JP2008124627A - 音声出力装置及び音質補正方法 - Google Patents

音声出力装置及び音質補正方法 Download PDF

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怜也 伊藤
Mikio Higashiyama
三樹夫 東山
Michiko Kazama
道子 風間
Osamu Goto
理 後藤
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Abstract

【課題】聴取者が空間内のどの位置にいてもスピーカからの音声を明瞭に聴き取れるように、スピーカから出力される音声の音質を補正する。
【解決手段】音源1とスピーカ2との間に接続した音声信号処理装置3にスピーカ2のパワーレスポンスを平滑化する特性のフィルタ4の機能を設け、音源1からの音声信号をこのフィルタ4を通過させた上でスピーカ2から出力させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、スピーカから出力される音声の音質を聴取者が聴き取り易くなるように補正する機能を有する音声出力装置及び音質補正方法に関する。
従来、車室内などの比較的狭い空間において音源からの音をスピーカから出力させる際に、再生音場となる空間の音響特性に応じて、スピーカから出力される音が聴取者にとって理想的な音となるようにその音質を自動的に補正する技術が知られている(例えば、特許文献1,2等を参照。)。
これらの従来技術では、スピーカから試験音を出力させてその試験音を聴取者の受聴位置に置かれたマイクで収音し、受聴位置における周波数特性が予め設定された特性となるように、イコライザの補正特性を決定する。そして、音源からの音響信号をイコライザを通して加工処理した後にスピーカから出力させることで、受聴位置において理想的な音が聴取できるように、スピーカからの出力音の音質を補正するようにしている。
特公平6−85599号公報 特開平8−125473号公報
ところで、音源からの音響信号が人の発話音声を含む音声信号である場合、この音声信号をスピーカから音声として出力する際には、音声の明瞭度を高めて聴取者が聴き取り易くなるようにその音質を補正することが求められる。ここで、上述した従来技術では、空間内の所定の受聴位置(マイクで試験音を収音した位置)における周波数特性が平滑化されるようにイコライザの補正特性を決定しておけば、聴取者がその受聴位置でスピーカからの音声を聴取している限りは、ある程度明瞭に音声を聴取できるものと考えられる。しかしながら、聴取者が動いて所定の受聴位置とは異なる位置でスピーカからの音声を聴取する場合には、その位置における周波数特性に応じた理想的な補正が行われないために、音声の明瞭度を十分に高めることができず、また、所定の受聴位置で聴取することを前提とした補正が逆効果となり、スピーカから出力される音声が聴取者にとって却って聴き取りづらいものとなってしまうことも想定される。
そこで、本発明は、聴取者が空間内のどの位置にいてもスピーカからの音声を明瞭に聴き取れるように、スピーカから出力される音声の音質を補正する音声出力装置及び音質補正方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、スピーカの指向特性を含む周波数特性と音場となる空間の反射等に伴う周波数特性とが反映されるスピーカのパワーレスポンスを求め、音源からの音声信号を、このパワーレスポンスを平滑化する特性のフィルタを通過させた上でスピーカから出力させることで、その音声の明瞭度を高めて、空間内のあらゆる受聴位置で聴き取り易い音質に補正できることを見出すに至った。ここで、スピーカのパワーレスポンスは、スピーカから例えば広帯域雑音などの試験音を出力し、その際にスピーカの近接領域内における複数の観測点で周波数特性を測定し、各観測点で測定された周波数特性を平均化することで求められる。なお、スピーカの近接領域とは、スピーカに十分近接した位置でこのスピーカを覆う空間領域である。
