JP2008128902A - 雨滴検出装置と雨滴検出方法 - Google Patents

雨滴検出装置と雨滴検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】発光手段の照射開始から所定時間内において雨滴の付着有無を正確に検出できる雨滴検出装置を提供する。
【解決手段】雨滴検出装置1は、検出対象11の反射光を反射光検出値M1として検出する反射光検出手段3と、環境温度T1を温度検出値M3として検出する温度検出手段6と、反射光判定値MS1と温度とを組み合わせて記憶しておく記憶手段7と、反射光検出値M1を反射光判定値MS1と比較して雨滴の付着有無を判定する第1判定手段8と、雨滴無しと判定された第1判定時t1に温度検出値M3の上昇率MGと温度判定値MGSを比較判定する第2判定手段8と、上昇率MGが温度判定値MGSより大きいと判定された際に第1判定時t1の反射光検出値M1によって反射光判定値MS1を更新する制御手段8とを備え、上昇率MGが温度判定値MGS以下と判定された際に反射光判定値MS1を更新しないように構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、雨滴を検出する雨滴検出装置と雨滴検出方法に関するものである。
ウインドシールドに付着した雨滴を払拭するワイパを自動制御するワイパ自動制御装置では、雨滴検出装置が利用されている。雨滴検出装置として、ウインドシールドが反射した発光素子の光を、プリズム等の光路系部品によって受光素子へ導き、この受光量を受光素子が検出することによって雨滴の有無を検出する雨滴検出装置が知られている。この雨滴検出装置では、ウインドシールドへの雨滴の付着状態に応じて受光素子の受光量が変化することを利用して、受光素子の検出値によって雨滴の付着有無を判定している。
発光素子が発する光の光量と受光素子の検出値が、周辺温度に応じて変動するため、この温度変動による雨滴検出精度の低下の抑制を図っている(特許文献1を参照)。具体的に、雨滴の付着が無い時における受光素子の検出値と周辺温度とを対応させ、データとして予め記憶させておく。そして、周辺温度に対応する判定値をデータから読み出し、判定値と検出値を比較することによって雨滴の付着有無を判定する。
また、特許文献1では、エンジンが作動している時であって雨滴の付着が無い時において、受光素子の検出値を周辺温度と対応させて判定値を更新する構成を、即ち、学習させる構成を開示している。この学習を行うことによって、経時的な変動を含めて温度変動による雨滴検出精度の低下の抑制を図っている。尚、一般に、この周辺温度として発光素子の周辺温度を利用している。
特開平2001−349961号公報
エンジン始動時から所定時間においては、上記従来技術による雨滴検出装置が雨滴の付着有無を誤検出する恐れがあることを、本発明者は見出した。例えば、雨滴がウインドシールドに付着した状態で朝一のエンジン始動を行う時に、雨滴がウインドシールドに付着していないと誤検出してワイパが作動しなかったりする恐れがあることを、本発明者は見出した。反対に、雨滴がウインドシールドに付着しない状態で朝一のエンジン始動を行う時に、雨滴がウインドシールドに付着していると誤検出してワイパが作動したりする恐れがあることも、本発明者は見出している。
特許文献1に記載されていないが、イグニッションスイッチをオンすることによって発光素子が点灯し、ウインドシールドの照射を発光素子が開始する。この開始から、発光素子の点灯により発光素子の周辺温度が上昇し、この開始から約2分間、急激に上昇する。また、周辺温度は、約15分程度で安定する。
周辺温度の上昇に比較してプリズム等の光路系部品の温度変動が小さいため、周辺温度上昇の間、周辺温度と光路系部品の温度との相対的関係が変動する。また、周辺温度が安定している時と周辺温度が上昇している時では、周辺温度と光路系部品温度との相対的関係が変わる。また、ウインドシールドが反射した発光素子の光を光路系部品が受光素子へ導く導光率が、温度によって変動する。
これらの結果、周辺温度が安定している時に更新した判定値と、周辺温度が上昇している時に受光素子が出力した検出値とを比較することによって雨滴の付着有無を判定すれば、雨滴の付着有無を誤検出する恐れが生じる。即ち、エンジン始動時から所定の時間内において、つまり、発光素子の照射開始から所定時間内において、上記従来技術による雨滴検出装置が雨滴の付着有無を誤検出する恐れがある。
