下とすれば、10GHzにおいても、1GHzにおける非特許文献1に記載のマイクロ波磁性体よりも大きい等価比透磁率が得られる。また、強磁性体は導体であるから、第1線材の外周に強磁性体の第1層を備えた磁性素子全体としても導体となり、誘電率が生じない。従って、このように構成された磁性素子は、高周波の電磁波に対して誘電率を増大させることなく磁性体として機能することができる。
また、前記第1線材は、絶縁材料であることが好ましい。この構成によれば、芯まで強磁性体にした磁性素子ほど線材の径を細くしなくても、第1層を薄くすることにより等価比透磁率を増大させることができるので、製造が容易である。
また、前記第1線材は、前記第1層とは異なる強磁性体としてもよい。この構成によれば、第1線材の表面で、新たな表皮効果を生じさせて等価比透磁率を増大させることができると考えられる。
また、前記第1線材は、正磁性体であってもよい。この構成によれば、磁性素子に浸入した電磁波のうち、電界成分は第1線材の表面で短絡されてゼロとなり、そのエネルギーはすべて磁界に変換されて第1線材の表面、すなわち第1層における磁界成分が最大となる。そうすると、第1層の強磁性体と作用する磁界の強度を高めることができ、すなわち強磁性体の第1層を通過する磁束数を増大させることができるので、等価比透磁率を増大させることができる。
また、前記第1線材は、絶縁材料により構成された第2線材と、前記の外周に設けられた前記第1層とは異なる種類の強磁性体の第2層とからなり、前記第2層の厚さは、前記周波数の電磁波により生じる表皮厚以下であってもよい。この構成によれば、第2線材の表面で、新たな表皮効果を生じさせることができると考えられ、等価比透磁率を増大させることができる。
また、前記第1線材は、絶縁材料により構成された第2線材と、前記第2線材の外周に設けられた正磁性体の第2層とからなるものとしてもよい。この構成によれば、磁性素子に浸入した電磁波のうち、電界成分は第2層の表面で短絡されてゼロとなり、そのエネルギーはすべて磁界に変換されて第2層の表面、すなわち第1層における磁界成分が最大となる。そうすると、第1層の強磁性体と作用する磁界の強度を高めることができ、すなわち強磁性体の第1層を通過する磁束数を増大させることができるので、等価比透磁率を増大させることができる。
また、前記第1線材は、鉄であり、前記第1層は、ニッケルとしてもよい。この構成によれば、鉄とニッケルとは異なる強磁性体であるから、第1線材である鉄の表面で、新たな表皮効果を生じさせて等価比透磁率を増大させることができると考えられる。
また、前記第1線材は、銅であることとしてもよい。この構成によれば、第1線材は、正磁性体となるので、磁性素子に浸入した電磁波のうち、電界成分は第1線材である銅の表面で短絡されてゼロとなり、そのエネルギーはすべて磁界に変換されて第1線材の表面、すなわち第1層における磁界成分が最大となる。そうすると、第1層の強磁性体と作用する磁界の強度を高めることができ、すなわち強磁性体の第1層を通過する磁束数を増大させることができるので、等価比透磁率を増大させることができる。
また、前記電磁波の周波数は、少なくとも1GHzを含むことが好ましい。この場合、当該磁性素子が磁性体として機能する周波数範囲にマイクロ波が含まれるので、当該磁性素子は、マイクロ波に対して磁性体として機能するいわゆるマイクロ波磁性体となる。
上述のように構成された磁性素子によれば、磁性素子が線状の形状をしているため、磁性素子の長さ方向の反磁界係数がゼロとなって反磁性効果が低減される。また、後述の式(3)により、第1層の厚さを薄くするほど所定周波数の電磁波に対して実効的に得られる比透磁率である等価比透磁率が増大し、第1層の厚さが当該周波数の電磁波により生じる表皮厚以下、あるいは第1層が直流においてニッケルの透磁率以上の透磁率を有する強磁性体であって、その厚さが12μm以下であることによって、上述の非特許文献1に記載のマイクロ波磁性体よりも大きい比透磁率が得られる。また、強磁性体は導体であるから、第1線材の外周に強磁性体の第1層を備えた磁性素子全体としても導体となり、誘電率が生じない。従って、このように構成された磁性素子は、高周波の電磁波に対して誘電率を増大させることなく磁性体として機能することができる。
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る磁性素子1の構成の一例を示す模式図である。図1(a)は磁性素子1の断面図を示し、図1(b)は磁性素子1の斜視図を示している。図1に示す磁性素子1は、線材2(第1線材)の外周に、強磁性体層3(第1層)が、例えばメッキ、蒸着、塗布等により設けられている。線材2は、例えばナイロン(登録商標)糸、ポリエステル繊維、ガラス繊維等の絶縁材料で構成されている。また、強磁性体層3は、例えばニッケル、鉄、コバルト、Permalloy、Amorphousその他の合金や化合物等の強磁性体で構成されている。
そして、強磁性体層3の厚さtは、磁性素子1を磁性体として機能させようとする電磁波の周波数をfとした場合に、上記式(1)から得られる表皮厚δ以下にされている。これにより、磁性素子1の取り扱い対象の周波数範囲において、表皮効果によって磁性素子1の表面に集中する磁束を強磁性体層3内に浸入させて、磁性体としての磁気的効果が得られるようにされている。
次に、このようにして構成された磁性素子1の磁気特性について説明する。図1に示す磁性素子1の長手方向に対して、周波数fの電磁波に対して実効的に得られる比透磁率を等価比透磁率μとすると、等価比透磁率μは、下記の式(3)で与えられる。
Figure 2008147312
但し、μ:強磁性体層3の直流における比透磁率
t:強磁性体層3の厚さ
δ:式(1)により得られる表皮厚
図2、図3は、ニッケルで構成された強磁性体層3の厚さtと磁性素子1の等価比透磁率μとの関係を示すグラフである。図2、図3の横軸は強磁性体層3の厚さtを示し、縦軸は等価比透磁率μを示している。図2、図3に示すように、1,2,3GHz、及び10GHzのいずれにおいても、強磁性体層3の厚さtが薄くなるほど等価比透磁率μは増大し、強磁性体層3の厚さtが極限に薄ければ、等価比透磁率μは強磁性体層3を構成するニッケルの直流比透磁率(1120)に収斂する。