本発明に係る音声出力装置は、以上のような知見に基づいて創案されたものであって、音源からの音声信号を加工処理する音声信号処理手段にスピーカのパワーレスポンスを平滑化する特性のフィルタを設け、音源からの音声信号をこのフィルタを通過させた上でスピーカから出力させるようにしている。
また、本発明に係る音質補正方法は、以上のような知見に基づいて創案されたものであって、スピーカから試験音を出力してスピーカの近接領域内における複数の観測点で周波数特性をそれぞれ測定し、各観測点で測定された周波数特性を平均化してスピーカのパワーレスポンスを求め、このスピーカのパワーレスポンスを平滑化する特性のフィルタを設定して、音源からの音声信号をこのフィルタを通過させた後にスピーカから音声として出力させる。
本発明によれば、聴取者が空間内のどの位置にいてもスピーカから出力される音声を明瞭に聴き取れるように、スピーカから出力される音声の音質を補正することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
[発明の概要]
本発明は、例えば自宅のリビングルームや自動車の車室内など、空間容積が比較的小さい室内において、テレビ音声やラジオ音声、電話の受話音声などの音源からの音声をスピーカから出力させるにあたって、出力された音声が聴き取り易くなるように、その音声の音質を補正するものである。そして、特に本発明では、空間容積が小さい室内においてスピーカから出力される音声の明瞭度がスピーカのパワーレスポンスにより左右されることに着目し、音源からの音声信号をこのスピーカのパワーレスポンスを平滑化する特性のフィルタを通過させた後にスピーカから音声として出力させることで、聴取者が室内のどの位置にいても音声を明瞭に聴き取れるように、スピーカから出力される音声の音質を補正するようにしている。
本発明を適用した音声出力装置の構成を図1に示す。この音声出力装置は、図1に示すように、音源1とスピーカ2との間に音声信号処理装置3を接続して構成される。音声信号処理装置3は、音源1からの音声信号を加工処理した上でスピーカ2に供給することでスピーカ2から出力される音声の音質を補正するものであり、例えばDSP(Digital Signal Processor)等を用いて構成される。本発明を適用した音声出力装置では、この音声信号処理装置3に、スピーカ2のパワーレスポンスを平滑化する特性のフィルタ4としての機能を設け、音源1からの音声信号をこのフィルタ4を通過させた後に、スピーカ2から音声として出力させるようにしている。
スピーカ2のパワーレスポンスは、スピーカ2の指向特性を含む周波数特性と音場となる空間の反射等に伴う周波数特性とが反映されたものである。つまり、音源1からの音声信号xをスピーカ2から音声として出力した際に、室内のある観測点で収音される収音信号zは、スピーカインパルス応答yと室内インパルス応答rとにより、z=x*y*rで表される。ここで、音場となる空間全体における周波数特性(周波数毎のエネルギーの違い)は、室内空間のあらゆる位置で観測されるスピーカインパルス応答yと室内インパルス応答rとを含んだインパルス応答の振幅周波数特性の平均であり、これがスピーカ2のパワーレスポンスである。このパワーレスポンスを平滑化することにより、スピーカ2と室内環境との双方の周波数特性を補正することができ、スピーカ2から出力される音声の音質を、空間内のどの位置でも聴き取り易くなるように補正することができる。
ここで、室内の空間全体の周波数特性、すなわちスピーカ2のパワーレスポンスは、スピーカ2の近接領域内の複数の観測点で観測される周波数特性を平均化することで近似的に求めることができる。なお、スピーカ2の近接領域とは、スピーカ2に十分近接した位置でこのスピーカ2を覆う空間領域である。
