JP2008132126A - 細胞移植用部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、細胞のパターン培養や機能の発現等の機能化を可能とし、かつ機能化された細胞を、被移植体と拒絶反応を起こすことなく移植することが可能な細胞移植用部材、およびその細胞移植用部材を用いた細胞移植用具を提供することを主目的としている。
【解決手段】本発明は、少なくとも片面に細胞機能化層を有する細胞培養基材からなる細胞培養膜と、細胞培養時および細胞移植時において、上記細胞培養膜の平坦性を維持する固定部と、からなる細胞移植用部材であって、上記細胞培養膜および上記固定部は、生体適合性材料からなることを特徴とする細胞移植用部材を提供することにより上記課題を解決するものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、細胞の加工や移植等に用いられ、細胞活性を維持したまま移植可能とする細胞移植用部材、およびその細胞移植用部材を用いた細胞移植用具に関するものである。
近年、科学の発達とともに医学の飛躍的な発展によって、現在はほとんど全ての臓器を移植できる水準にまで至った。このような臓器移植技術の発達が人類の健康増進には非常に重要な役割を果たすが、臓器提供数の慢性的不足、臓器移植手術の技術的な難しさ、高コストおよび免疫抑制剤の使用による副作用などの問題から全人類が恩恵を受けるには限界がある。このような状況下で、人工的に生体組織または臓器を作成する方法などを研究する組織工学(Tissue Engineering)などが発展し、その研究成果として、種々の高分子材料から作製された足場において、生体組織由来の細胞を分化、増殖させて必要な組織、臓器を作成する方法が提案されている。
このような材料としては、例えば、高分子ゲルを用いるものが提案されている。高分子材料として高分子ゲルを用い、上記高分子ゲルを立体的な形状とすることで、細胞を立体的に培養可能であることがわかったが、立体的な高分子ゲル内部において培養される細胞を、均一に培養し、移植に用いることは困難であった。これに対して、羊膜等の生体由来の生体適合材料等からなる膜上においては、細胞を均一なシート状に培養することが可能である。ところが、このような膜を用いたものは、膜の平滑性を維持するために、培養容器に取り付けが必要であったり、培養した細胞を加工するために他の培養容器へ移し変える際、あるいは生体組織等への移植のために培養容器から取り出す際に、膜の変形・破断等が発生するため、培養した細胞の利用が困難であった。そこで特許文献1においては、上記膜を固定する装置を提案することにより、上記膜を用いた細胞培養を容易とする方法が提案されている。
この方法によれば、細胞をシート状に培養することで、表皮などの移植等に用いることができるが、移植に必要とされる細胞は、表皮などのシート状のものだけでなく、例えば、血管等の脈管網や神経網等のパターン状に培養したものや、細胞を単に培養し、集合させたものではなく、それぞれの移植先において、必要とされる機能を発現できるように培養したものが要求される。しかしながら、このように細胞をパターン化、機能を発現することができ、かつそのパターンおよび機能を維持したまま移植に用いることができる移植用部材の提供を課題とした先行文献は発見されていない。
特開2005−348736号公報
そこで、本発明は、細胞のパターン培養や機能の発現等の機能化を可能とし、かつ機能化された細胞を、被移植体と拒絶反応を起こすことなく移植することが可能な細胞移植用部材、およびその細胞移植用部材を用いた細胞移植用具を提供することを主目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明は、少なくとも片面に細胞機能化層を有する細胞培養基材からなる細胞培養膜と、細胞培養時および細胞移植時において、上記細胞培養膜の平坦性を維持する固定部と、からなる細胞移植用部材であって、上記細胞培養膜および上記固定部は、生体適合性材料からなることを特徴とする細胞移植用部材を提供する。
本発明によれば、上記細胞機能化層を有していることにより、細胞を機能化するように培養し、移植することが可能となる。また、上記細胞培養膜が固定部により固定されていることにより、上記細胞培養膜は、細胞培養容器からの取り出しの際に、変形・破断を起こすことなく取り出すことができる。さらに、上記細胞培養膜および上記固定部が生体適合性材料からなることにより、生体組織や人工的に培養・作製した細胞組織等の被移植体と過度の炎症反応や望ましくない細胞死を起こすことなく移植を可能とすることができる。
上記発明においては、上記細胞機能化層が、細胞をパターン状に培養可能なパターン培養機能を有することが好ましい。上記細胞機能化層上において、血管やリンパ管等の脈管網や神経網等の細胞をパターン状に培養できることで、例えば、培養した細胞組織等にパターン状に培養された血管細胞を、生体組織や人工的に培養・作製した細胞組織等の被移植体に、移植することにより、被移植体への栄養分等の供給や、老廃物の排出等が可能なものとすることができる。したがって、被移植体が、所望の機能を恒常的に維持することが可能となる。
また、上記発明においては、上記細胞培養膜および上記固定部が生体吸収性材料からなることが好ましい。上記細胞培養膜および上記固定部は、移植後の組織再生の過程において最終的には不要な物質だからである。上記生体吸収性材料は、吸収されない生体適合性材料に比べると、生体組織や人工的に培養・作製した細胞組織等の被移植体内に移植した後に、上記被移植体内において、分解劣化し消失し、被移植体の細胞組織に過度に異物として認識されることが少なく、また、細胞組織の増殖等を阻害することが少ないという利点を有する。
またさらに、上記発明においては、上記固定部と脱着可能であり、かつ細胞培養時において、前記細胞培養膜が培養容器内壁と接触しないことを可能とする支持部を有することが好ましい。例えば、細胞培養時においてフィーダー細胞を用いて共培養する必要がある場合に、フィーダー細胞が、上記細胞培養膜上において培養する細胞と、コンタミネーションするといった問題を防ぐことができ、さらに上記細胞培養膜上で培養した細胞を、被移植体に移植する際には、上記支持部を取り外すことで、被移植体に接触し損傷を与えるなどの障害を起こすことなく移植を実施できるからである。
本発明は、上記細胞移植用部材と、培養プレートとからなる細胞移植キットであって、上記細胞培養膜が上記培養プレート内壁と接触しないことを特徴とする細胞移植キットを提供する。
本発明によれば、上記本発明の細胞移植用部材の上記細胞培養膜と、上記培養プレート内壁とが接触しないことにより、上記細胞培養膜上において細胞を、振動等がない安定な条件下で培養することができる。また上記細胞培養膜上と上記培養プレートの内壁とで細胞を培養する場合においては、上記細胞培養膜上で培養する細胞に、上記培養プレートの内壁で培養する細胞がコンタミネーションすることなく、上記細胞培養膜上、および上記培養プレート内壁において細胞を共培養することができる。
本発明は、上記本発明の細胞移植用部材の上記細胞培養膜の少なくとも片面に形成された上記細胞機能化層上に、細胞が接着していることを特徴とする細胞移植用具を提供する。
本発明によれば、上記細胞培養膜が平坦性を維持するように固定されていることから、この細胞培養膜上において安定に培養することができ、また培養された細胞は、移植時においては、パターンや機能を損なうことなく移植することができる。
本発明は、上記細胞転移植用具を用いることを特徴とする細胞組織の製造方法を提供する。
本発明によれば、上記細胞移植用具は細胞の培養パターンや、発現させた機能等を維持した状態で移植することができることにより、パターン培養された細胞や、機能を維持した細胞等を組み合わせた細胞組織を容易に製造可能とすることができる。
本発明は、細胞のパターン培養や機能の発現等の機能化を可能とし、かつ機能化された細胞を、被移植体と拒絶反応を起こすことなく移植することが可能な細胞移植用部材、およびその細胞移植用部材を用いた細胞移植用具を提供するといった効果を奏する。
