JP2008145240A - 免疫測定法を用いたイミダクロプリドの測定キット - Google Patents

免疫測定法を用いたイミダクロプリドの測定キット Download PDF

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Abstract

【課題】 イミダクロプリドの施用現場での測定において、免疫測定法を利用した操作性に優れたイミダクロプリドの測定法及びそのキットを提供すること。
【解決手段】 免疫測定法によるイミダクロプリドの測定キットであって、(1)採取した測定対象物から溶剤を用いてイミダクロプリドを抽出する為の抽出ユニット、(2)識別抗原を封入する反応容器、抗イミダクロプリド抗体を固相化する固定部材、および前記反応容器に嵌装可能な封止部材からなり、かつ前記試料または試料希釈液を接触させることにより抗原抗体反応を行うことを特徴とする反応ユニット、および任意に(3)前記反応の結果、測定対象物中のイミダクロプリド濃度に依存した変化を目視あるいは光学的に検出する検出ユニット、および(4)該試料液を所定比率に希釈する希釈ユニット、を有する測定キットを提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、免疫測定法を用いたシロアリ駆除剤イミダクロプリドの測定キットに関する。土壌中に残存するイミダクロプリド濃度の簡易な測定キットとして、特にイミダクロプリドの施用現場で測定するのに有用である。
イミダクロプリド(化学名:1−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−ニトロイミダゾリジン-2−イリデンアミン))は、以下の式(1):
Figure 2008145240
で表される構造を有するネオニコチノイド系の殺虫剤であり、即効的な殺虫活性を示す。より詳細には、イミダクロプリドは、シナプス後膜のニコチン性アセチルコリン受容体に作用し、神経伝達を遮断すると考えられている。本剤に曝露された害虫は従来の有機リン剤やカーバメート剤の異常興奮とは異なり、麻痺、弛緩症状を起して死に至る。致死濃度以下でも害虫の摂食、交尾、産卵、飛翔、歩行などの活動を抑える(農薬ハンドブック第116頁-第118頁及び第538頁、1994年版、日本植物防疫協会;「最新農薬の残留分析法」第355頁〜第357頁、農薬残留分析法研究班編集 中央放棄出版)。本化合物は、シロアリ駆除剤として使用されるほかに、殺虫剤として、ウンカ・ヨコバイ類,アブラムシ類,コナジラミ類,カメムシ類,コナカイガラムシ類,ツノロウムシ類等の半翅目害虫,シンクイムシ類,チャノホソガ,キンモンホソガ,ギンモンハモグリガ,モモハモグリガ,ミカンハモグリガ等の鱗翅目害虫,更には鞘翅目害虫や直翅目害虫などの幅広い農業害虫に優れた薬効を示し、浸透移行や残効性を有する。
特に、シロアリ駆除剤としては、対象の建築物などの基盤部分や床下の土壌などで長期にわたり残効性を有さねばならず、定期的なイミダクロプリド濃度のモニタリングが重要である。ここで、シロアリ駆除剤としてのイミダクロプリドは、乳液等に有効成分として含まれる場合の他、カプセル製剤に含まれている場合もある。カプセル製剤としては、限定はされないが、マイクロカプセルが包含される。
従来、イミダクロプリドの残留濃度は、対象物である土壌等からイミダクロプリドを抽出し、精製した後、ガスクロマトグラフィー(GC)により分析されてきた。即ち、試料をアセトンで抽出し、多孔性ケイソウ土カラム、フロリジルカラム、シリカゲルカラム、C18カラム、フロリジルカラムの順で精製後、GCで測定されている。本測定法は、精度や感度においては申し分ないが、高価な設備と高度な技術を必要とするため、屋外での測定には不向きだった。
一方、免疫測定法は、抗体の抗原に対する特異的な反応性を利用して抗原の測定を行うもので、測定精度が優れているばかりでなく、前記GCのような複雑な精製工程や高価な設備を必要としないことから、迅速、簡便かつ経済的な測定法である。従来、免疫測定法は、臨床診断の分野で患者の病態解析法の一つとして大きな役割を担ってきたが、近年環境負荷化学物質測定への適用が進んでいる。イミダクロプリドにおいても、イミダクロプリド誘導体を結合したタンパク質を免疫して作製したモノクローナル抗体を用いて、イミダクロプリドの免疫測定法が開発されている(特開2000−191698号公報)。
特開2000−191698号公報
従来、イミダクロプリド測定に使用されてきた上記GCによる分析方法は、試料の抽出・精製工程に煩雑な手順と時間を必要とする。また、高額の費用を投資して測定装置や設備を設置したいわゆる分析施設で測定する必要があった。したがって、GCは、シロアリ駆除剤イミダクロプリドを施用した現場で、残効性確認のために適用することが出来なかった。
一方、免疫測定法は、複雑な精製工程を必要としないことから、現場での測定に比較的適した測定方法である。しかしながら、通常用いられるマイクロプレートを利用した免疫測定法は、やはり分析施設内で好適に用いられるもので、シロアリ駆除剤施用現場である住宅地などにおいて好適な使用方法を提供しているとはいえなかった。
さらに、イミダクロプリドがマイクロカプセル等のカプセル製剤として存在する場合には、カプセル部分を溶かさなければ測定が可能とならず、施用現場においてより簡便な測定方法が必要であった。
本発明の目的は、イミダクロプリドの施用現場での測定において、免疫測定法を利用した操作性に優れたイミダクロプリドの測定法及びそのキットを提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、以下に示す免疫測定法を用いたイミダクロプリドの測定キットにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明は、免疫測定法によるイミダクロプリドの測定キットであって、
1)測定対象物から溶剤を用いてイミダクロプリドを抽出する為の抽出ユニット、2)識別抗原を封入する反応容器、抗イミダクロプリド抗体を固相化する固定部材、および前記反応容器に嵌装可能な封止部材を含む、反応ユニットを有する、免疫測定法を用いたイミダクロプリドの測定キットを提供するものである。
ここで、本発明の免疫測定法を用いたイミダクロプリドの測定キットでは、上記識別抗原は、イミダクロプリドのハプテンと識別機能を有する物質との結合体であり、上記抗体は、モノクローナル抗体またはそのフラグメントであり得る。
本発明の免疫測定法を用いたイミダクロプリドの測定キットではまた、上記反応容器として、識別抗原を封入した少なくとも1つの反応容器と、識別抗原および既知量のイミダクロプリドを封入した少なくとも1つの反応容器との組合せを用いることができる。
本発明の免疫測定法を用いたイミダクロプリドの測定キットでは、上記識別抗原および識別抗原と既知量のイミダクロプリド混合物を各々予め乾燥した状態にて上記反応容器に封入するとともに、識別抗原のみの反応容器内においては上記試料液によって溶解し、上記混合物を封入した反応容器においては溶解液によって溶解することができる。
本発明の免疫測定法を用いたイミダクロプリドの測定キットでは、上記反応ユニットは、試料中のイミダクロプリド濃度に依存した変化を目視あるいは光学的に検出する為の検出機能を兼ねることもできる。
本発明の免疫測定法を用いたイミダクロプリドの測定キットでは、上記試料中のイミダクロプリド濃度に依存した変化を目視あるいは光学的に検出する為の検出ユニットを含ませることもできる。
本発明の免疫測定法を用いたイミダクロプリドの測定キットでは、上記抽出ユニットにて抽出した試料液を所定比率に希釈する希釈ユニットを含ませることもできる。
