JP4911743B2 - 電気化学素子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ダイヤモンド膜を電極に用いた、電極表面の酸化還元反応を利用し、被測定物質の同定及び/又は濃度の検出を行う電気化学素子及びその製造方法に関する。
炭素原子のsp混成軌道による共有結合により結合したダイヤモンドは、その高い結合エネルギーに起因して、他の材料には得られない特異な物性を有することは広く知られている。近年、化学的気相成長法(CVD)法を用いて、低圧で高品質の膜状のダイヤモンド(ダイヤモンド膜)を合成して成膜することが可能となった。成膜法としては、一般に熱フィラメントCVDやマイクロ波CVDが用いられている。
このようなダイヤモンド膜の成膜法によると、ダイヤモンド基板(天然あるいは高圧合成ダイヤモンド)上には、ホモエピタキシャル膜として単結晶ダイヤモンド膜を形成することができる。また、シリコン、金属あるいは石英基板上には、ヘテロエピタキシャル膜として多結晶ダイヤモンド膜が形成される。
このように、ダイヤモンド基板上には高品質の単結晶ダイヤモンドを合成することが出来るが、しかし、この場合、天然石あるいは高温高圧合成ダイヤモンドを基板として用いる必要があり、そのような基板の大きさは、現状では最大でも10mm角程度が限界である。
一方、多結晶ダイヤモンド膜を成膜するには、シリコンなどの比較的大面積の基板を利用することが出来るが、多結晶であるために表面の凹凸が著しく大きい。このように、表面の凹凸が大きい多結晶ダイヤモンド膜では、被覆材料、電極、各種デバイス等に適用する際、実用形態における構造上あるいはプロセス上に様々な問題が生ずる。例えば、多結晶ダイヤモンド膜を用いてデバイス等を作製する場合、表面が平坦でないために、レジストパターンの精度が低くなり、リソグラフィーによる微細パターンの形成が困難となる。
多結晶ダイヤモンド膜の実用性を評価するため、試作レベルでは、これまでしばしば、成膜後に表面を研磨することが試みられてきた。しかしながら、ダイヤモンドは最も固い材料であるため、表面研磨は難しく、さらに研磨工程が不可欠であるので、実用上はコストが大幅に上昇するという問題が生ずる。
以上のように、従来のダイヤモンド膜は、極めて優れた材料物性を有するにもかかわらず、基板材料などのコスト、大きさあるいは表面の平滑性に課題があり、実用化が困難であった。
一方、電極を検出素子として用い、電極界面で生ずる反応に基づく電流または電位変化を検知して、イオン、無機化合物、有機化合物、高分子化合物、生体関連物質等の各種物質の濃度を電気化学的に測定する電気化学素子が知られている。このような電気化学素子の電極には、炭素系材料、金属酸化物、金属、半導体等が用いられており、素子性能は、主として、この電極材料の特性に大きく依存する。
このような電気化学素子の電極材料として、ダイヤモンドが注目されている。上述したように、ダイヤモンドは、炭素原子同士の強固な4配位のsp混成軌道による共有結合により結晶が構成されているため、極めて優れた物理的ならびに化学的安定性を有しており、特に、耐薬品性、耐食性は、高性能、高信頼性電極材料として不可欠の特性である。
このような電極材料としてダイヤモンドを用いるためには、さらに高い導電性が必要となる。ダイヤモンドはバンドギャップ5.5eVを持つ、良好な絶縁体である。しかしながら、シリコン同様、不純物をドープすることにより、不純物伝導による導電性を付与することができる。今日、最も一般的に知られている硼素ドープダイヤモンドでは、数Ωcm以下の比抵抗のものが作製可能である。
高温高圧で合成される単結晶ダイヤモンドは、通常5mm角以下で、それ以上大きな単結晶の合成は困難な上、非常に高価である。電気化学素子では、電極の表面積が大きいほど、高い感度が得られるため、通常、単結晶シリコン等の基板上に形成されたダイヤモンド膜が用いられる。
ダイヤモンド膜の合成法としては、マイクロ波による放電を利用するマイクロ波プラズマ化学気相成長(MPCVD)法が一般的である。MPCVD法では、数%程度のメタンガスを含む水素ガスを真空チャンバーに導入し、数十Torr程度の比較的高圧の雰囲気でマイクロ波プラズマを生成する。そのプラズマ中に基板を設置し、その基板上にダイヤモンド膜を生成する。この時、プラズマは高密度であり、800℃以上の高温となっている。したがって、基板はこのような高温プラズマ中に設置できる耐熱性があるものに限られ、シリコンあるいは金属、セラミックスなどが用いられる。
