JP2008140980A - 露光装置用狭帯域レーザ装置 - Google Patents

露光装置用狭帯域レーザ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】狭帯域発振段レーザからのシード光のほとんどを増幅段レーザの注入光とすることができる露光装置用レーザ装置を提供すること。
【解決手段】狭帯域発振段レーザ(MO)10と共振器を配置した増幅段レーザ(PO)20とからなる注入同期式放電励起レーザ装置において、狭帯域発振段レーザ(MO)10と増幅段レーザ(PO)20の間にビーム線状集光装置5を設ける。ビーム線状集光装置5は、シード光を線状に集光して、増幅段レーザ(PO)20の共振器内の注入部(共振器ミラー面を含む平面上、もしくは共振器ミラー間に設けられた注入用ミラー面)に集光させる。これにより、狭帯域発振段レーザ(MO)10からのシード光のほとんどを増幅段レーザ(PO)への注入光として使用することができ、シード光の注入効率を高くすることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は狭帯域発振段レーザと増幅段レーザとからなる露光装置用の注入同期式放電励起レーザ装置に関し、特に、狭帯域発振段レーザからのシード光のほとんどを増幅段レーザの注入光とすることができる露光装置用レーザ装置に関するものである。
近年、半導体露光装置用光源としてはエキシマレーザが使用されている。特に、60nm以下のテクノロジーノードにおいては、高出力(40W以上)でかつ超狭帯域化(0.2pm以下)にされたArFレーザ光源が採用されている
露光装置用光源のArFレーザ光源の要求を以下に示す。
1.高ドーズ安定性の確保と、高スループット化に伴い40W以上の出力が要求されている。
2.投影レンズの高解像度化のために投影レンズの高NA化が進められている。高NA化にともなって、色収差が発生し、超狭帯域化(0.2pm以下)が要求される。
3.レーザ光源の長寿命化が要求されている。
上記光源の要求を満たすために、ダブルチャンバ方式(2ステージ方式)のArFレーザが実用化されている。ダブルチャンバ方式のレーザ装置の形態としては、アンプ側に共振器ミラーを設けないMOPA(Master Oscillator Power Amprifier )方式と共振器ミラーを設けるMOPO(Master Oscillator Power Oscillator)方式とに大別される。
しかし、出力90Wのような高出力化のために、増幅器(PA)または増幅段レーザ(PO)の光学素子(特にチャンバウインドやOC)負荷が大きくなり、これら光学素子の寿命が課題となっており、レーザ光源の長寿命化が要求されるようになってきている。
特許文献1には、MOPA方式のレーザ装置が開示されている。
特許文献1に記載のものは、発振段レーザ(MO)に狭帯域化するための狭帯域化モジュールを搭載し、スペクトル幅が非常に狭いレーザ光を出力し、このシード光を増幅器(PA)のチャンバの放電領域に注入してパワーを増幅することにより、超狭帯域かつ高出力を実現している。
また、特許文献2には、発振段レーザ(MO)からのシード光を、増幅段レーザ(PO)の低コヒーレンス共振器に注入するMOPO方式のレーザ装置が提案されている。
低空間コヒーレンスのMOPO方式を採用することにより、MOPA方式に比べて、ビーム品位をMOPAと同等に維持した状態で、高い増幅効率と長いパルス幅を実現している。
米国特許出願公開第2002/0154668号明細書 国際公開第2004/095661号パンフレット
図12に上述したMOPO方式のレーザ装置の構成例を示す。
同図において、発振段レーザ(MO)10から放出されるレーザビームはシードレーザビームとして機能し、増幅段レーザ(PO)20はそのシードレーザ光を増幅する機能を有する。発振段レーザ(MO)10、増幅段レーザ(PO)20は各々レーザチャンバ11,21を有し、それぞれ内部には対向し、かつ所定距離だけ離間した一対の電極1a、2aが設置される。
また、発振段レーザ10と増幅段レーザ20のチャンバ11,21には、レーザ発振光に対して透過性がある材料によって作られたウィンドウ部材12a,12b,22a,22bがそれぞれ設置されている。
発振段レーザ(MO)10はスペクトル線幅を狭くするため、拡大プリズム3aとグレーティング(回折格子)3bによって構成された狭帯域化モジュール(LNM)3を有し、この狭帯域化モジュール3内の光学素子と出力結合ミラー(OC)14とでレーザ共振器を構成する。
LNM3に配置されているグレーティング(回折格子)3bの分散方向(プリズムのビーム拡大方向)は電極1aの放電方向に対して垂直方向になるように配置されている。
レーザチャンバ11内にはバッファガスとArガスとF2 ガスが満たされており、図示しない電源から電極1a間に電圧を印加することで放電し、この放電により励起されArFエキシマが形成される。
このArFエキシマからArガスとFに分離する時に193nmの波長の光を発光する。193nmの光をLNM3で波長選択することにより、スペクトル幅約400pm→0.2pmまで狭帯域化して、発振段レーザ(MO)10のOCから出力される。例えば、OC14から所定の広がり角[電極1aの放電方向(V方向:図12(a)の紙面方向)の広がり角度]は約2mrad、放電方向に対して垂直方向(H方向)の広がり角度は約1mrad、ビーム寸法はV方向12mmとH方向1mmで出力される。
ここで、このビームを高反射ミラー4a及び4bにより反射させ、増幅段レーザ(PO)20の共振器のリアミラー26のサイド位置から注入する場合、以下のようになる。
発振段レーザ(MO)10のOC14から増幅段レーザ(PO)20のリアミラー26までの距離が1mの場合には、リアミラー26のサイドの注入位置のビームは、ビーム広がり角度は、発振段レーザ(MO)のOC14からの出力時と同じであるが、ビームプロファイルは、V方向14(=12+2)mm、H方向2(=1+1)mmとなる。
