以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。尚、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における光ヘッド装置1の構成を示す図である。図1において、図36と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
図1において、光ヘッド装置1は、半導体レーザ101、コリメータレンズ102、ビームスプリッタ103、対物レンズ104、アクチュエータ107、ホログラム素子203、検出レンズ109及び光検出器220を備える。
半導体レーザ101は、光ビームを出射する。コリメータレンズ102は、半導体レーザ101によって出射された光ビームを発散光から平行光に変換する。ビームスプリッタ103は、コリメータレンズ102によって平行光に変換された光ビームを光ディスク201に向けて反射させるとともに、光ディスク201によって反射された光ビームを光検出器220に向けて透過させる。
対物レンズ104は、ビームスプリッタ103によって反射された光ビームを光ディスク201上に集光させるとともに、光ディスク201によって反射された光ビームをビームスプリッタ103へ透過させる。アクチュエータ107は、対物レンズ104を光軸方向及びトラック垂直方向に移動させる。ホログラム素子203は、光ディスク201によって反射された光ビームの一部を回折させる。検出レンズ109は、ホログラム素子203を透過した光ビームを光検出器220上に集光する。
光検出器220は、ホログラム素子203によって回折されない0次光を受光するとともに、ホログラム素子203によって回折された1次光を受光する。なお、光検出器220の構成については後述する。
図2(A)は、図1に示すホログラム素子203の領域分割を示す図である。図2(A)における点線は、光ディスク201の所望の情報層に対物レンズ104の焦点を結んでいる時のホログラム素子203上のビーム径と、トラックからの回折光の重なりを示している。なお、この図2(A)及び(B)ではY方向がトラックの接線方向に平行な方向であり、X方向がトラックの接線方向に垂直な方向である。
ホログラム素子203は、第1の方向に伸びる第1の分割線231及び第2の分割線232と、第1の方向に交わる第2の方向に伸びる第3の分割線235及び第4の分割線236と、第2の方向に伸びる第5の分割線233及び第6の分割線234とにより複数の領域に分割されている。
なお、第1の方向とは、トラックの接線方向に略垂直な方向であり、第2の方向とは、トラックの接線方向に略平行な方向である。また、第1の方向に伸びる第1の分割線231及び第2の分割線232、又は第2の方向に伸びる第3の分割線235、第4の分割線236、第5の分割線233及び第6の分割線234は、必ずしも第1の方向又は第2の方向に平行な直線でなくてもよく、曲線や折れ線であってもよい。
第1の分割線231の外側の領域は、第5の分割線233により第1の領域240と第2の領域241とに分割される。第2の分割線232の外側の領域は、第6の分割線234により第3の領域245と第4の領域246とに分割される。第1のサブ領域は、第1の領域240と第3の領域245とで構成され、第2のサブ領域は、第2の領域241と第4の領域246とで構成される。
第3の分割線235と第4の分割線236とによって、第1の分割線231と第2の分割線232との間の領域が3つに分割される。第3の分割線235の外側であり、第1の分割線231及び第2の分割線232の内側である領域が第1のメイン領域242として分割される。また、第4の分割線236の外側であり、第1の分割線231及び第2の分割線232の内側である領域が第2のメイン領域244として分割される。さらに、第1の分割線231、第2の分割線232、第3の分割線235及び第4の分割線236によって囲まれた領域が中央領域243として分割される。
また、ホログラム素子203には、不要な他層迷光を遮光するアパーチャ237が設けられている。図2(B)は、ホログラム素子203におけるアパーチャ237と光ビーム230との関係を示す図である。アパーチャ237の開口は、楕円形状であり、ラジアル方向であるX方向の長さがタンゼンシャル方向であるY方向の長さに比べて長い。
また、アパーチャ237のX方向の長さは、対物レンズ104がラジアル方向へ通常のシフト量(最大200μm〜400μm程度)だけ移動したとしてもケラレが無いように設計される。他層迷光のうちホログラム素子203上で通常の光ビームより径の大きなビームとして戻ってくる光、すなわち、奥側の層を再生するときの手前側の層の他層迷光やディスク表面での表面迷光は、アパーチャ237でけられるので、光検出器220上での迷光の大きさが制限され受光部に入りにくくなる。
図3は、実施の形態1における光検出器220の受光部の配置を示す図である。ホログラム素子203で回折されない0次光210は光軸221上の4分割受光部(0次光受光部群)250により受光される。図示はしないがこの4分割受光部250から光量に応じて出力される信号によりフォーカス信号(フォーカス誤差信号)とRF信号とが得られる。
サブ領域受光部群25aは、光軸221から第1の分割線231及び第2の分割線232の延長線方向(矢印Y1に示す方向)に配置される。サブ領域受光部群25aは、受光部251と受光部252とを含む。受光部251と受光部252とは、X方向に隣接して配置される。受光部251は、第1のサブ領域である第1の領域240と第3の領域245とで回折された光ビーム261を受光する。第1のサブ領域である第1の領域240と第3の領域245とで回折された光ビーム261は、サブ領域受光部群25aを構成する受光部の1つである受光部251により受光される。受光部251は、受光した光量に応じた信号を出力する。
受光部252は、第2のサブ領域である第2の領域241と第4の領域246とで回折された光ビーム262を受光する。第2のサブ領域である第2の領域241と第4の領域246とで回折された光ビーム262も同様に、受光部252により受光される。受光部252は受光した光量に応じた信号を出力する。
一方、メイン領域受光部群25bは、光軸221から第3の分割線235及び第4の分割線236の接線の延長線方向(矢印Y2に示す方向)に配置される。メイン領域受光部群25bは、受光部253と受光部254とを含む。受光部253と受光部254とは、Y方向に隣接して配置される。受光部253は、第1のメイン領域242で回折された光ビーム263を受光する。第1のメイン領域242で回折された光ビーム263は、受光部253により受光される。受光部253は受光した光量に応じた信号を出力する。受光部254は、第2のメイン領域244で回折された光ビーム264を受光する。第2のメイン領域244で回折された光ビーム264も同様に、受光部254により受光される。受光部254は受光した光量に応じた信号を出力する。
図3に示したように、受光部253及び受光部254で構成されるメイン領域受光部群25bと、受光部251及び受光部252で構成されるサブ領域受光部群25aとは、光軸221に対して、およそ90度をなす角度の方向に配置される。更に、中央領域243で回折された光ビーム265は、光軸221に対して、メイン領域受光部群25bとサブ領域受光部群25aとがなす角を2等分する方向(矢印Y3に示す方向)に回折される。
受光部253及び受光部254から出力された信号は減算回路270に入力される。減算回路270は、受光部253及び受光部254から出力された信号の差信号を生成する。また、受光部251及び受光部252から出力された信号は減算回路271に入力される。減算回路271は、受光部251及び受光部252から出力された信号の差信号を生成し、その差信号を可変利得アンプ(VGA)回路272に出力する。可変利得アンプ回路272は、減算回路271によって生成された差信号に所望の係数を乗算し、減算回路273に出力する。減算回路273は、減算回路270からの出力信号と可変利得アンプ回路272からの出力信号とを受けて、それらの差信号を生成し、出力する。減算回路273からの出力信号は、オフセット補正されたトラッキング信号(トラッキング誤差信号)となる。
第3の分割線235と第4の分割線236とは、トラックの接線方向に略平行であることから、メイン領域受光部群25bは、光軸221に対して、ホログラム素子203上に投影されたトラックの接線の延長線方向に配置されている。また、第1の分割線231と第2の分割線232とは、トラックの接線方向に略垂直であることから、サブ領域受光部群25aは、光軸221に対して、ホログラム素子203上に投影されたトラックの接線方向に垂直な方向に配置されている。
なお、中央領域243を使用しないことで、トラックの回折成分を主に含む第1のメイン領域242及び第2のメイン領域244の間の2本の第2の方向の縦分割線(第3の分割線235及び第4の分割線236)の延長線上の間には、第1のメイン領域242及び第2のメイン領域244の迷光が分布しない。また、第1のサブ領域を構成する2つの領域240と領域245との間の2本の第1の方向の横分割線(第1の分割線231及び第2の分割線232)の延長線上の間には第1のサブ領域の迷光が分布しない。このため、第1のメイン領域242及び第2のメイン領域244の光を受光する受光部253,254は、第2の方向に沿った方向が長手方向となるように配置され、第1のサブ領域及び第2のサブ領域の光を受光する受光部251,252は第1の方向に沿った方向が長手方向となるように配置されることで、迷光を避けながら、安定して各光を検出することができる。
図4(A)は、光ディスク201の記録層が4層である場合において、ある記録層に収束光300の焦点を結んだ時に他層から発生する迷光の様子を示す図である。光ディスク201は、光ビームの入射面に向かってL0層、L1層、L2層及びL3層の4つの記録層が積層されている。図4(A)では、L2層に焦点を結んでおり、L0層、L1層及びL3層で反射した光が他層迷光となる。
また、図4(B)は、光ディスク301の記録層が2層である場合において、ある記録層に収束光300の焦点を結んだ時に他層から発生する迷光の様子を示す図である。光ディスク301は、光ビームの入射面に向かってL0層及びL1層の2つの記録層が積層されている。図4(B)では、L0層に焦点を結んだ時、L1層で反射した光が他層迷光となる。
2層光ディスクの場合、L0層とL1層との層間隔d2は通常25±5μmと定義されており、最小でも20μm、最大でも30μmであるため、他層迷光の光検出器220上での大きさはある程度制限される。一方、4層光ディスク等の3層以上の光ディスクの場合、例えば、最も層間隔の短いL2層とL3層との層間隔d4minは、2層の場合の層間隔d2に比べて短くなる可能性が高い。また、最も層間隔の離れたL0層とL3層との層間隔d4maxは、2層の場合の層間隔d2に比べて長くなる可能性が高い。
図5は、従来の光検出器120と4層光ディスクの迷光との関係を示す図である。2層光ディスクの場合、0次光110の他層迷光309は、層間隔d2の最大値に比例する半径R2maxの略円形(図中点線の円)となる。一方、4層光ディスクの場合、0次光110の他層迷光310は層間隔d4maxの最大値に比例する半径R4maxの略円形となる。
半径R4maxは半径R2maxより大きいため、2層光ディスクの場合は迷光309が受光部151や受光部152には入らないが、4層光ディスクの場合には迷光310が受光部151や受光部152に入ってしまう。光ディスクの偏芯に追従して対物レンズがラジアル方向に移動した場合、迷光も移動することとなり、受光部によって検出される検出信号のオフセットが変動する。この変動はトラッキング信号のオフセットとなり、安定したトラッキング制御の妨げとなる。
この不具合を回避するためには、例えば受光部320や受光部321のように、受光部を迷光から離れた位置に配置すればよいが、この受光部321へ入るように回折された光ビーム331は光軸112からの距離が長くなる。そのため、ホログラム素子で回折する方向の変化が大きくなり、受光部321のサイズも図5の矢印Y4に示す方向に大きくする必要がある。
図6(A)〜(E)は、従来の光検出器120と、4層光ディスクの最小層間隔の関係にある2つの記録層の間で発生した他層迷光との関係を示す図である。図6(A)は、従来のホログラム素子108を再図示しており、ここでは例として領域140、142、145で回折された光について説明する。
図6(B)及び図6(C)は、受光部151と、領域142で回折された光ビーム161と、光ビーム161の他層迷光331との関係を示す図である。図6(B)は、最小層間隔の関係にある2つの記録層のうちの奥側の記録層に焦点を合わせたときの手前側の記録層からの迷光331を示す図である。最小層間隔の関係にある2つの記録層の間で発生した他層迷光は、最小層間隔d4minに比例した半径R4minの大きさとなるが、光ビーム161は領域142からの光ビームであるため、迷光の形も領域142を通る光ビームと相似形となる。これが迷光331である。手前側の記録層からの迷光は光検出器より奥に焦点を結ぶような迷光となるため、ホログラム素子108をそのまま写像した方向に迷光は位置する。
一方、図6(C)は、最小層間隔の関係にある2つの記録層のうちの手前側の記録層に焦点を合わせたときの奥側の記録層からの迷光332を示す図である。奥側の記録層からの迷光は光検出器より手前で焦点を結ぶような迷光となるため、ホログラム素子108を点対称で反転して写像した方向に迷光が位置する。このため、図6(C)に示すように、迷光332は、受光部151の隣の受光部152に入ってしまう。