このような従来のMPCVD法では、基板がシリコン等のダイヤモンドとは異種の材料である場合、それらの基板上に生成するダイヤモンドは多結晶となる。特に、化学薬品耐性が高いダイヤモンドとするためには、高品質のダイヤモンドが用いることが必要とされるが、多結晶で結晶性を向上させた場合、各面方位の結晶が競争的に成長するため、表面の凹凸が大きくなる。
ダイヤモンドを電極として用いた電気化学的な基礎特性について、ダイヤモンド電極は水溶液中で、水の電気分解による酸素の発生と水素の発生の両者が共に大きな過電圧のもとでしか起こらず、したがって非常に大きな電位窓を示すことが知られている(例えば、非特許文献1参照)。この文献では、例えば、同素体であるグラッシーカーボンでは2.8V、高配向グラファイトでは2.2Vであるのに対して、ダイヤモンドでは3.5Vと示されている。また、ダイヤモンド電極ではバックグラウンド電流値が非常に小さく、グラッシーカーボンより二桁程度小さいことが報告されている。これは、電気化学素子のS/N比を飛躍的に向上できることを示唆している。
また、電気化学素子の例として、例えば、イオン注入法により導電性を付加したダイヤモンドからなる電気化学的試験・分析用電極が示されており(例えば、特許文献1参照)、該電極を用いた分析の利点として、電解による水素発生および酸素発生(または、金属の溶出)の生じない電位領域(電位窓)の広いこと、また電位窓における残余電流(ノイズとみなされるベース電流)が低いので電気化学的試験・分析用指示電極として優れていることが示されている。
また、ダイヤモンド電極を用いて、Fe(CN)63-/4-、Ru(NH3 )63+/2+、IrCl62-/3-、4−メチルカテコール、ドーパミン、メチルビオロゲン、フェロセン、ハイドロキノン、アスコルビン酸等の酸化還元特性について記載し、ダイヤモンド電極は電気化学素子として有望であると述べている文献もある(例えば、非特許文献2および3参照)。
このように、ダイヤモンドは、広い電位窓をもつため、電気化学素子の電極に適用した場合、他の電極材料に比較し、より多くの反応種を検出可能であると共に、バックグラウンド電流が小さく、S/N比を飛躍的に向上することが出来るため、高感度検出が可能となる。
このような広い電位窓をもつダイヤモンドを電気化学素子の検出電極に適用し、多成分系の同時測定が可能となることが知られている(例えば、特許文献2参照)。ここでは、ダイヤモンドは前述した一般的なMPCVD法により作製され、硼素をドープすることで導電性を得ている。基体としては、シリコンの他、金属およびその化合物が使用できるとしている。また、ドーパントとしては、硼素の他、窒素、リン等を挙げている。
さらに、上記特許文献2では、ダイヤモンドからなる検出極をマイクロ電極とし、検出部の表面積の増加により検出感度を増加できることが記載されている。しかしながら、マイクロ電極の構造、寸法ならびにその製法については、何ら記述されていない。
このように、ダイヤモンドを電極として適用した電気化学素子は、従来の電気化学素子と比較して、特に物理的あるいは化学的に安定であるという材料特性に起因した利点と、広い電位窓や低いバックグラウンド電流といった電気化学的実用特性の両面で、優れているといえる。しかしながら、実用化のためには、さらなる高感度化ならびに低コスト化が不可欠となっている。
上記特許文献2で示されているように、検出部をマイクロ電極とすることで、高感度化が期待できるが、その構造、製法は明らかにされていない。
一方、従来のダイヤモンドの合成法では、800℃以上の高温が必要とされるため、基板はシリコン等の耐熱性の基板に限られていた。また、基板としては、結晶成長が比較的容易であることと量産品であるため入手の容易であることから、単結晶シリコンが用いられているが、ガラスや高分子基板に比較し、コストが高く、かつ例えば上述のマイクロ電極化を考慮する場合でも、基板が導電性であるため、素子分離が不可能であった。
更に、従来の合成法では、多結晶ダイヤモンド膜を利用することになるため、表面凹凸が大きく、例えばマイクロ電極に加工する場合でも、精度の高いリソグラフィー技術の適用が容易でなかった。