図12(b)に増幅段レーザ(PO)20の上面図を示す。
この図から分かるように、発振段レーザ(MO)10のビームの一部はリアミラー26に形成された高反射部により反射されて増幅段レーザ(PO)20の共振器内に注入されない。さらに、リアミラー26から離れた発振段レーザ(MO)10のビームの一部は放電領域から外れて、増幅されず、注入光として使用されない。
一方、発振段レーザ(MO)10のビーム中央部はリアミラー26のサイド部を通過し、放電部を透過する。これと同期して増幅段レーザ(PO)20の電極2aに電圧が印加されて放電し、注入されたビームは増幅される。
増幅されたビームは増幅段レーザ(PO)20のOC24に到達し、一部は透過し出力光として出力される。一部は反射され、再び放電部を透過し増幅される。そしてリアミラー26の高反射部に到達し、高反射され再び放電部を透過し、増幅される。このビームの一部はOCを透過して、出力光として出力され、OC24の反射光は再び放電部を透過して増幅され、この共振を繰り返す。
上記したように、リアミラー26のサイドに注入するサイド注入の場合は、有効な注入ビームのH方向の幅としては約1mmよりも小さくなり、ビーム幅2mmのビームが注入されると約半分の発振段レーザ(MO)10のビームはシード光として利用されていなかった。
ここでは、サイド注入方式の問題を示したが、これに限定されることなく例えば、発振段レーザ(MO)10と増幅段レーザ(PO)20との距離が2mであり、発振段レーザ(MO)10のOC14でのビームの大きさがV方向12mm、H方向1mm、ビーム広がり角度がV方向2mrad、H方向1mradとすると、増幅段レーザ(PO)20のリアミラー26の位置でのMOビームの大きさは、V方向16(=12+2×2)mm、H方向3(=1+2×1)3mmとなる。
増幅段レーザ(PO)20の光共振器のリアミラー26を部分反射ミラーとし、このリアミラー裏面から注入する場合、注入有効エリアがV方向12mm、H方向2mmとすると注入効率50%(=[12×2/(16×3)]×100)と悪化する。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、狭帯域発振段レーザからのシード光のほとんどを増幅段レーザの注入光とすることができ、また、シード光が増幅段レーザ(PO)のリアミラーに形成された高反射部で反射されることがない露光装置用レーザ装置を提供することである。
上記課題を本発明においては、次のように解決する。
(1)狭帯域発振段レーザ(MO)と共振器を配置した増幅段レーザ(PO)とからなる注入同期式放電励起レーザ装置において、狭帯域発振段レーザ(MO)と上記増幅段レーザ(PO)の間に、狭帯域発振段レーザ(MO)から放出される前記MOレーザ光を線状に集光して、前記線状集光ビームを前記共振器内の注入部(共振器ミラー面を含む平面上、もしくは共振器ミラー間に設けられた注入用ミラー面)に集光させる光学システム設ける。(2)上記(1)において、上記光学システムを、凸のシリンドリカルレンズと、凹のシリンドリカルレンズから構成する。
本発明においては、以下の効果を得ることができる。
(1)MOレーザ光を線状に集光して、前記線状集光ビームを前記共振器内の注入部に集光させるように構成したので、MOビームのほとんどを増幅段レーザ(PO)への注入光として使用することができ、MOレーザ光の注入効率を高くすることができる。
(2)長焦点のシリンドリカルレンズの製作は困難であるが、上記光学システムを、凸のシリンドリカルレンズと、凹のシリンドリカルレンズから構成することにより、長焦点の集光(1〜2m程度)が可能となる。長焦点とすることにより、集光後のMOレーザ光の広がり角度が小さくなり、注入効率を向上させることができる。
図1は本発明の露光装置用狭帯域レーザ装置の基本構成を示す図である。
本発明のレーザ装置は、スペクトル線幅の狭いレーザ光を出力する発振段レーザ(MO)10と、発振段レーザ10が出力するレーザビームを、増幅段レーザ(PO)20の共振器ミラーの近傍(例えばリアミラー26のミラー面を含む平面上、もしくはミラー間に設けられた注入用ミラー面)に線状に集光させるためのMOビーム線状集光装置5を備える。
また、上記線状に集光されたMOビームを光共振器により増幅発振させるための増幅段レーザ(PO)20を備える。
発振段レーザ(MO)10と増幅段レーザ(PO)20はそれぞれチャンバ11,21内に設置された一対の電極1aおよび電極2aの長手方向の軸延長上両端にウィンドウ部材12a,12bおよび22a,22bを有し、その両側には波形整形のためのスリット13,23がそれぞれ設置されている。
波長およびスペクトル波形モニタ34およびパワーモニタ38は、増幅段レーザ(PO)20から出力された光の光品位及びパルスエネルギを検出し、パワーモニタ37は、発振段レーザ(MO)10のパルスエネルギを検出する。
波長及びスペクトル波形コントローラ33は、上記波長およびスペクトル波形モニタ34の出力に基づき増幅段レーザ(PO)から出射されるレーザ光の波長及びスペクトル波形を制御する。また、エネルギコントローラ30は、パワーモニタ37,38の出力に基づき、レーザのパルスエネルギをコントロールする。
また、ガスコントローラ32は発振段レーザ(MO)10と増幅段レーザ(PO)20のレーザガスをコントロールする。レーザコントローラ31はレーザの全体を制御する。 同期コントローラ35は増幅段レーザ(PO)20に接続されているPO電源25と発振段レーザ(MO)10に接続されているMO電源15の放電タイミングをコントロールする。
以下、図1に示すレーザ装置の構成と機能を説明する。
発振段レーザ(MO)10はスペクトル線幅を狭くするために、プリズムビームエキスパンダ3aとグレーティング(回折格子)3bを搭載した狭帯域化モジュール(LNM)3と、MO電源15を搭載したレーザチャンバ11とフロントミラー[出力結合ミラー(OC)14]とからなっている。
