JP2008122592A - 顕微鏡対物レンズ - Google Patents
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Abstract
【課題】開口数0.65程度で、高次球面収差を始め諸収差が良好に補正された顕微鏡対物レンズの提供。
【解決手段】物体側より順に、正の第1レンズ群G1と、正の第2レンズ群G2と、負の第3レンズ群G3とから構成され、G1が物体側に凹面を向けた正のメニスカスレンズL1を有し、G2が正レンズL3と負レンズL4との接合要素を有し、且つ、G2を構成するレンズの少なくとも一面に回折光学面Dが形成され、G3が像側に負レンズL12、正レンズL13、負レンズL14をこの順に並べ、G2の正レンズのアッベ数をνdp、負レンズのアッベ数をνdn、正レンズのd線に対する屈折率をndp、負レンズのd線に対する屈折率をndn、正レンズと負レンズとの接合面の曲率半径をRII、全系の焦点距離をf、第1レンズ群G1の焦点距離をf1としたとき、 νdp − νdn > 30 90 > RII/(ndn−ndp) 4.0 < f1/f < 7.0を満足する。
【選択図】図1
【解決手段】物体側より順に、正の第1レンズ群G1と、正の第2レンズ群G2と、負の第3レンズ群G3とから構成され、G1が物体側に凹面を向けた正のメニスカスレンズL1を有し、G2が正レンズL3と負レンズL4との接合要素を有し、且つ、G2を構成するレンズの少なくとも一面に回折光学面Dが形成され、G3が像側に負レンズL12、正レンズL13、負レンズL14をこの順に並べ、G2の正レンズのアッベ数をνdp、負レンズのアッベ数をνdn、正レンズのd線に対する屈折率をndp、負レンズのd線に対する屈折率をndn、正レンズと負レンズとの接合面の曲率半径をRII、全系の焦点距離をf、第1レンズ群G1の焦点距離をf1としたとき、 νdp − νdn > 30 90 > RII/(ndn−ndp) 4.0 < f1/f < 7.0を満足する。
【選択図】図1
Description
本発明は、顕微鏡対物レンズに関する。
従来10mm程度の長い作動距離を有し、倍率50倍程度の顕微鏡対物レンズは、開口数が0.55程度のものが一般的であった(例えば、特許文献1参照)。
このような顕微鏡対物レンズに対し、工業用途などでは微細な回路等を検査する目的のため、更に大きな開口数を有する顕微鏡対物レンズへの要求が高くなっている。しかしながら、長い作動距離(10mm程度)を確保したまま開口数を0.65程度まで大きくすると、特に球面収差の色変化、色による差も含めた高次の曲がりが発生して補正が困難となるという課題がある。また、色変化を含めた球面収差を補正すると同時に、当然ながら、軸上の色収差、倍率の色収差、また、非点収差、歪曲収差等の基準波長に関わる収差も補正し、顕微鏡対物レンズに求められる性能を達成しなければならないという課題もある。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、倍率50倍程度で、作動距離10mm程度を有し、開口数0.65程度の、色変化も含めた高次球面収差を始め諸収差が良好に補正された顕微鏡対物レンズを提供することを目的とする。
前記課題を解決するために本発明に係る顕微鏡対物レンズは、物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、負の屈折力を有する第3レンズ群とから構成される。このとき、第1レンズ群が、最も物体側に、物体側に凹面を向けた正のメニスカスレンズを有し、第2レンズ群が、正レンズと負レンズとを組み合わせてなる色消しレンズ要素を有し、且つ、第2レンズ群を構成するレンズの少なくとも一面に回折光学面が形成され、第3レンズ群が、最も像側に負レンズ、正レンズ、負レンズをこの順に並べ、全体として負の屈折力を有する色消しレンズ要素を有して構成される。そして、この顕微鏡対物レンズは、第2レンズ群に含まれる色消しレンズ要素を構成する正レンズのアッベ数をνdpとし、当該色消しレンズ要素を構成する負レンズのアッベ数をνdnとしたとき、次式
νdp − νdn > 30 (1)
を満足し、第2レンズ群に含まれる色消しレンズ要素を構成する正レンズのd線に対する屈折率をndpとし、当該色消しレンズ要素を構成する負レンズのd線に対する屈折率をndnとし、当該色消しレンズ要素の正レンズと負レンズとの接合面の曲率半径をRIIとしたとき、次式
90 > RII/(ndn−ndp) > 70 (2)
を満足し、全系の焦点距離をfとし、前記第1レンズ群の焦点距離をf1としたとき、次式
4.0 < f1/f < 7.0 (3)
を満足する。
νdp − νdn > 30 (1)
を満足し、第2レンズ群に含まれる色消しレンズ要素を構成する正レンズのd線に対する屈折率をndpとし、当該色消しレンズ要素を構成する負レンズのd線に対する屈折率をndnとし、当該色消しレンズ要素の正レンズと負レンズとの接合面の曲率半径をRIIとしたとき、次式
90 > RII/(ndn−ndp) > 70 (2)