特公平2−22900号公報 特開平11−83799号公報 触媒 1999年4月号 p262−p269 G.M. Swain et al., Anal. Chem., 67, (1995), 2812-2821 G. M. Swain et al. Electrochem. Soc. Proceedings, 96-9, (1996),138-148
本発明は、上記問題点を考慮してなされ、電極材料としてダイヤモンド膜を用いた、高感度かつ低コストの電気化学素子およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、基体上に合成されてなるダイヤモンド膜であって、3×1018cm−3以上の窒素を含むことを特徴とするダイヤモンド膜を提供する。
このようなダイヤモンド膜では、所定量の窒素を含むことで、結晶粒径が小さくなる。その結果、表面の平滑性が向上し、平坦度が、自乗平均表面粗さで50nm未満と、非常に良好となる。また、このダイヤモンド膜は、抵抗率が低く、導電性に優れているという特性をも有する。
このような平坦性及び導電性の良好なダイヤモンド膜は、被覆材料、電極、各種電子デバイス等に好適に使用することが出来る。
ダイヤモンド膜が形成される基体としては、シリコン基板、石英基板、セラミック基板、及び金属基板からなる群から選ばれた1種を用いることが出来る。
基板上へのダイヤモンド膜の成膜は、炭化水素、水素、及び0.5%以上の窒素源ガスを含む原料ガスを用いたCVD法により行うことが出来る。このように、所定量の窒素源ガスを含む原料ガスを用いるCVD法により、3×1018cm−3以上の窒素を含むダイヤモンド膜を容易に得ることが可能である。
このように、CVD法における原料ガスに所定量の窒素源ガスを添加することで、反応系中のCNおよびC2(ダイマー)が増加し、それらの発生密度が増加することによって、結果的に結晶粒径が小さくなり、表面平滑性が高いダイヤモンド膜が得られる。
この場合、CVD法としては、1kW以上のマイクロ波プラズマを用いて行うプラズマCVD法であることが好ましい。
本発明はまた、一対以上の電極を備え、電極表面の酸化還元反応を利用して、被測定物質の種類及び/又は濃度を検知、計測するための電気化学素子であって、前記電極の少なくとも1つの表面が、3×1018cm−3以上の窒素を含むダイヤモンド膜からなることを特徴とする電気化学素子を提供する。
このように、電極表面にダイヤモンド膜を用いることにより、強固なダイヤモンド結合に起因する、非常に優れた化学的および物理的安定性を有し、他の電極材料に比較して非常に高い信頼性を示す電気化学素子が得られる。このような電気化学素子では、電極は、ダイヤモンド特有の電気化学的特性である広い電位窓および小さなバックグラウンド電流を有するため、より広範囲の被測定物質を測定することが可能であるとともに、高いS/N比を示し、高感度化を図ることが出来る。
また、本発明の電気化学素子においては、ダイヤモンド膜が、同一基板上に任意のパターンに形成され、マイクロあるいはナノスケールの複数の微小電極を構成するものとすることが出来る。
更に、本発明の電気化学素子では、ダイヤモンド膜に所定量の窒素を含有させることにより、結晶粒径が小さくなり、その結果、表面の平滑性が向上し、平坦度が自乗平均表面粗さで50nm未満に向上する。これにより、電気化学素子として下記の利点が得られる。
1.ダイヤモンド膜に、フォトリソグラフィー又は電子線リソグラフィーによる微細加工を施すことが可能となり、このようにダイヤモンド膜に微細パターンを形成することで、素子の感度の向上を実現することが出来る。
2.ダイヤモンドに導電性を付与することが出来るので、電気化学素子の電極として機能することが出来る。
更に、本発明は、一対以上の電極を備え、電極表面の酸化還元反応を利用して、被測定物質の種類及び/又は濃度を検知、計測するための電気化学素子の製造方法であって、前記電極の少なくとも1つの表面に、炭化水素、水素、及び0.5%以上の窒素源ガスを含む原料ガスを用いたプラズマCVD法によりダイヤモンド膜を成膜する工程を具備することを特徴とする電気化学素子の製造方法を提供する。
このように、CVD法における原料ガスに所定量の窒素源ガスを添加することで、反応系中のCNおよびC2(ダイマー)が増加し、それらの発生密度が増加することによって、結果的に結晶粒径が小さくなり、表面平滑性が高いダイヤモンド膜が得られる。これにより、電気化学素子として下記の利点が得られる。