LNM3に配置されているグレーティング3bの分散方向(=プリズム3aのビーム拡大方向)は電極1aの放電方向に対して垂直方向に配置されている。レーザチャンバ11内にはバッファガスとArガスとF2 ガスが満たされており、MO電源15から電極1a間に電圧を印加放電させることで放電し、この放電により励起されArFエキシマが形成される。
このArFエキシマからArガスとFに分離する時に193nmの波長の光を発光する。193nmの光をLNM3で波長選択することにより、スペクトル幅約400pm→0.2pmまで狭帯域化して、発振段レーザ(MO)10の出力結合ミラー14(OutputCoupler)から出力される。発振段レーザ(MO)10は高繰返し周波数でパルス発振し、その発光パルスの時間幅は約30nsである。
発振段レーザ(MO)10のOC14から出力された光は、高反射ミラー4aを介してMOビーム線状集光装置5に入力する。
このMOビーム線状集光装置5から出たビームは高反射ミラー4bを介して増幅段レーザ(PO)20の光共振器のリアミラー26の近傍に線状に集光させ、増幅段レーザ(PO)20の出力結合ミラー(OC24)とレーザチャンバ21とリアミラー26で構成される安定共振器に注入される。
また、上記高反射ミラー4aとMOビーム線状集光装置5の間には発振段レーザ(MO)10のパルスエネルギをモニタするためのビームスプリッタ37aとパワーモニタ37が配置されている。ここで検出された発振段レーザ(MO)10のパルスエネルギの検出値はエネルギコントローラ30に入力される。
この発振段レーザ(MO)10のパルスエネルギの検出結果に基づいて、エネルギコントローラ30は同期コントローラ35を介してMO電源15に制御信号を送る。
発振段レーザ(MO)10からきたシード光が、増幅段レーザ(PO)20の光共振器内に注入されると、シード光と同期して、増幅段レーザ(PO)20の放電電極2a間で放電する。これにより、注入された光が光共振器内で増幅発振され、出力結合ミラー24から増幅された光で出力される。
この出力された光はビームスプリッタ38a,38bによりサンプルされ、パワーモニタ38によりパルスエネルギを検出し、その結果がエネルギコントローラ30に送られる。エネルギコントローラ30はこの検出結果に基づいて同期コントローラ35を介して、PO電源25及びMO電源15に制御信号を送る。
また、増幅段レーザ(PO)20の出力光をビームスプリッタ38aにより光サンプルし、波長及びスペクトル波形モニタ34で、波長及びスペクトル波形を検出する。この検出結果は波長及びスペクトル波形コントローラ33に送られ、LNM3内にあるグレーティング3bの入射角度を変化させる機構(図示せず)に制御信号を送る。これにより、波長が制御される。
さらに、スペクトル波形も発振段レーザ(MO)10のレーザ共振器内の光学素子の光波面を制御する(制御機構は図示していない)ことにより、スペクトル波形を制御できる。また、ガスコントローラ32により、発振段レーザ(MO)10のチャンバ11のF2 ガス濃度を制御することによってもスペクトル波形を制御することができる。
レーザコントローラ31は、MO電源15の印加電圧やPO電源25の印加電圧と、増幅段レーザ(PO)20及び発振段レーザ(MO)10のパルスエネルギの経時変化とに基づき、ガスコントローラ32に対し、レーザガス(F2 、Ar及びバッファガス)の補給及び排気を徐々に行なうように制御する。
図1のような構成とし、MOビーム線状集光装置5によりMOビームを線状に集光させ、増幅段レーザ(PO)20の共振器に注入することにより、MOビームのほとんどを増幅段レーザ(PO)20への注入光として使用することができ、MOレーザ光の注入効率を高くすることができる。
以下、本発明に実施例について説明する。
1.第1の実施例(サイド注入例1)
図2は本発明の第1の実施例のMOPO方式の露光装置用狭帯域レーザ装置の構成を示す図であり、シード光をリアミラーのサイドから注入する例を示す。
同図(a)は本実施例のレーザの側面図を示し、図3(b)は増幅段レーザ(PO)の上面図を示す。
まず、発振段レーザ(MO)10の構成と機能を説明する。
発振段レーザ(MO)10の構成と機能は図12で説明したのと同様であり、発振段レーザ(MO)10はスペクトル線幅を狭くするために、プリズムビームエキスパンダ3aとグレーティング3bを搭載したLNM3と、レーザチャンバ11と出力結合ミラーOC14(OutputCoupler)とからなっている。
LNM3に配置されているグレーティング3bの分散方向(プリズムのビーム拡大方向)は電極1aの放電方向に対して垂直方向に配置されている。
レーザチャンバ11内にはバッファガスとArガスとF2 ガスが満たされており、図示しない電源から、電極1a間に電圧を印加することで電極間で放電が発生し、この放電により励起されArFエキシマが形成される。
このArFエキシマからArガスとFに分離する時に193nmの波長の光を発光する。193nmの光をLNM3で波長選択することにより、スペクトル幅約400pm→0.2pmまで狭帯域化して、発振段レーザ(MO)10のOC14から出力される。
例えば、前述したようにOC14から所定の広がり角[放電方向(V方向)の広がり角度]は約2mrad、放電方向(図2(a)において紙面方向)に対して垂直(H)方向の広がり角度は約1mrad、ビーム寸法はV方向12mm、H方向1mmで出力される。
このビームを高反射ミラー4aによりMOビーム線状集光装置5に入射させる。MOビーム線状集光装置5には同図に示すように凸シリンドリカルレンズ5aと凹シリンドリカルレンズ5bから構成され、上記ビームを垂直(H)方向に集光する。
MOビーム線状集光装置5から出たビームは高反射ミラー4bを介して増幅段レーザ(PO)20の共振器のリアミラー26のサイド位置に線状に集光し、増幅段レーザ(PO)20の共振器に注入される。
発振段レーザ(MO)10のビームダイバージェンスが1mradでMOビーム線状集光装置5の焦点距離が1mの場合には、リアミラー26のサイドの注入位置のH方向のビーム幅は1mmとなる。