本発明は、細胞のパターン培養や機能の発現等の機能化を可能とし、かつ機能化された細胞を、被移植体と拒絶反応や望ましくない過度の炎症反応を起こすことなく移植することが可能な細胞移植用部材と、その細胞移植用部材を用いた細胞移植用具および細胞移植キット、およびその細胞移植用具を用いた細胞組織の製造方法に関するものである。以下、本発明の細胞移植用部材、細胞移植キット、細胞移植用具、細胞組織の製造方法について詳細に説明する。
A.細胞移植用部材
まず、本発明の細胞移植用部材について説明する。本発明の細胞移植用部材は、少なくとも片面に細胞機能化層を有する細胞培養基材からなる細胞培養膜と、細胞培養時および細胞移植時において、上記細胞培養膜の平坦性を維持する固定部と、からなる細胞移植用部材であって、上記細胞培養膜および上記固定部は、生体適合性材料からなることを特徴とするものである。
次に、本発明の細胞移植用部材について図を参照しながら説明する。図1は、本発明の細胞移植用部材の一例を示す概略図である。図1に示すように、本発明の細胞移植用部材10は、細胞培養基材1と、上記細胞培養基材1上に形成された細胞機能化層2と、からなる細胞培養膜3と、上記細胞培養膜3を固定する固定部4と、からなるものである。
本発明の細胞移植用部材は、上記細胞機能化層を有していることにより、細胞を機能化するように培養し、移植することを可能とすることができる。また、上記細胞培養膜が上記固定部により固定されていることにより、上記細胞培養膜は、細胞培養容器からの取り出しの際に、変形・破断を起こすことなく取り出すことができる。さらに、上記細胞培養膜および上記固定部が生体適合性材料からなることにより、移植先の細胞・組織等と拒絶反応や望ましくない過度の炎症反応を起こすことなく移植を可能とすることができる。ここで、生体適合性とは、生体組織、細胞と接触した際に、異物として認識されにくい性質を有するものである。したがって、生体適合性材料からなる細胞培養膜および固定部によって構成される細胞移植用部材は、生体組織や人工的に培養・作製した細胞組織等の被移植体との拒絶反応や望ましくない過度の炎症反応や血栓形成を抑えることができる。本発明に用いられる生体適合性材料としては、上記生体適合性を有するものであれば、特に限定されるものではない。
本発明の細胞移植用部材は、細胞培養膜と、固定部と、からなるものである。以下、本発明の細胞移植用部材の各構成について詳細に説明する。
1.細胞培養膜
まず、本発明の細胞移植用部材に用いられる細胞培養膜について説明する。本発明に用いられる細胞培養膜は、少なくとも片面に細胞機能化層を有する細胞培養基材からなるものであり、かつ生体適合性材料からなるものである。
(1)細胞機能化層
本発明に用いられる細胞培養膜における細胞機能化層について説明する。本発明に用いられる細胞機能化層は、上記細胞培養基材上に形成され、生体組織等への移植に際して必要な機能を細胞に付与することを可能とするものであり、かつ生体適合性材料からなるものであれば、特に限定されるものではない。
このような細胞機能化層に用いられる生体適合性材料としては、例えば、コラーゲン、フィブリン、ゼラチン、アルブミン、デンプン、ヒアルロン酸、キチン、デキストラン、ポリ−β−ヒドロキシブチレート、核酸(DNA、RNA)などの天然高分子材料や、ポリグルタミン酸などのポリペプチド、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリリンゴ酸、ポリラクトンなどのポリエステル、ポリ(オキシカルボニルオキシエチレン)などのポリカーボネート、ポリオルソエステル、ポリ−α−シアノアクリレート、ポリホスファゼン、ポリリン酸塩エステル、シリコーン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルフォン、セグメント化ポリウレタン、ハイドロキシエチルメタクリレート(HEMA)−スチレン−HEMAトリブロック共重合体などの合成高分子材料を用いることが出来る。また、親水性の高分子材料も用いることができる。例えば、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)等の感温性高分子や、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体等のポリアルキレングリコールおよびその誘導体、オリゴエチレングリコールメタクリレート-メタクリル酸共重合体、リン脂質極性基を有するMPCポリマー(商品名)等の両性イオン高分子等を挙げることができる。
本発明においては、上記生体適合性材料のなかでも、生体吸収性材料からなるものであることが好ましい。ここで、生体吸収性とは、生体内で酵素的、あるいは非酵素的に分解劣化を受け、その分解生成物が体液に溶け、代謝あるいは排泄される性質のことである。したがって、生体組織や人工的に培養・作製した細胞組織等の被移植体に、移植した後に、上記被移植体内において、分解劣化し消失し、生体組織に異物として認識されることが少なく、望ましくない過度の炎症を惹起することが少なく、また、細胞組織の増殖等を阻害することが少ないからである。上述した生体適合性材料において、生体吸収性を有するものとしては、コラーゲン、フィブリン、ゼラチン、アルブミン、デンプン、ヒアルロン酸、キチン、デキストラン、ポリ−β−ヒドロキシブチレート、核酸(DNA、RNA)などの天然高分子材料や、ポリグルタミン酸などのポリペプチド、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリリンゴ酸、ポリラクトンなどのポリエステル、ポリ(オキシカルボニルオキシエチレン)などのポリカーボネート、ポリオルソエステル、ポリ−α−シアノアクリレート、ポリホスファゼン、ポリリン酸塩エステルなどの合成高分子材料を挙げることができる。
本発明に用いられる細胞機能化層は、生体組織等への移植に際して必要な機能を細胞に付与できることを可能とするものである。ここで付与される機能としては、移植に際して必要なものであれば特に限定されるものではないが、例えば、細胞をパターン状に培養可能なパターン培養機能、正常に細胞を増殖させる機能、所望の機能発現させる機能、所望の分化を誘導する機能等、を挙げることができる。
本発明においては、なかでも、細胞をパターン状に培養可能なパターン培養機能を有することが好ましい。上記細胞機能化層がパターン培養機能を有することにより、血管やリンパ管等の脈管網や神経網等の細胞をパターン状に培養できることで、例えば、培養した細胞組織等にパターン状に培養された血管細胞を、生体組織や人工的に培養・作製した細胞組織等の被移植体に、移植することにより、栄養分等の供給や、老廃物の排出等が可能な被移植体とすることができる。したがって、被移植体を、所望の機能を恒常的に維持することが可能なものとすることができるからである。
また、パターンの種類は、二次元のパターンであれば特に制限されず、例えば、ライン状、ツリー状(樹状)、網目状、格子状、円形、四角形のパターン、円形及び四角形等の図形の内部全体に細胞が配置されるパターンなどを形成することができる。
このようなパターン培養機能を付与する方法としては、例えば、図2に示すように、細胞機能化層2が、細胞との接着性を有する細胞接着領域2aと細胞接着性を有しない細胞接着阻害領域2bとからなるものとする方法が挙げられる。細胞機能化層が、細胞接着領域と細胞接着阻害領域とを有する場合、細胞接着領域上にのみ細胞を接着させて培養することが可能となり、パターン状に細胞を移植することが可能となる。
上記細胞機能化層にパターン培養機能を付与するために、細胞接着領域および細胞接着阻害領域を形成する方法としては、特に限定されるものでないが、例えば、水との接触角を調整する接触角調整法、水和能を調整する水和能調整法、細胞と結合することができるバインダー物質をパターン状に付与するバインダー付与法、表面の凹凸形状により調整する形状調整法等を挙げることができる。