強磁性体層3の厚さtは、薄くなりすぎると強磁性体層3の金属分子の配置が粗くなって連続して磁束が流れなくなるので、厚さtは、磁束が連続して流れる程度の厚さ、例えば強磁性体層3の金属分子における直径の10倍程度以上であれば、薄くなるほど等価比透磁率μを増大させることができる。
ここで、ニッケルの直流比透磁率μを1120、抵抗率ρを6.85×10−8(Ω・m)とすると、式(1)から、周波数1GHzでのニッケルの表皮厚δは、0.12μmとなる。そして、磁性素子1の強磁性体層3の厚さtを表皮厚δと等しい0.12μmとすると、磁性素子1の1GHzにおける等価比透磁率μは、図2から、750となり、例えば上述の非特許文献1に記載のマイクロ波磁性体では、1GHzにおいて得られる等価比透磁率μが8であるのに対し、遙かに大きな等価比透磁率μが得られる。
また、図3に示すように、例えば磁性素子1の強磁性体層3の厚さtを表皮厚δの100倍である12μmとした場合であっても、1GHzにおける等価比透磁率μは10を超え、非特許文献1に記載のマイクロ波磁性体よりも大きな等価比透磁率μが得られる。ここで、式(3)から、強磁性体層3の直流における比透磁率μが大きいほど、等価比透磁率μが大きくなるから、強磁性体層3としてニッケルの直流における比透磁率μ以上の比透磁率μを有する強磁性体を用いて、強磁性体層3の厚さtを12μm以下とすれば、磁性素子1の等価比透磁率μは1GHzにおいて10を超え、非特許文献1に記載のマイクロ波磁性体よりも大きくすることができる。
同様に、図3から、強磁性体層3としてニッケルの直流における比透磁率μ以上の比透磁率μを有する強磁性体を用いて、強磁性体層3の厚さtを4μm以下とすれば、磁性素子1の等価比透磁率μは10GHzにおいても10を超え、非特許文献1に記載のマイクロ波磁性体における1GHzでの等価比透磁率μよりも10GHzにおける等価比透磁率μを大きくすることができる。
すなわち、すくなくとも、磁性素子1の強磁性体層3の厚さtを表皮厚δ以下にすることにより、非特許文献1に記載のマイクロ波磁性体よりも等価比透磁率μを増大することができる。さらに、図3のグラフから、直流においてニッケルの透磁率以上の透磁率を有する強磁性体によって強磁性体層3を構成し、強磁性体層3の厚さtを12μm以下とすれば、背景技術に係る非特許文献1に記載のマイクロ波磁性体よりも等価比透磁率μを増大できることが確認できた。
また、強磁性体層3は導体であるから、磁性素子1全体としても導体となり、基本的に誘電率が生じないので、磁性素子1は、高周波の電磁波に対して誘電率をほとんど増大させることなく磁性体として機能する。
なお、強磁性体層3をメッキで形成する場合、厚さtが薄いもの、例えばt=0.01μmといったものを作成することは容易であり、むしろ厚さtを厚くする方が製造上の困難性をともなう。例えばニッケルの80GHzにおける表皮厚δは、0.014μmであるから、厚さ0.01μmの強磁性体層3は表皮厚δより薄い。すなわち、線材2にメッキにより厚さ0.01μmの強磁性体層3を形成すると、磁性素子1を、80GHz以下の周波数範囲、例えば100MHz〜80GHzというような周波数範囲で磁性体として機能させることが可能となる。
次に、磁性素子1によって、非特許文献1に記載のマイクロ波磁性体よりも高い透磁率が得られる原理について説明する。図4は、磁性体に磁界が作用することにより生じる反磁界(demagnetizing field)について説明するための説明図である。図4に示すように、磁性体100に外部から加えられた磁界Hoが作用すると、磁性体100の両端にNとSの磁極が形成される。この磁極により生じる磁界は、磁界Hoと方向が逆向きの反磁界Hdとなり、磁界Hoが反磁界Hdにより打ち消される結果、磁性体100の内部磁界、すなわち有効磁界Hは、H=Ho−Hdとなる。
ここで、磁界Hoにより磁性体100に生じた磁化の強さをJ(T)、真空の透磁率をμとすると、Hd=N・J/μで表される。ここでNは、反磁界係数と呼ばれ、磁性体における反磁界Hdの生じ易さを示している。反磁界係数Nは、磁性体100の形状や、外部磁界Hoが加えられる方向によって異なる。
図5(a)は、図1に示す磁性素子1における反磁界係数Nを説明するための説明図である。また、図5(b)は、背景技術に係る磁性体微粒子を用いたマイクロ波磁性体の球体の磁性体微粒子101における反磁界係数Nを説明するための説明図である。磁性体の三つの主軸x,y,z方向の反磁界係数Nx,Ny,Nzは、Nx+Ny+Nz=1の関係が有る。
そして、図5(b)に示すように、背景技術に係る磁性体微粒子101では、反磁界係数Nx,Ny,Nzは、1/3,1/3,1/3となり、すなわちいかなる方向の外部磁界Hoに対しても、反磁界Hdが生じて磁性体微粒子101内部の有効磁界Hが弱められる結果、磁性体微粒子101の磁気的作用が弱められる。一方、図5(a)に示すように、図1に示す磁性素子1のような線状の磁性体、すなわち全体の長さ>>直径となるような磁性素子1に対しては、磁性体の長さ方向に対して垂直な反磁界係数Nx,Nyが1/2,1/2となり、磁性体の長さ方向の反磁界係数Nzがゼロとなることが知られている((株)学献社刊 山田、宮沢、別所著 基礎磁気工学)。
ここで、印加磁界をHo、真空の透磁率をμ、磁性体微粒子101や磁性素子1等の磁性体の直流での比透磁率をμ、等価比透磁率をμ、反磁界係数をNとすると、磁性体内の磁束密度Bは、以下の式(4)で与えられる。
Figure 2008147312
背景技術に係る磁性体微粒子101では、磁性体微粒子101を強磁性体で構成すると、比透磁率μは、ニッケルで1120、鉄で5000、PermalloyやAmorphousでは1万を超え、式(4)における1/μの項は微少近似により無視でき、N=1/3であることから、下記の式(5)が得られる。
Figure 2008147312
よって、背景技術に係る球体の磁性体微粒子101単体では、例え比透磁率μが1120以上になるような強磁性体を用いたとしても、反磁性効果により等価比透磁率μは3となり、さらに表皮効果により等価比透磁率μが減ぜられ、等価比透磁率μは、3に満たない値となってしまう。