図2(b)に増幅段レーザ(PO)20の上面図を示す。リアミラー26のサイドの位置にH方向(図2(b)においては紙面方向)にビームが集光されて1mm幅となりシード光として注入される。
以上のようにMOビーム線状集光装置5によりシード光を線状に集光させ、増幅段レーザ(PO)20の共振器に注入することにより、以下のメリットを得ることができる。
(1)発振段レーザ(MO)10のビームの一部がリアミラー26の高反射膜がコートされた高反射部により反射されることはなくなる。
(2)注入された発振段レーザ(MO)10のビームのほとんどが注入光として使用され、放電領域で増幅される。
図3は図2に示したサイド注入を説明する図である。同図は増幅段レーザ(PO)20の上面図を示し、シード光をシリンドリカルレンズから構成されるMOビーム線状集光装置5で、増幅段レーザ(PO)20の共振器のサイドの位置にライン状に集光させて注入する場合を示している。
発振段レーザ(MO)10から出力された光は、図2に示す高反射ミラー4aによりMOビーム線状集光装置5に入射する。このMOビーム線状集光装置5は前述したようにシリンドリカル状の凸レンズ5aと凹レンズ5bにより構成されている。
この両レンズを出射したシード光は、増幅段レーザ(PO)20の共振器のリアミラー26のサイドの位置に線状に集光する。
このシード光は、やや広がりながら増幅段レーザ(PO)20の共振器の光軸(対向する共振器ミラーの中心を結ぶ軸)に対してやや斜めに入射し増幅段レーザ(PO)20のチャンバ21に入力される。そして、チャンバ21のウインド22aを透過し、チャンバ21内の放電電極間を透過して増幅される。このシード光はウインド22bを透過して、共振器側に部分反射膜、出射側に反射防止膜がコートされたOC24により透過光はレーザとして出力され、他の一部は反射し再び増幅段レーザ(PO)20のチャンバ21に戻される。
そして、上述したようにレーザチャンバ21内で増幅され、高反射膜がコートされたリアミラー26に入射反射さして、再び増幅段レーザ(PO)20のチャンバ21に入射する。この工程を繰り返すことによって、シード光が増幅発振する。
本実施例のメリットは以下の通りである。
(1)シード光をリアミラー26のサイド注入の位置に線状に集光して、増幅段レーザ(PO)20の共振器に注入しているので、シード光の注入効率が高くなる。
(2)シリンドリカルの凹凸レンズを組み合わせて集光しているため、長焦点の集光が可能となる。長焦点とすることにより、集光後のシード光の広がり角度が小さくなり、注入効率が向上する。
(3)ビームはやや広がりながら光が往復を繰り返す毎にビームが広がる。これにより、増幅段レーザ(PO)20のチャンバ21のウインド22a,22bやOC24でのレーザのエネルギ負荷が小さくなる。したがって、レーザのウインド及び光共振器に使用されている光学素子の寿命が延びる。
2.第2の実施例(サイド注入例2)
図4は本発明の第2の実施例を示す図であり、シード光をシリンドリカルレンズで、増幅段レーザ(PO)の共振器のOCのサイドの位置の高反射部にライン状に集光させて増幅段レーザ(PO)の光共振器に注入した実施例を示す。なお、同図は、増幅段レーザ(PO)20の上面図であり、発振段レーザ(MO)10を含めたレーザ装置の全体構成は、前記図2(a)に示したものと同様である。
発振段レーザ(MO)10から出力された光は、図2に示したように高反射ミラー4aによりMOビーム集光装置5に入射する。このMOビーム線状集光装置5はシリンドリカル状の凸レンズ5aと凹レンズ5bより構成されている。この両レンズを出射したシード光は、全反射ミラー4bで反射され、図5に示すようにリアミラー26のサイドを透過し、増幅段レーザ(PO)20のチャンバ21のウインド22aからチャンバ21内に入射し、放電電極空間から外れた空間を透過し、ウインド22bを透過後、高反射膜部と部分反射膜部が形成されたOC24の高反射膜部に線状に集光する。ここでOC24の高反射部の領域には高反射膜がコーティングされ、部分反射部の領域には部分反射膜がコートされている。
この高反射膜を反射した光は、やや広がりながら増幅段レーザ(PO)20の共振器の光軸に対してやや斜めに入射し、増幅段レーザ(PO)20のチャンバ21に入射し、放電電極2aの電極間を透過し、増幅される。
そして、高反射膜をコートしたリアミラー26により再び増幅段レーザ(PO)20のチャンバ21の放電空間内に戻され増幅される。
そしてOC24の部分反射膜部で反射した光がフィードバック光として増幅段レーザ(PO)20のチャンバ21の放電空間にもどされる。OC24の部分反射膜を透過したレーザ光は反射防止膜を透過して出力レーザ光として出力される。
図4の実施例のものは、図3の実施例のものと比べ、さらに以下のメリットが得られる。
(1)シード光をOC24の高反射部の位置に線状に集光して注入し、注入光を放電空間透過させて増幅し、リアミラー26で高反射で折り返して、再び放電空間で増幅された後、OC24に達し、OC24の透過光を出力光とし、反射光をフィードバック光として放電空間透過させて増幅しているので、図3に示したようにリア側から注入した場合に比べて、0.5往復(OC24からリアミラー26までの光路)分、多く増幅されるので、注入効率は図3の実施例よりも高い。
(2)発振段レーザ(MO)10から増幅段レーザ(PO)20のOC24の高反射部(集光点)までの距離が長いのでシリンドリカルの凹凸レンズの合成焦点距離を2m程度まで長くできる。このため、集光後のシード光の広がり角度が小さくなり、注入効率が向上する。
(3)ビームはやや広がりながら光が往復を繰り返す毎にビームが広がる。これにより、増幅段レーザ(PO)20のチャンバ21のウインド22a,22bやOC24でのレーザのエネルギ負荷が小さくなる。したがって、レーザのウインド及び光共振器に使用されている光学素子の寿命が延びる。
