JP2008128468A - バックトルク低減装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】バックトルクの大きさの調整作業を容易に行う。
【解決手段】本発明のバックトルク低減装置は、プレッシャディスク51をドライブプレート42とドリブンプレート50とを圧接させるクラッチ接続方向に付勢する第1の付勢手段54と、クラッチスリーブハブ46を挟んでプレッシャディスク51と反対側に配置され、カウンタ軸32がバックトルクにより逆駆動された時に、クラッチスリーブハブ46側の軸方向に移動するように設けられたカム機構43,62と、プレッシャディスク51及びクラッチスリーブハブ46に対して軸方向に相対移動可能に設けられ、先端部分が前記カム機構に対向するリフタピン64と、プレッシャディスク51及びリフタピン64の各外方に設けられ、リフタピン64を前記カム機構側に付勢する第2の付勢手段65とを備えていることを特徴とする。
【選択図】 図3
【解決手段】本発明のバックトルク低減装置は、プレッシャディスク51をドライブプレート42とドリブンプレート50とを圧接させるクラッチ接続方向に付勢する第1の付勢手段54と、クラッチスリーブハブ46を挟んでプレッシャディスク51と反対側に配置され、カウンタ軸32がバックトルクにより逆駆動された時に、クラッチスリーブハブ46側の軸方向に移動するように設けられたカム機構43,62と、プレッシャディスク51及びクラッチスリーブハブ46に対して軸方向に相対移動可能に設けられ、先端部分が前記カム機構に対向するリフタピン64と、プレッシャディスク51及びリフタピン64の各外方に設けられ、リフタピン64を前記カム機構側に付勢する第2の付勢手段65とを備えていることを特徴とする。
【選択図】 図3
Description
本発明は、多板式摩擦クラッチ装置において発生するバックトルクを低減するためのバックトルク低減装置に関する。
従来、自動二輪車等において、走行時に急激なシフトダウンを行ったような場合には、車体の慣性による後輪の回転数とエンジンの回転数とが同調せず、エンジンに後輪からのトルク、所謂バックトルクが伝わり、乗り心地が低下したり、耐久性が劣化したりすることがあるため、このバックトルクを低下するための技術が提案されている。
この種の従来の技術としては、例えば、減速時にカム機構により摩擦板の圧接力を開放することを特徴とするものが知られている(例えば、特許文献1又は2参照)。しかしながら、この技術では、過大なバックトルクが発生した場合には、プレッシャプレート等の可動部材が移動し、隣接するプッシュピース等の手動操作機構を介してクラッチレバーに振動を生じさせるといった問題や、前記可動部材が移動した場合に、瞬間的に摩擦板の圧接力がゼロとなり、バックトルクが過小状態になるため、例えばコーナー進入時等に車体が不安定な挙動を示す原因となるといった問題や、カム機構によりバックトルクが過小と過大の状態の間を揺れ動く現象が発生し、安定状態になるまでに時間が掛かるといった問題があった。
そこで、これらの問題を解決するため、例えば、プレッシャプレートをクラッチ接続方向に付勢するクラッチスプリングの一端部に、バックトルク発生時にクラッチスプリングの付勢力に抗して前記一端部をクラッチ接続解除方向に移動させるばね休止手段を備えた多板クラッチが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開昭61−96222号公報
特開昭61−149618号公報
特開平5−71554号公報
しかしながら、上記した特許文献3に記載された技術では、ばね休止手段が多板クラッチの内部に組み込まれているため、バックトルクの大きさを調整する場合には、多板クラッチを分解し、ばね休止手段を構成するカム機構等の各構成部品を交換する必要があり、交換作業が煩雑化するといった問題があった。
また、前記構成部品の差異によりアンバランスが生じ、振動の増加等を招く可能性があるといった問題もあった。
本発明は上記した課題を解決すべくなされたものであり、クラッチレバーの振動を生じさせず、バックトルクの安定状態を保持し易く、アンバランスが生じず、バックトルクの大きさの調整作業を容易に行うことのできるバックトルク低減装置を提供することを目的とする。
