JP2008126062A - 少なくとも3つのコア層、少なくとも1つの中間バリア層、および少なくとも1つのカバー層を含む多層ゴルフボール - Google Patents

少なくとも3つのコア層、少なくとも1つの中間バリア層、および少なくとも1つのカバー層を含む多層ゴルフボール Download PDF

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Abstract

【課題】少なくとも3つのコア層、少なくとも1つのカバー層、および、コアおよびカバー層の間に配されて改善された蒸気バリアとして働く少なくとも1つの中間層を具備する多層ゴルフボールを提供する。
【解決手段】ゴルフボール10はセンタ12a、内側コア層12b、外側コア層12cで構成されるソリッドコア12と、蒸気バリア層をなす中間層14と、カバー16で形成される。ソリッドコア12の硬度勾配は中間層14にに向かって増加、または減少する。
【選択図】図3

Description

この発明はコアの少なくとも3つの層に渡って硬度を変化させた多層ゴルフボールに関する。
この非仮特許出願は係属中の2005年3月18日出願の米国特許出願11/083,453の部分継続出願であり、これは2004年1月9日出願の米国特許出願10/754,781で、現在では米国特許第6,932,720号として特許されているものの継続出願であり、これは2002年3月21日出願で現在放棄されている米国特許出願10/103,414の継続出願であり、これは2001年10月9日出願で、現在、米国特許第6,632,147号として特許されているものの部分継続出願である。これら親出願および特許の内容は参照してここに組み入れる。
ソリッドコアゴルフボールは当業界において公知である。一般的に、このコアはポリブタジエンゴム材料で造られていて、この材料はゴルフボールの反発性の主たる源を用意する。米国特許第3,241,834号明細書(特許文献1)および第3,313,545号明細書(特許文献2)は、ポリブタジエン化学の初期の研究を開示している。ポリブタジエンの架橋密度を増加させることが、コアの反発性を増加させることも当業界において公知である。コアは、典型的には、ゴルフクラブによる繰返し衝撃をカバーによって保護されている。ゴルフボールは、外側コアまたは内側カバー層である事のできる追加の層を含んでも良い。一つ以上のこれらの追加層は、ボールの反発性を増加させるために、伸長された弾性巻線の巻付け層であっても良い。
過酸化物および/または亜鉛ジアクリレートで架橋されたポリブタジエンコアの周知の欠点は、この材料が湿気によって悪影響を受ける点である。水蒸気はコアの反発性を減少させ、その性質を劣化させる。ポリブタジエンコアは水分を吸収してその反発性を失う。したがって、これらのコアは最適なボール特性を維持するためには早急にカバーされなければならない。カバーは、一般的に、アイオノマー樹脂、バラタおよびウレタン、その他の材料で造られている。アイオノマーカバー、とくに、硬いアイオノマーは、水蒸気の浸入に対して幾らかの保護を与える。しかしながら、硬いカバーを持つボールのスピンをコントロールしたり或いは与えたりする事はかなり困難である。通常のウレタンカバーは、一方、良好なボールコントロールを与えるが、アイオノマーカバーよりも水蒸気抵抗性が低い。
高湿度および昇温度に長期間暴露すると、市販のゴルフボールのコアには水蒸気が浸入してしまう。例えば、60日間、43.3℃(110°F)、90%湿度では、かなりの量の水分がコアに入り、ボールの初速を、0.54m(1.8ft)/s〜1.2m(4.0ft)/sまたはそれ以上で減速させる。圧縮の変化は、5PGA〜約10PGAまたはそれ以上で変化する。吸収された水分は、また、ボールの反発係数(CoR)を減少させる。
いくつかの先行特許は、この水分吸収問題に触れている。米国特許第5,820,488号明細書(特許文献3)は、ソリッド内部コア、外側コアおよびそれらの間に配置された水蒸気バリア層を持つゴルフボールを開示している。水蒸気バリア層は、好ましくは、カバー層の水蒸気透過率よりも低い水蒸気透過率を有する。水蒸気バリア層はポリビニリデンクロライド(PVDC)層である事ができる。また、バリア形成材料とコアの外側表面との間でのその場における反応によっても形成できる。代替的には、水蒸気バリア層はバーミキュライト層である事もできる。米国特許第5,885,172号明細書(特許文献4)および第6,132,324号明細書(特許文献5)は、例えば、アイオノマー樹脂内部カバーと比較的柔らかい外側カバーを持つポリブタジエンまたは巻付けコアを持つゴルフボールを開示している。硬いアイオノマー内部カバーは水蒸気浸透に対してある程度の抵抗を与え、柔らかい外側カバーは所望のボールコントロールを用意する。また、ボールのその他の性質が影響されない様に水分バリア層を最少化することが望ましい。更に、米国特許第5,875,891号明細書(特許文献6)は、ゴルフボール用の不浸透性パッキングを開示している。この不浸透性パッキングは、貯蔵中のゴルフボールによる水分吸収を制限する水分バリアとして作用する。
先行特許に開示されている水蒸気バリア層は硬いことが多く、ボールを堅固にする。さらに、硬い層を製造することは製造上の障害となる。他方、より硬くないポリマー、例えば、ブチルゴムおよび他のゴムは、空気、気体、および水蒸気の透過性が小さいことが知られている。ブチルゴムは、屋根のシール剤、チューブレスタイヤの内側ライナー、および化学タンクのライニング、その他として広く用いられている。ゴルフボールの業界においては、部散るゴムの用途は、その初期速度やCoRが小さいことに起因して、練習ボールすなわち練習場のボールに制限されたものであった。これは米国特許第5,209,485号明細書(特許文献7)および同第4,995,613号明細書(特許文献8)に検討されている。ブチルゴムは、また、その耐久性から、最も内側のカバー層、すなわちカバーの一部に使用され、これについては米国特許第5,873,796号明細書(特許文献9)および同第5,882,567号明細書(特許文献10)、その他に開示されている。しかしながら、いままでは、ブチルゴムの水蒸気バリアとしての利点をゴルフボールに採用してより高性能なゴルフボールを作ることはなされなかった。
また、所定のポリマー材料を高温で硬化してゴルフボール上に水蒸気バリア層または他の外側層を形成するのは実現が困難である。なぜならば、そのようか硬化または架橋はゴルフボールサブアッセンブリ全体を加熱するからである。加熱法はサブアッセンブリ中の目的外の部品を劣化させる。さらに、この硬化法は、適切な外側層の材料を、内側層またはコアの軟化温度またはより低い溶融温度よりも硬化温度が低い材料に制約される。
したがって、改善された水蒸気バリア層を具備し、かつ、ゴルフボールのコア内の硬度を変化させるゴルフボールへの要望が依然としてある。
米国特許第3,241,834号明細書 米国特許第3,313,545号明細書 米国特許第5,820,488号明細書 米国特許第5,885,172号明細書 米国特許第6,132,324号明細書 米国特許第5,875,891号明細書 米国特許第5,209,485号明細書 米国特許第4,995,613号明細書 米国特許第5,873,796号明細書 米国特許第5,882,567号明細書
特許請求の範囲と記載と同様である。
この発明は、少なくとも3つのコア層、少なくとも1つのカバー層、蒸気バリア層として働く、コアおよびカバー層の間の少なくとも1つの中間層を具備する多層ゴルフボールに向けられている。ここで採用されるように、ゴルフボールサブアッセンブリは少なくとも内側コアを有し、さらに、1または複数の外側コア層、中間層、および外側カバーを有してよい。任意の層のサブアッセンブリは、当該層に、当該層の下側にあるすべての内側の層を加えたものである。
図1および2で一般的に示される様に、類似の数字は類似の部分を表し、参照番号10は全体としてこの発明に従うゴルフボールを表す。ゴルフボール10は、好ましくは、ソリッドコア12、中間層14およびカバー16を有する。ソリッドコア12は、1つの最も内側の球状要素を有し、また、その球状要素を取り囲む少なくとも2つの付加的なコア層を有して良い。ソリッドコア12は、任意の適切なコア材料から製造でき、これは、熱硬化性プラスチック、例えば、天然ゴム、ポリブタジエン(PBD)、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンまたはスチレン−プロピレン−ジエンゴム、および熱可塑性プラスチック、例えば、アイオノマー樹脂、ポリアミド、ポリエステル、または熱可塑性エラストマーを含む。適当な熱可塑性エラストマーとしては、ポリエーテルアミドコポリマーを有すると考えられるPebax(商標)、ポリエーテルエステルコポリマーを有すると考えられるHytrel(商標)、熱可塑性ウレタンおよび、スチレンブロックコポリマーエラストマーを有すると考えられるKraton(商標)が挙げられ、これらは、Elf−Atochem、E.I. Du Pont de Nemours and Co.、様々な製造業者、およびShell Chemical Co.のそれぞれから市販されている。また、コア材料はキャスタブル材料から形成する事もできる。適当なキャスタブル材料としては、ウレタン、ポリ尿素、エポキシ、シリコーン、IPN等が挙げられる。
更に、適当なコア材料としては、また、完全な反応が起きて減少した比重を有する硬化ポリマーを生成する密閉金型中に成分を射出する前に、ポリウレタンの少なくとも一成分、一般的にはプレポリマー中に、一般的に窒素であるガスを泡立たせる、核形成と言われるそれらのバージョンを含めて、反応射出成型されるポリウレタンまたはポリ尿素が挙げられる。これらの材料は反応射出成形(RIM)材料と言われる。
例えば図3にあるようにコア12が複数の層を含むときには、複数の層が物理的/機械的特性、例えば、硬度において勾配を有することが好ましく、これは、最も外側から最も内側の層へと増大し、または最も外側から最も内側の層へと減少するものである。特性勾配については以下でより詳細に説明する。
カバー16は、好ましくは、強靭で、切断抵抗のあるものであり、所望の性能特性に基づいてゴルフボールカバーとして使用される通常の材料から選ばれる。カバーは一つ以上の層を含んでも良い。適当なカバー材料としては、アイオノマー樹脂、例えば、DuPontから市販されているSurlyn(商標)、アイオノマー樹脂のブレンド、熱可塑性または熱硬化性ウレタン、アクリル酸、メタクリル酸、分子の弾性中央ブロックが不飽和ゴムまたは飽和オレフィンゴム、例えば、Shell Chemical社から市販されているKraton(商標)ゴムの様なブロックコポリマーから成る熱可塑性ゴムポリマー、ポリエチレンおよび合成または天然加硫ゴム、例えばバラタが挙げられる。
更に、その他の適当なカバーおよびコア材料は、米国特許第5,919,100号明細書および国際公開WO00/23519とWO01/29129に開示されている。これらの開示内容はその全体が参照によって導入される。好ましくは、コア12は、ポリブタジエンゴム材料で造られ、カバー16は、熱硬化性または熱可塑性ウレタンを含む組成物またはアイオノマー樹脂を含む組成物で造られる。
ゴルフボールのコア12への水分、一般的には水蒸気の浸入を防ぎ或いは最少化するためには、中間層14は、好ましくは、コア12の周りに直に配置された水蒸気バリア層である。好ましくは、水蒸気バリア層14は、カバーの水蒸気透過率よりも低い水蒸気透過率を有し、更に好ましくは、アイオノマー樹脂、例えばSurlyn(商標)の約0.45〜約0.95g・mm/m2・日の範囲の水蒸気透過率より低い水蒸気透過率を有する。典型的には、アイオノマー樹脂の水蒸気透過率は0.6g・mm/m・日未満であり、これはPlastic Design Library(1995)により発行された”Permeability and ptjer Film Properties of Plastic Elastmer”に報告されている。水蒸気透過率は、単位時間当たりの単位面積当たりの所定の厚さの材料中に拡散する水蒸気の質量と定義される。水蒸気透過率を測定する為の好ましい基準としては、ASTM F1249−90”Standard Test Method for Water Vapor Transmission Rate Through Plastic Film and Sheeting Using a Modulated Infrared Sensor”およびASTM F372−99” Standard Test Method for Water Vapor Transmission Rate of FlexibleBarrier Materials Using an Infrared Detection Technique”等が挙げられる。
水蒸気バリア層用に好ましいポリマーはブチルゴムである。ブチルゴム(IIR)は、イソブチレンおよびイソプレンのエラストマーコポリマーである。ブチルゴムの詳細な検討は米国特許第3642728号および同第3099644号にあり、その内容は参照してここに組み入れる。ブチルゴムは、非晶質、非極性ポリマーで、酸化および熱安定性、良好永久可撓性、および高水蒸気・ガス耐性を有する。一般に、ブチルゴムは、約70重量%から99.5重量%の、約4から7個の炭素原始を含むイソオレフィン、例えば、イソブチレンと、約0.5重量%から30重量%の、約4から14個の炭素原子を含む共役マルチオレフィン、例えばイソプレンとのコポリマーである。得られたコポリマーは、約85重量%から約99.8重量%の結合イソオレフィンと0.2重量%から15重量%の結合マルチオレフィンとを含む。商業的に入手可能なブチルゴム、例えば、ExxonMobil Chemical Company社により製造されたものは、典型的には、約1から2.5モルパーセントのイソプレンを有する。ブチルゴムの分子量は一般に約20000から約500000である。適切なブチルゴムは、また、United Coaning社からElastron(商標)の商標名で入手可能であり、これは揮発性炭化水素溶媒中の溶液として塗布されるブチルゴムコーティングであり、目的物または表面にスプレイまたは浸漬され、架橋剤として過酸化鉛を含む。
ブチルゴムはハロゲン化された形態でも入手できる。ハロゲン化ブチルゴムは、不活性のC〜Cの炭化水素の溶媒、例えば、ペンタン、ヘキサン、またはヘプタンを含む溶液中のブチルゴムを、当該溶液にハロゲンガスを予め定められた時間接触させることにより、ハロゲン化して準備できる。これによりハロゲン化ブチルゴムおよびハロゲン化水素が生成される。ハロゲン化ブチルゴムコポリマーは、1個の二重結合あたりたかだか1個までのハロゲン原子を含むことができる。ハロゲン化ブチルゴムすなわちハロブチルゴムは、反応性臭素をたかだか3%含むブロモブチルゴム、反応性塩素をたかだか3%含むクロロブチルゴムを含む。ハロゲン化ブチルゴムはExxonMobile Chemical社からも入手可能である。ブチルゴムおよびハロゲン化ゴムは、有利なことに、空気、気体、および水分に対する透過性が小さい。例えば、ブチルゴム中の窒素の透過性は、ネオプレン、スチレンブタジエンゴム、天然ゴム、およびニトリルブタジエンゴム中のそれより1オーダを越えて小さいと、製造者は報告している。
ブチルゴムはスルホン化形態でも入手でき、例えば、「728」特許および米国特許第4229337号明細書に開示されている。一般に、粘性平均分子量が約5000から約85000の範囲で、モルパーセント不飽和が約3%から約4%のブチルゴムは三酸化硫黄(SO)ドナーを含むスルホン化剤で、酸素、窒素、または燐を含むリュイス(Lewis)塩基と組み合わせて、スルホン化できる。リュイス塩基は、SOドナーに対して、錯生成剤として働く。SOドナーは、利用可能なSOを含む化合物、例えば、塩化スルホン酸、フルオロスルホン酸、硫酸、および油剤(oleum)を含む。
典型的には、ブチルゴムの水蒸気透過率は約0.001から約0.100グラム・mm/m・日の範囲である。
他の適切な水蒸気バリアポリマーは、ブチルゴムに、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム(EPDM)の環境および老化耐性を組み合わせたエラストマーを含み、これはExxpro(商標)としてExxonMobile Chemical社から商業的に入手できる。より具体的には、エラストマーは、イソブタジエン(IB)およびp−メチルスチレン(PMS)から誘導した臭素化ポリマーである。臭素化がPMSメチル基に選択的に起こり、反応性ベンジル臭素官能基を提供する。他の適切な水蒸気バリアポリマーはイソブチレンおよびイソプレンのコポリマーで、スチレンブロックコポリマー分岐剤を伴い製造加工性を改善したものである。