CNおよびC2(ダイマー)の各発生密度が増加するため、酸化シリコン膜(熱酸化膜)上にも成膜が可能となる。その結果、導電性のシリコン基板上に熱酸化膜を形成した後、ダイヤモンド膜を成膜することができるようになる。このように酸化シリコン膜上にダイヤモンド膜を成膜することにより、素子分離が容易となる。
このような電気化学素子の製造方法は、基体上にダイヤモンド膜を成膜する工程に続いて、リソグラフィー法または電子線リソグラフィー法により、前記ダイヤモンド膜を任意の形状にパターンニングする工程を更に備えることが出来る。
本発明によると、所定量の窒素を含有することにより、表面の平坦性に優れた、導電性の良好なダイヤモンド膜を容易に得ることが出来る。なお、このダイヤモンド膜は、高硬度、高ヤング率、高化学耐性、高耐熱性、高熱伝導性、ワイドバンドギャップ、高抵抗率を有し、かつ不純物制御により半導体特性が得られ、高電子移動度および高正孔移動度を有するという優れた特性をも有する。
また、このようなダイヤモンド膜を電極に用いることにより、非常に優れた化学的および物理的安定性を有し、他の電極材料に比較して非常に高い信頼性を示す電気化学素子が低コストで得られる。この電気化学素子は、広範囲の被測定物質を測定することが可能であるとともに、高いS/N比を示し、高感度化を図ることが出来る。
以下、発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る、基体上に成膜されたダイヤモンド膜を示す断面図である。
基体1上に、CVD法によりダイヤモンド膜2が成膜されている。基体1としては、表面に酸化膜が形成されたシリコン単結晶基板、ガラス基板、石英基板等を用いることが出来る。CVD法としては、原料ガスとして、炭化水素、水素、及び窒素源ガスを含むガスを用いるプラズマCVD法、熱CVD法等を用いることが出来る。
炭化水素としては、メタン、エチレン、アセチレン等を、窒素源ガスとしては、窒素、アンモニア等を用いることが出来る。
成膜されただダイヤモンド膜2は、3×1018cm−3以上、好ましくは5×1018〜5×1019cm−3の窒素を含んでいる。このように、3×1018cm−3以上の窒素を含むダイヤモンド膜2は、表面の平坦度が50nm未満と、非常に平坦性が優れている。窒素含有量が3×1018cm−3未満では、ダイヤモンド膜2の表面の平坦性に劣り、また抵抗率も50Ωcm以上と高くなり、導電性が低くなる。
3×1018cm−3以上の窒素を含むダイヤモンド膜は、CVD法において、炭化水素、水素とともに、窒素源ガスを0.5%以上含む原料ガスを用いることにより得ることが出来る。また、特に、1kW以上のマイクロ波プラズマを用いたプラズマCVD法により、より確実に3×1018cm−3以上の窒素を含むダイヤモンド膜を得ることが出来る。
このように、CVDにおける原料ガスに所定量の窒素源ガスを添加することで、反応系中のCNおよびC2(ダイマー)が増加し、それらの発生密度が増加することによって、結果的に結晶粒径が小さくなり、表面平滑性が高いダイヤモンド膜が得られる。
図2は、本発明の他の実施形態に係る、電気化学素子の製造方法を工程順に示す断面図である。
まず、図2(a)に示すように、表面に酸化膜12が形成された基体11上に、CVD法によりダイヤモンド膜13を成膜する。ダイヤモンド膜13の成膜条件等は、上述の実施態様と同様である。
次いで、図2(b)に示すように、ダイヤモンド膜13上に無機レジスト膜14を形成し、この無機レジスト層13上に、有機レジスト層を形成した後、リソグラフィーによりパターニングし、有機レジストパターン15を形成する。無機レジストとしては、金属、シリコン、又はそれらの化合物が挙げられ、その具体例としては、窒化シリコン、窒化クロム、窒化酸化シリコン、酸化シリコン、クロム等を挙げることが出来る。
次に、図2(c)に示すように、この有機レジストパターン15をエッチングマスクとして用いて、無機レジスト層14をエッチングして、無機レジストパターン16を形成する。無機レジスト層14のエッチングには、例えば、反応性イオンエッチング(RIE)を用いることが出来る。無機レジスト層14は、表面の平坦性が良好であるため、エッチングによる微細な加工を精度よく行うことが出来る。