このような観点から、本発明では、スピーカ2のパワーレスポンスを以下のように求めている。すなわち、図2に示すように、スピーカ2の近接領域NA内に複数の観測点を設定し、例えば広帯域雑音などの試験音Sをスピーカ2から出力して、近接領域NA内における各観測点でスピーカ2から出力された試験音Sをそれぞれマイク10で収音する。そして、各観測点における収音信号z1〜zn(1〜nは観測点の番号)をそれぞれ分析して各観測点における周波数特性p1(=y1*r1)〜pn(=yn*rn)を測定し、下記式(1)に示すように、各観測点における周波数特性p1〜pnを平均化することにより、スピーカ2のパワーレスポンスPを求める。
P=(p1+…+pn)/n ・・・(1)
なお、近接領域NA内における観測点の数はスピーカ2のサイズと要求される補正精度とに応じて任意に設定可能であり、例えばスピーカ2の音放射面が直径10cm程度の大きさであれば、観測点の数を8点程度としておけば、音声通話において重要となる周波数範囲において、スピーカ2のパワーレスポンスを十分正確に求めることができる。
ここで、スピーカ2の近接領域NA内における各観測点での周波数特性p1〜pnは、各観測点での収音信号z1〜znをそれぞれ、例えば1/4オクターブバンドの等比帯域フィルタ群を用いて帯域分析することで測定することが望ましい。1/4オクターブバンドの等比帯域フィルタ群は、通過させる信号成分の周波数帯域幅を1/4オクターブとした帯域フィルタを並べたもので、人間の聴覚機能に近い働きを持つことが知られている。したがって、この1/4オクターブバンドの等比帯域フィルタ群を用いて各観測点での収音信号z1〜znをそれぞれ帯域分析すれば、人間の感覚に合わせた最適なかたちで、各観測点での周波数特性p1〜pnを測定することが可能となる。
なお、各観測点での周波数特性p1〜pnは、各観測点での収音信号z1〜znを帯域分析する代わりに、帯域分割した試験音Sをそれぞれスピーカ2から出力して各観測点での周波数帯域毎の収音信号z1〜znを分析することでも測定可能である。この場合にも、試験音Sの帯域分割には、1/4オクターブバンドの等比帯域フィルタ群を用いることが望ましい。すなわち、1/4オクターブバンドの等比帯域フィルタ群を用いて帯域分割した試験音Sをそれぞれスピーカ2から出力し、各観測点での周波数帯域毎の収音信号z1〜znを分析することにより、人間の感覚に合わせた最適なかたちで、各観測点での周波数特性p1〜pnを測定することが可能となる。この手法は、周波数帯域毎の試験音Sの出力と収音が必要なために測定の手間はかかるが、周波数帯域毎の収音信号z1〜znが得られるため、各観測点での周波数特性p1〜pnの測定精度が向上する。
本発明を適用した音声出力装置では、音声信号処理装置3におけるフィルタ4の特性を、以上のように求めたスピーカ2のパワーレスポンスを平滑化する特性に設定している。そして、音源1からの音声信号をこのフィルタ4を通過させた後にスピーカ2から音声として出力させることで、スピーカ2から出力される音声の音質を、室内のどの位置でも聴き取り易くなるように補正するようにしている。ここで、スピーカ2のパワーレスポンスは、上述したように、スピーカ2の指向特性を含む周波数特性と室内の反射等に伴う周波数特性とを含む室内空間全体の周波数特性であり、スピーカ2の特性や設置位置、或いは室内空間の大きさなどが変わらない限り変化しない。したがって、スピーカ2のパワーレスポンスを一度求めて、音声信号処理装置3におけるフィルタ4の特性を、求めたスピーカ2のパワーレスポンスを平滑化する特性に設定しておけば、その後はフィルタ4の特性を変化させる必要がなく、スピーカ2から出力される音声の音質を常に最適な状態に補正することができる。
ところで、本発明を適用した音声出力装置では、音源1として電話回線を通じて得られる受話音声を出力する電話機を用いることも想定している。ここで、電話回線を通じて得られる電話機の受話音声は、通常、電話回線の帯域制限(電話帯域制限)によって、300Hz以下の低い周波数帯域と3.4kHz以上の高い周波数帯域とでパワーレベルが低下している。したがって、この電話回線を通じて得られる受話音声をスピーカ2から出力させる際には、スピーカ2のパワーレスポンスの平滑化と合わせて、この電話帯域制限も平滑化する補正を行ったほうが、スピーカ2から出力される音声の明瞭度をより高められるものと考えられる。