また、図6(D)及び図6(E)は、受光部153と、領域140及び領域145で回折された光ビーム163と、光ビーム163の他層迷光333,334との関係を示す図である。図6(D)は、図6(B)と同様に、最小層間隔の関係にある2つの記録層のうちの奥側の記録層に焦点を合わせたときの手前側の記録層からの迷光333,334を示す図である。手前側の記録層からの迷光は光検出器より奥に焦点を結ぶような迷光となるため、ホログラム素子108をそのまま写像した方向に迷光は位置する。このため、図6(D)に示すように、迷光333は、受光部153に隣接した受光部151に入ってしまう。
一方、図6(E)は、最小層間隔の関係にある2つの記録層のうちの手前側の記録層に焦点を合わせたときの奥側の記録層からの迷光335,336を示す図である。奥側の記録層からの迷光は光検出器より手前で焦点を結ぶような迷光となるため、ホログラム素子108を点対称で反転して写像した方向に迷光が位置する。このため、図6(E)に示すように、迷光335は、受光部153に隣接した受光部151に入ってしまう。
このように、層間隔d4minが層間隔d2の最小値より小さくなると迷光の半径R4minも小さくなるため、回折光の迷光が受光部に入ってしまう。これらの光もトラッキング信号を検出する際のオフセットとなり、安定したトラッキング制御を妨げる原因となる。また、図5の受光部320や受光部321のように受光部の長さを長くした場合には受光部に迷光がより入りやすくなり、4層光ディスク等では、半径R4maxは大きくなり、半径R4minは小さくなることから、このような受光部の構成で迷光を回避することは困難であった。
一方、本実施の形態1における光検出器の構成について説明する。図7は、本実施の形態1の光検出器220と4層光ディスクの迷光との関係を示す図である。4層光ディスクの場合、0次光210の他層迷光310は、層間隔d4maxの最大値に比例する半径R4maxの略円形となる。他層迷光310が受光されるのを回避するために受光部252及び受光部253は光軸221から十分離れた位置に配置される。
受光部252及び受光部253に入るように回折された光ビーム262及び光ビーム263は、光軸221からの距離が大きく離れているため、ホログラム素子で回折している方向の変化が大きくなる。しかしながら、受光部252及び受光部253のサイズも図7の矢印Y5,Y6に示す方向の大きさを大きめにしている。
また、ホログラム素子の中央領域243で回折された光ビーム265の他層迷光は、半径R4maxの略円形の範囲内における中央領域243の写像形状の他層迷光311となる。しかしながら、受光部252及び受光部253は、他層迷光311から離れた位置に配置されるため、受光部252及び受光部253には他層迷光311が入らない。
図8(A)〜(D)は、実施の形態1における光検出器220と、4層光ディスクの最小層間隔の迷光との関係を示す図である。図8(A)は、実施の形態1のホログラム素子203を再図示しており、ここでは領域240,242,245で回折される光を例として説明する。
図8(B)は、光検出器220の受光部253と、領域242で回折された光ビーム263と、光ビーム263の他層迷光341との関係を示すとともに、受光部251と、領域240及び領域245で回折された光ビーム261と、光ビーム261の他層迷光342及び他層迷光343との関係を示す図である。
最小層間隔の関係にある2つの情報層の間で発生した他層迷光は、最小層間隔d4minに比例した半径R4minの大きさの他層迷光を生じるが、光ビーム263は領域242からの光ビームであるため、迷光の形も領域242を通る光ビームと相似形となる。これが迷光341である。この図8(B)では最小層間隔の情報層の奥側の層に焦点を合わせたときの手前側の層からの迷光を示している。手前側の層からの迷光は光検出器220よりも奥に焦点を結ぶような迷光となるため、ホログラム素子203をそのまま写像した方向に迷光は位置する。
また、光ビーム264は、第2のメイン領域244からの光ビームであるため、迷光の形も第2のメイン領域244を通る光ビームと相似形となる。これが迷光347である。
同様に、光ビーム261は、領域240及び領域245からの光ビームであるため迷光の形も領域240及び領域245を通る光ビームと相似形となる。これが迷光342及び迷光343である。
一方、図8(C)では、領域242で回折された光ビーム263を最小層間隔の情報層の手前側の層に焦点を合わせたときの奥側の層からの迷光344を示している。奥側の層からの迷光は光検出器220より手前で焦点を結ぶような迷光となるため、ホログラム素子203を点対称で反転して写像した方向に迷光が位置する。このため、図8(C)に示すように、迷光344は迷光341とは光ビーム263に対して点対称に位置する。
また、図8(D)では、領域240及び領域245で回折された光ビーム261を最小層間隔の情報層の手前側の層に焦点を合わせたときの奥側の層からの迷光345及び迷光346を示している。奥側の層からの迷光は光検出器より手前で焦点を結ぶような迷光となるため、ホログラム素子203を点対称で反転して写像した方向に迷光が位置する。このため、図8(D)に示すように、迷光345及び迷光346は、迷光342及び迷光343とは光ビーム261に対して点対称に位置する。
メイン領域受光部群25bの各受光部253,254は、複数の情報層のうちの光ビームが集光する情報層に隣接する2つの情報層からの迷光によって、第3の分割線235が光検出器220上に投影された投影線341aと、第4の分割線236が光検出器220上に投影された投影線347aとの間に配置される。また、サブ領域受光部群25aの各受光部251,252は、複数の情報層のうちの光ビームが集光する情報層に隣接する2つの情報層からの迷光によって、第1の分割線231が光検出器220上に投影された投影線342aと、第2の分割線232が光検出器220上に投影された投影線343aとの間に配置される。
ここで、光検出器220について具体的な数値例をあげて説明する。例えば、光学系の検出系の焦点距離が26mmであり、対物レンズの焦点距離が1.3mmである場合、横倍率は20倍となる。光ディスクの最小層間隔d4minが8μmのとき、他層迷光の焦点は、8×20×20μmの近似計算により、3.2mmとなる。NA=0.85とすると対物レンズのビーム半径は1.105mmとなる。手前側の層からの迷光を考えると、この光ビームが光検出器220の3.2mm後で焦点を結ぶことになり、光検出器220上の他層迷光の半径R4minは、1.105×3.2/(26+3.2)=0.121mmとなる。すなわち、光検出器上の他層迷光の半径R4minは約121μmとなる。
ホログラム素子203上での2本の縦分割線(第3の分割線235及び第4の分割線236)の間隔の光ビームに対する比率が40%であるとすると、迷光には中央部に96μmの隙間ができる。即ち、最も薄い層間の他層迷光の光検出器220上への縦分割線2本の投影の間隔が96μmである。メイン領域受光部群25bの受光部へ向かう回折光の回折方向に直交する方向(図8(B)のX方向)の受光部253及び受光部254の幅を80μmとすれば、片側8μmの余裕で迷光を回避することができる。
同様に、ホログラム素子203上での2本の横分割線(第1の分割線231及び第2の分割線232)の間隔の光ビームに対する比率が60%であるとすると、迷光には中央部に145μmの隙間ができる。即ち、最も薄い層間の他層迷光の光検出器220上への横分割線2本の投影の間隔が145μmである。サブ領域受光部群25aの受光部へ向かう回折光の回折方向に直交する方向(図8(B)のY方向)の受光部251及び受光部252の幅を80μmとすれば、片側32μm以上の余裕で迷光を回避できる。
また、光ディスクの最大層間隔d4maxを50μmとし、対物レンズから検出レンズまでの距離を50mmとし、対物レンズでの開口半径を1.105mmとすると、レンズの近軸の公式を使って、他層迷光の光検出器220上での半径R4maxは819μmとなる。図7において、メイン領域受光部群25bの受光部253の端から0次光の光軸221までの距離を819μmより大きくすれば迷光を回避することができ、サブ領域受光部群25aの受光部252の端から0次光の光軸221までの距離も819μmより大きくすれば迷光を回避することができる。
図9は、光情報装置の一例である光ディスクドライブ400の全体構成を示す図である。光ディスクドライブ400は、光ヘッド装置1、スピンドルモータ403、トラバース部404、制御回路405、信号処理回路406及び入出力回路407を備える。
光ヘッド装置1は、図1に示す光ヘッド装置1と同じ構成であり、光ディスク201から情報を読み出す及び/又は光ディスク201へ情報を記録する。スピンドルモータ403は、制御回路405により供給される回転制御信号に基づき、一定の回転数又は一定の線速度で光ディスク201を回転させる。光ディスク201は、クランパー401とターンテーブル402とで挟んで固定され、スピンドルモータ(回転部)403によって回転させられる。
トラバース部404は、制御回路405により供給される移動制御信号に基づき、光ヘッド装置1を光ディスク201の径方向の所定位置へと移動させ、光ディスク201と光ヘッド装置1との相対位置を変更する。光ヘッド装置1はトラバース部(移送部)404上にあり、光が照射する点が光ディスク201の内周から外周まで移動できるようにしている。
制御回路405は、光ヘッド装置1から受けた信号に基づいて、フォーカス制御、トラッキング制御、トラバース制御及びスピンドルモータ403の回転制御等を行う。また、信号処理回路406は、再生信号から情報の再生を行い入出力回路407に出力したり、入出力回路407から入ってきた信号を制御回路405を通じて光ヘッド装置1へ送出したりする。
このように、本実施の形態のホログラム素子203と光検出器220とを用いると、0次光の他層迷光と回折光の他層迷光との両方が、回折光を受光する受光部に入らないため、オフセットのないトラッキング信号を検出することができ、安定したトラッキング制御を実現することができる。
また、図2(A)で示したホログラム素子203上にアパーチャ237を設ける効果は本実施の形態の受光部パターンと組み合わせた時に効果があるだけでなく、従来例の受光部パターンと組み合わせた時にも効果がある。
(実施の形態2)
実施の形態2では、中央領域を通過する光の回折する方向を変えた例について説明する。図10は、本発明の実施の形態2の光ヘッド装置の光検出器の受光部と光ビームとの関係を示す図である。本実施の形態2では実施の形態1とは異なるホログラム素子を用い、実施の形態1とは異なる方向に中央領域を通過する光の回折方向を変える。すなわち、中央領域243で回折された光ビーム266は、光軸221に対して、メイン領域受光部群25bとサブ領域受光部群25aとがなす角を2等分する方向に対して直交する方向(矢印Y7に示す方向)に回折される。それ以外の領域で回折された光ビームは、実施の形態1と同じ位置に回折される。光検出器220も実施の形態1と同じ構成であり、ホログラム素子以外の光学素子も同じ構成とする。
図11は、実施の形態2の光検出器220と4層光ディスクの迷光との関係を示す図である。中央領域243で回折された光ビーム266の他層迷光312は、最も層間隔の離れた最大層間隔d4maxの最大値に比例する半径R4maxの略円形の範囲内における中央領域243の写像形状となる。しかしながら、受光部251,252,253,254は、他層迷光312から離れた位置に配置されるため、受光部251,252,253,254には他層迷光312が入らない。
このように、本実施の形態2の光ヘッド装置を用いても、実施の形態1と同様に3層以上のディスクでも0次光の他層迷光と回折光の他層迷光との両方が、回折光を受光する受光部には入らないため、オフセットのないトラッキング信号を検出することができ、安定したトラッキング制御を実現することができる。
(実施の形態3)
実施の形態1,2における光ヘッド装置では、1種類の光ディスクに光ビームを照射することにより情報を記録及び/又は再生しているが、実施の形態3における光ヘッド装置は、例えばCD、DVD及びBlu−rayディスク(以下、「BD」と略す)の3種類の光ディスクにそれぞれ異なる波長の光ビームを照射することにより情報を記録及び/又は再生する。
CD、DVD及びBDのような高密度光ディスクのそれぞれに対応可能な光ヘッド装置の場合、それぞれ異なる3つの波長の光を出力する光源を有し、それぞれのディスクが再生される。この場合、それらの光を1つの光検出器で受光することで、部品点数を削減することができる。
図12は、実施の形態3に係る光ヘッド装置の構成を示す図である。図12に示す光ヘッド装置30は、第1の光源11、ビームスプリッタ12、リレーレンズ13、ホログラム素子としての偏光ホログラム14、ダイクロプリズム15、コリメータレンズ16、対物レンズ17、回折格子18、1/4波長板19、検出レンズ20、第2の光源21、光検出器22、アクチュエータ23を備える。
第1の光源11は、BD用の青紫レーザ光を出射する。第2の光源21は、DVD用の赤色レーザ光とCD用の赤外レーザ光とを出射する。アクチュエータ23は、対物レンズ17、偏光ホログラム14及び1/4波長板19を一体で駆動する。また、BD60は、保護基板厚が0.075〜0.1mmである光ディスクである。