上記した目的を達成するため、本発明に係るバックトルク低減装置は、クランクシャフトの回転が伝達されるクラッチハウジングと、該クラッチハウジングの内側でカウンタ軸に設けられたクラッチスリーブハブと、該クラッチハウジングと共に回転し、且つ、軸方向に変位可能に設けられた複数枚のドライブプレートと、前記クラッチスリーブハブと共に回転し、且つ、軸方向に変位可能に設けられ、前記複数枚のドライブプレートと交互に重なり合う複数枚のドリブンプレートと、前記ドライブプレートと前記ドリブンプレートとを圧接させるためのプレッシャディスクと、該プレッシャディスクを前記ドライブプレートと前記ドリブンプレートとを圧接させるクラッチ接続方向に付勢する第1の付勢手段と、前記クラッチハウジング内において前記クラッチスリーブハブを挟んで前記プレッシャディスクと反対側に配置され、前記カウンタ軸がバックトルクにより逆駆動された時に、前記クラッチスリーブハブ側の軸方向に移動するように設けられたカム機構と、前記プレッシャディスク及び前記クラッチスリーブハブに対して軸方向に相対移動可能に設けられ、先端部分が前記カム機構に対向するリフタピンと、前記プレッシャディスク及び前記リフタピンの各外方に設けられ、前記リフタピンを前記カム機構側に付勢する第2の付勢手段とを備えていることを特徴とする。
前記第1の付勢手段は、周方向に複数配設されたクラッチスプリングであり、前記リフタピンは、前記クラッチスプリングの間において周方向に等間隔で複数配設されているのがよい。
前記第1の付勢手段の付勢力は、前記第2の付勢手段の付勢力より大きく設定されているのがよい。
前記リフタピンが前記プレッシャディスクに対して反カム機構側に所定値以上相対移動した場合に、前記プレッシャディスクがクラッチ解除方向に移動してもよい。
本発明によれば、減速操作時の車体の挙動が安定し、より高い制御を行うことができると共に、クラッチ装置本体を分解することなく、第2の付勢部材の交換作業を容易に行うことができるため、整備性を高めることができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
先ず、図1を参照して、本発明が適用される自動二輪車の全体構成について説明する。ここで、図1は本発明の実施の形態に係るバックトルク低減装置を備えた自動二輪車の全体構成を示す側面図である。
自動二輪車1には、鋼製或いはアルミニウム合金材でなる車体フレーム2が設けられており、この車体フレーム2は、ステアリングヘッドパイプ3と、ステアリングヘッドパイプ3の後側に接合されて斜め下方に向かって延設される左右の中空のメインフレーム4と、メインフレーム4の後端から略下方に突出するボディフレーム5等により構成されている。
ステアリングヘッドパイプ3によって左右2本のフロントフォーク6が左右に回動可能に支持される。フロントフォーク6の上端には両端にグリップ7を有するハンドルバー8が固定されている。フロントフォーク6の下部には前輪9が回転可能に支持されると共に、前輪9の上部を覆うようにフロントフェンダ10が固定されている。
前輪9は、前輪9と一体回転するフロントディスクロータ11を有しており、フロントディスクロータ11は、フロントブレーキキャリパ12がその両側に圧着することで制動されるようになっている。フロントブレーキキャリパ12は、フロントフォーク6によって支持固定され、フロントブレーキレバー(図示せず)の操作で作動するマスタシリンダ/リザーバタンク13から油圧ホース14を介して、作動油が圧送されるようになっている。
メインフレーム4の途中にはエンジンマウンティングが設けられ、そのエンジンマウンティング等によりエンジンユニット15が搭載される。エンジンユニット15にはエアクリーナやキャブレタからなる吸気系から混合気が供給されるとともに、燃焼後の排気ガスはマフラ16を含む排気装置により排気されるようになっている。
ボディフレーム5にはスイングアーム17の前端が左右に架け渡されたピボット軸18を介して軸支されて上下に揺動可能に設けられるとともに、車体フレーム2とスイングアーム17の間にリヤサスペンション19が装架される。スイングアーム17の後端には後輪20が回転可能に支持され、後輪20はチェーン21が巻回されたドリブンスプロケット22を介して、回転駆動されるようになっている。
