JP2008126491A - インクジェットヘッド - Google Patents
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Abstract
【課題】 特に1インチ以上の長尺化されたインクジェットヘッドの吐出エレメントを形成する際に、剥れのない吐出性能の安定した長期に渡って信頼性の高いインクジェットヘッドを提供することができるとともに、極めて高いインク選択自由度を有することとなり、耐光性や耐ガス性に優れた新規インク組成に対しても高い信頼性を有したインクジェットヘッドを提供すること。
【解決手段】 隣接する発熱抵抗体の間に設けられるヒーター基板上の上部保護膜上に形成される密着向上層に凹部を形成することにより目的を達成する。
【選択図】 図3
【解決手段】 隣接する発熱抵抗体の間に設けられるヒーター基板上の上部保護膜上に形成される密着向上層に凹部を形成することにより目的を達成する。
【選択図】 図3
Description
本発明は、インクジェット記録方式に用いる記録液小滴を発生するためのインクジェットヘッドに関する。
インクの小滴を発生させ、それを紙等の被プリント媒体に付着せしめてプリントを行うインクジェットプリント方式は、プリント時の騒音が極めて少なく、かつ高速プリントが可能であり、しかもインクジェットヘッドを極めて小型化できるため、カラー化及びコンパクト化が容易であるプリント方式である。該インクジェットプリント方式のひとつに発熱素子によってインクを発泡せしめ、この気泡の成長を利用してインクを吐出するタイプがある。
近年記録技術の進展に伴い、インクジェット記録技術にもより高密度高精度な記録が求められている。この要求を満たすインクジェットヘッドとして、特開平6―286149に示されるようなフォトリソ技術を用いて溶解可能な樹脂でインク液流路をパターニングし、該パターンをエポキシ樹脂等で被覆、硬化し、基板を切断した後に、その後溶解可能な樹脂を溶出除去する方法が提案されている。さらに耐インク性に優れた構成としては、特開平11−348290に示されたように、有機密着向上層を用いることが提案されている。さらに吐出エレメントの長尺化に対して、密着向上層の形状を工夫して密着力を高める形状が、特開2002−248771にて提案されているが、吐出エレメントの更なる長尺化や新規インクを用いた場合には、十分な信頼性を得ることが困難であった。
特開平6―286149号公報
特開平11−348290号公報
特開2002−248771号公報
前述した製造方法において、高密度かつ高精度のインクジェットヘッドを得ることをできるものの、近年、プリントスピードの更なる高速化を達成するために、該ヘッドに搭載される吐出エレメントを長尺化する必要がある。
また、インク組成を大幅に変更し、印字物の耐光性や耐ガス性を向上させる必要もあり、該新規インクを吐出するため吐出エレメントの構成材料も該新規インクに耐えうるものでなくてはならない。吐出エレメントの長尺化(特に1インチ以上)やインク組成の変更は、該構成部材の線膨張率の違い、液流路壁や吐出孔を形成する樹脂層の応力等にひずみを生じ、また新規インクによっても界面に影響を与え、液流路壁や吐出孔を形成する被覆樹脂層とヒーター基板上の上部保護層との間で剥離が発生してしまう。また、該上部保護層上に有機密着向上層を設けても、該密着向上層と前記上部保護層の界面付近で剥離が発生し、インクが基板上に浸透し、配線の腐食を引き起こしてしまい、その結果、良好な印字が得られなかったり、長期に渡る品質信頼性を確保することが困難であった。
そこで、本発明の目的は、前記吐出エレメントを長尺化しても、液流路壁や吐出孔を形成する被覆樹脂層がヒーターボード基板と良好に密着することにより、良好な印字状態と長期に渡る信頼性を確保することである。さらに、インク組成が大幅に変更となり無機膜を溶解せしめる成分を含有するインク溶液に対しても高い品質信頼性を確保することである。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであって、インク吐出圧力発生素子が形成された基板上の最表面に形成された密着向上層に凹部を形成させることにより、密着向上層と液流路部材である被覆樹脂層との接する面積を増加させるとともに、アンカー効果により、剥離のない信頼性に優れたインクジェットヘッドを得ることができる。前記凹部は、図4に示すように下部層まで到達していても、図5に示すように密着向上層のみで形成されていても問題ない。特に、1インチ以上に長尺化されたインクジェットヘッドにおいても、液流路部材である被覆樹脂層が剥離することなく、さらには、インク組成を大幅に変更しても問題なく長期に渡り高い信頼性を得ることができる。