他の適切な水蒸気バリアポリマーは、ポリイソブチレンである。ポリイソブチレンは、ホモポリマーであり、カチオン重合法により製造される。ExxonMobile Chemical社から商標Vistanexの下で商業的に入手可能なグレードのポリイソブチレンは、末端オレフィン結合のみを含む長鎖分子に合成された高度にパラフィン系の炭化水素ポリマーである。このようなエラストマーの利点は、水蒸気浸透を阻止する低透過性および化学アタックに対する化学不活性の組み合わせである。ポリイソブチレンは粘性液体または半固体として入手でき、所定の炭化水素溶媒に溶かすことができる。
この発明の他の側面によれば、ハロゲン化ブチルゴムは、第2のゴム、好ましくは二重結合加硫ゴムと、2−ステップ混練ステップで特定の混合比でブレンドされ、その後、硬化されて、低空気/水蒸気硬化性およびジエンゴムに対する大きな接着性を伴うゴムブレンドを形成してよい。このゴムブレンドは、ポリブタジエンのコアすなわちサブアッセンブリに対する接着性が増強されて改善した湿気/水蒸気バリア層を実現するという点で、明らかに有利である。このゴムブレンドは米国特許第6、342、567B2号明細書に検討されている。’567特許の内容は参照してここに組み入れる。代替的には、臭素化イソブチレン/p−メチルスチレンを、上述のとおり、ハロゲン化ゴムの代わりに使用できる。他の水蒸気バリアポリマーは、動的に加硫されてよく、ブチルゴムまたはハロゲン化ブチルゴムを有する熱可塑性エラストマーブレンドを有し、これは例えば米国特許第6、062、283B1号明細書、同第6,334,919B1号明細書、および同第6,346,571B1号明細書に検討されているようなものである。これら参考文献は参照してその内容をここに組み入れる。代替的には、ブチルゴムはビニリデンクロライドポリマーまたはコポリマーとブレンドしてよく、これは例えばSaran(商標)であり、米国特許第4,239,799号明細書に開示されている。’799特許も参照してここに組み入れる。
ブチルゴムは多くの硬化剤で硬化できる。ゴルフボール用途に好ましい硬化剤は、ブチルゴムに対しては硫黄、および、ハロゲン化ブチルゴムに対しては、ペルオキシド硬化剤、好ましくは酸化亜鉛を含む。他の適切な硬化剤は、酸化アンチモン、酸化鉛、または過酸化鉛を含んでよい。亜鉛ベースの硬化剤を、適切な安全表記がなされるときに、採用できる。ブチルゴムは、粘性液体から固体までの種々のグレードで飽和度および分子量を変化させて入手できる。ラテックスのグレードもまた入手可能である。
ブチルゴムおよびハロゲン化ブチルゴムは、ミリング、カレンダー処理、押し出し成型、射出成型、および圧縮成型、その他の手法で処理可能である。これら処理手法は、水蒸気バリア材料の半硬化シートまたは半殻を生成でき、これがコアまたはコアサブアッセンブリのまわりを包むことができる。水蒸気バリアは、加熱により上昇温度、典型的には、約121.1°C(250°F)から約1093°C(2000°F)の範囲となして十分に硬化できる。
さらに、任意の種類のフィラー、添加物、ファイバー、およびフレーク、例えば、雲母、雲母状酸化鉄、金属、セラミック、グラファイト、アルミニウム、または、さらに好ましくは、葉状アルミニウムを水蒸気バリア層に組み込んで物理的なバリア、すなわち、よりくねくねした経路を生成して水蒸気浸入に対処するようにできる。
この発明の他の側面によれば、コアまたはコアサブアッセンブリの上に水蒸気バリア材料を硬化させるために、好ましくは赤外線照射(IR)を用いる。IRは、有利なことに、水蒸気材料、例えばブチルゴムを、下にあるゴルフボールコアおよび/または他の包み込まれた層へと浸透することなく、部分的に加熱する。したがって、コアおよび/または包み込まれた層の予め定められて特性が、水蒸気バリア層の加熱/硬化により悪影響を受けることがない。米国特許第6,174,388B1号明細書は、IRを有効に採用して、ポリマー物体の表面を、その物体の他の部分を変化させることなしに、加熱し硬化することができることを開示している。米国特許第5,677,362号明細書および同第5,672,393号明細書は、IR加熱を紫外線加熱とともに採用してポリマーを有効に硬化できることを開示している。これらの特許の開示内容は参照してここに組み入れる。
IRを硬化手法として採用する他の利点は、包み込まれる材料の軟化温度または溶融温度よりも大きな硬化または架橋温度を有する適切な水蒸気バリアポリマーを、水蒸気バリア層および/または他の外側層として採用できるようになるという点である。
この発明の他の側面によれば、他の適切な水蒸気バリア材料は、ポリスルフィドであり、これは、米国特許第4,263,078号明細書、および同第4,165,425号明細書、その他を含む。これら参照文献は参照してここに組み入れる。1例では、ポリスルフィドゴムは低級アルキル酸化錫、例えば、ジ−n−ブチル酸化錫により硬化され、’425特許で開示されるような加熱プロセス(hot applied process)で採用される。この具体的なポリスルフィドゴムはチオール末端であり、低級アルキル酸化錫により約100°Cおよび約300°Cの間の温度で硬化されて固体の熱可塑性エラストマーとなり、これを熱により軟化させて成型または射出成型により水蒸気バリア層にすることができる。このポリスルフィド化合物は好ましくはIRで硬化される。
他の適切なIR硬化可能なポリスルフィドゴムは、チオール末端液状ポリスルフィドポリマーをベースにするものであり、これは、酸化亜鉛、ならびに、2−メルカプトベンゾチアゾール、亜鉛低級アルキルジチオカルバメート、およびアルキルチウラムポリスルフィドから選択された硫黄含有化合物により、約93.3°C(200°F)から約198.9°C(390°F)の温度で硬化する。当該組成物の流動特性を改善させる薬剤、例えば、スチレンおよびアルキレンのコポリマー、有機または無機の強化ファイバ材料、フェノール樹脂、クマロンインデン樹脂、酸化防止剤、熱安定剤、ポリアルキレンポリマー、油ゴム、テルペン樹脂、テルペン樹脂エステル、ベンゾチアゾールジスルフィド、またはジフェニルグアニジンを当該組成物に添加して良い。有利なことに、このポリスルフィドゴムは、冷却時に、基体に対して湿潤する良好な傾向を有してこの基体と良好な結合を実現し、このため、ゴルフボール用の好ましいシーリング材である。このポリスルフィド化合物も、好ましくは、IRにより硬化される。
ポリスルフィドゴムを有する水蒸気バリア層は、「水蒸気バリア層を具備するゴルフボールおよびその製造方法」という名称で2004年1月12日に出願され本出願人に譲渡され、米国特許出願公開2004/0185963として公開された係属中の米国特許出願10/755,638に十分に開示されている。この開示内容は参照してここに組み入れる。
この発明の他の側面によれば、適切なIR硬化水蒸気バリアポリマーは単一パック成型可能ポリマーである。好ましい単一パックポリマーはウレトジオンまたはブロック化イソシアネートを使用して単一パックウレタン成分を形成する。好ましくは、アミンまたはポリオールと組合わされたイソシアネートを含む単一パックのブロックイソシアネート系は、室温において安定である。熱の適用は、イソシアネートを脱ブロックして、ウレタンを形成する為の反応に与らせる。混合したり、成分の比率を調節したりする事は必要ない。
ウレトジオンキャスタブル性材料は、早発性反応を伴う事無しに単一パック系として予備組成することができる。混合された単一パック材料は、複数成分の計量或いは混合を避けて直接に金型中に射出または注入することができる。従来のツーパック系では以前には使用できなかった粘稠な或いは固体材料を利用する事によって部品を造ることができる。有利なことに、ウレトジオンとブロックイソシアネートは、適当な反応性成分と組合わされる際に、上述のその他の製造方法で使用するためにゴムストック中に混練できる。
この発明に従う単一パック系の非限定例は次の通りである。微細に粉砕されたウレトジオンを、錫触媒と環状アミジン触媒と組合わせて液体ポリオールまたはポリアミン中に分散させてスラリーが生成される。このスラリー混合物を適当なゴルフボール金型に注入して、必要な部分、例えば、コア、中間層またはカバーを造る。次いで金型を加熱して、約150〜180℃の所定の脱ブロック温度にして、十分な時間を掛けて反応を完結させる。次いで、硬化した成分は、必要ならば、更なる加工のために金型から取出す事ができる。
他の例では、上述の例でのウレトジオンに代えて、3,5−ジメチルピラゾール(DMP)ブロックIPDIが使用される。つぎに、モールドが約140°Cから約160°Cの脱ブロック温度まで加熱され、反応が完了するのに十分な時間が与えられる。他の非限定的な例では、単一パックの水蒸気バリア層が、脱ブロックが起こると揮発するブロック化イソシアネート、例えば、ジエチルマレオネート(DEM)またはメチルエチルケトオキシム(MEKO)ブロック化ヘキサメチレンジイソシアネート循環三量体である。このような例はゴルフボール、サブアッセンブリ、またはその他に対して散布、または浸漬することができ、その後IR硬化を行なえる。
単一パック系の非限定的化学構造は以下に示される。ウレトジオンはつぎのようにして生成される。
Figure 2008126062
ポリウレトジオン架橋剤の好ましい化学構造は以下のとおりである。
Figure 2008126062
好ましい硬化剤はウレトジオンまたはブロックイソシアネートであり、ブロッキング剤は、一度キャストされた固体として、例えば、DMPまたはトリアゾールブロックイソシアネートとして成分中に残る。好ましいブロッキング剤の構造は、つぎのとおりである。
Figure 2008126062
単一パックキャスタブル水蒸気バリア材料は親出願の特許出願09/973,342に十分に開示されており、その内容は参照してここに組み入れる。
好ましくは、この発明に従うゴルフボールは、ソリッドまたは多層ソリッドポリブタジエンのコア12を有し、その外側直径は約1.50インチより大きく、より好ましくは1.550インチであり、最も好ましくは約1.580インチである。水蒸気バリア層14の厚さは、好ましくは約0.001インチから約0.100インチの範囲であり、より好ましくは、約0.010インチから約0.050インチの範囲であり、カバー16はウレタンであり、その厚さは1.680インチの直径のゴルフボールを形成するのに十分なものである。
より好ましくは、水蒸気バリア層は上述した適切なブチルゴムポリマーからなる薄い層であり、その厚さは好ましくは0.127cm(0.050インチ)未満、より好ましくは0.076cm(0.030インチ)未満、最も好ましくは0.0254cm(0.010インチ)未満である。また、ブチルゴムの水蒸気バリア層は、ゴルフボールの反発係数に著しい、または消極的な影響を与えないことが好ましい。好ましくは、ポリブタジエンのコア12および薄いブチルゴムの水蒸気バリア層14は比較的柔らかなポリマーカバーにより被覆され、そのカバーの厚さは約0.0254cm(0.010インチ)から約0.127cm(0.050インチ)、より好ましくは0.076cm(0.030インチ)であり、そのカバーのショアDは65より小さく、または約30から約60であり、より好ましくは約35から約50であり、さらに好ましくは約40から約45である。このようなカバーは米国特許第5,885,172号明細書および同第6,132,324号明細書に十分に開示されている。これら2つの特許の開示内容は参照してここに組み入れる。好ましいカバーポリマーは熱硬化性ウレタンおよびポリウレタン、ポリ尿素、熱可塑性ウレタンアイオノマーおよび熱硬化性ウレタンエポキシを含む。
先に検討し図3に示すように、ゴルフボール20は多層コア12a、12bおよび12cを具備して良く、これが中間層14およびディンプルカバー16に包囲される。コア層12bおよび12cは好ましくは一体のソリッド層または相互に成型される個別の層であってよい。代替的には、内側および外側層12bおよび12cの双方が糸巻層であって良く、または、それらの層の1つが糸巻層であって良く、最も内側のコアすなわちセンタ12aが液体充填であって良い。
この発明に従ってゴルフボールが少なくとも3つのコア層(すなわち少なくともセンタ12a、内側コア層12b、および外側コア層12c)を有するいくつかの実施例において、コア層において以下の特徴の中の1または複数が存在する。
特徴a:
センタは有利なことに、(a)約1.27cm(0.5インチ)から約4.06cm(1.6インチ)の直径を有し、(b)約35を越えるムーニー粘度を有し、(c)約100kg荷重で少なくとも約1mmの撓みを有し、(d)ジエン架橋剤(例えば亜鉛ジアクリレート)の量が樹脂100部に対して約10から約40部(phr:per hundred resin)であり、または(e)いくつかのこれらの組み合わせを有する。
特徴b:
内側コア層は有利なことに、(a)約4.09cm(1.610インチ)以下の外側直径を有し、(b)約35を越えるムーニー粘度を有し、(c)ジエン架橋剤(例えば亜鉛ジアクリレート)の量が樹脂100部に対して約15から約45部(phr)であり、または(d)いくつかのこれらの組み合わせを有する。
特徴c:
外側コア層は有利なことに、(a)約4.22cm(1.660インチ)以下の外側直径を有し、(b)約35を越えるムーニー粘度を有し、(c)ジエン架橋剤(例えば亜鉛ジアクリレート)の量が樹脂100部に対して約15から約45部(phr)であり、または(d)いくつかのこれらの組み合わせを有する。
1実施例において、コア層のうちの1または複数(例えばすべて)が硫黄化合物例えば亜鉛ペンタククロロチオフェノールを含んでよい。1実施例において、コア層のうちの1または複数(例えばすべて)がフィラー例えば硫酸バリウム、タングステン、酸化亜鉛、およびこれらの組み合わせを含んでよい。
この発明に従ってゴルフボールのコア層が硬度勾配を実現しているいくつかの実施例では、センタ、内側コアおよび外側コア層の硬度がそれぞれ増加し(センタの硬度<内側コアの硬度<外側コアの硬度)、例えば、センタの硬度が約50ショアC以下で良く、内側コアの硬度が約50ショアCより大きくて良く、外側コアの硬度が約65ショアCより大きくて良く、またはこれらの組み合わせであってよい。これらゴルフボールでは、コアの硬度勾配がセンタから外側コアへと増加し、これらゴルフボールは典型的には、より硬く、通常では打撃距離をより増大させる。
この発明に従ってゴルフボールのコア層が硬度勾配を実現しているいくつかの実施例では、センタ、内側コアおよび外側コア層の硬度がそれぞれ減少し(センタの硬度>内側コアの硬度>外側コアの硬度)、例えば、センタの硬度が約60ショアCより大きくて良く、内側コアの硬度が約60ショアC未満で良く、外側コアの硬度が約50ショアC未満で良く、またはこれらの組み合わせであってよい。これらゴルフボールでは、コアの硬度勾配がセンタから外側コアへと減少し、これらゴルフボールは典型的には、より柔らかく、一般に、より大きなスピンレートを付与してより良好なコントロールを実現する。
1実施例において、センタ、内側コア層、および外側コア層の比重は実質的に類似である(例えば相互に約5%の範囲である)。他の実施例では、センタ、内側コア層、および外側コア層の各々の比重が相互に著しく異なる(例えば、いずれのコア層も任意の他の層の約5%の範囲でない)。他の実施例では、センタ、内側コア層、および外側コア層の各々の比重が、当該少なくとも3つの層のうちの2つが実質的に類似して、当該少なくとも3つの層の中の3番目の層が近似的に等しい2つの層と著しく異なっているようになっている。
この発明に従う、これら多層コアのゴルフボールにおいては、有利なことに、湿気および/または酸素に対するバリア層として機能する少なくとも1つの中間層が、最も内側のコア層および(最も外側の)カバー層の間に配されてよい。典型的には、これらの実施例において、当該中間層(複数でもよい)の水蒸気透過率は、有利なことに、Surlyn(商標)の数上記透過率より良好(小さい)にできる(すなわち、約0.6グラム・mm/m・日より小さく、またはカバーのそれが約0.6グラム・mm/m・日より小さければ、カバーの水蒸気透過率より小さい)。好ましい実施例において、中間のバリア層の厚さは比較的一様で、約0.020インチ以下であってよい。
1実施例において、中間のバリア層は熱可塑性バインダ、および、水蒸気および/または酸素透過率が小さな粒状材料を有する。理論に拘束されるものではないけれども、粒状材料は、透過物/浸透物(例えば、水蒸気および/または酸素)が通る曲がりくねった経路を形成して有利に働く。1つの好ましい実施例において、粒状材料のバインダ材料に対する比率は約0.8:1.2から約1.2:0.8であってよく、好ましくは約0.9:1から約1.1:0.9であってよく、例えば、1:1である。他の実施例では、熱可塑性エラストマーのバインダがKraton(商標)のような材料を含んでよく、他方、粒状材料は高アスペクト比(血小板状、円盤状、その他)のアルミニウムフレークを含んでよい。好ましくはアスペクト比は2:1より大きい。