上記接触角調整法としては、細胞接着領域および細胞接着阻害領域の水との接触角を異なるように設定することによりパターン培養機能を付与するものである。ここで、細胞を培養し、かつ移植するために用いられる細胞接着領域は、移植する細胞の種類等により適宜選択されるものであるが、通常、細胞機能化層表面の水との接触角が10°〜60°程度の領域、中でも15°〜55°の範囲内の領域とされていることが好ましい。このような水との接触角を有するものとすることにより、細胞を細胞機能化層上に接着させて培養し、活性なまま被移植体に移植することができるからである。また上記範囲より水との接触角が大きい場合には、細胞を細胞機能化層上に接着させることは可能であるが、上記細胞機能化層との接着性が高いことで、移植後において、上記本発明の細胞移植用部材が生体吸収性材料からなる場合に、上記細胞移植用部材の分解等に長時間要したり、被移植体の細胞組織との融着・一体化に時間を要するといった弊害を生じる恐れがある。また上記範囲より水との接触角が小さい場合には、細胞を細胞機能化層上に接着させることが困難となるからである。なお、細胞を接着するパターンの幅が1mm以下のラインやドットである場合等には、特に上記細胞接着領域表面の水との接触角が、10°〜45°の範囲内、中でも15°〜35°の範囲内とされていることが好ましい。このような範囲内とすることにより、高精細なパターン状に細胞を移植することが可能となるからである。
上記細胞機能化層に、上記細胞接着領域と、上記細胞接着阻害領域とを形成する方法としては、例えば細胞と接着阻害性を有する層を形成した後、細胞接着領域とする部分のみ水との接触角を変化させる方法や、細胞接着性を有する層を形成した後、細胞接着阻害領域とする部分のみの水との接触角を変化させる方法等が挙げられる。例えば上述したような材料を用いて細胞機能化層を形成した後、細胞接着領域とする部分のみ、もしくは細胞接着阻害領域とする部分のみ、水との接触角を低下させる方法や、上述したような材料を用いて細胞機能化層を形成した後、細胞接着領域とする部分のみ、もしくは細胞接着阻害領域とする部分のみ水との接触角を高くする方法等が挙げられる。
上述したような細胞機能化層の水との接触角を大きいものとする方法としては、例えば細胞機能化層表面に微細な凹凸を形成する方法等が挙げられ、例えば、資料ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス、パート2、32巻、L614〜L615、1993年 Ogawaら、に開示されている方法や、資料ラングミュア、19巻、10624〜10627、2003年 Teshimaら、に開示されている方法を用いることができる。
また、上記細胞機能化層の水との接触角を小さくする方法としては、例えばエネルギー照射に伴う光触媒の作用を利用し、撥液性を有する基を分解または変性させる方法や、熱照射、紫外光照射、電子線照射等により撥液性を有する基を分解または変性させる方法等が挙げられる。上述したように、細胞機能化層中に光触媒が含有されている場合には、この細胞機能化層中の光触媒の作用を利用して、細胞機能化層との水との接触角を低下させることができる。また、細胞機能化層中に光触媒が含有されていない場合には、例えば特開2001−249219号公報に記載されている光触媒を用いたパターニング方法や、特開2003−222626号公報に記載されている光触媒を用いたパターニング方法等を用いて、細胞機能化層の水との接触角を低下させることができる。また、熱照射や紫外光照射、電子線照射等によるパターニングは、これらのエネルギーを用いてパターニングする一般的な方法と同様とすることができるので、ここでの詳しい説明は省略する。
上記水和能調整法としては、細胞接着領域および細胞接着阻害領域の水との水和能が異なるように設定することによりパターン培養機能を付与するものである。ここで、細胞接着領域は、転写する細胞の種類等により適宜選択されるものであるが、水和能の小さい材料により形成し、細胞接着阻害領域は水和能の高い材料を用いて形成される。水和能の高い材料を用いることにより、材料の周りに水分子が集まった水和層が形成される。このような水和能の高い物質は水分子との親和性の方が細胞との親和性より高いことから、細胞が上記水和能の高い材料と接着することができず、細胞接着阻害領域となるのである。ここで、上記水和能とは、水分子と水和する性質をいい、水和能が高いとは、水分子と水和しやすいことをいうこととする。
また、上記細胞機能化層の細胞接着領域としたい部分の水和能を小さくする方法としては、例えば、上記接触角の調整に用いたものと同様に光触媒の作用を用いる方法や、熱照射、紫外光照射、電子線照射等により水和能を有する基を分解または変性させる方法等が挙げることができる。
上記バインダー付与法としては、通常は、バインダー物質を付与された領域が細胞接着領域として機能し、バインダー物質が付与されていない領域が細胞接着阻害領域として機能することになる。このようなパターニング方法としては、例えば、細胞機能化層の全面に細胞接着阻害領域を形成した後、所望のパターン状にバインダー物質を付与してもよく、細胞機能化層の全面にバインダー物質を付与した後、上記接触角の調整に用いたものと同様に光触媒の作用を用いる方法や、熱照射、紫外光照射、電子線照射等によりバインダー物質を分解または変性させる方法、インクジェット法によりバインダー物質を付与する方法等を挙げることができる。
ここでバインダー物質としては、細胞と結合できるものであれば特に限定されないが、例えば、細胞表面に発現しているレセプターと結合可能な糖鎖、蛋白質等を挙げることができる。本発明においては、なかでも細胞特異的に発現しているレセプターと特異的結合をすることができるバインダー物質を用いることが好ましい。このような細胞特異的結合を行うバインダー物質を上記細胞機能化層上にパターニングすることで、例えば、同一細胞機能化層上に、二以上の異なる細胞が混ざることなくパターニングすることを可能とするからである。
上記形状調整法としては、後述するように細胞機能化層が形成される細胞培養基材表面に凹凸形状を付与して、例えば上記凸部上にのみ、もしくは凹部上にのみ細胞機能化層を形成して高精細なパターン状に細胞を培養し、転写することが可能となる。
本発明においては、上記パターン培養機能は、上述した1種類の方法によって形成したものであっても良く、また2種類以上の方法を組み合わせたものであってもよい。
また、本発明に用いられる細胞機能化層は、正常に細胞を増殖させる機能、所望の機能発現させる機能、所望の分化を誘導する機能等の細胞調節機能を有するものであっても良い。このような細胞調節機能を付与する方法としては、被移植体へ移植した際に被移植体側に影響を及ぼさないものであれば特に限定されるものではなく、例えば、後述する細胞培養基材の表面に生理活性物質を付与する方法が挙げられる。ここで、生理活性物質とは、何らかの生物学的機能を有する物質のことで、例えば、抗体、接着分子、サイトカイン、成長因子、酵素阻害剤やレセプターに限らず、アミノ酸、オリゴペプチド、ポリペプチド、蛋白質、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、糖蛋白質、単糖類、多糖類、及びビタミン類など低分子物質から高分子物質までの種々の物質を用いることができる。本発明においては、上記生理活性物質のいずれを用いてもよく、必要とする機能に応じて適宜選択することができる。また、本発明においては、上記生理活性物質の1種類を用いるものであっても良く、2種類以上を組み合わせても良い。
また、このような生理活性物質は、いずれも生体吸収性を有するものであり、被移植体へ移植した後に、上記被移植体内において分解劣化された後消失し、被移植体の細胞組織に異物として認識されることが少なく、望ましくない過度の炎症を惹起することが少なく、また細胞組織の増殖等を阻害するといった恐れが少ないものである。また生体吸収性を有するものであるため、上記生理活性物質は、当然に生体適合性を有するものである。