エンジンユニット15の上方には燃料タンク23が搭載され、燃料タンク23の後方には車体フレーム2と結合するシートレール24上にシート25及びシートカウル26が連設されている。
車体の前面部分から両側面部分までを覆うようにカウリング27が取り付けられている。このカウリング27の適所にはバックミラー28やヘッドランプ29及び前部方向指示灯(ウィンカ)30等が装架され、ステアリングヘッドパイプ3前方のカウリング27の内側にはスピードメータ、タコメータ或いは各種インジケータランプ等を含むメータユニット(図示せず)が搭載されている。
次に、図2〜図4を参照しつつ、本発明の実施の形態に係るバックトルク低減装置及び該バックトルク装置を備えたエンジンユニットについて説明する。ここで、図2は本発明の実施の形態に係るバックトルク低減装置を備えたエンジンユニットを示す断面図、図3は同バックトルク低減装置を示す断面図、図4は同バックトルク低減装置において、クラッチカムインナとクラッチカムアウタとクラッチスリーブハブとの関係を周方向に展開して示す図であり、(a)が通常走行時の状態を示す図、(b)がバックトルク発生時の状態を示す図である。
図2に示されているように、エンジンユニット15は、複数のシリンダを一体に備えたシリンダアッセンブリがクランクケース31の上部にやや前傾した状態で車体の幅方向に配置され、クランクケース31は上下半割で結合し、それらの合わせ面には、車幅方向に延伸するクランクシャフト(図示省略)が支持されている。
クランクケース31の後半部はミッションケース部を兼ねており、内部には、前記クランクシャフトと平行するようにカウンタ軸32及びドライブ軸33が配置されている。これらのカウンタ軸32及びドライブ軸33は、クランクケース31の合わせ面に配置されたベアリング34、35によりそれぞれ支持されている。
カウンタ軸32及びドライブ軸33間には、例えば、6段変速機構を構成するトランスミッション装置36が配置され、カウンタ軸32の回転がトランスミッション装置36を介してドライブ軸33へ変速して伝達されるようになっている。ドライブ軸33の軸端にはドライブスプロケット37が取り付けられており、後輪20のドリブンスプロケット22との間に巻回されたチェーン21によりエンジンユニット15から後輪20への動力伝達経路が構成されている。
カウンタ軸32の右側軸端には、本実施の形態に係るバックトルク低減装置が組み込まれた多板式摩擦クラッチ装置が軸装されている。カウンタ軸32右側軸端付近には、ニードルベアリング38を介してプライマリドリブンギヤ39が回転自在に軸支されている。また、図示は省略するが、前記クランクシャフトにはプライマリドライブギヤが設けられており、これらプリマリドライブギヤとプライマリドリブンギヤ39とが常時噛合している。
プリマリドリブンギヤ39には、ピン40を含むダンパ機構を介してクラッチハウジング41(クラッチアウタ)が一定回転可能に支持されている。クラッチハウジング41は全体としてカップ状を成しており、その内周部には、クラッチハウジング41と共に回転し、且つ、軸方向に変位可能な複数枚のリング状のドライブプレート42が配設されている。
クラッチハウジング41の内側の、カウンタ軸32の右側軸端部には、円筒形状のクラッチカムインナ43がスプライン結合している。クラッチカムインナ43はスプライン結合によりカウンタ軸32と一体回転するが、その軸方向の移動はロックナット44及びワッシャ45により規制されている。
クラッチカムインナ43の小径部43aの外周面には、アルミダイカスト製のクラッチスリーブハブ(クラッチインナ)46が設けられている。本実施形態では、クラッチスリーブハブ46は、スリーブ部47と円板形状のハブ部48とがピン49を介して一体結合されて構成されている。これにより、スリーブ部47とハブ部48それぞれに適した素材を用いることができ、耐久性や冷却性を向上させることができる。クラッチスリーブハブ46は、クラッチカムインナ43と相対回動するが、その軸方向の移動はクラッチカムインナ43の大径部43bとワッシャ45とにより規制されている。スリーブ部47には、クラッチスリーブハブ46と共に回転し、且つ、軸方向に変位可能とされた複数枚のリング状のドリブンプレート50が配設されており、これらのドリブンプレート50がドライブプレート42と交互に重なり合っている。