以上、説明したように、本発明によれば、隣接する発熱抵抗体の間に設けられるヒーター基板上の上部保護膜上に形成される密着向上層に凹部を形成することにより、特に1インチ以上の長尺化されたインクジェットヘッドの吐出エレメントを形成する際に、剥れのない吐出性能の安定した長期に渡って信頼性の高いインクジェットヘッドを提供することができるとともに、極めて高いインク選択自由度を有することとなり、耐光性や耐ガス性に優れた新規インク組成に対しても高い信頼性を有したインクジェットヘッドを提供することができる。
以下、従来のインクジェットヘッドの製造方法の一例を、図1を参照しつつ説明する。
図2は、図1にて作成した吐出エレメントの外観斜視図である。
まず、ヒーターボード基板200の最表面には、密着向上層が形成されている。該密着向上層には有機膜ではポリエーテルアミドが好適な例として挙げられ、無機膜ではSiOやSiN等の珪素化合物が挙げられる。もちろん、前記の膜を組み合わせてもよく、一例としては、まずヒーター基板上に無機膜としてSiOを形成し、該無機膜の上に有機膜としてポリエーテルアミドを形成してもよい。
前記密着向上層が形成されたヒーター基板200上にスピンコート法にて、最終的にインク液流路となるべく溶解可能な固体層3として、レジストを塗布する。該レジスト材料は、ポリメチルイソプロペニルケトンから成り、ポジ型のレジストとして作用し、インク液流路の形状にフォトリソ技術によりパターニングされる。
続いて、液流路壁や吐出孔を形成すべく被覆樹脂層5を形成する。該被覆樹脂層を形成する前に、密着向上のためシランカップリング処理などを適宜行うことができる。前記被覆樹脂層5は、従来知られているコーティング法を適宜選択することができ、インク液流路パターンが形成されたヒーター基板上に塗布することができる。塗布された被膜樹脂層5は、フォトリソ技術にてパターニングされる。その後、ヒーター基板裏面よりインク液供給孔7として、異方性エッチング法、サンドブラスト法、異方性プラズマエッチング法などにより、ヒーター基板裏面からインク供給孔を形成する。最も好ましくは、テトラメチルヒドロキシアミン(TMAH)、NaOHやKOH等を用いた化学的シリコン異方性エッチング法により、インク液供給孔7を形成した。
続いて、溶解可能な固体層3,4を除去すべく、Deep−UV光による全面露光を行った後、現像、乾燥を行った。
以上の工程によりノズル部が作成された基板を、ダイシングソーなどにより分離切断し吐出エレメントを得た後、発熱抵抗体を駆動するための電気的接合とインク供給部材の接合を行い、インクジェットヘッドが完成する。
以下、本発明の実施例を具体的に示す。
最表面における密着向上層がポリエーテルアミドである例を示す。吐出エレメントに配列されている発熱抵抗体は、600dpiで配列されており、その全長は1.3インチである。
上部保護膜の上に形成される密着向上層は、ポリエーテルアミドを有機溶剤にて溶解した溶液をスピンコート法によりコーティングして形成した。該密着向上層は、感光性を有していないが、更に汎用的なi線ポジ型レジストようなポジ型レジストをスピンコート後、露光現像することにより、マスクを作成した。ドライエッチング法を用いてエッチングすることにより、感光性を有していないポリエーテルアミドを所望の形状にパターニングすることができる。この時に、隣接する発熱抵抗体の間に設けられるインク流路壁部の前記密着向上層部に凹部も形成した。この場合、密着向上層と上部保護膜間に更なる密着向上のために珪素化合物(SiOやSiN)が存在してもよい。
溶解可能な樹脂層3をスピンコート法により塗布し、露光することにより、インク流路となるべき形状を作成した。インク流路の形状は、通常のマスクとDeep-UV光を用いて得ることができた(キヤノン製マスクアライナーPLA(登録商標)520(コールドミラー290使用)。その後、被覆樹脂層5を積層し、キヤノン製MPA(登録商標)−600sを用いて露光後、現像することで吐出孔6を形成した。続いて、TMAHにて、化学的シリコン異方性エッチング法により、インク供給孔7を形成した後、Deep−UV光を全面照射し、現像、乾燥することにより、溶解可能な樹脂層3、4を除去し、図3、4に示す吐出エレメントを得た。続いて、ノズル部が形成された基板をダイシングソーなどにより分離切断、チップ化し、発熱抵抗体を駆動するための電気的接合とインク供給部材の接合を行い、インクジェットヘッドを完成させた。
