JP2008128650A - プローブカード用接触子及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐摩耗性に優れ,電気抵抗が小さく,電極屑が付着し難いという特性を長期間発揮すると共に,酸化被膜の貫通性が良いプローブカード用接触子を,環境や生態系等に対する負荷の少ない方法で得る。
【解決手段】シリコンウエハー上に作製したIC回路の検査に使用するプローブカードに設けられた接触子10であり,この接触子10は,検査対象である前記IC回路の電極パッド20と電気的に接触するものである。この接触子10の前記電極パッドとの接触部分10aに,気相成長法,好ましくはCVD法,例えば熱フィラメントCVD法により,ホウ素等の不純物をドーピングしながら導電性ダイヤモンドの多結晶体を成長させて被膜11を形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は,ICやLSI等の半導体デバイスの製造工程で,シリコンウエハー上に作製されたIC回路の良・不良の判定(所謂「ウエハーテスト」。)に使用されるプローブカードに用いられ,IC回路の電極パッドと電気的に接触される接触子,及び前記接触子の製造方法に関する。
ICやLSI等の半導体デバイスの製造工程を大別すると,「前工程」と,これに続く「後工程」の2つの工程に分けることができる。
このうちの「前工程」は,多数のプロセスを経て,最終的にシリコンウエハー上に複数のIC回路(ICチップ)を作製する工程である。
一方,前記「後工程」は,前工程で完成したシリコンウエハー上のICチップを切り分け(ダイシング),良品チップをリードフレーム上に載置し(マウント),チップ上の電極とリードフレーム上の電極を金線で結線し(ボンディング),ICチップをモールドし,更にリードのメッキや形状加工等,多くの工程を経てICやLSIを完成させる工程である。
以上のようにICやLSI等の半導体デバイスの製造工程において,前工程でシリコンウエハー上に作製された個々のIC回路は,ダイシングにより個々のチップとして切り出される前に,それぞれの良・不良を判定するための前述のウエハーテストが行われ,ダイシングにより切り出された後,この検査によって良品とされたチップのみが後工程に送られる。
このウエハーテストは,測定用ステージに検査対象とするシリコンウエハーをセットし,このシリコンウエハー上に形成されたIC回路の電極パッドに数十から数千本にも及ぶプローブ(接触子)を電気的に接触させて行われる。
そのために前述のウエハーテストは,予めIC回路の全電極パッドの配置に合わせて前記接触子が配置されたプローブカードを使用して行われ,このプローブカードを検査装置のテスタ等に接続すると共に,プローブカードの接触子をIC回路の電極パッドに接触させ,その後,予めプログラムされている入力信号波形をIC回路の入力電極パッドから入力し,IC回路の出力電極パッドを介して出力された信号波形を,前記テスタに読み取らせ,各IC回路の良否判断を行っている。
以上のようなウエハーテストに使用されるプローブカードの接触子は,前述したようにIC回路の電極パッドと電気的に接触する必要があるが,IC回路の電極パッドとして一般に使用されているAl電極では,表面に生じている酸化被膜の存在により接触子と電極パッドとの電気的な接触が妨げられる場合がある。
そのため,前述のプローブカードに設けた接触子は,電極パッドとの接触部分を先細りの鋭利な形状とする等,電極パッド表面の酸化被膜を削り取ることができる形状に形成されていると共に,図4に示すように,接触子10と電極パッド20との接触時,両者を相対的に移動させながら摺接して,接触子10の先端に酸化被膜22を削り取り,確実に電気的な接触が得られるようにしている。
このように,プローブカードの接触子10には,電極パッド20表面の酸化被膜22を削り取り,確実に電気的な接触が行われることが要求されることから,接触子10には前述のように酸化被膜22を削り取ることができる形状的な特徴,及びこのような形状に加工し得る加工性等が要求されると共に,電極パッド20との度重なる摺接に耐え得る耐摩耗性が要求される。
また,現状では一般にプローブカードにおける接触子の放熱特性までは着目されることはないが,発熱が原因と考えられる先端異常(溶着,溶解)等も確認されていることから,プローブカードの接触子が,摺接時に生じる摩擦熱,その他の熱を早期に放熱する放熱性等を備えるものであることが好ましい。