さらに、本発明においては、細胞機能化層が細胞を移植する際、細胞が被移植体の細胞組織と接着し、一体化することを促進する細胞移植補助機能を有してもよい。このような細胞移植補助機能を有していることにより、移植後の細胞をより効率よく被移植体側の細胞組織と一体化させることが可能となるからである。このような細胞移植補助機能を付与する方法としては、上記細胞機能化層に被移植体の細胞組織との接着を促進する物質を付与する方法が挙げられる。このような細胞移植補助機能を有する物質としては、被移植体側に影響を及ぼさないものが選択され、例えばコラーゲン等のポリペプチドや、ヒアルロン酸等の多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、アルギン酸、ポリビニルアルコール、ポリリジン等が挙げられる。また上記細胞機能化層中には、カルシウムイオンやマグネシウムイオン等の金属イオンが含まれていてもよい。
このような細胞移植補助機能を有する物質は、いずれも生体吸収性を有するものであり、被移植体に、移植した後に、上記被移植体内において、分解劣化し消失するため、被移植体の細胞組織に異物として認識されることがなく、また、細胞組織の増殖等を阻害するといった恐れがないものである。また生体吸収性を有するものであるため、上記細胞移植補助機能を有する物質は、当然に生体適合性を有するものである。
本発明に用いられる細胞機能化層は、1種の機能を有するものであってもよく、また2種以上を組み合わせたものを用いてもよい。
上記細胞機能化層の形成方法としては、上記細胞機能化層の種類や、細胞移植用部材の形状等に合わせて適宜選択されるものであるが、通常ロールコート法、スピンコート法、ダイコート法、ビードコート法等の湿式コーティング法や、吸着法、交互吸着法、ソフトリソグラフィー法等を用いることができる。
ここで、上述したような細胞機能化層の膜厚としては、上記細胞機能化層の種類等により適宜選択されるものであるが、通常1nm〜1000nmの範囲であり、好ましくは1.5nm〜750nmの範囲が好ましく、中でも20nm〜500nmの範囲が好ましい。上記細胞機能化層の厚みを上記範囲内とすることにより、細胞を安定して培養し、移植することが可能となるからである。
(2)細胞培養基材
本発明に用いられる細胞培養膜における細胞培養基材について説明する。本発明に用いられる細胞培養基材は、上記細胞機能化層を均一に形成可能であり、かつ公知の方法で滅菌できることが可能なものであり、さらに生体適合性材料からなるものであれば特に限定されるものではない。公知の滅菌方法としては、例えばγ線を照射して滅菌する方法、紫外光を照射して滅菌する方法、電子線を照射して滅菌する方法、オートクレーブにより滅菌する方法、アルコールにより滅菌する方法、エチレンオキサイドガスにより滅菌する方法等が挙げられる。
本発明において、上記細胞培養基材に用いられる材料としては、生体適合性材料が用いられ、なかでも、生体吸収性材料であることが好ましい。被移植体内において、分解劣化し消失し、生体組織に異物として認識されることが少なく、望ましくない過度の炎症を惹起することが少なく、また、細胞組織の増殖等を阻害することが少ないからである。本発明においては、上記細胞培養基材の材料として用いられる生体適合性材料および生体吸収性材料として、上記「(1)細胞機能化層」に記載した内容と同様のものを用いることができる。
ここで、上述した細胞培養基材の厚みは、選択する材料によって異なるが、1μm〜250μmの範囲が好ましく、なかでも5μm〜200μmの範囲であることが好ましい。上記細胞培養基材の厚みが、上記範囲より薄い場合には、柔軟性が非常に高いため、取り扱いが非常に難しくなったり、強度が不足し、簡単に裂けたり破れたりする場合があるからである。また上記範囲より厚みが厚い場合には、移植後の組織再生を阻害したり、上記細胞培養基材が生体吸収性材料からなるものであったとしても、分解されるまでに非常に長い時間が必要になるからである。
本発明に用いられる細胞培養基材は、微細な多孔質構造であってもよい。上記細胞培養基材が、微細な多孔質構造であることにより上記細胞培養膜に接着した細胞は、上記細胞培養膜の、細胞が接着した面側から、所望の機能を得るのに必要な因子等の供給を受けることができる。これにより、例えば上皮細胞のように、細胞の表裏で機能の異なる細胞を培養することが可能となるからである。
また、細胞移植操作時に、培養液や酸素が全ての細胞に均一に行き渡らせるという効果もある。
本発明に用いられる細胞培養基材が多孔質構造である場合においては、上記多孔質構造を構成する孔の平均の大きさは細胞の種類に依存するが、通常0.1μm〜3.5μmであることが好ましく、特に0.2μm〜1.5μmであることがさらに好ましい。上記多孔質構造を構成する孔の大きさが0.1μm未満だと栄養や液性因子などの培養細胞への供給効率が悪くなるからである。また上記多孔質構造を構成する孔の大きさが3.5μmを超えると孔の中や細胞培養基材の裏面まで培養細胞が接着する割合が増し、上記細胞培養膜の両面において異なる細胞を培養したり、所望のパターンに培養することができなくなるからである。
本発明において、上記細胞培養基材を、このような微細な多孔質構造とする方法としては、例えば、上述した生体適合性材料、生体吸収性材料を繊維に加工したものを不織布としたものや、フィルムに微細な貫通孔を設ける方法を挙げることができる。
また、本発明に用いられる細胞培養基材は、例えば図3に示すように、上記細胞培養基材1は細胞機能化層2が形成されるパターン状に凹部や凸部が形成されたものであってもよい。この場合、上記凸部上にのみ、もしくは凹部上にのみ細胞機能化層を形成して高精細なパターン状に細胞を培養することが可能となる。このような凹部や凸部の幅としては、通常10μm〜500μm程度、中でも20μm〜200μm程度とすることができる。また、上記凹部や凸部の高さとしては、0.1μm〜100μm程度、中でも0.2μm〜20μm程度とすることができる。本発明において上記細胞培養基材の凹凸を上記範囲に規定したのは、上記範囲より大きいと、上記細胞培養基材の凹部の厚みが薄くなりすぎることにより強度が不足し、簡単に裂けたり破れたりする場合があるからである。
(3)細胞培養膜
本発明に用いられる細胞培養膜は、上記細胞培養基材と、上記細胞培養基材の少なくとも片面に形成された細胞機能化層とからなるものであり、かつ生体適合性材料からなるものである。
本発明に用いられる細胞培養膜は、上記細胞培養基材と、上記細胞培養基材の少なくとも片面に形成された細胞機能化層とからなるものであり、かつ生体適合性材料からなるものであれば、特に限定されるものではなく、上記細胞機能化層を両面に有する構成であってもよい。これにより細胞培養膜の両面にパターン状に細胞を培養し移植することや、片面はパターン状に培養した細胞とし、片面には、所望の機能を付与した細胞としたものを移植に用いることもできる。このような構成は、上記細胞移植用部材の用途により適宜選択されるものである。
本発明において、上記細胞培養膜の形状およびサイズは、特に限定されるものではなく、本発明の細胞移植用部材の用途に応じて選択することができる。
また、細胞培養膜上で効率よく細胞培養(接着)をさせるために、上記細胞機能化層表面に細胞が接着するまでの間、細胞機能化層と密着し適当な高さを有するリング状の囲いで囲ってもよい。囲いの形状は特に限定されないが、O−リング状が好ましい。このような囲いの材質としては、公知の方法で滅菌できるものであれば特に限定されないが、例えば、シリコーン樹脂製であることが好ましい。シリコーン樹脂は、上記細胞機能化層に対する密着性がよいからである。また、上記囲いの高さは、用いる培地の量に応じて選択することができるが、2mm〜20mm程度が好ましい。
2.固定部
次に、本発明の細胞移植用部材に用いられる固定部について説明する。本発明に用いられる固定部は、上記細胞培養膜を固定し、細胞培養時においては、上記細胞培養膜の平坦性を維持し、細胞培養容器からの取り出しの際には、上記細胞培養膜を、変形・破断を起こすことなく取り出すことができ、かつ生体適合性材料からなるものであれば、特に限定されるものではない。
