JP2008127232A - 水素化非多孔性炭の製造方法 - Google Patents

水素化非多孔性炭の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】炭素材料を構成する、マルチグラフェンの末端にアロマティックリングプロトン(炭素骨格に直接結合した水素)を多く残し、カルボン酸残基を極力生成させないような水素化非多孔性炭の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の水素化非多孔性炭の製造方法は、(a)多層グラフェン微結晶が発達した易黒鉛化炭を650〜900℃で乾留し、か焼炭を得る工程と、(b)得られた、か焼炭を苛性アルカリと共に800〜900℃でアルカリ賦活する工程と、(c)アルカリ賦活された、か焼炭を空気中の酸素に触れることなく、500℃以下で水蒸気処理する工程と、(d)次いで、残存するアルカリを除去して非多孔性炭を得る工程と、(e)得られた非多孔性炭を、水素を含む還元性雰囲気中で、650〜900℃で処理し、水素化非多孔性炭を得る工程と、を有することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、電気二重層キャパンタの分極性電極の活物質として用いる炭素材料の製造方法に関するもので、詳しくは、これらの炭素材料により電極を形成した場合に高い電圧で稼働させることができない原因のひとつである、炭素材料の表面あるいは細孔中に存在する活性酸化水素(酸素と結合した状態で存在する水素で、例えばCOOH、CHO、フェノール性OHなどの含ヘテロ元素官能基として存在する水素をいう)が少ない、黒鉛類似の微結晶炭素を有し、比表面積が270m/g以下で、かつその微結晶炭素の層間距離d002が0.360〜0.380nmである水素化非多孔性炭の製造方法に関するものである。
例えば、電気二重層キャパシタは、1対の分極性電極を電解質溶液中にセパレータを介して対向させて正極および負極を構成したもので、分極性電極と電解質溶液の界面に形成される電気二重層に電荷を蓄積することを原理とするものである。従って、電気二重層キャパシタの静電容量は、分極性電極の面積にほぼ比例するとの考え方から、分極性電極の活物質として、BET法による比表面積が1,000〜2,000m/gの多孔性炭素・活性炭がこれまで多用されてきた(例えば、平塚和也ら、DENKI KAGAKU, Vol.59, No.7, pp.607-613 (1991))。これに対して比表面積が270m/g以下しかない非多孔性炭が提案されている(M.Takeuchiら、DENK1 KAGAKU, Vol.66, No.12, pp.1311-1317 (1998))。このような炭素材料では、多孔性炭素や活性炭あるいは非多孔性炭であれ、いずれの場合も活性化処理によって炭素の表面には多くの残存官能基が残っている。これらの炭素材料を用いて分極性電極とするとき、有機溶媒系電解質溶液を用い、2.5V以上の電圧を対向する電極間に与えて用いると、炭素電極表面に残されている残存官能基、特に含へテロ元素官能基と電解質溶液とが反応し、ガスが発生したり、あるいは非電気伝導性の皮膜が成形されるなどにより、内部抵抗が増大して機能不全が生じたり、あるいは寿命を縮めるなどの不都合が生じる。
このような炭素材料の残存官能基を取り除く手段として、発明者は、炭素材料を遷移金属触媒の存在下に水素化処理を行うことを提案した(特開2002−362912号公報)。
特開2002−362912号公報 DENKI KAGAKU, Vol.59, No.7, pp.607-613 (1991) DENK1 KAGAKU, Vol.66, No.12, pp.1311-1317 (1998)
一般に、活性化処理をした炭素表面には、(I)フェノール性水酸基、(II)カルボキシル基、(III)γ−ラクトン基、(IV)δ−ラクトン基、(V)キノン型カルボニル基、(VI)カルボン酸無水物などがあり、化学吸着水により変化する。提案した水素化処理の方法と水素核共鳴(H−NMR)による確認方法では、これらの残存官能基の種類やその存在割合を限定するものとはなっていなかった。
例えば、ジ、カルボン酸基やヒドロオキシ、カルボン酸基が、カルボン酸無水物やラクトン基となると、H−NMR信号は消失し、活性酸化水素は見かけ上無くなるが、セル構成時にもたらされる電解質溶液に微量に含まれるHFや、微量のHOによって活性酸化水素が復活する。
最も望ましい状況は、含ヘテロ官能基が一切無く、グラフェン(Graphene)の末端が水素原子で終端した、アロマティックリングHのみで構成される状況であるが、マルチグラフェン(Multi-Graphene)層間距離がイオンのインターカレーションを許す距離を保持するため、熱処理温度は層間距離が縮まらない800〜900℃以下で行わなければならない。一方、活性酸化水素が復活しない孤立カルボニル基の残存は許容される。
