JP2008119831A - 返材ペレットの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】返材ペレットとペレット状新樹脂原料との混合を良好にすることによって、原料切れ、押出変動、フィルム切れ等のトラブルの発生を防止し、溶融再ペレットとする場合のように熱履歴によるフィルムの劣化を伴うことのない返材ペレットの製造方法を提供する。
【解決手段】フィルム製造時に発生する耳部返材24を積層処理し、ついで該積層処理した返材を断裁することを特徴とする返材ペレット27の製造方法。積層処理は、耳部返材を巻き取り回収する際に同時に行われる。
【選択図】図5

Description

本発明は、熱可塑性樹脂フィルムの製造方法に関し、特にセルロースエステルフィルムの熱溶融による製造方法に係る返材ペレットの製造方法に関する。
熱可塑性樹脂フィルムを熱溶融により押し出し成形等する際には、通常、耳と呼ばれるエッジロスが発生し、この耳部は特許文献1にあるように新たなフィルムの製造に返材として再使用されている。
再使用の方法としては、再使用が容易となるように種々の方法が提案されており、例えば、耳部をそのままスリットして原材料に混合する方法、耳部を再度溶融して押し出し機により形成し再ペレット化する方法等がある。
しかしながら、耳部をそのままスリットした返材は、通常フィルム形状を有しており嵩密度が低く、原材料を貯蔵、計量する際にブリッジを形成し、混合の不均一性を発生する大きな原因となっている。
特に、液晶表示装置に使用される偏光板保護フィルム等の複屈折によって性能がばらつくフィルムを製造する工程においては、計量誤差がそのままフィルム光学性能に直結するためその計量には、細心の注意が払われている。
一方、再溶融する方法では、熱による安定性に欠ける樹脂、例えばセルロースエステルフィルム等の製造においては、分解物の発生、蓄積を抑えられず、この方法を採用することができない。
特許文献2では、熱収縮性樹脂において、薄膜片である耳部のスリット返材に熱を与えることにより見掛比重を増大すると共に、形状を調整することによりブリッジの形成を防止する方法が提案されている。
特許文献3では、混練・押し出し機を工夫することにより、混合する原材料をペレット化することなしに細かい粉状のまま製造する方法が提案されている。
特開2003−326585号公報 特開平06−47810号公報 特開2006−159409号公報
しかしながら、これらの方法は、原材料が熱収縮性樹脂である場合、原材料の製造時に形状を調整可能なものに限って採用することができるものであり、必ずしも汎用性のある方法ではない。
本発明は上記のような問題点に鑑みてなされたものであって、返材ペレットとペレット状新樹脂原料との混合を良好にすることによって、原料切れ、押出変動、フィルム切れ、ブリッジ等のトラブルの発生を防止し、溶融再ペレットとする場合のように熱履歴によるフィルムの劣化を伴うことない返材ペレットの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の上記課題は、
1.フィルム製造時に発生する返材を積層処理し、ついで該積層処理した返材を断裁することを特徴とする返材ペレットの製造方法、
2.前記積層処理が、耳部返材を巻き取り回収する際に同時に行われることを特徴とする前記1記載の返材ペレットの製造方法、
3.前記積層処理が、有機溶媒による溶着であって、該有機溶媒に酸化防止剤または劣化防止剤から選ばれる少なくとも一種を含むことを特徴とする前記1記載の返材ペレットの製造方法、
によって達成された。
本発明によれば、熱溶融による押し出し工程を経ることなく、返材ペレットを原材料ペレットとほぼ同じ嵩密度にすることができることから、混合の不均一性による問題の発生、熱履歴によるフィルムの劣化を防止することができる。
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<返材>
本発明における返材とは、熱可塑性樹脂をTダイによりフィルムに成形したもののうち、何らかの理由で原料として再利用される部分のことを指し、後述の耳部も含まれるが、製造の繰り出し・終端に位置するフィルムの全幅部分、さらには傷やスジなどの外観上の問題で製品として不適合なフィルムなども含まれる。
本発明における耳部とは、熱可塑性樹脂をTダイによりフィルムに成形し、さらに引き取りロールで延伸搬送したときのテンタークリップ等で挟み込んだ等したときに発生するフィルム端部の変形部分を言い、耳部返材とは、その耳部をトリミングして回収した部分を言う。通常、この耳部分は、フィルムを巻き取りながら、同時にスリットされてロールに巻き取られていく。
<積層処理>
本発明における積層処理とは、断裁した耳部返材が断裁後も個々に離れず一体化しているように処理することを言い、加熱による融着処理、有機溶媒による溶着処理およびカッターとの摩擦発熱による溶着処理等が挙げられる。
加熱による融着処理を行う場合は、耳部返材の表面または一部分をガラス転移温度以上、流動開始温度以下に加熱することにより圧着する。例えば、オフラインでロール状の耳部を複数同時に圧着する方法、インラインでロールに巻き取り回収しながら積層していく方法が挙げられる。
本発明では、このロールに巻き取られて回収される耳部を、回収と同時に積層処理をすることで、返材ペレットの嵩密度を上昇させることが好ましい。