本発明の免疫測定法を用いたイミダクロプリドの測定キットでは、上記抽出ユニットにおいて、溶剤を含ませることができる。この溶剤は、エタノール、メタノールおよびジメチルスルホキシドからなる群より選択される1種または2種以上の組合せであり得る。
本発明においては、上記測定対象物は、カプセル製剤含有物であり得る。さらに、このカプセル製剤は、マイクロカプセルの形態であり得る。
本発明の免疫測定法による免疫測定方法によるイミダクロプリドの測定方法は、1)採取した測定対象物から溶剤を用いて、イミダクロプリドを抽出する工程、2)上記抽出する工程により得られたイミダクロプリド含有試料液を、識別抗原を封入した反応容器にて、抗イミダクロプリド抗体が固相化された固定部材に接触させる工程、および3)上記接触により抗原抗体反応することによる、試料中のイミダクロプリド濃度に依存した変化量を検出する工程、を含む。
本発明の免疫測定方法によるイミダクロプリドの測定方法においては、上記識別抗原は、イミダクロプリドのハプテンと識別機能を有する物質との結合体であり、上記抗体は、モノクローナル抗体またはそのフラグメントであり得る。
上記検出する工程は、上記抽出により得られた試料液における変化量と、一定量のイミダクロプリドを含有する試料液における変化量とを比較する工程であり得る。
以上のように、本発明を適用することによって、土壌中に施用した種々の形態のイミダクロプリドに対して選択性が高く、施用現場においても操作性に優れた簡易な免疫測定法を用いたイミダクロプリドの測定キットまたは免疫測定方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
抗原抗体反応を利用した免疫測定法は、一般に特定の物質に対して高い選択性を有し、高感度測定が可能であり、かつ操作が容易な測定法である。本発明はこうした特長を活かしながら、イミダクロプリドの測定においてキットの形状や反応に関与する抗体の固相化手段、反応物質同士の接触手段や操作手段および反応状態の検出手段を選定し、現場でも最適な操作が可能な簡便性を有する測定キットの構成または測定方法を可能にしたものである。
つまり、予め反応に寄与する識別抗原を安定な条件で封入した反応容器を準備し、その反応容器において全ての操作ができるようにすることによって、操作性・安定性に優れた簡便な測定キットを構成することおよび測定方法を行うことが可能となった。具体的には、測定対象物からイミダクロプリドを抽出後、調製したサンプルを、識別抗原を封入した反応容器に投入することを第1ステップとすることによって、サンプル中のイミダクロプリドと識別抗原との均一な混合を図ることができる。次に、抗イミダクロプリド抗体を固相化した担体を反応容器に挿入あるいは導入することを第2ステップとすることによって、イミダクロプリドと識別抗原との間における競合的な抗原抗体反応を迅速かつ確実に行うことができる。さらに、第3ステップとして、例えば、こうした反応によって得られた反応物を、抗体と結合した識別抗原に由来する発色反応として検出するように、試料中のイミダクロプリド濃度に依存した変化を目視あるいは光学的に検出することによって、イミダクロプリドの濃度を求めることができる。これらの競合反応や発色反応は、屋外でも操作しやすいように密栓して行うことができる。以上のように、予め識別抗原を封止した反応容器中で、攪拌、反応、測定など、全ての操作を行う特徴を有している。
なお、ここでいう「目視あるいは光学的に検出する」とは、抗原−抗体反応に伴う変化を、反応自体によって生じる発色や蛍光あるいは発色剤や蛍光剤を添加することによって生じる発色や蛍光、または濁度などの、光学的変化として取り出し、目視あるいは吸光光度計などによって検出することをいう。
免疫測定法において、識別抗原が測定対象となるイミダクロプリドと競合反応を形成するには、イミダクロプリドに近い分子構造を有しかつ抗体のエピトープを有する物質を識別抗原とすることが好ましい。本発明においては、識別抗原をイミダクロプリドの誘導体と識別機能を有する物質の結合体とすることによって、この条件を満たすことができ選択性の高い測定が可能となる。また、抗体については、一般にポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体があるが、モノクローナル抗体が有する高感度および高選択性から、特にモノクローナル抗体が好ましい。本発明においては、これらを組み合わせることによって、非常に選択性が高く高感度な免疫測定法を用いたイミダクロプリドの測定キットを提供することが可能になった。ここで、「識別機能を有する物質」とは、抗原-抗体反応の結果を直接的あるいは間接的に識別可能にする物質あるいは担体物質をいい、具体的には酵素や蛍光タンパク質のような生体物質、低分子の蛍光物質、金コロイド、カラーラテックスビーズなどの担体が挙げられる。また、本発明に係る抗原−抗体反応においては、さらに、こうした抗体のみならず、FabフラグメントやF(ab’)2フラグメントなどのように抗原結合性を有する抗体の一部も包含される。
本発明に係る測定キットまたは方法においては、抗原抗体反応後の結果を色量変化などの目視的あるいは光学的変化として検出することから、試料液中のイミダクロプリドの濃度に対する基準を明確にすることが好ましい。そこで、ゼロを含む既知濃度のイミダクロプリドを封入した複数の反応容器を準備し、試料液を投入した反応容器との色量変化を比較することによって、バックグランドや周囲温度などの影響を排除した測定を行うことが可能となる。つまり、測定条件を共通にした基準との比較を行うことによって、簡易かつ精度の高い免疫測定法を用いたイミダクロプリドの測定キットまたは方法を提供することが可能となる。
一般に識別抗原として用いる薬剤の中には、自然放置すると長期的安定性に欠ける場合がある。こうした変質が生じた場合には、活性度の低下に伴い反応速度だけでなく反応そのものに影響することから測定精度に大きな影響を与えることがある。本発明は、識別抗原を凍結乾燥することによって、薬剤の変質を防止し使用直前に最適な反応状態を確保することができることを見出したもので、反応容器内において、試料液または希釈した試料液(以下「試料液」という。)または溶解液によって、識別抗原を溶解させると同時に、抗原−抗体反応を開始し、迅速な免疫測定法を用いたイミダクロプリドの測定を行うことが可能となる。また、反応容器内において反応を開始させ完結させることができることから、現場での作業性の優れた測定キットを構成することができる。なお、ここでいう「溶解液」とは、例えば希釈液などのように反応に関与せず、予め凍結乾燥した識別抗原や識別抗原と既知量のイミダクロプリド混合物を溶解するために用いる溶媒をいう。
本発明においては、抗原抗体反応後の結果を色量変化などの目視的あるいは光学的変化検出は、反応ユニットにおいても行いうるし、別の検出ユニットを設けて行うこともできる。さらに本発明では、抽出ユニットにて調製したイミダクロプリド含有試料液を所定比率に希釈する希釈ユニットを含んでいてもよく、この希釈ユニットにより、測定対象物から抽出した試料液を適宜反応に適する濃度に希釈し得る。
本発明では、抽出ユニットに含まれる溶剤は、限定はされないが、エタノール、メタノール、およびジメチルスルホキシドからなる群より選択される1種または2種以上の組合せであり得る。1つの態様において、前記測定対象物は、カプセル製剤を含有し、このカプセル製剤は、マイクロカプセルの形態であり得る。