一方、図1に示す磁性素子1では、式(4)にN=0を代入すると、μμHo=μμHoとなり、μ=μが得られる。すなわち、図1に示す磁性素子1では、線材の長手方向における等価比透磁率μは、反磁性効果によっても磁性体材料の比透磁率μがそのまま得られ、例えば磁性体材料として、ニッケルを用いれば等価比透磁率μは1120、鉄を用いれば等価比透磁率μは5000となり、表皮効果による透磁率の低下を考慮しても、背景技術に係る球体の磁性体微粒子101単体の場合と比べて大幅に、磁性素子1の長手方向の磁束に対する等価比透磁率μを増大させることができる。
次に、例えば図6に示すような、芯まで強磁性体にした単線10と、図1に示す磁性素子1とを対比して説明する。単線10の場合、等価比透磁率μは、以下の式(6)によって与えられる(竹山説三 電気磁気学現象理論 丸善 XVI−3 導体内の平面波)。
Figure 2008147312
但し、d:単線10の半径
δ:表皮厚
μ:強磁性体の比透磁率
図7は、図6に示す単線10の半径dと単線10の等価比透磁率μとの関係を示すグラフである。図7の横軸は単線10の半径dを示し、縦軸は等価比透磁率μを示している。なお、強磁性体、例えばニッケルは、展性が低いために細く引き延ばして径の細い単線にすることが難しく、現実には半径が10μm以下となるような単線を製造することが極めて困難ではあるものの、図7から、1GHzにおいて得られる等価比透磁率μは、仮に単線10の半径dを10μmとした場合、29程度となり、半径dを30μmとした場合、10程度となる。
このように、図6に示すように、芯まで強磁性体、例えばニッケルにした単線10であっても、現在の製造限界を超えて、あるいは製造限界に近い径にすれば、例えば上述の非特許文献1に記載のマイクロ波磁性体よりも等価比透磁率μを増大させることができる。また、単線10は導体であるため誘電率が存在せず、従ってこのように構成された単線10は、高周波の電磁波に対して、誘電率を増大させることなく磁性体として機能する。
ところで、透磁率は、単線10の単位断面積の中を通る磁束数を意味している。そして、図6に示すような芯まで強磁性体にした単線10の場合、表皮効果により大部分の磁束は表皮厚の中を通り、かつ単線10の太さが変化しても一定の周波数に対する表皮厚は一定であって変化しない。
図8は、単線10の径が変化した場合の等価比透磁率μの変化を説明するための説明図である。図8(a)は半径d1の単線10aの断面を示し、図8(b)は半径d2の単線10bの断面を示し、図8(c)は半径d3の単線10cの断面を示しており、d1>d2>d3となっている。
図8に示すように、半径がd1からd2、d3へと小さくなると、表皮厚δは変化することなく断面積が小さくなるから、単線10の断面積における磁束が通る部分の比率が増大する結果、単線10の単位断面積の中を通る磁束数が増加し、すなわち単線10の径が小さくなるほど等価比透磁率μが増大することとなる。すなわち、芯まで強磁性体にした単線10の場合、等価比透磁率μを増大させるためには半径dを小さくする必要があるため、上述したように、例えばニッケル線で1GHzにおいて29程度の等価比透磁率μを得るためには半径を10μm以下にする必要が生じ、製造上の困難性を伴うこととなる。
一方、図1に示す磁性素子1の等価比透磁率μは、線材2が非磁性体であるため、強磁性体層3の単位断面積あたりの磁束数により得られることとなる。そうすると、上述したように、式(3)から、線材2の径に関わらず強磁性体層3の厚さtを小さくすることにより等価比透磁率μを増大させることができる。そうすると、例えば1GHzにおいて、図7から、製造に困難性を伴う半径10μmの単線10で等価比透磁率μが29程度となるのに対し、図2から、製造が容易な半径50μmの線材2の外周に厚さtが0.12μmの強磁性体層3を例えばメッキにより形成した場合には、等価比透磁率μが750となり、芯まで強磁性体にした単線10よりも、図1に示す磁性素子1の方が、製造の困難性を低減しつつ、等価比透磁率μを増大させることが容易となる。なお、磁性素子1は、芯まで強磁性体にした場合よりもある程度直径を大きくしても、磁気的効果が得られるが、電磁波に対して線状の形状に近似できる必要がある。そうすると、磁性素子1の半径dと長さLとは、L>>d、例えばL>100dの条件を満たすと共に、取り扱い対象となる電磁波の波長λに対し、d<<λ、例えばd<λ/1000の条件を満たすことが望ましい。
また、図1に示す磁性素子1は、磁性体としての性質に基づき、どのような用途に用いてもよいが、特に、電波吸収体としての用途に好適である。すなわち、図1に示す磁性素子1は、線材2が絶縁体であるため、導体断面積、すなわち強磁性体層3の断面積を小さくして抵抗成分を増大させることが容易である。そして、抵抗成分が大きいと、電磁波に対して抵抗損失を生じさせることができ、電磁波のエネルギーを吸収する電波吸収体としての用途に特に適する。
なお、磁性素子1の太さ(直径)をD、波長λの電磁波により生じる表皮効果における表皮厚をδ、磁性素子1の比透磁率をμとした場合、D<4δ・μであってもよく、D≧4δ・μであってもよい。
また、所定の周波数の電磁波に対して磁性体として機能するとは、例えば取り扱い対象となる周波数として仕様等で規定された周波数に対して磁性体として機能することをいう。また、磁性体として機能するとは、取り扱い対象となる周波数の電磁波に対して少なくとも等価比透磁率が2以上となることをいい、より好ましくは等価比透磁率が8以上となることをいう。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る磁性素子について説明する。図9は、本発明の第2の実施形態に係る磁性素子1aの構成の一例を示す図である。図9(a)は磁性素子1aの断面図を示し、図9(b)は磁性素子1aの斜視図を示している。図9に示す磁性素子1aは、図1に示す磁性素子1とは、線材2の代わりに線材4(第1線材)を備える点で異なる。線材4は、強磁性体層3とは異なる種類の強磁性体、例えば、抵抗率ρ及び/又は比透磁率μが強磁性体層3と異なる強磁性体により構成されており、例えば強磁性体層3の場合、線材4として鉄を用いることができる。