この対策として、周辺温度検出用の温度センサに対して、光路系部品温度検出用の温度センサを追加して、上述の学習を行うように雨滴検出装置を構成することが考えられるが、構成が複雑化するという問題がある。
本発明は、上記問題点に鑑み、構成を複雑化しないで、発光手段の照射開始から所定時間内において雨滴の付着有無を正確に検出できる雨滴検出装置および雨滴検出方法を提供することを目的とする。
本発明は上記目的を達成するため、以下の技術的手段を採用する。
請求項1に記載の雨滴検出装置は、検出対象に光を照射する発光手段と、発光手段の照射によって検出対象が反射した反射光を反射光検出値として検出する反射光検出手段と、発光手段が置かれた環境温度を温度検出値として検出する温度検出手段と、反射光判定値と温度とを組み合わせてデータとして記憶しておく記憶手段と、データにおいて温度検出値に対応する反射光判定値を記憶手段から読み出し、反射光検出値を反射光判定値と比較して検出対象に雨滴が付着しているか否かを判定する第1判定手段と、雨滴の付着が無いと判定された第1判定時に温度検出値の上昇率を第1判定時から判定時間の間の上昇率として算出する第1算出手段と、上昇率を温度判定値と比較判定する第2判定手段と、上昇率が温度判定値より大きいと判定された第2判定時に、第1判定時の温度検出値に対応する反射光判定値を第1判定時の反射光検出値によって更新して記憶手段に記憶させる制御手段とを備え、上昇率が温度判定値以下であると判定された第3判定時に反射光判定値を更新しないように制御手段が構成され、発光手段の照射開始時から所定時間内において雨滴の付着有無を第1判定手段が判定するように構成されていることを特徴とする。
この構成では、発光手段の照射開始から所定時間内において雨滴の付着有無を検出し、温度検出値の上昇率が温度判定値より大きいと判定された場合に、第1判定時の温度検出値に対応する反射光判定値を第1判定時の温度検出値によって更新する。ここで、発光手段の照射開始から所定時間内においては、環境温度の上昇率が大きい。即ち、反射光判定値の更新後において、温度検出値の上昇率が大きい状態における反射光検出値を、温度検出値の上昇率が温度判定値より大きい状態において更新された反射光判定値と比較することによって雨滴の付着有無を判定できる。このため、温度検出値の上昇率が大きい状態において、経時的な変動を含めて温度変動による雨滴検出精度の低下を抑えることができる。
また、この構成では、温度検出値の上昇率が温度判定値以下であると判定された場合に反射光判定値を更新しない。これにより、温度検出値の上昇率が大きい状態における反射光検出値を、温度検出値の上昇率が温度判定値以下である状態において更新された反射光判定値と比較することによって雨滴の付着有無を判定してしまうことを防止できる。即ち、誤判定してしまうことを防止できる。
これらの結果、新たに部品を追加することなく、発光手段の照射開始から所定時間内において雨滴の付着有無を正確に検出できる。
また、この構成では、温度検出値の上昇率を第1判定時から判定時間の間の上昇率として算出する。このため、この判定時間以上を、上昇率を温度判定値と比較判定するために必要とする。これに対して、この構成では、時間を必要とする上昇率の判定より前に、雨滴の付着有無を判定するため、雨滴の付着有無の判定に不要な時間を必要としない。即ち、雨滴の付着有無を早く検出できる。
以上の構成により、構成を複雑化しないで、発光手段の照射開始から所定時間内において雨滴の付着有無を正確に検出できる。
請求項2に記載の雨滴検出装置は、発光手段が発する光の所定割合の基準光を基準光検出値として検出する基準光検出手段と、基準光検出値に対する反射光検出値の比率である光量比を算出する第2算出手段とを備え、反射光判定値に代えて光量比判定値をデータとして記憶しておくように記憶手段が構成され、データにおいて温度検出値に対応する光量比判定値を記憶手段から読み出し、反射光検出値に代えて光量比を光量比判定値と比較して雨滴の付着有無を判定するように第1判定手段が構成され、第2判定時に第1判定時の温度検出値に対応する光量比判定値を第1判定時の光量比によって更新して記憶手段に記憶させるように制御手段が構成され、第3判定時に光量比判定値を更新しないように制御手段が構成されていることを特徴とする。