このような固定部としては、図4に示すように、上記細胞培養膜のいずれかの面側に接続したリング状のもの、図5に示すように上記細胞培養膜のいずれかの面側に張り合わせたシート状のもの、図6に示すように、固定部4を、上側固定部4aと下側固定部4bとからなる分割可能な部材とし、上記上側固定部4aと上記下側固定部4bとの間に上記細胞培養膜3を配置し、上記上側固定部4aと上記下側固定部4bを嵌め合わせることで、上記細胞培養膜3を固定するものなどが挙げられる。また、上記上側固定部と上記下側固定部とからなる分割可能な固定部としては、図7に示すように、リング状の上側固定部4aと下側固定部4bとの隙間に上記細胞培養膜3を巻き込むように固定するものとしてもよい。
本発明においては、なかでも、図4に示すような上記細胞培養膜のいずれかの面に接続したリング状のものが好ましい。本発明の細胞移植用部材に占める固定部の割合が少なくすることができるため、被移植体の細胞の増殖等を阻害することがないからである。また上記細胞培養膜の片面に細胞機能化層が形成されている場合において、上記細胞機能化層上で培養する細胞に、上記細胞培養膜の上記細胞機能化層が形成されていない面側から、細胞に必要な因子等を供給することが容易であったり、上記細胞培養膜が柔軟性を有している場合には、上記柔軟性を損なうことなく上記細胞培養膜を固定することができるといった利点があるからである。
本発明において、図4に示すような固定部の上記細胞培養膜の固定方法は、上記細胞培養膜と上記固定部を積層したものを加熱圧着して固定する方法や、接着剤を介して固定する方法が挙げられる。本発明においては、細胞培養膜を構成する材料の種類に応じて適宜選択されるものであるが、接着剤を用いる場合は、細胞毒性が問題にならない程度に低いことを確認済みの接着剤を選定する必要がある。
本発明において、固定部に用いられる材料は、生体適合性を有するものであり、なかでも生体吸収性を有するものが好ましい。このような材料としては、上記「1.細胞培養膜」の「(1)細胞機能化層」の項に記載したものと同様の内容のものを用いることができるため、ここでの説明は省略する。
3.細胞移植用部材
本発明の細胞移植用部材は、少なくとも片面に細胞機能化層を有する細胞培養基材からなる細胞培養膜と、細胞培養時において、上記細胞培養膜の平坦性を維持する固定部と、からなるものであって、上記細胞培養膜と上記固定部が、生体適合性材料からなるものであれば、特に限定されるものではない。
本発明の細胞移植用部材は、上記固定部と脱着可能であり、細胞培養時において、前記細胞培養膜が培養容器内壁と接触しないことを可能とする支持部を有することが好ましい。本発明においては、上記支持部を有することにより、例えば、フィーダー細胞と共培養する際に、細胞培養容器内壁のフィーダー細胞と上記本発明の細胞移植用部材において培養する細胞とが接触することなく共培養することが可能となるからである。
このような支持部としては、図8(a)に示すように、上記固定部の全周に配置した円錐台状の支持部5が上記細胞培養膜3の細胞機能化層2が形成された面とは反対側に張り出した形状のものや、図8(b)に示すように、上記細胞培養膜3の細胞機能化層2が形成された面側に張り出した形状のものを挙げることができる。また他の形状としては、離間した柱状の支持部を用有するものが挙げられる。離間した柱状の支持部としては、図9に示すものが挙げられる。図9(a)に示すように上記離間した柱状の支持部5は、上記固定部4に接続し、上記細胞培養膜3の略垂直方向に伸張したものである。図9(b)は図9(a)のA−A’矢視断面を示す概略図であり、上記細胞培養膜が円形で、上記固定部4がリング状の場合であって、上記離間した柱状の支持部5が円柱状であり、かつ4本配置された場合を示すものである。本発明の細胞移植用部材を用いた細胞培養時の安定性のために、上記離間した柱状の支持部は、3本以上からなることが好ましい。
本発明における、上記固定部と上記支持部との配置は、培養条件等に応じて適宜選択することができる。本発明においては、上記支持部の配置を、図8に示すような、上記固定部の全周に配置した円錐台状のものとすることが好ましい。培養容器上に上記本発明の細胞移植用部材を配置し、細胞を培養する場合において、上記細胞移植用部材の安定性を良好なものとするからである。この場合、上記固定部の上記細胞培養膜面と平行な面を固定部面20とすると、上記支持部5と固定部面20とがなす角度21が、45°〜135°の範囲が好ましく、特に65°〜115°の範囲が好ましい。本発明において、上記支持部と上記固定部の固定部面とがなす角度を上記範囲とするのは、上記範囲より大きいと細胞培養時の、上記細胞移植用部材の安定性が低下し、上記範囲より小さいと、特に後述する細胞移植キットの場合において、細胞培養膜が小さくなりすぎるためである。
また、本発明に用いられる支持部は、上記支持部が図8に示すような上記固定部の全周に配置した円錐台状のものである場合において、側面に孔を配置したものであってもよい。上記移植用部材の細胞培養膜の両面上において細胞を培養する際に、両細胞に、細胞の培養に必要な因子等を均等に供給するためである。また、細胞培養に必要な因子等を産生させる目的で、培養容器の底面においてフィーダー細胞を培養する場合に、培養容器の底面で培養するフィーダー細胞への、栄養分の補給、培地の交換が容易となったり、培養容器の底面で培養するフィーダー細胞に産生させた因子等を、上記細胞培養膜面上の細胞へ供給するためである。また、上記支持部の孔の有無、孔のサイズ等については特に限定されるものではなく、本発明の細胞移植用部材の用途等に応じて選択することができる。
本発明に用いられる支持部が、上記固定部と脱着可能な場合において、脱着可能とする方法としては、上記固定部と上記支持部の接続部に粘着剤を塗布しておく方法や、上記固定部に配置した孔に上記支持部の一端を挿入することにより固定する、嵌め込み式とする方法が挙げられる。本発明においては、細胞移植用の細胞を培養する部材であることを考慮して、粘着剤の成分等が混入することのない、嵌め込み式とすることにより脱着可能とすることが好ましい。
また、本発明に用いられる支持部は、上記細胞培養膜面の片面側にのみ配置してもよく、両面に配置したものとしてもよい。本発明においては、なかでも、上記細胞培養膜面の片面側にのみ配置したものが好ましい。上記本発明の細胞移植用部材の用途に応じて選択するものである。
本発明において、上記支持部に用いられる材料としては、一般的な細胞培養器具の材料として使用されるものを用いることができる。このような材料としては、具体的には、ガラスや金属、シリコン等の無機材料、およびプラスチックで代表される有機材料等を用いることができる。本発明においては、プラスチックで代表される有機材料からなるものが好ましい。上記有機材料は、加工が容易であるからである。また、上記支持部は、移植時においては取り外されて使用されるため、上記支持部に用いられる材料としては、生体適合性や、生体吸収性を有するものからなる必要はない。
B.細胞移植キット
次に、本発明の細胞移植キットについて説明する。本発明の細胞移植キットは、上述した細胞移植用部材と、培養プレートと、からなるものであって、上記細胞培養膜が上記培養プレート内壁と接触することがないことを特徴とするものである。
本発明によれば、上記細胞移植用部材の上記細胞培養膜と、上記培養プレート内壁とが接触しないことにより、上記細胞培養膜上において、細胞を、振動等がない安定な条件下で培養することができる。また上記細胞培養膜上と上記培養プレートの内壁とで細胞を培養する場合においては、上記細胞培養膜上で培養する細胞に、上記培養プレートの内壁で培養する細胞がコンタミネーションすることなく、上記細胞培養膜上、および上記培養プレート内壁において細胞を共培養することができる。
本発明の細胞移植キットは、細胞移植用部材と培養プレートとからなるものである。以下、本発明の細胞移植キットの各構成について詳細に説明する。
1.細胞移植用部材
まず、本発明に用いられる細胞移植用部材について説明する。本発明に用いられる細胞移植用部材については、上記「A.細胞移植用部材」の項に記載したものと同様の内容であるので、ここでの説明は省略する。
2.培養プレート
次に、本発明に用いられる培養プレートについて説明する。本発明に用いられる培養プレートは、上記細胞培養膜と、上記培養プレート内壁とが接触することがないものであれば、特に限定されるものではない。このような培養プレートとしては、上記培養プレートが、上記細胞培養膜と上記培養プレート内壁とが接触しない状態で、上記細胞移植用部材を固定可能なものとするものが挙げられる。
