JP2008130292A - ジャイロトロン装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 空胴共振器12の軸線C方向の寸法及び前記軸線Cに交叉する方向の寸法の少なくとも一方を変化させる形状変化手段と、この形状変化手段に作用して前記寸法の変化を生じさせる駆動手段とを有する。駆動手段としては形状変化手段に所定の電圧を印加する電圧印加手段9を用い、かつ、形状変化手段が、印加された電圧に応じて寸法が変化する性質を有する材料から形成された圧電体102とするとよい。
【選択図】 図1
Description
図5は、従来のジャイロトロン装置の全体構成を説明する縦断面図である。
ジャイロトロン装置1は、電子ビームを取り出す電子銃11と、この電子銃11によって取り出された電子ビームと高周波電磁場とが共鳴的に相互作用を起こし高周波を発生させる空胴共振器12と、この空胴共振器12の周囲を取り囲むように配置され、ジャイロトロン装置の軸方向に高周波電磁場を発生させる電磁石13と、空胴共振器12で相互作用を終えた電子ビームを回収するコレクタ14と、空胴共振器12で発生した高周波を取り出す出力窓15とを有している。
電子銃11は、カソード111、カソード111上に設けられた電子放出部112、第1アノード113、第2アノード114を有し、周囲に電磁石115を配置したものが知られている。
空胴共振器12及びコレクタ14は、それぞれ、電子銃11の一端に取り付けられたジャイロトロン本体10の内部の円筒空胴から形成され、出力窓15と電子銃11の電子放出部112とを連通状に連結している。
その一方で、発振出力を調整可能にしたものが提案されており、例えば、特許文献1には、電磁石による磁場を精度良く調整することで、発振させたい固有モードの周波数に調整できることが記載されている。
また、特許文献2には、所望の発振出力を得るために空胴共振器における軸方向の磁束密度のうちの±10%以下を調節する主磁場微調整電磁石を設けるか、電子銃のカソード上の電子放出部における軸方向の磁束密度のうちの±10%以下を調節する電子銃磁場微調整電磁石を設けた技術が開示されている。
本発明は、上記の要求に応えるべくなされたもので、簡単な構成で大きな周波数変化を得ることのできるジャイロトロン装置の提供を目的とする。
また、請求項2に記載するように、前記駆動手段として前記形状変化手段に所定の電圧を印加する電圧印加手段を用い、かつ、前記形状変化手段として、印加された電圧に応じて寸法が変化する性質を有する材料から形成されたものを用いることで、周波数の変化量を制御することが容易になる。印加電圧によって形状が変化するものとしては、例えば、公知の圧電体を構成する材料と同じものを挙げることができる。
また、請求項4に記載するように、前記形状変化手段の両端に前記駆動手段を接続し、前記両端に電圧を印加するようにしてもよい。このようにすることで、空胴共振器の軸線方向の寸法を変化させることができる。
なお、形状変化手段としてセラミック等の非導電性の材料を用いる場合は、請求項5に記載するように、形状変化手段の外周囲に電磁波の漏洩を防止するためのシールドを設けるとよい。
請求項7に記載するように、前記形状変化手段の外側に、形状変化手段の伸長を調整するための付勢手段を設けてもよい。また、請求項8に記載するように、形状変化手段の外周囲にシールドを設ける場合、前記シールドを蛇腹状に形成するなどして付勢手段を形成するようにしてもよい。
本発明では、形状変化手段として圧電体や熱膨張体を用いることで、長さLや半径Rに対してその変化量(ΔL.ΔR)を大きくとることができ、従って、より大きな範囲内で周波数の調整が可能になる。具体的には、従来では数十MHz程度であった周波数の調整範囲を数百MHz程度まで拡大することが可能になる。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態にかかり、その構成を説明する空胴共振器の部分縦断面図である。
なお、以下の説明において、図5に示すジャイロトロン装置と同一部位、同一部材には同一の符号を付して、詳しい説明は省略する。
この実施形態では、ジャイロトロン本体10の図5中符号Aで示す領域に、空胴共振器12の軸線C方向の寸法を変化させる形状変化手段を取り付ける。すなわち、前記符号Aで示す領域内で、ジャイロトロン本体10を部分的に切除し、空間部101を形成する。
また、空胴共振器12の真空状態を保つために、圧電体102の両端と前方部材10a及び後方部材10bとが接触する部分を精密な仕上げ面として仕上げ、かつ、両者を僅かに締まりばめ状態で嵌合するとよい。あるいは、パッキンやOリング等の封止部材を圧電体102の両端と前方部材10a及び後方部材10bとの間に介在させてもよい。
さらに、絶縁性のばねを用いるか若しくは金属製のばねの両端を、絶縁部材を介在させた状態で前方部材10a及び後方部材10bと連結し、前記ばねの付勢力及び前方部材10aと後方部材10bとで圧電体102を挟持させるようにしてもよい。
このような付勢手段を設けることで、圧電体102の軸線C方向の変形量を規制することができる。
また、先に説明したように、前方部材10aと後方部材10bとを互いに接近させる方向に付勢するばね性のシールド104を用いることで、前方部材10aと後方部材10bとで圧電体102を挟持することが可能になる。
図2は、本発明の第2の実施形態にかかり、その構成を説明する空胴共振器の部分縦断面図である。
この実施形態においても、先の実施形態と同様の空間部101に、円筒状の圧電体112を配置する。この圧電体112は、先の実施形態と同様のものである。
この実施形態では、電源9から電極113a,113b及び導電層115a,115bを介して圧電体112に電圧を印加することで、圧電体112は径方向にその寸法(半径R)を変化させる。そして、この半径Rの寸法変化により、周波数を変化させることができる。
図3は、本発明の第3の実施形態にかかり、その構成を説明する空胴共振器の部分縦断面図である。