この構成では、反射光検出値に代えて光量比判定値をデータとして予め記憶しておき、反射光検出値に代えて光量比を光量比判定値と比較することによって雨滴の付着有無を判定する。ここで、反射光検出値の温度特性と基準光検出値の温度特性が原理上同じになるため、基準光検出値に対する反射光検出値の光量比の温度特性は、反射光検出値の温度特性より小さくなる。これにより、反射光検出値より温度特性が小さい光量比を、光量比判定値と比較することによって雨滴の付着有無を判定できる。即ち、発光手段の照射開始から所定時間内において雨滴の付着有無をより正確に検出できる。
請求項3に記載の雨滴検出装置は、照射開始時から第3判定時に対応する第1判定時までの時間が所定時間内であることを特徴とする。この構成では、照射開始時から第3判定時に対応する第1判定時まで、温度検出値の上昇率が温度判定値より大きい状態におけるデータと比較することによって雨滴の付着有無を判定する。第3判定時に対応する第1判定時までは、温度検出値の上昇率が大きいため、上述の効果を有効に発揮できる。
請求項4に記載の雨滴検出方法は、検出対象に光を照射する発光手段と、発光手段の照射によって検出対象が反射した反射光を反射光検出値として検出する反射光検出手段と、発光手段が置かれた環境温度を温度検出値として検出する温度検出手段と、反射光判定値と温度とを組み合わせてデータとして記憶しておく記憶手段と、データにおいて温度検出値に対応する反射光判定値を記憶手段から読み出し、反射光検出値を反射光判定値と比較して検出対象に雨滴が付着しているか否かを判定する第1判定手段とを備え、発光手段の照射開始時から所定時間内において雨滴の付着有無を第1判定手段が判定するように構成されている雨滴検出装置による雨滴検出方法であって、雨滴の付着が無いと判定された第1判定時に温度検出値の上昇率を第1判定時から判定時間の上昇率として算出する算出ステップと、上昇率を温度判定値と比較判定する温度判定ステップと、上昇率が温度判定値より大きいと判定された第2判定時に第1判定時の温度検出値に対応する反射光判定値を第1判定時の反射光検出値によって更新して記憶手段に記憶させる更新ステップと、上昇率が温度判定値以下であると判定された第3判定時に反射光判定値を更新しない更新拒否ステップとを備えることを特徴とする。この検出方法により、請求項1に記載の構成と同様の効果を得ることができる。
請求項5に記載の雨滴検出方法は、発光手段が発する光の所定割合の基準光を基準光検出値として検出する基準光検出手段と、基準光検出値に対する反射光検出値の比率である光量比を算出する第2算出手段とを備え、反射光判定値に代えて光量比判定値をデータとして記憶しておくように記憶手段が構成され、データにおいて温度検出値に対応する光量比判定値を記憶手段から読み出し、反射光検出値に代えて光量比を光量比判定値と比較して雨滴の付着有無を判定するように第1判定手段が構成されている雨滴検出装置による雨滴検出方法であって、更新ステップにおいて第1判定時の温度検出値に対応する光量比判定値を第1判定時の光量比によって更新して記憶手段に記憶させ、更新拒否ステップにおいて光量比判定値を更新しないことを特徴とする。この検出方法により、請求項2に記載の構成と同様の効果を得ることができる。
本発明の雨滴検出装置と雨滴検出方法は、例えば車両、船舶、航空機等のウィンドシールドや住宅の窓等に付着した雨滴を検出するために適用される。以下、本発明の一実施形態である雨滴検出装置を、車両用のワイパ自動制御装置に適用した場合を例に図面に基づいて説明する。
(構成)
図1において、ワイパ自動制御装置は、雨滴検出装置1とワイパ駆動装置13を備え、検出対象であるウインドシールド10のガラス面11に付着した雨滴を払拭するワイパ12を駆動する。ワイパ自動制御装置と雨滴検出装置1は、イグニッションスイッチ14を介してバッテリ15から電力を供給される。雨滴検出装置1は、発光手段である発光ダイオード2と、反射光検出手段であるフォトダイオード3と、基準光検出手段であるフォトダイオード4と、温度検出手段である温度センサ6と、記憶手段であるEEPROM7と、第1判定手段と第2判定手段と第1算出手段と第2算出手段と制御手段とであるCPU8とを備える。雨滴検出装置1がガラス面11の雨滴の付着を検出すると、ワイパ駆動装置13を作動させてワイパ12を駆動するようにCPU8が構成される。
イグニッションスイッチ14がオンされると、CPU8がLED駆動回路21の作動を開始させて発光ダイオード2を点燈する。これにより、発光ダイオード2は、プリズム5を介してガラス面11を照射する。即ち、イグニッションスイッチ14がオンされると同時にガラス面11の照射を発光ダイオード2が開始するように構成される。