本発明に係る磁性素子の発明者は、例えば図9に示す磁性素子1aのように、異なる種類の強磁性体を層状に重ねることにより、図6に示す単線10のように単一の強磁性体で構成された単線よりも、電磁波に対する磁性素子1aの入射インピーダンスZiが増大することを見出した。すなわち、例えば図9に示す磁性素子1aのように、異なる種類の強磁性体を層状に重ねた場合、電磁波に対して、まず強磁性体層3の表面で表皮効果が生じ、さらに線材4の表面で新たな表皮効果が生じると考えられる。これにより、図6に示す単一の強磁性体で構成された単線10よりも、磁性素子1aを通過する磁束数を増大させることができる結果、磁性素子1aの等価比透磁率μが増大し、入射インピーダンスZiが増大すると考えられる。
また、図9に示す磁性素子1aは、図1に示す磁性素子1と同様、形状が線状であるから、非特許文献1に記載のマイクロ波磁性体と比較して反磁性効果の影響が低減され、等価比透磁率μを増大させることが容易である。また、強磁性体層3、及び線材4は、導体であるから誘電率を生じることが無く、磁性素子1aは、高周波の電磁波に対して、誘電率をほとんど増大させることなく磁性体として機能する。
このように構成された磁性素子1aは、例えば強磁性体層3としてニッケルを用い、線材4としてニッケルより展性の高い強磁性体、例えば鉄を用いた場合には、図6に示すニッケルの単線10よりも径の細いものを製造することが容易である。
また、図1に示す磁性素子1では、線材2として例えばナイロン糸やポリエステル繊維を用いた場合、強磁性体層3として用いられる強磁性体、例えばニッケルや鉄よりも線材2の方が、はるかに伸びやすいため、磁性素子1にストレスがかかると線材2だけ伸びてしまい強磁性体層3が断裂してしまうおそれがある。しかし、磁性素子1aのように、線材4が鉄、強磁性体層3がニッケルであれば、鉄の方が展性は高いもののナイロン糸やポリエステル繊維とニッケルとの伸び方の差異と比較すれば、展性の差異が小さく、また鉄はナイロン糸やポリエステル繊維等よりも剛性が高いので、ストレスによって強磁性体層3が断裂したり、磁性素子1aが断線してしまうことを低減することが容易である。
また、線材4が導体であるので、電界メッキによって強磁性体層3を形成することが可能となり、磁性素子1aは、磁性素子1よりも製造が容易である。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る磁性素子について説明する。図10は、本発明の第3の実施形態に係る磁性素子1bの構成の一例を示す図である。図10(a)は磁性素子1bの断面図を示し、図10(b)は磁性素子1bの斜視図を示している。図10に示す磁性素子1bは、図1に示す磁性素子1とは、線材2の代わりに線材5(第1線材)を備える点で異なる。線材5は、正磁性体により構成されており、例えば銅やアルミが用いられる。
銅やアルミなどの正磁性体は、極めて電気抵抗が小さいため、電界は線材5によって短絡され、線材5は電磁波に対する反射導体として機能する。そうすると、磁性素子1bに入射した電磁波は、線材5の表面において電界成分が短絡されてゼロとなり、そのエネルギーはすべて磁界に変換されて線材5の表面、すなわち強磁性体層3における磁界成分が最大となる。
これにより、図10に示す磁性素子1bは、強磁性体層3と作用する磁界の強度を高めることができ、すなわち強磁性体層3を通過する磁束数を増大させることができるので、等価比透磁率μを増大させることができる。また、図10に示す磁性素子1bは、図1に示す磁性素子1と同様、形状が線状であるから、非特許文献1に記載のマイクロ波磁性体と比較して反磁性効果の影響が低減され、等価比透磁率μを増大させることが容易である。また、強磁性体層3、及び線材5は、導体であるから誘電率を生じることが無く、磁性素子1bは、高周波の電磁波に対して、誘電率をほとんど増大させることなく磁性体として機能する。
また、上述したように、図1に示す磁性素子1では、磁性素子1にストレスがかかると線材2だけ伸びてしまい強磁性体層3が断裂してしまうおそれがある。しかし、銅やアルミなどの正磁性体とニッケルとであれば、銅やアルミの方が展性は高いもののナイロン糸やポリエステル繊維とニッケルとの伸び方の差異と比較すれば、展性の差異が小さく、また銅やアルミはナイロン糸やポリエステル繊維等よりも剛性が高いので、線材5として銅やアルミを用いた場合、ストレスによって強磁性体層3が断裂したり、磁性素子1bが断線してしまうことを低減することが容易である。
また、線材5が導体であるので、電界メッキによって強磁性体層3を形成することが可能となり、磁性素子1bは、磁性素子1よりも製造が容易である。
さらに、図10に示す磁性素子1bは、磁性体としての性質に基づき、どのような用途に用いてもよいが、特に、アンテナやフィルタとしての用途に好適である。すなわち、図10に示す磁性素子1bは、線材5として銅やアルミの電気抵抗が小さい正磁性体を用いた場合、磁性素子1bの入射インピーダンスZiは、抵抗成分がほぼゼロとなってリアクタンス成分のみとなるので、アンテナやフィルタとしての用途に特に適する。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態に係る磁性素子について説明する。図11は、本発明の第4の実施形態に係る磁性素子1cの構成の一例を示す図である。図11(a)は磁性素子1cの断面図を示し、図11(b)は磁性素子1cの斜視図を示している。図11に示す磁性素子1cは、線材2(第2線材)の外周に、強磁性体層6(第2層)が、例えばメッキ、蒸着、塗布等により設けられている。この場合、線材2の外周に、強磁性体層6が設けられたものが、第1線材の一例に相当している。
そして、強磁性体層6の外周に、強磁性体層3(第1層)が、例えばメッキ、蒸着、塗布等により設けられている。線材2は、例えばナイロン糸、ポリエステル繊維、ガラス繊維等の絶縁材料で構成されている。また、強磁性体層3は、例えばニッケル、鉄、コバルト、Permalloy、Amorphousその他の合金や化合物等の強磁性体で構成され、強磁性体層6は、強磁性体層3とは異なる強磁性体によって構成されている。
このように構成された磁性素子1cは、図1に示す磁性素子1と同様、形状が線状であるから、非特許文献1に記載のマイクロ波磁性体と比較して反磁性効果の影響が低減され、等価比透磁率μを増大させることが容易である。また、強磁性体層3,6は導体であるから、磁性素子1c全体としても導体となり、基本的に誘電率が生じないので、磁性素子1cは、高周波の電磁波に対して誘電率をほとんど増大させることなく磁性体として機能する。