本発明は、炭素材料を構成する、マルチグラフェンの末端にアロマティックリングプロトン(炭素骨格に直接結合した水素)を多く残し、カルボン酸残基を極力生成させないような水素化非多孔性炭の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、水素化非多孔性炭の製造において、苛性アルカリによる賦活化の後、大気中の酸素に触れさせる前に、水蒸気で処理することにより、残存官能基の種類および量を制御できることを見出し、これらの知見に基づき本発明を完成させた。なお、残存官能基に存在するプロトンの量は、粉末炭素のパルスNMR法によるH共鳴の観測で、短緩和時間成分T=10〜50μsec(Gauss型)と中緩和時間成分T=55〜400μsec(Lorentz型)の存在量によって定量的に評価できる。
すなわち、本発明は、黒鉛類似の微結晶炭素を有し、比表面積が270m/g以下で、かつその微結晶炭素の層間距離d002が0.360〜0.380nmであり、炭素組織内の残存水素の結合状態の相違を示す、パルスNMR法によるH共鳴で観測されるT=10〜50μsec(Gauss型)の短緩和時間成分と、T=55〜400μsec(Lorentze型)の中緩和時間成分とを求めたときの、短緩和時間成分に対する中緩和時間成分の比が1/15以下である水素化非多孔性炭の製造方法であって、(a)多層グラフェン微結晶が発達した易黒鉛化炭を650〜900℃で乾留し、か焼炭を得る工程と、(b)得られた、か焼炭を苛性アルカリと共に800〜900℃でアルカリ賦活する工程と、(c)アルカリ賦活された、か焼炭を空気中の酸素に触れることなく、500℃以下で水蒸気処理する工程と、(d)次いで、残存するアルカリを除去して非多孔性炭を得る工程と、(e)得られた非多孔性炭を、水素を含む還元性雰囲気中で、650〜900℃で処理し、水素化非多孔性炭を得る工程と、を有する前記水素化非多孔性炭の製造方法である。
また、本発明は、上記(c)工程の水蒸気で処理する工程を、不活性気体中に飽和させた水蒸気で行うことが好ましいものであり、上記(c)工程の水蒸気で処理する工程を、100℃以下になるまで続行することが好ましい。さらに、本発明は、上記(e)工程の水素を含む還元性雰囲気中で処理する工程を、遷移金属触媒あるいは貴金属触媒の存在下で行うことが好ましいものである。
なお、ここでいう「非多孔性炭」とは、黒鉛類似の微結晶炭素を有し、細孔が少なく、したがって比表面積が小さな(例えば、BET法による測定で比表面積が270m/g以下、好ましく100m/g以下)、そして微結晶炭素の層間距離(グラフェン層面間隔)d002が0.360〜0.380nm程度である炭素材料を意味し、また、「水素化非多孔性炭」とは、「非多孔性炭」を水素処理して得た炭素材料を意味し、この炭素材料は、炭素組織内の残存水素の結合状態の相違を示す、パルスNMR法によるH共鳴で観測される横緩和時間T=10〜50μsec(Gauss型)の短緩和時間成分(炭素骨格に直接結合した水素)と、横緩和時間T=55〜400μsec(Lorentze型)の中緩和時間成分(COOH、CHO、OHなどの酸素と水素とを含む含ヘテロ元素官能基に起因する水素)とを測定した際に、短緩和時間成分に対する中緩和時間成分の比(すなわち、「中緩和時間成分/短緩和時間成分」、以下、単に「緩和成分比」ともいう)が1/15以下、好ましくは1/30以下である炭素材料を意味するものである。
本発明の製造方法によれば、得られた、グラフェンの末端、プリズム面のアロマティックリングプロトン(炭素骨格に直接結合した水素)が増加し、カルボン酸無水物、ラクトン環などの官能基が少ない水素化非多孔性炭が得られ、この水素化非多孔性炭は、電気二重層キャパシタの電極として用いた場合、充放電時のガスの発生や静電容量の減衰、内部抵抗の上昇がなくサイクル特性に優れるとともに耐電圧性能も改善される。したがって、使用温度を高めた時(例えば、50℃)でも大きな静電容量と低い内部抵抗を維持することができる。
本発明の水素化非多孔性炭の製造方法は、アルカリ賦活の後、空気中の酸素に触れさせる前に、水蒸気で処理することを特徴とするものである。以下、本発明の製造方法について説明する。
図1は、本発明の水素化非多孔性炭の製造法の概略を示したものである。
本発明で出発原料となる炭素材料は、多層グラフェン微結晶が発達した易黒鉛化炭であり、このような炭素材料としては、ニードルコークスや、不融化処理したピッチなどの生コークスがあり、このような生コークスを300℃〜400℃で乾留して揮発成分が除去された易黒鉛化炭を200μm程度以下に粉砕して、非多孔性炭の製造に用いることができる。次いで、この200μm程度以下に粉砕した易黒鉛化炭を不活性雰囲気下、例えば窒素雰囲気下で、650℃〜900℃、好ましくは700℃〜850℃で、2〜4時間熱処理(乾留)し、か焼炭を得る。