本発明において、上記培養プレートが、上記細胞移植用部材を固定する固定方法は、特に限定されるものではないが、接着剤を用いる方法や、嵌め込み式とする方法が挙げられる。本発明においては、細胞移植に用いる細胞を培養するものであることを考慮して、嵌め込み式等の方法が好ましい。このような培養プレートとしては、上記細胞移植用部材が、支持部を有しているようなものであった場合においては、例えば、図10に示すように、上記細胞移植用部材10の支持部5の一端を挿入することで固定可能とする底面凹部32を備えた培養プレート31を挙げることができる。
また、本発明において、上記培養プレートが上記細胞移植用部材を固定可能とすることにより、上記細胞培養膜と上記培養プレート内壁とを接触しないものとした場合には、上記細胞移植用部材の上記細胞培養膜上において、不要な振動を与えることなく細胞を培養することができ、さらに、上記細胞移植用部材上、および上記培養プレート底面上の両方で細胞を培養する際に、上記細胞移植用部材が上記培養プレート底面上を移動しないことにより、上記培養プレート底面上の細胞に損傷を与えることなく、上記細胞移植用部材上、および上記培養プレート底面上で細胞を共培養することができる。
本発明においては、上記培養プレートが、上記細胞移植用部材を2個以上挿入可能なものとしてもよい。このように上記培養プレートを、上記細胞移植用部材を2個以上挿入可能なものとすることは、例えば、2種類以上の細胞種を互いにコンタミネーションすることなく共培養することが必要な場合において有用である。
本発明において、上記培養プレートに用いられる材料としては、一般的な細胞培養器具の基材として使用されるものを用いることができる。具体的には、ガラスや金属、シリコン等の無機材料、およびプラスチックで代表される有機材料等を用いることができ、必要に応じて、上記培養プレートの底面に、表面処理を施しても良い。このような表面処理としては、例えば、上述した「A.細胞移植用部材」に記載した細胞機能化層と同様の内容の機能を付与するものが挙げられる。
3.細胞移植キット
本発明の細胞移植キットは、上述した細胞移植用部材と培養プレートとからなるものであれば、特に限定されるものではない。このような細胞移植キットとしては、例えば、既に説明した、図10に示すように、本発明の細胞移植キット30が、上記細胞移植用部材10と、上記細胞移植用部材10を固定可能な底面凹部32を備えた培養プレート31と、からなるものを挙げることができる。また、上記細胞移植用部材の支持部が細胞培養膜の細胞機能化層側に張り出した形状のものである場合においては、図11に示すように、上記細胞移植用部材10と、上記細胞移植用部材10の支持部5を固定できる培養プレート31とからなるものであってもよい。このような培養プレート31としては、上記支持部5と嵌め合わせることが可能な壁面凹部33を供えたものとしてもよい。培養時の安定性を高いものとすることができるからである。またさらに、上記細胞移植用部材が上記支持部を有していないものであった場合においては、図12に示すように、細胞移植キット30を、上記固定部4に固定部凹部6を配置した上記細胞移植用部材10と、上記固定部凹部6に嵌め込み可能な移植用部材支持体7を内壁に有する培養プレート31と、からなるものとしてもよい。上記培養プレートの内壁に移植用部材支持部を有する場合において、上記移植用部材支持部は、図12に示すように、上記培養プレートの内壁底面であってもよく、上記培養プレートの内壁側面であってもよい。
C.細胞移植用具
次に、本発明の細胞移植用具について説明する。本発明の細胞移植用具は、上記本発明の細胞移植用部材の上記細胞培養膜の少なくとも片面に形成された上記細胞機能化層上に細胞が接着していることを特徴とするものである。
本発明の細胞移植用具について図を参照しながら説明する。図13は、本発明の細胞移植用具の一例を示す概略図である。図13に例示するように、上記本発明の細胞移植用具50は、上記本発明の細胞移植用部材10と、上記細胞培養膜3の少なくとも片面に形成された上記細胞機能化層2上において培養された細胞40と、からなるものを挙げることができる。
本発明によれば、上記細胞培養膜が平坦性を維持するように固定されていることから、この細胞培養膜上において安定に培養することができ、また培養された細胞は、移植時においては、パターンや機能を損なうことなく移植することができる。したがって、細胞の培養パターン、および機能を維持した状態で移植することができる細胞移植用具とすることができる。
本発明の細胞移植用具は、上記本発明の細胞移植用部材と、細胞とからなるものである。以下、本発明の細胞移植用具の各構成について詳細に説明する。
1.細胞移植用部材
本発明に用いられる細胞移植用部材については、上記「A.細胞移植用部材」の項に記載したものと同様の内容であるので、ここでの説明は省略する。
2.細胞
本発明において、上記細胞培養膜上に播種し、接着させ、培養する細胞としては、血球系細胞やリンパ系細胞などの浮遊細胞でもよく、また接着性細胞でもよい。本発明においては、特に接着性を有する細胞であることが好ましい。このような接着性を有する細胞としては、例えば、肝臓の実質細胞である肝細胞、血管内皮細胞、繊維芽細胞、表皮角化細胞などの表皮細胞、気管上皮細胞、消化管上皮細胞、子宮頸部上皮細胞、水晶体上皮細胞などの上皮細胞、乳腺細胞、平滑筋細胞や心筋細胞などの筋細胞、腎細胞、膵ランゲルハンス島細胞、末梢神経細胞や視神経細胞などの神経細胞、軟骨細胞、骨細胞などが挙げられる。またこれらの細胞は、組織や器官から直接採取した初代細胞でもよく、あるいは、それらを何代か継代させたものでもよい。また株化された細胞でもよい。さらにこれら細胞は、未分化細胞であるES細胞、多分化能を有する多能性幹細胞、単分化能を有する単能性幹細胞、分化が終了した細胞の何れであっても良い。また、細胞は単一種を培養してもよいし二種以上の細胞を共培養したものであってもよい。
3.細胞移植用具
本発明の細胞移植用具は、上記本発明の細胞移植用部材、および上記細胞移植用部材の細胞培養膜の少なくとも上記細胞機能化層上に細胞を有するものであれば、特に限定されるものではない。本発明においては、上記細胞培養膜の細胞機能化層が形成されていない面上においても細胞を接着させたものとしてもよく、また上記細胞培養膜の両面に細胞機能化層を形成し、両面の細胞機能化層上において細胞を接着させたものであっても良い。本発明の細胞移植用具は、上記細胞移植用部材の細胞培養膜上で培養された細胞を、生体組織や人工的に培養・作製した細胞組織等の被移植体に移植する際に用いられることとなる。
D.細胞組織の製造方法
本発明の細胞組織の製造方法は、上記本発明の細胞移植用具を用いることを特徴するものである。本発明によれば、上記細胞移植用具を用いることにより、パターン培養された細胞や、所望の機能を発現された細胞等を組み合わせた細胞組織を容易に製造可能とする。したがって、例えば、細胞組織としての機能を維持するためには、血管等を張り巡らせ、必要な栄養分の供給や、老廃物の排出等が必要になるが、上記細胞移植用具を用いて血管をパターン培養した細胞を移植し、血管網を張り巡らせた細胞組織を構築することにより、人工的に構築した細胞組織でありながら、恒常的に機能を維持することが可能な細胞組織とすることができる。
本発明の細胞組織の製造方法は、上記本発明の細胞移植用具を用いて、細胞組織を製造する方法であれば、特に限定されるものではない。このような方法としては、上記細胞移植用具を被移植体へと移植することにより細胞組織を製造する移植工程からなるものを挙げることができる。以下、移植工程について説明する。
1.移植工程