そこで、本発明を適用した音声出力装置では、受話音声を出力する電話機を音源1とする場合には、音声信号処理装置3に設定するフィルタ4の特性を、スピーカ2のパワーレスポンスを平滑化すると共に電話帯域制限を平滑化する特性(電話帯域制限を越えてスピーカ2のパワーレスポンスを平滑化する特性)としておき、音源1である電話機からの受話音声をこのフィルタ4を通過させた後にスピーカ2から出力させることが望ましい。
また、音源1として受話音声を出力する電話機と、受話音声以外の音声を出力するテレビチューナやラジオチューナなどが混在する場合には、2種類のフィルタを設けて、これらを音源1の種類に応じて使い分けることも有効である。すなわち、図3に示すように、スピーカ2のパワーレスポンスのみを平滑化する特性の第1のフィルタ4aと、スピーカ2のパワーレスポンスを平滑化すると共に電話帯域制限を平滑化する特性の第2のフィルタ4bと、音源1の種類に応じてこれら第1のフィルタ4aと第2のフィルタ4bとを選択的に切り替える切替部5の機能を音声信号処理装置3に設け、テレビチューナやラジオチューナなどの音声をスピーカ2から出力させる場合には、切替部5が第1のフィルタ4aを選択してこの第1のフィルタ4aを用いた補正を行い、電話機の受話音声をスピーカ2から出力させる場合には、切替部5が第2のフィルタ4bを選択してこの第2のフィルタ4bを用いた補正を行うようにしてもよい。
[実施例]
次に、本発明の具体的な実施例について説明する。ここでは、空間容積が比較的小さい小室内でスピーカ2から出力される受話音声の音質を補正する例(第1実施例)と、自動車の車室内で車載スピーカ2から出力されるハンズフリーシステムの受話音声の音質を補正する例(第2実施例)とを例に挙げて、スピーカ2のパワーレスポンスの測定、フィルタ4の特性の設定、スピーカ2から出力される受話音声の明瞭度評価実験の結果について具体的に説明する。
<第1実施例>
まず、第1実施例について説明する。本実施例において音場となる空間は、スピーカ2を含む空間全体のインパルス応答波形として図4(a)に示すような波形が得られ、スピーカ2を含む空間全体のインパルス応答の振幅クスペクトルとして図4(b)のような振幅スペクトルが得られる小室内である。本実施例では、このような音響特性の小室内を対象とし、電話機で受信した受話音声を、スピーカ2のパワーレスポンスを平滑化すると共に電話帯域制限を平滑化する特性のフィルタ4を通過させた後にスピーカ2から出力させることで、その音声の音質を聴取者が聴き取り易くなるように補正する。
小室内におけるスピーカ2のパワーレスポンスは、以下のように求める。すなわち、まず、スピーカ2から試験音として広域雑音を出力し、スピーカ2の近接領域内における8点の観測点で、スピーカ2から出力された試験音をマイクによりそれぞれ収音する。そして、各観測点で収音された収音信号z1〜z8をそれぞれ1/4オクターブバンドの等比帯域フィルタ群を用いて帯域分析し、各観測点における周波数特性p1〜p8を測定する。そして、各観測点における周波数特性p1〜p8を平均化して、小室内におけるスピーカ2のパワーレスポンスを求める。
以上のように求めたスピーカ2のパワーレスポンスを図5に示す。図5において、横軸は帯域分析した各周波数帯域(サブバンド)の帯域番号(1〜30)であり、帯域番号1の中心周波数は71Hz、帯域番号30の中心周波数は7664Hzである。また、図5の縦軸は、パワーレスポンスを示す周波数帯域ごとのレベルである。ここで、図5に示したスピーカ2のパワーレスポンスの逆応答は図6のようになる。この図6に示す特性が、スピーカ2のパワーレスポンスを平滑化するための平滑化ゲインとなる。