この場合、加熱ニップロールの間隙に耳部返材を通過させる方法が簡便である。加熱温度、通過速度、ニップ圧は樹脂の種類、フィルム厚に応じて適宜選択することができる。
なお、ガラス転移温度の測定は、JIS K 7121(1987) プラスチックの転移温度測定方法:Testing method for Transition of Plastics;ADP ISO 3146(1985)、流動開始温度の測定は、JIS K 7199:1999 プラスチック − キャピラリーレオメータ及びスリットダイレオメータによるプラスチックの流れ特性試験方法に準じた。
有機溶媒による溶着を行う場合は、溶着させたい耳部返材の面に樹脂を溶解または膨潤する有機溶媒を塗布し、貼り合わせることが好ましい。有機溶媒としては、メチレンクロライド、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン、メタノール、エタノール、メチルエチルケトン、トルエン等が挙げられる。有機溶媒の塗布方法としては、ディップコート法、エアナイフ法、スプレーコート法等から適宜選択される。有機溶媒の量としては、耳部返材が溶着すればよい量であるが、一般的には、耳部返材に対して0.01〜3質量%である。
本発明の積層処理は、耳部返材を巻き取り回収する際に同時に行われる。
<所定の大きさへの断裁処理>
返材をペレットに断裁する方法としては、短冊状にしてから直交方向に断裁し格子状とするいわゆるシュレッダー処理が簡便であるが、格子状で無くとも良く、曲線状、ハニカム形状であってもよい。またいわゆる粉砕機も使用可能であり、不定形のペレットでもよい。
本発明の耳部返材から再生ペレットを製造する方法の代表的なものを説明する。この方法は、耳部返材をロール状に巻き取りながら螺旋状に切り開いて断裁するものであり、積層処理と断裁を連続的に行うことができる。
図3において、耳部返材は螺旋状に巻き取られる。積層処理は、耳部返材が螺旋状に巻き取ると同時に行われる。図3では、加熱ニップローラによって挟み込まれた耳部返材が加熱溶融されその後、螺旋状に巻き込まれることにより、先に巻き込まれた耳部返材に融着する。
有機溶媒による溶着の場合は、加熱ニップローラの代わりに有機溶媒の塗布液供給および塗布ローラが設けられる。
螺旋状耳部返材は、嵩密度を所定の値とするまで積層される。その積層のため、螺旋状耳部返材は、巻き取り位置を軸方向に一定の速度で移動させながら巻き取ることが好ましい。この場合、巻き取り位置は固定し、螺旋状耳部返材自体が軸方向に移動することとなる。他の方法として、螺旋状耳部返材の軸とは斜めの角度に軸をもつ搬送ローラによって移動させてもよい。
このようにして製造した積層処理した螺旋状耳部返材は、図4に示すように、巻きはじめ端において、螺旋状に断裁される(この断裁で製造される長尺物をヌードルを呼ぶ)。図4では、螺旋状耳部返材が連続的に製造されると同時に、ヌードルも連続的に製造され、このヌードルは、さらにペレットに断裁される。
このような連続的な工程では、予期せぬ工程の停止に対処するため、バッファ機能、例えばアキュームレーター等を装備しておくことが好ましい。
他の方法として、オフラインで巻き取り回収した耳部返材だけを複数熱融着して積層処理することも可能である。
<嵩密度>
本発明において、ヌードルが断裁されたペレットの嵩密度は、樹脂フィルムの原材料であるペレットの嵩密度に近いことが好ましい。一般的には、0.5〜1.1g/mlである。嵩密度をこの範囲にする調整法としては、本発明の積層処理が最も効果が大きいが、他に考慮する要因としてペレット形状の3方向の長さが0.5〜5mmの直方体または、それに類似する形状であることが好ましい。この長さに合わせて積層処理の積層数が定められる。
さらに嵩密度を所望の値に微調整する調整法としては、積層数と断裁サイズの比を調整する方法が挙げられる。断裁サイズの調整は、シュレッダー処理の場合スリット幅・カッターピッチの調整で可能であり、粉砕機の場合はメッシュ径の調整で可能である。
本発明におけるフィルムは、一般に20〜200μmの膜厚で製造される。したがって、積層数としては、5〜200であることが好ましい。
本発明の製造方法で得られた返材ペレットは、使用前にメッシュ等の篩いをかけて一定の大きさに選別しておくことが好ましい。
本発明の返材ペレットの嵩密度は、原材料ペレットの嵩密度の80〜120%であり、好ましくは、90〜110%である。
なお、嵩密度は、JIS−K−3362の見かけ密度測定器を用いた方法に準じ、ペレットを容積Vmlのポリエチレン製のカップ(W1g)に受け、山盛りになったところで直線状のヘラですり落とした後、混合物の入ったカップの質量(W2g)を0.001g単位まで読み取り、次の式により嵩密度を算出した。
嵩密度(g/ml)=(W2−W1)/V
<ペレットの使用形態>
本発明の製造方法で得られた返材ペレットは、原材料ペレットと混合して使用される。混合される割合としては1〜60質量%であり、好ましくは5〜40質量%である。
また、混合時には、酸化防止剤、熱劣化防止剤をさらに添加することが好ましい。有機溶媒による積層処理を行う場合は、この有機溶媒に酸化防止剤、熱劣化防止剤を添加してもよい。
なお、本発明で使用されるペレットは、フィルム構成材料を予め2軸押出機等を用いて通常の方法で作製することができる。