また、このように構成された磁性素子1cは、図1に示す磁性素子1と同様、等価比透磁率μが上記式(3)によって与えられ、磁性素子1cの径に関わらず等価比透磁率μを増大させることが容易となる。さらに図9に示す磁性素子1aと同様、強磁性体層6の表面から新たな表皮効果が生じることで、磁性素子1cを通過する磁束数を増加させることができるから、等価比透磁率μを増大させることが容易となる。
なお、強磁性体層6の代わりに、例えば銅やアルミ等の正磁性体層を設けてもよい。この場合、図10に示す磁性素子1bと同様、磁性素子1bに入射した電磁波は、正磁性体層の表面において電界成分が短絡されてゼロとなり、そのエネルギーはすべて磁界に変換されて正磁性体層の表面、すなわち強磁性体層3における磁界成分が最大となる。これにより、正磁性体層と作用する磁界の強度を高めることができ、すなわち強磁性体層3を通過する磁束数を増大させることができるので、等価比透磁率μを増大させることができる。この場合、正磁性体層は、必ずしも薄くする必要はないが、メッキ等で正磁性体層を形成する場合、薄い正磁性体層を作成する方が容易であり、かつ、正磁性体層は薄い方が柔軟性に富み、ストレスに対して破断を生じにくい。
上述したように、図1、図9、図10、図11に示す磁性素子1,1a,1b,1cによれば、高周波の電磁波に対して、誘電率を増大させることなく磁性体として機能する磁性素子が得られる。ここで、このような磁性素子を工学的に用いようとする場合、磁性素子の入射インピーダンスZiが問題となる。そこで、磁性素子1,1a,1b,1cによって得られる入射インピーダンスZiについて説明する。
まず、芯線の外周に厚さtの強磁性体層を有する線材の、周波数fの電磁波に対する等価抵抗率ρは、以下の式(7)によって与えられる。
Figure 2008147312
但し、ρ:直流の抵抗率
δ:電磁波の周波数fのときに式(1)から得られる表皮厚
次に、芯線の負荷インピーダンスをZとした場合、芯線の外周に厚さtの強磁性体層を有する半径dの線材を、図12に示すように、厚さtの強磁性体層11の背面に負荷インピーダンスZの平面板12が設けられた平面磁性体13に近似して考えると、このような平面磁性体13内を伝播する波の特性インピーダンスZ及び伝播定数γは、以下の式(8)によって与えられる(藤澤和男著 マイクロ波回路 2.9導電性媒質中の平面波)。
Figure 2008147312
但し、ω:電磁波の角周波数
μ:μ×μ
μ:大気の透磁率
μ:平面磁性体13の直流の透磁率
そして、平面磁性体13内の伝送マトリックスHは、以下の式(9)によって与えられる。
Figure 2008147312
ここで、平面磁性体13に対する電磁波入射方向からみた入射インピーダンスZiは、以下の式(10)で与えられる。
Figure 2008147312
式(10)は、1mあたりの値であるから、半径dの円筒に換算すると、下記式(11)が得られる。但し、t<<dであるものとする。
Figure 2008147312
ここで、芯線が絶縁体の場合、例えば図1に示す磁性素子1の場合には、負荷インピーダンスZは、下記の式(12)によって与えられる。
Figure 2008147312
但し、Z:真空中の波動インピーダンス
ε:絶縁体(芯線)の誘電率
また、芯線が導体(正磁性体、強磁性体を含む)の場合、例えば図9,図10に示す磁性素子1a,1bの場合には、負荷インピーダンスZは、下記の式(13)によって与えられる。
Figure 2008147312
但し、δ:導体(芯線)の電磁波の周波数fのときに式(1)から得られる表皮厚。
また、芯線の外周に、互いに異なる種類の強磁性体層を複数設けた場合、例えば図11に示す磁性素子1cの場合、負荷インピーダンスZは、複数の強磁性体層、例えば強磁性体層3,6それぞれの伝送マトリックスHを重ね合わせた特性となる。この場合、互いに異なる種類の強磁性体とは、互いに抵抗率と透磁率とのうちいずれか一方が異なる強磁性体、あるいは抵抗率と透磁率とのうちいずれもが異なる強磁性体である。
図13は、磁性素子1cを平面状にした場合の磁界分布を示す説明図である。図13に示すように、負荷インピーダンスZの平面板12に、厚さtの強磁性体層14と厚さtの強磁性体層11とが積層された平面磁性体15に浸入する磁界は、表皮効果により強磁性体層11表面から深くなるに従って弱くなるが、強磁性体層14に達すると、強磁性体層14の表面(強磁性体層11と強磁性体層14との界面)から新たな表皮効果が始まり、磁界の弱まり方が低下する。
図14、図15は、式(11)、式(12)、及び式(13)に基づいて、図6に示す単線10と、図1に示す磁性素子1と、図9に示す磁性素子1aと、図10に示す磁性素子1bとについて、入射インピーダンスZiを算出したグラフである。図14は、入射インピーダンスZiにおける実数部である抵抗を示し、図15は、入射インピーダンスZiにおける虚数部であるリアクタンスを示している。
図14、図15において、グラフG11,G12は、磁性素子1において、強磁性体層3がニッケル、線材2が絶縁体の一例であるナイロン(登録商標)であり、半径dが50μmの場合を示している。そして、グラフG11は強磁性体層3の厚さtが0.01μmの場合を示し、グラフG12は強磁性体層3の厚さtが0.1μmの場合を示している。
グラフG21,G22は、磁性素子1aにおいて、強磁性体層3がニッケル、線材4が強磁性体の一例である純鉄であり、半径dが50μmの場合を示している。そして、グラフG21は強磁性体層3の厚さtが0.01μmの場合を示し、グラフG22は強磁性体層3の厚さtが0.1μmの場合を示している。
グラフG31,G32は、磁性素子1bにおいて、強磁性体層3がニッケル、線材5が正磁性体の一例である銅であり、半径dが50μmの場合を示している。そして、グラフG31は強磁性体層3の厚さtが0.01μmの場合を示し、グラフG32は強磁性体層3の厚さtが0.1μmの場合を示している。なお、線材5としてアルミを用いた場合であっても、グラフG31,G32とほぼ同じ結果が得られる。
グラフG41は、図6に示す単線10において、半径dが50μmのニッケル線を用いた場合を示している。