また、電話回線の振幅スペクトルは図7に示す特性となっている。図7において、横軸は周波数、縦軸は振幅スペクトルを示す周波数ごとのレベルである。この図7に示す電話回線の振幅スペクトルの逆応答を、図5や図6で扱う周波数帯域の帯域番号に合わせて表すと図8のようになる。この図8に示す特性が、電話帯域制限を平滑化するための平滑化ゲインとなる。ここで、電話帯域制限の平滑化を安定に実施するにあたっては、例えば、帯域を3番〜27番程度に制限することが望ましい。
本実施例では、上記の帯域制限を施すことなく、図6に示すスピーカ2のパワーレスポンス平滑化ゲインと、図8に示す電話帯域制限平滑化ゲインとをかけ合わせて、スピーカ2のパワーレスポンスと電話帯域制限との双方を平滑化する図9に示すような平滑化ゲインを求め、これを音声信号処理装置3におけるフィルタ4の特性として設定する。そして、電話機で受信した受話音声の音声信号をこのフィルタ4を通過させることで、スピーカ2から出力される受話音声の音質を小室内において聴き取り易い音となるように補正する。
本実施例の効果を実証すべく、実際に電話回線を通した実験音声の音声信号を、図9に示した特性のフィルタ4を通過させた後にスピーカ2から音声として出力させ、小室内の被験者による聴き取り調査により、明瞭度がどの程度向上したかの検証を行った。なお、ここでは、スピーカ2から出力させる実験音声は無意味三連音節とし、雑音の影響を考慮してS/N比を−3dB、0dB、3dBと変化させながら、それぞれ25パターンの無意味三連音節をスピーカ2から出力させ、4名の被験者に小室内でそれぞれスピーカ2から出力された三連音節を書き取らせて、三連音節の三音節目の正答率により、音声明瞭度を評価した。また、比較対象として、実験音声の音声信号に対して信号処理を行わずにスピーカ2から出力させた場合と、電話帯域制限の平滑化のみを行ってスピーカ2から出力させた場合と、スピーカ2のパワーレスポンスの平滑化のみを行ってスピーカ2から出力さた場合とについても、それぞれ同様の聴き取り調査で明瞭度の検証を行った。
以上のような受話音声の明瞭度評価実験の結果を図10に示す。この図10に示す結果から、実験音声の音声信号に対して信号処理を行わずにスピーカ2から出力させた場合に比べ、電話帯域制限の平滑化のみを行ってスピーカ2から出力させた場合には、その音声の明瞭度が低下するが、スピーカ2のパワーレスポンスを平滑化する補正を行った場合は特に雑音の多い環境下での明瞭度が向上し、スピーカ2のパワーレスポンスを平滑化するとともに電話帯域制限を平滑化する補正を行った場合には、背景雑音の状態に拘わらず全ての環境においてスピーカ2から出力される音声の明瞭度が向上することが分かる。
<第2実施例>
次に、第2実施例について説明する。本実施例において音場となる空間は、車載スピーカ2を含む空間全体のインパルス応答波形として図11(a)に示すような波形が得られ、車載スピーカ2を含む空間全体のインパルス応答の振幅スペクトルとして図11(b)のような振幅スペクトルが得られる自動車の車室内である。本実施例では、このような音響特性の車室内を対象とし、車載ハンズフリーシステムで受信した受話音声を、車載スピーカ2のパワーレスポンスを平滑化すると共に電話帯域制限を平滑化する特性のフィルタ4を通過させた後に車載スピーカ2から出力させることで、その音声の音質を車両乗員が聴き取り易くなるように補正する。
車室内における車載スピーカ2のパワーレスポンスは、上述した第1実施例と同様の手法で求める。すなわち、まず、車載スピーカ2から試験音として広域雑音を出力し、車載スピーカ2の近接領域内における8点の観測点で、車載スピーカ2から出力された試験音をマイクによりそれぞれ収音する。そして、各観測点で収音された収音信号z1〜z8をそれぞれ1/4オクターブバンドの等比帯域フィルタ群を用いて帯域分析し、各観測点における周波数特性p1〜p8を測定する。そして、各観測点における周波数特性p1〜p8を平均化して、車室内における車載スピーカ2のパワーレスポンスを求める。