また、クラッチハウジング41の右端開口には、これを塞ぐようにプレッシャディスク51が配設されている。プレッシャディスク51は、クラッチハウジング41及びクラッチスリーブハブ46と同軸上に配置されており、その外縁部51aがドライブプレート42及びドリブンプレート50群に隣接している。
クラッチスリーブハブ46のスリーブ部47には、カウンタ軸32回りの6箇所においてプレッシャディスク51側に突出するボス部47aが一体形成されており、これらのボス部47aにボルト52を介してスプリングサポート53が設けられている。そして、スプリングサポート53とプレッシャディスク51との間に、第1の付勢手段であるクラッチスプリング54が介装され、プレッシャディスク51をドライブプレート42とドリブンプレート50とを圧接させるクラッチ接続方向(図2及び図3の左方向)に付勢する用になっている。
カウンタ軸32は中空であり、その右側軸端にクラッチプッシュピース55が挿入される。クラッチプッシュピース55の外周面には突縁部55aが一体形成されており、この突縁部55aはスラストベアリング56を介してプレッシャディスク51に当接している。
カウンタ軸32の中空内部には、その軸方向にスライド自在なプッシュロッド57が嵌挿されており、そのプッシュロッド57がカウンタ軸32の左側に配置されたクラッチ解除機構58(図2参照)に連係している。クラッチ解除機構58については詳細な説明は省略するが、ライダーがクラッチレバーを握ると、機械的にプッシュロッド57を介してクラッチプッシュピース55が図2及び図3の右方向に押圧される。このようにクラッチプッシュピース55が押圧されると、プレッシャディスク51が図2及び図3の右方向(クラッチ接続解除方向)に移動して、ドライブプレート42とドリブンプレート50との間の摩擦係合が弛緩する。
本実施の形態では、クラッチプッシュピース55内にロッド59が螺合しており、このロッド59の一端にプッシュロッド57が当接し、他端にロックナット60が設けられている。これにより、ロックナット60を緩めてクラッチプッシュピース55とロッド59との軸方向の相対位置を調整することで、クラッチ解除機構58の調整を行うことができる。
ここで、クラッチハウジング41内でクラッチスリーブハブ46を挟んでプレッシャディスク51と反対側、換言すれば、クラッチスリーブハブ46のハブ部48とクラッチハウジング41の底部(プライマリドリブンギヤ39側の壁)との間の空間61には、クラッチカムアウタ62が軸方向に移動可能に配置されている。クラッチカムアウタ62は、クラッチカムインナ43及びクラッチスリーブハブ46にカム機構を介して連係し、バックトルクによりカウンタ軸32が逆駆動されたときに、クラッチカムアウタ62がクラッチスリーブハブ46側の軸方向に移動するようになっている。
また、空間61には、皿ばね63が配置され、クラッチカムアウタ62を反クラッチスリーブハブ46方向へ付勢するようになっている。皿ばね63は、その内端がクラッチカムアウタ62の外周部分に形成された段部62aに当接し、その外端がクラッチスリーブハブ46のスリーブ部47の内周面により支持されている。
このようにクラッチカムアウタ62及び皿ばね63を、クラッチスリーブハブ46のハブ部48とクラッチハウジング41の底部との間の空間61に配置するように構成したため、スペースを有効利用して全体の小型化を図ることができると共に、皿ばね63の外径を大きくとって、クラッチカムアウタ62に対する付勢力を大きくすることができ、大きなバックトルクにも対応することができる。また、皿ばね63の付勢力によりクラッチカムアウタ62のがたつきを抑えて、騒音を防止することができる。
プレッシャディスク51には、カウンタ軸32回りの3箇所においてリフタピン64が貫通し、さらに、これらのリフタピン64の先端部分は、クラッチスリーブハブ46のハブ部48を貫通し、クラッチカムアウタ62に対向するようになっている。プレッシャディスク51とリフタピン64の各外方には、第2の付勢手段である皿ばね65が設けられ、皿ばね65の付勢力は、クラッチスプリング54の付勢力より大きく設定されている。また、皿ばね65の外側端部はプレッシャディスク51の外側にボルト66で固定されたリテーナ67の段差部67aに係止し、固定されていると共に、皿ばね65の内側端部はリフタピン64の端部に固定されたプレッシャプレート68の段差部68aに係止し、これにより、リフタピン64は前記カム機構側に付勢されている。