BD60に対して、情報の記録又は再生を行う光学ヘッド30の動作について述べる。第1の光源11から出射された波長405nmの青紫レーザ光は、ビームスプリッタ12で反射し、リレーレンズ13を透過して、NAの異なる発散光に変換される。ダイクロプリズム15で反射された青紫レーザ光は、コリメータレンズ16で略平行光に変換され、偏光ホログラム14を透過する。その後、青紫レーザ光は、1/4波長板19によって直線偏光が円偏光に変換され、対物レンズ17によって、保護基板越しにBD60の情報記録面に光スポットとして集光される。
BD60の情報記録面で反射したレーザ光は、再び対物レンズ17を透過し、1/4波長板19で往路とは異なる直線偏光に変換された後、偏光ホログラム14で0次回折光と1次回折光とに分離される。その後、レーザ光は、コリメータレンズ16を透過し、ダイクロプリズム15で反射される。ダイクロプリズム15で反射されたレーザ光は、リレーレンズ13とビームスプリッタ12とを透過し、検出レンズ20で非点収差が与えられた後、光検出器22に導かれる。
次に、保護基板厚0.6mmの光ディスクであるDVD70の記録又は再生を行う場合の光ヘッド装置30の動作について述べる。なお、図12では、BD60に照射する青紫レーザ光のみを図示している。
第2の光源21から出射された波長655nmの赤色レーザ光は、回折格子18とダイクロプリズム15とを透過し、コリメータレンズ16で略平行光に変換される。偏光ホログラム14を透過した赤色レーザ光は、1/4波長板19によって直線偏光が円偏光に変換され、対物レンズ17によって、保護基板越しにDVD70の情報記録面に光スポットとして集光される。
DVD70の情報記録面で反射したレーザ光は、再び対物レンズ17を透過し、1/4波長板19で往路とは異なる直線偏光に変換された後、偏光ホログラム14で0次回折光と1次回折光とに分離される。その後、レーザ光は、コリメータレンズ16を透過し、ダイクロプリズム15で反射される。ダイクロプリズム15で反射されたレーザ光は、リレーレンズ13とビームスプリッタ12とを透過して、検出レンズ20で非点収差が与えられた後、光検出器22に導かれる。
続いて、保護基板厚1.2mmの光ディスクであるCD80の記録又は再生を行う場合の光ヘッド装置30の動作について述べる。第2の光源21から出射された波長785nmの赤外レーザ光は、回折格子18で0次回折光であるメインビームと1次回折光であるサブビームに分離された後、ダイクロプリズム15を透過し、コリメータレンズ16で略平行光に変換される。偏光ホログラム14を透過した赤外レーザ光は、1/4波長板19によって直線偏光が円偏光に変換され、対物レンズ17によって、保護基板越しにCD80の情報記録面に光スポットとして集光される。
CD80の情報記録面で反射したレーザ光は、再び対物レンズ17を透過し、1/4波長板19で往路とは異なる直線偏光に変換された後、偏光ホログラム14を透過する。その後、レーザ光は、コリメータレンズ16を透過し、ダイクロプリズム15で反射される。ダイクロプリズム15で反射されたレーザ光は、リレーレンズ13とビームスプリッタ12とを透過して、検出レンズ20で非点収差が与えられた後、光検出器22に導かれる。
ここで、対物レンズ17は、BD60を記録又は再生するための青紫レーザ光、DVD70を記録又は再生するための赤色レーザ光、CD80を記録又は再生するための赤外レーザ光を、波長の差を利用してそれぞれ微小な光スポットとして集光するための回折構造を備えている。
ただし、本発明は、このような回折構造を備えた対物レンズ17を用いた光ヘッド装置に限定されるものではなく、複数の硝材の波長分散特性を利用した屈折型の対物レンズや、回折型/屈折型のレンズを複数組み合わせた組レンズであってもよい。
また、偏光ホログラム14は、光源から出射された往路の青紫レーザ光、赤色レーザ光及び赤外レーザ光のほぼ全てを透過し、光ディスクで反射されて1/4波長板19によって往路と直交する方向の直線偏光に変換された復路の青紫レーザ光及び赤色レーザ光の一部を回折し、赤外レーザ光のほぼ全てを透過する機能を有している。なお、偏光ホログラム14の光束分割パターンと、それぞれの領域の格子ピッチは青紫レーザ光及び赤色レーザ光で共用するため、
mλ=dsinθ
m:回折次数、λ:レーザ波長、d:格子ピッチ、θ:回折角
の関係より、赤色レーザ光は青紫レーザ光に対して、ほぼ波長に比例して回折角θが大きくなる。
一方、本実施の形態の回折格子18は、第2の光源21から出射された赤外レーザ光に対して0次回折光と±1次回折光とを発生させ、赤色レーザ光に対してはそのほぼ全てを透過する波長選択性を有している。なお、本発明はこのような回折格子に限定されるものではなく、赤色レーザ光に対しても0次回折光と±1次回折光とを発生させる、単純な回折格子であってもよい。
図13は、図12に示す偏光ホログラム14の領域分割を示す図である。図13における点線は、例えばBD60の所望の情報層に対物レンズ17の焦点を結んでいる時の偏光ホログラム14上のビーム径と、トラックからの回折光の重なりを示している。なお、この図13ではY方向がトラックの接線方向に平行な方向であり、X方向がトラックの接線方向に垂直な方向である。
偏光ホログラム14は、第1の方向に伸びる第1の分割線171及び第2の分割線172と、第1の方向に交わる第2の方向に伸びる第3の分割線175及び第4の分割線176と、同じく第2の方向に伸びる第5の分割線173とにより複数の領域に分割されている。
なお、第1の方向とは、トラックの接線方向に略垂直な方向であり、第2の方向とは、トラックの接線方向に略平行な方向である。また、第1の方向に伸びる第1の分割線171及び第2の分割線172、又は第2の方向に伸びる第3の分割線175及び第4の分割線176は、必ずしも第1の方向又は第2の方向に平行な直線でなくてもよく、曲線や折れ線であってもよい。また、第5の分割線173は、必ずしも第2の方向に平行な直線でなくてもよい。
第1の分割線171の外側の領域は、第5の分割線173により第1の領域180と第2の領域181とに分割される。第2の分割線172の外側の領域は、第5の分割線173により第3の領域185と第4の領域186とに分割される。第1のサブ領域は、第1の領域180と第3の領域185とで構成され、第2のサブ領域は、第2の領域181と第4の領域186とで構成される。
第3の分割線175と第4の分割線176と第5の分割線173とによって、第1の分割線171と第2の分割線172との間の領域が4つに分割される。第3の分割線175の外側であり、第1の分割線171及び第2の分割線172の内側である領域が第1のメイン領域182として分割される。また、第4の分割線176の外側であり、第1の分割線171及び第2の分割線172の内側である領域が第2のメイン領域184として分割される。さらに、第1の分割線171、第2の分割線172、第3の分割線175及び第4の分割線176によって囲まれた領域が中央領域183として分割される。さらにまた、中央領域183は、第5の分割線173によって、第1の中央領域183aと第2の中央領域183bとに分割される。
また、偏光ホログラム14には、不要な他層迷光を遮光するアパーチャ177が設けられている。
偏光ホログラム14は、8種類の領域を有しており、所定の直線偏光の青紫レーザ光(本実施の形態においてはBD60で反射した復路の青紫レーザ光)を0次回折光と±1次回折光に分割する。0次回折光j0は、偏光ホログラム14の全ての領域から生成される。+1次回折光jaは、偏光ホログラム14の領域184から生成される。+1次回折光jbは、偏光ホログラム14の領域182から生成される。+1次回折光jcは、偏光ホログラム14の領域181から生成される。+1次回折光jdは、偏光ホログラム14の領域186から生成される。+1次回折光jeは、偏光ホログラム14の領域180から生成される。+1次回折光jfは、偏光ホログラム14の領域185から生成される。+1次回折光jgは、偏光ホログラム14の領域183bから生成される。+1次回折光jhは、偏光ホログラム14の領域183aから生成される。
図14は、実施の形態3における光検出器22の受光部の配置を示す図である。光検出器22は、複数の受光部250〜256,283〜285,253’,254’を有している。ここで、受光部253と253’、受光部254と254’はそれぞれ異なる位置に配置されているが、配線上は繋がっているため1領域の受光部と見なすことができ、出力も1つである。
サブ領域受光部群25aは、光軸221から第1の分割線171及び第2の分割線172の延長線方向に配置される。サブ領域受光部群25aは、受光部251と受光部252とを含む。
メイン領域受光部群25bは、光軸221から第3の分割線175及び第4の分割線176の延長線方向に配置される。メイン領域受光部群25bは、受光部253と受光部254とを含む。
受光部250は、BD60及びDVD70のフォーカス誤差信号と光ディスクに記録された情報を再生するための信号との検出に用いられる。受光部284は、CD80のフォーカス誤差信号と光ディスクに記録された情報を再生するための信号との検出に用いられる。一方、BD60のトラッキング誤差信号の検出には受光部251,252,253,254が用いられ、DVD70のトラッキング誤差信号の検出には受光部253,254,255,256が用いられ、CD80のトラッキング誤差信号の検出に受光部283,285が用いられる。
本実施の形態では、BD60又はDVD70で反射した青紫レーザ光又は赤色レーザ光の0次回折光を受光する受光部250と、メイン領域受光部群25bとの間に、CD80で反射した復路の赤外レーザ光の0次回折光を受光する受光部284が配置される。
次に、BD60を記録又は再生する場合の、偏光ホログラム14と光検出器22の機能について、図15を用いて詳細に説明する。
図15は、BD60で反射して光検出器22に到達するレーザ光の様子を模式的に示す図である。0次回折光j0は4分割受光部250で、+1次回折光jaは受光部253で、+1次回折光jbは受光部254で、+1次回折光jcとjdとは受光部252で、+1次回折光jeとjfとは受光部251でそれぞれ受光される。なお、+1次回折光jgとjhとはどの受光部でも受光されないようにしている。
また、0次回折光j0と+1次回折光ja〜jhとは、BD60の情報記録面で反射された青紫レーザ光が、偏光ホログラム14に入射して生成されたものであるが、BD60は、2つの情報記録面60a、60b(図示せず)を有しているので、実際に記録又は再生を行う情報記録面60aとは異なる情報記録面60bで反射されたビームも、偏光ホログラム14に入射して、回折光が生成される。
0次回折光j0’と+1次回折光ja’〜jh’とは、光ビームが集光する情報記録面に隣接する情報記録面60bで反射された青紫レーザ光が、偏光ホログラム14に入射して生成される回折光(他層迷光)である。0次回折光j0’は偏光ホログラム14の全ての領域から、+1次回折光ja’は領域184から、+1次回折光jb’は領域182から、+1次回折光jc’は領域181から、+1次回折光jd’は領域186から、+1次回折光je’は領域180から、+1次回折光jf’は領域185から、+1次回折光jg’は領域183bから、+1次回折光jh’は領域183aからそれぞれ生成される。
対物レンズ17で集光される青紫レーザ光が、情報記録面60aに焦点を結んでいる時、情報記録面60bでは、大きくデフォーカスしている。そのため、0次回折光j0’及び+1次回折光ja’〜jh’も光検出器22上で大きくデフォーカスしている。ここで、0次回折光j0’及び+1次回折光ja’〜jh’が、いずれも受光部251,252,253,254に入射しないようにしている。これは、0次回折光j0’及び+1次回折光ja’〜jh’が、受光部251,252,253,254に入射すると、その入射の程度に応じてトラッキング誤差信号に変動が生じ、その結果、安定したトラッキング制御ができなくなることがあるためである。
メイン領域受光部群25bの各受光部253,254は、複数の情報層のうちの光ビームが集光する情報層に隣接する情報層からの迷光によって、第3の分割線175が光検出器22上に投影された投影線175aと、第4の分割線176が光検出器22上に投影された投影線176aとの間に配置される。また、サブ領域受光部群25aの各受光部253,254は、複数の情報層のうちの光ビームが集光する情報層に隣接する情報層からの迷光によって、第1の分割線171が光検出器22上に投影された投影線171aと、第2の分割線172が光検出器22上に投影された投影線172aとの間に配置される。
次に、DVD70を記録又は再生する場合の、偏光ホログラム14と光検出器22の機能について、図16を用いて詳細に説明する。図16は、DVD70で反射して光検出器22に到達するレーザ光の様子を模式的に示す図である。
偏光ホログラム14は、所定の直線偏光の赤色レーザ光(本実施の形態においてはDVD70で反射した復路の赤色レーザ光)を0次回折光と±1次回折光に分割する。0次回折光k0は、偏光ホログラム14の全ての領域から生成される。+1次回折光kaは、偏光ホログラム14の領域184から生成される。+1次回折光kbは、偏光ホログラム14の領域182から生成される。+1次回折光kcは、偏光ホログラム14の領域181から生成される。+1次回折光kdは、偏光ホログラム14の領域186から生成される。+1次回折光keは、偏光ホログラム14の領域180から生成される。+1次回折光kfは、偏光ホログラム14の領域185から生成される。+1次回折光kgは、偏光ホログラム14の領域183bから生成される。+1次回折光khは、偏光ホログラム14の領域183aから生成される。