を満足し、全系の焦点距離をfとし、前記第1レンズ群の焦点距離をf1としたとき、次式
4.0 < f1/f < 7.0 (3)
を満足する。
このとき、第2レンズ群に含まれる色消しレンズ要素が、正レンズと負レンズとを接合してなることが好ましい。
このような本発明に係る顕微鏡対物レンズにおいて、第3レンズ群に含まれる色消しレンズ要素の焦点距離をfrとしたとき、次式
1.5 < |fr/f| < 2.5 (4)
を満足することが好ましい。
1.5 < |fr/f| < 2.5 (4)
を満足することが好ましい。
また、第3レンズ群に含まれる色消しレンズ要素が、負レンズ、正レンズ、負レンズの接合レンズで構成されていることが好ましい。
さらに、回折光学面が、密着複層型回折光学素子で構成されていることが好ましい。
本発明に係る顕微鏡対物レンズを以上のように構成すると、倍率50倍程度で、作動距離10mm程度を持った、開口数0.65程度の、色変化も含めた高次球面収差を始め諸収差が良好に補正された顕微鏡対物レンズを提供することができる。
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。まず、図1を用いて、本発明に係る顕微鏡対物レンズの構成について説明する。この顕微鏡対物レンズは、物体O側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1、正の屈折力を有する第2レンズ群G2、および、負の屈折力を有する第3レンズ群G3から構成される。このような顕微鏡対物レンズにおいて、第1レンズ群G1には、極力球面収差を発生させないために、最も物体側に、物体Oに対して凹面を向けた正のメニスカスレンズ(図1におけるレンズL1)が設けられている。これは、高い開口数の光線に対しても、レンズ面に対する光線の入射角ができるだけ大きくならないようにするためである。また、第2レンズ群G2には、正レンズと負レンズとを組み合わせて構成される色消しレンズ要素(図1におけるレンズL3,L4)が設けられており、この第2レンズ群G2を構成するレンズのいずれかの面には回折光学面が形成されている(図1におけるレンズL4と光学素子L5の貼り合わせ面に形成された回折格子D)。なお、この色消しレンズ要素は図1に示すように接合されて構成されても良い。
さらに、第3レンズ群G3には、最も像側に負レンズ、正レンズ、負レンズをこの順に並べ、全体として負の屈折率を有する色消しレンズ要素(図1におけるレンズL11〜L13)を含んでいる。なお、この色消しレンズ要素は、この図1に示すように接合レンズで構成すると顕微鏡対物レンズの製造が容易になるが、これらのレンズL11〜L13は、分離して配置することも可能である。
このような顕微鏡対物レンズにおいて、長い作動距離を持ち、高い開口数を有するように構成すると、軸上の色収差、倍率の色収差およびその2次スペクトルに加えて、基準波長に対する球面収差のみならず、色による球面収差の変化や高次の曲がりおよびその色変化を十分に補正することが必要となる。本実施例においては、色収差を補正するために、上述のように第2レンズ群G2に設けた回折光学面の負分散特性に非球面効果を絡ませて、球面収差の色変化や高次の曲がりを補正するように構成している。このような回折光学面(回折格子D)は、通常は独立した素子として(すなわち、回折光学素子として)、平行平面板等に形成して用いることが一般的であるが、本実施例においては、レンズ面に(図1においては、レンズL4の像側のレンズ面に)直接、回折格子Dを形成している。具体的には、レンズL4の像側の面に、樹脂等で形成された光学素子L5を設け、このレンズL4と光学素子L5との境界面(接合面)に回折格子Dが形成されている。
このような長作動距離と高い開口数を有する顕微鏡対物レンズでは、レンズに対する小型化の要請が強く、全長に対する制約も厳しい。したがって、回折光学素子を独立した素子とせず、レンズ面に直接形成することにより小型化にも寄与させている。また、このように回折格子Dをレンズ面に直接形成することにより、色変化も含めて、最も球面収差の発生が大きい屈折面の近傍に配置することができるので、効率よく、色変化も含めた球面収差の補正に寄与させることができる。本実施例においては、最も球面収差の発生量が大きいレンズ、すなわち、物体面の中心から発する最も大きな開口数を有する光線が光軸から最も離れた位置を通過するレンズ(図1においては、第2レンズ群G2のレンズL4)のレンズ面に直接回折格子Dを形成し、回折光学面を構成している。
なお、この回折光学面は、いずれかのレンズ面に回折格子を形成した単層型として構成しても良いし、本実施例のように2個の光学素子(レンズL4と光学素子L5)に回折格子を形成してこれらを密着させた密着複層型として構成しても良いし、また、これらの回折格子の間に間隙を設けた分離複層型として構成しても良い。回折格子を複数重ねた複層型とすることにより、広い波長域で回折効率を大幅に向上させることができる。