前記インクジェットヘッドを用いて尿素入りpH10のアルカリインクを吐出評価したところ、良好な印字を得ることができた。また、前記インクにインクジェットヘッドを、60℃、3ヶ月浸漬させた後、印字評価を行ったところ、良好な印字を得ることができたとともに、被覆樹脂層5の剥離は確認されなかった。
最表面における密着向上層が珪素化合物である例を示す。吐出エレメントに配列されている発熱抵抗体は、600dpiで配列されており、その全長は1.3インチである。
上部保護膜の上に形成される密着向上層は、珪素化合物(SiOまたはSiN)を成膜し、ポジ型レジストを用いて所望の形状にパターニングした。この時に、隣接する発熱抵抗体の間に設けられるインク流路壁部の前記密着向上層部に凹部も形成した。
溶解可能な樹脂層3をスピンコート法により塗布し、露光することにより、インク流路となるべき形状を作成した。インク流路の形状は、通常のマスクとDeep-UV光を用いて得ることができた(キヤノン製マスクアライナーPLA(登録商標)520(コールドミラー290使用)。その後、被覆樹脂層5を積層し、キヤノン製MPA(登録商標)−600sを用いて露光後、現像することで吐出孔6を形成した。続いて、TMAHにて、化学的シリコン異方性エッチング法により、インク供給孔7を形成した後、Deep−UV光を全面照射し、現像、乾燥することにより、溶解可能な樹脂層3、4を除去し、図3、図5に示す吐出エレメントを得た。続いて、ノズル部が形成された基板をダイシングソーなどにより分離切断、チップ化し、発熱抵抗体を駆動するための電気的接合とインク供給部材の接合を行い、インクジェットヘッドを完成させた。
前記インクジェットヘッドを用いて尿素入りpH10のアルカリインクを吐出評価したところ、良好な印字を得ることができた。また、前記インクにインクジェットヘッドを、60℃、3ヶ月浸漬させた後、印字評価を行ったところ、良好な印字を得ることができたとともに、被覆樹脂層5の剥離は確認されなかった。
(比較例1)
上部保護膜Ta上にポリエーテルアミドを形成し、隣接する発熱抵抗体の間に設けられるインク流路壁部の前記密着向上層部に凹部も形成しない場合を示す。吐出エレメントに配列されている発熱抵抗体は、600dpiで配列されており、その全長は1.3インチである。
上部保護膜Ta上にポリエーテルアミドを形成し、隣接する発熱抵抗体の間に設けられるインク流路壁部の前記密着向上層部に凹部も形成しない場合を示す。吐出エレメントに配列されている発熱抵抗体は、600dpiで配列されており、その全長は1.3インチである。
上部保護膜の上に形成される密着向上層は、ポリエーテルアミドを有機溶剤にて溶解した溶液をスピンコート法によりコーティングして形成した。汎用的なポジ型レジストを用いてマスクとなる形状を形成した後、ドライエッチング法を用いてエッチングすることにより、感光性を有していないポリエーテルアミドを所望の形状にパターニングした。この時に、隣接する発熱抵抗体の間に設けられるインク流路壁部の前記密着向上層部に凹部は形成しなかった。
溶解可能な樹脂層3をスピンコート法により塗布し、露光することにより、インク流路となるべき形状を作成した。インク流路の形状は、通常のマスクとDeep-UV光を用いて得ることができた(キヤノン製マスクアライナーPLA(登録商標)520(コールドミラー290使用)。その後、被覆樹脂層5を積層し、キヤノン製MPA(登録商標)−600sを用いて露光後、現像することで吐出孔6を形成した。続いて、TMAHにて、化学的シリコン異方性エッチング法により、インク供給孔7を形成した後、Deep−UV光を全面照射し、現像、乾燥することにより、溶解可能な樹脂層4を除去し、図6、図7に示す吐出エレメントを得た。続いて、ノズル部が形成された基板をダイシングソーなどにより分離切断、チップ化し、発熱抵抗体1を駆動するための電気的接合とインク供給部材の接合を行い、インクジェットヘッドを完成させた。