次に、得られた、か焼炭を苛性アルカリと共にアルカリ賦活を行う。使用できる苛性アルカリとしては、LiOH、NaOH、KOH、CsOHやRbOHのようないわゆる強アルカリを用いることができるが、このなかでもKOH、CsOHおよびRbOHがイオンの大きさを考慮すると好ましく、特にKOHが経済性の点から好ましいものである。これらの苛性アルカリは、粉末あるいは水溶液として用い、得られた、か焼炭に対して、重量比で1.8〜2.2倍、好ましくは2倍程度の苛性アルカリを混合して、不活性雰囲気下、例えば窒素雰囲気下で、800℃〜900℃、好ましくは800℃程度で、2〜6時間加熱することによりアルカリ賦活を行うことができる。
このようにして得られたアルカリ賦活された、か焼炭は、次いで水蒸気で処理される。水蒸気処理は、アルカリ賦活後、放冷し、好ましくは500℃以下の温度になってから水蒸気処理を行うことが好ましく、水蒸気はそのまま供給してもよいが、不活性気体(例えば、窒素ガス)に混合ないしは飽和させた状態で供給することが好ましい。水蒸気の供給は、炭素表面の官能基やラジカルが十分に反応するまで続けるが、通常、放冷後の炉の温度が100℃以下になるまで水蒸気処理を続ければ十分である。
水蒸気を不活性気体と混合ないし飽和させる方法には、特に制限はないが、不活性気体(例えば、窒素ガス)を、水中にバブリングさせ、不活性気体とともに水蒸気を供給することが、簡便でありしかも穏和な条件で炭素表面の官能基やラジカルと水とを反応させることができることから好ましい結果が得られる。この場合、水蒸気の量は賦活のために仕込んだ苛性アルカリ、例えば、水酸化カリウムと等モル量程度までのHOを蒸気にした量であり、等モル量の場合、重量比で、炭素:KOH:HOは、1:2:0.33である。この条件を満たす簡便な方法としては、不活性ガス供給パイプラインに、HO中を不活性ガスが微小気泡として通過させる機構を設け、目視にて、内部にHOがなくなり、乾燥するのを見て、「終了」を判断することができる。
水蒸気処理が終了した後、アルカリ賦活された、か焼炭中に残存するアルカリを除去する。アルカリの除去は、洗浄により行うことができ、例えば、水蒸気処理後の炭素材料から1μm以上の炭素粒子を回収し、ステンレスカラムに充填し、120℃〜150℃、10〜100kgf、好ましくは10〜50kgfの加圧水蒸気をカラムに導入し続けることにより行うことができる。洗浄の終了は、排水のpHが7となることにより確認できるが、通常6〜10時間程度である。その後、アルゴンや窒素のような不活性ガスをカラムに流し、乾燥して非多孔性炭を得る。なお、アルカリの洗浄はいわゆるソックスレー抽出機などの抽出器を用いても行うことができる。
このようにして得られた非多孔性炭は、炭素表面に含ヘテロ元素官能基を有しており、これらの含ヘテロ元素官能基中に存在している活性酸化水素(例えば、COOH、CHO、OHなどの水素)を、水素を含む還元性雰囲気中で熱処理することにより除去し、炭素骨格に直接結合した水素(アロマティックリングに直接結合した水素)を生成させ、水素化非多孔性炭を得る。この熱処理は、触媒の存在下で行ってもよく、触媒としては、遷移金属触媒あるいは貴金属触媒があげられ、例えば、Fe、Co、Ni、CuおよびPt、Rh、Ruなどがあり、なかでも遷移金属ではNiが、貴金属ではRhが好ましい。
触媒を使用しない場合は、非多孔性炭を一般に、粒子径1μm〜100μm、好ましくは20μm〜60μm程度に調製し、水素を含む還元性雰囲気中で、800℃以上の高温で、層間距離d002が0.360nm以上を保てる温度で熱処理を行う。熱処理の時間は通常2〜6時間程度である。一方、触媒を併用する場合は、非多孔性炭を一般に、粒子径1μm〜100μm、分離の都合上、触媒との分離が可能な粒子径、好ましくは20μm〜60μm、特に好ましくは10μm〜20μm程度に調製し、非多孔性炭100重量部に対して、触媒を0.5〜50重量部、好ましくは1〜5重量部程度を均一に混合し、650〜900℃の温度範囲で、層間距離d002が0.360nm以上を保てる温度で、2〜6時間程度熱処理を行う。
なお、熱処理は、球状アルミナの表面に遷移金属や貴金属を担持させた触媒を用いることにより、熱処理後の水素化非多孔性炭と触媒との分離を粒子径の違いで容易に行うことができる。すなわち、例えば、炭素粒子径を10〜20μmにし、触媒を担持するアルミナ粒子を50〜100μmとすることにより、32μmメッシュの篩で効率よく分離することができる。このように、熱処理時に、触媒の粒子径と非多孔性炭との粒子径を異なるように設定することが、触媒の分離上好都合である。