また,前述のように電極パッド20との摺接により,電極パッド20や酸化被膜22が削れて生じた電極屑が接触子10に付着すれば接触不良等の原因となることから,このようにして付着した電極屑のクリーニング手段が盛んに提案されている。しかし,このような付加的なクリーニング手段によらず,接触子自体,電極屑が付着し難い性質であれば極めて便利である。
さらに,プローブカードの接触子には,半導体デバイスの高性能化,高集積化に伴う改良も要求されており,前述の接触子はプローブカードの通電部品であるが故に,高周波への対応,大電流への対応等の電気的特性の向上,例えば電気抵抗が小さいこと等もその特性として要求されている。
そして,接触子がこれらの性能を満足していないこと,例えば耐久性不足により生じる頻繁な交換,電極屑の付着によるクリーニング等のメンテナンス作業等の増加は,半導体検査装置のランニングコストを増加させ,このコスト増加はそのまま半導体デバイスの価格に反映されるために,廉価な半導体デバイスの提供を阻害する要因となる。
接触子に対するこのような要求に対し,従来のプローブカード用接触子にあっては,接触子の合金材料を選択し,又は接触子に金属メッキ膜を形成することにより,前述したような特性の向上が図られてきた。
しかし,接触子の材質(合金材料)を選択することによって特性の向上を得ようとすれば,例えば材質の高硬度化は耐摩耗性の向上をもたらすものの,加工性を低下させるためにより一層の先端加工技術の高度化が要求され,接触子が極めて高価なものとなる。
一方,金属メッキによって要求される特性を付与しようとする場合,電極パッドとの接触摩擦によってこのメッキが摩耗や剥離等した場合には,最早所望の特性を発揮させることはできず,交換が必要となる。
なお,環境や生態系等に対する社会の感覚が鋭敏化した今日にあっては,分野を問わず,あらゆる製品の製造等が環境や生態系に対して低負荷で行われることが要求されており,このような要求はプローブカード用の接触子の製造においても例外ではない。
そして,前述したような合金化等に伴う材質の選定や金属メッキ膜の形成では,有害な重金属や薬品等が使用され,排出される場合も多く,この場合には環境等に対する負荷の少ない製品作りという要求にも対応することができない。
なお,耐用寿命が長く,安定した検査を行うことができるプローブピン(接触子)を提供するために,タングステン(W)等のVa属又はVla属(後掲の特許文献1には,「Va属又はVla属」と記載されているが,正しくは「Vb属,VIb属」と思われる。)の単金属もしくはこれらの合金よりなる針状体の,少なくとも電極パッドとの接触部を,気相合成法によるダイヤモンド被膜で被覆し,このダイヤモンド被覆の外表面にニッケル等の導電性金属を被覆した接触子も提案されている〔特許文献1の請求項1他;図5(A)参照〕。
この発明の先行技術文献情報としては、次のものがある。
特開平9−89930号公報
前記特許文献1として説明した従来技術の構成にあっては,図5(A)に示すようにプローブピン(接触子)10の電極パッド20との接触部分10aにダイヤモンド被膜11を形成したことから,このダイヤモンド被膜11の下層側に形成されているタングステン基体10’を摩耗等から保護することはできる。
しかし,特許文献1の接触子10にあっては,ダイヤモンド被膜11と,その外表面の導電性金属被膜(ニッケル被膜)12という,2種類の被膜の形成が必要であり,製造コストが嵩む。
しかも,ダイヤモンド被膜11の外表面に形成された,ニッケル被膜12は,ダイヤモンド被膜11による保護を受けていないため,IC回路の電極パッド20との接触時の摩擦によって摩耗し,その下層に形成されたダイヤモンド被膜11が露出する〔図5(B),図5(C)参照〕。
このニッケル被膜12は,絶縁材料であるダイヤモンド被膜11で被覆された接触子10に導電性を付与するために設けられたものであるために(特許文献1の「0023」欄),その消失は接触子10と電極パッド20との電気的な接触が不能となる。