以上のように求めた車載スピーカ2のパワーレスポンスを図12に示す。図12において、横軸は帯域分析した各周波数帯域(サブバンド)の帯域番号(1〜30)であり、帯域番号1の中心周波数は71Hz、帯域番号30の中心周波数は7664Hzである。また、図12の縦軸は、各周波数帯域ごとの音圧(パワー)レベルである。ここで、図12に示した車載スピーカ2のパワーレスポンスの逆応答は図13のようになる。この図13に示す特性が、車載スピーカ2のパワーレスポンスを平滑化するための平滑化ゲインとなる。
また、電話回線の振幅スペクトルは先に図7で示した特性となっており、この電話回線の振幅スペクトルの逆応答は先に図8で示した特性となっている。この図8に示す特性が、電話帯域制限を平滑化するための平滑化ゲインとなる。ここで、電話帯域制限の平滑化を安定に実施するにあたっては、例えば、帯域を3番〜27番程度に制限することが望ましい。
本実施例では、上記の帯域制限を施すことなく、図13に示す車載スピーカ2のパワーレスポンス平滑化ゲインと、図8に示した電話帯域制限平滑化ゲインとをかけ合わせて、スピーカ2のパワーレスポンスと電話帯域制限との双方を平滑化する図14に示すような平滑化ゲインを求め、これを音声信号処理装置3におけるフィルタ4の特性として設定する。そして、車載ハンズフリーシステムで受信した受話音声の音声信号をこのフィルタ4を通過させることで、車載スピーカ2から出力される受話音声の音質を車室内において聴き取り易い音となるように補正する。
本実施例の効果を実証すべく、実際に車載ハンズフリーシステムの受話音声を図14に示した特性のフィルタ4を用いて補正して車載スピーカ2から出力し、車室内の被験者を対象としたオピニオン評価実験により明瞭度がどの程度向上したかの検証を行った。その結果、図14に示した特性のフィルタ4を用いた補正を行うことで、オピニオン評価値が1〜2ポイント上がり、十分な明瞭度が得られるようになることが分かった。
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本発明を適用した音声出力装置によれば、音源1とスピーカ2との間に接続した音声信号処理装置3にスピーカ2のパワーレスポンスを平滑化する特性のフィルタ4の機能を設け、音源1からの音声信号をこのフィルタ4を通過させた上でスピーカ2から出力させるようにしているので、聴取者が音場となる空間内のどの位置にいてもスピーカ2から出力される音声を明瞭に聴き取れるように、スピーカ2から出力される音声の音質を補正することができる。
なお、以上説明した音声出力装置は、本発明の一実施形態を例示したものであり、本発明の技術的範囲は、以上の実施形態の説明で開示した内容に限定されるものではなく、これらの開示から容易に導き得る様々な代替技術も含まれることは勿論である。
本発明を適用した音声出力装置の概略構成を示すブロック図である。 スピーカのパワーレスポンスを求める手法を説明する模式図である。 本発明を適用した音声出力装置の他の構成例を示すブロック図である。 第1実施例の音場空間となる小室内の音響特性を説明する図であり、(a)はスピーカを含む空間全体のインパルス応答波形を示す図、(b)はスピーカを含む空間全体のインパルス応答の振幅スペクトルを示す図である。 スピーカのパワーレスポンスを示す図である。 スピーカのパワーレスポンスを平滑化するための平滑化ゲインを示す図である。 電話回線の振幅スペクトルを示す図である。 電話帯域制限を平滑化するための平滑化ゲインを示す図である。 スピーカのパワーレスポンスと電話帯域制限との双方を平滑化する平滑化ゲインを示す図である。 第1実施例の明瞭度評価実験の結果を示す図である。 第2実施例の音場空間となる自動車の車室内の音響特性を説明する図であり、(a)は車載スピーカを含む空間全体のインパルス応答波形を示す図、(b)は車載スピーカを含む空間全体のインパルス応答の振幅クスペクトルを示す図である。 車載スピーカのパワーレスポンスを示す図である。 車載スピーカのパワーレスポンスを平滑化するための平滑化ゲインを示す図である。 車載スピーカのパワーレスポンスと電話帯域制限との双方を平滑化する平滑化ゲインを示す図である。