フォトダイオード3は、光路P1に従って、ガラス面11が反射した発光ダイオード2の発する光をプリズム5を介して受光して反射光検出値M1を出力する。ガラス面11の雨滴の付着状態に応じてフォトダイオード3の受光量が変化し、これにより、反射光検出値M1が変化する。反射光検出値M1は、増幅回路31で増幅され、図示しないA/D変換器にてデジタル変換されてCPU8に入力される。
一方、フォトダイオード4は、光路P2に従って、発光ダイオード2の発する光の所定割合の基準光をプリズム5を介して受光して基準光検出値M2を出力する。光路P2の光がガラス面11に到達していないため、基準光検出値M2は、ガラス面11の雨滴の付着状態の影響を受けない。基準光検出値M2は、増幅回路41で増幅され、図示しないA/D変換器にてデジタル変換されてCPU8に入力される。プリズム5は、透光性樹脂から形成され、発光ダイオード2の発する光が光路P1に従ってフォトダイオード3に受光されるように、且つ、発光ダイオード2の発する光が光路P2に従ってフォトダイオード4に受光されるように形成される。
発光ダイオード2と、LED駆動回路21と、フォトダイオード3,4と、増幅回路31,41と、温度センサ6と、EEPROM7と、CPU8は、回路基板9に実装される。温度センサ6は、発光ダイオード2が置かれた環境温度である回路基板9の基板温度T1を検出して温度検出値M3を出力する。温度検出値M3は、図示しないA/D変換器にてデジタル変換されてCPU8に入力される。
基準光検出値M2に対する反射光検出値M1の比率である光量比MR(=M1/M2)を算出するように、第2算出手段としてCPU8が構成される。また、後述する光量比判定値MSと温度とを互いに対応させ、データとして予め記憶しておくように、EEPROM7が構成される。
温度検出値M3の温度に対応する光量比判定値MSをEEPROM7から読み出し、光量比MRを光量比判定値MSと比較することによって、ガラス面11において雨滴の付着有無を判定するように、第1判定手段としてCPU8が構成される。具体的に、式(1)に従ってこれらを比較することにより雨滴の付着有無を判定するように、CPU8が構成される。
MR<0.98×MS・・・・(1)
式(1)を満足する場合にガラス面11に雨滴が付着していると判定し、式(1)を満足しない場合にガラス面11に雨滴が付着していないと判定する。発光ダイオード2が発する光の光量とフォトダイオード3,4が出力する検出値M1,M2が、基板温度T1に応じて変動するが、式(1)に従って雨滴の付着有無を判定することによって基板温度T1の変動による雨滴検出精度の低下を抑えることができる。これは、温度検出値M3の温度に対応する光量比判定値MSと光量比MRを比較判定するためである。また、反射光検出値M1の温度特性と基準光検出値M2の温度特性が原理上同じになるため、基準光検出値M2に対する反射光検出値M1の光量比MRの温度特性は、反射光検出値M1の温度特性より小さくなる。これにより雨滴の付着有無をより正確に検出できる。
イグニッションスイッチ14がオンされると同時にガラス面11の照射を発光ダイオード2が開始するため、図2に示すように、この開始から、発光ダイオード2の点燈により基板温度T1が上昇する。尚、図2の縦軸は、温度を示し、横軸は、イグニッションスイッチ14のオン時をゼロとするオン時からの経過時間を示す。基板温度T1は、この開始から約2分間急激に上昇し、約15分程度で安定する。例えば、経過時間がゼロ、即ち、イグニッションスイッチ14のオン時において、基板温度T1が20℃の場合、経過時間が2分において基板温度T1が約26℃となり、経過時間が15分において基板温度T1が約28℃となる。
一方、回路基板9と比較してプリズム5が発光ダイオード2と離れているため、基板温度T1の上昇と比較してプリズム5のプリズム温度T2の変動が小さい。プリズム温度T2は、イグニッションスイッチ14のオン時における基板温度T1と経過時間が2〜3分まで同等の温度であり、その後、緩やかに変動し、経過時間が10〜15分以降から、外気温の影響範囲で変動する。例えば、経過時間が2〜3分まで、プリズム温度T2が基板温度T1と同等の20℃であり、その後、緩やかに変動し、経過時間が10〜15分以降から、外気温の影響範囲の21〜23℃で変動する。
このため、基板温度T1の上昇の間、基板温度T1とプリズム温度T2との相対的関係、即ち、その温度差ΔTが大きく変動する。図2に示すように、経過時間がゼロ近傍の温度差ΔTに比較して、それ以降の、例えば、経過時間が6分近傍の温度差ΔTが大きくなっている。