本発明では、マイクロカプセルにイミダクロプリドのようなシロアリ駆除剤を封入して用いているような場合をも想定する。すなわち、シロアリ駆除剤の人体への影響は、カプセル化により最小限に抑えられると同時に、シロアリに対しては、グルーミングなどによって口の中に入ったマイクロカプセルを噛み砕いて体内に取り込み、マイクロカプセルの中の有効成分が効果を発揮する。この為、近年広くマイクロカプセルを始めとするカプセル化の技術が使われている。従って、イミダクロプリドのカプセル製剤中の量を正確に測定する為の対応が必要であり、試料中のカプセル部分を溶かすと共にイミダクロプリドを抽出するような溶剤の選択が重要となる。
<本発明にかかる測定キットの基本構成および測定方法>
本発明にかかる免疫測定法を用いたイミダクロプリドの測定キットは、(1)採取した測定対象物から溶剤を用いて抽出したイミダクロプリド含有試料液を調製する為の抽出ユニット、(2)識別抗原を封入する反応容器、抗イミダクロプリド抗体を固相化する固定部材、および前記反応容器に嵌装可能な封止部材からなり、かつ前記試料液を接触させることにより抗原抗体反応を行うことを特徴とする反応ユニット、を含む。
つまり、これらの手段を組み合わせることによって、免疫測定法の特徴を活かしながら、反応容器の形状、反応に関与する試剤の製剤化方法、反応物質同士の接触方法および反応状態の検出方法を選定し、イミダクロプリドの施用現場でも好適に使用可能な測定キットを構成することを可能にした。
上記測定キットの測定方法は、通常の免疫測定法の中でも、公知の例えば酵素免疫測定法、金コロイド法等(Meth. Enzymol., 92, 147-523 (1983), Antibodies Vol.II IRL Press Oxford (1989))を適用することができる。
以下、酵素免疫測定法の中でも抗体固相タイプのELISA(Enzyme−Linked Immunosorbent Assay)を適用した場合を例に、測定キットの基本構成となる各ユニットを説明するが、本発明はこれに限定されない。また、説明するそれぞれの材料等は、ELISAを適用した測定キットに限らず、他の標識を使用した場合の測定キット、あるいはELISAまたは他の標識を使用した場合の測定方法にも共通して使用可能なものである。ここで、測定対象物としては、土壌や環境水などを挙げることができ、測定物質としては、防虫剤あるいは駆除剤などの薬剤であるイミダクロプリドが対象となる。
(1)抽出ユニット
土壌を溶剤の入ったポリプロピレン、ポリエチレンなどの樹脂製またはガラス製の容器に加え、攪拌することによってイミダクロプリドを抽出する。抽出するための溶剤としては、メタノール、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、エタノール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドが挙げられる。このような溶剤は予め容器に入れておくか、キットに別途含まれていてもよい。またはキットには容器のみが含まれていて、溶剤は別途調達することも可能である。好適な溶剤の濃度は、30〜100%程度である。すなわち、これらの溶剤は水溶液の形態でもよい。溶剤は、イミダクロプリドがマイクロカプセル等のカプセル製剤の形態中に存在するものであっても、カプセル部分を溶解することができるものが好ましいが、これに限定されない。すなわち、イミダクロプリドの製剤形態のいかんに関わらず用いることができる溶剤が好ましい。メタノールは、イミダクロプリドに対して溶解性が高く、高い抽出効率を得ることができる点において優れている。また、疎水性が低く、たんぱく質などに対する変質作用が少ない点においても優れている。さらには、メタノール40〜50%が、高い抽出効率を得られ、危険性が少ないことから、より好ましい。一方、イミダクロプリドが土壌中にマイクロカプセルなどのカプセル製剤として存在する場合、上記いずれの溶剤も用いることはできるが、カプセル成分を完全に溶解する必要があり、その場合には、エタノールまたはジメチルスルホキシドが好ましい。特にエタノールは、相対的に毒性が低く、市販の無水エタノールを使用できることから、より簡便な測定が可能となるため好ましい。
(2)抗原抗体反応ユニット
(a)識別抗原を封入した免疫反応容器の作製
(a−1)識別抗原の調製
イミダクロプリドと競合的な抗原抗体反応を行う識別抗原としては、イミダクロプリドと競合的な抗原抗体反応を生じるイミダクロプリドもしくはその誘導体に、酵素を結合したものを用いる為、誘導体としては、酵素との結合基を有するものを用いるとよい。使用可能な酵素としては、ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、βガラクトシダーゼ等が挙げられるが、公知のものであれば特に制限はない。誘導体と酵素の結合は、酵素が失活しない条件なら特に制限なくいかなる方法で行ってもよい。以下、イミダクロプリドの誘導体の構造について具体的に説明する。
上記式(化1)のようなイミダクロプリドの誘導体としては、下記式(化2)で表わされる構造を有する化合物を挙げることができる。
Figure 2008145240
式(2)中、Aは、S、O、CHおよびNHからなる群より選択される1種を表し、nは1〜10の中から選ばれる整数を表す。
上記式(2)で表される化合物において、カルボキシル基が対象高分子と共有結合することにより、複合体を形成する。
ハプテン化合物として用いられる上記式(2)で表される化合物の製造は、公知の合成方法により行うことができ、特に限定されるものではないが、例えば以下のような方法を用いることができる。
まず、以下の式(X1)
Figure 2008145240
[式(X1)中、L2はCl、Br、およびIからなるグループから選択されるハロゲン原子である]で表される構造を有する化合物に、有機溶媒中、塩基の存在下、以下の式:
Figure 2008145240
[式(X2)中、Pは、カルボキシル基の保護基であり;そしてAおよびnは先に定義した通りである]で表される構造を有する化合物を反応させて、以下の式
Figure 2008145240
[式(X3)中、A、Pおよびnは先に定義した通りである]で表される構造を有する化合物を得る。
Pで示されるカルボキシル基の保護基は公知のものでよく、具体例として、例えばメチル基、エチル基、tert−ブチル基、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、3,4−ジメトキシベンジル基、トリクロロエチル基、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリメチルシリルエチル基等を挙げることができる。
反応は、0℃から溶媒の沸点の温度、好ましくは10℃から100℃で、5分から10時間、好ましくは30分から2時間行う。
溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド及び水等を用いることができる。塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート等が挙げられる。
次に、式(X3)の化合物を還元することにより、以下の式(X4)
Figure 2008145240
[式(X4)中、A、Pおよびnは、先に定義した通りである]で表される構造を有する化合物を得る。
還元反応は、公知の方法を用いて行うことができる。例えば、メタノール、エタノール、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、酢酸エチル、酢酸及び水等の溶媒中、水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム等の還元剤を用いて行う。反応は、マイナス80℃から溶媒の沸点の温度、好ましくは0℃から50℃で、5分から10時間、好ましくは30分から5時間撹拌して行う。