3.第3の実施例(サイド注入例3:ナイフエッジを使用)
図5は本発明の第3の実施例を示す図であり、ナイフエッジタイプの基板に高反射膜コートをして、OCと増幅段レーザ(PO)チャンバの間に配置してシード光線状に集光して増幅段レーザ(PO)チャンバの放電空間に注入した場合の実施例を示す。なお、同図は、増幅段レーザ(PO)20の上面図であり、発振段レーザ(MO)10を含めたレーザ装置の全体構成は、前記図2(a)に示したものと同様である。
発振段レーザ(MO)20から出力された光は、図2に示したように、高反射ミラー4aによりMOビーム集光装置5に入射する。このMOビーム線状集光装置5はシリンドリカル状の凸レンズ5aと凹レンズ5bにより構成されている。
この両レンズを出射したシード光は、高反射ミラー4bで反射して、図5に示すように、リアミラー26のサイドを透過し、増幅段レーザ(PO)20のチャンバ21のウインド22aからチャンバ21内に入射し、放電電極空間から外れた空間を透過し、ウインド22bを透過後、ナイフエッジミラー9の高反射膜をコートした部分に線状に集光する。なお、ナイフエッジミラー9は、レーザ光の光路に近い側の端部がナイフエッジ状に形成されたミラーである。
ナイフエッジミラー9の高反射膜で反射した光は、やや広がりながら増幅段レーザ(PO)20の共振器の光軸に対してやや斜めに入射し増幅段レーザ(PO)チャンバ20に入力される。このレーザ光は放電電極2aの電極間を透過し、増幅される。そして、高反射膜をコートしたリアミラー26により再び増幅段レーザ(PO)20のチャンバ21の放電空間内に戻され増幅される。
そして、OC24の部分反射膜で反射した光がフィードバック光として増幅段レーザ(PO)20のチャンバ21の放電空間にもどされる。一方、OC24の部分反射膜を透過したレーザ光は反射防止膜を透過して出力レーザ光として出力される。
本実施例では、増幅段レーザ(PO)20の共振器への注入有効部(ナイフエッジミラー9の端部)の幅が狭いので、この位置に発振段レーザ(MO)のビームを線状に集光させることにより、シード光の注入効率が高くなると同時に注入効率の変化も少ない。
ここで、図4の実施例のメリットに加え、本実施例では以下のメリットが得られる。
すなわち、OC24のコーティングとして、部分反射(PR)と反射防止(AR)コートのみのコートでよく、図4の実施例のOC24より安価となる。
さらに、図4のOC24のように、OC24上に、高反射(HR)コート部と反射防止(AR)コート部の境界がOC24にないため、境界部に高エネルギが入射した場合にOC24が劣化するといった問題は生じない。
なお、図5の実施例のナイフエッジミラー9は端部まで高精度な面精度で高反射膜をコートする必要があるため、製作が困難であるという問題はある。
4.第4の実施例(リアミラーの裏面注入例)
図6は本発明の第4の実施例を示す図であり、シード光をシリンドリカルレンズで増幅段レーザ(PO)の共振器のリアミラーの中央の位置にライン状に集光させて増幅段レーザ(PO)の光共振器に注入した実施例を示す。なお、同図は、増幅段レーザ(PO)20の上面図であり、発振段レーザ(MO)10を含めたレーザ装置の全体構成は、前記図2(a)に示したものと同様である。
発振段レーザ(MO)10から出力された光は図示しない高反射ミラー4aによりMOビーム線状集光装置5に入射する。このMOビーム線状集光装置5はシリンドリカル状の凸レンズ5aと凹レンズ5bにより構成されている。
この両レンズを出射したシード光は、図示しない高反射ミラー4bで反射され、図6に示すように、増幅段レーザ(PO)20の共振器のリアミラー26の裏面の位置に線状に集光する。
このリアミラー26は60%から90%の部分反射コートがされており、発振段レーザ(MO)20のビームの一部は、このリアミラー26を透過し、やや広がりながら増幅段レーザ(PO)20の共振器の光軸にそって入射し、増幅段レーザ(PO)20のチャンバ21に入力する。
チャンバ21のウインド22aを透過したレーザビームは、放電電極間を透過して増幅され、ウインド22bを透過して部分反射膜がコートされたOC24に入射し、その透過光は、レーザとして出力され、他の一部は反射し、再び増幅段レーザ(PO)20のチャンバ21に戻され、レーザチャンバ21内で増幅され、部分反射膜がコートされたリアミラー26に入射反射されて、再び増幅段レーザ(PO)のチャンバ21に入射する。この工程を繰り返すことによって、増幅発振する。
本実施例においては、以下のメリットが得られる。
(1)従来においては、発振段レーザ(MO)10から出力された光を1から2m程度とばした後、シード光として増幅段レーザ(PO)20のリアミラー26から注入しており、ビームがリアミラー26での注入有効幅より広くなり注入効率が悪くなっていた。
これに対し、本実施例では、シード光をリアミラー26の裏面の注入の位置に線状に集光して注入しているので、ビームが線状となる。このため、増幅段レーザ(PO)共振器の注入に有効なビーム幅よりも十分狭いビームでの注入が可能となるために、シード光の注入効率が高くなる。
(2)ビームはやや広がりながら光が往復を繰り返す毎にビームが広がる。これにより、増幅段レーザ(PO)20のチャンバ21のウインド22a,22bやOC24でのレーザのエネルギ負荷が小さくなる。したがって、レーザのウインド及び光共振器に使用されている光学素子の寿命が延びる。
5.第5の実施例(リング共振器の例1)
図7は本発明の第5の実施例を示す図であり、増幅段レーザ(PO)20にリング共振器を設置した場合の第1の例を示す。
同図(a)は本実施例のレーザの側面図を示し、同図(b)は増幅段レーザ(PO)の上面図を示す。
図7において、発振段レーザ(MO)20のビームは高反射ミラー4aによりMOビーム線状集光装置5に入射する。MOビーム線状集光装置5から出射したビームは高反射ミラー4b及び4cにより増幅段レーザ(PO)20のリング共振器のOC24(出力結合ミラー)上に線状に集光する。
