JP2008146889A - ヒータ用端子カバー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】芳香族系ポリイミド樹脂で構成されたヒータ用端子カバー。
【選択図】図1
Description
従来、これらの端子カバーには耐熱性、絶縁性の観点で信頼の高い陶器製のものが用いられていた。
これらのヒータは、機器使用時には電源から電力を供給するためにその端子に配線が結線されているものの、機器のメンテナンス時にはその端子から配線は外す必要が生じる。そのため、端子カバーは、機器のメンテナンス開始時には端子から外され、その後の機器の復旧時には再び端子に取り付けられる。
そして、熱可塑性樹脂加工用の機器等の多くはコンクリート打ちの床上に設置されているので、結果として陶器製のヒータ用端子カバーをコンクリート床上に落下させることとなり、その殆どは破損してしまい、再使用ができない。
そのため、上記のようなメンテナンス作業が度重なると、当初、陶器製のヒータ用端子カバーを十分に保有していても、徐々に在庫は無くなり、最終的には不足してしまう。この時、機器復旧までに端子カバーを再購入できれば本来問題はない。
しかし、生産現場では時間に追われているために、機器の稼働自体には影響のないヒータ用端子カバーを取り付けずに機器使用を再開してしまい、結果、感電事故や短絡事故等を引き起こす可能性があった。
また、シーズヒータに関する特許文献2や、カートリッジヒータに関する特許文献3において、封止剤、絶縁材として、耐熱性、絶縁性の観点からポリイミドが好適に用いられる旨が開示されているが、頻繁にヒータに取り付け、取り外しされるヒータ用端子カバーとして、芳香族系ポリイミド樹脂を用い、その割れを防止することを目的とする本発明とは全く異なるものである。
すなわち、本発明は、
1.芳香族系ポリイミド樹脂で構成されたヒータ用端子カバー、
2.芳香族系ポリイミド樹脂が、ASTM−D−648に基づく熱変形温度が300℃以上であることを特徴とする上記1.に記載のヒータ用端子カバー、
3.芳香族系ポリイミド樹脂が、ASTM−D−257に基づく体積固有抵抗値が1014Ω/cm以上であることを特徴とする上記1.に記載のヒータ用端子カバー、
4.コンクリート床より2mの高さから床上に自然落下させた場合の耐落下性が、破損率として10%以下であることを特徴とする上記1.に記載のヒータ用端子カバー、
5.ヒータが、芳香族系ポリイミド樹脂の熱変形温度を越えない設定温度にて連続使用されることを特徴とする上記2.に記載のヒータ用端子カバー、
である。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づくものであるが、本発明はそのような実施態様に何ら限定されるものではない。なお、本発明において用いる「〜」はその前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を意味する。
〔芳香族系ポリイミド樹脂〕
本発明において、ヒータ用端子カバーを各種の樹脂材料により見出すにあたり、種々の耐熱性を有する樹脂材料の可否を検討した。耐熱性を有する樹脂材料としては、ポリベンゾイミダゾール、ポリイミド、芳香族ポリイミド(全芳香族ポリイミド)、芳香族ポリエステル(全芳香族ポリエステル)、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフッ化エチレン(ポリ四フッ化エチレン)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリカーボネート、繊維強化ポリエステル、繊維強化ポリアミド等が挙げられ、検討されたが、特に耐熱性に優れ、更に絶縁性、物理強度、切削加工性、入手容易さ、コスト等の観点から、本発明では芳香族系ポリイミドを選定した。
原料であるテトラカルボン酸二無水物が、ピロメリット酸二無水物やナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の様な芳香族化合物である場合、これらから合成されたものを特に芳香族ポリイミド樹脂と呼ぶ。更にジアミンがフェニレンジアミンや4,4’−ジアミノビフェニルエーテルの様な芳香族化合物であり原料モノマーが何れも芳香族化合物である場合、これらから合成されたものを特に全芳香族ポリイミド樹脂と呼ぶ。本発明は全芳香族ポリイミド樹脂を含む芳香族ポリイミド樹脂を芳香族系ポリイミドと称し、これを材料に用いるものである。
また、芳香族系ポリイミドは機械的性質や電気的性質も同様に安定しており、高い物理強度や電気絶縁性能を具備している。そのため、芳香族系ポリイミドは、従来から成形品としてICソケット、複写機の軸受け等の摺動部材、プリンターのワイヤガイド、圧縮機等のピストンリング、スラストワッシャー、モーター絶縁材、パイプシール、自動車や航空機のエンジン廻り部品、人工衛星の絶縁部品、クランプリング、エッシャー、アッシャー、軸受け、ボルト、ナット、ギア、ガスケットシール等、またフィルムとして電子回路部材の絶縁材料、特に非接触ICタグ(データキャリア)のIC実装用のベース基材、フレキシブルプリント回路用基材、リードフレーム用基材等、更にワニス・コーティング剤として電子回路の封止剤、多層配線回路の層間絶縁材料、電線・ケーブル用被覆材、焼付エナメル、放射線等保護用塗料等、幅広く利用されている。
このような優れた特徴を有するポリイミド樹脂は、デュポン、東レ、宇部興産、日立化成等の各社製品を利用することができる。
本発明のヒータ用端子カバーに用いる芳香族系ポリイミド樹脂は、その絶縁性能として、ASTM−D−257に基づく体積固有抵抗値が、1014Ω/cm以上であることが好ましい。該体積固有抵抗値は1015Ω/cm以上であることがより好ましく、5×1015Ω/cm以上であることが特に好ましい。該体積固有抵抗値が1014Ω/cm未満であると、端子カバーを装着していてもヒータ通電時に感電や短絡の恐れがあり、好ましくない。