次に、式(X4)の化合物を、クロロホルム、ジクロロメタン等の有機溶媒中、または、ハロゲン化剤を溶媒としても使用し、塩化チオニル等のハロゲン化剤と反応させて、以下の式(X5):
Figure 2008145240
[式(X5)中、L3は、Cl、Br、およびIからなるグループから選択されるハロゲン原子であり;そしてA、Pおよびnは、先に定義した通りである]で表される構造を有する化合物を得る。
反応は、0℃から溶媒の沸点の温度、好ましくは室温から100℃で、5分から10時間、好ましくは30分から3時間行う。
次に、式(X5)の化合物に、有機溶媒中、塩基の存在下、以下の式(X6):
Figure 2008145240
で表される構造を有する2−ニトロイミノイミダゾリジンを反応させて、以下の式(X7)
Figure 2008145240
[式(X7)中、A、Pおよびnは、先に定義した通りである]で表される構造を有する化合物を得る。
反応は、0℃から溶媒の沸点の温度、好ましくは室温から100℃で、5分から10時間、好ましくは30分から3時間行う。
式(X7)の化合物の合成のための溶媒および塩基は、式(X3)の化合物の合成に用いることができるものと、同様のものを用いることができる。
さらに、式(X7)の化合物からPで表されるカルボキシル基の保護基を除去することにより、式(2)の化合物を得ることができる。カルボキシル基の保護基の除去は、アルカリ加水分解、酸加水分解等の公知の方法で行うことができる。
すなわち、酸加水分解の場合は、式(X7)の化合物を、好ましくは酢酸、蟻酸、ベンゼン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等の有機溶媒に溶解し、次いで塩酸、硫酸、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等を加えて、0℃から溶媒の沸点の温度、好ましくは0℃から50℃で、5分から10時間、好ましくは1時間から5時間撹拌反応させることにより式(2)の化合物を得ることができる。
また、アルカリ加水分解の場合は、式(X7)の化合物を、好ましくはメタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、エチレングリコール等の有機溶媒に溶解し、次いで炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム水溶液等を加えて、0℃から溶媒の沸点の温度、好ましくは0℃から室温で、5分から10時間、好ましくは1時間から2時間撹拌反応させることにより式(1)の化合物を得ることができる。
更に、Pがベンジル基の場合、除去は水素による加水素分解によっても行うことができる。
更にまた、Pがシリル原子を含む基の場合、脱保護はテトラ−n−ブチルアンモニウムフルオリド、ピリジニウムフルオリド等のフッ素アニオンを発生させる試薬によっても行うことができる。
上述したような製造方法によって得られた化合物を、必要に応じシリカゲルクロマトグラフィー又は再結晶操作等を行うことにより、さらに高純度の精製品とすることができる。
(a−2)免疫反応容器
免疫反応容器は、具体的には図1(A)、(B)、(C)、および(D)に例示するような形態で、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの樹脂製またはガラス製の容器を用いることが好ましい。また、本反応容器は、抗体を固相化した封止部材を嵌装することが可能な構造を有することが好ましいが、これに限定されない。
(a−3)識別抗原の免疫反応容器への封入
上記の反応容器は、予め識別抗原を封入した少なくとも1つの反応容器と、予め識別抗原および既知量のイミダクロプリドを封入した少なくとも1つの反応容器との組合せを用いることが好ましい。本発明においては、試料中のイミダクロプリドの濃度を発色反応後に色量変化として検出することから、例えば、バックグランド状態あるいは既知濃度のイミダクロプリドによる反応結果など色量変化に対する基準を明確にし、それらとの比較で濃度を判定することが好ましい。
具体的には、例えば予め識別抗原を封入した1つの反応容器にイミダクロプリドを含む試料液を投入し、もう1つあるいは2以上の予め識別抗原および既知量(2以上の場合は異なる既知量が好ましい)のイミダクロプリドからなる混合物を封入した反応容器との比較によって、基準となる既知量のイミダクロプリドとの関係から試料液中のイミダクロプリドの濃度を測定することができる。
反応容器に封入する識別抗原は、予め凍結乾燥した状態にして封入することが好ましい。上記のような識別抗原を構成する生体分子は、活性を維持することが難しく、特に水分共存下においては短時間で変性することが多い。本発明においては、識別抗原を予め凍結乾燥した状態で反応容器に封入しておくことによって、実際に使用するまでの変質を防止することが可能となる。具体的には、識別抗原の水溶液を反応容器に添加し、−20℃〜−100℃程度の空間にて冷凍し、凍結状態を保ったまま真空中で乾燥することによって、凍結乾燥し、安定に封入することができる。
また、識別抗原のみ凍結乾燥するだけではなく、識別抗原および既知量のイミダクロプリドを混合し、凍結乾燥した状態で封入することも可能である。現場で試料液あるいは溶解液を加えてこれらを溶解することによって、溶解と同時に反応を開始することができる。
また、測定精度を上げるためには、上記の識別抗原および既知量のイミダクロプリドからなる標準混合物を封入した反応容器に加えて、予め識別抗原を封入した反応容器をバックグランド測定用としてイミダクロプリドを投入せずに比較対照とすることで、精度の高い試料液中のイミダクロプリドの濃度を測定することができる。
あるいは、試料中のイミダクロプリドの濃度が想定できる場合には、その前後の既知量のイミダクロプリドを封入した反応容器を準備し比較することによって、さらに精度の高い試料液中のイミダクロプリドの濃度を測定することができる。また、既知量のイミダクロプリドを封入した反応容器の数を増やし、複数の基準点との比較を行うことによって、試料中のイミダクロプリドの濃度が不明な場合であっても、高精度にイミダクロプリドの濃度を測定することができる。
さらに、上記のように、予め識別抗原のみを凍結乾燥した状態にて反応容器に封入するとともに、該反応容器内において、希釈試料液または既知量のイミダクロプリドを有する標準液によって溶解することも可能である。この方法においても、現場で液を投入し攪拌することによって、溶解と同時に反応を開始することができる。
(b)抗体を固相化した固定部材の作製
(b−1)抗体の調製
例えば式(2)で表されるイミダクロプリドのハプテン化合物を、牛血清アルブミン(BSA)、ウサギ血清アルブミン(RSA)、オボアルブミン(OVA)、スカシ貝ヘモシアニン(KLH)、チログロブリン(TG)、免疫グロブリン等の高分子化合物(タンパク質)との複合体を形成させた後、抗原として用いる。
複合体の形成方法は、公知の方法により行うことができ、特に限定されるものではない。例えば、混合酸無水物法または活性エステル法等によって、イミダクロプリドのハプテン化合物のカルボキシ基と前記高分子化合物の官能基とを反応させて、複合体を形成することができる。
本発明で用いられる抗体には、イミダクロプリド誘導体で免疫したウサギやヤギなどの血液の中に含まれる抗体を分離・精製するいわゆるポリクローナル抗体や、抗体産生能を持つクローン化ハイブリドーマの分泌する抗体を分離・精製するいわゆるモノクローナル抗体がある。本発明においては、いずれの抗体を用いることも可能だが、モノクローナル抗体がイミダクロプリドに対して高選択性であることから、特にモノクローナル抗体が好ましい。モノクローナル抗体の調製方法は公知の方法であれば制限が無いが、ハイブリドーマをマウス腹腔に接種し生じた腹水中に分泌されたモノクローナル抗体を、プロテインAカラムなどを用いて精製することができる。