図14、図15から、芯線を絶縁体にした磁性素子1(グラフG11,G12)では、低リアクタンス、高抵抗となることが確認できた。また、芯線を強磁性体層3とは異なる強磁性体にした磁性素子1a(グラフG21,G22)や、芯線を正磁性体にした磁性素子1b(グラフG31,G32)では、磁性素子1より低抵抗、高リアクタンスとなることが確認できた。そして、ニッケルの単線10では、これらの中間的な特性が得られることが確認できた。
また、磁性素子1,1a,1b,1cのインピーダンスZiは、式(11)から、半径dに反比例し、半径dが小さくなるほどインピーダンスZiが増大する。図16、図17に、グラフG11,G21,G31,G41の半径dを、7μmに変更したグラフG13,G23,G33,G43を示す。図16、図17からも、磁性素子1,1a,1bのインピーダンスZiは、半径dを小さくすることにより増大することが確認できる。
図18は、ニッケル、鉄、コバルト、Permalloy、Amorphousの100MHz〜10GHzにおける表皮厚δを式(1)から算出したグラフである。図18において、グラフG51は、比透磁率μ=175、抵抗率ρ=9のコバルトの表皮厚δ、グラフG52は、比透磁率μ=1120、抵抗率ρ=6.85のニッケルの表皮厚δ、グラフG53は、比透磁率μ=5000、抵抗率ρ=9.7の鉄の表皮厚δ、グラフG54は、比透磁率μ=20000、抵抗率ρ=17のPermalloyの表皮厚δ、グラフG55は、比透磁率μ=100000、抵抗率ρ=120のAmorphousの表皮厚δを示している。
図19、図20は、式(11)、式(12)、及び式(13)に基づいて、半径d=6μmのポリエステルの線材2の外周に、図18に示す表皮厚δの厚さtを有する強磁性体層3を設けた磁性素子1のインピーダンスを算出した結果を示すグラフである。図19はインピーダンスの抵抗成分を示し、図20はインピーダンスのリアクタンス成分を示している。
また、図21、図22は、式(11)、式(12)、及び式(13)に基づいて、半径d=6μmの銅の線材5の外周に、図18に示す表皮厚δの厚さtを有する強磁性体層3を設けた磁性素子1bのインピーダンスを算出した結果を示すグラフである。図21はインピーダンスの抵抗成分を示し、図22はインピーダンスのリアクタンス成分を示している。
図19、図20、図21、図22において、グラフG51は、コバルトを強磁性体層3として用いた場合、グラフG52は、ニッケルを強磁性体層3として用いた場合、グラフG53は、鉄を強磁性体層3として用いた場合、グラフG54は、Permalloyを強磁性体層3として用いた場合、グラフG55は、Amorphousを強磁性体層3として用いた場合を示している。また、図23は、グラフG55を除いて図22の縦軸を拡大したグラフである。
絶縁材料であるポリエステルの線材2の外周に、厚さtを表皮厚δとする強磁性体層3を設けた磁性素子1では、図19に示すように、100MHz〜10GHzの周波数範囲で図27に示す従来のマイクロ波磁性体より、インピーダンスの抵抗成分を大きく増大させることが出来る。また、このように、厚さtを表皮厚δとする強磁性体層3を設けた磁性素子1では、図20に示すように、100MHz〜10GHzの周波数範囲でインピーダンスのリアクタンス成分が正の値をとり、磁性体として機能する。
そうすると、磁性素子1のインピーダンスは、強磁性体層3が薄くなるほど増大するから、強磁性体層3厚さtを取り扱い対象の周波数の電磁波により生じる表皮厚δ以下にすることにより、磁性素子1を磁性体として機能させることができ、さらに背景技術に係るマイクロ波磁性体より、インピーダンスの抵抗成分を増大させることが容易である。
また、正磁性体である銅の線材5の外周に、厚さtを表皮厚δとする強磁性体層3を設けた磁性素子1bでは、図21に示すように、100MHz〜10GHzの周波数範囲においてインピーダンスの抵抗成分を極めて小さい低抵抗にしつつ、図22、図23に示すように、リアクタンス成分が正の値となり、磁性体として機能することができる。
図6に示す単線10と、図1に示す磁性素子1と、図9に示す磁性素子1aと、図10に示す磁性素子1bと、図11に示す磁性素子1cとについて、実際にサンプルを作成した。上述の第1実施形態〜第4実施形態においては、等価比透磁率μに基づき磁性素子1〜1cの特性を説明したが、現実には、1GHzを超えるマイクロ波で、磁性体の等価透磁率を測定することができる測定方法が知られていない。そのため、単線10、及び磁性素子1〜1cのサンプルについて、インピーダンスを測定することで、磁性素子1〜1cのマイクロ波における磁気的効果を確認した。
まず、マイクロ波において強磁性体層3によって生じるインピーダンスの測定方法について説明する。単線10、及び磁性素子1〜1cのような線材について、マイクロ波におけるインピーダンスを測定する方法についても、現在のところ確立された測定方法は存在しない。そこで、以下のようにしてインピーダンスを測定した。
図24は、単線10、及び磁性素子1〜1cの各サンプルについて、インピーダンスを測定するために用いた測定治具20の構成を示す断面図である。図24(a)は測定治具20の側断面図を示し、図24(b)は図24(a)におけるA−A断面を示している。また、図24(a),(b)は、測定治具20に、インピーダンスを測定しようとするサンプルSが取り付けられた状態を示している。
測定治具20は、導体板21、載置台22、保持部材23、電極24、及び同軸コネクタ25を備えている。そして、導体板21の上に載置台22が配設され、載置台22の上にサンプルSを載置した後、さらにその上に発泡ポリエチレンの保持部材23を載置、固定することで、サンプルSが動かないように固定するようにした。導体板21の一方端には、上方に突出して電極部21aが設けられ、載置台22に載置されたサンプルSの一端と接触して電気的に接続されるようになっている。また、導体板21の他端には、電極24が凸設されており、載置台22に載置されたサンプルSの他端と接触して電気的に接続されるようになっている。
載置台22として、厚さh=1.6mmの発泡ポリエチレンを用いた。また、電極部21aと電極24との間のサンプルSの長さLは、20mmになるようにした。長さLは、最高測定周波数(2GHz)の波長の1/2以上になると、分布定数回路の共振が生じてインピーダンス測定が正しくできなくなるため、2GHzの波長の1/2より短くなるように、長さLを設定した。サンプルSは、半径50μmのものを用いた。