この点に関し,前掲の特許文献1における説明では,ニッケル被膜12が摩耗した図5(B)に示す状態においても,側面部分に残ったニッケル被膜12によって電極パッド20との電気的な接触が行われるとするが(特許文献1の「0017」欄),図4を参照して説明したように,接触子10は,その先端部分が酸化被膜22を削り取るように摺接されていることから,電極パッド20に対する接触子10の接触は,先端の平面部分のみならず側面部分においても行われ,図5(C)に示すように側面に形成されたニッケル被膜12についても一部摩耗して,電極パッド20に対する電気的な接触が行われなくなる。
また,仮に特許文献1の説明の通り図5(B)に示す状態の側面部分に残った金属被膜12によって電気的な接触が行われるとしても,通電部分の接触面積は極めて狭く不安定であり,接触子10と電極パッド20との相対的な位置関係が僅かに変位しただけでも接触不良が生じ得る。
さらに,前記特許文献1に記載のプローブピン(接触子)においても,ダイヤモンド被膜を形成したことにより電極屑等が付着し難いという効果が得られるとするが(特許文献1「0017」欄),この効果は,ダイヤモンド被膜11の外表面に形成されたニッケル被膜12が摩耗してダイヤモンド被膜が露出する迄は得ることができず,ダイヤモンド被膜11が露出する迄の間はクリーニング等によるメンテナンス作業が必要となる。
一方,ダイヤモンド被膜が露出した後は,前述したように電気的な接触ができないか,又は不安定となり,プローブカードの交換が必要となるため,電極屑が付着し難いという前述の効果は,実質上,特許文献1の構成では享受できるものとはなっていない。
本発明は,上記従来技術における欠点を解消するために成されたものであり,耐摩耗性に優れ,電気抵抗が小さく,電極屑が付着し難いという効果のいずれ共に,使用の開始直後から,寿命を全うする迄の間中,安定して得ることができると共に,長期間これらの効果が失われず,しかも,酸化被膜を削り取る形状とすることができるプローブカード用接触子を,環境や生態系等に対する負荷の少ない方法で得ることを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のプローブカード用接触子及びその製造方法は,シリコンウエハー上に作製したIC回路の検査に使用するプローブカードに設けられ,検査対象である前記IC回路の電極パッド20と電気的に接触する接触子10において,
前記電極パッドとの接触部分10aを,不純物をドーピングした導電性ダイヤモンドの多結晶体から成る被膜11,好ましくは,気相成長法により不純物をドーピングしながら成長させた前記導電性ダイヤモンドの多結晶体から成る被膜11でコーティングしたことを特徴とする(請求項1,5)。
前記構成のプローブカード用接触子において,前記被膜11は,原料ガス,キャリアガス及び不純物ガスの共存下においてこれをCVD法により作製することができる(請求項2,6)。
また,前記不純物としては形成されたダイヤモンド被膜に導電性を付与することができるものであれば各種のものを使用することができ,形成されたダイヤモンド被膜をリン、硫黄等を不純物として添加してn型とする研究もされているが,好ましくはホウ素(B)を使用し,該ホウ素(B)のドーピングにより前記被膜11にp型の電気伝導性を付与する(請求項3,6)。
なお,前記接触子10の基材としては,これをタングステン(W)又はタングステン合金を使用することができる(請求項4,8)。
以上で説明した本発明の構成により,物質中で最高の硬度を持つダイヤモンド被膜11が形成された接触部10aは,極めて摩耗が生じ難く,しかもこのダイヤモンド被膜11自体が導電性を有するために,長期間に亘って電気的に安定した電極パッド20との接触状態を確保できる接触子を提供することができる。
また,表面に形成されたダイヤモンド被膜11は,耐摩耗性に優れるだけでなく,電極屑等の汚れが付着し難いことから,プローブカードの交換や,接触子10先端のクリーニング等の頻度を減少させることができ,その結果,交換やメンテナンスに要するコストを低減することができた。
気相成長法により不純物をドーピングしながら前記ダイヤモンド被膜を成長させることで,ダイヤモンド被膜の形成と導電性の付与を同時に行うことができ,めっき層の形成等,導電性を得るための別途の工程を設ける必要がなく,作業工数を減らすことができると共に,めっき層の形成等に必要な装置類が不要となった。