符号の説明
1 音源
2 スピーカ
3 音声信号処理装置
4 フィルタ
4a 第1のフィルタ
4b 第2のフィルタ
5 切替部

Claims (6)

  1. 音源と、
    前記音源からの音声信号を加工処理する音声信号処理手段と、
    前記音声信号処理手段で加工処理された音声信号を音声として出力するスピーカとを備え、
    前記音声信号処理手段は、前記スピーカから試験音を出力した際に当該スピーカの近接領域内における複数の観測点で測定した周波数特性を平均化して得られる前記スピーカのパワーレスポンスを平滑化する特性のフィルタを有し、前記音源からの音声信号を前記フィルタを通過させることで、前記スピーカから出力される音声の音質を補正することを特徴とする音声出力装置。
  2. 前記音源が電話回線を通じて得られる受話音声の音声信号を出力するものであり、
    前記音声信号処理手段のフィルタは、前記スピーカのパワーレスポンスを、電話帯域制限を越えて平滑化する特性のフィルタであることを特徴とする請求項1に記載の音声出力装置。
  3. 前記音源として、電話回線を通じて得られる受話音声の音声信号を出力するものと、受話音声以外の音声信号を出力するものとを有し、
    前記音声信号処理手段は、前記スピーカのパワーレスポンスのみを平滑化する特性の第1のフィルタと、前記スピーカのパワーレスポンスを、電話帯域制限を越えて平滑化する特性の第2のフィルタと、前記音源からの音声信号を通過させるフィルタを音源の種類に応じて前記第1のフィルタと第2のフィルタとで選択的に切り替える切替手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の音声出力装置。
  4. 前記スピーカの近接領域内における複数の観測点での周波数特性は、各観測点での収音信号をそれぞれ等比帯域フィルタ群を用いて帯域分析することで測定されることを特徴とする請求項1に記載の音声出力装置。
  5. 前記スピーカの近接領域内における複数の観測点での周波数特性は、等比帯域フィルタ群を用いて帯域分割した試験音を前記スピーカからそれぞれ出力して各観測点での帯域毎の収音信号を分析することで測定されることを特徴とする請求項1に記載の音声出力装置。
  6. スピーカから出力される音声の音質を補正する音質補正方法であって、
    前記スピーカから試験音を出力して当該スピーカの近接領域内における複数の観測点で周波数特性を測定するステップと、
    前記複数の観測点で測定された周波数特性を平均化して前記スピーカのパワーレスポンスを求めるステップと、
    前記スピーカのパワーレスポンスを平滑化するフィルタを設定するステップと、
    音源からの音声信号を前記フィルタを通過させた後に前記スピーカから音声として出力させるステップとを有することを特徴とする音質補正方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4892095B1 (ja) * 2010-11-26 2012-03-07 株式会社東芝 音響補正装置、及び音響補正方法
JP2014060711A (ja) * 2012-09-14 2014-04-03 Axis Ab 画像取込み設定の構成
US10074384B2 (en) 2013-03-04 2018-09-11 Fujitsu Limited State estimating apparatus, state estimating method, and state estimating computer program

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