(b−2)固定部材
固定部材は、ポリエチレン・ポリスチレンなどのたんぱく質が吸着しやすい樹脂を棒状などに加工した部分を持つ部材を意味し、溶液との接触が容易で、かつ表面積の大きな抗体固相化部分を有することが好ましい。
また、抗体固相化部分を有する固定部材を封止部材と結合し、反応容器に挿入し、かつ嵌装可能な構造を有することが好ましい。具体的には、図1(A)に例示するような蓋状部(封止部材)1とスティック形状部(固定部材)2を有し、スティック形状部2の先端部3に抗体を固相化した構成を挙げることができる。特に、先端部3を羽根状にすることによって大きな表面積の確保も可能である。こうして固相化された部材を免疫反応容器4と組み合わせることができる。このとき、反応容器4内部に識別抗原を封入し凍結乾燥などにより封止部材と非接触状態であれば、蓋状部1とスティック形状部2を一体化した状態で、反応容器内に挿入したままで封止することも可能である。
ここで、封止部材の蓋状部1とスティック形状部2は、分離可能な構成にしてもよい。使用前の状態では、免疫反応容器を蓋状部1によって封止し、抗原抗体反応時には、蓋状部1にスティック形状部2を着装して反応容器内に挿入し、蓋状部1によって封止する。この操作によって、免疫反応容器を攪拌し反応を促進することが可能となる。
また、封止部材は、図1(B)に例示するように、単に蓋状部1によって反応容器4を封止するための構成を挙げることができる。抗原抗体反応前は、例えば凍結乾燥した識別抗原を封止して識別抗原の安定性を確保し、反応時には、反応容器4の内部にラテックスビーズなどの担体5を抗体の固定部材として、封入し、封止することによって、攪拌し反応を促進することが可能となる。この場合は、抗体を封止部材には直接固相せず、封止部材から分離しているビーズ担体を抗体の固定部材として用いている。
(b−3)抗体の固定部材への固相化
抗体の固相化は、例えば抗体を含む緩衝液を封止部材上に載せ、インキュベーションすればよい。緩衝液中の抗体の濃度は、通常0.01μg/mLから10μg/mL程度である。緩衝液としては、特に制限無く公知のものを使用することができる。
以下、抗体が固相化された固定部材を「抗体固相化担体」という。
(b−4)担体表面のブロッキング
試料中の夾雑物質が担体表面へ非特異的吸着し反応に影響することを防止するため、抗体が固相化されていない表面部分は抗体や識別抗原と反応性の無いタンパク質等によりブロッキングすることが好ましい。ブロッキング剤としては、牛血清アルブミン(BSA)もしくはスキムミルク溶液、または市販のブロックエース(大日本住友製薬社製)等を使用することができる。ブロッキングは、過剰濃度のブロッキング剤溶液へ抗体固相化担体を接触させ、例えば、約4℃で一晩インキュベーションした後、洗浄液で洗浄することにより行われる。洗浄液に制限はなく、例えば生理的塩濃度の塩化ナトリウムを含んだ緩衝液を使用することができる。
(b−5)ブロッキンッグした固定部材の安定化
抗体を固相化し、ブロッキングした固定部材は、乾燥によって安定化できる。乾燥は低温下で行うほうがよく、真空凍結乾燥、減圧乾燥、風乾などいずれの乾燥方法でもよい。
(c)抗原抗体反応
抽出ユニットにおいて調製した試料は、抗原抗体反応ユニットへ供する。具体的には、識別抗原を封入した免疫反応容器中へ試料を加え、抗体を固相化した固定部材を挿入することによって抗原抗体反応を開始する。この際、挿入した固定部材と結合した封止部材により反応容器を密栓することができる。また、他に既知濃度のイミダクロプリドと識別抗原を封入した免疫反応容器、あるいは識別抗原のみを封入した免疫反応容器へイミダクロプリドを含まない溶解液を添加することによって、より正確に試料中のイミダクロプリド濃度を調べることができる。抗原抗体反応は、反応温度4℃〜37℃、また反応時間5分〜2時間程度で反応させるのがよい。
(3)検出ユニット
反応終了後は、水道水、精製水、緩衝液などで反応容器、固定部材および封止部材を洗浄後、固相化抗体と結合した識別抗原の酵素によって発色する基質溶液を反応容器に加える。発色基質としては、公知の基質であれば特に制限はなく、酵素、例えば、ペルオキシダーゼの場合は、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンを用いるとよい。基質溶液を加えた後に生じる発色量の変化を検出することによって、イミダクロプリドの濃度を判定する。
判定は、既知濃度のイミダクロプリドによる発色の程度を目視で比較することによって、簡易に行うことができる。より正確に測定するためには、発色の程度を分光光度計により数値化することもできる。
シロアリ駆除剤は、その施用現場で測定できることが望ましいことから、現場での操作が容易な測定方法の提供が望まれている。シロアリ駆除剤施用現場において、操作性に優れた簡易な測定方法あるいは測定キットの提供を目的とする本発明においては、抗体固相化担体の表面色を基準に、例えば目視で色量変化を検知することによって、定性のみならず少なくともppbオーダーレベルの定量性を確保することが可能となる。
さらに、試料液に係る色量変化と既知濃度のイミダクロプリドに係る色量変化を比較することによって、定量精度の向上を図ることができ、複数の既知濃度のイミダクロプリドに係る色量変化を比較することによって、さらに定量精度の向上を図ることができる。
目視判定を効果的に行うための具体的な手段としては、反応容器を透明な反応容器4とし、図1(C)に例示するように該反応容器4の半周分の内面あるいは図1(D)に例示するように該反応容器4の外面に白色部材6を付加することによって、あるいは図1(A)に例示するように封止部材の抗体固相化部分(スティック形状部2)を白色部材とし、反応容器を透明な反応容器4とすることによって、目視で色量変化を判別することが容易となる。また、色の濃淡は、温度や時間の経過によっても相違することがあり、特に、既知濃度のイミダクロプリドを封入した複数の反応容器を比較することによって、より精度の高い測定が可能となる。現地での測定も可能であり、操作性に優れたものである。
また、検出手段として分光光度計などを用い、上記色量変化を数値化して定量することが可能である。例えば、発色基質としてo−フェニレンジアミン(以下「OPD」という)を使用する場合、490nmの吸光度を測定する。また、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンなどの他の発色基質を使用することもできる。この場合、650nmの吸光度を測定する。また、0.5M硫酸などで反応を停止後、450nmの吸光度を測定してもよい。アルカリホスファターゼを使用する場合には、例えばp−ニトロフェニルリン酸を発色基質として測定する方法が挙げられる。いずれの発色方法においても、既知濃度のイミダクロプリドを添加した反応液の吸光度と濃度の関係により作成した検量線を用いて、試料液中のイミダクロプリド濃度を定量することができる。
酵素免疫測定法以外にも、識別抗原の識別マーカーをカラーラテックスや金コロイドに置き換えた免疫測定法によって、イミダクロプリドを測定することができる。これらの識別抗原は、イミダクロプリドもしくはその誘導体にアルブミンなどのタンパク質を結合させ、このタンパク質との結合体をカラーラテックスや金コロイド表面へ公知の方法を用いて固相させることによって調製する。調製した識別抗原は、上記のELISAで適用した例と同様に免疫反応容器へと封入でき、抗体を固相化した固定部材との間で抗原抗体反応させることによってイミダクロプリドを測定することができる。これらの免疫測定法の場合は、その後の発色操作は必要なく、抗原抗体反応中に固定部材の表面上の固相化抗体にカラーラテックスや金コロイドが結合し呈色する。この呈色の度合いを目視判定することによって、イミダクロプリド濃度を測定することができる。