また,前記方法によりドーピングを行うことで得られたダイヤモンド被膜11にあっては,不純物を高濃度でドーピングすることができ,ダイヤモンド被膜11の電気抵抗を低く抑えることができ,その結果,電気的な特性においても優れた接触子10を得ることができた。
さらに,ダイヤモンドの結晶は,角のあるとがった形状を成し,多結晶構造のダイヤモンド被膜は,表面に多数の微小な突起が形成されることから(図3参照),電極パッドと接触させた際にこの突起が酸化被膜22を貫通してその下のAl層に接触するために,接触子10の先端形状を電極パッド20表面の酸化被膜22を削り取るに適した例えば鋭利な形状等に加工する必要がなく,高精度の形状加工を省略することができると共に,形状についての設計の自由度が増した。
さらに,前述のようにダイヤモンド被膜の成形と同時に酸化被膜を貫通するメカニズムを有することとなるため、コンタクト時の荷重を低くすることが可能となり、ウエハーパッドへの傷跡が小さくなる。
また,前述した導電性ダイヤモンドの被膜は,原料中に重元素等の有毒元素や放射性元素等の環境や生態系に対して負荷の大きい元素が含まれていないため,従来の合金やメッキによる材料開発に比較して排出物の安全性が高い。
なお,前記ダイヤモンド被膜11の形成を,メタンガス等の原料ガス,水素ガス等のキャリアガス及びトリメチルボロン(TMB)等の不純物ガスの共存下において,熱フィラメントCVD法等のCVD法で得る場合には,1バッチで大量の接触子を製造することができると共に,原料が安価であるために低コストでの接触子の製造が可能である。
さらに,大掛かりな製造設備等が不要であり,初期投資を低く抑えることができると共に,排出物質の安全性が高く,環境や生態系等に対する負荷の低減された方法で,前述した優れた効果を有する接触子10を製造することができた。
次に、本発明の実施形態につき添付図面を参照しながら以下説明する。
1.接触子の基本形状等
本発明のプローブカード用接触子10は,従来技術として説明したと同様,プローブカードの個々のプローブ針として使用されるもので,検査対象となるシリコンウエハー上に形成されたIC回路の電極パッド20と接触して,電気的な接続を確率し得るものであれば如何なる形状に形成しても良く,一例として本実施形態にあっては,図1に示すように,一端側に向かって先細りのテーパ状に形成された略針状に形成すると共に〔図1(A)参照〕,その先端部分を屈折させて鉤状とし〔図1(B)〕,図4を参照して説明した従来の接触子(プローブ針)と同様にして電極パッド20との接触が行われるようにした。
一例として,各部のサイズは,直径D1が0.2mm,全長L1が50mm,先端部の直径D2が0.03mm,テーパ部の全長L2が2mmである〔図1(A)参照〕。
本実施形態にあっては,このプローブ針を,先端からの長さ200μmの位置でθが103°となるように曲折したものを使用した。
もっとも,本発明の対象とする接触子は,前記形状のものに限定されず,テーパ部を有しない形状のものであっても良く,また,図1(B)に示すものとは異なり,屈曲されていない直線状のものを使用しても良く,各種形状の接触子に対して適用可能であり,その形状は,図1(B)に示すものに限定されない。
この接触子10の基体(ダイヤモンド被膜11を除く部分)10’を構成する材質は,後述する多結晶構造の導電性ダイヤモンド被膜11を形成可能な材質であれば,如何なる材質を使用しても良いが,好ましくはタングステン,及びレニウム含有タングステン等のタングステン合金を使用する。一例として本実施形態にあっては,既知のプローブ針の材質として一般的であるタングステンによって,前記接触子10の基体10’を作製した。
このように形成された接触子の基体10’の,電極パッド20と接触される部分を含む先端部分,図1を参照して説明した接触子にあっては,先端から0.1〜1mmの範囲に,多結晶構造を成す導電性ダイヤモンドの被膜を形成した。
2.ダイヤモンド被膜
ダイヤモンドの被膜は,現在,半導体分野や電気材料の分野で種々の製膜方法が提案されており,これらの各種の方法を使用して作製することができる。
このようなダイヤモンドの製膜技術の一例として,MO−CVD法,熱フィラメントCVD法,マイクロ波プラズマCVD法,燃焼炎法,ECRマイクロ波プラズマCVD法,電気分解法等を挙げることができ,好ましくは気相成長によって製膜する。
本実施形態にあっては,大規模部品や高額な機材を必要としないため経済的であると共に,有害ガスの発生がない熱フィラメントCVD法により前述のダイヤモンドを製膜した。