このように、カウンタ軸32回りの6箇所においてクラッチスプリング54が配置されていると共に3箇所においてリフタピン64が均等に配置されているので、カウンタ軸32回りに重量マスを集中させて回転慣性重量を低減し、高速回転時の自己荷重を支えるための剛性アップによる重量増加を抑えることができ、また、プレッシャディスク51に作用する荷重が偏るのを防いでいる。この場合に、カウンタ軸32回りにおいてリフタピン64をクラッチスプリング54より内方に配置することにより、クラッチカムアウタ62の外径を小さくすることができる。
上記した構成を備えたクラッチ装置はクラッチカバー69により覆われており、クラッチカバー69には作業穴70が形成され、作業穴70は取り外し自在なキャップ71により閉塞されている。作業穴70はカウンタ軸32の軸中心と偏心する中心を持つように配置形成され、カウンタ軸32の端部のロックナット60と、プレッシャディスク51を回転させることにより、リフタピン64とが丁度現れるようになっている。これにより、湿式のクラッチ装置であっても、クラッチ解除機構58の調整やリフタピン64の突出量の調整を容易に行うことができる。
次に、本実施形態のクラッチ装置の動作について説明する。
自動二輪車1の通常走行時、すなわち前記クランクシャフト側に駆動力がある場合は、該クランクシャフトの駆動力がプライマリドリブンギヤ39を介してクラッチハウジング41に伝達される。この場合に、ドライブプレート42とドリブンプレート50とは、クラッチスプリング54の付勢力によりプレッシャディスク51を介して圧接されている。したがって、クラッチハウジング41に伝達された前記クランクシャフトの駆動力は、ドライブプレート42、ドリブンプレート50を介してクラッチスリーブハブ46に伝達される。
ここで、クラッチカムインナ43とクラッチカムアウタ62とクラッチスリーブハブ46との関係を周方向に展開した図4の(a)に示すように、通常回転方向(矢印R1方向)では、クラッチスリーブハブ46の接触面46aがクラッチカムアウタ62の接触面62bに当接し、クラッチカムアウタ62が回転する。そして、クラッチカムアウタ62の接触面62cがクラッチカムインナ43の接触面43cに当接して、クラッチカムインナ43が回転するので、スプライン結合によりカウンタ軸32が回転し、前記クランクシャフトの駆動力がカウンタ軸32へと伝達されることになる。
そして、急激なシフトダウンを行う等して衝撃的にエンジンブレーキが作用し、大きなバックトルクが瞬間的に発生した時は、カウンタ軸32が逆駆動され、クラッチカムインナ43が強制的に回転させられる(矢印R2)。
この場合、図4(b)に示すように、クラッチカムインナ43のカム面43dがクラッチカムアウタ62のカム面62dに接触し、クラッチカムアウタ62を皿ばね63の付勢力に抗して軸方向に移動させるスラスト反力が発生する。その結果、クラッチカムアウタ62がクラッチスリーブハブ46側の軸方向に移動して(矢印X方向)、リフタピン64の先端に当接する。そして、このスラスト反力が皿ばね65の付勢力を超えた場合には、リフタピン64は外方に移動するが、この場合であっても、クラッチスプリング54の付勢力は皿ばね65の付勢力より大きく設定されているため、プレッシャディスク51が移動することはなく、クラッチレバーへのキックバックは生じない。
したがって、クラッチの容量は減速中、常時一定となり、エンジンブレーキが最初から非常に安定する結果、減速操作時の車体の挙動が安定し、より高い制御を行うことができる。また、クラッチ装置が伝達するエンジンブレーキの強さは皿ばね65の付勢力のみによって決定されるため、皿ばね65の交換によってエンジンブレーキの強さの設定を変更することができる。さらに、皿ばね65の交換作業に際し、クラッチ装置本体の分解作業を必要としないため、作業の簡素化を図ることができ、整備性の向上を図ることができる。さらにまた、ドライブプレート42やドリブンプレート50のクラッチ板に対する付勢力が過度に減少することがないため、エンジンブレーキの作用が安定する。