<酸化防止剤、熱劣化防止剤>
酸化防止剤、熱劣化防止剤としては、通常知られているものを使用することができる。特に、ラクトン系、イオウ系、フェノール系、二重結合系、ヒンダードアミン系、リン系化合物のものを好ましく用いることができる。
ラクトン系化合物としては、例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社から、HP−136という商品名で市販されているものが好ましい。
上記フェノール系化合物としては、2,6−ジアルキルフェノールの構造を有するものが好ましく、例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社、”Irganox1076”、”Irganox1010”という商品名で市販されているものが好ましい。
上記リン系化合物は、例えば、住友化学工業株式会社から、”SumilizerGP”、旭電化工業株式会社からADK STAB PEP−24G”、”ADK STAB PEP−36”及び”ADK STAB 3010”、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社から”IRGAFOS P−EPQ”、エーピーアイコーポレーション株式会社から“GSY−P101”という商品名で市販されているものが好ましい。
上記ヒンダードアミン系化合物は、例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社から、”Tinuvin144”及び”Tinuvin770”、旭電化工業株式会社から”ADK STAB LA−52”という商品名で市販されているものが好ましい。
上記イオウ系化合物は、例えば、住友化学工業株式会社から、”Sumilizer TPL−R”及び”Sumilizer TP−D”という商品名で市販されているものが好ましい。
上記二重結合系化合物は、住友化学工業株式会社から、”Sumilizer GM”及び”Sumilizer GS”という商品名で市販されているものが好ましい。
これらの酸化防止剤等は、再生使用される際の工程に合わせて適宜添加する量が決められるが、一般には、フィルムの主原料である樹脂に対して、0.05〜20質量%の範囲で添加される。
本発明において有機溶媒による溶着法を採用する場合、有機溶媒に酸化防止剤または劣化防止剤から選択される少なくとも一種を有機溶媒に含ませることが好ましい。この場合、熱溶融の工程で混練りすることなく、返材ペレットのひとつひとつに酸化防止剤等を含有させることができるため、混練りの時間が少なくてすみ結果、熱によるペレットの分解を抑制することができる。
<本発明のフィルムを構成するための樹脂>
本発明に係るフィルムは、樹脂を熱溶融することによって製造される。具体的には、樹脂としては、ポリエステル、ポリオレフィン、セルロースエステル等通常熱溶融によってフィルムを製造することができる樹脂が全て採用することができるが、特に、熱履歴の影響を受けやすいセルロースエステルに適用することで本発明の効果が大きく発揮される。
<<セルロースエステル>>
本発明のフィルムを形成するセルロースエステルとしては、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース(DAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、硝酸セルロース等のセルロースエステル類が挙げられる。
本発明に用いられるセルロースエステルの原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ、ケナフなどを挙げることができる。また、これらから得られたセルロースエステルは、それぞれを単独あるいは任意の割合で混合使用することができるが、綿花リンターを50質量%以上使用することが好ましい。
セルロースエステルフィルムの分子量が大きいと弾性率が大きくなるが、分子量を上げすぎるとセルロースエステルの溶解液の粘度が高くなりすぎるため生産性が低下する。セルロースエステルの分子量は数平均分子量(Mn)で30000〜200000のものが好ましく、50000〜200000のものが更に好ましい。
本発明で用いられるセルロースエステルはMw/Mn比が1〜5であることが好ましく、更に好ましくは1〜3であり、特に好ましくは1.4〜2.3である。
セルロースエステルの平均分子量及び分子量分布は、高速液体クロマトグラフィーを用い測定できるので、これを用いて数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)を算出し、その比を計算することができる。
測定条件は以下の通りである。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1,000,000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。
特に好ましいセルロースエステルは、炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有し、アセチル基の置換度をXacとし、プロピオニル基またはブチリル基の置換度をYpbとした時、下記式(I)及び(II)を同時に満たすセルロースエステルである。