0次回折光k0は4分割受光部250で、+1次回折光kaは受光部253’で、+1次回折光kbは受光部254’で、+1次回折光kgは受光部255で、+1次回折光khは受光部256でそれぞれ受光される。なお、+1次回折光kc,kd,ke,kfはどの受光部でも受光されないようにしている。これは、+1次回折光kc,kd,ke,kfが、DVD70の情報トラックの溝の変調をほとんど受けない領域から生成される回折光であり、1ビームによるいわゆるプッシュプル法によるトラッキング誤差信号には実質的に不要だからである。
0次回折光k0及び+1次回折光ka〜khは、DVD70の情報記録面で反射された赤色レーザ光が、偏光ホログラム14に入射して生成されたものであるが、DVD70は、2つの情報記録面70a、70b(図示せず)を有しているので、実際に記録又は再生を行う情報記録面70aとは異なる情報記録面70bで反射されたビームも、偏光ホログラム14に入射して、回折光が生成される。
0次回折光k0’と+1次回折光ka’〜kh’とは、情報記録面70bで反射された赤色レーザ光が、偏光ホログラム14に入射して生成される回折光(他層迷光)である。0次回折光k0’は、偏光ホログラム14の全ての領域から、+1次回折光ka’は領域184から、+1次回折光kb’は領域182から、+1次回折光kc’は領域181から、+1次回折光kd’は領域186から、+1次回折光ke’は領域180から、+1次回折光kf’は領域185から、+1次回折光kg’は領域183bから、+1次回折光kh’は領域183aからそれぞれ生成される。
対物レンズ17で集光される赤色レーザ光が、情報記録面70aに焦点を結んでいる時、情報記録面70bでは、大きくデフォーカスしている。そのため、0次回折光k0’及び+1次回折光ka’〜kh’も光検出器22上で大きくデフォーカスしている。
ここで、0次回折光k0’が、受光部251〜256に入射しないようにしている。これは、0次回折光k0’が、受光部251〜256に入射すると、その入射の程度に応じてトラッキング誤差信号に変動が生じ、その結果、安定したトラッキング制御ができなくなることがあるためである。
なお、2つの情報記録面の間隔が20μm程度のBD60と比較して、DVD70は2つの情報記録面の間隔が40μm以上と大きいため、+1次回折光ka’〜kh’はデフォーカス量が非常に大きくなる。従って、それらが受光部253,254,255,256に入射しても、トラッキング誤差信号への影響は非常に微小であるため、実質的に問題ない。
次に、CD80を記録又は再生する場合の、偏光ホログラム14と光検出器22との機能について、図17を用いて詳細に説明する。
図12に示した回折格子18に入射した赤外レーザ光は、0次回折光m0と+1次回折光m1と−1次回折光m2とに分割される。ただし、CD80の情報記録面で反射された0次回折光m0と+1次回折光m1と−1次回折光m2とはそれぞれ偏光ホログラム14では回折されない。
図17は、CD80で反射して光検出器22に到達するレーザ光の様子を模式的に示す図である。0次回折光m0は4分割受光部284で、+1次回折光m1は受光部283で、−1次回折光m2は受光部285でそれぞれ受光され、3ビーム法によるトラッキング誤差信号が得られる。
このように、第1の光源11から青紫レーザ光が出射され、第2の光源21から赤色レーザ光及び赤外レーザ光が出射される。4分割受光部250(第1の0次光受光部群)によって、回折光学系で回折されずに透過した青紫レーザ光及び赤色レーザ光が受光され、4分割受光部284(第2の0次光受光部群)によって、回折光学系で回折されずに透過した赤外レーザ光が受光される。また、メイン領域受光部群25bによって、第1のメイン領域182及び第2のメイン領域184によって回折された青紫レーザ光が受光され、サブ領域受光部群25aによって、第1のサブ領域180,185及び第2のサブ領域181,186によって回折された青紫レーザ光が受光される。そして、4分割受光部284は、4分割受光部250とメイン領域受光部群25bとの間に配置される。
したがって、例えばCD、DVD及びBD等の3種類の光ディスクから情報を記録又は再生する場合であっても、それぞれの光ディスクの互換性を確保しつつ、オフセットのないトラッキング信号を生成することができ、安定したトラッキング制御を実現することができる。
本実施の形態で示したように、4分割受光部284(第2の0次光受光部群)を4分割受光部群250(第1の0次光受光部群)とメイン領域受光部群25bとの間に配置することで受光部の配置される面積を大きくすることなく3波長に対応した光検出器が可能となり、光検出器をコンパクトにすることができる。
次に、実施の形態3の変形例について説明する。実施の形態3では、4分割受光部250とメイン領域受光部群25bとの間に4分割受光部284を配置しているが、実施の形態3の変形例では、4分割受光部250とサブ領域受光部群25aとの間に4分割受光部284を配置する。
図18は、実施の形態3の変形例における光検出器の一例を示す図である。なお、図18に示す光検出器280は、図12に示す3つの光源に対応した光ヘッド装置30に用いられる。この場合、ホログラム素子の分割パターンは、図2(A)に示す分割パターンと同じである。
高密度光ディスク用の受光部251,252,253,254は、図3に示す光検出器220と同様の配置となる。受光部250は、BD用のメインビーム又はDVD用のメインビームを共用して受光する。さらに、受光部281及び282は、3ビーム法又は差動プッシュプル法において用いられるサブビームを受光する。さらに、受光部250で共用されないCD用のメインビームは、受光部284で受光され、サブビームは、受光部283及び285で受光される。
なお、各受光部250,281,282,283,284,285は、光ビームに非点収差が加えられるため、図18に示すような配置となる。すなわち、BD60又はDVD70で反射した青紫レーザ光又は赤色レーザ光の0次回折光を受光する受光部250と、サブ領域受光部群25aとの間に、CD80で反射した復路の赤外レーザ光の0次回折光を受光する受光部284が配置される。
ここでは、各受光部を4分割しているが、本発明はこれに限定されず、各受光部の分割数は、各ディスクの再生に必要なトラッキング方式やフォーカス方式に応じて異なり、2分割あるいは5分割以上であってもよい。
このように、第1の光源11から青紫レーザ光が出射され、第2の光源21から赤色レーザ光及び赤外レーザ光が出射される。4分割受光部250(第1の0次光受光部群)によって、回折光学系で回折されずに透過した青紫レーザ光及び赤色レーザ光が受光され、4分割受光部284(第2の0次光受光部群)によって、回折光学系で回折されずに透過した赤外レーザ光が受光される。また、メイン領域受光部群25bによって、第1のメイン領域242及び第2のメイン領域244によって回折された青紫レーザ光が受光され、サブ領域受光部群25aによって、第1のサブ領域240,245及び第2のサブ領域241,246によって回折された青紫レーザ光が受光される。そして、4分割受光部284は、4分割受光部250とサブ領域受光部群25aとの間に配置される。
このような光検出器280を用いることにより、光検出器の部品点数を増やすことなく、CDやDVD等の光検出に対応した上で、高密度光ディスクの3層以上の光検出にも対応することができる。
この変形例で示したように、4分割受光部284(第2の0次光受光部群)を4分割受光部群250(第1の0次光受光部群)とサブ領域受光部群25aとの間に配置することでも、受光部の配置される面積を大きくすることなく3波長に対応した光検出器が可能となり、光検出器をコンパクトにすることができる。
また、DVD及びCDともに3ビームもしくは、差動プッシュプル法を想定して、サブビーム用受光部281,282,283,285を設ける構成としたが、本発明はこれに限定されず、位相差トラッキング法等の1ビーム方式を用いてもよい。この場合、サブビーム用受光部は不要となる。
なお、本実施の形態は、対物レンズが1つの例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、BD専用対物レンズと、DVD/CD用対物レンズを備えた光学系でも同様の効果を得ることができる。
なお、ここでは4分割受光部250でBDのメインビームとDVDのメインビームとを受光し、4分割受光部284でCDのメインビームを受光する例を示したが、4分割受光部250でBDのメインビームとCDのメインビームとを受光し、4分割受光部284でDVDのメインビームを受光する構成としても良い。この場合、BDとCDの受光部上のスポットのサイズを近づけ、DVDの受光部上のスポットサイズをBDより大きくすることができるため、DVDの対物レンズ上のビーム径をBDより大きくすることができる。これにより、BDの対物レンズの焦点距離の短縮による光学系の小型化と、DVDの対物レンズ径をある程度確保することによる、レンズシフトに対する安定性の確保を両立できる。
(実施の形態4)
実施の形態4では、第1のサブ領域及び第2のサブ領域を通過する光の回折する方向を変えた例について説明する。実施の形態4では、実施の形態1とは異なるホログラム素子と受光部とを用い、それ以外の光学素子は実施の形態1と同じ構成とする。
図19(A)は、実施の形態4におけるホログラム素子500を示す図である。図19(A)に示すホログラム素子500の分割領域の形状は、実施の形態1と同じであるが回折方向が異なる。
図19(B)は、実施の形態4における光検出器505の受光部の配置図である。メイン領域受光部群25bは、光軸221から第3の分割線及び第4の分割線の接線の延長線方向(矢印Y2に示す方向)に配置される。メイン領域受光部群25bは、受光部253と受光部254とを含む。なお、これらの受光部253と受光部254との配置は、実施の形態1と同じであるので説明を省略する。
一方、光検出器505のサブ領域受光部群25aは、受光部511と受光部512とを含む。受光部511と受光部512とは、0次光210を受光する4分割受光部(0次光受光部群)510の光軸221に対して、横分割線(第1の分割線及び第2の分割線)の延長線方向(矢印Y8に示す方向)の互いに対向する位置に配置される。ただし、光軸221から受光部511までの距離と、光軸221から受光部512までの距離とは等しくない。
第1のサブ領域である領域501及び領域502で回折された光ビーム521は、受光部511の中央に入射するように設計されるが、その共役の回折光は光ビーム523として光検出器505上に入射する。受光部512は、この光ビーム523が入射しない位置に配置される。また、第2のサブ領域である領域503及び領域504で回折された光ビーム522は、受光部512の中央に入射するように設計されるが、その共役の回折光は光ビーム524として光検出器505上に入射する。受光部511は、この光ビーム524が入射しない位置に配置される。
図20は、実施の形態4における光検出器と4層光ディスクの最小層間隔の迷光との関係を示す図である。図20では、光検出器505の受光部511と、領域501及び領域502で回折された光ビーム521と、光ビーム521の他層迷光531及び532との関係を示すとともに、領域503及び領域504で回折された共役光ビーム524と、共役光ビーム524の他層迷光541及び542との関係を示す。
層間隔が最小となる関係にある2つの情報層の間で発生した他層迷光は、最小層間隔d4minに比例した半径R4minの大きさの他層迷光を生じるが、光ビーム521は領域501及び領域502からの光ビームであるため迷光の形も領域501及び領域502を通る光ビームと相似形となる。これが迷光531及び迷光532である。この図20では最小層間隔の情報層の奥側の層に焦点を合わせたときの手前側の層からの迷光を示している。手前側の層からの迷光は光検出器505より奥に焦点を結ぶような迷光となるため、ホログラム素子500をそのまま写像した方向に迷光は位置する。
一方、光ビーム524は領域503及び領域504からの光ビームであるため迷光の形も領域503及び領域504を通る光ビームと相似形となる。これが迷光541及び迷光542である。最小層間隔の情報層の手前側の層に焦点を合わせたときの奥側の層からの迷光については図示しないが、実施の形態1で説明したように各ビームの中心に対して点対称の位置に迷光は位置する。このため迷光は各受光部には入射しない。
図20に示したように、メイン領域受光部群25b(受光部253及び受光部254)は、光軸221に対して、回折光学系であるホログラム素子500上に投影されたトラックの接線の延長線方向に配置される。また、サブ領域受光部群25a(受光部511及び受光部512)は、光軸221に対して、ホログラム素子500上に投影されたトラックの接線方向に垂直な方向に配置される。
このように、本実施の形態4のホログラム素子500と光検出器505とを用いると、0次光の他層迷光と回折光の他層迷光との両方が、回折光を受光する受光部には入らないため、オフセットのないトラッキング信号を検出することができ、安定したトラッキング制御を実現することができる。
(実施の形態5)