ガラス面11に雨滴の付着が無いとCPU8が判定した第1判定時t1から判定時間Δtの間における温度検出値M3の平均温度勾配を上昇率MGとして算出するように、第1算出手段としてCPU8が構成される。具体的に、第1判定時t1と判定時間Δtの間に温度検出値M3が上昇した上昇分ΔSを判定時間Δtで割る以下の式(2)によって算出する。
MG=ΔM/Δt・・・・(2)
温度検出値M3は、基板温度T1を表すため、上昇分ΔSは、図3において第1判定時t1と判定時間Δtの間に基板温度T1が上昇した上昇分ΔT1を表す。即ち、式(2)は、以下の式(2a)を意味する。式(2a)において、基板温度T1の上昇率TGは、上昇率MGに対応する。
TG=ΔT1/Δt・・・・(2a)
以上に加えて、CPU8は、第2判定手段と制御手段として構成される。即ち、上昇率MGが温度判定値MGSより大きいか否かを、以下の式(3)によって判定するように、第2判定手段としてCPU8が構成される。
MG>MGS・・・・(3)
例えば、Δtを2分とし、基板温度T1の上昇率TGの温度判定値が0.25℃/分となるように、温度検出値M3の上昇率MGの温度判定値MGSを設定する。
また、上昇率MGが温度判定値MGSより大きいと判定された第2判定時t2に、第1判定時t1の温度検出値M3に対応する光量比判定値MSを第1判定時t1の光量比MRによって更新してEEPROM7に記憶させるように、制御手段としてCPU8が構成される。また、上昇率MGが温度判定値MGS以下であると判定された第3判定時t3に、光量比判定値MSを更新しないように、制御手段としてCPU8が構成される。
(作動)
以下、CPU8が制御プログラムにしたがって実施する雨滴検出処理について、図4のフローチャート図に基づいて説明する。
イグニッションスイッチ14をオンすることによって制御プログラムをスタートし(ステップS1)、CPU8のRAMを初期化(ステップS2)すると共に、LED駆動回路21の作動を開始させて発光ダイオード2を点燈する。これにより、発光ダイオード2は、プリズム5を介してガラス面11を照射する。尚、図4においてイグニッションスイッチ14のオン時が、図2、3において経過時間がゼロ時に対応する。
フォトダイオード3は、光路P1に従ってガラス面11が反射した発光ダイオード2の発する光を受光して反射光検出値M1を出力し、フォトダイオード4は、光路P2に従って発光ダイオード2の発する光の所定割合の基準光を受光して基準光検出値M2を出力する。温度センサ6は、発光ダイオード2の点灯によって上昇する基板温度T1を検出して温度検出値M3を出力する。ステップS3において、フォトダイオード3から反射光検出値M1を入力し、フォトダイオード4から基準光検出値M2を入力し、温度センサ6から温度検出値M3入力する。
ステップS3の後、光量比MR(=M1/M2)を算出し(ステップS4)、温度検出値M3の温度に対応する光量比判定値MSをEEPROM7から読み出し(ステップS5)、式(1)に従って光量比MRを光量比判定値MSと比較することによって、ガラス面11において雨滴の付着有無を判定する(ステップS6)。
ステップS6が「YES」の場合、即ち、式(1)を満足する場合、つまり、ガラス面11に雨滴が付着していると判定された場合、ワイパ駆動装置13を作動させてワイパ12を駆動する(ステップS7)。ステップS7の後、ステップS2へ戻ってステップS2−S6を行う。
ステップS6が「NO」の場合、即ち、式(1)を満足しない場合、つまり、ガラス面11に雨滴が付着していないと判定された第1判定時t1には、算出ステップであるステップS8へ進み、式(2)に従って上昇率MGを算出する。ステップS8の後、温度判定ステップであるステップS9において、上昇率MGが温度判定値MGSより大きいか否かを、式(3)によって判定する。
ステップS9が「YES」の場合、即ち、式(3)を満足する場合、つまり、上昇率MGが温度判定値MGSより大きいと判定された第2判定時t2に、更新ステップであるステップS10へ進む。ステップS10において、第1判定時t1の温度検出値M3に対応する光量比判定値MSを第1判定時t1の光量比MRによって更新してEEPROM7に記憶させ、ステップS10の後、ステップS2へ戻ってステップS2−S6を行う。
ステップS9が「NO」の場合、即ち、式(3)を満足しない場合、つまり、上昇率MGが温度判定値MGS以下であると判定された第3判定時t3に、更新拒否ステップであるステップS11へ進み、光量比判定値MSを更新しない。ステップS11の後に、この制御プログラムを終了する。