式(I) 2.2≦(Xac+Ypb)≦2.95
式(II) 0<Xac≦2.95
これらアシル基の置換度は、ASTM−D817−96に規定の方法に準じて測定することができる。アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在している。これらのセルロースエステルは公知の方法で合成することができる。
<その他の添加剤>
本発明のセルロースエステルフィルムには、前記化合物以外に、通常のセルロースエステルフィルムに添加することのできる添加剤を含有させることができる。
これらの添加剤としては、可塑剤、紫外線吸収剤、微粒子等を挙げることができる。
本発明に使用することができる可塑剤としては特に限定されないが、好ましくは、多価カルボン酸エステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤及び多価アルコールエステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、アクリル系可塑剤等から選択される。そのうち、可塑剤を2種以上用いる場合は、少なくとも1種は多価アルコールエステル系可塑剤であることが好ましい。
多価アルコールエステル系可塑剤は2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなる可塑剤であり、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有することが好ましい。好ましくは2〜20価の脂肪族多価アルコールエステルである。
本発明に使用することができる紫外線吸収剤は、400nm以下の紫外線を吸収することで、耐久性を向上させることを目的としており、特に波長370nmでの透過率が10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、更に好ましくは2%以下である。
本発明に用いられる紫外線吸収剤は特に限定されないが、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体等が挙げられる。高分子型の紫外線吸収剤としてもよい。
本発明に使用される微粒子としては、無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子は珪素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。
微粒子の一次粒子の平均粒径は5〜50nmが好ましく、更に好ましいのは7〜20nmである。これらは主に粒径0.05〜0.3μmの2次凝集体として含有されることが好ましい。
セルロースエステルフィルム中のこれらの微粒子の含有量は0.05〜1質量%であることが好ましく、特に0.1〜0.5質量%が好ましい。共流延法による多層構成のセルロースエステルフィルムの場合は、表面にこの添加量の微粒子を含有することが好ましい。
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
ポリマーの例として、シリコーン樹脂、フッ素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることができる。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上東芝シリコーン(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でもアエロジル200V、アエロジルR972Vがセルロースエステルフィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数を下げる効果が大きいため特に好ましく用いられる。
本発明に係るセルロースエステルフィルムとしては、ヘイズ値が1.0%を超えると光学用材料として影響を与えるため、好ましいヘイズ値は1.0%未満、より好ましくは0.5%未満である。ヘイズ値はJIS−K7136に基づいて測定することができる。
<フィルムの製造方法>
<<フィルム構成材料の乾燥>>
フィルムを構成する樹脂、紫外線吸収剤、酸化防止剤等のフィルム構成材料は、溶融及び製膜工程において、揮発成分が少ないまたは発生しないことが求められる。これは加熱溶融時に発泡して、フィルム内部の欠陥やフィルム表面の平面性劣化を削減または回避するためである。
フィルム構成材料が溶融されるときの揮発成分の含有量は、1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.2質量%以下、さらにより好ましくは0.1質量%以下であることが望まれる。本発明においては、示差熱重量測定装置(セイコー電子工業社製TG/DTA200)を用いて、30℃から250℃までの加熱減量を求め、その量を揮発成分の含有量としている。
フィルム構成材料は、前記水分や前記溶媒等に代表される揮発成分を、製膜する前に、または加熱時に除去することが好ましい。除去する方法は、公知の乾燥方法が適用でき、加熱法、減圧法、加熱減圧法等の方法で行うことができ、空気中または不活性ガスとして窒素を選択した雰囲気下で行ってもよい。
これらの公知の乾燥方法を行うときは、フィルム構成材料が分解しない温度領域で行うことがフィルムの品質上好ましい。