それでは、本実施例に係る顕微鏡対物レンズを構成するための条件について、以下に説明する。この顕微鏡対物レンズは、第2レンズ群G2に含まれる色消しレンズ要素を構成する正レンズ(図1におけるレンズL4)のアッベ数をνdpとし、この色消しレンズ要素を構成する負レンズ(図1におけるレンズL3)のアッベ数をνdnとしたとき、次の条件式(1)を満足するように構成されている。また、上記正レンズのd線に対する屈折率をndpとし、負レンズのd線に対する屈折率をndnとし、この色消しレンズ要素の接合面の曲率半径をRIIとしたとき、次の条件式(2)を満足するように構成されている。さらに、この顕微鏡対物レンズの全系の焦点距離をfとし、第1レンズ群G1の焦点距離をf1としたとき、次の条件式(3)を満足するように構成されている。
νdp − νdn > 30 (1)
90 > RII/(ndn−ndp) >80 (2)
4.0 < f1/f < 7.0 (3)
90 > RII/(ndn−ndp) >80 (2)
4.0 < f1/f < 7.0 (3)
条件式(1)は、軸上の色収差および倍率の色収差の補正に関わる条件式である。この条件式(1)の範囲を外れると、色消しレンズ要素を構成する正レンズと負レンズとのアッベ数の差が小さくなり、同じ色消し効果を達成するためには、接合面の曲率半径を小さくする必要が生じ、軸上の色収差は補正できても他の諸収差に高次の曲がりが発生し、補正困難となってしまう。
条件式(2)は、上記条件式(1)で述べた色消しレンズ要素の接合面の曲率半径に関わる条件である。接合面の持つ屈折率は、その曲率半径と、正レンズの屈折率および負レンズの屈折率とで決まる。この条件式(2)の下限を下回ると、色消しレンズ要素を構成する両レンズの屈折率の差に比して接合面の曲率半径が小さくなり、球面収差、特に球面収差の色変化および高次の曲がりが発生して、補正困難となる。反対に、条件式(2)の上限を上回ると、前記両レンズの屈折率の差に比して接合面の曲率半径が大きくなり、球面収差および球面収差の色変化は大きく補正不足となり、補正困難となる。
条件式(3)は、十分な作動距離を確保しつつ、球面収差の補正を良好な範囲に保つための条件である。この条件式(3)の下限を下回ると、全系の焦点距離fに比べ、第1レンズ群G1の焦点距離f1が短くなり、作動距離の確保が困難になるとともに、球面収差に高次の曲がりが発生し補正が困難となる。反対に、条件式(3)の上限を上回ると、第1レンズ群G1の焦点距離f1が長くなり作動距離の確保は容易になるが、第2レンズ群G2での球面収差の発生を助長してしまい、バランスの良い球面収差の補正が困難となる。
また、本実施例においては、第3レンズ群G3に含まれる色消しレンズ要素の焦点距離をfrとしたとき、次の条件式(4)を満足することが好ましい。
1.5 < |fr/f| < 2.5 (4)
条件式(4)は、上述の条件式(3)を補完し、十分な作動距離を確保しつつ、色変化も含めた良好な球面収差の補正を達成するための条件である。この条件式(4)の下限を下回ると、全系の焦点距離fに比べ、第3レンズ群G3に含まれる色消しレンズ要素の焦点距離frが短くなり、作動距離は確保し易くなるが、色変化を含めた球面収差に高次の曲がりを生じ、補正が困難となる。反対に、条件式(4)の上限を上回ると、第3レンズ群G3に含まれる色消しレンズ要素の焦点距離frが長くなり、作動距離の確保が困難になると同時に、球面収差は補正不足となってしまう。
以下に、本発明に係る顕微鏡対物レンズの2つの実施例を示すが、各実施例において、第2レンズ群G2に形成された回折光学面の位相差は、通常の屈折率と後述する非球面式(5)とを用いて行う超高屈折率法により計算した。超高屈折率法とは、非球面形状と回折光学面の格子ピッチとの間の一定の等価関係を利用するものであり、本実施例においては、回折光学面を超高屈折率法のデータとして、すなわち、後述する非球面式(5)およびその係数より示している。なお、本実施例では収差特性の算出対象として、d線、g線、C線、および、F線を選んでいる。本実施例において用いられたこれらd線、C線、F線、および、g線の波長と、各スペクトル線に対して設定した超高屈折率法の計算に用いられるための屈折率の値を下の表1に示す。
(表1)
波長 屈折率(超高屈折率法による)
d線 587.562nm 10001
C線 656.273nm 11170.4255
F線 486.133nm 8274.7311
g線 435.835nm 7418.6853
波長 屈折率(超高屈折率法による)
d線 587.562nm 10001
C線 656.273nm 11170.4255
F線 486.133nm 8274.7311
g線 435.835nm 7418.6853
各実施例において、非球面は、光軸に垂直な方向の高さをyとし、高さyにおける各非球面の頂点の接平面から各非球面までの光軸に沿った距離(サグ量)をS(y)とし、基準球面の曲率半径(頂点曲率半径)をrとし、円錐係数をκとし、n次の非球面係数をCnとしたとき、以下の数式(5)で表される。またこのとき、近軸曲率半径Rは以下の数式(6)で表される。
S(y)=(y2/r)/{1+(1−κ・y2/r2)1/2}
+C2・y2+C4・y4+C6・y6+C8・y8+C10・y10+ ・・・ (5)
R=1/(1/r+2C2) ・・・ (6)