なお、触媒を用いる際に、上述のように非多孔性炭と触媒とを混合して処理を行うこと以外に、容器の表面が遷移金属や貴金属で構成された容器中で、非多孔性炭が表面の金属と接触するようにし、流動させながら処理を行うこともできる。
水素を含む不活性雰囲気の条件としては、水素ガスあるいは水素を不活性ガスで希釈した混合ガス流通下が好ましく、水素ガスの流通速度としては、非多孔性炭100gに対して、0.2〜0.5L/min程度あれば十分である。
熱処理が終了した後、金属粒子などの触媒を用いた場合は、触媒を分離し、非多孔性炭を得ることができる。触媒の分離方法に制限はないが、例えば、篩やサイクロンなどの粉体分離装置や沈降分離装置などが用いられ、また、Fe、Ni、Coのような磁性を有する金属ないしは合金であれば磁気分離法も採用することができる。
なお、遷移金属あるいは貴金属の化合物を触媒として利用する場合は、処理温度で揮発性物質が熱分解され金属に還元されるような化合物を用いる。これらの化合物としては、塩化物、硫化物、酢酸塩などの有機酸塩などを使用することができ、これらの化合物を添加する際には、固形や液状の化合物をそのまま非多孔性炭と混合するよりも、水や有機溶媒に溶解し、この溶液を非多孔性炭に含浸させ、その後水や有機溶媒を蒸発させ、非多孔性炭に担持させ、水素処理を行うことが好ましい。担持量としては、金属に還元された場合の量に換算して、非多孔性炭重量の0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上の量とすることが望ましい。この場合、触媒の回収は、酸やアルカリで非多孔性炭に存在している金属を可溶性の塩とし、洗浄により触媒を除去することができる。使用する酸としては、例えばHFの水溶液などがあげられる。
以上のようにして得られた水素化非多孔性炭は、比表面積が270m/g以下、好ましくは100m/g以下のものであり、炭素微結晶の層間距離(グラフェン層面間隔)d002が0.360〜0.380nmというもので、各種電解質イオン、溶媒、Nガスなどを取り込める程度の細孔がなく、非多孔性のものであり、緩和成分比が1/15以下、好ましくは1/30以下という、炭素骨格に直接結合した水素の量が多く、含ヘテロ元素官能基中に存在する水素の量が少ないというものである。なお、比表面積は、吸着剤としてNを用いたBET法(110℃)により、層間距離d002は、粉末X線回折(XRD)法により、それぞれ求めることができる。また、別法として、比表面積や層間距離d002は、上記のようにして比表面積と層間距離d002とを求めた炭素試料を基準として、次のようにして簡便的に求めることもできる。
すなわち、この炭素材料を用いて電気二重層キャパシタと組み立て定電流充電を行った場合、電圧がほぼ直線的に単調増加する多孔性活性炭の場合と異なり、初期充電時の時間−電圧特性が、特定の電圧まで比較的急激に増加し、その後増加率が緩やかになる二段特性を示す。この変曲点を示す特定電圧をインターカレーション開始電圧、または静電容量発生開始電圧と呼んでいる。この特性が生じる理由は、初期段階の特性が、炭素電極の電解液接触表面に電荷蓄積が生じるに従って電圧が増加する特性であるのに対して、二段目の特性は電解質イオンが溶媒を伴って多層グラフェンの層間にインターカレーションしつつ、容量を発生する過程である。
したがって、一段目の特性の傾きは炭素材料の表面積に逆比例し、変曲点はインターカレーション開始電圧で、電解質イオンや溶媒を同一にすると、炭素材料の層間距離(層面間隔)d002に逆比例する(Takeuchi et al., Electrochemistry Vol.69, No.6, p.p.487-492(2001)、特開2002−25867号公報、参照)。したがって、充電電流、電解液、温度、電極材料の重量ならびに形状を同一にして、比表面積、層間距離既知の電極の特性との比較から未知の炭素材料の比表面積と層間距離を見積もることができる。
また、水素化非多孔性炭に存在する炭素骨格に直接結合した水素の量に対する、COOH、CHO、OHなどの酸素と水素とを含む含ヘテロ元素官能基に起因する水素の量を示す緩和成分比(パルスNMR法によるH共鳴で観測される、中緩和時間成分/短緩和時間成分)は、以下のようにして求めることができる。
図2は、パルスNMR法を用いて各緩和時間成分を求めるための炭素試料の調製法の概要を示したものである。すなわち、露点温度−80℃程度のグローブボックスに隣接した、真空加熱焼出し炉で、試料を深底ガラス試料ビンに少量採取し、これをSUS製深底バットに入れ、軽く蓋をのせてゆっくりと焼き出す。
焼出し処理を行った後、グローブボックスの内側扉から、上記試料を取り出し、図2に示したように、10mmφのNMR試料管に試料を詰め、PETF製内栓で固定する。内栓の中心にはガラスフィルター繊維を詰め、挿入時内部ガスの気流により試料粉が出てこないようにする。