本発明の測定キットは任意に、抽出ユニットで調製した試料液を所定比率に希釈する希釈ユニットを含んでいてもよい。希釈ユニットは、ELISAが、高濃度の上記溶剤で直接測定することは困難な場合が多いために、最適な濃度範囲に希釈する手段として好ましい。希釈する為の液は、水が好適に用いられる。例えば、メタノール100%あるいはエタノール100%を用いて抽出ユニットで抽出した場合、希釈率として、2〜20倍程度が好ましく、最終濃度は5〜50%程度が好適である。
<本発明にかかる測定キットの例>
土壌中のイミダクロプリドを測定する為の測定キットの具体例として、以下のような装置を作ることもできる。まず、一定量の溶剤を添加する注入部を有する抽出ユニットを設ける。この抽出ユニットには、測定対象たる土壌を入れることができ、注入部より溶剤を添加できるようにする。測定キットにはさらに、この抽出ユニットからイミダクロプリド含有試料液を移送するチューブポンプなどの移送手段;イミダクロプリド含有試料液と反応する抗イミダクロプリド抗体を固相化した固定部材と識別抗原とを有する反応ユニット;および反応ユニットで抗原抗体反応した試料液の色量変化を検出する検出ユニットが含まれる。
この装置では、一定量の土壌を入れることで、溶剤が自動的に注入されることとしてもよい。あるいは溶剤を別途注入することとしてもよい。その後、抽出ユニット中で混合物を撹拌等することにより、イミダクロプリドが抽出される。このような、抽出液の上澄みは、移送手段により反応ユニットに送られ、反応ユニット中で抗原抗体反応により反応した液が作られる。この反応液の吸光度を測定することで、土壌中のイミダクロプリドを定量することができる。
以下に、測定キット及び測定方法の具体例を実施例の態様で示すが、本発明はこれに限定されない。
抗原および抗体の調製
3−(5−ホルミル−2−ピリジルチオ)プロピオン酸エチル(1)の合成
エタノール20mlに2−クロロ−5−ホルミルピリジン1.4g(10mmol)、チオグリコール酸エチル1.5g(11mmol)および炭酸カリウム1.6g(11.5mmol)を入れ、この混合物を環流下に1時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、残渣に30mlの水を加え、70mlの酢酸エチルで2回抽出した。酢酸エチル層を水洗後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し1.7g(収率71%)の(1)を得た。
3−(5−ヒドロキシメチル−2−ピリジルチオ)プロピオン酸エチル(2)の合成
3−(5−ホルミル−2−ピリジルチオ)プロピオン酸エチル2.0g(8.4mmol)を1、4−ジオキサン20mlに溶解した溶液に、水3mlに溶かした水素化ホウ素ナトリウム0.32g(8.4mmol)の溶液を10−15℃で加え、室温で30分間撹拌した。反応混合物を濃縮し、残渣に水40mlを加え、70mlの酢酸エチルで2回抽出した。酢酸エチル層を水洗後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1、次いで酢酸エチル:メタノール 1:1)で精製し、1.4g(収率70%)の(2)を得た。
3−(5−クロロメチル−2−ピリジルチオ)プロピオン酸エチル(3)の合成
3−(5−ヒドロキシメチル−2−ピリジルチオ)プロピオン酸エチル(2)2.2g(9.0mmol)をクロロホルム5mlに溶解し、この溶液に、塩化チオニル1.3g(11mmol)を10−15℃で加え、室温で1時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、残渣に5%炭酸水素ナトリウム水溶液25mlを加え、70mlの酢酸エチルで2回抽出した。酢酸エチル層を水洗後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し2.3g(収率64%)の(3)を得た。
3−[5−(2−ニトロイミノイミダゾリジン−1−イルメチル)−2−ピリジルチオ]プロピオン酸エチル(4)の合成
アセトニトリル10mlに2−ニトロイミノイミダゾリジン0.8g(6.2mmol)、3−(5−クロロメチル−2−ピリジルチオ)プロピオン酸エチル(3)1.6g(6.2mmol)および炭酸カリウム0.94g(6.8mmol)を入れ、この混合物を環流下に2時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、残渣に30mlの水を加え、70mlの酢酸エチルで2回抽出した。酢酸エチル層を水洗後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー( 酢酸エチル)で精製し1.5g(収率68%)の(4)を得た。
3−[5−(2−ニトロイミノイミダゾリジン−1−イルメチル)−2−ピリジルチオ]プロピオン酸(5)の合成
エタノール40ml中に3−[5−(2−ニトロイミノイミダゾリン−1−イルメチル)−2−ピリジルチオ]プロピオン酸エチル(4)1.3g(3.7mmol)を含む懸濁液に、水30mlに溶解した水酸化ナトリウム0.44g(11mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。減圧下にエタノールを留去し、残渣に水20mlとエーテル30mlを加え、分配後、水層を希塩酸でpH5にし、酢酸エチル70mlで2回抽出した。酢酸エチル層を水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー( 酢酸エチル:メタノール=1:1)で精製し0.6g(収率50%)の(5)を得た。
上記イミダクロプリドハプテン(5)の1H−NMRによる物性データ(ケミカルシフトδ)を以下に示す。
1H−NMR (DMSO−D6 , 400 MHz) δ 2.62(2H,m,CH2), 3.29(2H,m,CH2), 3.47(2H,m,2H2), 3.62(2H,m,CH2), 4.42(2H,s,CH2), 7.31(1H,m,Pyr:H), 7.58(1H,m,Pyr:H ),8.43(1H,m,Pyr:H), 8.95(1H,s,NH ), 12(1H,br,COOH )
(3)免疫原の調製
免疫原としてウシ血清アルブミン(BSA)と上記(2)のイミダクロプリドハプテンとの結合体を、活性エステル法を用いて作製した。
(2)で作製したイミダクロプリドハプテン0.2mmolをDMSO1.0mLに溶解し、N−ヒドロキシこはく酸イミド0.3mmol及び1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド0.3mmolを加え、室温で3.5時間撹拌した。反応後、10000rpmで15分間遠心し、上清と沈殿に分離した。
一方、BSA50mgを145mM NaCl−0.01Mリン酸緩衝液(pH7.2:以下「PBS」と言う)5.0mLに溶解し、DMSO 1.05mLを加えた溶液を調製しておき、この溶液に上記の上清0.25mLを加え、室温にて16時間反応させた。反応後、蒸留水にて4℃で透析し、イミダクロプリド ハプテンとBSAとの結合体(以下、「イミダクロプリド ハプテン−BSA結合体」と言う)を調製し、以降免疫用抗原として使用した。
(4)モノクローナル抗体産生ハイブリドーマの作製