この実施形態のジャイロトロン装置は、第1の実施形態と第2の実施形態とを組み合わせたものである。そのため、第1の実施形態及び第2の実施形態と同一部材、同一部位には同一の符号を付して詳しい説明は省略する。
この実施形態では、電源9a,9bから圧電体112に電圧を印加することで、長さL及び半径Rの両方が変化し、第1の実施形態及び第2の実施形態よりもより広い範囲で周波数の調整が可能になる。
本発明の発明者は、第1の実施形態のジャイロトロン装置を使って、実験を行った。
ここで、空胴共振器12は、論文「S.Sabchevski, T.Idehara and S. Fuiwara,
Conceptual design study of a novel gyrotron for NMR/DNP spectoscopy,
Int. J. Infrared and Millimeter Waves 」に記載されているものと同じ形状を持つものを用いた。図4は、この空胴共振器12の対応する三つの軸方向モード(TE041モード、TE042モード、TE043モード)に対する実験結果をグラフにしたもので、縦軸に周波数を、横軸に印加電圧をとっている。
coefficient d31(圧電歪定数)は、300×10―12m/Vと仮定している。
この実験結果からわかるように、印加電圧を0Vから500Vに変化させることで、周波数を約200MHzの範囲内で直線的に変化させることができる。従来の調整可能範囲は約40MHzであるから、本発明により、周波数の調整可能範囲が約5倍に拡大したことになる。
例えば、上記の説明では、圧電体102,112を軸線C方向又は径方向に形状変化させるために、各々一つの電源9(9a,9b)に接続しているが、各々複数の電源に接続するようにしてもよい。
また、第1の実施形態では、蛇腹状のシールド104を設けて空胴共振器12からの電磁波の漏洩を防止するようにしているが、電磁波の漏洩を防止できるのであれば、シールドの形態はこれに限られず、例えば、軸方向に伸縮できるメッシュ状の金属筒を圧電体102の外周に設けるようにしてもよい。
さらに、第2の実施形態の導電層115a,115bにおいては、軸線C方向に導電層115a,115bを輪切り状に複数に分割し、各領域に一つ又は複数の電源を接続するようにしてもよい。
9:電源
10:ジャイロトロン本体
10a:前方部材
10b:後方部材
101:空間部
102:圧電体(形状変化手段)
103a,103b:電極
104:シールド
12:空胴共振器
14:コレクタ
Claims (8)
- 電子ビームを射出する電子銃と、射出電子に旋回運動を起こさせる磁場発生装置と、この磁場発生装置と高周波電磁波との間でサイクロトロン共鳴メーザ作用を起こさせる空胴共振器と、この空胴共振器内を通過した電子ビームを回収するコレクタと、前記サイクロトロン共鳴メーザ作用により発生した高周波を取り出す出力窓とを有するジャイロトロン装置において、
前記空胴共振器の軸線方向の寸法及び前記軸線に交叉する方向の寸法の少なくとも一方を変化させる形状変化手段と、
この形状変化手段に作用して前記寸法の変化を生じさせる駆動手段と、
を有することを特徴とするジャイロトロン装置。 - 前記駆動手段として前記形状変化手段に所定の電圧を印加する電圧印加手段を用い、かつ、前記形状変化手段が、印加された電圧に応じて寸法が変化する性質を有する材料から形成されていることを特徴とする請求項1に記載のジャイロトロン装置。
- 前記形状変化手段の外周面及び内周面に導電被膜を形成し、この導電被膜に前記駆動手段を接続し、前記外周面と前記内周面との間に電圧を印加することを特徴とする請求項2に記載のジャイロトロン装置。
- 前記形状変化手段の両端に前記駆動手段を接続し、前記両端に電圧を印加することを特徴とする請求項2に記載のジャイロトロン装置。
- 前記形状変化手段の外周囲に、前記空胴共振器からの電磁波の漏洩を防止するためのシールドを設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のジャイロトロン装置。
- 前記形状変化手段を複数の領域に区分けし、各領域を単一又は複数の前記駆動手段に接続したことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のジャイロトロン装置。
- 前記形状変化手段の外側に、前記形状変化手段を軸線方向に付勢する付勢手段を設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のジャイロトロン装置。
- 前記前記形状変化手段の外周囲にシールドを設ける場合において、前記付勢手段が前記シールドとして形成されていることを特徴とする請求項7に記載のジャイロトロン装置。
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JP2014502730A (ja) * | 2011-01-11 | 2014-02-03 | ブリッジ・12・テクノロジーズ・インコーポレーテッド | 標的適用の磁場を利用する統合高周波発生器システム |
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Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003308794A (ja) * | 1994-03-17 | 2003-10-31 | Mitsubishi Electric Corp | ジャイロトロン装置 |
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2006
- 2006-11-17 JP JP2006312044A patent/JP5130519B2/ja active Active
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