なお、図5に示すように、リテーナ67をリフタピン64の外方まで延長して形成し、リフタピン64が外方(すなわち、プレッシャディスク51に対して反カム機構側)に所定値以上相対移動した場合に、プレッシャディスク51がクラッチ解除方向に移動するように構成してもよい。この場合、過酷な発進操作や長期の使用等によりドライブプレート42やドリブンプレート50のクラッチ板が大幅に磨耗すると、エンジンブレーキ時にプレッシャディスク51が外方に移動することによりクラッチレバーに振動(キックバック)が生じ、これによりライダーにクラッチ板の磨耗を警告することができる。
また、上記した実施の形態に係るバックトルク低減装置は、図6に示すように、クラッチスリーブハブ71をメインスリーブハブ72とサブスリーブハブ73とに軸方向に2分割した別の構成を備えたクラッチ装置に適用することも可能である。
さらに、上記した実施の形態では、リフタピン64とプレッシャプレート68とはリフタピン64の突出長等を微調整可能なように分割した構成となっているが、一体に形成されていてもよい。
さらにまた、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、例えば、複数のクラッチスプリング54を一枚の皿ばねで代用したり、或いは、カム機構にボールやローラ等を挿入したり、或いは、クラッチの動作機構を上記した機械式の代わりに油圧作動式或いは電気作動式にしたりする等、各種変更が可能である。
32 カウンタ軸
41 クラッチハウジング
42 ドライブプレート
43 クラッチカムインナ
46 クラッチスリーブハブ
50 ドリブンプレート
51 プレッシャディスク
54 クラッチスプリング
62 クラッチカムアウタ
64 リフタピン
65 皿ばね
41 クラッチハウジング
42 ドライブプレート
43 クラッチカムインナ
46 クラッチスリーブハブ
50 ドリブンプレート
51 プレッシャディスク
54 クラッチスプリング
62 クラッチカムアウタ
64 リフタピン
65 皿ばね
Claims (4)
- クランクシャフトの回転が伝達されるクラッチハウジングと、
該クラッチハウジングの内側でカウンタ軸に設けられたクラッチスリーブハブと、
該クラッチハウジングと共に回転し、且つ、軸方向に変位可能に設けられた複数枚のドライブプレートと、
前記クラッチスリーブハブと共に回転し、且つ、軸方向に変位可能に設けられ、前記複数枚のドライブプレートと交互に重なり合う複数枚のドリブンプレートと、
前記ドライブプレートと前記ドリブンプレートとを圧接させるためのプレッシャディスクと、
該プレッシャディスクを前記ドライブプレートと前記ドリブンプレートとを圧接させるクラッチ接続方向に付勢する第1の付勢手段と、
前記クラッチハウジング内において前記クラッチスリーブハブを挟んで前記プレッシャディスクと反対側に配置され、前記カウンタ軸がバックトルクにより逆駆動された時に、前記クラッチスリーブハブ側の軸方向に移動するように設けられたカム機構と、
前記プレッシャディスク及び前記クラッチスリーブハブに対して軸方向に相対移動可能に設けられ、先端部分が前記カム機構に対向するリフタピンと、
前記プレッシャディスク及び前記リフタピンの各外方に設けられ、前記リフタピンを前記カム機構側に付勢する第2の付勢手段と、
を備えていることを特徴とするバックトルク低減装置。 - 前記第1の付勢手段は、周方向に複数配設されたクラッチスプリングであり、前記リフタピンは、前記クラッチスプリングの間において周方向に等間隔で複数配設されている請求項1に記載のバックトルク低減装置。
- 前記第1の付勢手段の付勢力は、前記第2の付勢手段の付勢力より大きく設定されている請求項1又は2に記載のバックトルク低減装置。
- 前記リフタピンが前記プレッシャディスクに対して反カム機構側に所定値以上相対移動した場合に、前記プレッシャディスクがクラッチ解除方向に移動する請求項1〜3のいずれか1の請求項に記載のバックトルク低減装置。
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