以上の構成により、イグニッションスイッチ14のオン時から、即ち、発光ダイオード2の照射開始からガラス面11において雨滴の付着有無を検出し、ステップS9において温度検出値M3の上昇率MGが温度判定値MGSより大きいと判定された場合に、第1判定時t1の温度検出値M3に対応する光量比判定値MSを第1判定時t1の光量比MRによって更新する。ここで、発光ダイオード2の照射開始から所定時間内においては、図2,3に示すように、基板温度T1の上昇率TG(=ΔT1/Δt)が大きい。即ち、光量比判定値MSの更新後において、温度検出値M3の上昇率MGが大きい状態における光量比MRを、温度検出値M3の上昇率MGが温度判定値MGSより大きい状態において更新された光量比判定値MSと比較することによって雨滴の付着有無を判定できる。このため、温度検出値M3の上昇率MGが大きい状態において、経時的な変動を含めて基板温度T1の変動による雨滴検出精度の低下を抑えることができる。
また、この構成では、温度検出値M3の上昇率MGが温度判定値MGS以下であると判定された場合に光量比MRによって光量比判定値MSを更新しない。これにより、温度検出値M3の上昇率MGが大きい状態における光量比MRを、温度検出値M3の上昇率MGが温度判定値MGS以下である状態において更新された光量比判定値MSと比較することによって雨滴の付着有無を判定してしまうことを防止できる。即ち、誤判定してしまうことを防止できる。
これらの結果、プリズム5の温度T2を検出する温度センサ等を新たに追加することなく、発光ダイオード2の照射開始から所定時間内において雨滴の付着有無を正確に検出できる。
また、温度検出値M3の上昇率MGを第1判定時t1から判定時間Δtの間の平均温度勾配として算出する。このため、この判定時間Δt以上を、上昇率MGが温度判定値MGSより大きいか否かを判定するために必要とする。これに対して、判定時間Δt以上の時間を必要とするステップS8,S9より前に、ステップ6を行うため、雨滴の付着有無の判定に不要な時間を必要としない。即ち、雨滴の付着有無を早く検出できる。
また、ステップS11の後に、この制御プログラムを終了するため、ステップS11に対応するステップ6の終了時の第1判定時t1において、雨滴の付着有無の判定が終了している。即ち、発光ダイオード2の照射開始時(イグニッションスイッチ14のオン時)から第3判定時t3に対応する第1判定時t1まで、温度検出値M3の上昇率MGが温度判定値MGSより大きい状態における光量比判定値MSと比較することによって雨滴の付着有無を判定できる。第3判定時t3に対応する第1判定時t1までは、温度検出値M3の上昇率MGが大きいため、上述の効果を有効に発揮できる。
尚、出荷前において、発光ダイオード2の照射開始から所定時間内において雨滴の付着有無を判定できる(ステップS6)値として光量比判定値MSを、EEPROM7に予め記憶しておく。
(変形例)
上述の例では、ステップS8−S11を行っている場合、ステップS2−S7を行わない構成としたが、これに限らない。ステップS8−S11を行っている場合においても、ステップS2−S7を行なう構成とし、イグニッションスイッチ14のオン時から例えば3分の経過時点で、ステップS2−S7を強制的に終了する構成とすることも可能である。この構成では、ステップS2−S7を強制的に終了した後においても、ステップS8−S11が終了するまでステップS8−S11を行う構成とする。
また、図1に示した雨滴検出装置1からフォトダイオード4と増幅回路41とを取除く構成とすることが可能である。本変形例では、光量比判定値MSに代えて反射光判定値MS1をデータとして予めEEPROM7に記憶しておき、反射光検出値M1を反射光判定値MS1と比較することによって雨滴の付着有無を判定する。
以下、図5のフローチャート図に基づいて、本変形例のCPU8が制御プログラムにしたがって実施する雨滴検出処理について説明する。
イグニッションスイッチ14をオンすることによって制御プログラムをスタートし(ステップS1)、CPU8のRAMを初期化(ステップS2)すると共に、LED駆動回路21の作動を開始させて発光ダイオード2を点灯する。ステップS3において、フォトダイオード3から反射光検出値M1を入力し、温度センサ6から温度検出値M3入力する。
ステップS3の後、温度検出値M3の温度に対応する反射光判定値MS1をEEPROM7から読み出し(ステップS4)、式(1)に従って反射光検出値M1を反射光判定値MS1と比較することによって、ガラス面11において雨滴の付着有無を判定する(ステップS5)。したがって、本変形例では、図4に示したステップS4が取除かれる。