専用試料キャップで栓をし、これをラミネートポリ袋に入れ、クランプする。グローボックスの外に取り出し、熱シールする。
以上の状態で保存し、測定寸前にシールをあけて試料を取り出し測定する。試料充填長さ(L)と炭素正味重量(W)は試料充填補正に用いる。
パルスNMR法によるH共鳴の測定は次のようにして行う。
測定周波数:25MHz、パルス幅Pwl:2.0μsec、パルス間隔Pil:8.0μsecで90°位相差の第2パルスを与え、パルス間隔2Pil後のエコー信号を観測する。この操作を、繰返し時間Rep:2.0secで繰返し数Scans:128〜512だけ行い積算し、データを集積する。
以上のようにして粉末状態でパルスNMR装置で、H核共鳴を行うと、緩和時間の異なる多くは2つないし3つの成分を重ね合わせた減衰信号が観測される。一つは横緩和時間Tが10〜50μsecという短い成分で、Gauss型分布を示す共鳴線で近似できる成分である。この成分はたとえこの炭素を800℃で焼成しても変化しない成分であって、炭素骨格に直接結合した水素からなる成分である。この他に、横緩和時間Tが55〜400μsecのLorentze型分布をした中緩和時間成分があり、これは単に加熱真空乾燥してもなかなか無くならない成分である。これは化学吸着水に相当し、COOH、CHO、OHなど酸素と水素との官能基に起因するものである。また、さらに長い緩和時間をもつ成分T=500〜2000μsecの物理吸着水による水素も観測されるが、これは上記加熱真空乾燥によって大方取り除かれるものである。
本発明では、上記の「炭素骨格に直接結合した水素」を「T=10〜50μsec(Gauss型)の短緩和時間成分」と、「COOH、CHO、OHなど酸素と水素とを含む含へテロ元素官能基に起因する水素」を「T=55〜400μsec(Lorentze型)の中緩和時間成分」として定義した。
すなわち、水素化処理により「T=55〜400μsec(Lorentze型)の中緩和時間成分」が減少するとともに、還元雰囲気中(水素気流中など)で熱処理されることにより、炭素中の活性部位が水素でターミネートあるいはブロックされて、「炭素骨格に直接結合した水素」が生成されることから、「T=10〜50μsec(Gauss型)の短緩和時間成分」が増加すると推定される。したがって、本発明で得られる水素化非多孔性炭としては、T=10〜50μsec(Gauss型)の短緩和時間成分に対するT=55〜400μsec(Lorentze型)の中緩和時間成分の比、すなわち、「[T=55〜400μsec(Lorentze型)の中緩和時間成分]/[T=10〜50μsec(Gauss型)の短緩和時間成分]」の値が1/15以下、好ましくは1/30以下のものである。これにより、例えば、電気二重層キャパシタなどの分極性電極の炭素活物質として使用した場合、ガスの発生や非電気伝導性の皮膜が成形されることがなく、内部抵抗の増大がない安定したものが得られることになる。
なお、水素化非多孔性炭中の活性部位が水素でターミネートあるいはブロックされて生じる炭素に直接結合した水素は、処理終了後に水素化非多孔性炭が空気中に取り出されたとき、空気中の酸素や水により水素化非多孔性炭中の活性部位が再びCOOH、CHO、OH等に変換されるのを防止している。
本発明の方法にしたがって得られた水素化非多孔性炭は電気二重層キャパシタなどの分極性電極用の炭素活物質として用いることができる。このような分極性電極は従来の電気二重層キャパシタ用の分極性電極と同様の方法により作製することができる。得られた水素化非多孔性炭を粉砕した場合、フリーラジカルが生じ、空気中の水分や酸素と直ちに反応し、活性酸化水素を作る。そのため、粒径分布を調整するための粉砕は水素化処理の前に行っておくことが好ましく、水素化処理の後の粒度の調整は、大きな粒子を除くための篩処理程度に留めることが好ましい。このようにして調整した粒度が5〜100μm程度の水素化非多孔性炭を用いて、例えば、シート状の電極を作製するには、得られた水素化非多孔性炭に、炭素粉末に導電性を付与するための導電性補助剤として例えばカーボン・ブラックと、結着剤として例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とを添加して混練りし、圧延伸によりシート状に成形することにより行うことができる。導電性補助剤としては、カーボン・ブラック(例えば、アセチレンブラック)の他、粉末グラファイトなどを用いることができ、また、結着剤としては、PTFEの他、PVDF、PE、PPなどを使用することができる。この際、非多孔性炭素と導電性補助剤(カーボン・ブラック)と結着剤(PTFE)との配合比は、一般に、10:0.5〜1.0:0.5〜0.25程度とすることが好ましい。