+C2・y2+C4・y4+C6・y6+C8・y8+C10・y10+ ・・・ (5)
R=1/(1/r+2C2) ・・・ (6)
なお、各実施例において、回折光学面が形成されたレンズ面には、表中の面番号の右側に*印を付しており、非球面式(5)は、この回折光学面の性能の諸元を示している。
また、各実施例における顕微鏡対物レンズは、無限遠補正型のものであり、図2に示す構成であって、表2に示す諸元を有する結像レンズとともに使用される。なお、この表2において、第1欄mは物体側からの各光学面の番号であって、図2に示した面番号1〜6に対応している。また、第2欄rは各光学面の曲率半径、第3欄dは各光学面から次の光学面までの光軸上の距離、さらに第4欄nd、第5欄nC、第6欄nF、および、第7欄ngはそれぞれd線、C線、F線およびg線に対する屈折率を示している。この諸元表の説明は以降の実施例においても同様である。
(表2)
m r d nd nC nF ng
1 75.04300 5.10000 1.6228010 1.6194930 1.6304130 1.6363910
2 -75.04300 2.00000 1.7495010 1.7432420 1.7645400 1.7769480
3 1600.58000 7.50000 1
4 50.25600 5.10000 1.6675510 1.6628450 1.6787530 1.6878890
5 -84.54100 1.80000 1.6126580 1.6085210 1.6223180 1.6300700
6 36.91100
m r d nd nC nF ng
1 75.04300 5.10000 1.6228010 1.6194930 1.6304130 1.6363910
2 -75.04300 2.00000 1.7495010 1.7432420 1.7645400 1.7769480
3 1600.58000 7.50000 1
4 50.25600 5.10000 1.6675510 1.6628450 1.6787530 1.6878890
5 -84.54100 1.80000 1.6126580 1.6085210 1.6223180 1.6300700
6 36.91100
なお、この結像レンズは、物体側から順に、両凸レンズL21と両凹レンズL22とを接合した接合レンズ、および、両凸レンズL23と両凹レンズL24とを接合した接合レンズから構成される。
(第1実施例)
上述の説明で用いた図1は、本発明に係る顕微鏡対物レンズの第1実施例を示している。この顕微鏡対物レンズは上述したとおり、物体O側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1、正の屈折力を有する第2レンズ群G2、および、負の屈折力を有する第3レンズ群G3から構成されている。第1レンズ群G1は、物体O側に凹面を向けた正メニスカスレンズL1、および、物体O側に凹面を向けた正メニスカスレンズL2から構成されている。また、第2レンズ群G2は、物体O側に凸面を向けた負メニスカスレンズL3と物体O側に凸面を向けた正メニスカスレンズL4とを接合し、この正メニスカスレンズL4の像側の面に樹脂等からなる光学部材L5を形成してこのレンズL4と光学部材L5との接合面に回折格子Dを形成した接合レンズ(色消しレンズ要素)、および、両凸レンズL6から構成される。さらに、第3レンズ群G3は、物体O側に凸面を向けた負メニスカスレンズL7と両凸レンズL8と物体O側に凹面を向けた負メニスカスレンズL9とを接合した接合レンズ、両凸レンズL10と両凹レンズL11とを接合した接合レンズ、および、両凹レンズL12と両凸レンズL13と両凹レンズL14とを接合した接合レンズ(色消しレンズ要素)から構成される。
上述の説明で用いた図1は、本発明に係る顕微鏡対物レンズの第1実施例を示している。この顕微鏡対物レンズは上述したとおり、物体O側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1、正の屈折力を有する第2レンズ群G2、および、負の屈折力を有する第3レンズ群G3から構成されている。第1レンズ群G1は、物体O側に凹面を向けた正メニスカスレンズL1、および、物体O側に凹面を向けた正メニスカスレンズL2から構成されている。また、第2レンズ群G2は、物体O側に凸面を向けた負メニスカスレンズL3と物体O側に凸面を向けた正メニスカスレンズL4とを接合し、この正メニスカスレンズL4の像側の面に樹脂等からなる光学部材L5を形成してこのレンズL4と光学部材L5との接合面に回折格子Dを形成した接合レンズ(色消しレンズ要素)、および、両凸レンズL6から構成される。さらに、第3レンズ群G3は、物体O側に凸面を向けた負メニスカスレンズL7と両凸レンズL8と物体O側に凹面を向けた負メニスカスレンズL9とを接合した接合レンズ、両凸レンズL10と両凹レンズL11とを接合した接合レンズ、および、両凹レンズL12と両凸レンズL13と両凹レンズL14とを接合した接合レンズ(色消しレンズ要素)から構成される。