その後、図2(d)に示すように、このようにして得た無機レジストパターン16をエッチングマスクとして用いて、酸素系ガスからなるエッチングガスによるドライエッチングによって、ダイヤモンド膜13をエッチングし、ダイヤモンドパターン17を形成する。酸素系ガスとしては、酸素(O)、オゾン(O)、亜酸化窒素(NO)を用いることが出来る。
最後に、図2(e)に示すように、エッチングにより無機レジストパターン16を除去して、ダイヤモンドパターン17からなる電極を備える電気化学素子が得られる。
このようにして形成されたダイヤモンドパターン17は、表面の平坦性が優れていて、微細加工が可能であるとともに、導電性に優れており、これを電極として備えることにより、高感度の電気化学素子を低コストで得ることが可能である。
以下、本発明の実施例を示し、本発明の効果について、より具体的に説明する。
実施例1
図1を参照して、本発明の一実施例に係るダイヤモンド膜の製造方法について説明する。
図1に示すように、厚み525μmの単結晶シリコン基板1上に、マイクロ波プラズマCVD装置を用いて、ダイヤモンド膜2を成膜した。
マイクロ波プラズマCVDの条件は次の通りである。
原料ガス:メタン(50sccm)、水素(445sccm)、
窒素(5sccm)
基板温度:820℃
反応圧力:80Torr
MWパワー:2.5kW
膜厚 :1μm。
以上のように作製されたダイヤモンド膜2を原子間力顕微鏡(AFM)により観察したところ、ナノメーターオーダーの結晶粒径を確認することができた。また、10μm四方をAFMで計測した自乗平均表面粗さ(rms)は、15nmであった。
また、電子線エネルギー損失分光法(EELS)により、sp(ダイヤモンド結合)の存在を確認することができた。
更に、このダイヤモンド膜2の電気伝導性を測定した結果、数Ωの抵抗率が得られた。
本実施例により得たダイヤモンド膜2を走査型電子顕微鏡により観察し、撮影した写真を図3に示す。図3の写真から、ダイヤモンド膜の粒子は非常に微細であり、表面の平坦性が優れていることがわかる。
なお、比較例として、原料ガスに窒素を含まない場合、0.1%の窒素を含む場合について、原料ガスの組成を除いて上述と同様の条件でダイヤモンド膜を成膜し、走査型電子顕微鏡により観察し、撮影した写真を図4、図5にそれぞれ示す。図4及び図5の写真から、ダイヤモンド膜の粒子はいずれも粗く、表面の平坦性が劣っていることがわかる。
また、10μm四方をAFMで計測した自乗平均表面粗さ(rms)を測定したところ、原料ガスに窒素を含まない場合には、45nm、0.1%の窒素を含む場合は63nmといずれも平坦度が劣っていた。
次に、原料ガス中の窒素量を種々変化させて成膜したダイヤモンド膜中の窒素量をSIMS(二次イオン質量分析法)により測定し、それぞれの窒素含有量のダイヤモンド膜(6サンプル)の平坦度を、AFMで計測した自乗平均表面粗さ(rms)で求めた。また、それぞれのダイヤモンド膜の抵抗率(3サンプル)も測定した。それらの結果を下記表に示す。なお、表中の数値範囲は、平坦度は6サンプルについての測定値の範囲を、抵抗率は3サンプルについての測定値の範囲をそれぞれ示す。
Figure 0004911743
上記表から、窒素含有量が3×1018cm−3以上の場合には、平坦度は35nm以下、膜抵抗率は50Ωcm以下であり、いずれも良好であるのに対し、3×1018cm−3を越える場合には、平坦度は60nm以下、膜抵抗率は50Ωcm以上と、ともに劣っていることがわかる。
実施例2
図2を参照して、本発明の他の実施例に係る電気化学素子の製造方法について説明する。
まず、図2(a)に示すように、厚み1mmのシリコン基板11上に、熱酸化膜12を1μmの厚みで生成した後、マイクロ波プラズマCVD装置を用いて、ダイヤモンド膜13を成膜した。マイクロ波プラズマCVDの条件は、以下の通りである。
原料ガス:メタン(50sccm)、水素(445sccm)、
窒素(5sccm)
基板温度:820℃
反応圧力:80Torr
MWパワー:2.5kW
膜厚 :1μm。
以上のように作製されたダイヤモンド膜は、原子間力顕微鏡(AFM)でナノメーターオーダーの結晶粒径を確認することができた。10μm四方をAFMで計測した自乗平均表面粗さ(rms)は15nmであった。