製膜前に乾燥することにより、揮発成分の発生を削減することができ、樹脂単独、または樹脂とフィルム構成材料の内、樹脂以外の少なくとも1種以上の混合物または相溶物に分割して乾燥することもできる。乾燥温度は70℃以上が好ましい。乾燥する材料にガラス転移温度を有する物が存在するときには、そのガラス転移温度よりも高い乾燥温度に加熱すると、材料が融着して取り扱いが困難になることがあるので、乾燥温度は、ガラス転移温度以下であることが好ましい。
複数の物質がガラス転移温度を有する場合は、ガラス転移温度が低い方のガラス転移温度を基準とする。より好ましくは70℃以上、(ガラス転移温度−5)℃以下、さらに好ましくは110℃以上、(ガラス転移温度−20)℃以下である。乾燥時間は、好ましくは0.5〜24時間、より好ましくは1〜18時間、さらに好ましくは1.5〜12時間である。
乾燥温度が低くなりすぎると揮発成分の除去率が低くなり、また乾燥するのに時間に係り過ぎることになる。また、乾燥工程は2段階以上にわけてもよく、例えば、乾燥工程が、材料の保管のための予備乾燥工程と、製膜する直前〜1週間前の間に行う直前乾燥工程を含むものであってもよい。
<<溶融流延>>
本発明に係るセルロースエステルフィルムは溶融流延によって形成される。加熱溶融する溶融流延による成形法は、さらに詳細には、溶融押出成形法、プレス成形法、インフレーション法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法等に分類できる。これらの中で、機械的強度及び表面精度等に優れるフィルムを得るためには、溶融押し出し法が優れている。
以下、溶融押し出し法を例にとり、本発明のフィルムの製造方法について説明する。
図1は、本発明に係るセルロースエステルフィルムの製造方法を実施する装置の全体構成を示す概略フローシートであり、図2は、流延ダイから冷却ロール部分の拡大図である。
図1と図2において、セルロースエステルフィルムの製造方法は、セルロース樹脂等のフィルム材料を混合した後、押出し機1を用いて、流延ダイ4から第1冷却ロール5上に溶融押し出し、第1冷却ロール5に外接させるとともに、さらに、第2冷却ロール7、第3冷却ロール8の合計3本の冷却ロールに順に外接させて、冷却固化してフィルム10とする。ついで、剥離ロール9によって剥離したフィルム10を、ついで延伸装置12によりフィルムの両端部を把持して幅方向に延伸した後、巻き取り装置16により巻き取る。
また、平面性を矯正するために溶融フィルムを第1冷却ロール5表面に挟圧するタッチロール6が設けられている。このタッチロール6は表面が弾性を有し、第1冷却ロール5との間でニップを形成している。
セルロースエステルフィルムの製造方法において、溶融押し出しの条件は、他のポリエステル等の熱可塑性樹脂に用いられる条件と同様にして行うことができる。材料は予め乾燥させておくことが好ましい。真空または減圧乾燥機や除湿熱風乾燥機等で水分を1000ppm以下、好ましくは200ppm以下に乾燥させることが望ましい。
例えば、熱風や真空または減圧下で乾燥したセルロースエステル系樹脂を押出し機1を用いて、押し出し温度200〜300℃程度で溶融し、リーフディスクタイプのフィルター2等で濾過し、異物を除去する。
供給ホッパー(図示略)から押出し機1へ導入する際は、真空下または減圧下や不活性ガス雰囲気下にして、酸化分解等を防止することが好ましい。
可塑剤等の添加剤を予め混合しない場合は、押出し機の途中で練り込んでもよい。均一に添加するために、スタチックミキサー3等の混合装置を用いることが好ましい。
本発明において、セルロース樹脂と、その他必要により添加される安定化剤等の添加剤は、溶融する前に混合しておくことが好ましい。セルロース樹脂と安定化剤を最初に混合することがさらに好ましい。混合は、混合機等により行ってもよく、また、前記したようにセルロース樹脂調製過程において混合してもよい。混合機を使用する場合は、V型混合機、円錐スクリュー型混合機、水平円筒型混合機等、ヘンシェルミキサー、リボンミキサー一般的な混合機を用いることができる。
上記のようにフィルム構成材料を混合した後に、その混合物を押出し機1を用いて直接溶融して製膜するようにしてもよいが、一旦、フィルム構成材料をペレット化した後、該ペレットを押出し機1で溶融して製膜するようにしてもよい。
押出し機1は、市場で入手可能な種々の押出し機を使用可能であるが、溶融混練押出し機が好ましく、単軸押出し機でも2軸押出し機でもよい。
押出し機1内及び押出した後の冷却工程は、窒素ガス等の不活性ガスで置換するか、あるいは減圧することにより、酸素の濃度を下げることが好ましい。
押出し機1内のフィルム構成材料の溶融温度は、フィルム構成材料の粘度や吐出量、製造するシートの厚み等によって好ましい条件が異なるが、一般的には、フィルムのガラス転移温度Tgに対して、Tg以上、Tg+100℃以下、好ましくはTg+10℃以上、Tg+90℃以下である。押出し時の溶融粘度は、10〜100000ポイズ、好ましくは100〜10000ポイズである。
また、押出し機1内でのフィルム構成材料の滞留時間は短い方が好ましく、5分以内、好ましくは3分以内、より好ましくは2分以内である。滞留時間は、押出し機1の種類、押出す条件にも左右されるが、材料の供給量やL/D、スクリュー回転数、スクリューの溝の深さ等を調整することにより短縮することが可能である。