ステップS5が「YES」の場合、ワイパ12を駆動し(ステップS6)、ステップS6の後、ステップS2へ戻ってステップS2−S5を行う。
ステップS5が「NO」の場合の第1判定時t1には、算出ステップであるステップS7へ進み、式(2)に従って上昇率MGを算出する。ステップS7の後、温度判定ステップであるステップS8において、上昇率MGが温度判定値MGSより大きいか否かを、式(3)によって判定する。
ステップS8が「YES」の場合の第2判定時t2に、更新ステップであるステップS9へ進む。ステップS9において、第1判定時t1の温度検出値M3に対応する反射光判定値MS1を第1判定時t1の反射光検出値M1によって更新してEEPROM7に記憶させる。ステップS9の後、ステップS2へ戻ってステップS2−S5を行う。
ステップS8が「NO」の場合の第3判定時t3に、更新拒否ステップであるステップS10へ進み、反射光判定値MS1を更新しない。ステップS10の後に、この制御プログラムを終了する。
以上の構成により、上述の効果と同様の効果を得ることができる。
以上、本発明による雨滴検出装置1は、検出対象であるガラス面11に光を照射する発光手段である発光ダイオード2と、発光ダイオード2の照射によってガラス面11が反射した反射光を反射光検出値M1として検出する反射光検出手段であるフォトダイオード3と、発光ダイオード2が置かれた環境温度である基板温度T1を温度検出値M3として検出する温度検出手段である温度センサ6と、反射光判定値MS1と温度とを組み合わせてデータとして記憶しておく記憶手段であるEEPROM7と、データにおいて温度検出値M3に対応する反射光判定値MS1をEEPROM7から読み出し、反射光検出値M1を反射光判定値MS1と比較してガラス面11に雨滴が付着しているか否かを判定する第1判定手段であるCPU8と、雨滴の付着が無いと判定された第1判定時t1に温度検出値M3の上昇率MGを第1判定時t1から判定時間Δtの間の上昇率として算出する第1算出手段であるCPU8と、上昇率MGを温度判定値MGSと比較判定する第2判定手段であるCPU8と、上昇率MGが温度判定値MGSより大きいと判定された第2判定時t2に第1判定時t1の温度検出値M3に対応する反射光判定値MS1を第1判定時t1の反射光検出値M1によって更新してEEPROM7に記憶させる制御手段であるCPU8とを備え、上昇率MGが温度判定値MGS以下であると判定された第3判定時t3に反射光判定値MS1を更新しないようにCPU8が構成され、発光ダイオード2の照射開始時から所定時間内において雨滴の付着有無をCPU8が判定するように構成されている。
これにより、構成を複雑化しないで、発光手段の照射開始から所定時間内において雨滴の付着有無を正確に検出できる雨滴検出装置および雨滴検出方法を提供できる。
尚、上述した例に限らないで、これらの組み合わせや、他の種々の変形例が考えられる。
図1は、本発明の一実施形態による雨滴検出装置1を自動車のワイパ自動制御装置に適用した例を示す構成図である 図2は、回路基板9の基板温度T1とプリズム5の温度T2と経過時間の関係を示すグラフである。 図3は、基板温度T1の上昇率TG1を説明するためのグラフである。 図4は、雨滴検出装置1による雨滴検出方法を示すフローチャート図である。 図5は、図4の変形例を示すフローチャート図である。
符号の説明
1 雨滴検出装置、2 発光ダイオード(発光手段)、21 LED駆動回路
3 フォトダイオード(反射光検出手段)、31 増幅回路
4 フォトダイオード(基準光検出手段)、41 増幅回路
5 プリズム、6 温度センサ(温度検出手段)、7 EEPROM(記憶手段)
8 CPU(第1判定手段、第1算出手段、第2判定手段、第2算出手段、制御手段)
9 回路基板、10 ウインドシールド、11 ガラス面(検出対象)、12 ワイパ
13 ワイパ駆動装置、14 イグニッションスイッチ、15 バッテリ

Claims (5)

  1. 検出対象に光を照射する発光手段と、
    前記発光手段の照射によって前記検出対象が反射した反射光を反射光検出値として検出する反射光検出手段と、
    前記発光手段が置かれた環境温度を温度検出値として検出する温度検出手段と、
    反射光判定値と温度とを組み合わせてデータとして記憶しておく記憶手段と、