本発明における移植工程は、上記細胞移植用具を、生体組織や人工的に培養・作製した細胞組織等の被移植体に移植することにより細胞組織を製造する工程である。本工程においては、上記細胞移植用具を、被移植体に移植させることができるものであれば、特に限定されるものではない。このような工程としては、例えば、被移植体が塊状の細胞組織であり、その内部に移植をする場合においては、図14に示すように、まず被移植体である塊状の細胞組織60の所望の移植箇所61と、上記細胞移植用具50を上記移植箇所61に挿入するために必要な切開箇所62を決定する(図14(a))、次いで、メス等の鋭利な刃物を用いて上記切開箇所62を切開し挿入箇所63を作成した後、上記細胞移植用具50を上記移植箇所61に挿入(図14(b))し、公知の縫合方法によって、切開部分を縫合し細胞組織とする(図14(c))工程を挙げることができる。
また、被移植体が、細胞培養基板上に培養された細胞である場合においては、図15に示すように、細胞培養基板71と、上記細胞培養基板71の少なくとも片面に培養された培養細胞72とからなる細胞培養部材70と、上記細胞移植用具50とを、上記培養細胞72と、上記細胞移植用具上の細胞40とが対向するように配置し(図15(a))、次いで、上記細胞培養部材70と上記細胞移植用具50とを、上記培養細胞72と上記細胞40とが接触するように積層し(図15(b))、細胞組織とする工程を挙げることができる。図15に示すような場合においては、上記細胞培養部材および上記細胞移植用具の積層数や、上記細胞培養基板の材質は、被移植体の条件等により、適宜選択させるものである。例えば、上記細胞培養部材と上記移植用具とを交互に1層または2層以上積層してもよく、上記細胞培養部材を上記本発明の細胞移植用具からなるものとしてもよい。
本工程に用いられる被移植体としては、特に限定されるものではなく、シート状に培養された細胞や、高分子ゲル内において立体的に配置した状態で培養された細胞でもよく、また塊状の細胞であってもよい。上記被移植体は目的とする細胞組織に応じて、適宜選択するものである。
本工程に用いられる細胞としては、上記「C.細胞移植用具」の項において記載したものと同様のものを用いることができるため、ここでの説明は省略する。
なお、本工程に用いられる細胞としては、1種類に限定されるものではなく、複数種類の細胞を組み合わせて用いられるものであってもよい。
2.細胞組織の製造方法
本発明の細胞組織の製造方法は、上記本発明の細胞移植用具を用いて、細胞組織を製造するものであれば、特に限定されるものではない。本発明においては、上記細胞移植用具を、被移植体に移植し、細胞組織としたり、またその細胞組織からなる被移植体に対して、上記細胞移植用具の細胞を移植する操作を複数回行うことにより、より高度な機能を有する細胞組織とすることもできる。本発明においては、上記細胞移植用具を用いることにより、細胞をパターン状、または機能を維持した状態で移植できることで、塊状の細胞の内部に所望のパターンを形成した血管網を構築したり、所望の機能を与えられた細胞を組み合わせた細胞組織を作製することが可能となる。また移植を行った後に、上記細胞移植用具を構成する細胞移植用部材を取り除く必要がないため、細胞組織の成長を阻害したり、細胞組織にダメージを与えることなくすることなく、細胞組織を製造することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
1.細胞移植用部材の準備
細胞培養基材として、厚み100μmのゼラチンフィルム(25mmφ)を作製し、上記細胞培養基材上に、細胞機能化層としてオリゴエチレングリコールメタクリレート(OEGMA、 Scientific Polymer Products)とメタクリル酸(MA、Scientific Polymer Products)との共重合体のラインパターンを有する細胞培養膜を作製した。以下、細胞移植用部材の作製方法を示す。
(1)細胞機能化層の作製準備
オリゴエチレングリコール-メタクリレートとメタクリル酸とを質量比4:1になるように調製し、開始剤として2、2´-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩(和光純薬)を用いて、メタノール内で60℃で16時間反応させ、共重合体(poly(OEGMA-co-MA))を得た。また、溝60μm、リッジ20μmのシリコンマスターを用いて、ポリジメチルシロキサン(PDMS)レプリカを作製した。PDMSレプリカの凸部に、10%poly(OEGMA−co−MA)をインクとして乗せ、風乾させた。
(2)細胞培養基材の作製
0.2M酢酸を含む8%ゼラチン溶液をガラスシャーレ内にキャストし、乾燥後、0.5%グルタルアルデヒドで化学架橋し、脱イオン水で洗浄、乾燥を行うことにより厚み100μmのゼラチンフィルムを作製し、細胞培養基材とした。
(3)細胞培養膜の作製
上記の方法で作製した細胞基材であるゼラチンフィルム表面に、PDMSレプリカのpoly(OEGMA−co−MA)を3秒間接触後、PDMSレプリカを除去した。
このようにして、細胞培養基材である厚み100μmのゼラチンフィルム上に、ラインアンドスペース20μm/60μmのpoly(OEGMA−co−MA)パターンが細胞機能化層として存在する細胞培養膜を得た。
(4)細胞移植用部材の作製
上記の方法で作製した細胞培養膜は70%エタノール滅菌、テフロン(登録商標)からなる固定部は、オートクレーブ滅菌処理を施した。細胞培養基材と固定部との接着には、一液型RTVゴム脱オキシムタイプ(信越シリコーン製)を使用し、バイオクリーンベンチ内で図1と同じ構成にした。このようにして細胞移植用部材を作製した。
次いで、上記の方法で作製した細胞移植用部材に、一液型RTVゴム脱オキシムタイプを用いて固定部と支持部を接着させた。支持部の形状は、上記固定部の下面に接着する、リング状のものを用い、支持部と固定部がなす角度を85°としたものであり、図8(a)と同じ構成とした。
2.細胞培養
上記方法により作製した移植用部材を培養プレート内に配置し、細胞培養膜をO-リングで囲ったのち、クラボウ製のHuMedia-EG2(2%FBS&supplement)をO−リングが培地に触れる程度まで加え、同培地に懸濁させた正常ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を4.0×10個/cmになるようO−リング内の細胞機能化層上に播種し、37℃、5%COで、16時間培養した。細胞機能化層にHUVECが幅20μmのラインパターン状に接着していることを位相差顕微鏡で確認した。37℃、5%COでさらに培養を続けたところ、5日後にはHUVECが管腔を形成していた。このようにして細胞移植用具を作製した。
3.移植操作
ヌードマウス(齢10ヶ月、メス)の腹部をメスで切開し、上記の方法で作製した細胞移植用具から支持部を除去したものを、ヌードマウスの皮下部位に移植し、縫合した。
4.評価
(移植部位の炎症反応有無確認)
移植を行った移植部位に炎症反応が生じた場合には、組織の繊維化が観察される。そこで、評価方法としては、移植部位の組織を取り出して切片を作製し、ヘマトキシリジン−エオジン染色を施し、移植部位周辺における組織の線維化の有無を観察することにより行った。
移植後8日目に、移植部位の組織を取り出して切片を作製し、ヘマトキシリジン−エオジン染色を施して観察したところ、移植部位周辺における組織の線維化はほとんど観察されなかった。
[実施例2]
1.細胞移植用部材の準備
細胞培養基材として、厚み100μmのポリ(グリセロール-セバケート)を用い、上記細胞培養基材上に、細胞機能化層としてオリゴエチレングリコールメタクリレートとメタクリル酸との共重合体のラインパターンを有する細胞培養膜を作製した。以下、細胞移植用部材の作製方法を示す。
(1)細胞機能化層の作製準備
実施例1と同様の方法で、細胞機能化層の作製準備を行った。
(2)細胞培養基材の作製
グリセリン(和光純薬)及びセバシン酸(東京化成)をモル比率2:3になるように調製し、窒素ガス雰囲気下において、120℃で24時間反応させ、セバシン酸をグリセリンに溶解させた。上記の方法で得られたプレポリマーを10%テトラヒドロフランに溶解し、テフロン(登録商標)シャーレにキャストし、オイルポンプを使用して3mmHgで減圧しながら120℃で72時間脱水縮合反応を行い、厚み100μmのポリ(グリセロール-セバケート)からなる細胞培養基材を作製した。
(3)細胞培養膜の作製