実施の形態5ではフォーカス信号とRF信号とを別の受光部で検出する例について説明する。図21は、実施の形態5における光ヘッド装置600の構成を示す図である。これまでの実施の形態と同じ働きをする要素については同じ番号を付して説明を省略する。本実施の形態5と他の実施の形態とで異なるのは、ホログラム素子601で回折されない0次光610を分岐素子としてのプリズム602で2つの光ビームに分割していることである。ホログラム素子601で回折された光ビーム611はプリズム602を通らない。これらの光ビームを光検出器620で受光する。
図22は、実施の形態5における光検出器と分岐素子としてのプリズム602とを拡大した図である。ホログラム素子601の0次光610は検出レンズ109により非点収差が与えられている。この0次光610がプリズム602に入射し2つの光ビームに分けられる。プリズム602を透過する光ビーム612はそのまま光検出器620のフォーカス用の受光部630で受光される。
プリズム602の内部で反射された光ビームは斜面でもう一度反射され、プリズム602から出射する。しかしながら、プリズム602内で反射した光ビーム613の光検出器620までの光路長は、プリズム602を透過した光ビーム612の光検出器620までの光路長に比べて長くなる。そこで、プリズム602の下側のプリズム602内で反射した光ビームが出射する位置にはレンズ603が設けられている。このレンズ603によって、光路長の差による焦点位置を補正し、かつ非点収差を除去することで、光検出器620の受光部635上に光ビームが集光されるようにする。
図23(A)は、実施の形態5におけるホログラム素子601の領域分割を示す図である。ホログラム素子601の分割パターンは、実施の形態1のホログラム素子の分割パターンと同じであるので説明を省略する。
図23(B)は、実施の形態5における光検出器620の受光部の配置とプリズム602の配置とを説明するための図である。プリズム602は、その反射方向がホログラム素子601の横分割線(第1の分割線及び第2の分割線)の延長線方向と、縦分割線(第3の分割線及び第4の分割線)の接線の延長線方向とがなす角を2等分する方向となるように配置される。
プリズム602内で反射された光ビーム613は0次光受光部群63cの1つの受光部635で受光される。受光部635は、光軸221からメイン領域受光部群63bである受光部633及び受光部634が配置されている方向と、光軸221からサブ領域受光部群63aである受光部631及び受光部632が配置されている方向とがなす角を2等分する方向に配置される。
プリズム602を透過する光は0次光受光部群63cの1つの4分割受光部630で受光され、ここから得られる信号からフォーカス信号が生成される。また、受光部635から得られる信号から情報の再生の際に用いるRF信号が得られる。ホログラム素子601の各メイン領域と各サブ領域とで回折された回折光ビーム641〜644は、受光部631〜634でそれぞれ受光される。
本実施の形態5によれば、RF信号は1chのアンプで検出できる。実施の形態1のような構成ではRF信号は4つの受光部で受光され、それぞれIV変換された信号が加算されるため、ノイズが増えてしまう。しかし、RF信号を1chのアンプでIV変換すれば、アンプごとのノイズが加算されることが無いため、ノイズの増加を抑えることができる。通常、独立した4つのアンプノイズを加算すると、6dBだけノイズが増加する。本実施の形態5では光ビームをプリズム602で分けているため、検出する光量も下がるが、プリズム602の分離比を2:8とし、フォーカス側を2、RF側を8とすれば、信号の低下分は2dB程度となる。
従って、このような構成を採用することにより、SN比で4dB改善することができる。このため、RF信号の品質が良くなり、情報を再生する際の誤り率を下げることができる。また、本実施の形態5のように、光検出器620の直前で光ビーム610を分岐すれば、プリズム602を小さくすることができるので、プリズム602のコストを抑えることができる。
また、フォーカス信号を生成するための受光部630と、RF信号を生成するための受光部635との間隔を狭くすることができるので、光検出器620が大きくならずに済み、小型化することができる。また、プリズム602の上面の斜面部を遮光しておくことで他層迷光が受光部635に入り難くすることができる。更に、プリズム602がアパーチャとして機能するため、光ビーム612と光ビーム613との他層迷光の広がりを抑えることができる。
尚、本実施の形態5の例ではフォーカス信号とRF信号との比を2:8としたが、本発明は特にこれに限定されず、5:5よりRF信号の比を大きくすればSN比の改善効果が得られる。
(実施の形態6)
実施の形態6では、フォーカス信号用受光部とRF信号用受光部との位置を入れ替えた例について説明する。図24は、実施の形態6における光ヘッド装置700の構成を示す図である。これまでの実施の形態と同じ働きをする要素については同じ番号を付して説明を省略する。実施の形態6と実施の形態5とで異なるのは、ホログラム素子701、検出レンズ702、分岐素子としてのプリズム703及び光検出器720である。本実施の形態6における検出レンズ702は、平行光を収束光にする機能のみを有し、非点収差を与える機能を有しない。
図25は、実施の形態6における光検出器720とプリズム702とを拡大した図である。ホログラム素子701の0次光の光ビーム710はプリズム702に入射し2つの光ビームに分けられる。プリズムを透過する光ビーム712はそのまま光検出器720のRF信号用の受光部735で受光される。
一方、プリズム702の内部で反射された光ビームは斜面でもう一度反射され、プリズム702から出射する。しかしながら、プリズム702内で反射した光ビーム713の光検出器720までの光路長は、プリズム702を透過した光ビーム712の光検出器720までの光路長に比べて長くなる。そこで、プリズム702の下側のプリズム702内で反射した光ビームが出射する位置にはレンズ703が設けられている。このレンズ703によって、光路長の差による焦点位置を補正し、かつ非点収差を与えることで、光検出器720のフォーカス信号用の受光部730上で非点収差を持った光ビーム713を受光し、フォーカス信号を生成できるようにする。
図26(A)は、実施の形態6におけるホログラム素子701の領域分割を示す図である。ホログラム素子701の分割パターンは、実施の形態1のホログラム素子の分割パターンと同じであるので説明を省略する。
図26(B)は、実施の形態6における光検出器720の受光部の配置とプリズム702の配置とを説明するための図である。プリズム702は、その反射方向がホログラム素子701の横分割線(第1の分割線及び第2の分割線)の延長線方向と、縦分割線(第3の分割線及び第4の分割線)の接線の延長線方向とがなす角を2等分する方向となるように配置される。
プリズム702内で反射された光ビーム713はフォーカス信号検出用の4分割受光部730で受光され、ここから得られる信号からフォーカス信号が生成される。4分割受光部730は、光軸221からメイン領域受光部群73bである受光部733及び受光部734が配置されている方向と、光軸221からサブ領域受光部群73aである受光部731及び受光部732が配置されている方向とがなす角を2等分する方向に配置される。
プリズム702を透過する光はRF信号用の受光部735で受光される。受光部735から得られる信号から情報の再生の際に用いるRF信号が得られる。ホログラム素子701の各メイン領域と各サブ領域とで回折された回折光ビーム741〜744は、受光部731〜734でそれぞれ受光される。なお、0次光受光部群73cは、4分割受光部730及び受光部735を含む。
本実施の形態6によれば、実施の形態5と同様に、RF信号は1chのアンプで検出できる。独立した4つのアンプノイズを加算すると6dBだけノイズが増加する。本実施の形態6では光ビームをプリズム702で分けているため、検出する光量も下がるが、プリズム702の分離比を2:8とし、フォーカス側を2、RF側を8とすれば、信号の低下分は2dB程度となる。従って、このような構成を採用することにより、SN比で4dB改善することができる。このため、RF信号の品質が良くなり、情報を再生する際の誤り率を下げることができる。
また、本実施の形態6のように、光検出器720の直前で光ビーム710を分岐すれば、プリズム702を小さくすることができるので、プリズム702のコストを抑えることができる。また、フォーカス信号を生成するための受光部730と、RF信号を生成するための受光部735との間隔を狭くすることができるので、光検出器720が大きくならずに済み、小型化することができる。また、プリズム702の上面の斜面部を遮光しておくことで他層迷光が受光部735に入り難くすることができる。更に、プリズム702がアパーチャとして機能するため、光ビーム712と光ビーム713との他層迷光の広がりを抑えることができる。
尚、実施の形態5及び6ではプリズム602,702の下側につける素子の例としてレンズ603,703を示したが、これに限るものではなく、レンズ603,703に替えてホログラム素子(特にブレーズしたホログラム素子)又はフレネルレンズ等を設けてもよく、さらに、プリズム602,702の反射面を凹面や凸面にしてもよい。これらのいずれの場合でも、本実施の形態5及び6と同様の効果を得ることができる。
尚、実施の形態5及び6では分岐素子としてプリズム602,702を用いる例を示したが、これに限るものではなく、ホログラムや回折格子等を用いて光ビーム610,710を分岐させてもよい。
(実施の形態7)
次に、実施の形態7に係る光ヘッド装置について説明する。図27は、実施の形態7における光ヘッド装置800の構成を示す図を示す。同じ機能の構成要素には同じ符号を用い、説明を省略する。
図27において、光ヘッド装置800は、半導体レーザ101、ビームスプリッタ103、対物レンズ104、アクチュエータ107、コリメータレンズ801、ホログラム素子802、検出レンズ803及び光検出器820を備える。
光源としての半導体レーザ101から出射した光ビームは、ビームスプリッタ103で反射され、コリメータレンズ801で平行光になり、対物レンズ104に入射し、収束光となる。この収束光はトラックを有する情報記録媒体としての光ディスク201に照射される。光ディスク201の情報層202で反射及び回折された光は再び対物レンズ104及びコリメータレンズ801を通って収束光となり、ビームスプリッタ103を透過する。対物レンズ104は、アクチュエータ107により光軸方向及びトラック垂直方向に移動される。ビームスプリッタ103を透過した光ビームはホログラム素子802に入射し、一部の光が回折され、回折されない0次光810と回折される1次光811とになる。ホログラム素子802を通った光ビームは検出レンズ803で非点収差が与えられ、光検出器820に入射する。
図28(A)は、実施の形態7におけるホログラム素子802の領域分割を示す図である。図28(A)における点線804は光ディスク201の所望の情報層に対物レンズ104の焦点を結んでいる時のホログラム素子802上のビーム径と、トラックからの回折光の重なりを示す。なお、この図28(A)では、Y方向がトラックの接線方向に平行な方向であり、X方向がトラックの接線方向に垂直な方向である。
ホログラム素子802は、トラックの接線方向に略垂直な方向に沿った第1の分割線817及び第2の分割線818と、トラックの接線方向に略平行な方向に沿った第3の分割線815及び第4の分割線816と、トラックの接線方向に略平行な方向に沿った第5の分割線813及び第6の分割線814とにより複数の領域に分割される。
第1の分割線817の外側の領域は、第5の分割線813により第1の領域850と第2の領域851とに分割される。第2の分割線818の外側の領域は、第6の分割線814により第3の領域855と第4の領域856とに分割される。第1のサブ領域は、第1の領域850と第3の領域855とで構成され、第2のサブ領域は、第2の領域851と第4の領域856とで構成される。
第3の分割線815と第4の分割線816とによって、第1の分割線817と第2の分割線818との間の領域が3つに分割される。第3の分割線815の外側であり、第1の分割線817及び第2の分割線818の内側である領域が第1のメイン領域852として分割される。また、第4の分割線816の外側であり、第1の分割線817及び第2の分割線818の内側である領域が第2のメイン領域854として分割される。さらに、第1の分割線817、第2の分割線818、第3の分割線815及び第4の分割線816によって囲まれた領域が中央領域853として分割される。また、ホログラム素子802にはアパーチャ805が設けられている。
図28(B)は、実施の形態7における光検出器820の受光部の配置を示す図である。ホログラム素子802で回折されない0次光810は光軸821上の4分割受光部(0次光受光部群)830により受光される。この4分割受光部830から光量に応じて出力される信号によりフォーカス信号とRF信号とが得られる。
第1のサブ領域である第1の領域850と第3の領域855とで回折された光ビーム841は、受光部831により受光される。受光部831は、受光した光量に応じた信号を出力する。第2のサブ領域である第2の領域851と第4の領域856とで回折された光ビーム842は受光部832により受光される。受光部832は、受光した光量に応じた信号を出力する。