押出し機1のスクリューの形状や回転数等は、フィルム構成材料の粘度や吐出量等により適宜選択される。本発明において押出し機1でのせん断速度は、1/秒〜10000/秒、好ましくは5/秒〜1000/秒、より好ましくは10/秒〜100/秒である。
本発明に使用できる押出し機1としては、一般的にプラスチック成形機として入手可能である。
押出し機1から押し出されたフィルム構成材料は、流延ダイ4に送られ、流延ダイ4のスリットからフィルム状に押し出される。流延ダイ4はシートやフィルムを製造するために用いられるものであれば特に限定はされない。
流延ダイ4の材質としては、ハードクロム、炭化クロム、窒化クロム、炭化チタン、炭窒化チタン、窒化チタン、超鋼、セラミック(タングステンカーバイド、酸化アルミ、酸化クロム)等を溶射もしくはメッキし、表面加工としてバフ、#1000番手以降の砥石を用いるラッピング、#1000番手以上のダイヤモンド砥石を用いる平面切削(切削方向は樹脂の流れ方向に垂直な方向)、電解研磨、電解複合研磨等の加工を施したもの等が挙げられる。
流延ダイ4のリップ部の好ましい材質は、流延ダイ4と同様である。またリップ部の表面精度は0.5S以下が好ましく、0.2S以下がより好ましい。
この流延ダイ4のスリットは、そのギャップがヒートボルトにより調整可能なように構成されている。
ダイ後流の所要箇所に厚さ計を設け、これによって検出されたウェブ厚さ情報を制御装置にフィードバックし、この厚さ情報を制御装置で設定厚み情報と比較し、同装置から来る補正制御量の信号によってヒートボルトの発熱体の電力またはオン率を制御するようにする。
ヒートボルトは、好ましくは、長さ20〜40cm、直径7〜14mmを有し、複数、例えば数十本のヒートボルトが、好ましくはピッチ20〜40mmで配列されている。ヒートボルトの代わりに、手動で軸方向に前後動かさせることによりスリットギャップを調節するボルトを主体とするギャップ調節部材を設けてもよい。
ギャップ調節部材によって調節されたスリットギャップは、通常200〜1000μm、好ましくは300〜800μm、より好ましくは400〜600μmである。
第1〜第3冷却ロールは、肉厚が20〜30mm程度のシームレスな鋼管製で、表面が鏡面に仕上げられている。その内部には、冷却液を流す配管が配置されており、配管を流れる冷却液によってロール上のフィルムから熱を吸収できるように構成されている。
本発明において、第1ロール5、第2ロール6に好ましい材質は、炭素鋼、ステンレス鋼、樹脂、等が挙げられる。また、表面精度は高くすることが好ましく表面粗さとして0.3S以下、より好ましくは0.01S以下とする。
本発明においては、流延ダイ4の開口部(リップ)から第1ロール5までの部分を70kPa以下に減圧させることにより、上記、ダイラインの矯正効果がより大きく発現することを発見した。好ましくは、減圧は50〜70kPaである。
流延ダイ4の開口部(リップ)から第1ロール5までの部分の圧力を70kPa以下に保つ方法としては、特に制限はないが、流延ダイ4からロール周辺を耐圧部材で覆い、減圧する等の方法がある。このとき、吸引装置は、装置自体が昇華物の付着場所にならないようヒーターで加熱する等の処置を施すことが好ましい。
本発明では、吸引圧が小さすぎると昇華物を効果的に吸引できないため、適当な吸引圧とする必要がある。
本発明において、Tダイ4から溶融状態のフィルム状のセルロースエステル系樹脂を、第1ロール(第1冷却ロール)5、第2冷却ロール7、及び第3冷却ロール8に順次密着させて搬送しながら冷却固化させ、未延伸のセルロースエステル系樹脂フィルム10を得る。
図1に示す本発明の実施形態では、第3冷却ロール8から剥離ロール9によって剥離した冷却固化された未延伸のフィルム10は、ダンサーロール(フィルム張力調整ロール)11を経て延伸機12に導き、そこでフィルム10を横方向(幅方向)に延伸する。この延伸により、フィルム中の分子が配向される。
セルロースエステルフィルムの膜厚変動は、±3%、さらに±1%の範囲とすることが好ましい。以上のような目的において、互いに直交する2軸方向に延伸する方法は有効であり、互いに直交する2軸方向の延伸倍率は、それぞれ最終的には流延方向に1.0〜2.0倍、幅方向に1.01〜2.5倍の範囲とすることが好ましく、流延方向に1.01〜1.5倍、幅方向に1.05〜2.0倍に範囲で行うことが必要とされるリタデーション値を得るためにより好ましい。
延伸後、フィルムの端部をスリッター13により製品となる幅にスリットして耳部17を裁ち落とした返材とした後、エンボスリング14及びバックロール15よりなるナール加工装置によりナール加工(エンボッシング加工)をフィルム両端部に施し、巻き取り機16によって巻き取ることにより、セルロースエステルフィルム(元巻き)F中の貼り付きや、すり傷の発生を防止する。ナール加工の方法は、凸凹のパターンを側面に有する金属リングを加熱や加圧により加工することができる。
このスリッター13により得られた耳部返材17は、前述の所定の大きさへの断裁処理工程に移されることとなる。
次に、フィルムの巻き取り工程は、円筒形巻きフィルムの外周面と直前の移動式搬送ロールの外周面との間の最短距離を一定に保持しながらフィルムを巻き取りロールに巻き取るものである。かつ巻き取りロールの手前には、フィルムの表面電位を除去または低減する除電ブロア等の手段が設けられている。