ヒータはその仕様により、種々様々な形状や出力のものがある。用途によっては700〜800℃まで加熱できるヒータも存在するが、本発明のヒータ用端子カバーを用いるのは、特に熱可塑性樹脂の加工機器等に用いるヒータが想定されており、バンドヒータ、プレートヒータ、スペースヒータ、シーズヒータ等を例示することができる。
本発明のヒータ用端子カバーを適用するヒータとしては、芳香族系ポリイミド樹脂の熱変形温度を越えない設定温度にて連続使用することを前提とするものが好ましい。芳香族系ポリイミド樹脂の熱変形温度を越えた高温にてヒータを連続使用すれば、当然これに接するヒータ用端子カバーは変形し、使用に耐えられない。
具体的には、300℃を越えない設定温度にて連続使用することを前提とするヒータが特に好ましい。
芳香族系ポリイミド樹脂を成形加工し、ヒータ用端子カバーを得る方法として、芳香族系ポリイミド樹脂が熱可塑の性状を有する場合は、インジェクション等の製法を駆使して所望の金属型内に熱溶融樹脂を押出し、成形加工することも出来る。しかしながら、芳香族系ポリイミド樹脂が融点(軟化点)を持たず、熱可塑の性状を有していない場合は、インジェクション等の製法を適用するのは無理であり、また、本発明のヒータ用端子カバーの様に高い耐熱性が求められるものの場合は、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸(ポリアミック酸)の溶液を利用して、型内で加熱または触媒を用いて脱水・環化反応を進めて所望の形状のヒータ用端子カバーを得るか、或いは同様にポリアミド酸よりポリイミド樹脂の固まり(ブロック)を一旦成形し、次いで金属加工と同様に切削することにより所望の形状のヒータ用端子カバーに加工する。
ここで、試験法をコンクリート床より2mの高さからの落下としたのは、メンテナンスの実作業上、ヒータ用端子カバーの設置される最も高い位置が、床から約2mの高さであったためである。
〔ヒータ用端子カバーの製造〕
芳香族系ポリイミド樹脂として、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの縮重合物よりなる成形体「ユピモールSA201」(宇部興産(株)製、登録商標名)を用い、切削加工により図1の形状のヒータ用端子カバーを500個製造した。「ユピモールSA201」のASTM−D−648に基づく熱変形温度(18.56kg/cm2)は486℃、ASTM−D−257に基づく体積固有抵抗値(23℃)は7.1×1015Ω/cmである。
以下に示す試験方法に従い、本発明のヒータ用端子カバーの物性評価を行った。
〔ヒータ用端子カバーの耐熱性評価〕
上記で得たヒータ用端子カバーを、出願人の生産ライン1系列全てのヒータ(バンドヒータ、プレートヒータ)の端子に実際に取り付け、以下の条件下にて長期の耐熱性試験を実施して、評価を行った。
テスト数量 :200個
テスト期間 :3ヶ月
ヒータ設定温度:230℃〜270℃
試験後、本発明のヒータ用端子カバー200個全ての外観より、熱による変形の有無を評価したが、何れも設置当初と同様であり変形は見られなかった。同様に変色等の樹脂劣化も見られず、上記条件下での長期の耐熱性を有することが確認された。
ヒータ用端子と該ヒータを取り付けた樹脂加工器機(押出機)本体の金属部分間の絶縁性を、ヒータ用端子カバーがある場合と、ない場合とでそれぞれ評価した。評価には絶縁抵抗計(メガ)を用いて、絶縁抵抗の測定(メガ測定)を行った。
本発明のヒータ用端子カバーを、ヒータの端子に取り付けた状態で評価したところ、絶縁抵抗値は100MΩ(メガオーム)を示し、本発明のヒータ用端子カバーにより実質的に絶縁されていることが確認された。尚、該絶縁抵抗値は従来の陶器製端子カバーを取り付けて評価した場合と同等である。
同様に、ヒータの端子に端子カバーを取り付けない状態で絶縁性を評価したところ、絶縁抵抗値は1MΩ以下(振り切り)を示し、絶縁は確認されなかった。
上記で得たヒータ用端子カバー10個と、従来の陶器製のヒータ用端子カバー(絶縁碍子)10個を、何れもコンクリート床より2mの高さから床上に自然落下させて、破損の有無を確認した。結果を表1に示す。従来品は10個中、破損が7個(破損率70%)であったのに対し、本発明品は10個中、破損は0個(破損率0%)であった。
特に陶器製のヒータ用端子カバーでは、ヒビが入ったものでも、再使用中に割れて、製品への混入や感電事故・短絡事故が発生する恐れが高いために、使用不可としてカウントした。
Claims (5)
- 芳香族系ポリイミド樹脂で構成されたヒータ用端子カバー。
- 芳香族系ポリイミド樹脂が、ASTM−D−648に基づく熱変形温度が300℃以上であることを特徴とする請求項1に記載のヒータ用端子カバー。
- 芳香族系ポリイミド樹脂が、ASTM−D−257に基づく体積固有抵抗値が1014Ω/cm以上であることを特徴とする請求項1に記載のヒータ用端子カバー。
- コンクリート床より2mの高さから床上に自然落下させた場合の耐落下性が、破損率として10%以下であることを特徴とする請求項1に記載のヒータ用端子カバー。
- ヒータが、芳香族系ポリイミド樹脂の熱変形温度を越えない設定温度にて連続使用されることを特徴とする請求項2に記載のヒータ用端子カバー。
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JP2006299151A (ja) * | 2005-04-22 | 2006-11-02 | Du Pont Toray Co Ltd | 低熱収縮性ポリイミドフィルムおよびその製造方法 |
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