このように図1に示した第1実施例に係る顕微鏡対物レンズの諸元を表3に示す。この表3において、WDは作動距離、d0は物体Oから第1面までの光軸上の距離、NAは開口数、βは倍率を示す。また、第1欄mに示す各光学面の番号(右の*は回折光学面として形成されているレンズ面を示す)は、図1に示した面番号1〜22に対応している。また、第2欄rにおいて、回折光学面の場合は、ベースとなる非球面の基準となる球面の曲率半径を示している。また、表には前記条件式(1)〜(4)に対応する値、すなわち、条件対応値も示している。以上の表の説明は他の実施例においても同様である。
また、以下の全ての諸元において掲載される曲率半径r、面間隔dその他長さの単位は、特記の無い場合、一般に「mm」が使われるが、光学系は比例拡大又は比例縮小しても同等の光学性能が得られるので、単位は「mm」に限定されることはなく、他の適当な単位を用いることもできる。
(表3)
WD=10(d0=12.6)
NA=0.65
β=-50.0
m r d nd nC nF ng
1 -15.67809 4.00000 1.8348100 1.8289700 1.8485100 1.8595300
2 -12.11077 0.20000 1
3 -110.87279 3.70000 1.7725000 1.7678000 1.7833700 1.7919700
4 -28.46421 0.20000 1
5 37.63187 2.00000 1.8466600 1.8364900 1.8721000 1.8941900
6 20.23779 6.40000 1.5908700 1.5879800 1.5974600 1.6026000
7* 800.00000 0.00000 10001.0000 11170.4255 8724.7311 7418.6853
8 800.00000 0.20000 1.5538900 1.5496800 1.5642200 1.5728400
9 799.58517 0.20000 1
10 34.27164 5.00000 1.6030010 1.6001850 1.6094030 1.6143720
11 -73.63406 0.20000 1
12 27.61428 1.50000 1.7552000 1.7473000 1.7747500 1.7915000
13 13.82560 6.40000 1.4338520 1.4324640 1.4370190 1.4394770
14 -45.11702 1.00000 1.6133970 1.6092480 1.6231050 1.6309110
15 2441.65798 0.20000 1
16 14.69621 5.00000 1.4978200 1.4959800 1.5020130 1.5052650
17 -111.40652 5.30000 1.7495050 1.7432590 1.7644730 1.7768150
18 14.23628 4.50000 1
19 -19.89999 1.30000 1.7725000 1.7678000 1.7833700 1.7919700
20 14.76991 2.80000 1.8466600 1.8364900 1.8721000 1.8941900
21 -7.40807 1.20000 1.7340000 1.7296800 1.7439400 1.7517600
22 7.34242
非球面データ
第7面 κ=1.0000 C2=-4.21199×10-8 C4=9.78612×10-12
C6=1.14878×10-13 C8=-3.42242×10-16 C10=0.000000
条件対応値
f=4.0
f1=22.124
fr=-7.92
(1)νdp−νdn=38.55
(2)RII/(ndn−ndp)=79.12
(3)f1/f=5.53
(4)|fr/f|=1.98
WD=10(d0=12.6)
NA=0.65
β=-50.0
m r d nd nC nF ng
1 -15.67809 4.00000 1.8348100 1.8289700 1.8485100 1.8595300
2 -12.11077 0.20000 1
3 -110.87279 3.70000 1.7725000 1.7678000 1.7833700 1.7919700
4 -28.46421 0.20000 1
5 37.63187 2.00000 1.8466600 1.8364900 1.8721000 1.8941900
6 20.23779 6.40000 1.5908700 1.5879800 1.5974600 1.6026000
7* 800.00000 0.00000 10001.0000 11170.4255 8724.7311 7418.6853
8 800.00000 0.20000 1.5538900 1.5496800 1.5642200 1.5728400
9 799.58517 0.20000 1
10 34.27164 5.00000 1.6030010 1.6001850 1.6094030 1.6143720
11 -73.63406 0.20000 1