そして、増幅段レーザ(PO)20のリング共振器のOC24から共振器中にシード光が注入される。OC24を透過したシード光はやや広がりながら高反射ミラー7aにより反射され、レーザチャンバ21の放電空間に傾いて入射される。
シード光に同期して放電電極2aに電圧が印加され放電すると、放電空間を透過したシード光は増幅され、チャンバ21を透過し2枚の高反射ミラー7b,7cにより折り返され、再び放電している放電空間に導かれ、増幅される。
増幅した光の一部はOC24を透過してレーザとして出力し、OC24の反射光は再びリング共振器の中にフィードバックされ共振する。この工程を繰り返すことによって、増幅発振される。
OC24の反射率が20%〜30%とすると、発振段レーザ(MO)10から出力されたビームの80%から70%がリング共振器内に注入されることになり高い注入効率を得ることができる。
この実施例では、2枚の高反射ミラーでレーザチャンバにレーザ光を戻したが全反射プリズムでフレネル反射で戻しても同様の機能を果たすことができる。
以上のように、増幅段レーザ(PO)20にリング共振器を配置し、発振段レーザ(MO)10のOC14のビームを増幅段レーザ(PO)20のリング共振器の注入部で線状に集光させて注入することによって以下の特別なメリットがある。
(1)注入位置のOC24上で発振段レーザ(MO)ビームを線状に集光するので、注入の入射ビームが広くなりすぎて有効にシード光として使用できなくなることがない。結果として注入効率が高くなる。
(2)発振段レーザ(MO)10のビームをOC24上で線状に集光して、注入するので、注入されたビームはやや広がりながら光が往復を繰り返す毎にビームが広がる。これにより、レーザチャンバのウインドやリングレーザのOCでのレーザのエネルギ負荷が小さくなる。したがって、レーザのウインド及びリングレーザの共振器に使用されている光学素子の寿命が延びる。
6.第6の実施例(リング共振器の例2)
図8は本発明の第6の実施例を示す図であり、増幅段レーザ(PO)20にリング共振器を設置した場合の第2の例を示す。
なお、同図は、増幅段レーザ(PO)20の上面図であり、発振段レーザ(MO)10を含めたレーザ装置の全体構成は、前記図7(a)に示したものと同様である。
本実施例では、増幅段レーザ(PO)20の共振器を構成するOC24に、反射防止(AR)コート部と部分反射(PR)コート部を設け、MOビーム線状集光装置5により、MOビームをOC24の反射防止(AR)コート部に線状集光させるとにより、全ての注入光が共振器内に注入されるように構成している。
また、レーザ装置の光軸中心(例えば放電電極2aの長手方向の軸)に対して、2枚のミラーOC24,高反射ミラー7aとが交差する部分と、高反射ミラー7b,7cと交差する部分を、上記中心線に対してそれぞれA,Bだけオフセットさせている。
また、OC24と高反射ミラー7cのミラー面が上記中心線と交わる角度は45度であり、高反射ミラー7aと7cのミラー面が上記中心線と交わる角度は45度より小さい。
上記のようにOC24と高反射ミラー7aのミラー面が交わる部分とレーザ装置(出力されるレーザ光)の光軸中心との距離Aと、高反射ミラー7b,7cのミラー面が交わる部分とレーザ装置(出力されるレーザ光)の光軸中心の距離をBとの大きさが等しくならないように共振器ミラーを配置することにより、図8に示すようにリング共振器内でビームが平行に移動しながら共振し、出力レーザ光として出力される。
本実施例と前記図7に示した実施例との違いは以下の通りである。
(1)増幅段レーザ(PO)20の共振器のOC24に部分反射(PR)コート領域(OCとして機能する領域)と反射防止(AR)コート領域(注入部として機能する領域)を設置したこと。
(2)発振段レーザ(MO)のビームを線状にOC24の上記反射防止(AR)コート領域に集光させて、増幅段レーザ(PO)のリング共振器に注入するようにしたこと。
(3)増幅段レーザ(PO)20の共振器を往復する毎に、ビームが1方向に移動する配置としていること。
以下、本実施例の増幅段レーザ(PO)の動作について説明する。
発振段レーザ(MO)10のOC14のビームをMOビーム線状集光装置5により増幅段レーザ(PO)20のOC24の反射防止(AR)コート部に線状に集光させる。
このビームはほとんど反射することなくOC24を透過し、多少広がりながら高反射ミラー7aに入射し、増幅段レーザ(PO)20のチャンバ21の放電空間に傾いて入射される。放電空間では、シード光に同期して放電電極2aに電圧が印加され放電する。
放電空間を透過したシード光は増幅され、チャンバ21を透過し2枚の高反射ミラー7bおよび7cにより折り返され、再び放電している放電空間に導かれ、増幅される。
そして、ビームは図8に示すように注入部から一定の割合で移動し、OC24の部分反射(PR)コート部に入射し、一部透過して、レーザの出力光(1往復光)となり、他の一部は反射され、再び高反射ミラー7aに入射し、同様に放電空間を1往復目の光路に対して平行移動した光路で透過し、高反射ミラー7b,7cにより再び放電空間を1往復目の光路に対して平行移動した光軸で透過し、1往復目に対して一定の割合で移動してビームは再びOC24の部分反射(PR)コート部に入射する。
OC24の透過光はレーザ光として出力され、反射光は再び共振器内で共振し、3往復目も同様に往復するたびに光路が平行移動して増幅発振する。
本実施例においては、以下のメリットが得られる。
(1)増幅段レーザ(PO)20のレーザ共振器内に全て発振段レーザ(MO)10のビームを注入できるため、注入効率が高い。
(2)往復ビーム毎に出力レーザ光のビームが移動するので、増幅段レーザ(PO)20のリング共振器の光学素子(OC、レーザウインド及び高反射ミラー)におけるレーザ光のエネルギ密度が低減される。そのため、増幅段レーザ(PO)20の光学素子の寿命が長くなる。さらに、注入されたビームは往復毎にビームが広がるため、前述したようにレーザチャンバ21のウインド及び共振器のエネルギ負荷が小さくなる。