上記の方法で作製したポリ(グリセロール-セバケート)からなる細胞培養基材の表面に、PDMSレプリカのpoly(OEGMA−co−MA)を3秒間接触後、PDMSレプリカを除去した。
このようにして、細胞培養基材である厚み100μmのポリ(グリセロール-セバケート)上に、ラインアンドスペース20μm/60μmのpoly(OEGMA−co−MA)パターンが細胞機能化層として存在する細胞培養膜を得た。
(4)細胞移植用部材の作製
上記の方法で作製した細胞培養膜及びテフロン(登録商標)からなる固定部は、オートクレーブ滅菌処理を施した。細胞培養基材と固定部との接着には、一液型RTVゴム脱オキシムタイプ(信越シリコーン製)を使用し、バイオクリーンベンチ内で図1と同じ構成にした。このようにして細胞移植用部材を作製した。
次いで、上記の方法で作製した細胞移植用部材に、一液型RTVゴム脱オキシムタイプを用いて固定部と支持部を接着させた。支持部の形状は、上記固定部の下面に接着する、リング状のものを用い、支持部と固定部がなす角度を85°としたものであり、図8(a)と同じ構成とした。
2.細胞培養
上記の方法で作製した細胞移植用部材を培養プレート内に配置し、細胞培養膜をO-リングで囲ったのち、5%血清を含むMEM培地を所定量加え、同培地に懸濁させたウシ頚動脈由来血管内皮細胞(bAEC)を4.0×10個/cm播種し、37℃、5%COで、16時間培養した。細胞転写層上にbAECが幅20μmのラインパターン状に接着していることを位相差顕微鏡で確認した。37℃、5%COでさらに培養を続けたところ、5日後にはbAECが管腔を形成していた。このようにして細胞移植用具を作製した。
3.移植操作
ヌードマウス(齢10ヶ月、オス)の背部をメスで切開し、上記の方法で作製した細胞移植用具から支持部を除去したものを、ヌードマウスの皮下部位に移植し、縫合した。
4.評価
(移植部位の炎症反応有無確認)
実施例1と同様に移植部位の組織の繊維化の有無を確認した。
移植後8日目に、移植部位の組織を取り出して切片を作製し、ヘマトキシリジン−エオジン染色を施して観察したところ、移植部位周辺における組織の線維化はほとんど観察されなかった。
(細胞移植部材の生体吸収性評価)
また、細胞移植部材の生体吸収性の評価として、移植してから所定日数経過後に移植用具を取り出して、リン酸バッファーで十分に洗浄し、乾燥させてから、走査型電子顕微鏡を用いて形状観察、および、移植用具の乾燥前後の重量を測定し、移植用具の含水量を算出することにより評価した。含水量の算出方法としては、以下の式によって求めた。
含水量=(Wwet−Wdry)/Wdry × 100
Wwetとは移植用具を乾燥する前の重量であり、Wdryとは移植用具を乾燥した後の重量である。ここで、含水率が低いものほど、吸収・分解が進行していることを示す。
細胞移植部材の生体吸収性評価をするため、移植後7、14、21、28、35日目に移植用具を取り出し、それぞれリン酸バッファーでよく洗浄し、乾燥させた。得られた乾燥物を走査型電子顕微鏡で観察したところ、移植してからの経過日数が増えるに従って、移植用具のサイズが徐々に縮小していることを確認した。含水量に関しては、移植してからの経過日数が増えるに従ってリニアに減少し、移植35日後には、移植直後のときの重量の約20%であった。
[実施例3]
1.細胞移植用部材の準備
細胞培養基材として、ポリウレタンからなる不織布を準備した。上記細胞培養基材及びテフロン(登録商標)からなる固定部は、オートクレーブ滅菌処理を施した。細胞培養基材と固定部との接着には、一液型RTVゴム脱オキシムタイプ(信越シリコーン製)を使用した。その後、細胞培養基材上に、細胞機能化層として豚皮由来I型コラーゲンの薄層を設け、細胞移植用部材とした。次いで、上記の方法で作製した細胞移植用部材に、一液型RTVゴム脱オキシムタイプを用いて固定部と支持部を接着させた。支持部の形状は、上記固定部の下面に接着する、リング状のものを用い、支持部と固定部がなす角度を85°としたものであり、図8(a)と同じ構成とした。
2.細胞培養
上記の方法で作製した細胞移植用部材を培養プレート内に配置し、細胞培養膜をO-リングで囲ったのち、5%血清を含むMEM培地を所定量加え、同培地に懸濁させたウシ血管内皮細胞を1.3×10個/cm播種し、37℃、5%COで、16時間培養した。
3.移植操作
ヌードマウス(齢1歳2ヶ月、オス)の腹部をメスで切開し、上記の方法で作製した細胞移植用具から支持部を除去したものを、ヌードマウスの皮下部位に移植し、縫合した。
4.評価
(移植部位の炎症反応有無確認)
移植後14日目に、移植部位の組織を取り出して切片を作製した。ついで、繊維化の有無確認のために、アザン染色を施して観察したところ、移植部位周辺における組織の線維化はほとんど観察されなかった。
本発明の細胞移植用部材の一例を示す概略図である。 本発明に用いられる細胞培養膜の一例を示す概略図である。 本発明に用いられる細胞培養膜の他の例を示す概略図である。 本発明に用いられる固定部の一例を示す概略図である。 本発明に用いられる固定部の他の例を示す概略図である。 本発明に用いられる固定部の他の例を示す概略図である。 本発明に用いられる固定部の他の例を示す概略図である。 本発明に用いられる支持部の一例を示す概略図である。 本発明に用いられる支持部の他の例を示す概略図である。 本発明の細胞移植用キットの一例を示す概略図である。 本発明の細胞移植用キットの他の例を示す概略図である。 本発明の細胞移植用キットの他の例を示す概略図である。 本発明の細胞移植用具の一例を示す概略図である。 本発明の細胞組織の製造方法の一例を示す概略図である。 本発明の細胞組織の製造方法の他の例を示す概略図である。
符号の説明
1 … 細胞培養基材
2 … 細胞機能化層
2a … 細胞接着領域
2b … 細胞非接着領域
3 … 細胞培養膜
4 … 固定部
4a … 上側固定部
4b … 下側固定部
5 … 支持部
6 … 固定部凹部
7 … 移植用部材支持体
10 … 細胞移植用部材
20 … 支持部固定部面
21 … 支持部と固定部面とがなす角
30 … 細胞移植キット
31 … 培養プレート
32 … 底面凹部
33 … 壁面凹部
40 … 細胞
50 … 細胞移植用具
60 … 細胞組織
61 … 移植箇所
62 … 切開箇所
63 … 挿入箇所
70 … 細胞培養部材
71 … 細胞培養基板
72 … 細胞

Claims (7)

  1. 少なくとも片面に細胞機能化層を有する細胞培養基材からなる細胞培養膜と、細胞培養時および細胞移植時において、前記細胞培養膜の平坦性を維持する固定部と、からなる細胞移植用部材であって、前記細胞培養膜および前記固定部は、生体適合性材料からなることを特徴とする細胞移植用部材。
  2. 前記細胞機能化層が、細胞をパターン状に培養可能なパターン培養機能を有することを特徴とする、請求項1に記載の細胞移植用部材。
  3. 前記生体適合性材料が、生体吸収性材料であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の細胞移植用部材。
  4. 前記固定部と脱着可能であり、細胞培養時において、前記細胞培養膜が培養容器内壁と接触しないことを可能とする支持部を有することを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の細胞移植用部材。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の細胞移植用部材と、培養プレートとからなる細胞移植キットであって、前記細胞培養膜が前記培養プレート内壁と接触しないことを特徴とする細胞移植キット。
  6. 請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の細胞移植用部材の前記細胞培養膜の少なくとも片面に形成された前記細胞機能化層上に、細胞が接着していることを特徴とする細胞移植用具。
  7. 請求項6に記載の細胞移植用具を用いることを特徴とする細胞組織の製造方法。
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