一方、メイン領域受光部群83bは、光軸821から第3の分割線815及び第4の分割線816の接線の延長線方向に配置される。メイン領域受光部群83bは、受光部833と受光部834とを含む。受光部833と受光部834とは、X方向に隣接して配置される。第1のメイン領域852で回折された光ビーム843は、メイン領域受光部群83bを構成する受光部の1つである受光部833により受光される。受光部833は、受光した光量に応じた信号を出力する。第2のメイン領域854で回折された光ビーム844も同様に、メイン領域受光部群83bを構成する受光部の1つである受光部834により受光される。受光部834は、受光した光量に応じた信号を出力する。
中央領域853で回折された光ビーム845と、その共役な回折光ビーム846とは、光軸821からメイン領域受光部群83bが配置されている方向とは直交する方向、すなわち、光軸821から第1の分割線817及び第2の分割線818の延長線方向へ回折される。
なお、第1のサブ領域で回折された光ビーム841を受光する受光部831は、光軸821から第1の分割線817及び第2の分割線818の延長線方向と、光軸821から第3の分割線815及び第4の分割線816の接線の延長線方向との間に配置される。また、第2のサブ領域で回折された光ビーム842を受光する受光部832は、光軸821とメイン領域受光部群83bとを結ぶ直線に対して受光部831と線対称となる位置に配置される。
図29は、実施の形態7における光検出器820と4層光ディスクの最小層間隔の迷光との関係を示す図である。図29では、光検出器820の受光部833と、第1のメイン領域852で回折された光ビーム843と、光ビーム843の他層迷光861との関係を示すとともに、受光部831と、第1の領域850及び第3の領域855で回折された光ビーム841と、光ビーム841の他層迷光862及び他層迷光863との関係を示す。
最小層間隔の関係にある2つの情報層の間で発生した他層迷光は、図示したような他層迷光を生じるが、光ビーム843は第1のメイン領域852からの回折光であるため迷光の形も第1のメイン領域852を通る光ビームと相似形となる。これが迷光861である。ここでは最小層間隔の情報層の手前側の層に焦点を合わせたときの奥側の層からの迷光861を示す。奥側の層からの迷光は光検出器より手前で焦点を結ぶような迷光となるため、ホログラム素子802を点対称で反転して写像した方向に迷光が発生する。
また、光ビーム844は、第2のメイン領域854からの光ビームであるため、迷光の形も第2のメイン領域854を通る光ビームと相似形となる。これが迷光866である。
同様に、他層迷光862及び863も光ビーム831に対して、第1の領域850と第3の領域855とを点対称で反転して写像した方向に迷光が発生する。また、中央領域853で回折された光ビーム845と、光ビーム845の共役となる光ビーム846との他層迷光は、最大層間隔の関係にある2つの情報層の間で発生した他層迷光864と他層迷光865となる。しかしながら、受光部831及び受光部832は、他層迷光864及び865と離れた位置に配置されるため、受光部831及び受光部832には迷光が入らない。
メイン領域受光部群83bの各受光部833,834は、複数の情報層のうちの光ビームが集光する情報層に隣接する2つの情報層からの迷光において、第3の分割線815の光検出器820上に投影された投影線861aと、第4の分割線816の光検出器820上に投影された投影線866aとの間に配置される。また、サブ領域受光部群83aの各受光部831,832は、複数の情報層のうちの光ビームが集光する情報層に隣接する2つの情報層からの迷光において、第1の分割線817の光検出器820上に投影された投影線862aと、第2の分割線818の光検出器820上に投影された投影線863aとの間に配置される。
図29に示したように、層間隔が比較的大きい場合にはメイン領域受光部群83bの2つの受光部833,834が迷光の発生する側に並んでいても迷光を回避することができる。更に、サブ領域受光部群83aもメイン領域受光部群83bと0次光受光部群(4分割受光部830)との間に配置することができる。このような構成でも回折光用の受光部に迷光が入らないように構成することができる。
例えば、光学系の検出系の焦点距離が13mmであり、対物レンズの焦点距離が1.3mmである場合、横倍率は10倍となる。光ディスクの最小層間隔が20μmであるとき、他層迷光の焦点は、20×10×10μmの近似計算により、2mmとなる。NA=0.85とすると対物レンズのビーム半径は1.105mmとなる。この光ビームが光検出器820の2mm手前で焦点を結ぶと、光検出器820上の他層迷光の半径は、1.105×2/(13−2)=0.200mmとなる。すなわち、光検出器820上の他層迷光の半径は約200μmとなる。
ホログラム素子802上での中央領域853の幅の光ビームに対する比率が80%であるとすると、迷光には中央部に320μmの隙間ができる。したがって、メイン領域受光部群83bの1つあたりの受光部の幅を80μmとすれば、一方の受光部の中央から隣接する受光部の端まで120μmであるが、中央部の幅は片側でも160μmある。そのため、受光部の端から迷光まで40μmの余裕がある。受光部の手前で焦点を結ぶような迷光はホログラム素子802を通るときに既にビーム径が小さくなっているため、中央領域853の割合は相対的に大きくなる。
本実施の形態7によれば、図29に示したように最小層間隔がそれほど小さくない場合には分割線の方向とある程度大きな角度をなす方向に回折される場合でも、最小層間隔の迷光のそれぞれの分割線の投影位置の間に受光部を配置することで迷光を回避することができ、本発明の効果を得ることができる。
尚、ここまでの実施の形態では、アナモルフィックレンズ法及びビームシェーパ法などのビーム整形や、液晶法、ビームエキスパンダ法及びコリメータレンズ駆動法などの球面収差補正手段や、NDフィルタの出し入れによる光量調整手段等の構成については述べなかったが、それらと組み合わせても本実施の形態で述べたような効果を同様に得ることができる。
また、ここまでの実施の形態では4層の光ディスクの場合を例に述べたが、3層の場合や、2層の場合でも層間が極端に狭い場合や極端に広い場合や、5層、6層、7層及び8層や、それ以上の層数であっても同様の効果を得ることができる。
また、実施の形態2〜6に係る光ヘッド装置を図9に示す光情報装置に適用してもよい。
尚、ここまでの実施の形態では、ホログラム素子の分割パターンの例は1種類のみを示したが、縦方向に分割する縦分割線が2本であり、横方向に分割する横分割線が2本である分割パターンであれば、上記の各実施の形態の分割パターン以外でも、同様の効果を得ることができる。特に、上記の各実施の形態では、縦分割線が曲線の例を示したが、例えば図30に示すように縦分割線(第3の分割線935及び第4の分割線936)は直線でもよい。また、上記の各実施の形態では、横分割線が直線の例を示したが、横分割線が曲線でもよい。更に、上記の各実施の形態では、横分割線で縦分割線が制限される例を示したが、図30に示すように、縦分割線が開口の端まで到達し、横分割線が縦分割線により制限されて途中で分かれていてもよい。
ここで、ホログラム素子及び光検出器の種々の変形例について説明する。
図30は、ホログラム素子の領域分割の第1の変形例を示す図である。図30に示すホログラム素子900は、第1の方向に沿った第1の分割線931及び第2の分割線932と、第1の方向に交わる第2の方向に沿った第3の分割線935及び第4の分割線936とを有している。また、第1の分割線931は、第7の分割線931a及び第8の分割線931bを含み、第2の分割線932は、第9の分割線932a及び第10の分割線932bを含む。なお、第1の方向とは、トラックの接線方向に略垂直な方向(X方向)であり、第2の方向とは、トラックの接線方向に略平行な方向(Y方向)である。
第7の分割線931aの外側であり、第3の分割線935の外側の領域は、第1の領域940として分割される。第8の分割線931bの外側であり、第4の分割線936の外側の領域は、第2の領域941として分割される。第9の分割線932aの外側であり、第3の分割線935の外側の領域は、第3の領域945として分割される。第10の分割線932bの外側であり、第4の分割線936の外側の領域は、第4の領域946として分割される。ここで、第1のサブ領域は、第1の領域940と第3の領域945とで構成され、第2のサブ領域は、第2の領域941と第4の領域946とで構成される。
また、第3の分割線935の外側であり、第7の分割線931a及び第9の分割線932aの内側である領域は、第1のメイン領域942として分割される。また、第4の分割線936の外側であり、第8の分割線931b及び第10の分割線932bの内側である領域は、第2のメイン領域944として分割される。さらに、第3の分割線935及び第4の分割線936によって囲まれた領域が中央領域943として分割される。また、ホログラム素子900にはアパーチャ937が設けられている。
上記の各実施の形態では、中央領域は縦分割線と横分割線とに接する例を示したが、図30に示すように、光軸を含み縦分割線のみに接する場合でもよい。
さらに、ホログラム素子を複数の領域に分割する分割線は、トラックの接線方向に対して所定の角度をなしていてもよい。例えば、2つの対物レンズをトラックの接線方向に配置した場合、2つの対物レンズのうち少なくとも一方は、光ヘッドを光ディスクの内周から外周へ移動させた時の移動方向の延長線が光ディスクの中心を通らない。このような移動の場合、光ディスクの内周と外周とでトラックの接線方向が変化する。この変化による影響を抑えるため、予め分割線を中周でのトラック接線方向に合わせて傾ける。例えば、2つの対物レンズの間隔が3.6mmであり、光ヘッド装置が光ディスクの半径22mmの位置から半径60mmの位置まで移動するとき、トラックの接線の角度は、9.4度から3.4度まで変化する。したがって、分割線を傾ける角度をトラック接線方向に対して6.5度とすればよい。
図31(A)〜(D)は、第2の変形例における光検出器と、4層光ディスクの最小層間隔の迷光との関係を示す図である。図31(A)は、第2の変形例におけるホログラム素子1000の領域分割を示す図である。
図31(A)における点線は、光ディスクの所望の情報層に対物レンズの焦点を結んでいる時のホログラム素子1000上のビーム径と、トラックからの回折光の重なりを示している。なお、この図31ではY方向がトラックの接線方向に平行な方向であり、X方向がトラックの接線方向に垂直な方向である。
ホログラム素子1000は、トラックの接線方向に垂直な方向に対して所定の角度だけ傾いた方向に沿った第1の分割線1001及び第2の分割線1002と、トラックの接線方向に平行な方向に対して所定の角度だけ傾いた方向に沿った第3の分割線1005、第4の分割線1006、第5の分割線1003及び第6の分割線1004とを有している。なお、第1の分割線1001及び第2の分割線1002は、トラックの接線方向に垂直な方向に対して例えば6.5度傾いており、第3の分割線1005、第4の分割線1006、第5の分割線1003及び第6の分割線1004は、トラックの接線方向に平行な方向に対して例えば6.5度傾いている。
第1の分割線1001の外側の領域は、第5の分割線1003により第1の領域1010と第2の領域1011とに分割される。第2の分割線1002の外側の領域は、第6の分割線1004により第3の領域1015と第4の領域1016とに分割される。第1のサブ領域は、第1の領域1010と第3の領域1015とで構成され、第2のサブ領域は、第2の領域1011と第4の領域1016とで構成される。
第3の分割線1005と第4の分割線1006とによって、第1の分割線1001と第2の分割線1002との間の領域が3つに分割される。第3の分割線1005の外側であり、第1の分割線1001及び第2の分割線1002の内側である領域が第1のメイン領域1012として分割される。また、第4の分割線1006の外側であり、第1の分割線1001及び第2の分割線1002の内側である領域が第2のメイン領域1014として分割される。さらに、第1の分割線1001、第2の分割線1002、第3の分割線1005及び第4の分割線1006によって囲まれた領域が中央領域1013として分割される。また、ホログラム素子1000にはアパーチャ1007が設けられている。
図31(B)は、第2の変形例における光検出器220の受光部253と、領域1012で回折された光ビーム263と、光ビーム263の他層迷光341との関係を示すとともに、受光部251と、領域1010及び領域1015で回折された光ビーム261と、光ビーム261の他層迷光342及び他層迷光343との関係を示す図である。
最小層間隔の関係にある2つの情報層の間で発生した他層迷光は、最小層間隔d4minに比例した半径R4minの大きさの他層迷光を生じるが、光ビーム263は領域1012からの光ビームであるため、迷光の形も領域1012を通る光ビームと相似形となる。これが迷光341である。この図31(B)では最小層間隔の情報層の奥側の層に焦点を合わせたときの手前側の層からの迷光を示している。手前側の層からの迷光は光検出器220よりも奥に焦点を結ぶような迷光となるため、ホログラム素子1000をそのまま写像した方向に迷光は位置する。
また、光ビーム264は、第2のメイン領域1014からの光ビームであるため、迷光の形も第2のメイン領域1014を通る光ビームと相似形となる。これが迷光347である。
同様に、光ビーム261は、領域1010及び領域1015からの光ビームであるため迷光の形も領域1010及び領域1015を通る光ビームと相似形となる。これが迷光342及び迷光343である。