電気二重層キャパシタは、このようにして得られた分極性電極に集電体を取り付け、セパレータを介して重ね合わせることにより電極を形成した後、電解質を含む有機溶媒を含浸させて電気二重層キャパシタに組み立てることができる。
得られる電気二重層キャパシタは、キャパシタの組み立て当初は電気二重層を形成している界面は実質的に無いが、初期充電時に印加電圧がある閾値を越えると電解質イオンが溶媒を伴って炭素組織内に侵入(溶媒共インターカレーション)することによって、初めて電気二重層を形成する界面を発生し、以後履歴効果でこの界面が維持され、電気二重層キャパシタとして有効に機能するというものであるため、最初に定格電圧の10ないし20%高い電圧(通常、3.5〜3.75V程度)を印加し充電することが必要である。なお、この時の充電特性(時間−電圧の関係)により、前述したように比表面積と層間距離を求めることができる。
次に、本発明のアルカリ賦活後、水蒸気により処理することの作用機序について説明する。
測定炭素試料の単位重量あたりの水素原子の含量は、構造既知の水素化合物を一定量づつ加え、パルスNMR法によって測定される時間応答の最初の立ち上がり振幅が試料の全水素量を反映することから、添加量に対して立ち上がり振幅をプロットし、検量線を求め、添加量を0に外挿して求めることができる。また、短緩和時間成分と中緩和時間成分との量は、この時間応答信号を緩和時間と波形形状に注目し、これを解析して得ることができる。例えば、HOは炭素に吸着しやすい物質であり、マイクロシリンジを用いれば、マイクロリッターオーダーの微量を添加することが可能であり、10mm径の試料管中に採取された1.5〜2.0gの炭素試料に正確に加え、密閉して加熱し、均質的に分散させてから計測することができる。
このような方法で計測すると、従来の水素化処理をした非多孔性炭は、800℃でアルカリ賦活した炭素試料が全て多層グラフェン微結晶からなるとして、グラフェンを構成するベンゼン環の数を32個程度と仮定し、炭素試料が炭素と水素からなるとすると、水素量が著しく少なく、したがって、炭素骨格に直接結合した水素核は短緩和時間成分として観測されることから、この成分が少ないということは、グラフェン末端には、ラクトン、キノン型カルボニル基、カルボン酸無水物などの基で終端していることを示唆している。炭素骨格に直接結合したアロマティック水素は化学的に安定であるが、上述した酸素を含む官能基は、より活性であって、電解質溶液やセパレーターなどのセル構成材料がもたらす微量のHFやHOなどにより、容易に活性酸化水素に戻ると考えられる。特にキノン型カルボニル基やカルボン酸無水物などは活性度が高い。また、カルボン酸無水物が隣接する二つのグラフェン間に生ずれば、架橋することとなり、これが、電気二重層キャパシタの容量発生の機構である、溶媒共挿入(Solvent Co-Intercalation)の阻害となるであろうことは容易に推定される。
ところで、アルカリ賦活の反応として、以下のような反応が提案されている。
Figure 2008127232
ここで、アルカリ賦活反応終了直後は、C−Kや、C(フリーラジカル)が存在すると推定される。その後、これらは空気中のO、次いでHOと反応し、カルボン酸、キノン、フェノールなどの官能基が生じるもとの推定される。
一方、空気に触れることなく、水蒸気処理した場合は、カルボン酸の代わりに酸化階梯の低いアルデヒドができる。
また、反応機構は十分に解明されていないが、従来法に比べて、水蒸気処理をした場合の方が、多層グラフェン末端のアロマティック水素原子の量が増加する。すなわち、カルボン酸無水物、ラクトン、キノンなどのできる割合が少なく、代わりに、アロマティック・リング・プロトンで終端する構造が増加する。
そして、その後の水素を含む還元性雰囲気下での熱処理により、水素化処理を500℃で行ったとき、アルカリ賦活後に水蒸気処理を行わなかった場合には、含ヘテロ官能基中の水素を除去できるにもかかわらず、アルカリ賦活後に水蒸気処理を行った場合は、含ヘテロ元素官能基中の水素は除去できず、650℃、好ましくは700℃で熱処理することによりはじめて除去することができた。このことから、両者では生じる含ヘテロ元素官能基の種類が上述のように異なり、水蒸気処理を行ったときに生じる含ヘテロ元素官能基中の水素は、より高温で熱処理することにより除去できるものであることがわかった。このことは、例えば、HOで処理した場合、CHOの生成などがあり、このCHO中の水素は、500℃での水素中熱処理で除去できず、より高温の650℃、より好ましくは700℃程度で初めて完全に除去することができるような事実に基づくものと考えられる。一方、水蒸気処理をしない場合は、例えば、カルボン酸などが生じ、これは加熱によりカルボン酸無水物などに容易に変換することから、低温で水素化処理(含ヘテロ元素官能基中の水素の除去)が可能であったものと考えられる。