また、電子線エネルギー損失分光法(EELS)によりsp(ダイヤモンド結合)の存在を確認することができた。
膜の電気伝導性を測定した結果、数Ωcmの抵抗率が得られた。
次に、図2(b)に示すように、ハードマスク層14として、窒化シリコン膜をシラン、アンモニア及び水素の混合ガスを用いて、高周波プラズマCVD装置を用いて成膜した。
高周波プラズマCVDの条件は、次の通りである。
原料ガス:シラン(流量5sccm)、アンモニア(流量20sccm)、水素(流量175sccm)
基板温度:250℃
反応圧力:1Torr
RFパワー:180W。
膜厚:0.5μm
次いで、フォトレジスト(東京応化工業製OFPR)を膜厚1.2μmに塗布後、g線により露光、現像し、フォトレジストパターン15(線幅5μm)を形成した。
次に、図2(c)に示すように、フォトレジストパターン15をマスクとして、ハードマスク層14である窒化シリコン膜を、エッチングガスとしてC及び水素ガスを用いたRIEにより加工し、ハードマスクパターン16を得た。
RIEの条件は、次の通りである。
エッチングガス:C(流量32sccm)、水素(流量3sccm)
基板温度:室温
反応圧力:0.03Torr
RFパワー:300W。
続いて、図2(d)に示すように、窒化シリコンから成るハードマスクパターン16をマスクとして、酸素ガスを主成分として用いたRIEにより、ダイヤモンド膜13を加工し、電気化学素子端子部17を得た。
RIEの条件は、次の通りである。
原料ガス:O(流量100sccm)
基板温度:室温
反応圧力:0.03Torr
RFパワー:300W。
最後に、図2(e)に示すように、ハードマスクパターン16をエッチングにより剥離し、電気化学素子を得た。
この電気化学素子は、広範囲の被測定物質を測定することが可能であるとともに、高いS/N比を示し、更に高感度化を図ることが出来た。
本発明のダイヤモンド膜及びその製造方法は、各種電子装置における電極等の形成に広範に利用可能である。また、本発明の電気化学素子及びその製造方法は、各種センサーに広範に適用可能である。
本発明の一実施形態に係るダイヤモンド膜の製造方法を説明する断面図である。 本発明の他の実施形態に係る電気化学素子の製造方法を工程順に示す断面図である。 実施例1により得たダイヤモンド膜を走査型電子顕微鏡写真図である。 比較例により得たダイヤモンド膜を走査型電子顕微鏡写真図である。 比較例により得たダイヤモンド膜を走査型電子顕微鏡写真図である。
符号の説明
1,11…基体、2,13…ダイヤモンド膜、12…酸化シリコン膜、14…無機レジスト膜、15・・・有機レジストパターン、16…無機レジストパターン、17…ダイヤモンドパターン。

Claims (4)

  1. 一対以上の電極を備え、電極表面の酸化還元反応を利用して、被測定物質の種類及び/又は濃度を検知、計測するための電気化学素子であって、前記電極の少なくとも1つの表面が、プラズマCVD法により成膜された、3×1018cm−3以上1×10 19 cm −3 以下の窒素を含み、10〜30nmの自乗平均表面粗さを有するダイヤモンド膜からなることを特徴とする電気化学素子。
  2. 一対以上の電極を備え、電極表面の酸化還元反応を利用して、被測定物質の種類及び/又は濃度を検知、計測するための電気化学素子の製造方法であって、前記電極の少なくとも1つの表面が、3×1018cm−3以上1×10 19 cm −3 以下の窒素を含み、10〜30nmの自乗平均表面粗さを有するダイヤモンド膜からなる電気化学素子において、前記電極の少なくとも1つの表面に、炭化水素、水素、及び0.5%以上の窒素源ガスを含む原料ガスを用いたプラズマCVD法によりダイヤモンド膜を成膜する工程を具備することを特徴とする電気化学素子の製造方法。
  3. 基体上にダイヤモンド膜を成膜する工程に続いて、リソグラフィー法または電子線リソグラフィー法により、前記ダイヤモンド膜を任意の形状にパターンニングする工程を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の電気化学素子の製造方法。
  4. 前記プラズマCVD法は、1kW以上のマイクロ波プラズマを用いて行うことを特徴とする請求項2又は3に記載の電気化学素子の製造方法。
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