好ましい1実施例において、少なくとも3つのコア層および1つの中間のバリア層があり、この場合、カバーは熱硬化性または熱可塑性ポリウレタン(例えばポリウレタン尿素)を含んで良く、その硬度は約25から約65ショアDであり、その曲げ弾性率は少なくとも約13.79MPa(2000psi)である。
好ましい実施例において、この発明に従うゴルフボールは少なくとも3つのコア層、少なくとも1つの中間のバリア層、および少なくとも1つのカバー層を有し、この場合、得られるゴルフボールは有利なことにつぎのうちの1または複数の特徴を示す。すなわち、Atti圧縮が約110未満である;CORが少なくとも約0.790である;約100kg荷重での撓みが少なくとも約1.5mmである;カバー表面が約250から約450個のディンプルを有する;およびこれらの組み合わせである。
この発明に従うゴルフボールのいくつかに適した材料は、本出願人の2005年2月18日出願で米国特許出願公開2005・0176523A1として公開された米国特許出願11/061,338に見い出すことができ、その開示内容は参照してここに組み入れる。
いくつかの実施例において、多層ゴルフボールのコアは流体(気体または液体)充填コア、例えば米国特許出願10/670,514および米国特許第6,632,147号明細書に説明されているものを有してよく、その開示内容は参照してここに組み入れる。コア中に使用するのに適した流体はその比重に応じて空気、他の気体、液体溶液、液体、ゲル、発泡体、ホットメルト、他の流体材料およびこれらの組み合わせを含む。適切な液体の例は、塩水のような水溶液、コーンシロップ、塩水とコーンシロップ、グリコールと水または油である。液体はさらにペースト、粘土のようなコロイド懸濁液、バライト、水またはその他の液体、または、塩水/グリコール混合物であってよい。適当なゲルの例は、水ゼラチンゲル、ヒドロゲル、水/メチルセルロースゲル、および、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ゴムのような材料をベースとしたコポリマーゴムおよびパラフィン系および/またはナフテン系オイルである。適当なメルトの例は、ワックスおよびホットメルトである。ホットメルトは、室温または凡そ室温で固体であって、昇温度で液体となる材料である。液体コアは内側コア、外側コア、およびカバーの成型時に高温に加熱されるので、高溶融温度が好ましい。代替的には、液体は、固体を形成するために組合わせる選択的反応性液体系であってもよい。適当な反応性液体の例は、シリケートゲル、アガーゲル、過酸化物硬化ポリエステル樹脂、二成分系エポキシ樹脂、過酸化物硬化液体ポリブタジエンゴム組成物、反応性ポリウレタン、シリコーン、およびポリエステルである。さらに、適切な流体は低比重の液体、例えば、石油、植物または動物ベースの油、メタノール、エタノール、アンモニア、その他、または高比重の液体、例えばグリセリンまたは四塩化炭素を含む。
コアは熱硬化性または熱可塑性材料、例えば、ポリウレタン、ポリ尿素、部分的または十分に中和されたアイオノマー、熱硬化性ポリジエンゴム、例えばポリブタジエン、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、バラタ、ブチルゴム、ハロブチルゴム、スチレンブタジエンゴム、または任意のスチレン系ブロックコポリマー、例えば、スチレンエチレンブタジエンスチレンゴム、その他、メタローセンまたは他のシングルサイト触媒ポリオレフィン、ポリウレタンコポリマーを有し、これは例えばシリコーンを伴う。ただし、材料が上述のCOR基準に合致する必要がある。
上述の材料に加えて、この発明の範囲内の組成物は、1または複数のポリマーを組み入れて良い。この発明に使用して最適な付加的なポリマーの例は、これに限定されないが、つぎのようなものである。すなわち、熱可塑性エラストマー、熱硬化性エラストマー、合成ゴム、熱可塑性加硫物、コポリマー性アイオノマー、ターポリマー性アイオノマー、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリアミド、コポリマー性ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、ポリアリーレート、ポリアクリレート、ポリフェニレンエーテル、衝突改質ポリフェニレンエーテル、高衝突ポリスチレン、フタル酸ジアリルポリマー、メタローセン触媒ポリマースチレン−アクリロニトリル(SAN)(オレフィン改質SANおよびアクリロニトリル−スチレン−アクリロニトリルを含む)、スチレン−マレイン酸無水物(S/MA)ポリマー、スチレンコポリマー、官能性スチレンコポリマー、官能性スチレンターポリマー、スチレンターポリマー、セルロースポリマー、液晶ポリマー(LCP)、エチレン−プロプレン−ジエンターポリマー(EPDM)、エチレン−ビニルアセテートコポリマー(EVA)、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレンビニルアセテート、ポリ尿素、およびポリシロキサンまたはこれら種のメタローセン触媒ポリマーである。この発明の範囲内の組成物の付加的な材料として用いて好適なポリアミドは、つぎのようにして取得された樹脂を含む。(1)として、(a)ジカルボン酸例えば蓚酸、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、または1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を(b)ジアミン例えばエチレンジアミン、テトラエチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、またはデカメチレンジアミン、1,4−シクロヘキシルアミンまたはm−キシリレンジアミンで宿重合する。(2)として、環状ラクタム例えばイプシロンカプロカクタム、またはオメガラウロラクタムを開環重合する。(3)として、アミノカルボン酸例えば6−アミノカプロン酸、9−アミノカプロン酸、11−アミノカプロン酸または12−アミノカプロン酸を宿重合する。または、(4)として、環状ラクタムをジカルボン酸およびジアミンで共重合する。適切なポリアミドの具体的な例は、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、コポリマーナイロン、ナイロンMXD6およびナイロン46である。
この発明の範囲の組成物の付加的な材料として用いて好適な他の好ましい材料は、韓国のSK Chemicals社から商標名「SKYPEL」で販売されているポリエステルエラストマー、または日本のKuraray社から商標名「SEPTON」で販売され、また英国のChesterのKraton Polymers Group社から「KRATON」で販売されているジブロックまたはトリブロックコポリマーである。上に上げたすべての材料はこの発明の範囲内で準備されたボール層の品質をかなり向上させる。
アイオノマーも、この発明の範囲に含まれる組成物にブレンするのに良好に適したものである。適切なアイオノマーポリマーは(例えばコポリマー、またはターポリマー型のアイオノマー)はα−オレフィン/不飽和−カルボン酸コポリマー型のアイオノマー樹脂またはターポリマー樹脂を含む。コポリマーアイオノマーは、α−オレフィンおよび3〜8個の炭素原子を有するα,β−不飽和カルボン酸のコポリマー中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和して取得する。適切なα−オレフィンの例は、これに限定されないが、エチレン、プロピレン、1−ブテン、および1−ヘキセンである。適切な不飽和カルボン酸の例は、これに限定されないが、アクリル、メタクリル、エタクリル、α−クロロアクリル、クロトン、マレイン、フマル、およびイタコン酸である。コポリマーアイオノマーは、酸含量や中和の程度が種々なアイオノマーを含み、中和は一価または二価のカチオンにより行われ、これは先に検討した。
ターポリマーアイオノマーは、α−オレフィン、3〜8個の炭素原子を有するα,β−不飽和カルボン酸および2〜22個の炭素原子を有するα,β−不飽和カルボン酸塩のコポリマー中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和して取得する。適切なアイオノマー樹脂の例は、これに限定されないが、ウィルミントンのデュポン(E.I.DuPont de Nemours & Co.,Wilmington,DE)の商品名「SURLYN」としてまたはテキサスのアービングのエクソン(Exxon)のIOTEKとして製造されているものを含む。

シリコーン材料も、この発明の範囲の組成物中にブレンドして好適なものである。これらは、モノマー、オリゴマー、プレポリマー、またはポリマーであり、付加的な強化フィラーを伴っても伴わなくても良い。適切な1のタイプのシリコーン材料は、それら分子中に少なくとも2個の炭素原子を含むアルケン基を組みこむことができる。アルケン基の例はこれに限定されないがビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニルおよびデセニルを含む。アルケン基は、シリコーン構造のどの位置に配置されても良く、これには、構造の1または双方の末端が含まれる。このコンポーネントの残りの(すなわち非アルケンの)シリコーン結合有機基は、炭化水素またはハロゲン化炭化水素基から独立して選択され、これは脂肪族の不飽和を含まない。これらの非制限的な例は:アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルおよびヘキシル;シクロアルキル基、例えば、シクロヘキシルおよびシクロヘプチル;アリール基例えばフェニル、トリル、およびキシリル;アラルキル基例えばベンジルおよびフェネチル;およびハロゲン化アルキル基例えば3,3,3−トリフルオロプロピルおよびクロロメチルである。この発明に用いて好適な他のタイプのシリコーン材料は、脂肪族の不飽和を伴わない炭化水素基を具備するものである。この発明の組成物を製造するのに使用して好適な具体的な例は、つぎのものである。トリメチルシロキシ−末端ブロック化ジメチルシロキサン−メチルヘキセニルシロキサンコポリマー;ジメチルヘキセニルシロキシ−末端ブロック化ジメチルシロキサン−メチルヘキセニルシロキサンコポリマー;トリメチルシロキシ−末端ブロック化ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー;トリメチルシロキシ−末端ブロック化メチルフェニルシロキサン−ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー;ジメチルビニルシロキシ−末端ブロック化ジメチルポリシロキサン;ジメチルビニルシロキシ−末端ブロック化ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー;ジメチルビニルシロキシ−末端ブロック化メチルフェニルポリシロキサン;ジメチルビニルシロキシ−末端ブロック化メチルフェニルシロキサン−ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー;および上述のコポリマーである。ただし、少なくとも1つの末端基がジメチルヒドロキシシロキシである。この発明の範囲の組成物に使用して好適な商業上入手可能なシリコーンは、ミシガン州ミッドランドのDow Corning社の「Silastic」、ニューヨーク州ウォーターフォードのGE Silicones社の「Blensil」、およびミシガン州アドリアンのWacker Silicones社の「Elastosil」がある。
他のタイプのコポリマーもこの発明の範囲の組成物に付加することができる。エポキシモノマーを含み、また、この発明の範囲内で使用して好適な例は、ポリブタジエンブロックがエポキシ基を含む、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、ポリイソプレンブロックがエポキシを含む、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーであり。これらエポキシ官能性コポリマーの商業的に入手可能な例は、日本国大阪のDaicel Chemical Industries社から販売されているESBS A1005、ESBS A1010、ESBS A1020、ESBS AT018、およびESBS AT019である。
遅いコア用の好ましい実施例はポリブタジエン、SBR、ほとんどないジアクリル酸亜鉛(0−10部)、オプションとしてのジメチルアクリレート、または非亜鉛塩不飽和モノマー、例えばトリメチロールプロパントリアクリレート(Sartomer社販売のSR−350)、過酸化物開始剤を含む。コアの他の調合は、本出願人の出願に係る米国特許公開2005−0255941A1号に開示されており、参照してここに組み入れる。代替的には、非過酸化物の硫黄による硫化調合を採用しても良い。これは例えば米国特許第7,041,008号明細書に開示されている。ここに参照して組み入れる。代替的には、非過酸化物、硫黄加硫調合物、例えば係属中の米国特許10/772,689に開示されているものが使用できる。この参考文献も参照してここに組み入れる。
コアの径は約0.100インチから約1.64インチであり、好ましくは、約1.00インチから約1.62インチである。典型的なコアの径は、0.25インチから1.625インチで、0.05インチずつ大きくなる。慣用的なコアのサイズは、0.050インチ、1.00インチ、1.10インチ、1.20インチ、1.30インチ、1.40インチ、1.45インチ、1.50インチ、1.55インチ、1.57インチ、1.58インチ、1.59インチ、および、1.60インチである。すなわち、コアのサイズに任意の1または複数の中間層を加えたものが、上述コアサイズと同一のサイズおよびサイズの範囲内にあり、若干大きくて良い。
コア用の適切な他の材料は、これに限定されないがつぎのようなものである。
(a)ポリウレタン、例えば、ポリオールとジイソシアネートまたはポリイソシアネートから準備され、米国特許第5,334,673号明細書、同第6,506,851号明細書および米国特許出願10/194,059に開示されているもの。
(b)ポリ尿素、例えば、米国特許第5,484,870号明細書および米国特許出願10/228,311に開示されているもの。
(c)ウレタンおよび/または尿素セグメントを含む、ポリウレタン−尿素ハイブリッド、ブレンドまたはコポリマー。
多層ゴルフボールのコアは、好ましくは、少なくとも1つのポリイソシアネートと少なくとも1つの硬化剤との反応生成物を含むポリウレタンを有する。硬化剤は例えば1または複数のジアミン、1または複数のポリオール、またはこれらの組み合わせを含んでよい。ポリイソシアネートは1または複数のポリオールと組み合わせてプレポリマーを形成しても良い。これは、上述の少なくとも1つの硬化剤と組み合わされる。このように、ここで説明されるポリオールは、ポリウレタン材料の1または双方の要素として適切である。すなわち、プレポリマーおよび硬化剤の一部として使用して好適である。
ゴルフボールのコアおよび任意の層は高度に中和されたポリマー(「HNP」)からも製造できる。HNPの酸部分は、典型的にはエチレンベースのアイオノマーであり、好ましくは約70%より多く、より好ましくは約90%より多く、最も好ましくは少なくとも約100%中和されている。HNPも第2のポリマー成分とブレンドすることができ、この成分を、酸基を含む場合は、従来法に従って、この発明の有機脂肪酸によって、または両者によって中和することができる。第2のポリマー成分は、部分的にまたは完全に中和されていてもよく、好ましくはアイオノマーコポリマーおよびアイオノマーターポリマー、アイオノマー前駆体、熱可塑性物、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ尿素、熱可塑性エラストマー、ポリブタジエンゴム、バラタ、メタローセンで触媒したポリマー(グラフト化したものおよびグラフト化していないもの)、単一サイトポリマー、高結晶性酸ポリマー、カチオン性アイオノマー、等を含む。HNPポリマーの材料硬度は、典型的には、約20および約80ショアDの間であり、曲げ弾性率は約3000psiおよび約200000psiの間である。