一般には絶縁性物質であるダイヤモンドに導電性を持たせるために,本発明では前述の熱フィラメントCVD法によるダイヤモンドの製膜工程において併せて不純物のドーピングを行い,製膜されたダイヤモンドに電気伝導性を持たせた。本実施形態にあっては,この不純物としてホウ素のドーピングを行い,得られたダイヤモンド被膜にp型の電気導電性を持たせた。
このように,ダイヤモンド被膜の成長中に併せてドーピングを行うことで,めっき等による金属被膜の形成を行うことなくダイヤモンド被膜自体に低電気抵抗率の導電性を付与することができる。
3.ダイヤモンド被膜の製造方法
前記ダイヤモンドの製膜方法の一例を示せば,以下の通りである。
(1)製膜装置
図2中の30は,前記ダイヤモンド被膜11の形成に使用した熱フィラメントCVD装置である。
この熱フィラメントCVD装置30は,内部を真空状態に吸引可能なチャンバー31と,このチャンバー31内に,メタン,エチルアルコール,アセトン等の炭化水素から成る原料ガス(炭素源)を導入するガスボンベ32,B26,B23,B2(CH3)3,B(OCH3)3等の不純物であるホウ素を含む不純物ガスを導入するガスボンベ34,及び前記原料ガスや不純物ガスを希釈する,水素ガス等のキャリアガスを導入するガスボンベ33,及びそれぞれのガスボンベ32〜34と前記チャンバー31間のガス導入流路に設けられ,前記チャンバー31に対する各ガスの導入量を制御するマスフローコントローラ(MFC)32a,33a,34aを備えている。
また,前述のチャンバー31内には,前記チャンバー31外に配置された電源35に接続された電極36a,36bと,この電極36a,36b間に設けられたタンタル線等の熱フィラメント線37が配置されており,この熱フィラメント線37によってチャンバー31内を高温空間とすることができるように構成されていると共に,この熱フィラメント線37の下方に,処理対象となる接触子の基体10’を載置する作業台38が設けられて,本実施形態にあってはこの作業台38上に取付治具39に取り付けた接触子の基体10’を載置している。
このチャンバー31には,このチャンバー31内を吸引するための真空ポンプ41が設けられていると共に,この真空ポンプ41によって吸引されたチャンバー31内のガスを導入して,例えば再利用可能なガス等を回収するためのガス回収装置42が設けられ,該ガス回収装置42で処理された後の排気ガスが,機外にパージされるように構成されている。
なお,図3中43は,チャンバー31内の圧力を測定する圧力計である。
(2)製造条件等
以上のように構成された熱フィラメントCVD装置30のチャンバー31内に,図1を参照して説明したタングステン製の接触子(基体)10’を収容する。
チャンバー31内に対する接触子(基体)10’の収容は,前述したように取付治具39等にこれを固定して行うことができ,この場合,ダイヤモンド被膜11を形成する接触子(基体)10’の部分が取付治具39によって覆われることなく,露出するように取り付ける。
このようにして,ダイヤモンド被膜11が未形成の状態にある接触子(基体)10’をチャンバー31内に収容した後,チャンバー31内の圧力を真空ポンプ41によって吸引した後,キャリアガスとしてガスボンベ33内の水素ガス95〜99.9%,好ましくは97〜99.5%,原料ガスとしてガスボンベ32内のメタンガス0.1〜5%,好ましくは0.5〜3%,不純物ガスとしてガスボンベ34内のB2(CH3)3(0.1 ppm 〜 100 ppm)をそれぞれ導入し,5〜200Torr,好ましくは20〜160Torrとし,タンタルフィラメント線37でチャンバー31内を加熱してダイヤモンド被膜の成長を行い,約0.3〜10μm,好ましくは1〜5μm厚のダイヤモンド被膜11を作製した。
以上のようにして得たダイヤモンド被膜11の表面顕微鏡写真を図3に示す。
(3)性能評価等
(3−1)耐摩耗性及び電極屑の付着性
以上のようにして,接触子10の電極パッド20との接触部分10aに形成されたダイヤモンド被膜11は,物質中で最高の硬度を誇るダイヤモンドによって構成された高硬度のものであることから,長期間に亘る使用によっても摩耗等が生じず,Al電極との接触試験において,10万回の使用後の観察においてもダイヤモンド被膜11の摩滅は確認できなかった。