12 27.61428 1.50000 1.7552000 1.7473000 1.7747500 1.7915000
13 13.82560 6.40000 1.4338520 1.4324640 1.4370190 1.4394770
14 -45.11702 1.00000 1.6133970 1.6092480 1.6231050 1.6309110
15 2441.65798 0.20000 1
16 14.69621 5.00000 1.4978200 1.4959800 1.5020130 1.5052650
17 -111.40652 5.30000 1.7495050 1.7432590 1.7644730 1.7768150
18 14.23628 4.50000 1
19 -19.89999 1.30000 1.7725000 1.7678000 1.7833700 1.7919700
20 14.76991 2.80000 1.8466600 1.8364900 1.8721000 1.8941900
21 -7.40807 1.20000 1.7340000 1.7296800 1.7439400 1.7517600
22 7.34242
非球面データ
第7面 κ=1.0000 C2=-4.21199×10-8 C4=9.78612×10-12
C6=1.14878×10-13 C8=-3.42242×10-16 C10=0.000000
条件対応値
f=4.0
f1=22.124
fr=-7.92
(1)νdp−νdn=38.55
(2)RII/(ndn−ndp)=79.12
(3)f1/f=5.53
(4)|fr/f|=1.98
このように、第1実施例では上記条件式(1)〜(4)は全て満たされていることが分かる。図3にこの第1実施例の球面収差、非点収差、倍率色収差、コマ収差(メリディオナル像面、サジタル像面)、および、歪曲収差の諸収差図を示す。各収差図において、NAは開口数を、Yは像高をそれぞれ示している。なお、球面収差図では最大口径に対する開口数の値、非点収差図と歪曲収差図では像高の最大値をそれぞれ示し、コマ収差図では各像高の値を示す。以上の収差図の説明は他の実施例においても同様である。この図3に示す各収差図から明らかなように、第1実施例では、諸収差が良好に補正され、優れた結像性能が確保されていることが分かる。
(第2実施例)
次に第2実施例として、図4に示す顕微鏡対物レンズについて説明する。この図4に示す顕微鏡対物レンズも、物体O側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1、正の屈折力を有する第2レンズ群G2、および、負の屈折力を有する第3レンズ群G3から構成されている。第1レンズ群G1は、物体O側に凹面を向けた正メニスカスレンズL31、および、物体O側に凹面を向けた正メニスカスレンズL32から構成されている。また、第2レンズ群G2は、物体O側に凸面を向けた負メニスカスレンズL33と物体O側に凸面を向けた正メニスカスレンズL34とを接合し、この正メニスカスレンズL34の像側の面に樹脂等からなる光学部材L35を形成してこれらの接合面に回折格子Dを形成した接合レンズ(色消しレンズ要素)、および、両凸レンズL36から構成される。さらに、第3レンズ群G3は、両凸レンズL37と両凹レンズL38とを接合した接合レンズ、両凸レンズL39と両凹レンズL40とを接合した接合レンズ、および、両凹レンズL41と両凸レンズL42と両凹レンズL43とを接合した接合レンズ(色消しレンズ要素)から構成される。
次に第2実施例として、図4に示す顕微鏡対物レンズについて説明する。この図4に示す顕微鏡対物レンズも、物体O側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1、正の屈折力を有する第2レンズ群G2、および、負の屈折力を有する第3レンズ群G3から構成されている。第1レンズ群G1は、物体O側に凹面を向けた正メニスカスレンズL31、および、物体O側に凹面を向けた正メニスカスレンズL32から構成されている。また、第2レンズ群G2は、物体O側に凸面を向けた負メニスカスレンズL33と物体O側に凸面を向けた正メニスカスレンズL34とを接合し、この正メニスカスレンズL34の像側の面に樹脂等からなる光学部材L35を形成してこれらの接合面に回折格子Dを形成した接合レンズ(色消しレンズ要素)、および、両凸レンズL36から構成される。さらに、第3レンズ群G3は、両凸レンズL37と両凹レンズL38とを接合した接合レンズ、両凸レンズL39と両凹レンズL40とを接合した接合レンズ、および、両凹レンズL41と両凸レンズL42と両凹レンズL43とを接合した接合レンズ(色消しレンズ要素)から構成される。
この図4に示した第2実施例に係る顕微鏡対物レンズの諸元を表4に示す。なお、表4に示す面番号は図4に示した面番号1〜21と一致している。
(表4)
WD=10(d0=12.6)
NA=0.65
β=-50.0
m r d nd nC nF ng
1 -17.29402 4.00000 1.8348100 1.8289700 1.8485100 1.8595300