同軸コネクタ25は、導体板21と電極24とに接続されている。そして、同軸コネクタ25に、計測装置を接続してインピーダンス測定を行った。計測装置としては、Agilent Technology社製(USA) Network analyzer Model-8720を用いた。
次に、図24に示す測定治具20を用いたインピーダンスの測定方法について説明する。長さL、直径2dの、非磁性体(正磁性体)の導体線に電流Iを流すと、導体線の外周における大気中に、磁界Beを生じる。一方、図1に示す磁性素子1のように、絶縁体の線材2の外周に厚さt(厚さt<表皮厚δ)の強磁性体層3を設けると、図25に示すように、強磁性体層3の中に内部磁界Biを生じ、磁界Be+内部磁界Biが生じる(竹山設三 電気磁気学現象理論 丸善 XVI−9(5) pp−393)。強磁性体層3が、銅やアルミニウムのような正磁性体であれば、磁界Biは工学上無視できる程度の弱い磁界となるが、強磁性体層3が強磁性体であれば、Bi>Beとなる。
磁界Beは、大気の透磁率に基づき生じるから、非磁性体(正磁性体)の導体線であっても、磁性素子1,1a,1b,1cであっても、磁界Beは等しい。そうすると、磁性素子1,1a,1b,1cの磁気的効果を検証するためには、磁界Biに係るインピーダンスを測定する必要がある。
そこで、まず、測定治具20に、サンプルSとして、半径dが50μmの銅線(正磁性体)を取り付け、長さL=20mmとしてインピーダンスを測定することで、磁界Beに係るインピーダンスを測定し、次に、半径dが50μmの磁性素子1,1a,1b,1cをサンプルSとして(磁界Be+内部磁界Bi)に係るインピーダンスを測定し、(磁界Be+内部磁界Bi)に係るインピーダンスから磁界Beに係るインピーダンスを差し引くことにより、磁性素子1,1a,1b,1cの内部磁界Biに係るインピーダンス、すなわち磁気的効果を検証した。
ここで、半径d=50μm、長さL=20mmの銅線の特性インピーダンスZは、下記の式(14)で与えられる。また、このような銅線を測定治具20に取り付けた場合に、同軸コネクタ25に接続した計測装置から見たインピーダンスZは、下記の式(15)で与えられる。
Figure 2008147312
Figure 2008147312
但し、ε:厚さh=1.6mmの発泡ポリエチレンの誘電率≒1.03
λ:電磁波の波長
そうすると、インピーダンスZは、磁界Be及び測定治具20に係るインピーダンスとなるので、磁性素子1,1a,1b,1cをサンプルSとして測定治具20に取り付けて測定した測定値から、インピーダンスZの測定値を差し引くことにより、磁性素子1,1a,1b,1cの内部磁界Biに係るインピーダンスを算出した。
図26は、上述のようにして得られた測定値を示す一覧表である。なお、図26に記載のインピーダンス測定値は、すべて上述のようにインピーダンスZの測定値を差し引いた後のインピーダンスを示している。また、インピーダンス測定値(Ω/mm)を、図14、図15に単位をあわせて(Ω/m)で表した値を括弧付きで示した。また、強磁性体層3,6は、メッキにより形成した。また、強磁性体層3,6の厚さ、すなわちメッキ厚は、実測することが極めて困難であるので、電気抵抗を測定して逆算することにより求めた。また、芯線の太さに対して強磁性体層3,6の厚さは極めて微少であるので、半径dとして芯線の半径を記載した。
そして、磁性素子1cについては、加工の容易さから芯線としてステンレス(SUS)を用いた。ステンレスは、抵抗率ρが72×10−8(Ω・m)であり、ニッケルの抵抗率ρ=6.85×10−8(Ω・m)や純鉄の抵抗率ρ=9.7×10−8(Ω・m)より抵抗率が大きい。また、ステンレスは、展性の高さから径を細くすることが容易であるので、ステンレス線の半径dを15μmに小さくして抵抗を増大させることにより、磁性素子1cの線材2として用いた。また、このようにして得られた磁性素子1cにおける強磁性体層6の効果を確認するために、半径d=15μmのステンレス線に強磁性体層3のみ形成した比較サンプルを作成し、インピーダンスを測定した。
このようにして得られた磁性素子1,1a,1b、及び単線10のインピーダンス測定値は、図26に括弧付きで示すように、図14,図15に示すグラフG11,G21,G31とよく一致しており、図14及び図15に示すグラフの導出に用いた式(11)、式(12)、式(13)、及びこれを計算するために必要となる等価比透磁率μの算出式(3)が妥当なものであることが実験的に確認でき、さらにこの式(3)から得られた図2及び図3が実験的に妥当であることが裏付けられた。
また、磁性素子1のインピーダンスは、周波数に関わらず、抵抗成分が大きく、リアクタンス成分が小さくなり、図14、図15に示すグラフG11(理論値)と傾向が一致することが確認できた。
また、磁性素子1aのインピーダンスは、単線10、磁性素子1,1a,1bのうち、抵抗成分が磁性素子1に次いで大きく、リアクタンス成分が最大となり、図14、図15に示すグラフG21(理論値)と傾向が一致することが確認できた。特に、単線10との比較では、磁性素子1aは、抵抗成分、リアクタンス成分共に約2倍となり、芯まで強磁性体にした構成よりも、磁気的効果が増大することが確認できた。
そして、磁性素子1bのインピーダンスは、単線10、磁性素子1,1a,1bのうち、抵抗成分が最も小さく、リアクタンス成分が磁性素子1に次いで大きく、図14、図15に示すグラフG31(理論値)と傾向が一致することが確認できた。
さらに、磁性素子1cのインピーダンスは、比較サンプルとの比較から、強磁性体層6を備えることによって、抵抗成分、リアクタンス成分のいずれもが増大し、特にリアクタンス成分が大きく増大することが確認できた。