なお、本実施例において、2枚の高反射ミラーでレーザチャンバにレーザ光を戻したが頂角が45度よりも多少小さな角度(数mrad)の全反射プリズムで、フレネル反射で戻しても同様の機能を果たすことができる。
7.第7の実施例(リング共振器の例3)
図9は本発明の第7の実施例を示す図であり、増幅段レーザ(PO)20にリング共振器を設置した場合の第3の例を示す。
同図(a)は本実施例のレーザの側面図を示し、同図(b)は増幅段レーザ(PO)の上面図を示す。
本実施例は全反射直角プリズムを共振器ミラーとし、このリング共振器内にOC24を配置し、上記OC24上に、MOビーム線状集光装置5によりMOビームを線状に集光させ、シード光を共振器に注入するようにしたものである。
図9において、発振段レーザ(MO)10のビームは高反射ミラー4aによりMOビーム線状集光装置5に入射する。このMOビームは、MOビーム線状集光装置5を透過し、増幅段レーザ(PO)20のリング共振器のOC24(出力結合ミラー)上に線状に集光する。
OC24は、片面に部分反射(PR)膜がコートされ、片面に反射防止(AR)膜がコートされており、OC24に入射したビームは、一部反射し、多少広がりながら全反射直角プリズム8aに入射する。この全反射直角プリズム8aの入射出射面には反射防止(AR)膜がコーティングされている。シード光はプリズム8aの2面でフレネル反射により全反射し、ウインド22aを透過してレーザチャンバ21に入射する。
シード光は放電電極2aの長手方向の軸に対して、略平行な光軸で透過し、増幅されずにチャンバ21内を透過し、全反射直角プリズム8bに入射する。シード光はこのプリズム8bの2面で全反射し、再びウインド22bを介して放電電極2aの放電空間と光軸が一致するようにレーザチャンバ21に入射する。
シード光に同期して、放電電極2aに電圧が印加され放電する。これにより、放電空間を透過したシード光は増幅され、チャンバ21を透過し、再びOC24に入射する。増幅した光の一部はOC24を反射してレーザ光として出力し、OC24の透過光はフィードバック光として再びリング共振器内に戻される。このようにして増幅段レーザ(PO)20は増幅発振する。OC24の反射率が70%〜80%とすると注入効率は70%から80%となり高い注入効率を得ることができる。
本実施例においては、以下のメリットが得られる。
(1)全反射直角プリズム2個でリング共振器を構成し、OC24をリング共振器の光軸上に設置することにより、リング共振器の光軸のアライメントが容易であり、安定に動作する。
(2)注入位置のOC24上で発振段レーザ(MO)10のビームを線状に集光するので、注入の入射ビームが広くなりすぎて有効にシード光として使用できなくなることがない。結果として注入効率が高くなる。
(3)発振段レーザ(MO)10のビームをOC24上で線状に集光して、注入するので、注入されたビームはやや広がりながら光が往復を繰り返し、往復毎にビームが広がる。これにより、レーザチャンバ21のウインド22a,22bや共振器のOC24でのレーザのエネルギ負荷が小さくなる。したがって、レーザチャンバ21のウインド及び共振器に使用されている光学素子の寿命が延びる。
8.第8の実施例(リング共振器の例4)
図10に増幅段レーザ(PO)20にリング共振器を設置した第8の実施例を示す。図10は前記図9に示した実施例の変形例であり、リング共振器を用いた第4の例を示している。なお、同図は、増幅段レーザ(PO)20の上面図であり、発振段レーザ(MO)10を含めたレーザ装置の全体構成は、前記図9(a)に示したものと同様である。
増幅段レーザ(PO)20は、図10に示すように全反射直角プリズム8a,8bからなるリング共振器を備え、発振段レーザ(MO)10からのシード光は、OC24の高反射(HR)コートされた部分から注入される。このため、注入光が全て増幅段レーザ(PO)共振器20内に注入される。
本実施例では、レーザ装置の光軸中心(例えば放電電極2aの長手方向の軸)に平行な軸に対して、2個の全反射直角プリズム8a,8bの頂角の位置をオフセットさせている。これによりリング共振器内でビームが平行に移動しながら共振し、出力レーザ光として出力される。
本実施例と前記図9に示した実施例との違いは以下の通りである。
(1)増幅段レーザ(PO)20の共振器のOC24に部分反射(PR)コート領域(OCとして機能する領域)と高反射(HR)コート領域(注入部として機能する領域)を設置したこと。
(2)発振段レーザ(MO)10のビームを線状にOC24の高反射(HR)コート領域に集光させて、増幅段レーザ(PO)20のリング共振器に注入していること。
(3)増幅段レーザ(PO)20の共振器を往復する毎に、ビームが1方向に移動する配置としていること。
以下、本実施例の動作を説明する。
発振段レーザ(MO)10のビームはMOビーム線状集光装置5により増幅段レーザ(PO)20のOC24の高反射(HR)コート部に集光させる。このビームはOC24の高反射(HR)コート部で全反射し、多少広がりながらプリズム8aの2面でフレネル反射により全反射する。そして、シード光はウインド22aを透過してチャンバ21に入射する。シード光は放電電極2aの長手方向の軸に対して、略平行な光軸で透過し、増幅されずにチャンバ21内を透過し、全反射直角プリズム8bに入射する。
このシード光はプリズム8bの2面で全反射し、再びウインド22bを介して放電電極2aの放電空間と光軸が一致するようにチャンバ21に入射し、放電空間に導かれる。このシード光に同期して、電源により放電電極2aに印加される電圧により、電極2a間で放電する。
これにより、シード光が増幅されて、ビームはOC24の部分反射(PR)コート部に入射する。OC24での反射光は、出力レーザ光として出力(1往復による増幅光)される。透過光は、1往復目の光路に対して平行に移動した光路で再び全反射直角プリズム8aによりチャンバ21に戻され、増幅されずにチャンバ21内を透過し、全反射直角プリズム8bに入射する。そして、再びチャンバ21に入射し、1往復目の光路に対して所定の距離だけ平行移動した光路で、放電空間内を透過し、増幅される。