本発明に係る製造方法で製造したフィルムの製造に係わる巻き取り機は、一般的に使用されているものでよく、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等の巻き取り方法で巻き取ることができる。なお、フィルムの巻き取り時の初期巻き取り張力が90.2〜300.8N/mであるのが好ましい。
本発明の方法におけるフィルムの巻き取り工程では、温度20〜30℃、湿度20〜60%RHの環境条件にて、フィルムを巻き取ることが好ましい。このように、フィルムの巻き取り工程での温度及び湿度を規定することにより、厚み方向リタデーション(Rt)の湿度変化の耐性が向上する。
巻き取り工程における温度が20℃未満であれば、シワが発生し、フィルム巻品質劣化のため実用に耐えないので、好ましくない。フィルムの巻き取り工程における温度が30℃を超えると、やはりシワが発生し、フィルム巻品質劣化のため実用に耐えないので、好ましくない。
また、フィルムの巻き取り工程における湿度が20%RH未満であれば、帯電しやすく、フィルム巻品質劣化のため実用に耐えないので、好ましくない。フィルムの巻き取り工程における湿度が60%RHを超えると、巻品質、貼り付き故障、搬送性が劣化するので、好ましくない。
フィルムをロール状に巻き取る際の、巻きコアとしては、円筒上のコアであれは、どのような材質のものであってもよいが、好ましくは中空プラスチックコアであり、プラスチック材料としては加熱処理温度にも耐える耐熱性プラスチックであればどのようなものであってもよく、フェノール樹脂、キシレン樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。またガラス繊維等の充填材により強化した熱硬化性樹脂が好ましい。
例えば、中空プラスチックコア:FRP製の外径6インチ(以下、インチは2.54cmを表す。)、内径5インチの巻きコアが用いられる。
これらの巻きコアへの巻き数は、100巻き以上であることが好ましく、500巻き以上であることがさらに好ましく、巻き厚は5cm以上であることが好ましく、フィルム基材の幅は80cm以上であることが好ましく、1m以上であることが特に好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
下記組成のフィルム構成材料を用いて、溶融流延によりセルロースエステルフィルムを作製した。
セルロースエステル(アセチル基置換度1.38、プロピオニル基置換度1.30、重量平均分子量20万) 100質量部
トリメチロールプロパントリベンゾエート 10質量部
IRGANOX−1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 0.5質量部
3−(3,4−ジメチルフェニル)−5,7−ジ−tert−Bu−3H−ベンゾフラン−2−オン及び3−(2,3−ジメチルフェニル)−5,7−ジ−tert−Bu−3H−ベンゾフラン−2−オン(異性体の約5.7:1混合物) 0.3質量部
Tinuvin928(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 1.8質量部
シリカ粒子200V(日本アエロジル社製) 5質量部
セルロースエステルを70℃、3時間減圧下で乾燥を行い室温まで冷却した後、添加剤を混合した。
以上の混合物を、2軸式押し出し機を用いて230℃で溶融混合しシリカ粒子入りマスターバッチペレットを作製した。なお、このペレットの嵩密度は、0.8g/ml、ガラス転移温度Tgは136℃であった。
さらに、シリカ粒子を添加しない以外は全く同様にして、2軸式押し出し機を用いて230℃で溶融混合しマット剤無添加ペレットを作製した。なお、このペレットの嵩密度は、0.8g/ml、ガラス転移温度Tgは136℃であった。
マット剤無添加ペレットとシリカ粒子入りマスターバッチペレットを9:1に混合したものを用いて窒素雰囲気下、250℃にて溶融して流延ダイ4から第1冷却ロール5上に押し出し、第1冷却ロール5とタッチロール6との間にフィルムを挟圧して成形した。
流延ダイ4のギャップの幅がフィルムの幅方向端部から30mm以内では0.5mm、その他の場所では1mmとなるようにヒートボルトを調整した。
流延ダイ4から押し出された樹脂が第1冷却ロール5に接触する位置P1から第1冷却ロール5とタッチロール6とのニップの第1冷却ロール5回転方向上流端の位置P2までの、第1冷却ローラ5の周面に沿った長さLを20mmに設定した。
その後、タッチロール6を第1冷却ロール5から離間させ、第1冷却ロール5とタッチロール6とのニップに挟圧される直前の溶融部の温度Tを141℃とし、タッチロール6の第1冷却ロール5に対する線圧は14.7N/cmとした。
さらに、テンターに導入し、巾方向に160℃で1.3倍延伸した後、巾方向に3%緩和しながら30℃まで冷却し、その後クリップから開放し、クリップ把持部であるフィルムの両端を50mm裁ち落とし耳部返材として巻き取った。巻きは、試験のために20巻に割けた。フィルムの膜厚は80μm、耳部の全幅の平均膜厚は、81μmであった。
この耳部返材20巻を図5の加熱ニップロールを通し20層を積層処理した。加熱ニップロール温度は160℃とした。この積層処理した耳部返材を、粉砕機によりペレットに断裁した(試料ペレットA)。嵩密度は、0.8g/mlとなるように、粉砕機を調整した。