コア層のうちの1または複数の層のベースゴムは典型的には天然ゴムまたは合成ゴムである。好ましいベースゴムは、少なくとも40%のシス構造の1,4−ポリブタジエンである。より好ましくは、ベースゴムは高ムーニ粘度のゴムを含む。所望の場合には、ポリブタジエンに、当業界で知られている他のエラストマー、例えば、天然ゴム、ポリスチレンゴムおよび/またはスチレンブタジエンゴムを混合してコアの特性を修正してもよい。
架橋剤は、不飽和脂肪酸の金属塩、例えば、3〜8の炭素原子の不飽和脂肪酸、例えばアクリル酸またはメタクリル酸の亜鉛塩またはマグネシウム塩である。適切な架橋剤は金属塩ジアクリレート、ジメタクリレートおよびモノメタクリレートであり、金属はマグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、ナトリウム、リチウムまたはニッケルである。架橋剤は、100部のゴムあたり、約15から約30部、好ましくは、約19から約25部、最も好ましくは約20から約24部存在する。この発明のコア組成物は、また、少なくとも1つの有機または無機シス−トランス触媒を含んでポリブタジエンのシス−アイソマーをトランス−アイソマーに変換してもよい。
開始剤は硬化サイクルで分解する重合開始剤として知られている。適切な開始剤は、ペルオキシド化合物、例えば、1,1−ジ−(t−ブチルペロキシ)、3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、a−aビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンまたはジ−t−ブチルペルオキシドおよびこれらの混合物である。
フィラーは、コアの密度、その他の特性を修正する化合物または組成物であり、典型的には、タングステン、酸化亜鉛、硫化バリウム、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、金属、金属酸化物および塩、リグリンド(典型的には約30メッシュに粉砕したリサイクルコア材料)、高ムーニー粘度ゴムリグリンド等のような材料である。
外側コア層の少なくとも1つが、高ムーニー粘度ゴムを含む弾力性ゴムベース成分により形成され、架橋剤が、100部あたり約20から約40部存在し、また、100部あたり約30から約38部存在し、最も好ましくは、100部あたり約37部存在する。用語「100部あたり」(parts per hundred)はゴムを基準にした重量部である。
コアが流体充填センターにより構成される場合には、センターが先に製造されて内側コアがセンタの周りに成型される。通常の成型手法をこの処理に採用できる。そして、外側コアおよびカバーがその上に形成され、これは上述のとおりである。内側コア中の流体は、広範囲の材料でよく、例えば、空気、水溶液、液体、ゲル、泡、ホットメルト、その他の流体材料およびそれらの組合わせである。ボールの特性パラメータ、例えば、慣性モーメントまたはスピン減衰レートを修正するために流体を変更する。適切な液体の例は、塩水のような水溶液、コーンシロップ、塩水とコーンシロップ、グリコールと水または油である。液体はさらにペースト、粘土の様なコロイド懸濁液、バライト、水またはその他の液体中のカーボンブラック、または、塩水/グリコール混合物であってよい。適当なゲルの例は、水ゼラチンゲル、ヒドロゲル、水/メチルセルロースゲルおよび、スチレン−ブタジエン−スチレンゴムの様な材料をベースとしたコポリマーゴムおよびパラフィン系および/またはナフテン系オイルである。適当なメルトの例は、ワックスおよびホットメルトである。ホットメルトは、室温または凡そ室温で固体であって、昇温度で液体となる材料である。液体コアは、内側コア、外側コアおよびカバーの成形中に高温に加熱されるので、高い融点温度が望ましい。或いはまた、液体は、固体を形成するために組合わせる選択的反応性性液体系であってもよい。適当な反応性液体の例は、シリケートゲル、アガーゲル、過酸化物硬化ポリエステル樹脂、二成分系エポキシ樹脂、過酸化物硬化液体ポリブタジエンゴム組成物である。
「実効圧縮定数」(effective compression constant)は「EC」とも表記され、これは、コアに用いられる任意の単一の材料から製造した1.50インチ径の球に100Kgの加重下の偏位の比であり、式EC=F/dにより表される。ここでFは100Kgの加重であり、dはミリメータで表される偏位である。テスト球が内側コア材料のみの場合には、内側コア材料単独の実効圧縮定数がECICで表記される。テスト球が外側コア材料のみの場合には、外側コア材料単独の実効圧縮定数がECOCで表記される。内側コアおよび外側コアの定数ECICおよびECOCの和は定数ECである。テスト球が内側および外側コア材料の場合には、コア実効圧縮定数がECで表記される。コア実効圧縮定数がCが、内側コアおよび外側コアの定数ECICおよびECOCの和ECでより小さいときに、非常に好ましいコアが製造されることが判明した。コア実効圧縮定数がCが、内側コアおよび外側コアの定数ECICおよびECOCの和ECの約90%より小さいことが推奨される。より好ましくは、コア実効圧縮定数がCが、内側コアおよび外側コアの定数ECICおよびECOCの和ECの50%より小さい。内側コア材料と外側コア材料との比や内側コアと外側コアの幾何形状は、これらコア実効圧縮定数を実現するように選択される。
得られたゴルフボールの反発係数は典型的には約0.7より大きく、好ましくは約0.75より大きく、さらに好ましくは約0.78より大きい。また、このゴルフボールのAtti圧縮は典型的には少なくとも約40、好ましくは約50から約120、より好ましくは約60から100である。ゴルフボール硬化ポリブタジエン材料の硬度は典型的には少なくとも約15ショアAであり、好ましくは約30ショアAおよび80ショアDの間であり、より好ましくは約50ショアAおよび60ショアDの間である。
有機脂肪酸およびその塩により中和したHNPに加えて、コア組成物は、少なくとも約40の弾力性インデックス(resillience index)を有する少なくとも1つのゴム材料を含んでよい。好ましくは、弾力性インデックスは少なくとも約50である。したがって、弾力性ゴルフボールを製造するポリマーはこの発明に好適であり、これに限定されないが、テキサス州オレンジのBayer社から商業的に入手できるCB23、CB22や、イタリアのEnichem社から商業的に入手できるBR60やオハイオ州アクロンのGoodyear社から商業的に入手できる1207Gである。
さらに、非加硫ゴム、例えば、ポリブタジエンは、この発明にしたがって準備されたゴルフボールにおいて、約40および約80の間のムーニ粘度を有し、より好ましくは約45から約65、最も好ましくは約45から約55の間のムーニ粘度を有する。ムーニ粘度は典型的にはASTM−D1646にしたがって測定される。
さらに他の実施例では、コアは、シス−トランス変換触媒、ポリブタジエンを具備する弾力性ポリマー成分、フリーラジカル源、オプションとしての架橋剤およびフィラーまたは双方を含む反応生成物を有する。好ましくは、ポリブタジエン反応生成物を用いて少なくともゴルフボールのコアの一部を形成し、さらに、下記はコアを準備するための実施例に関するものである。好ましくは、反応生成物の−50°Cで測定して第1の動的剛性は0°Cで測定した第2の動的剛性より約130パーセント小さい。より好ましくは、第1の動的剛性は第2の動的剛性より約125パーセント小さい。最も好ましくは、第1の動的剛性は第2の動的剛性より約110パーセント小さい。
シス−トランス変換には、有機イオウまたは金属含有有機イオウ化合物、イオウまたは金属を含有しない置換または非置換芳香族有機化合物、無機スルフィド化合物、芳香族有機金属化合物、またはこれらの混合物のようなシス−トランス変換触媒が必要である。シス−トランス変換触媒成分はここに記述される1または複数のシス−トランス変換触媒を含んで良い。例えば、シス−トランス変換触は有機硫黄成分および無機硫化物成分のブレンドであってよい。
好ましい有機硫黄成分は、4,4’−ジフェニルジスルフィド、4,4’−ジトリルジスルフィド、または2,2’−ベンズアミドジフェニルジスルフィド、またはこれらのブレンドである。付加的に好ましい有機硫黄成分は、これに限定されないが、ペンタクロロチオフェノール、亜鉛ペンタクロロチオフェノール、ペンタクロロチオフェノールの非金属塩、例えばペンタクロロチオフェノールのアンモニア塩、マグネシウムペンタクロロチオフェノール、コバルトペンタクロロチオフェノール、ペンタフルオロチオフェノール、亜鉛ペンタフルオロチオフェノール、および、これらのブレンドである。好ましい候補はペンタクロロチオフェノール(オハイオ州ストウのStrucktol社から入手できる)、亜鉛ペンタクロロチオフェノール(カリフォルニア州のサンフランシスコのChinachem社から入手できる)、およびこれらのブレンドである。付加的な例は本出願人の出願に係る米国特許出願第10/882130号に記載されており、参照してここに組み入れる。
この有機硫黄シス−トランス変換触媒が存在する場合、このものは、好ましくは全弾性ポリマー成分を基準として少なくとも約12パーセントのトランス−ポリブタジエンアイソマーを含むように該反応生成物を製造するのに十分な量で存在するが、典型的には全弾性ポリマー成分を基準として約32パーセントを越えるトランス−ポリブタジエンアイソマーを含むように製造するのに十分な量で存在する。他の実施例において、金属−含有有機硫黄成分を、本発明に従って使用できる。適当な金属−含有有機硫黄成分は、ジエチルジチオカルバメート、ジアミルジチオカルバメートおよびジメチルジチオカルバメートまたはこれらの混合物の、カドミウム、銅、鉛、およびルテニウム類似体を包含するが、これらに制限されない。付加的に好適な例は本出願人の出願に係る米国特許第10/402592号に見いだせる。
この発明の組成物は、また、コアまたはカバーの密度および/または比重を調整するためにポリブタジエン材料に加えられるフィラーを含んでも良い。フィラーは典型的にはポリマーまたは鉱物性粒子である。フィラーの例は、沈降水和シリカ、クレー、タルク、アスベスト、ガラス繊維、アラミド繊維、マイカ、メタ珪酸カルシウム、硫酸バリウム、硫化亜鉛、リトポン、ケイ酸塩、炭化珪素、珪藻土、ポリ塩化ビニル、炭酸塩、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、金属、例えば、チタン、タングステン、アルミニウム、ビスマス、ニッケル、モリブデン、鉄、鉛、銅、ホウ素、コバルト、ベリリウム、亜鉛、錫、合金、例えば、スチール、黄銅、青銅、炭化ホウ素ホイスカー、炭化タングステンホイスカー、金属酸化物、例えば、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、粒子炭素質材料、例えば、グラファイト、カーボンブラック、コットンフロック、天然ビチューメン、セルロースフロック、レザー繊維、マイクロバルーン、例えば、ガラス、セラミック、フライアッシュ、およびこれらの組み合わせである。
酸化防止剤を、オプションとして、この発明により製造したセンター中のポリブタジエン中に含ませても良い。酸化防止剤は、ポリブタジエンの酸化による劣化を排除ないし防止する化合物である。この発明において有用な酸化防止剤は、これに限定されないが、無水キノリン酸化防止剤、アミン型酸化防止剤、およびフェノール型の酸化防止剤である。
他のオプションの構成成分、例えば、促進剤、具体的には、テトラメチルチウラム、しゃく解剤、処理助剤、可塑剤、染料および顔料、その他当業者に周知の他の添加物をこの発明によりそれらが用いられる目的を達成するのに十分な量だけ使用しても良い。
この発明により準備されたゴルフボールのコアまたはコアの一部のPGA圧縮は、典型的には、球表面で測定して、約160またはそれ未満であり、好ましくは、約10から約150であり、より好ましくは約15から約140であり、最も好ましくは約20から約120である。圧縮を測定する種々の等価的な方法が存在する。例えば、70Atti圧縮(以前に「PGA圧縮」とも呼んでいる)は100kgの負荷、36Kgf/mmの「バネ定数」で3.2mmのたわみのセンター硬度と等価である。1実施例では、ゴルフボールコアのたわみは130kg−10kgテストで約3.3mmから7mmである。種々の圧縮測定手法はJ.Dattonの論文に検討されており、上述してとおりである。
先に検討して適切なコア材料のいずれも、ボール上のいずれの他の僧尼使用可能である。
このゴルフボールは同様に1または複数のホモポリマーまたはコポリマー内側カバー材料を有してよく、これはつぎのようなものである。
(a) ビニル樹脂、例えば塩化ビニルの重合によって製造したもの、または塩化ビニルと酢酸ビニル、アクリルエステルまたは塩化ビニリデンとの共重合によって製造したもの;
(b) ポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンおよびコポリマー、例えばエチレンメチルアクリレート、エチレンエチルアクリレート、エチレンビニルアセテート、エチレンメタクリル酸またはエチレンアクリル酸またはプロピレンアクリル酸および単一サイト触媒またはメタローセン触媒を使用して製造したコポリマーおよびホモポリマー;
(c) ポリウレタン、例えばポリオールとジイソシアネートまたはポリイソシアネートから製造したものおよび米国特許第5,334,673号明細書に開示されているもの;
(d) ポリ尿素、例えば米国特許第5,484,870号明細書に記載されているもの;
(e) ポリアミド、例えばポリ(ヘキサメチレンアジパミド)およびその他のジアミンと二塩基酸から製造したもの、およびアミノ酸、例えばポリ(カプロラクタム)から製造したもの、およびポリアミドとSURLYN(商標)、ポリエチレン、エチレンコポリマー、エチル−プロピレン−非共役ジエンターポリマー、および類似物とのブレンド;
(f) アクリル樹脂およびこれらの樹脂とポリ塩化ビニル、エラストマー、および類似物とのブレンド;
(g) 熱可塑性物、例えばウレタン;オレフィン系熱可塑性ゴム、例えばポリオレフィンとエチレン−プロピレン−非共役ジエンターポリマーとのブレンド;スチレンとブタジエン、イソプレンまたはエチレン−ブチレンゴムのブロックコポリマー;またはコポリ(エーテル−アミド)、例えばフィラデルフィアのエルフ アトケム(ELF Atochem of Philadelphia,PA)が市販するPEBAX(商標);
(h) ポリフェニレンオキシド樹脂またはポリフェニレンオキシドと高耐衝撃性ポリスチレンとのブレンドであってゼネラルエレクトリック社(General Electric Company of Pittsfield,MA)によりNORYL(商標)の商標名で市販されているもの;
(i) 熱可塑性ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/グリコール変性およびエラストマーであってデュポン社(E.I. DuPont de Neumours & Co. of Wilmington,DE)により商標名HYTREL(商標)の名称で、またゼネラルエレクトリック社(General Electric Company of Pittsfield,MA)によりLOMOD(商標)の名称で市販されているもの;
(j) アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、スチレン無水マレイン酸、ポリエチレン、エラストマー、および類似物を有するポリカーボネート、およびアクリロニトリルブタジエンスチレンまたはエチレン酢酸ビニルまたは他のエラストマーを有するポリ塩化ビニルを含むブレンドおよび混合物;および
(k) 熱可塑性ゴムとポリエチレン、プロピレン、ポリアセタール、ナイロン、ポリエステル、セルロースエステル、および類似物とのブレンド。