一方、図31(C)では、領域1012で回折された光ビーム263を最小層間隔の情報層の手前側の層に焦点を合わせたときの奥側の層からの迷光344を示している。奥側の層からの迷光は光検出器220より手前で焦点を結ぶような迷光となるため、ホログラム素子1000を点対称で反転して写像した方向に迷光が位置する。このため、図31(C)に示すように、迷光344は迷光341とは光ビーム263に対して点対称に位置する。
また、図31(D)では、領域1010及び領域1015で回折された光ビーム261を最小層間隔の情報層の手前側の層に焦点を合わせたときの奥側の層からの迷光345及び迷光346を示している。奥側の層からの迷光は光検出器より手前で焦点を結ぶような迷光となるため、ホログラム素子1000を点対称で反転して写像した方向に迷光が位置する。このため、図31(D)に示すように、迷光345及び迷光346は、迷光342及び迷光343とは光ビーム261に対して点対称に位置する。
メイン領域受光部群25bの各受光部253,254は、複数の情報層のうちの光ビームが集光する情報層に隣接する2つの情報層からの迷光において、第3の分割線1005の光検出器220上に投影された投影線341aと、第4の分割線1006の光検出器220上に投影された投影線347aとの間に配置される。また、サブ領域受光部群25aの各受光部251,252は、複数の情報層のうちの光ビームが集光する情報層に隣接する2つの情報層からの迷光において、第1の分割線1001の光検出器220上に投影された投影線342aと、第2の分割線1002の光検出器220上に投影された投影線343aとの間に配置される。
このように、光ヘッド装置が2つの対物レンズを備える場合であっても、分割線がトラックの接線方向に対して所定の角度をなすようにホログラム素子を作成し、光ディスクの最薄層間隔の迷光のそれぞれの分割線の投影位置の間に光検出器の受光部を配置することで、本発明の効果を得ることができる。
図32(A)〜(D)は、第3の変形例における光検出器と、4層光ディスクの最小層間隔の迷光との関係を示す図である。図32(A)は、第3の変形例におけるホログラム素子1030の領域分割を示す図である。
図32(A)における点線は、光ディスクの所望の情報層に対物レンズの焦点を結んでいる時のホログラム素子1030上のビーム径と、トラックからの回折光の重なりを示している。なお、この図32ではY方向がトラックの接線方向に平行な方向であり、X方向がトラックの接線方向に垂直な方向である。
ホログラム素子1030は、トラックの接線方向に略垂直な方向に沿った第1の分割線1031及び第2の分割線1032と、トラックの接線方向に略平行な方向に伸びる第3の分割線1035及び第4の分割線1036と、トラックの接線方向に略平行な方向に沿った第5の分割線1033及び第6の分割線1034とを有している。第3の分割線1035は、曲線形状ではなく、ホログラム素子1030の中央付近で折れ曲がった形状である。また、第4の分割線1036は、ホログラム素子1030の中心を通り、トラックの接線方向に平行である直線に対して第3の分割線1035を線対称に反転させた形状である。
第1の分割線1031の外側の領域は、第5の分割線1033により第1の領域1040と第2の領域1041とに分割される。第2の分割線1032の外側の領域は、第6の分割線1034により第3の領域1045と第4の領域1046とに分割される。第1のサブ領域は、第1の領域1040と第3の領域1045とで構成され、第2のサブ領域は、第2の領域1041と第4の領域1046とで構成される。
第3の分割線1035と第4の分割線1036とによって、第1の分割線1031と第2の分割線1032との間の領域が3つに分割される。第3の分割線1035の外側であり、第1の分割線1031及び第2の分割線1032の内側である領域が第1のメイン領域1042として分割される。また、第4の分割線1036の外側であり、第1の分割線1031及び第2の分割線1032の内側である領域が第2のメイン領域1044として分割される。さらに、第1の分割線1031、第2の分割線1032、第3の分割線1035及び第4の分割線1036によって囲まれた領域が中央領域1043として分割される。また、ホログラム素子1030にはアパーチャ1037が設けられている。
図32(B)は、第3の変形例における光検出器220の受光部253と、領域1042で回折された光ビーム263と、光ビーム263の他層迷光341との関係を示すとともに、受光部251と、領域1040及び領域1045で回折された光ビーム261と、光ビーム261の他層迷光342及び他層迷光343との関係を示す図である。
最小層間隔の関係にある2つの情報層の間で発生した他層迷光は、最小層間隔d4minに比例した半径R4minの大きさの他層迷光を生じるが、光ビーム263は領域1042からの光ビームであるため、迷光の形も領域1042を通る光ビームと相似形となる。これが迷光341である。この図32(B)では最小層間隔の情報層の奥側の層に焦点を合わせたときの手前側の層からの迷光を示している。手前側の層からの迷光は光検出器220よりも奥に焦点を結ぶような迷光となるため、ホログラム素子1030をそのまま写像した方向に迷光は位置する。
また、光ビーム264は、第2のメイン領域1044からの光ビームであるため、迷光の形も第2のメイン領域1044を通る光ビームと相似形となる。これが迷光347である。
同様に、光ビーム261は、領域1040及び領域1045からの光ビームであるため迷光の形も領域1040及び領域1045を通る光ビームと相似形となる。これが迷光342及び迷光343である。
一方、図32(C)では、領域1042で回折された光ビーム263を最小層間隔の情報層の手前側の層に焦点を合わせたときの奥側の層からの迷光344を示している。奥側の層からの迷光は光検出器220より手前で焦点を結ぶような迷光となるため、ホログラム素子1030を点対称で反転して写像した方向に迷光が位置する。このため、図32(C)に示すように、迷光344は迷光341とは光ビーム263に対して点対称に位置する。
また、図32(D)では、領域1040及び領域1045で回折された光ビーム261を最小層間隔の情報層の手前側の層に焦点を合わせたときの奥側の層からの迷光345及び迷光346を示している。奥側の層からの迷光は光検出器より手前で焦点を結ぶような迷光となるため、ホログラム素子1030を点対称で反転して写像した方向に迷光が位置する。このため、図32(D)に示すように、迷光345及び迷光346は、迷光342及び迷光343とは光ビーム261に対して点対称に位置する。
メイン領域受光部群25bの各受光部253,254は、複数の情報層のうちの光ビームが集光する情報層に隣接する2つの情報層からの迷光において、第3の分割線1035の光検出器220上に投影された投影線341aと、第4の分割線1036の光検出器220上に投影された投影線347aとの間に配置される。また、サブ領域受光部群25aの各受光部251,252は、複数の情報層のうちの光ビームが集光する情報層に隣接する2つの情報層からの迷光において、第1の分割線1031の光検出器220上に投影された投影線342aと、第2の分割線1032の光検出器220上に投影された投影線343aとの間に配置される。
このように、トラックの接線方向に略平行な方向にホログラム素子1030を分割する第3の分割線1035及び第4の分割線1036が折れ線形状であってもよく、光ディスクの最薄層間隔の迷光のそれぞれの分割線の投影位置の間に光検出器の受光部を配置することで、本発明の効果を得ることができる。
図33(A)〜(D)は、第4の変形例における光検出器と、4層光ディスクの最小層間隔の迷光との関係を示す図である。図33(A)は、第4の変形例におけるホログラム素子1060の領域分割を示す図である。
図33(A)における点線は、光ディスクの所望の情報層に対物レンズの焦点を結んでいる時のホログラム素子1060上のビーム径と、トラックからの回折光の重なりを示している。なお、この図33ではY方向がトラックの接線方向に平行な方向であり、X方向がトラックの接線方向に垂直な方向である。
ホログラム素子1060は、トラックの接線方向に略垂直な方向に伸びる第1の分割線1061及び第2の分割線1062と、トラックの接線方向に略平行な方向に伸びる第3の分割線1065及び第4の分割線1066と、トラックの接線方向に略平行な方向に沿った第5の分割線1063及び第6の分割線1064とを有している。
第1の分割線1061は、直線形状ではなく、ホログラム素子1060の中央付近で折れ曲がった形状であり、第2の分割線1062は、ホログラム素子1060の中心を通り、トラックの接線方向に垂直である直線に対して第1の分割線1061を線対称に反転させた形状である。
第3の分割線1065は、曲線形状ではなく、ホログラム素子1060の中央付近の2箇所で折れ曲がった形状である。すなわち、第3の分割線1065は、トラックの接線方向に平行な直線1065aと、直線1065aの一端からトラックの接線方向に対して所定の角度で折れ曲がった直線1065bと、直線1065aの他端からトラックの接線方向に対して所定の角度で折れ曲がった直線1065cとを含む。また、第4の分割線1066は、ホログラム素子1060の中心を通り、トラックの接線方向に平行である直線に対して第3の分割線1065を線対称に反転させた形状である。
第1の分割線1061の外側の領域は、第5の分割線1063により第1の領域1070と第2の領域1071とに分割される。第2の分割線1062の外側の領域は、第6の分割線1064により第3の領域1075と第4の領域1076とに分割される。第1のサブ領域は、第1の領域1070と第3の領域1075とで構成され、第2のサブ領域は、第2の領域1071と第4の領域1076とで構成される。
第3の分割線1065と第4の分割線1066とによって、第1の分割線1061と第2の分割線1062との間の領域が3つに分割される。第3の分割線1065の外側であり、第1の分割線1061及び第2の分割線1062の内側である領域が第1のメイン領域1072として分割される。また、第4の分割線1066の外側であり、第1の分割線1061及び第2の分割線1062の内側である領域が第2のメイン領域1074として分割される。さらに、第1の分割線1061、第2の分割線1062、第3の分割線1065及び第4の分割線1066によって囲まれた領域が中央領域1073として分割される。また、ホログラム素子1060にはアパーチャ1067が設けられている。
図33(B)は、第4の変形例における光検出器220の受光部253と、領域1072で回折された光ビーム263と、光ビーム263の他層迷光341との関係を示すとともに、受光部251と、領域1070及び領域1075で回折された光ビーム261と、光ビーム261の他層迷光342及び他層迷光343との関係を示す図である。
最小層間隔の関係にある2つの情報層の間で発生した他層迷光は、最小層間隔d4minに比例した半径R4minの大きさの他層迷光を生じるが、光ビーム263は領域1072からの光ビームであるため、迷光の形も領域1072を通る光ビームと相似形となる。これが迷光341である。この図33(B)では最小層間隔の情報層の奥側の層に焦点を合わせたときの手前側の層からの迷光を示している。手前側の層からの迷光は光検出器220よりも奥に焦点を結ぶような迷光となるため、ホログラム素子1060をそのまま写像した方向に迷光は位置する。
同様に、光ビーム261は、領域1070及び領域1075からの光ビームであるため迷光の形も領域1070及び領域1075を通る光ビームと相似形となる。これが迷光342及び迷光343である。
また、光ビーム264は、第2のメイン領域1074からの光ビームであるため、迷光の形も第2のメイン領域1074を通る光ビームと相似形となる。これが迷光347である。
一方、図33(C)では、領域1072で回折された光ビーム263を最小層間隔の情報層の手前側の層に焦点を合わせたときの奥側の層からの迷光344を示している。奥側の層からの迷光は光検出器220より手前で焦点を結ぶような迷光となるため、ホログラム素子1060を点対称で反転して写像した方向に迷光が位置する。このため、図33(C)に示すように、迷光344は迷光341とは光ビーム263に対して点対称に位置する。
また、図33(D)では、領域1070及び領域1075で回折された光ビーム261を最小層間隔の情報層の手前側の層に焦点を合わせたときの奥側の層からの迷光345及び迷光346を示している。奥側の層からの迷光は光検出器より手前で焦点を結ぶような迷光となるため、ホログラム素子1060を点対称で反転して写像した方向に迷光が位置する。このため、図33(D)に示すように、迷光345及び迷光346は、迷光342及び迷光343とは光ビーム261に対して点対称に位置する。
メイン領域受光部群25bの各受光部253,254は、複数の情報層のうちの光ビームが集光する情報層に隣接する2つの情報層からの迷光において、第3の分割線1065の光検出器220上に投影された投影線341aと、第4の分割線1066の光検出器220上に投影された投影線347aとの間に配置される。また、サブ領域受光部群25aの各受光部251,252は、複数の情報層のうちの光ビームが集光する情報層に隣接する2つの情報層からの迷光において、第1の分割線1061の光検出器220上に投影された投影線342aと、第2の分割線1062の光検出器220上に投影された投影線343aとの間に配置される。