すなわち、本発明の水素化非多孔性炭の製造方法により、炭素材料中に存在する含ヘテロ元素官能基の種類を特定でき、得られた非多孔性炭を水素化処理することで、炭素骨格に直接結合した水素を多く含み、含ヘテロ元素官能基に起因する水素の量が少ない水素化非多孔性炭を得ることができる。また、これにより、水素化非多孔性炭中のキノン型カルボニル基やカルボン酸無水物など、微量のHOや酸などにより、水酸基やカルボン酸などのような親水性基にもどる基をなくすことにより、水素化非多孔性炭の保存中における、空気中の水分などによる含へテロ元素官能基中の水素の増加や水分の吸着を無くすことができ、これにより、電気二重層キャパシタの分極性電極として使用する際に、真空加熱乾燥の処理時間を短縮することができる。
さらに、得られた水素化非多孔性炭は、炭素骨格に直接結合した水素を多く含み、含ヘテロ元素官能基に起因する水素の量が少なく、グラフェン間の架橋もないことから、炭素微結晶中(多層グラフェン層間)への溶媒共インターカレーションを容易にし、また、隣接炭素微結晶(ドメイン)間の導電電子による三次元バリアブルホッピングを助け、炭素電極内部抵抗を低下させることができる。なお、導電電子による三次元バリアブルホッピングが促進されることは、ESRによる測定でスペクトル線幅が狭くなることから確認されている。
次に、実施例を用いて、本発明をさらに詳しく説明する。
実施例1、2および比較例1〜4
図1に示すように、石油系ニードルコークス(炭素A)を原料炭として用い、62μm以下の粒度に調製した後、不活性雰囲気下(毎分2ml程度の窒素ガスフロー)で750℃、4時間熱処理し、「か焼炭」を調製した。この「か焼炭」のXRD計測による層間距離d002は0.3528〜0.3553nmであった。
この「か焼炭」を原料として、従来の方法(すなわち、HO蒸気処理なし)と、本発明の方法とを比較するべく水素化非多孔性炭を調製した。
アルカリ賦活はどちらも「か焼炭」に対して、重量比で2倍量のKOHを加え、800℃、4時間行った。
本発明の製造方法において、水蒸気処理は、窒素ガス供給パイプラインに分岐を設け、仕込みKOHのモル量の1/3強モルのHOを入れた容器中を窒素ガスが細かい気泡として通過するようにし、炉の温度が500℃以下に下がったときにバルブ操作で分岐ラインを切りかえ、水蒸気処理を行った。
得られたアルカリ賦活炭は、一晩放置し、炉の温度が室温近くなってから、試料を取り出し、SUS製の分取用の液体クロマトカラムを用い、カラム温度を150℃に保ち、ポンプでHOを圧輸送し、アルカリ分を水洗除去し、排水のpHが7.0になるまで行った。その後、窒素ガス又はアルゴンガスを流し、乾燥させ非多孔性炭を得た。XRD計測による層間距離d002の値は、水蒸気処理なしが0.3697nm、水蒸気処理ありが0.3699nmで、両者はほとんど変わらなかった。
得られた非多孔性炭を、水素中での熱処理のため、Ni製容器に移し、そのまま、または、触媒として、金属Ni粉末(〜5μm)を炭素重量の10重量%ほど添加し、乳鉢でよくすりあわせ、横型真空炉に配置し、炉内を窒素ガスで置換後、水素ガスを0.2L/minの流量で流しながら500℃または700℃でそれぞれ、2時間処理を行った。
処理した炭素試料の内、金属Ni触媒を添加したものは、アルミラミネートを張った容器に移し、シートを介して小型強力磁石(希土類磁石)で炭素とNi粉末とを分離した。炭素試料中にNi粉末のコンタミがないように繰り返し行った。
得られた水素化非多孔性炭について比表面積、層間距離d002および緩和成分比を測定し、その結果を表1に示した。なお、比表面積、層間距離d002および緩和成分比の測定は次のようにして行った。
(1)比表面積はBET法により測定した。測定は、測定装置として「ソープティー1750」を用い、BET1点法により、吸着ガスに窒素を用い加熱炉温度を110℃とし、相対圧力範囲;0.05〜1.35で行った。
(2)層間距離d002
微結晶炭素間の層間距離を、粉末X線回折XRD法により求めた。XRDの測定は、粉末試料を用い空気中、CuKα線(ターゲット;Cu、励起電圧;30kV)で行った。
なお、比表面積、層間距離については、一部、初期充電特性から見積もる「簡便法」により算出した。
すなわち、前述のように、Nを用いたBET法により求めた比表面積および粉末X線回折(XRD)法により求めた層間距離が確認されている水素化非多孔性炭ないしは非多孔性炭と、得られた水素化非多孔性炭(被検炭素試料)とを、電解液、溶媒、測定温度、電極材料の重量並びに形状、充電電流などを同一の条件で初期充電特性を測定し、初期電圧勾配(V/t)より比表面積を、変曲点からインターカレーション開始電圧(V)を求め、比表面積および層間距離が既知の水素化非多孔性炭ないしは非多孔性炭により更正して算出した。
(3)緩和成分比