また、図3および図4に記載の耳部返材巻き取り装置および粉砕機を巻き取り装置18の代わりに設置し、20層の積層処理されたところでヌードル作製のためにスリットしその後ペレットに断裁した(試料ペレットB)。加熱ニップロール温度は160℃とした。嵩密度は、0.8g/mlとなるように調整した。
比較として、積層処理しない耳部返材をそのまま断裁したチップを作製した(試料チップC)。嵩密度は、0.4g/mlであった。
なお、断裁には、富士テック株式会社製三軸式破砕機を使用した。
<混合不均一性の評価>
本発明の試料の混合不均一性は、試料のブリッジの発生頻度によって評価した。試料ペレットA、Bおよび試料チップCをそれぞれマット剤無添加ペレットと2:8になるように混合し、その混合物を図6に示すような、入り口サイズ300mmφ、出口サイズ20mmφ、高さ500mmの円錐台ホッパーに、出口をスライド式のフタで閉じた後自然に詰め、バイブレーターで30秒振動を与えた後さらに入り口まで満たし、出口のフタを一気に開けた際に、ブリッジが発生し、自然落下が停止する回数を数えた。落下実験は、23℃55%RHの状態で24時間調湿後、その調湿条件と同じ条件の部屋において各試料について100回行った。結果を表1に示す。
なお、本発明で実施例に使用したフィルム構成材料は、窒素気流下室温→250℃(昇温速度10℃/min、250℃にて10分間ホールド)→室温(放置放冷)を1サイクルとする昇温冷却実験において、3サイクルを経過したところで着色が著しくなり、耳部返材をペレット化する際に、通常の熱可塑性樹脂に採用される押し出し溶融ペレット化の工程を使用できないものであることが確認された。
Figure 2008119831
表1から明らかなように、本発明による積層処理は、返材のペレット化に対して有効な手段であることがわかる。
実施例2
実施例1試料ペレットAの製造方法において、加熱ニップロールの前に、図7に示すように5質量%の”Sumilizer GM”を含ませたメチルアルコール塗布装置を設け、1μmの塗布膜厚で塗布したのち、ニップロールによって溶着し、乾燥させ、そののち断裁して試料ペレットDとした。また、”Sumilizer GM”を含ませない試料ペレットEも同時に作製した。いずれも嵩密度は0.8g/mlであった。
この試料ペレットD、Eおよび試料チップCをそれぞれマット剤無添加ペレットと2:8になるように混合し実施例1と同様にして製膜したのち、得られたフィルムの着色(イエローインデックス=黄色度)を対比した。
なお、試料ペレットEおよび試料チップCには、試料ペレットDと単位質量当たりの量が同じ量となるように”Sumilizer GM”を混合した。結果を表2に示す。
(イエローインデックスの測定方法:YI)
イエローインデックス(黄色度)は、JIS規格K7105−6.3に記載の方法で求められる。本発明におけるイエローインデックスは、日立製作所製分光光度計U−3200と付属の彩度計算プログラム等を用いて、色の三刺激値X、Y、Zを求め、以下の式に従ってイエローインデックスを求めることが出来る。
イエローインデックス=100(1.28X−1.06Z)/Y
Figure 2008119831
表2から明らかなように、溶着による積層処理の効果およびその際に酸化防止剤を添加することの効果が認められる。
この溶着による積層処理方法は、耳部返材を回収する際に同時にすることも可能である。
本発明に係るセルロースエステルフィルムの製造方法を実施する装置の1つの実施形態を示す概略フローシートである。 図1の製造装置の製膜部分拡大フローシートである。 本発明に係る積層処理装置の実施態様1である。 本発明の係る積層処理した返材を断裁する装置である。 本発明に係る積層処理装置の実施態様2である。 本発明のブリッジ実験用ホッパーである。 本発明の有機溶媒塗布による積層処理装置に実施態様である。
符号の説明
1 押出し機
2 フィルター
3 スタチックミキサー
4 流延ダイ
5 回転支持体(第1冷却ロール)
6 挟圧回転体(タッチロール)
7 回転支持体(第2冷却ロール)
8 回転支持体(第3冷却ロール)
9、11、13、14、15 搬送ロール
10 セルロースアシレートフィルム
16 フィルム巻き取り装置
17 耳部
18 耳部返材巻き取り装置
19、25 加熱ニップロール
20 スリット用カッター
21 ヌードル
22 ペレット用カッターまたは粉砕機
23、27 ペレット
24 耳部返材巻
26 ペレット用粉砕機
28 溶媒塗布装置
29 乾燥機

Claims (3)

  1. フィルム製造時に発生する返材を積層処理し、ついで該積層処理した返材を断裁することを特徴とする返材ペレットの製造方法。
  2. 前記積層処理が、耳部返材を巻き取り回収する際に同時に行われることを特徴とする請求項1記載の返材ペレットの製造方法。
  3. 前記積層処理が、有機溶媒による溶着であって、該有機溶媒に酸化防止剤または劣化防止剤から選ばれる少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1記載の返材ペレットの製造方法。
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