このように、トラックの接線方向に略垂直な方向にホログラム素子1060を分割する第1の分割線1061及び第2の分割線1062と、トラックの接線方向に略平行な方向にホログラム素子1060を分割する第3の分割線1065及び第4の分割線1066とが折れ線形状であってもよく、光ディスクの最薄層間隔の迷光のそれぞれの分割線の投影位置の間に光検出器の受光部を配置することで、本発明の効果を得ることができる。また、ホログラム素子1060をこのような形状に分割した場合、第1のサブ領域及び第2のサブ領域の面積を増やすことができる。
図34(A)〜(D)は、第5の変形例における光検出器と、4層光ディスクの最小層間隔の迷光との関係を示す図である。図34(A)は、第5の変形例におけるホログラム素子1090の領域分割を示す図である。
図34(A)における点線は、光ディスクの所望の情報層に対物レンズの焦点を結んでいる時のホログラム素子1090上のビーム径と、トラックからの回折光の重なりを示している。なお、この図34ではY方向がトラックの接線方向に平行な方向であり、X方向がトラックの接線方向に垂直な方向である。
ホログラム素子1090は、トラックの接線方向に略垂直な方向に沿った第1の分割線1091及び第2の分割線1092と、トラックの接線方向に平行な方向に対して所定の角度を有する方向に沿った第3の分割線1095及び第4の分割線1096と、トラックの接線方向に略平行な方向に沿った第5の分割線1093及び第6の分割線1094とを有している。
第3の分割線1095は、曲線形状ではなく、トラックの接線方向に平行な方向に対して所定の角度を有する直線形状であり、第4の分割線1036は、トラックの接線方向に平行な方向に対して第3の分割線1095と同じ角度を有する直線形状である。第3の分割線1095と第4の分割線1096とは平行である。第1の分割線1091、第2の分割線1092、第3の分割線1095及び第4の分割線1096で囲まれる領域(中央領域)は、平行四辺形となる。
第1の分割線1091の外側の領域は、第5の分割線1093により第1の領域1100と第2の領域1101とに分割される。第2の分割線1092の外側の領域は、第6の分割線1094により第3の領域1105と第4の領域1106とに分割される。第1のサブ領域は、第1の領域1100と第3の領域1105とで構成され、第2のサブ領域は、第2の領域1101と第4の領域1106とで構成される。
第3の分割線1095と第4の分割線1096とによって、第1の分割線1091と第2の分割線1092との間の領域が3つに分割される。第3の分割線1095の外側であり、第1の分割線1091及び第2の分割線1092の内側である領域が第1のメイン領域1102として分割される。また、第4の分割線1096の外側であり、第1の分割線1091及び第2の分割線1092の内側である領域が第2のメイン領域1104として分割される。さらに、第1の分割線1091、第2の分割線1092、第3の分割線1095及び第4の分割線1096によって囲まれた領域が中央領域1103として分割される。また、ホログラム素子1090にはアパーチャ1097が設けられている。
図34(B)は、第5の変形例における光検出器220の受光部253と、領域1102で回折された光ビーム263と、光ビーム263の他層迷光341との関係を示すとともに、受光部251と、領域1100及び領域1105で回折された光ビーム261と、光ビーム261の他層迷光342及び他層迷光343との関係を示す図である。
最小層間隔の関係にある2つの情報層の間で発生した他層迷光は、最小層間隔d4minに比例した半径R4minの大きさの他層迷光を生じるが、光ビーム263は領域1102からの光ビームであるため、迷光の形も領域1102を通る光ビームと相似形となる。これが迷光341である。この図34(B)では最小層間隔の情報層の奥側の層に焦点を合わせたときの手前側の層からの迷光を示している。手前側の層からの迷光は光検出器220よりも奥に焦点を結ぶような迷光となるため、ホログラム素子1090をそのまま写像した方向に迷光は位置する。
また、光ビーム264は、第2のメイン領域1104からの光ビームであるため、迷光の形も第2のメイン領域1104を通る光ビームと相似形となる。これが迷光347である。
同様に、光ビーム261は、領域1100及び領域1105からの光ビームであるため迷光の形も領域1100及び領域1105を通る光ビームと相似形となる。これが迷光342及び迷光343である。
一方、図34(C)では、領域1102で回折された光ビーム263を最小層間隔の情報層の手前側の層に焦点を合わせたときの奥側の層からの迷光344を示している。奥側の層からの迷光は光検出器220より手前で焦点を結ぶような迷光となるため、ホログラム素子1090を点対称で反転して写像した方向に迷光が位置する。このため、図34(C)に示すように、迷光344は迷光341とは光ビーム263に対して点対称に位置する。
また、図34(D)では、領域1100及び領域1105で回折された光ビーム261を最小層間隔の情報層の手前側の層に焦点を合わせたときの奥側の層からの迷光345及び迷光346を示している。奥側の層からの迷光は光検出器より手前で焦点を結ぶような迷光となるため、ホログラム素子1090を点対称で反転して写像した方向に迷光が位置する。このため、図34(D)に示すように、迷光345及び迷光346は、迷光342及び迷光343とは光ビーム261に対して点対称に位置する。
メイン領域受光部群25bの各受光部253,254は、複数の情報層のうちの光ビームが集光する情報層に隣接する2つの情報層からの迷光において、第3の分割線1095の光検出器220上に投影された投影線341aと、第4の分割線1096の光検出器220上に投影された投影線347aとの間に配置される。また、サブ領域受光部群25aの各受光部251,252は、複数の情報層のうちの光ビームが集光する情報層に隣接する2つの情報層からの迷光において、第1の分割線1091の光検出器220上に投影された投影線342aと、第2の分割線1092の光検出器220上に投影された投影線343aとの間に配置される。
このように、第1の分割線1091、第2の分割線1092、第3の分割線1095及び第4の分割線1096で囲まれる中央領域1103の形状が平行四辺形であってもよく、光ディスクの最薄層間隔の迷光のそれぞれの分割線の投影位置の間に光検出器の受光部を配置することで、本発明の効果を得ることができる。
なお、上記の第5の変形例では、中央領域1103の形状を平行四辺形としているが、本発明は特にこれに限定されず、中央領域1103の形状を台形としてもよい。
図35(A)〜(D)は、第6の変形例における光検出器と、4層光ディスクの最小層間隔の迷光との関係を示す図である。図35(A)は、第6の変形例におけるホログラム素子1120の領域分割を示す図である。
図35(A)における点線は、光ディスクの所望の情報層に対物レンズの焦点を結んでいる時のホログラム素子1120上のビーム径と、トラックからの回折光の重なりを示している。なお、この図35ではY方向がトラックの接線方向に平行な方向であり、X方向がトラックの接線方向に垂直な方向である。
ホログラム素子1120は、トラックの接線方向に略垂直な方向に伸びる第1の分割線1121及び第2の分割線1122と、トラックの接線方向に平行な方向に対して所定の角度を有する方向に沿った第3の分割線1125及び第4の分割線1126とを有している。また、第1の分割線1121は、トラックの接線方向に垂直な方向に対して所定の角度を有する方向に沿った第7の分割線1121a及び第8の分割線1121bを含み、第2の分割線1122は、トラックの接線方向に垂直な方向に対して所定の角度を有する方向に沿った第9の分割線1122a及び第10の分割線1122bを含む。
第7の分割線1121aと第8の分割線1121bとは平行ではなく、第9の分割線1122aと第10の分割線1122bとは平行ではない。第8の分割線1121bは、ホログラム素子1120の中心を通り、トラックの接線方向に平行である直線に対して第7の分割線1121aを線対称に反転させた形状である。また、第10の分割線1122bは、ホログラム素子1120の中心を通り、トラックの接線方向に平行である直線に対して第9の分割線1122aを線対称に反転させた形状である。
第3の分割線1125は、曲線形状ではなく、トラックの接線方向に平行な方向に対して所定の角度を有する直線形状であり、第4の分割線1126は、トラックの接線方向に平行な方向に対して第3の分割線1125と同じ角度を有する直線形状である。第3の分割線1125と第4の分割線1126とは平行である。第3の分割線1125、第4の分割線1126、ホログラム素子1120の上辺及びホログラム素子1120の下辺で囲まれる領域(中央領域)は、平行四辺形となる。
第7の分割線1121aの外側であり、第3の分割線1125の外側の領域は、第1の領域1130として分割される。第8の分割線1121bの外側であり、第4の分割線1126の外側の領域は、第2の領域1131として分割される。第9の分割線1122aの外側であり、第3の分割線1125の外側の領域は、第3の領域1135として分割される。第10の分割線1122bの外側であり、第4の分割線1126の外側の領域は、第4の領域1136として分割される。ここで、第1のサブ領域は、第1の領域1130と第3の領域1135とで構成され、第2のサブ領域は、第2の領域1131と第4の領域1136とで構成される。
また、第3の分割線1125の外側であり、第7の分割線1121a及び第9の分割線1122aの内側である領域は、第1のメイン領域1132として分割される。また、第4の分割線1126の外側であり、第8の分割線1121b及び第10の分割線1122bの内側である領域は、第2のメイン領域1134として分割される。さらに、第3の分割線1125及び第4の分割線1126によって囲まれた領域が中央領域1133として分割される。また、ホログラム素子1120にはアパーチャ1127が設けられている。
図35(B)は、第6の変形例における光検出器220の受光部253と、領域1132で回折された光ビーム263と、光ビーム263の他層迷光341との関係を示すとともに、受光部251と、領域1130及び領域1135で回折された光ビーム261と、光ビーム261の他層迷光342及び他層迷光343との関係を示す図である。
最小層間隔の関係にある2つの情報層の間で発生した他層迷光は、最小層間隔d4minに比例した半径R4minの大きさの他層迷光を生じるが、光ビーム263は領域1132からの光ビームであるため、迷光の形も領域1132を通る光ビームと相似形となる。これが迷光341である。この図35(B)では、最小層間隔の情報層の奥側の層に焦点を合わせたときの手前側の層からの迷光を示している。手前側の層からの迷光は光検出器220よりも奥に焦点を結ぶような迷光となるため、ホログラム素子1120をそのまま写像した方向に迷光は位置する。
また、光ビーム264は、第2のメイン領域1134からの光ビームであるため、迷光の形も第2のメイン領域1134を通る光ビームと相似形となる。これが迷光347である。
同様に、光ビーム261は、領域1130及び領域1135からの光ビームであるため迷光の形も領域1130及び領域1135を通る光ビームと相似形となる。これが迷光342及び迷光343である。
一方、図35(C)では、領域1132で回折された光ビーム263を最小層間隔の情報層の手前側の層に焦点を合わせたときの奥側の層からの迷光344を示している。奥側の層からの迷光は光検出器220より手前で焦点を結ぶような迷光となるため、ホログラム素子1120を点対称で反転して写像した方向に迷光が位置する。このため、図35(C)に示すように、迷光344は迷光341とは光ビーム263に対して点対称に位置する。
また、図35(D)では、領域1130及び領域1135で回折された光ビーム261を最小層間隔の情報層の手前側の層に焦点を合わせたときの奥側の層からの迷光345及び迷光346を示している。奥側の層からの迷光は光検出器より手前で焦点を結ぶような迷光となるため、ホログラム素子1120を点対称で反転して写像した方向に迷光が位置する。このため、図35(D)に示すように、迷光345及び迷光346は、迷光342及び迷光343とは光ビーム261に対して点対称に位置する。
メイン領域受光部群25bの各受光部253,254は、複数の情報層のうちの光ビームが集光する情報層に隣接する2つの情報層からの迷光において、第3の分割線1125の光検出器220上に投影された投影線341aと、第4の分割線1126の光検出器220上に投影された投影線347aとの間に配置される。また、サブ領域受光部群25aの各受光部251,252は、複数の情報層のうちの光ビームが集光する情報層に隣接する2つの情報層からの迷光において、第1の分割線1121(第7の分割線1121a)の光検出器220上に投影された投影線342aと、第2の分割線1122(第9の分割線1122a)の光検出器220上に投影された投影線343aとの間に配置される。
このように、第1のサブ領域及び第2のサブ領域が中央領域によって分断され、第1のサブ領域及び第2のサブ領域を分割する分割線が繋がっていなくてもよく、第1〜4の分割線1121〜1126がトラックの接線方向に垂直及び平行でなくてもよい。光ディスクの最薄層間隔の迷光のそれぞれの分割線の投影位置の間に光検出器の受光部を配置することで、本発明の効果を得ることができる。