免疫感作免疫にはBalb/cマウスを用いた。(3)で作製したイミダクロプリドハプテン−BSA結合体100μgをPBS50μLに溶解し、等量のフロイント完全アジュバンドと混合して、Balb/cマウスの皮下に接種した。さらに、4週間後にフロイント不完全アジュバンドを用いて前記と同様に調製した免疫用抗原を追加免疫した。また、6週間目に180μLのPBSに溶解した免疫用抗原30μgをマウス尾静脈より追加免疫した。
続いて、血清中の抗イミダクロプリド抗体活性が高くなったマウスの脾細胞と、ミエローマ細胞(Sp2/0−Ag14)とを山下修二らの方法(組織細胞化学:日本組織細胞化学会編:学際企画.1986年)に従ってポリエチレングリコール法により融合し、培養した。イミダクロプリドハプテン−BSA結合体溶液をマイクロプレートにコーティングし、希釈したブロックエース(「Block Ace」雪印乳業社製、コードNo.UK-250B)でブロッキングしたアッセイ用プレートに細胞の増殖が認められた培養上清液をそれぞれ50μL/ウェルの量で加え、室温にて1時間反応させた。
PBSで5回洗浄した後、10倍希釈のブロックエースを用いて2000倍に希釈したペルオキシダーゼ結合抗マウスIgGヤギ抗体(Tago社製)を50μL/ウェルの量で加え、室温にて1時間反応させた。PBSで5回洗浄した後に、2mg/mLのOPD及び0.02%の過酸化水素を含む0.1M クエン酸−リン酸緩衝液(pH5.0)を50μL/ウェルの量で加え、室温にて10分間発色させた。
次に、1N硫酸を50μL/ウェルの量で加えて、反応を停止し、490nmの吸光度を測定し、反応性を示す細胞(ハイブリドーマ)を選抜した。次に、各ウェルのイミダクロプリド との反応性を間接競合阻害ELISA法で調べ、目的の抗体を産生している細胞について限界希釈法によりクローニングを行った。その結果、数株のハイブリドーマが抗イミダクロプリド 抗体を産生する細胞としてクローン化された。24ウェルの段階で限界希釈法によるクローニングを行ない、イミダクロプリドに対するモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ株[33C3−1−1]を得た。得られたハイブリドーマ株は、寄託番号FERM P−17094の下、平成10年12月17日に、旧工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託している。
(5)モノクローナル抗体の作製
上記のようにして得られたハイブリドーマ株を10%牛胎児血清入りDMEMで培養し、約2×10個の細胞をBalb/c メスRetire マウスの腹腔内に注射し、腹水液を採取した。得られた腹水はプロテインG カラムによりIgG精製を行った。
(6)抗体の固定部材への固定化
(5)で得られたモノクローナル抗体の固定部材への固定は、二次抗体の抗マウスヤギ抗体を用いて行われた。1.6μg/mlの二次抗体溶液中に、表面積5.2cmの板状固定化部材(図1の符号2)を入れ、4℃で一晩静置した。次に、150mM NaClを含む10mMリン酸緩衝液(PBS)で洗浄した。この板状固定化部材を、0.4% ブロックエース入りPBSに入れ、20℃で1時間静置した。さらに、(5)で得られたモノクローナル抗体溶液5μg/mlにスティックを入れ、20℃で1時間静置し、洗浄後、乾燥した。以下の実施例において、このようにして得られた固定化抗体を用いた。
ELISAを応用し、各ユニットからなる測定手段を組合せたイミダクロプリド測定キットは、具体的には、以下の表1に例示するような試薬構成からなる。この測定キットを用いて、イミダクロプリドの測定範囲を検証した。標識物量は、反応容器1本あたり0.3μg用いた。また、以下の反応容器の容量は、約1.8mlであった。
Figure 2008145240
(1)標準液の調製
メタノールでイミダクロプリド標準試薬(和光純薬製)を溶解後、5%メタノール溶液となるように精製水で希釈し、0.0050、0.010、0.020、0.080、0.20ppmの標準希釈列を調製した。
(2)抗原抗体反応
各標準液1mLを反応容器に加えて、予め封入されている識別抗原を溶解混合した。直ちに、抗体スティックを反応容器に装着し、25℃で10分間抗原抗体反応を行った。
(3)色量変化の検出
反応容器と抗体スティックを水道水で洗浄し、固相化抗体と結合しなかった識別抗原を除去した。洗浄液の残液を充分に除去した後、発色試薬を反応容器に加え抗体スティックを装着し、各10分間発色反応させた後650nmの吸光度を求めた。その結果、図2に示したように、2ng/ml〜50ng/ml(0.002ppm〜0.05ppm)までほぼ直線的な標準曲線でイミダクロプリドを測定できることが判った。従って、この測定範囲であれば、目視判定も可能であると考えられた。
次に、土壌中のイミダクロプリドを測定するための測定キット及び測定方法の具体例を挙げる。各ユニットからなる測定手段を組み合せたイミダクロプリド測定キットは、以下の表2に例示するような試薬構成からなる。この測定キットを用いて、実際に土壌中のイミダクロプリドの測定を行った。標識物量は、反応容器1本あたり0.3μg用いた。また、以下の反応容器の容量は、約1.8mlであった。
Figure 2008145240
(1)試料液の調製
試料土壌(1ppmのイミダクロプリドと10%の有機質を含有)1gを秤量後、抽出容器に移して5mLの50%メタノール中で1分間攪拌し、その中に含まれるイミダクロプリドを抽出した。さらに、抽出容器中へ水道水を加えて50mLの混合液とし、その上澄みを試料液とした。
(2)抗原抗体反応
試料液あるいは前記標準液の1mLを、反応容器に加えて予め封入されている識別抗原を溶解混合した。直ちに、抗体スティックを反応容器に装着し、25℃で10分間抗原抗体反応を行った。
(3)色量変化の検出
反応容器と抗体スティックを水道水で洗浄し、固相化抗体と結合しなかった識別抗原を除去した。洗浄液の残液を充分に除去した後、発色試薬を反応容器に加え抗体スティックを装着し、各10分間発色反応させた後、抗体スティックを反応容器から外し、反応容器中の発色反応後の液体について、分光光度計を用いて、650nmの吸光度を求めた。
標準液を用いて検量線を作成し、試料土壌中から回収されるイミダクロプリドの濃度を求めた。その結果、イミダクロプリド濃度が1ppmと良好に土壌中のイミダクロプリドを測定できた。
次に、土壌中のイミダクロプリドを目視判定するための測定キット及び測定方法の具体例を挙げる。各ユニットからなる測定手段を組合せたイミダクロプリド測定キットは、以下の表3に例示するような試薬構成からなる。標識物量は、反応容器1本あたり0.3μg用いた。また、以下の反応容器の容量は、約1.8mlであった。この測定キットを用いて、土壌中のイミダクロプリド濃度を目視判定する手順を説明する。
Figure 2008145240
(1)試料液の調製
試料土壌(1ppmのイミダクロプリドと10%の有機質を含有)1gを秤量後、抽出容器に移して5mLの50%メタノール中で1分間攪拌し、その中に含まれるイミダクロプリドを抽出した。さらに、抽出容器中へ水道水を加えて50mLの混合液とし、その上澄みを試料液とした。
(2)抗原抗体反応
溶解試薬1mLを反応容器A及びBに加え、試料液1mLを反応容器Cに加えて予め封入されている識別抗原(Bの場合はイミダクロプリドを含む)を溶解混合した。直ちに、抗体スティックを反応容器に装着し、25℃で10分間抗原抗体反応を行った。
(3)色量変化の検出