好ましくは、内側カバーはつぎのようなポリマーを含む。すなわち、エチレン、プロピレン、ブテン−1またはヘキサン−1をベースとするホモポリマーまたはコポリマーであって官能性モノマー、例えばアクリル酸およびメタクリル酸を含むものおよび完全にまたは部分的に中和したアイオノマー樹脂およびこれらのブレンド、メチルアクリレート、メチルメタクリレートホモポリマーおよびコポリマー、イミド化した、アミノ基を含むポリマー、ポリカーボネート、強化ポリアミド、ポリフェニレンオキシド、高耐衝撃性ポリスチレン、ポリエーテルケトン、ポリスルホン、ポリ(フェニレンスルフィド)、アクリロニトリル−ブタジエン、アクリル−スチレン−アクリロニトリル、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンビニルアルコール)、ポリ(テトラフルオロエチレン)およびこれらのコポリマーであって官能性コモノマーを含むもの、およびこれらのブレンド。適切なカバー組成物はさらにポリエーテルまたはポリエステル熱可塑性ウレタン、熱硬化性ポリウレタン、低モジュラスアイオノマー、例えば酸を含むエチレンコポリマーアイオノマーを含み、Eがエチレンであり、Xが約0〜50重量%存在するアクリレートまたはメタクリレートを塩基とする柔軟化コモノマーであり、かつYが約5〜35重量%存在するアクリル酸またはメタクリル酸であるE/X/Yターポリマーを含む。好ましくは、飛距離を最大化するように設計された低スピンレートの実施例では、アクリル酸またはメタクリル酸を約16〜35重量%含み、アイオノマーを高弾性率のアイオノマーにする。高スピンの実施例では、内側カバー層は、酸が約10〜15重量%存在するアイオノマーを含み、また軟化用のコモノマーを含む。さらに、高密度ポリウレタン(「HDPE」)、低密度ポリウレタン(「LDPE」)、LLDPE、およびポリオレフィンのホモポリマーおよびコポリマーが種々のゴルフボール層に適切である。
1実施例において、外側カバーは、好ましくは、少なくとも1つのイソシアネート、ポリオール、および少なくとも1つの硬化剤の反応生成物を含む、ポリウレタン組成物である。当業者が利用可能ないずれのポリイソシアネートも本発明に従って使用するのに適している。ポリイソシアネートの例示は以下を含むがこれに限定されない:4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(”MDI”);ポリマーMDI;カルボジイミド−変性液状MDI;4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(”H12MDI”);p−フェニレンジイソシアネート(”PPDI”);m−フェニレンジイソシアネート(”MPDI”);トルエンジイソシアネート(”TDI”);3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート(”TODI”);イソホロンジイソシアネート(”IPDI”);ヘキサメチレンジイソシアネート(”HDI”);ナフタレンジイソシアネート(”NDI”);キシレンジイソシアネート(”XDI”);p−テトラメチルキシレンジイソシアネート(”p−TMXDI”);m−テトラメチルキシレンジイソシアネート(”m−TMXDI”);エチレンジイソシアネート;プロピレン−1,2−ジイソシアネート;テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート;シクロヘキシルジイソシアネート;1,6−ヘキサメチレン−ジイソシアネート(”HDI”);ドデカン−1,12−ジイソシアネート;シクロブタン−1,3−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート;1−イソシアネート−3,3,5−トリメチル−5−イソシアネートメチルシクロヘキサン;メチルシクロヘキシレンジイソシアネート;HDIのトリイソシアネート;2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジイソシアネートのトリイソシアネート(”TMDI”);テトラセンジイソシアネート;ナフタレンジイソシアネート;アントラセンジイソシアネート;トルエンジイソシアネートのイソシアヌレート;ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン;およびこれらの混合物。ポリイソシアネートは、1以上のイソシアネート基、例えばジイソシアネート、トリイソシアネートおよびテトライソシアネートを有するものとして、当業者には知られている。好ましくは、ポリイソシアネートは、MDI、PPDI、TDI、またはこれらの混合物を含み、より好ましくはポリイソシアネートはMDIを含む。本明細書で使用する用語「MDI」は、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリマーMDI、カルボジイミド変性液状MDI、およびこれらの混合物を意味し、かつさらに使用したジイソシアネートが「低遊離(low free)モノマー」であることができるとは「遊離」モノマーの量が低いイソシアネート基であること、典型的には遊離モノマー基の量が約0.1%より低いことを当業者が理解すると理解すべきである。「低遊離モノマー」ジイソシアネートの例は、これに限定されないが、低遊離モノマーMDI、低遊離モノマーTDI、および低遊離モノマーPPDIである。
少なくとも一つのポリイソシアネートは約14%より少ない未反応のNCO基を有することが必要である。好ましくは該少なくとも一つのポリイソシアネートは約7.5%より多くない、より好ましくは約7.0%より少ないNCOを有する。
当業者が利用可能ないずれのポリオールも、この発明に従って使用するのに適している。ポリオールの例は、これに限定されないが、ポリエーテルポリオール、ヒドロキシ末端ポリブタジエン(部分的に/完全に水素添加した誘導体を含む)、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、およびポリカーボネートポリオールである。好ましい実施例では、ポリオールはポリエーテルポリオールを含む。その例は、これに限定されないが、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(”PTMEG”)、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、およびこれらの混合物である。炭化水素鎖は飽和または不飽和結合および置換または未置換の芳香族および環状基を有することができる。好ましくは、この発明のポリオールはPTMEGを含む。
他の実施例では、この発明のポリウレタン材料にポリエステルポリオールが含まれる。適切なポリエステルポリオールは、これに限定されないが、ポリエチレンアジペートグリコール;ポリブチレンアジペートグリコール;ポリエチレンプロピレンアジペートグリコール;o−フタレート−1,6−ヘキサンジオール;ポリ(ヘキサメチレンアジーペート)グリコール;およびこれらの混合物である。炭化水素鎖は飽和または不飽和結合、または置換または未置換の芳香族および環状基を有することができる。
他の実施例では、この発明のポリウレタン材料にポリカプロラクトンポリオールが含まれる。適切なポリカプロラクトンポリオールは、これに限定されないが、1,6−ヘキサンジオール−開始ポリカプロラクトン、ジエチレングリコール開始ポリカプロラクトン、トリメチロールプロパン開始ポリカプロラクトン、ネオペンチルグリコール開始ポリカプロラクトン、1,4−ブタンジオール開始ポリカプロラクトン、PTMEG開始ポリカプロラクトン、およびこれらの混合物である。炭化水素鎖は飽和または不飽和の、または置換または未置換の芳香族および環状基を有することができる。
さらに他の実施例では、この発明のポリウレタン材料にポリカーボネートポリオールが含まれる。適切なポリカーボネートは、これに限定されないが、ポリフタレートカーボネートおよびポリ(ヘキサメチレンカーボネート)グリコールである。炭化水素鎖は飽和または不飽和結合、または置換または未置換芳香族および環状基を有することができる。1実施例では、ポリオールの分子量は約200〜約4000である。
ポリアミン硬化剤もこの発明のポリウレタン組成物中に使用して好適であり、製品ボールの耐切断性、耐剪断性、および耐衝撃性が改善することがわかっている。好ましいポリアミン硬化剤は、これに限定されないが、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミンおよびこのアイソマー;3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミンおよびこのアイソマー、例えば3,5−ジエチルトルエン−2,6−ジアミン;4,4’−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジフェニルメタン;1,4−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ベンゼン、4,4’−メチレン−ビス−(2−クロロアニリン);4,4’−メチレン−ビス−(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)(”MCDEA”);ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート;N,N’−ジアルキルジアミノジフェニルメタン;p,p’−メチレンジアニリン(”MDA”);m−フェニレンジアミン(”MPDA”);4,4’−メチレン−ビス−(2−クロロアニリン)(”MOCA”);4,4’−メチレン−ビス−(2,6−ジエチルアニリン)(”MDEA”);4,4’−メチレン−ビス−(2,3−ジクロロアニリン)(”MDCA”);4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン;2,2’−3,3’−テトラクロロジアミノジフェニルメタン;トリメチレングリコールジ−p−アミノベンゾエート;およびこれらの混合物である。好ましくはこの発明の硬化剤は、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミンおよびそのアイソマー、例えばバトンルージュのアルバマール社(Albermarle Corporation of Baton Rouge,LA)から入手可能なEthacure(登録商標)300である。適切なポリアミン硬化剤は第1および第2アミンの両者を含み、好ましくは、その分子量は約64〜約2000の範囲である。
少なくとも一つのジオール、トリオール、テトラオール、またはヒドロキシ末端硬化剤を上述のポリウレタン組成物に添加することができる。適切なジオール、トリオール、およびテトラオール基は以下を含む:エチレングリコール;ジエチレングリコール;ポリエチレングリコール;プロピレングリコール;ポリプロピレングリコール;低分子量ポリテトラメチレンエーテルグリコール;1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン;1,3−ビス−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]ベンゼン;1,3−ビス−{2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}ベンゼン;1,4−ブタンジオール;1,5−ペンタンジオール;1,6−ヘキサンジオール;レゾルシノール−ジ−(β−ヒドロキシエチル)エーテル;ヒドロキノン−ジ−(β−ヒドロキシエチル)エーテル;およびこれらの混合物である。好ましいヒドロキシ−末端硬化剤は1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン;1,3−ビス−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]ベンゼン;1,3−ビス−{2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}ベンゼン;1,4−ブタンジオール、およびこれらの混合物である。好ましくは、ヒドロキシ−末端硬化剤の分子量は約48〜約2000の範囲である。ここで、分子量は、絶対重量平均分子量であり、当業者が理解するとおりのものである。
ヒドロキシ末端およびアミン硬化剤の両者は、一または複数の飽和、不飽和、芳香族、および環状基を含むことができる。さらに、ヒドロキシ末端およびアミン硬化剤は一または複数のハロゲン基を含むことができる。ポリウレタン組成物を硬化剤のブレンドまたは混合物によって製造することができる。しかしながら所望の場合には、ポリウレタン組成物を単一の硬化剤で製造することができる。
この発明の好ましい実施例において、カバー層、とくに外側カバー層を形成するのに使用する飽和ポリウレタンを注型可能な熱硬化性および熱可塑性ポリウレタンの両者から選択することができる。
この実施例において、この発明の飽和ポリウレタンは芳香族基または部分を実質的に含まない。この発明に使用して好適な飽和ポリウレタンは、少なくとも1つのポリウレタンプレポリマーおよび少なくとも1つの飽和硬化剤の反応生成物である。ポリウレタンプレポリマーは少なくとも1つのポリオールおよび少なくとも1つの飽和ジイソシアネートの反応生成物である。当技術分野で周知のとおり、触媒を採用して硬化剤およびイソシアネートおよびポリオールの反応を促進させても良い。
使用可能な飽和のジイソシアネートは、これに限定されないが、エチレンジイソシアネート;プロピレン−1,2−ジイソシアネート;テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(”HDI”);2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;ドデカン−1,12−ジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート;シクロブタン−1,3−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート;1−イソシアネート−3,3,5−トリメチル−5−イソシアネートメチルシクロヘキサン;イソホロンジイソシアネート(”IPDI”);メチルシクロヘキシレンジイソシアネート;HDIのトリイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジイソシアネートのトリイソシアネート(”TMDI”)。最も好ましい飽和ジイソシアネートは4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(”HMDI”)およびイソホロンジイソシアネート(”IPDI”)である。
この発明で使用するのに適した飽和ポリオールは、これに限定されないが、ポリエーテルポリオール、例えばポリテトラメチレンエーテルグリコールおよびポリ(オキシプロピレン)グリコールである。適切な飽和ポリステルポリオールは、ポリエチレンアジペートグリコール、ポリエチレンプロピレンアジペートグリコール、ポリブチレンアジペートグリコール、ポリカーボネートポリオールおよびエチレンオキシドでキャップしたポリオキシプロピレンジオールである。この発明で有用な飽和ポリカプロラクトンポリオールは、ジエチレングリコール開始ポリカプロラクトン、1,4−ブタンジオール開始ポリカプロラクトン、1,6−ヘキサンジオール開始ポリカプロラクトン;トリメチロールプロパン開始ポリカプロラクトン、ネオペンチルグリコール開始ポリカプロラクトン、およびポリテトレメチルエーテルグリコール開始ポリカプロラクトンである。最も好ましい飽和ポリオールはPTMEGおよびPTMEG開始ポリカプロラクトンである。
適切な飽和硬化剤は、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、プロピレングリコール;トリメタノールプロパン;テトラ−(2−ヒドロキシプロピル)−エチレンジアミン;シクロヘキシルジメチロールのアイソマーのアイソマーおよび混合物、シクロヘキサンビス(メチルアミン)のアイソマーのアイソマーおよび混合物;トリイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン;2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン;ジエチレングリコールジ−(アミノプロピル)エーテル;4,4’−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジシクロヘキシルメタン;1,2−ビス−(sec−ブチルアミノ)シクロヘキサン;1,4−ビス−(sec−ブチルアミノ)シクロヘキサン;イソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、プロピレンジアミン、1−メチル−2,4−シクロヘキシルジアミン、1−メチル−2,6−シクロヘキシルジアミン、1,3−ジアミノプロパン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、イミド−ビス−プロピルアミン、ジアミノシクロヘキサンのアイソマーのアイソマーおよび混合物、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、およびジイソプロパノールアミン。最も好ましい飽和硬化剤は1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキシルジメチロールおよび4,4’−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジシクロヘキシルメタンである。
この発明の組成物はポリ尿素ベースのものでもよく、これらは、明らかにポリウレタンベースのものと異なるが、ゴルフボール部品に用いられるときには所望の空力特性や美観特性をもたらす。ポリ尿素ベースの組成物は好ましくはその性質上飽和である。
特定の理論に拘束されるものではないが、ポリウレタンプレポリマー中の長鎖ポリオールセグメントを長鎖ポリエーテルジアミンオリゴマーソフトセグメントで置換してポリ尿素プレポリマーを形成することにより、せん断性、切断性および反発弾性が改良され、かつ他の成分に対する接着性が改良されると、現在考えられている。したがって、この発明のポリ尿素組成物はイソシアネートと硬化剤により架橋されたポリアミンプレポリマーとの反応生成物からなる。例えば、この発明のポリ尿素ベースの組成物は、少なくとも1つのイソシアネートと、少なくとも1つのポリエーテルアミンと、少なくとも1つのジオール硬化剤または少なくとも1つのジアミン硬化剤とから準備されてよい。
当業者に利用可能な全てのポリアミンが、このポリ尿素プレポリマー中に使用して好適である。ポリエーテルアミンはとくにプレポリマー中で好適である。ここでは、用語「ポリエーテルアミン」は、ポリエーテル主鎖の末端に結合した第1アミノ基を含むポリオキシアルキレンアミンを少なくとも意味する。しかしながら、イソシアネートとアミンの反応が早く、かつ多くの尿素生成物が不溶性であることから、ジアミンとポリエーテルアミンの選択は、ポリ尿素プレポリマーの形成を可能にするものに限られる。1実施例では、ポリエーテル主鎖は、テトラメチレン、プロピレン、エチレン、トリメチロールプロパン、グリセリン、およびこれらの混合物に基づく。
適切なポリエーテルアミンは、これに限定されないが、ポリテトラメチレンエーテルジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリ(エチレンオキシド末端オキシプロピレン)エーテルジアミン、トリエチレングリコールジアミン、プロピレンオキシドをベースとするトリアミン、トリメチロールプロパンをベースとするトリアミン、グリセリンをベースとするトリアミン、およびこれらの混合物である。1実施例では、プレポリマーを製造するために使用するポリエーテルアミンはJEFFAMINE(商標) D2000(Huntsman社製、オースチン、テキサス)である。
この発明で使用するポリエーテルアミンの分子量は約100〜約5000の範囲にある。ここで一または複数の数値または数値範囲について使用する用語「約」は、範囲内の全ての数値を含み、これらの全ての数値を意味すると理解すべきである。1実施例では、ポリエーテルアミンの分子量は約230またはそれより大きい。他の実施例では、ポリエーテルアミンの分子量は約4000またはそれより小さい。さらに他の実施例では、ポリエーテルアミンの分子量は約600またはそれより大きい。さらに他の実施例では、ポリエーテルアミンの分子量は約3000またはそれより小さい。さらに他の実施例では、ポリエーテルアミンの分子量は約1000〜約3000であり、より好ましくは約1500〜約2500である。ポリエーテルアミンの分子量が低いと固形ポリ尿素を形成しがちであるので、大きい分子量のオリゴマー、たとえばJEFFAMINE D2000が好ましい。
先に簡単に述べたように、アミンとイソシアネートとの反応が早いために、多くのアミンはイソシアネートとの反応に不適切である。とくに短鎖のアミンは早く反応する。しかしながら、ある態様では、立体障害を有する第2ジアミンはプレポリマーで使用するのに適している可能性がある。いずれの特定の理論に束縛されるものではないが、高度の立体障害を有するアミン、例えば窒素原子に結合した第3ブチル基を有するアミンは、障害がないかまたはその程度が低いアミンより反応速度が遅くなると考えられる。例えば、4,4’−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジシクロヘキシルメタン(CLEARLINK(商標) 1000)は、イソシアネートと組み合わせてポリ尿素プレポリマーを製造するのに適している可能性がある。
当業者が利用可能ないずれのイソシアネートも、ポリ尿素プレポリマー中に使用して好適である。本発明で使用するイソシアネートは、分子当たり2またはそれより多いイソシアネート(NCO)基を有する脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族、これらのいずれかの誘導体、およびこれらの化合物の組合せを含む。イソシアネートは、有機ポリイソシアネート末端プレポリマー、低級遊離イソシアネート、およびこれらの混合物であることができる。イソシアネートを含む反応性の成分はいずれのイソシアネート官能性単量体、二量体、三量体、またはこれらの多量体付加物、プレポリマー、疑似プレポリマー、またはこれらの混合物を含むことができる。イソシアネート官能性化合物は、モノイソシアネートまたは2またはそれより多いイソシアネート官能基を含むポリイソシアネートを含むことができる。
適切なイソシアネートを含む成分は以下の一般式を有するジイソシアネートを含む:O=C=N−R−N=C=O、式中Rは好ましくは約1〜約20の炭素原子を含む環状、芳香族、または直鎖若しくは分岐した炭化水素部分である。ジイソシアネートはさらに一または複数の環状基または一または複数のフェニル基を含むこともできる。多環式基または芳香族基が存在する場合、環状基または芳香族基の間のスペーサーとして、約1〜約10の炭素原子を含む直鎖および/または分岐した炭化水素が存在することができる。ある場合には、環状基または芳香族基は2−、3−、および/または4−位、またはオルト−、メタ−および/またはパラ−位においてそれぞれ置換されていてもよい。置換した基は、これに限定されないが、ハロゲン、第1、第2、または第3炭化水素基、またはこれらの混合物である。
この発明で使用することができるジイソシアネートの例は、これに限定されないが、2,2’−、2,4’−、および4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を含む置換したおよび異性体混合物;3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート(TODI);トルエンジイソシアネート(TDI);ポリマーMDI;カルボジイミド−変性液状4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート;パラ−フェニレンジイソシアネート(PPDI);メタ−フェニレンジイソシアネート(MPDI);トリフェニルメタン−4,4’−およびトリフェニルメタン−4,4’−トリイソシアネート;ナフチレン−1,5−ジイソシアネート;2,4’−、4,4’−、および2,2−ビフェニルジイソシアネート;ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(PMDI);MDIとPMDIの混合物;PMDIとTDIの混合物;エチレンジイソシアネート;プロピレン−1,2−ジイソシアネート;テトラメチレン−1,2−ジイソシアネート;テトラメチレン−1,3−ジイソシアネート;テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI);オクタメチレンジイソシアネート;デカメチレンジイソシアネート;2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;ドデカン−1,12−ジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート;シクロブタン−1,3−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,2−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート;メチル−シクロヘキシレンジイソシアネート(HTDI);2,4−メチルシクロヘキサンジイソシアネート;2,6−メチルシクロヘキサンジイソシアネート;4,4’−ジシクロヘキシルジイソシアネート;2,4’−ジシクロヘキシルジイソシアネート;1,3,5−シクロヘキサントリイソシアネート;イソシアネートメチルシクロヘキサンイソシアネート;1−イソシアネート−3,3,5−トリメチル−5−イソシアネートメチルシクロヘキサン;イソシアネートエチルシクロヘキサンイソシアネート;ビス(イソシアネートメチル)−シクロヘキサンジイソシアネート;4,4’−ビス(イソシアネートメチル)ジシクロヘキサン;2,4’−ビス(イソシアネートメチル)ジシクロヘキサン;イソホロンジイソシアネート(IPDI);HDIのトリイソシアネート;2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジイソシアネートのトリイソシアネート(TMDI);4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI);2,4−ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート;2,6−ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート;1,2−、1,3−、および1,4−フェニレンジイソシアネート;芳香族脂肪族イソシアネート、例えば1,2−、1,3−、および1,4−キシレンジイソシアネート;メタ−テトラメチルキシレンジイソシアネート(m−TMXDI);パラ−テトラメチルキシレンジイソシアネート(p−TMXDI);いずれかのポリイソシアネートの三量化したイソシアヌレート、例えばトルエンジイソシアネートのイソシアヌレート、ジフェニルメタンジイソシアネートの三量体、テトラメチルキシレンジイソシアネートの三量体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート、およびこれらの混合物;いずれかのポリイソシアネートの二量化したウレジオン、例えばトルエンジイソシアネートのウレトジオン、ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン、およびこれらの混合物;上記のイソシアネートおよびポリイソシアネートから誘導した変性したポリイソシアネート;およびこれらの混合物である。
この発明で使用することができる飽和ジイソシアネートの例は、これに限定されないが、エチレンジイソシアネート;プロピレン−1,2−ジイソシアネート;テトラメチレン−ジイソシアネート;テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI);オクタメチレンジイソシアネート;デカメチレンジイソシアネート;2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;ドデカン−1,12−ジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート;シクロブタン−1,3−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,2−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート;メチル−シクロヘキシレンジイソシアネート(HTDI);2,4−メチルシクロヘキサンジイソシアネート;2,6−メチルシクロヘキサンジイソシアネート;4,4’−ジシクロヘキシルジイソシアネート;2,4’−ジシクロヘキシルジイソシアネート;1,3,5−シクロヘキサントリイソシアネート;イソシアネートメチルシクロヘキサンイソシアネート;1−イソシアネート−3,3,5−トリメチル−5−イソシアネートメチルシクロヘキサン;イソシアネートエチルシクロヘキサンイソシアネート;ビス(イソシアネートメチル)−シクロヘキサンジイソシアネート;4,4’−ビス(イソシアネートメチル)ジシクロヘキサン;2,4’−ビス(イソシアネートメチル)ジシクロヘキサン;イソホロンジイソシアネート(IPDI);HDIのトリイソシアネート;2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジイソシアネートのトリイソシアネート(TMDI);4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI);2,4−ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート;2,6−ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート;およびこれらの混合物。芳香族脂肪族イソシアネートも光安定な物質を製造するために使用することができる。これらのイソシアネートの例は以下を含む:1,2−、1,3−、および1,4−キシレンジイソシアネート;メタ−テトラメチルキシレンジイソシアネート(m−TMXDI);パラ−テトラメチルキシレンジイソシアネート(p−TMXDI);いずれかのポリイソシアネートの三量化したイソシアヌレート、例えばトルエンジイソシアネートのイソシアヌレート、ジフェニルメタンジイソシアネートの三量体、テトラメチルキシレンジイソシアネートの三量体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート、およびこれらの混合物;いずれかのポリイソシアネートの二量化したウレジオン、例えばトルエンジイソシアネートのウレトジオン、ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン、およびこれらの混合物;上記のイソシアネートおよびポリイソシアネートから誘導した変性したポリイソシアネート;およびこれらの混合物である。さらに、芳香族脂肪族イソシアネートを、本発明の目的にために、先に挙げた飽和イソシアネートのいずれかと混合することができる。
イソシアネートとポリエーテルアミンのポリ尿素プレポリマーにおける未反応のNCO基の数を変化させて、反応の速度、得られた組成物の硬度等の因子を制御することができる。例えば、イソシアネートとポリエーテルアミンのポリ尿素プレポリマーにおける未反応のNCO基の数を約14%より小さくすることができる。1実施例では、ポリ尿素プレポリマーは約5%〜約11%の未反応のNCO基を有し、より好ましくは約6%〜約9.5%の未反応のNCO基を有する。1実施例では、未反応のNCO基の割合は約3%〜約9%である。代替的には、未反応のNCO基の割合は約7.5%またはそれより低く、より好ましくは約7%またはそれより低い。他の実施例では、未反応のNCO基の割合は約2.5%〜約7.5%、より好ましくは約4%〜約6.5%である。
生成された状態で、ポリ尿素プレポリマーが、プレポリマーの約10重量%から約20重量%の遊離イソシアネートモノマーを含んでもよい。この結果、1実施例では、ポリ尿素プレポリマーから遊離イソシアネートモノマーを除去しても良い。例えば、除去後、プレポリマーは1%またはそれ未満の遊離イソシアネートモノマーを含むことになる。他の実施例では、プレポリマーは約0.5重量%または逸れ未満の遊離イソシアネートモノマーを含んでよい。
ポリエーテルアミンを追加のポリオールとブレンドしてコポリマーを形成し、これを過剰のイソシアネートと反応させてポリ尿素プレポリマーを製造することもできる。1実施例では、コポリマーの約30重量%より少ないポリオールを飽和ポリエーテルアミンとブレンドする。他の実施例では、コポリマーの約20重量%より少ない、好ましくはコポリマーの約15重量%より少ないポリオールを、飽和ポリエーテルアミンとブレンドする。当業者に利用可能ないずれかの飽和ポリオール、例えばポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、炭化水素ポリオール、他のポリオール、およびこれらの混合物が、本発明に従ってブレンドするのに適している。これらのポリマーの分子量は約200〜約4000であることができるが、約1000〜約3000であることができ、より好ましくは約1500〜約2500であることができる。