この増幅光の光路は、1往復目に対して一定の割合で移動して再びOC24の部分反射(PR)コート部に入射し、反射光はレーザ光として出力され、透過光は再び共振器内で共振し、3往復目も同様に往復するたびに光路が平行移動して増幅発振する。
本実施例においては、以下のメリットが得られる。
(1)増幅段レーザ(PO)20の共振器内に全て発振段レーザ(MO)10のビームを注入できるため、注入効率が高い。
(2)往復ビーム毎に出力レーザ光のビームが移動するので、増幅段レーザ(PO)20の共振器の光学素子(OC、レーザウインド及び高反射ミラー)におけるレーザ光のエネルギ密度が低減される。そのため、増幅段レーザ(PO)20の光学素子の寿命が長くなる。さらに、注入されたビームは往復毎にビームが広がるため、前述したようにレーザチャンバ21のウインド及び共振器のエネルギ負荷が小さくなる。
9.第9の実施例(偏光制御による共振器の例)
図11に増幅段レーザ(PO)の共振器として、ファブリペロ型安定共振器を設置し、シード光の注入に偏光素子と波長板を用いた実施例を示す。
図11(a)は本実施例のレーザの側面図を示し、図11(b)は増幅段レーザ(PO)の上面図を示す。
発振段レーザ(MO)10のLNM3のプリズムビームエキスパンダ3a及びチャンバ11のウインド12a,12bがブリュースタ角で設置されており、紙面に対して垂直な偏波面でレーザ発振する。
この発振段レーザ(MO)10から出力されたレーザ光は偏波面を維持した状態で高反射ミラー4aによりMOビーム線状集光装置5に入射する。
この集光装置5から出力された光は、PS分離膜をコートしたビームスプリッタ(BS)27aに入射する。このBS27aではS偏光(紙面に対して垂直な偏波面)は全反射する。この反射光はλ/4板27bを透過し円偏光に変換される。
この円偏光に変換された発振段レーザ(MO)10のビームは増幅段レーザ(PO)20の共振器のOC24の位置にMOビームを線状に集光する。ここでOC24には、共振器側に反射率が20%から30%の部分反射膜がコートされ、出射側には、反射防止膜がコートされている。そして、このOC24を透過した光は多少広がりながら増幅段レーザ(PO)20の共振器中に注入され、チャンバ21の放電電極ギャップ間を透過して増幅され、ウインド22bを透過して高反射(HR)膜がコートされたリアミラー26に入反射する。
そして、再びチャンバ21に入射して透過増幅され、OC24により一部が反射されて再び増幅段レーザ(PO)20の共振器内に戻される。
円偏光でOC24から出力したレーザ光は再びλ/4板27bにより、紙面を含む偏波面に変換される。この偏光状態の光はBS27aのP偏光成分の光なのでほとんど全てBS27aを透過し出力レーザ光として取り出される。
ここで、増幅段レーザ(PO)20の共振器内は円偏光で共振するのでレーザのウインドの反射防止(AR)コートはP及びS偏光に対する反射防止膜をコートする必要がある。
本実施例においては、以下のメリットが得られる。
(1)増幅段レーザ(PO)20のOC24の反射率が20%から30%で動作するので、注入効率が70%から80%の高い効率を得ることができる。
(2)増幅段レーザ(PO)20の共振器のアライメントが容易で安定している。
(3)増幅段レーザ(PO)20の共振器のOC24の位置でMOビームを集光させているため、注入有効領域に対して、注入ビームが十分狭くなるために注入効率が高くなる。(4)ビームはやや広がりながら光が往復を繰り返す毎にビームが広がるこれにより、チャンバ21のウインド22a,22bやOC24でのレーザのエネルギ負荷が小さくなる。したがって、レーザチャンバ21のウインド及び共振器に使用されている光学素子の寿命が延びる。
本発明の露光装置用狭帯域レーザ装置の基本構成を示す図である。 本発明の第1の実施例の構成を示す図である。 第1の実施例の増幅段レーザ(PO)の上面図である。 本発明の第2の実施例の構成を示す図である。 本発明の第3の実施例の構成を示す図である。 本発明の第4の実施例の構成を示す図である。 本発明の第5の実施例の構成を示す図である。 本発明の第6の実施例の構成を示す図である。 本発明の第7の実施例の構成を示す図である。 本発明の第8の実施例の構成を示す図である。 本発明の第9の実施例の構成を示す図である。 MOPO方式のレーザ装置の構成例を示す図である。
符号の説明
1a,2a 放電電極
3 LMN
4a〜4c 高反射ミラー
5 MOビーム線状集光装置
5a 凸シリンドリカルレンズ
5b 凹シリンドリカルレンズ
7a〜7c 高反射ミラー
8a,8b 全反射直角プリズム
9 ナイフエッジミラー
10 発振段レーザ(MO)
11,21 チャンバ
12a,12bウィンドウ部材
22a,22bウィンドウ部材
13,23 スリット
14 OC(出力結合ミラー)
20 増幅段レーザ(PO)
24 OC(出力結合ミラー)
26 リアミラー
27a ビームスプリッタ(BS)
27b λ/4板

Claims (2)

  1. 狭帯域発振段レーザ(MO)と共振器を配置した増幅段レーザ(PO)とからなる注入同期式放電励起レーザ装置であって、
    狭帯域発振段レーザ(MO)と上記増幅段レーザ(PO)の間には、
    狭帯域発振段レーザ(MO)から放出される前記MOレーザ光を線状に集光して、前記線状集光ビームを前記共振器内の注入部に集光させる光学システムを備えた
    ことを特徴とする露光装置用狭帯域レーザ装置。
  2. 上記光学システムは、凸のシリンドリカルレンズと、凹のシリンドリカルレンズから構成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の露光装置用狭帯域レーザ装置。
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