反応容器と抗体スティックを水道水で洗浄し、固相化抗体と結合しなかった識別抗原を除去した。洗浄液の残液を充分に除去した後、発色試薬を反応容器に加え抗体スティックを装着し、各10分間発色反応させた後、目視判定した。その結果、データは示さないが、試料土壌について、陽性コントロール(イミダクロプリド0.020ppmを含有;土壌中イミダクロプリド濃度として1.0ppmに相当)と同じ発色程度を示し、イミダクロプリド濃度1ppmを基準として土壌中のイミダクロプリド濃度を定性判定できることがわかった。
次に、土壌中のイミダクロプリドを測定するための測定キット及び測定方法の他の具体例を挙げる。各ユニットからなる測定手段を組合せたイミダクロプリド測定キットは、以下の表4に例示するような試薬構成からなる。この測定キットを用いて、土壌中のイミダクロプリド濃度を目視判定する手順を説明する。ここで用いたイミダクロプリドは、マイクロカプセルとして製剤化されたものである。標識物量は、反応容器1本あたり0.3μg用いた。また、以下の反応容器の容量は、約1.8mlであった。
Figure 2008145240
(1)試料液の調製
試料土壌(マイクロカプセル製剤化されたイミダクロプリド(イミダクロプリドにして1ppm相当)と10%の有機質を含有)1gを秤量後、抽出容器に移して3mLの100%エタノール中で1分間攪拌し、その中に含まれるイミダクロプリドを抽出した。さらに、抽出容器中へ水道水を加えて50mLの混合液とし、その上澄みを試料液とした。
(2)抗原抗体反応
溶解試薬1mLを反応容器A及びBに加え、試料液1mLを反応容器Cに加えて予め封入されている識別抗原(Bの場合はイミダクロプリドを含む)を溶解混合した。直ちに、抗体スティックを反応容器に装着し、25℃で10分間抗原抗体反応を行った。
(3)色量変化の検出
反応容器と抗体スティックを水道水で洗浄し、固相化抗体と結合しなかった識別抗原を除去した。洗浄液の残液を充分に除去した後、発色試薬を反応容器に加え抗体スティックを装着し、各10分間発色反応させた後目視判定した。その結果、データは示さないが、試料土壌について、陽性コントロール(イミダクロプリド0.020ppmを含有;土壌中イミダクロプリド濃度として1.0ppmに相当)と同じ発色程度を示し、イミダクロプリド濃度1ppmを基準として土壌中のイミダクロプリド濃度を定性判定できることがわかった。
実施例4においては、色量変化の検出を目視判定で行っているが、実施例1と同様に発色反応後650nmの吸光度を求めることで行ってもよい。
ここで、実施例5から8において使用した抗イミダクロプリド抗体は、寄託番号FERM P−17094の下、1998年12月17日に旧工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託したハイブリドーマが産生する抗体である。
以上、ELISAによるシロアリ駆除剤イミダクロプリドの残留量を検出する測定キットについて、具体的な構成例を基に説明を行ったが、本発明はこれらの例に限定されるものでないことはいうまでもない。
本発明に係る反応容器の具体例を示す説明図。 本発明に係る測定キットでイミダクロプリドを測定した標準曲線。
符号の説明
1 封止部材(蓋状部)
2 固定部材(スティック形状部)
3 先端部
4 反応容器
5 担体
6 白色部材

Claims (14)

  1. 免疫測定法によるイミダクロプリドの測定キットであって、
    1)測定対象物から溶剤を用いてイミダクロプリドを抽出する為の抽出ユニット、および
    2)識別抗原を封入する反応容器、抗イミダクロプリド抗体を固相化する固定部材、および前記反応容器に嵌装可能な封止部材を含む、反応ユニット
    を有することを特徴とする免疫測定法を用いたイミダクロプリドの測定キット。
  2. 前記識別抗原が、イミダクロプリドのハプテンと識別機能を有する物質との結合体であり、前記抗体がモノクローナル抗体またはそのフラグメントである請求項1記載の免疫測定法を用いたイミダクロプリドの測定キット。
  3. 前記反応容器として、識別抗原を封入した少なくとも1つの反応容器と、識別抗原および既知量のイミダクロプリドを封入した少なくとも1つの反応容器との組合せを用いることを特徴とする請求項1または2記載の免疫測定法を用いたイミダクロプリドの測定キット。
  4. 前記識別抗原および識別抗原と既知量のイミダクロプリド混合物を各々予め乾燥した状態にて前記反応容器に封入するとともに、識別抗原のみの反応容器内においては前記試料液によって溶解し、前記混合物を封入した反応容器においては溶解液によって溶解することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の免疫測定法を用いたイミダクロプリドの測定キット。
  5. 前記反応ユニットが、試料中のイミダクロプリド濃度に依存した変化を目視あるいは光学的に検出する為の検出機能を兼ねていることを特徴とする請求項1〜4までのいずれかに記載の免疫測定法を用いたイミダクロプリドの測定キット。
  6. さらに、前記試料中のイミダクロプリド濃度に依存した変化を目視あるいは光学的に検出する為の検出ユニットを含むことを特徴とする請求項1〜4までのいずれかに記載の免疫測定法を用いたイミダクロプリドの測定キット。
  7. さらに、前記抽出ユニットにて抽出した試料液を所定比率に希釈する希釈ユニットを含むことを特徴とする請求項1〜6までのいずれかに記載の免疫測定法を用いたイミダクロプリドの測定キット。
  8. 前記抽出ユニットが、測定対象物からイミダクロプリドを抽出する為の溶剤を含むことを特徴とする請求項1〜7までのいずれかに記載の免疫測定法を用いたイミダクロプリドの測定キット。
  9. 前記抽出ユニットにおける溶剤が、エタノール、メタノールおよびジメチルスルホキシドからなる群より選択される1種または2種以上の組合せであることを特徴とする請求項8記載の免疫測定法を用いたイミダクロプリドの測定キット。
  10. 前記測定対象物が、カプセル製剤含有物であることを特徴とする請求項1〜9までのいずれかに記載の免疫測定法を用いたイミダクロプリドの測定キット。
  11. 前記カプセル製剤が、マイクロカプセルの形態であることを特徴とする請求項10に記載の免疫測定法を用いたイミダクロプリドの測定キット。
  12. 免疫測定法によるイミダクロプリドの測定方法であって、
    1)採取した測定対象物から溶剤を用いて、イミダクロプリドを抽出する工程、
    2)前記抽出する工程により得られたイミダクロプリド含有試料液を、識別抗原を封入した反応容器にて、抗イミダクロプリド抗体が固相化された固定部材に接触させる工程、および
    3)前記接触させる工程により抗原抗体反応することによる、該試料液中のイミダクロプリド濃度に依存した変化量を検出する工程、
    を含むことを特徴とする、免疫測定方法によるイミダクロプリドの測定方法。
  13. 前記識別抗原が、イミダクロプリドのハプテンと識別機能を有する物質との結合体であり、前記抗体がモノクローナル抗体またはそのフラグメントであることを特徴とする請求項12記載の免疫測定方法によるイミダクロプリドの測定方法。
  14. 前記検出する工程が、前記抽出により得られた試料液における変化量と、一定量のイミダクロプリドを含有する試料液における変化量とを比較する工程であることを特徴とする請求項12または13記載の免疫測定方法によるイミダクロプリドの測定方法。
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JP2012068121A (ja) * 2010-09-24 2012-04-05 Toyo Seikan Kaisha Ltd 担体支持容器、及び担体支持容器の使用方法

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