水素化非多孔性炭中に存在する水素の形態とその量を、以下のようにしてパルスNMR法により測定した。
すなわち、グローブボックスに隣接する真空加熱炉で処理するため、熱伝導性の良い肉厚のアルミ製深底容器にそれぞれの条件で処理した水素化非多孔性炭を1.5gづつ採取し、これらを一つの容器に収め、粉体がガス放出時に飛び散らないように細かい網目の蓋をかけ、温度250℃、5×10−5Torrの真空度で4時間乾燥する。放置冷却後、グローブボックス内に取り出し、予め用意した外径10mmのガラスNMR試料管に充填し、PTEF製挿入型栓をガラス繊維を詰めて用い、試料領域を一定の範囲におさめる。この試料管に専用キャップ栓をして、アルミラミネート袋につめ密封する。試料測定寸前に封を切り、パルスHNMR測定に供した。得られた結果を図3〜5に例示した。
Figure 2008127232
なお表1中、s(Amp)は短緩和時間成分の信号強度を表す装置パラメーターであり、この値が大きいほど、炭素骨格に直接結合した水素(アロマティックリングプロトン)の量が多いことを示している。また、m/sは短緩和時間成分に対する中緩和時間成分の比(緩和成分比)を示している。
本発明の実施例によると、水素気流中熱処理温度500℃の結果は、水蒸気処理を施した方が施さない場合より、中緩和時間成分が顕著に増えている。これは、Ni触媒の有無による差を大きく上回る差として現れている。この成分はアルデヒド、CHOタイプの官能基に由来すると推定される。そして、このような基は、700℃で処理されると、アロマティックHの顕著な増加をもたらすことがわかる。
また、比較例4では、緩和成分比は、0.016と低い値を示しているが、短時間成分である炭素骨格に直接結合した水素(アロマティックリングプロトン)の量が少なく、これは、既に述べたように、ラクトン基やカルボン酸無水物として存在しているため、中緩和時間成分の量が少なくなった結果であり、この比較例4の水素化非多孔性炭は、空気中に放置した際、あるいは電解液に浸漬した際に、水分によりカルボン酸やフェノール基に戻り、中緩和時間成分である活性酸化水素の量が増加した。なお、このような空気中に放置などした際の中緩和時間成分の増加などは、いずれの比較例においても認められ、本発明の方法による水素化非多孔性炭は、炭素骨格に直接結合した水素(アロマティックリングプロトン)の量が多く、空気中に放置などをしても、中緩和時間成分である活性酸化水素の生成がないことも確認された。
図1は、本発明の水素化非多孔性炭の製造法の概略を示した図である。 図2は、パルスNMR法を用いて各緩和時間成分を求めるための炭素試料の調製法の概要を示した図である。 図3は、実施例1(a)および比較例1(b)の水素化非多孔性炭の緩和成分比の測定結果を示すグラフである。 図4は、実施例2(a)および比較例2(b)の水素化非多孔性炭の緩和成分比の測定結果を示すグラフである。 図5は、比較例3(a)、比較例4(b)の水素化非多孔性炭の緩和成分比の測定結果を示すグラフである。

Claims (4)

  1. 黒鉛類似の微結晶炭素を有し、比表面積が270m/g以下で、かつその微結晶炭素の層間距離d002が0.360〜0.380nmであり、炭素組織内の残存水素の結合状態の相違を示す、パルスNMR法によるH共鳴で観測されるT=10〜50μsec(Gauss型)の短緩和時間成分と、T=55〜400μsec(Lorentze型)の中緩和時間成分とを求めたときの、短緩和時間成分に対する中緩和時間成分の比が1/15以下である水素化非多孔性炭の製造方法であって、
    (a)多層グラフェン微結晶が発達した易黒鉛化炭を650〜900℃で乾留し、か焼炭を得る工程と、
    (b)得られた、か焼炭を苛性アルカリと共に800〜900℃でアルカリ賦活する工程と、
    (c)アルカリ賦活された、か焼炭を空気中の酸素に触れることなく、500℃以下で水蒸気処理する工程と、
    (d)次いで、残存するアルカリを除去して非多孔性炭を得る工程と、
    (e)得られた非多孔性炭を、水素を含む還元性雰囲気中で、650〜900℃で処理し、水素化非多孔性炭を得る工程と、
    を有する水素化非多孔性炭の製造方法。
  2. (c)工程の水蒸気で処理する工程を、不活性気体中に飽和させた水蒸気で行う請求項1に記載の水素化非多孔性炭の製造方法。
  3. (c)工程の水蒸気で処理する工程を、100℃以下になるまで続行する請求項1または請求項2に記載の水素化非多孔性炭の製造方法。
  4. (e)工程の水素を含む還元性雰囲気中で処理する工程を、遷移金属触媒あるいは貴金属触媒の存在下で行う、請求項1〜3のいずれかに記載の水素化非多孔性炭の製造方法。
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