ポリ尿素組成物を、ポリ尿素プレポリマーを単一の硬化剤またはそのブレンドで架橋して製造することができる。この発明で使用する硬化剤は、好ましくは、アミン−末端硬化剤、より好ましくは第2ジアミン硬化剤であり、これにより、組成物が単一の尿素結合のみを含むようになる。1実施例では、アミン−末端硬化剤の分子量は約64またはそれより大きい。他の実施例では、アミン−末端硬化剤の分子量は約2000またはそれより小さい。上述のとおり、所定のアミン−末端硬化剤を互換性のあるアミン−末端凝固点降下剤またはその混合物により改質してもよい。
適切なアミン−末端硬化剤は、これに限定されないが、エチレンジアミン;ヘキサメチレンジアミン;1−メチル−2,6−シクロヘキシルジアミン;テトラヒドロキシプロピレンエチレンジアミン;2,2,4−および2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン;4,4’−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジシクロヘキシルメタン;1,4−ビス−(sec−ブチルアミノ)−シクロヘキサン;1,2−ビス−(sec−ブチルアミノ)−シクロヘキサン;4,4’−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジシクロヘキシルメタンの誘導体;4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン;1,4−シクロヘキサン−ビス−(メチルアミン);1,3−シクロヘキサン−ビス−(メチルアミン);ジエチレングリコールジ−(アミノプロピル)エーテル;2−メチルペンタメチレン−ジアミン;ジアミノシクロヘキサン;ジエチレントリアミン;トリエチレンテトラミン;テトラエチレンペンタミン;プロピレンジアミン;1,3−ジアミノプロパン;ジメチルアミノプロピルアミン;ジエチルアミノプロピルアミン;イミド−ビス−プロピルアミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン;トリエタノールアミン;モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン;イソホロンジアミン;4,4’−メチレンビス−(2−クロロアニリン);3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン;3,5−ジメチルチオ−2,6−トルエンジアミン;3,5−ジエチルチオ−2,4−トルエンジアミン;3,5−ジエチルチオ−2,6−トルエンジアミン;4,4’−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジフェニルメタンおよびその誘導体;1,4−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ベンゼン;1,2−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ベンゼン;N,N’−ジアルキルアミノ−ジフェニルメタン;トリメチレングリコール−ジ−アミノベンゾエート;ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート;4,4’−メチレンビス−(3−クロロ−2,6−ジエチレンアニリン);4,4’−メチレンビス−(2,6−ジエチルアニリン);メタ−フェニレンジアミン;パラ−フェニレンジアミン;シクロヘキシルジメトール;およびこれらの混合である物。1実施例では、アミン−末端硬化剤は4,4’−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジシクロヘキシルメタンである。
適切な飽和アミン−末端硬化剤は、これに限定されないが、エチレンジアミン;ヘキサメチレンジアミン;1−メチル−2,6−シクロヘキシルジアミン;テトラヒドロキシプロピレンエチレンジアミン;2,2,4−および2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン;4,4’−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジシクロヘキシルメタン;1,4−ビス−(sec−ブチルアミノ)−シクロヘキサン;1,2−ビス−(sec−ブチルアミノ)−シクロヘキサン;4,4’−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジシクロヘキシルメタンの誘導体;4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン;1,4−シクロヘキサン−ビス−(メチルアミン);1,3−シクロヘキサン−ビス−(メチルアミン);ジエチレングリコールジ−(アミノプロピル)エーテル;2−メチルペンタメチレン−ジアミン;ジアミノシクロヘキサン;ジエチレントリアミン;トリエチレンテトラミン;テトラエチレンペンタミン;プロピレンジアミン;1,3−ジアミノプロパン;ジメチルアミノプロピルアミン;ジエチルアミノプロピルアミン;イミド−ビス−プロピルアミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン;トリエタノールアミン;モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン;イソホロンジアミン;トリイソプロパノールアミン;およびこれらの混合物である。1実施例では、アミン−硬化剤は約64またはそれより大きい分子量を有する。さらに、上記のポリエーテルアミンのいずれかを、ポリ尿素プレポリマーと反応させる硬化剤として使用することができる。
適切な触媒は、これに限定されないが、ビスマス触媒、オレイン酸、トリエチレンジアミン(DABCO(商標)−33LV)、ジ−ブチルすずジラウレート(DABCO(商標)−T12)およびアセチル酸である。最も好ましい触媒は、ジ−ブチルすずジラウレート(DABCO(商標)−T12)である。DABCO(商標)製品は、Air Products and Chemicals社により製造されている。
熱可塑性材料は他の熱可塑性材料とブレンドしてもよいが、熱硬化性材料は、ブレンドが不可能でない場合でも、熱硬化性材料が生成された後に均一にブレンドすることは困難である。好ましくは、飽和ポリウレタンは、カバー組成物および/または中間層組成物の約1%から約100%、より好ましくは、約10%から約75%を有する。カバーおよび/または中間層組成物の約90%から約10%、より好ましくは、約90%から約25%は以下に説明するように1または複数の他のポリマーおよび/または他の材料から構成されてよい。このようなポリマーは、これに限定されないが、ポリウレタン/ポリ尿素アイオノマー、ポリウレタンまたはポリ尿素、エポキシ樹脂、ポリエチレン、ポリアミドおよびポリエステル、ポリカーボネートおよびポリアクリリンである。とくに言及がない場合には、パーセントは対象のゴルフボール層の全組成物の重量パーセントである。
ポリウレタンプレポリマーは、少なくとも一つのポリオール、例えばポリエーテル、ポリカプロラクトン、ポリカーボネートまたはポリエステルと少なくとも一つのイソシアネートとを組み合わせて製造される。熱硬化性ポリウレタンは、少なくとも一つのポリウレタンプレポリマーをポリアミン、トリオールまたはテトラオールから選択する硬化剤で硬化して取得できる。熱可塑性ポリウレタンは、少なくとも一つのポリウレタンプレポリマーをジオール硬化剤で硬化して取得できる。ジオールおよび/またはジオールのブレンドで硬化したウレタンエラストマーのいくつかはゴルフボールカバーが必要とする耐衝撃性を有するウレタンエラストマーを生成しないので、硬化剤の選択は臨界的である。ジオールで硬化したウレタンエラストマー配合物にポリアミン硬化剤をブレンドすると耐衝撃性および耐切断性が改良された熱硬化性ウレタンが得られる。
熱可塑性ポリウレタンに適切な材料をブレンドして熱可塑性目的物を生成することができる。これらの追加材料の例は、アイオノマー、例えば上記のSURLYN(商標)、ESCOR(商標)およびIOTEK(商標)コポリマーを含むことができる。
この発明のゴルフボールのカバーおよび/または中間層の製造において飽和ポリウレタンと組み合わせることができる他の適切な材料は、イオン性または非イオン性ポリウレタンおよびポリ尿素、エポキシ樹脂、ポリエチレン、ポリアミドおよびポリエステル。例えば、カバーおよび/または中間層を、少なくとも一つの飽和ポリウレタンと熱可塑性または熱硬化性イオン性および非イオン性ウレタンおよびポリウレタン、カチオン性ウレタンアイオノマーおよびウレタンエポキシド、イオン性および非イオン性ポリ尿素およびこれらのブレンドとのブレンドから製造することができる。適切なウレタンアイオノマーの例は「ゴルフボールカバー」と題する米国特許第5,692,974号明細書に開示されており、参照してここに組み入れる。適切なポリウレタンの他の例は米国特許第5,334,673号明細書に記載されている。適切なポリ尿素の例は米国特許第5,484,870号明細書に記載されており、エポキシ基含有硬化剤で硬化された適切なポリウレタンの例は米国特許第5,908,358号明細書に記載されており、参照してこれらの開示をここに組み入れる。
種々の追加的な成分を、この発明のカバー組成物に添加することもできる。これらは、これに限定されないが、白色顔料、例えばTiO、ZnO、光学的明色化剤、界面活性剤、処理補助剤、発泡剤、UV安定剤、および光安定剤である。飽和ポリウレタンは耐褪色性がある。しかしながら、天候によって機械特性が劣化するのに対して耐性があるわけではない。UV吸収剤および光安定剤を付加して、飽和ポリウレタンエラストマーの引張り強さおよび伸びを維持させることができる。適切なUV吸収剤および光安定剤は、これに限定されないが、TINUVIN(商標)328、TINUVIN(商標)213、TINUVIN(商標)765、TINUVIN(商標)770およびTINUVIN(商標)622である。好ましいUV吸収剤はTINUVIN(商標)328であり、好ましい光安定剤はTINUVIN(商標)765である。TINUVIN(商標)製品は、Ciba−Geigy社から入手可能である。染料、光学的明色化剤および蛍光顔料を、この発明に従って製造したポリマーで製造したゴルフボールカバー中に含むことができる。これらの追加的な成分を、それらの所望の目的を達成するいずれの量においても添加することができる。
この発明のポリウレタンのために当業者に知られている任意の手法を採用できる。1つの慣用的に採用される手法は、ワンショット法として知られており、ポリイソシアネート、ポリオールおよび硬化剤を同時に混合するものである。この手法では、得られる混合物は非均一(よりランダム)であり、製造業者にとって製品組成物の分子構造の制御が困難となる。好ましい混合方法はプレポリマー法として知られている。この方法では、硬化剤を添加する前にポリイソシアネートとポリオールを別々に混合する。この方法によりより均一な混合物が得られ、その結果よりコンシステントなポリマー組成物が得られる。この発明の層を製造する他の適切な方法は、反応射出成形(”RIM”)、液状射出成形(”LIM”)、成分を予め反応させて射出成形可能な熱可塑性ポリウレタンを製造し次いで射出成形する方法であり、これらのすべては当業者に公知である。
ポリウレタン組成物に添加することが可能な付加的な成分はUV安定剤および他の染料、さらには、蛍光増白剤および蛍光染料および顔料である。このような付加的な成分は、それらの所望の目的を達成するいずれの量においても添加することができる。
キャスタブル反応性材料は流体形態で塗布でき、ゴルフボール上に極めて薄い外側カバー層を実現可能にすることが、この発明により見いだされた。具体的には、キャスタブル反応性液体が反応してウレタンエラストマー材料を形成し、これが、所望の極めて薄い外側カバー層を実現する。
ウレタンエラストマー材料を形成するために採用される注型可能な反応性液体は、当該技術において周知の種々の塗布方法、例えば、スプレイ、浸漬、スピンコーティング、またはフローコーティング法を採用して、コア上に塗布できる。適切なコーティング手法の例が米国特許第5,733,428号明細書に開示されており、参照してここに組み入れる。
外側カバーは、好ましくは、材料を混合し成型金型に案内して内側カバーの回りに形成される。粘度を、その時間にわたって、測定することが重要である。この測定により、成型金型に充填し、個を一方の反対に導入し、さらに成型金型を閉じるという後続のステップが適切なタイミングで行われ、コアおよびカバー反対の融合の芯だしが実現され、全体の一体性が達成される。コアを成型金型に導入するのに適切な硬化ウレタンミックスの粘度範囲は、約2000cPおよび約30000cPの間であり、好ましい範囲は約8000pCから15000cPの間であることが判明している。
カバーの製造を開始するために、モーターで駆動するミキサーを取り付けた混合ヘッド内で、ラインを通じて計量した量の硬化剤およびプレポリマーを供給することによって、プレポリマーと硬化剤の混合を行う。予熱した金型の上半体を充填しかつ各金型の開口に移動するセンタリングピンを使用して取り付けユニットに置く。後で、下半体の金型、または一連の下半体の金型は、キャビティに導入したのと同量の混合物を保持する。反応材料が上半体の金型に約40〜約80秒存在した後、コアを制御した速度で落下させ、ゲル状の反応混合物にする。
ボールカップがボールのコアを減圧(または部分的な真空)によって保持する。約40〜約80秒間ゲル化した後で、金型の両半体にコアを置き、真空を解除してコアを離す。コアおよび固形化したカバーの半体を有する金型の半体をセンタリング取り付け具からはずし、反転させて第2の金型の半体に合わせ、該第2の金型に導入された選択した量の反応性ポリ尿素プレポリマーおよび硬化剤は合わせる前の適切な時間にゲル化を開始する。
同様に、米国特許第5006297号明細書および米国特許第5334673号明細書の両者は、この発明で使用する注型可能な反応性液体を適用するのに使用することができる適切な成形技術を開示している。さらに、米国特許第6180040号明細書および同第6180722号明細書は二重コアゴルフボールを準備する方法を開示している。これらは参照して個々に組み入れる。なお、この発明の方法はこれらの技術に限定されない。
この発明に従って準備されたボールは、所望の特性に応じて、通常の構造のボールと較べて、実質的に同一のまたは大きな弾力性または反発係数(「COR」)を実現し、そのうえで、圧縮または弾性率を減少させる。さらに、この発明に従って準備されたボールは、通常のボールと較べたときに、圧縮を増大させることなく、実質的に弾力性またはCORを大きくさせる。この弾力性の他の測度は、「損失正接」すなわちtan δであり、これは物体の動的剛性を測定して得られる。損失正接およびそのような動的特性の用語は典型的にはASTM D4092−90に従って記述される。そして、低損失正接は、クラブからゴルフボールに加えられたエネルギの多くが、動的エネルギに変換されたことを意味する。すなわち、エネルギが発射測度は長い飛距離に変換されたことを意味する。ゴルフボールの剛性または圧縮剛性は例えば動的剛性により測定できる。大きな動的剛性は、大きな圧縮剛性を意味する。所望の圧縮剛性のゴルフボールを製造するために、架橋反応生成物の動的剛性は約50000N/m−50°C未満でなければならない。好ましくは、その動的剛性は約10000から約40000N/m−50°Cの間であり、より好ましくは、その動的剛性は約20000から約30000N/m−50°Cの間でなければならない。
反発係数(COR、Coefficient of Restitution)は、ボールと、相対的より大きな物体との間の生得を測定する。CORを測定する従来の1手法では、ゴルフボールまたはゴルフボールサブアッセンブリ、空気砲および静止垂直鋼板を用いる。鋼板は約100ポンドすなわち約45kgの重量の衝突面を形成する。一対の弾道光スクリーンがボールの速度を図るために、空気砲および鋼板の間に離間して配置される。ボールは空気砲から鋼板に向かってテスト速度である50ft/s(15.2m/s)から180ft/s(54.9m/s)にわたる範囲を越えて発射される。とくにことわらない限り、この出願で示されるCORデータは125ft/s(38.1m/s)の速度を用いて測定されたものである。ボールが鋼板に向かっている間に、ボールは各光スクリーンを活性化させて各光スクリーンにおける時間が測定される。この測定では、入射時間間隔がボールの入射速度に比例する。ボールは鋼板に衝突して反射して光スクリーンを通り抜けていく。これが光スクリーンの間を進むのに必要な時間間隔を再び測定する。このため、反射時の時間間隔は反射時のボール速度に比例する。CORは、反発係数は反射時間間隔の入射時間間隔に対する比として計算できる。