    前記データにおいて前記温度検出値に対応する前記反射光判定値を前記記憶手段から読み出し、前記反射光検出値を該反射光判定値と比較して前記検出対象に雨滴が付着しているか否かを判定する第1判定手段と、
    前記雨滴の付着が無いと判定された第1判定時に、前記温度検出値の上昇率を該第1判定時から判定時間の間の上昇率として算出する第1算出手段と、
    前記上昇率を温度判定値と比較判定する第2判定手段と、
    前記上昇率が前記温度判定値より大きいと判定された第2判定時に、前記第1判定時の前記温度検出値に対応する前記反射光判定値を該第1判定時の前記反射光検出値によって更新して前記記憶手段に記憶させる制御手段とを備え、
    前記上昇率が前記温度判定値以下であると判定された第3判定時に、前記反射光判定値を更新しないように前記制御手段が構成され、
    前記発光手段の照射開始時から所定時間内において前記雨滴の付着有無を第1判定手段が判定するように構成されていることを特徴とする雨滴検出装置。
  2. 前記発光手段が発する光の所定割合の基準光を基準光検出値として検出する基準光検出手段と、
    前記基準光検出値に対する前記反射光検出値の比率である光量比を算出する第2算出手段とを備え、
    前記反射光判定値に代えて光量比判定値をデータとして記憶しておくように前記記憶手段が構成され、
    前記データにおいて前記温度検出値に対応する前記光量比判定値を前記記憶手段から読み出し、前記反射光検出値に代えて前記光量比を該光量比判定値と比較して前記雨滴の付着有無を判定するように前記第1判定手段が構成され、
    前記第2判定時に、前記第1判定時の前記温度検出値に対応する前記光量比判定値を該第1判定時の前記光量比によって更新して前記記憶手段に記憶させるように前記制御手段が構成され、
    前記第3判定時に、前記光量比判定値を更新しないように前記制御手段が構成されていることを特徴とする請求項1に記載の雨滴検出装置。
  3. 前記照射開始時から、前記第3判定時に対応する前記第1判定時までの時間が前記所定時間内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の雨滴検出装置。
  4. 検出対象に光を照射する発光手段と、該発光手段の照射によって該検出対象が反射した反射光を反射光検出値として検出する反射光検出手段と、該発光手段が置かれた環境温度を温度検出値として検出する温度検出手段と、反射光判定値と温度とを組み合わせてデータとして記憶しておく記憶手段と、該データにおいて該温度検出値に対応する該反射光判定値を該記憶手段から読み出し、該反射光検出値を該反射光判定値と比較して前記検出対象に雨滴が付着しているか否かを判定する第1判定手段とを備え、該発光手段の照射開始時から所定時間内において該雨滴の付着有無を該第1判定手段が判定するように構成されている雨滴検出装置による雨滴検出方法であって、
    前記雨滴の付着が無いと判定された第1判定時に、前記温度検出値の上昇率を該第1判定時から判定時間の上昇率として算出する算出ステップと、
    前記上昇率を温度判定値と比較判定する温度判定ステップと、
    前記上昇率が前記温度判定値より大きいと判定された第2判定時に、前記第1判定時の前記温度検出値に対応する前記反射光判定値を該第1判定時の前記反射光検出値によって更新して前記記憶手段に記憶させる更新ステップと、
    前記上昇率が前記温度判定値以下であると判定された第3判定時に、前記反射光判定値を更新しない更新拒否ステップとを備えることを特徴とする雨滴検出方法。
  5. 前記発光手段が発する光の所定割合の基準光を基準光検出値として検出する基準光検出手段と、該基準光検出値に対する該反射光検出値の比率である光量比を算出する第2算出手段とを備え、前記反射光判定値に代えて光量比判定値をデータとして記憶しておくように前記記憶手段が構成され、該データにおいて前記温度検出値に対応する該光量比判定値を該記憶手段から読み出し、該反射光検出値に代えて該光量比を該光量比判定値と比較して前記雨滴の付着有無を判定するように前記第1判定手段が構成されている前記雨滴検出装置による雨滴検出方法であって、
    前記更新ステップにおいて、前記第1判定時の前記温度検出値に対応する前記光量比判定値を該第1判定時の前記光量比によって更新して前記記憶手段に記憶させ、
    前記更新拒否ステップにおいて、前記光量比判定値を更新しないことを特徴とする請求項4に記載の雨滴検出方法。
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