本発明の第1の実施形態に係る磁性素子の構成の一例を示す模式図である。(a)は磁性素子の断面図を示し、(b)は磁性素子の斜視図を示している。 ニッケルで構成された強磁性体層の厚さtと磁性素子の等価比透磁率μとの関係を示すグラフである。 ニッケルで構成された強磁性体層の厚さtと磁性素子の等価比透磁率μとの関係を示すグラフである。 磁性体に磁界が作用することにより生じる反磁界について説明するための説明図である。 (a)は、図1に示す線材における反磁界係数を説明するための説明図である。(b)は、背景技術に係る磁性体微粒子を用いたマイクロ波磁性体の球体の磁性体微粒子における反磁界係数を説明するための説明図である。 芯まで強磁性体にした単線を示す模式図である。 図6に示す単線の半径dと単線の等価比透磁率μとの関係を示すグラフである。 図6に示す単線の径が変化した場合の等価比透磁率μの変化を説明するための説明図である。 本発明の第2の実施形態に係る磁性素子の構成の一例を示す図である。(a)は磁性素子の断面図を示し、(b)は磁性素子の斜視図を示している。 本発明の第3の実施形態に係る磁性素子の構成の一例を示す図である。(a)は磁性素子の断面図を示し、(b)は磁性素子の斜視図を示している。 本発明の第4の実施形態に係る磁性素子の構成の一例を示す図である。(a)は磁性素子の断面図を示し、(b)は磁性素子の斜視図を示している。 芯線の外周に厚さtの強磁性体層を有する半径dの線材を、厚さtの強磁性体層の背面に負荷インピーダンスZの平面板が設けられた平面磁性体に近似して示した説明図である。 図11に示す磁性素子を平面状にした場合の磁界分布を示す説明図である。 図6に示す単線と、図1に示す磁性素子と、図9に示す磁性素子と、図10に示す磁性素子とについて、半径dが50μmの場合の入射インピーダンスZiを算出したグラフである。 図6に示す単線と、図1に示す磁性素子と、図9に示す磁性素子と、図10に示す磁性素子とについて、半径dが50μmの場合の入射インピーダンスZiを算出したグラフである。 図6に示す単線と、図1に示す磁性素子と、図9に示す磁性素子と、図10に示す磁性素子とについて、半径dが7μmの場合の入射インピーダンスZiを算出したグラフである。 図6に示す単線と、図1に示す磁性素子と、図9に示す磁性素子と、図10に示す磁性素子とについて、半径dが7μmの場合の入射インピーダンスZiを算出したグラフである。 ニッケル、鉄、コバルト、Permalloy、Amorphousの100MHz〜10GHzにおける表皮厚δを示すグラフである。 半径d=6μmのポリエステルの線材2の外周に、図18に示す表皮厚δの厚さtを有する強磁性体層3を設けた磁性素子1のインピーダンスの抵抗成分を算出した結果を示すグラフである。 半径d=6μmのポリエステルの線材2の外周に、図18に示す表皮厚δの厚さtを有する強磁性体層3を設けた磁性素子1のインピーダンスのリアクタンス成分を算出した結果を示すグラフである。 半径d=6μmの銅の線材5の外周に、図18に示す表皮厚δの厚さtを有する強磁性体層3を設けた磁性素子1bのインピーダンスの抵抗成分を算出した結果を示すグラフである。 半径d=6μmの銅の線材5の外周に、図18に示す表皮厚δの厚さtを有する強磁性体層3を設けた磁性素子1bのインピーダンスのリアクタンス成分を算出した結果を示すグラフである。 図22の縦軸を拡大したグラフである。 単線及び磁性素子の各サンプルについて、インピーダンスを測定するために用いた測定治具の構成を示す断面図である。(a)は測定治具の側断面図を示し、(b)は(a)におけるA−A断面を示している。 図1に示す磁性素子に電流を流した場合に生じる磁界を説明するための説明図である。 単線及び磁性素子の各サンプルについて、実験的に測定されたインピーダンスの測定結果を示す一覧表である。 背景技術に係るマイクロ波磁性体の100MHz〜10GHzにおけるインピーダンスの抵抗成分を示すグラフである。 背景技術に係るマイクロ波磁性体の100MHz〜10GHzにおけるインピーダンスのリアクタンス成分を示すグラフである。
符号の説明
1,1a,1b,1c 磁性素子
2 線材
3,6 強磁性体層
4,5 線材
20 測定治具
21 導体板
21a 電極部
22 載置台
23 保持部材
24 電極

Claims (11)

  1. 所定の周波数の電磁波に対して磁性体として機能する磁性素子であって、
    第1線材の外周に、強磁性体の第1層を設け、
    前記第1層の厚さは、前記周波数の電磁波により生じる表皮厚以下であること
    を特徴とする磁性素子。
  2. 所定の周波数の電磁波に対して磁性体として機能する磁性素子であって、
    第1線材の外周に、直流においてニッケルの透磁率以上の透磁率を有する強磁性体の第1層を設け、
    前記第1層の厚さは、12μm以下であること
    を特徴とする磁性素子。
  3. 前記第1層の厚さは、4μm以下であること
    を特徴とする請求項2記載の磁性素子。
  4. 前記第1線材は、絶縁材料であること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁性素子。
  5. 前記第1線材は、前記第1層とは異なる強磁性体であること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁性素子。
  6. 前記第1線材は、正磁性体であること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁性素子。
  7. 前記第1線材は、
    絶縁材料により構成された第2線材と、
    前記の外周に設けられた前記第1層とは異なる種類の強磁性体の第2層とからなり、
    前記第2層の厚さは、前記周波数の電磁波により生じる表皮厚以下であること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁性素子。
  8. 前記第1線材は、
    絶縁材料により構成された第2線材と、
    前記第2線材の外周に設けられた正磁性体の第2層とからなるものであること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁性素子。
  9. 前記第1線材は、鉄であり、
    前記第1層は、ニッケルであること
    を特徴とする請求項5記載の磁性素子。
  10. 前記第1線材は、銅であること
    を特徴とする請求項6記載の磁性素子。
  11. 前記電磁波の周波数は、少なくとも1GHzを含むこと
    を特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の磁性素子。
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