該インクジェットヘッドを用いて尿素入りpH10のアルカリインクを吐出評価したところ、良好な印字を得ることができた。しかしながら、前記インクにインクジェットヘッドを、60℃、3ヶ月浸漬させた後、印字評価を行ったところ、着弾点が所定の位置に対してズレているところが観察された。インクジェットヘッドを観察したところ、隣接する発熱抵抗体の間に設けられるインク流路壁部の浮きが観察された。
2 密着向上層
3 溶解可能な樹脂層(インク流路部)
4 溶解可能な樹脂層(土台部)
5 被覆樹脂層
6 インク吐出孔
7 インク供給孔
8 溶解可能な固体層除去のための貫通口
9 密着層凹部
200 ヒーター基板
204 発熱抵抗体層
206 絶縁層
207 上部保護層
3 溶解可能な樹脂層(インク流路部)
4 溶解可能な樹脂層(土台部)
5 被覆樹脂層
6 インク吐出孔
7 インク供給孔
8 溶解可能な固体層除去のための貫通口
9 密着層凹部
200 ヒーター基板
204 発熱抵抗体層
206 絶縁層
207 上部保護層
Claims (3)
- 発熱抵抗体を有する基板面に対して垂直方向にインク液滴が吐出されるインクジェットヘッドにおいて、前記基板上に感光性樹脂層からなるインク流路壁を有し、前記発熱抵抗体と、該発熱抵抗体上に絶縁層を介して設けられたインクとの接触面を有する上部保護層と、該感光性樹脂層と該上部保護層間に密着向上層を有するインクジェットヘッドであって、
互いに隣接する発熱抵抗体の間に設けられるインク流路壁部の前記密着向上層部に凹部を有することを特徴とするインクジェットヘッド。 - 前記密着向上層がポリエーテルアミドであることを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッド。
- 前記密着向上層が珪素化合物であることを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッド。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006313150A JP2008126491A (ja) | 2006-11-20 | 2006-11-20 | インクジェットヘッド |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006313150A JP2008126491A (ja) | 2006-11-20 | 2006-11-20 | インクジェットヘッド |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2008126491A true JP2008126491A (ja) | 2008-06-05 |
Family
ID=39552826
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2006313150A Withdrawn JP2008126491A (ja) | 2006-11-20 | 2006-11-20 | インクジェットヘッド |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2008126491A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011212944A (ja) * | 2010-03-31 | 2011-10-27 | Canon Inc | 液体吐出ヘッド及びその製造方法 |
-
2006
- 2006-11-20 JP JP2006313150A patent/JP2008126491A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011212944A (ja) * | 2010-03-31 | 2011-10-27 | Canon Inc | 液体吐出ヘッド及びその製造方法 |
US9421765B2 (en) | 2010-03-31 | 2016-08-23 | Canon Kabushiki Kaisha | Method of manufacturing liquid discharging head |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20100202 |