また,併せて観察した電極屑の付着状態においても,洗浄等が必要となる程の電極屑の付着は確認できず,前記使用回数での電極屑の付着による洗浄等のメンテナンスは不要であった。
(3−2)導電性
形成されたダイヤモンド被膜の表面抵抗は,100mΩ以下で,十分に低い値であり,プローブカードの接触子10として要求される電気的特性を満たすものであった。
(3−3)電極パッドとの接触性
ダイヤモンドの結晶は角張った形状を成し,多結晶体として形成されたダイヤモンド被膜11の表面には,図3に示したようにとがった先端を有する1〜1.5μm程度の多数の微小な突起が形成されていることが確認された。
従って,IC回路の電極パッド20に前記ダイヤモンド被膜11を形成した接触子10を接触させると,ダイヤモンド被膜11の表面に形成された前記突起が電極パッド20表面の酸化被膜22を貫通し,その下層にあるAl電極と接触する。
その結果,接触子10の基体10’自体の形状を,酸化被膜22を貫通し易い形状,例えば図1を参照して説明したような先細りの形状に成形しなかった場合であっても,電極パッド20と接触子10間の確実な電気的接続状態を得ることができ,接触子の成形に要する労力を軽減することができる。
接触子の説明図であり,(A)は屈折前,(B)は屈折後の状態をそれぞれ示す。 熱フィラメントCVD装置の概略説明図。 本発明の方法により製膜されたダイヤモンド被膜の表面電子顕微鏡写真。 接触子と電極パッドとの摺接状態を示す説明図。 従来の接触子(特許文献1)の先端部の概略断面図であり,(A)は接触部及び側面共にニッケル被膜(導電性金属)で覆われた状態,(B)は接触部におけるニッケル被膜が摩耗してダイヤモンド被膜が露出した状態,(C)は,側面のニッケル被膜が摩耗した状態をそれぞれ示す。
符号の説明
10 接触子
10’ 基体(接触子の)
10a 接触部
11 ダイヤモンド被膜
12 ニッケル被膜
20 電極パッド
22 酸化被膜
30 熱フィラメントCVD装置
31 チャンバー
32 ガスボンベ(原料ガス)
33 ガスボンベ(キャリアガス)
34 ガスボンベ(不純物ガス)
32a,33a,34a マスフローコントローラ(MFC)
35 電源
36a,36b 電極
37 熱フィラメント線
38 作業台
39 取付治具
41 真空ポンプ
42 ガス回収装置
43 圧力計

Claims (8)

  1. シリコンウエハー上に作製したIC回路の検査に使用するプローブカードに設けられ,検査対象である前記IC回路の電極パッドと電気的に接触する接触子において,
    前記電極パッドとの接触部分を,不純物をドーピングした導電性ダイヤモンドの多結晶体から成る被膜でコーティングしたことを特徴とするプローブカード用接触子。
  2. 前記被膜を,原料ガス,キャリアガス及び不純物ガスの共存下においてCVD法により製膜したことを特徴とする請求項1記載のプローブカード用接触子。
  3. 前記不純物がホウ素であり,前記被膜がp型の電気伝導性を有することを特徴とする請求項1又は2記載のプローブカード用接触子。
  4. 前記接触子の基材が,タングステン又はタングステン合金であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載のプローブカード用接触子。
  5. シリコンウエハー上に作製したIC回路の検査に使用するプローブカードに設けられ,検査対象である前記IC回路の電極パッドと電気的に接触する接触子において,
    前記接触子の基体を形成し,当該接触子の基体のうち前記電極パッドと接触する部分に,気相成長法により不純物をドーピングしながら導電性ダイヤモンドの多結晶体から成る被膜を形成したことを特徴とするプローブカード用接触子の製造方法。
  6. 前記被膜の形成を,原料ガス,キャリアガス及び不純物ガスの共存下においてCVD法により行うことを特徴とする請求項5記載のプローブカード用接触子の製造方法。
  7. 前記不純物がホウ素である請求項5又は6記載のプローブカード用接触子の製造方法。
  8. 前記接触子の基体を,タングステン又はタングステン合金で作製したことを特徴とする請求項5〜7いずれか1項記載のプローブカード用接触子の製造方法。
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