材料のCORは、0.25インチから1.68インチの間の、好ましくは、1.00インチから1.62インチの間の、より好ましくは、1.30インチから1.60インチの間の当該材料で成型された球のCORとして定義され、上述のようにしてCORが試験される。材料のCORはまたプラーク、ボタンまたはスラブ状の材料について例えばベイショア弾性、タンジェントデルタのように試験できる。これは動的機械解析により行う。反発係数の測定手法は、本出願人の出願に係る米国特許出願第10/914289号に記載されており、参照してここに組み入れる。125ft/secで、この発明にしたがって上述のように定義したCOR値では、材料の反発係数は、約0.500から約0.900の間であってよく、好ましくは約0.700から約0.875の間であってよく、より好ましくは約0.750から約0.850の間であってよい。層(センター、外側コア、中間層、内側または外側カバー等)を形成するために用いる材料のCORは、標準の球のCORに対して「外挿」すなわち標準化され、上述したように、複合サブアッセンブリに用いたのと同じ式を「材料COR」に用いる。
圧縮は、ゴルフボールの設計で重要なファクターをなす。例えば、コアの圧縮は、ボールのドライバオフ時のスピンレートおよびフィーリングを左右する。いくつかの手法が圧縮を測定するのに用いられ、その中に、Atti圧縮、Riehle圧縮、種々の固定荷重およびオフセットでの荷重/偏向の測定、および実効弾性係数が含まれる。詳細は、Jeff Dalton、Compression by Any Other Name、Science and Golf IV、Proceedings of the World Scientific Congress of Golf(Eric Thain ed. Routedge、2002)(以下、「J. Dalton」)を参照されたい。Atti圧縮を、Riehle(コア)、Riehle(ボール)、100kg偏向、130−10kg偏向または実効弾性係数に変換するには「J.Dalton」に示された式を用いて行うことができる。同様に、この発明のゴルフボールは、弾性係数、硬度または圧縮の個々の展開に制約されない。ボールのディンプル面のコートまたはペイント層はここで検討する構造の部分または層とは考えない。
ゴルフボールの各部分の成型プロセスおよび組成は典型的には材料特性の勾配をもたらす。先行技術で採用されていた手法は、一般に、硬度を調製して勾配を実現している。硬度は、静的な弾性率の定量手法であり、ゴルフボール使用、すなわち、クラブによる打撃に関連する変形速度での材料の弾性率を表さない。ポリマーサイエンスの分野で周知のように、時間−温度重畳原理を用いて代替変形速度をエミュレートできる。ポリブタジエンを含むゴルフボール部分については、0°Cから−50°Cの間の温度で1−Hz発振が、ゴルフボールの衝突速度と数量的に等価であると考えられている。したがって、0°Cから−50°Cの温度、好ましくは、−20°Cから−50°Cの損失正接および動的剛性を測定すれば、ゴルフボールの性能を正確に推定できる。
この発明の他の実施例では、この発明のゴルフボールは、実質的に球形であり、そのカバーは外側表面に複数のディンプルを有している。
米国特許出願第10/203015号すなわち米国特許出願公開第2003/0114565号および米国特許出願第10/108793号すなわち米国特許出願公開第2003/0050373号は、ソフトで高柔軟性のアイオノマーを開示しており、参照してその開示内容をここに組み入れる。このアイオノマーは、好ましくは、少なくとも、1つのE/X/Yコポリマーからなる酸コポリマーであり、ここで、Eはエチレン、Xはα,β−エチレン系不飽和カルボン酸、かつYは柔軟化コモノマーである。Xは好ましくはポリマーの2〜30重量%(より好ましくは4〜20重量%、最も好ましくは5〜15重量%)の量で存在する。Yは好ましくはポリマーの17〜40重量%(より好ましくは20〜40重量%、最も好ましくは24〜35重量%)の量で存在する。好ましくは、ベース樹脂のメルトインデックス(MI)は少なくとも20または少なくとも40であり、より好ましくは、少なくとも75であり、最も好ましくは少なくとも150である。この発明に含まれる具体的なソフトな弾力性のあるアイオノマーは、有益な物理特性のメルトプロセス可能なポリマーをもたらすMIおよび中和レベルの、部分的に中和されたエチレン/(メタ)アクリル酸/ブチル(メタ)アクリレートコポリマーである。これらコポリマーは少なくとも部分的に中和されている。好ましくは、少なくとも40またはより好ましくは少なくとも55、さらにより好ましくは約70、最も好ましくは約80の酸コポリマー中の酸部分が1または複数のアルカリ金属、遷移金属またはアルカリ土類金属カチオンにより中和されている。この発明のアイオノマーを製造するのに有益なカチオンは、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、または亜鉛またはこれらカチオンの組み合わせである。
この発明の実施するうえで有益な付加的なオプションの添加物は、酸コポリマーワックス(例えばAllied wax AC143で、これはエチレン/16−18%アクリル酸コパリマーで、平均分子量が2040と考えられている)であり、これは、フィラー材料(例えばZnO)とエチレンコパリマーの酸部分との間の反応を阻止するのに役立つ。他のオプションの添加物はTiOであり、これは漂白剤、光沢剤、界面活性剤、処理助剤として用いられる。
アイオノマー(は通常のアイオノマーコポリマー(ジ−、ター−等)とブレンドしてもよく、周知の手法を用いて製品特性を所望のものに調整する。ブレンドしても、依然として、従来のアイオノマーをベースにしてブレンドした場合に較べて硬度が小さく、弾性率が大きい。
また、アイオノマーは非イオン性熱可塑性樹脂とブレンドして製品特性を調製しても良い。非イオン性の熱可塑性樹脂は、これら例示に限定されないが、熱可塑性エラストマー例えばポリウレタン、ポリ−エーテル−エステル、ポリ−アミド−エーテル、ポリエーテル−尿素、PEBAX(ポリエーテル−ブロック−アミドをベースにしたブロックコポリマーの族で、Atochemから商業的に入手できる)、シチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ブロックコポリマー、スチレン(エチレン−ブチレン)−スチレンブロックコポリマー、その他、ポリアミド(オリゴマーまたはポリマー)、ポリエステル、ポリオレフィン(PE、PP、E/Pコパリマー等を含む)、種々のコモノマーを伴うエチレンコポリマー(これは例えばビニルアセテート、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、エポキシ官能化モノマー、CO等)、マレイン酸無水物グラフト化、エポキシ化等を伴う官能価コポリマー、EPDMのようなエラストマー、メタローセン触媒PEおよびコポリマー、熱硬化性エラストマーの粉砕粉末、その他を含む。そのような熱可塑性ブレンドでは、第1の熱可塑性材料は約1%から約99%の重量であってよく、また、第2の熱可塑性材料は約99%から約1%の重量であってよい。
さらに、米国特許第6,953,820号明細書および米国特許第6,653,382号明細書はソリッド球として製造される高CORの組成物を検討しており、その開示内容は参照してここに組み入れる。
カバーは、所望の性能特性に基づいてゴルフボールカバーとして採用されている通常の材料から選択する必要がある。カバーは1または複数の層を有してよい。カバー材料、例えば、アイオノマー樹脂、アイオノマー樹脂のブレンド、および熱可塑性または熱硬化性ウレタンおよびバラタを当業界で知られているように採用して良い。他の実施例では、付加的な層を上述した層に加えて良く、また既存の層を複数の材料から製造して良い。
この発明にしたがってゴルフボールを製造する場合、典型的には、ゴルフボールは、約60パーセントを超えるディンプル領域、好ましくは約65パーセントを越え、より好ましくは約75パーセントを越えるディンプル領域を有する。ゴルフボールのカバーの曲げ弾性率は、ASTM手法D6272098、手順Bで測定したときに、典型的には約500psiを越え、好ましくは、約500psiから約150,000psiである。上述のとおり、外側カバー層は好ましくは比較的柔らかなポリウレタン材料から形成される。具体的には、外側コア層の材料の材料硬度は、ASTM−D2240で測定したときに、約45ショアD未満であり、好ましくは約40ショアD未満であり、より好ましくは約25および約40ショアDの間であり、最も好ましくは約30および約40ショアDの間である。ケーシングの材料硬度は好ましくは約70ショアD未満であり、より好ましくは約30から約70ショアDの間であり、最も好ましくは約50から約65ショアDの間である。
本多層ゴルフボールの全体の外径はいかなる大きさでもよい。全米ゴルフ協会(「USGA」)の規定は競技用のゴルフボールの最小の大きさを1.680インチに制限している。最大直径に関する規定はない。しかしながら、遊びにはいかなる大きさのゴルフボールも使用することができる。本ゴルフボールの好ましい直径は約1.680インチ〜約1.800インチである。より好ましい直径は約1.680インチ〜約1.760インチである。最も好ましい直径は約1.680インチ〜約1.740インチである。
この発明のゴルフボールの慣性モーメント(「MOI」)は約85未満であり、好ましくは83未満である。MOIは、典型的には、コネチカット州、コリンスビルのInertia Dynamic社製造の型番MOI−005−104慣性モーメント装置により測定される。この装置はPCとCOMMポートで接続されてMOI装置ソフトウェアバージョン1.2により駆動される。
米国特許第6193619号明細書、同第6207784号明細書、および同6221960号明細書および米国特許出願第09/594031号(2000年6月15日出願)、同第09/677871号(2000年10月3日出願)、および同第09/447652号(1999年11月23日出願)を参照してここに組み入れる。
とくに明言しなくとも、明細書中のすべての数値範囲、量、値、百分率、例えば材料の量、および他のものは、たとえその値、量または範囲に関連して用語「約」が表示されていなくとも、「約」がその前に配置されているように読むことができる。したがって、そうでないと示されていない限り、明細書および特許請求の範囲に表される数のパラメータは近似的であり、これは、この発明により得られることが企図される所望の特性に応じて変化する。最低限でも、もちろん均等論の適用を制約するものではないが、各数のパラメータは記録されている有効数字の数や通常の丸め処理に照らして解釈されるべきである。
この発明の広範な範囲を示す数的範囲およびパラメータは近似的であるけれども、具体例において示された数値は可能な限り正確に記録した。任意の数値は、それでも、それぞれのテスト計測に見いだされる標準偏差に必然的に起因する誤差を含む。さらに、種々のスコープの数値範囲が示される場合には、例示された値を含めた値の任意の組み合わせが利用できると理解されたい。
ここに説明した発明の事例的な実施例はこの発明の好ましい実施例を満たすことは明らかであるが、種々の変更や他の実施例を当業者が想到できることを理解されたい。そのような変更の例は上述した数値の若干の変更を含む。したがって、上述の数値および特許請求の範囲の数値がそのような数値を含み、また上述した、また特許請求の範囲に記載した値に近似され、また非常に接近した値を含む。したがって、特許請求の範囲は、そのような変更や他の実施例をすべてカバーするように意図されており、この発明の精神およびスコープの範囲に入ると理解されたい。
添付図面は明細書の一部を構成し明細書との関連で理解されるべきであり、当該図面において類似の参照願望は種々の図において類序の部分を示す。
この発明に従うディンプル付きゴルフボールの正面図である。 薄い水蒸気バリア層およびカバーにより包まれるソリッドコアを示す、図1のゴルフボールの断面図である。 複数層からなるソリッドコアを薄い水蒸気バリア層で包んだソリッドコアを示す、この発明に従う他のゴルフボールの断面図である。
符号の説明
10 ゴルフボール
12 ソリッドコア
12a センタ
12b 内側コア層
12c 外側コア層
14 中間層
16 カバー

Claims (15)

  1. センタ、内側コア層、および外側コア層を含む少なくとも3つのコア層と、
    少なくとも1つのカバー層と、
    上記外側コア層および少なくとも上記カバー層の間にある、上記カバー層の水蒸気透過率より大きな水蒸気透過率を実現する少なくとも1つの水蒸気バリア層とを有し、
    上記センタ、上記内側コア層、および上記外側コア層は硬度勾配を付されていることを特徴とする多層ゴルフボール。
  2. 上記硬度勾配が上記少なくとも1つの中間の水蒸気バリア層に向かって増大する請求項1記載の多層ゴルフボール。
  3. 上記センタの硬度が約50ショアC以下である、または、
    上記内側コアの硬度が約50ショアCより大きい、または
    上記外側コアの硬度が約65ショアCより大きい、または、
    これらの組み合わせである請求項2記載の多層ゴルフボール。
  4. 上記硬度勾配が上記少なくとも1つの中間の水蒸気バリア層に向かって減少する請求項1記載の多層ゴルフボール。
  5. 上記センタの硬度が約60ショアC以下である、または、
    上記内側コアの硬度が約600ショアCより小さい、または
    上記外側コアの硬度が約50ショアCより小さい、または、
    これらの組み合わせである請求項4記載の多層ゴルフボール。
  6. 上記センタの直径は約1.27cm(0.5インチ)から約4.06cm(1.6インチ)であり、または、
    上記センタのムーニー粘度は約35より大きく、または、
    上記センタの撓みは約100kgの荷重で少なくとも約1mmであり、または、
    上記センタの亜鉛ジアクリレートの含有量はゴム100部当たり約10から約40部であり、または、
    これらの組み合わせであり、
    上記内側コアの直径は約4.09cm(1.610インチ)以下であり、または、
    上記内側コアのムーニー粘度は約35より大きく、または、
    上記内側コアの亜鉛ジアクリレートの含有量はゴム100部当たり約15から約45部であり、または、
    これらの組み合わせであり、
    上記外側コアの直径は約4.216cm(1.660インチ)以下であり、または、
    上記外側コアのムーニー粘度は約35より大きく、または、
    上記外側コアの亜鉛ジアクリレートの含有量はゴム100部当たり約15から約45部であり、または、
    これらの組み合わせである請求項1記載の多層ゴルフボール。
  7. 上記少なくとも1つの水蒸気バリア層の厚さは比較的一様であり、約0.135cm(0.020インチ)以下である請求項1記載の多層ゴルフボール。
  8. 上記少なくとも1つの水蒸気バリア層は熱可塑性エラストマーバインダ、および低水蒸気透過率の粒状材料を有する請求項1記載の多層ゴルフボール。
  9. 上記熱可塑性エラストマーバインダはスチレン−ジエンブロックコポリマーまたはスチレン−水素化ジエンブロックコポリマーである請求項8記載の多層ゴルフボール。
  10. 上記粒状材料はアルミニウムフレーク材料を有する請求項8記載の多層ゴルフボール。
  11. 上記粒状材料の上記バインダ材料に対する比は約1:1である請求項11記載の多層ゴルフボール。
  12. 上記少なくとも1つのカバー層は、その硬度が約25から約65ショアDであり、その曲げ弾性率が少なくとも約13.78MPa(2000psi)である、熱硬化性または熱可塑性ポリウレタンまたはポリ尿素である請求項1記載の多層ゴルフボール。
  13. Atti圧縮が約110より小さいこと、
    反発係数が少なくとも約0.790であること、
    約100kgの荷重での撓みが少なくとも約1.5mmであること、
    カバー表面のディンプルが約250から約450個であること
    のいずれかを実現し、またはこれらの組み合わせを実現する請求項1記載の多層ゴルフボール。
  14. 上記硬度勾配は上記センタから増加し、または上記センタから減少することが可能な請求項13記載の多層ゴルフボール。
  15. 上記少なくとも1つのカバー層は、その硬度が約25から約65ショアDであり、その曲げ弾性率が少なくとも約13.78MPa(2000psi)である、熱硬化性または熱可塑性ポリウレタンまたはポリ尿素である請求項14記載の多層ゴルフボール。
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