2 -12.49173 0.20000 1
3 -172.48757 4.20000 1.7725000 1.7678000 1.7833700 1.7919700
4 -26.34486 0.20000 1
5 53.90100 2.00000 1.8466600 1.8364900 1.8721000 1.8941900
6 18.81096 6.90000 1.5908700 1.5879800 1.5974600 1.6026000
7* 800.00000 0.00000 10001.0000 11170.4255 8724.7311 7418.6853
8 800.00000 0.20000 1.5538900 1.5496800 1.5642200 1.5728400
9 799.58517 0.20000 1
10 39.26110 5.50000 1.6030010 1.6001850 1.6094030 1.6143720
11 -47.34473 0.20000 1
12 24.25996 5.50000 1.4338520 1.4324640 1.4370190 1.4394770
13 -52.09798 1.50000 1.7552000 1.7473000 1.7747500 1.7915000
14 156.24067 0.20000 1
15 18.94247 5.50000 1.4978200 1.4959800 1.5020130 1.5052650
16 -101.75396 4.80000 1.7495050 1.7432590 1.7644730 1.7768150
17 12.15880 4.70000 1
18 -32.06269 1.30000 1.7725000 1.7678000 1.7833700 1.7919700
19 52.87896 3.00000 1.8466600 1.8364900 1.8721000 1.8941900
20 -5.91964 1.20000 1.7335000 1.7291560 1.7435140 1.7514030
21 6.79547
非球面データ
第7面 κ=1.0000 C2=-4.42857×10-8 C4=2.67428×10-11
C6=5.31939×10-14 C8=-1.16635×10-15 C10=0.000000
条件対応値
f=4.0
f1=19.423
fr=-8.60
(1)νdp−νdn=38.55
(2)RII/(ndn−ndp)=73.54
(3)f1/f=4.85
(4)|fr/f|=2.15
WD=10(d0=12.6)
NA=0.65
β=-50.0
m r d nd nC nF ng
1 -17.29402 4.00000 1.8348100 1.8289700 1.8485100 1.8595300
2 -12.49173 0.20000 1
3 -172.48757 4.20000 1.7725000 1.7678000 1.7833700 1.7919700
4 -26.34486 0.20000 1
5 53.90100 2.00000 1.8466600 1.8364900 1.8721000 1.8941900
6 18.81096 6.90000 1.5908700 1.5879800 1.5974600 1.6026000
7* 800.00000 0.00000 10001.0000 11170.4255 8724.7311 7418.6853
8 800.00000 0.20000 1.5538900 1.5496800 1.5642200 1.5728400
9 799.58517 0.20000 1
10 39.26110 5.50000 1.6030010 1.6001850 1.6094030 1.6143720
11 -47.34473 0.20000 1
12 24.25996 5.50000 1.4338520 1.4324640 1.4370190 1.4394770
13 -52.09798 1.50000 1.7552000 1.7473000 1.7747500 1.7915000
14 156.24067 0.20000 1
15 18.94247 5.50000 1.4978200 1.4959800 1.5020130 1.5052650
16 -101.75396 4.80000 1.7495050 1.7432590 1.7644730 1.7768150
17 12.15880 4.70000 1
18 -32.06269 1.30000 1.7725000 1.7678000 1.7833700 1.7919700
19 52.87896 3.00000 1.8466600 1.8364900 1.8721000 1.8941900
20 -5.91964 1.20000 1.7335000 1.7291560 1.7435140 1.7514030
21 6.79547
非球面データ
第7面 κ=1.0000 C2=-4.42857×10-8 C4=2.67428×10-11
C6=5.31939×10-14 C8=-1.16635×10-15 C10=0.000000
条件対応値
f=4.0
f1=19.423
fr=-8.60
(1)νdp−νdn=38.55
(2)RII/(ndn−ndp)=73.54
(3)f1/f=4.85
(4)|fr/f|=2.15
このように、第2実施例でも上記条件式(1)〜(4)は全て満たされていることが分かる。図5に、この第2実施例に係る顕微鏡対物レンズの球面収差、非点収差、倍率色収差、コマ収差(メリディオナル像面、サジタル像面)、および、歪曲収差の諸収差図を示す。この各収差図から明らかなように、この第2実施例でも、収差が良好に補正され、優れた結像性能が確保されていることが分かる。
G1 第1レンズ群 G2 第2レンズ群 G3 第3レンズ群
L1 正メニスカスレンズ L3,L4 色消しレンズ要素
L12〜L14 色消しレンズ要素 D 回折格子(回折光学面)
L1 正メニスカスレンズ L3,L4 色消しレンズ要素
L12〜L14 色消しレンズ要素 D 回折格子(回折光学面)
Claims (5)
- 物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、負の屈折力を有する第3レンズ群とからなり、
前記第1レンズ群が、最も物体側に、物体側に凹面を向けた正のメニスカスレンズを有し、
前記第2レンズ群が、正レンズと負レンズとを組み合わせてなる色消しレンズ要素を有し、且つ、前記第2レンズ群を構成するレンズの少なくとも一面に回折光学面が形成され、
前記第3レンズ群が、最も像側に負レンズ、正レンズ、負レンズをこの順に並べ、全体として負の屈折力を有する色消しレンズ要素を有して構成され、
前記第2レンズ群に含まれる前記色消しレンズ要素を構成する前記正レンズのアッベ数をνdpとし、当該色消しレンズ要素を構成する前記負レンズのアッベ数をνdnとしたとき、次式
νdp − νdn > 30 (1)
を満足し、
前記第2レンズ群に含まれる前記色消しレンズ要素を構成する前記正レンズのd線に対する屈折率をndpとし、当該色消しレンズ要素を構成する前記負レンズのd線に対する屈折率をndnとし、当該色消しレンズ要素の前記正レンズと前記負レンズとの接合面の曲率半径をRIIとしたとき、次式
90 > RII/(ndn−ndp) > 70 (2)
を満足し、
全系の焦点距離をfとし、前記第1レンズ群の焦点距離をf1としたとき、次式
4.0 < f1/f < 7.0 (3)
を満足する顕微鏡対物レンズ。 - 前記第2レンズ群に含まれる前記色消しレンズ要素が、前記正レンズと前記負レンズとを接合してなる請求項1に記載の顕微鏡対物レンズ。
- 前記第3レンズ群に含まれる前記色消しレンズ要素の焦点距離をfrとしたとき、次式
1.5 < |fr/f| < 2.5 (4)
を満足する請求項1または2に記載の顕微鏡対物レンズ。 - 前記第3レンズ群に含まれる前記色消しレンズ要素が、前記負レンズ、前記正レンズ、前記負レンズの接合レンズで構成されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の顕微鏡対物レンズ。
- 前記回折光学面が、密着複層型回折光学素子で構成されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の顕微鏡対物レンズ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006305370A JP2008122592A (ja) | 2006-11-10 | 2006-11-10 | 顕微鏡対物レンズ |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006305370A JP2008122592A (ja) | 2006-11-10 | 2006-11-10 | 顕微鏡対物レンズ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008122592A true JP2008122592A (ja) | 2008-05-29 |
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ID=39507416
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JP (1) | JP2008122592A (ja) |
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JP7241853B1 (ja) | 2021-12-20 | 2023-03-17 | 京セラSoc株式会社 | 対物レンズ |
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-
2006
- 2006-11-10 JP JP2006305370A patent/JP2008122592A/ja active Pending
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