JP2008116376A5 - - Google Patents
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Description
本発明は、被検査物にX線を照射して得られるX線透過情報を用いて、食品や各種製品の内部に異物等が混入していないか否か等を非破壊のもとに検査するX線検査装置に関する。
被検査物の内部を非破壊のもとに検査する装置として、被検査物をコンベア等の搬送装置で搬送しつつ、その搬送路上にX線源とX線ラインセンサを対向配置し、被検査物がこれらの間を通過する際に得られるX線透過データを用いて、被検査物のX線透過像を構築し、その透視画像を用いた画像処理により、被検査物内の異物の混入の有無などを検査する装置が知られている。
図8に従来のこの種のX線検査装置の構成例を示す。同図(A)は被検査物の搬送方向側方から見た機械的構成を表す模式図と要部システム構成を表すブロック図とを併記して示す図で、同図(B)はその右側面から見た模式図である。
この例においては、X線源1とX線ラインセンサ2とが対向配置され、これらの間を被検査物Wを搬送する搬送装置3が設けられている。X線源1はスリット等を介することによりファンビーム状のX線を出力し、X線ラインセンサ2はそのファンビーム状のX線の広がり方向に複数の素子が並ぶように配置されている。被検査物Wは搬送装置3によってファンビーム状のX線に対して垂直な方向に一定の速度で搬送される。
従って、被検査物WがX線源1とX線ラインセンサ2の間を通過する際に、X線ラインセンサ2に被検査物Wを透過したX線が入射し、その画素出力によって、X線ラインセンサ2の素子の配列方向と被検査物Wの搬送方向とを直交する二辺とする被検査物Wの2次元のX線透過像が得られることになる。
X線ラインセンサ2の出力は画像処理部4に取り込まれ、ここで被検査物Wの2次元X線透過像が構築されて表示器5に表示されると同時に、所要の画像処理により被検査物Wの内部に異物等が存在しているか否かが検査される。
特開2006−64508号公報
ところで、以上のような従来のX線検査装置においては、X線ラインセンサの画素出力をそのまま用いて画像処理を行っているが、X線ラインセンサで撮像されるX線透視像のS/Nは、X線の照射量の積分に相関するので、被検査物のX線透過量が少なかったり、あるいは搬送装置による搬送速度が速い場合には、X線ラインセンサに到達するX線量が少なくなるので、得られるX線透視像はノイズが多くなり、画像処理部における正確な検査処理が困難となってしまう。
このような場合、一般に、X線源の出力を上げることにより、他は同じ条件であってもX線ラインセンサに到達するX線量を多くすることができ、これによってX線透視像のS/Nを向上させる対策が採られている。しかしながら、このような対策には、X線源やX線漏洩防止機構が高価になるという問題が付随する。
また、小さな異物を検知する必要がある場合、X線ラインセンサの画素ピッチを細かくし、画素数を増やすことが必要である。このような場合、画像処理により自動検査を行う場合には、画像処理部にもX線ラインセンサと画素ピッチに対応したものが必要となり、検査処理に必要な回路規模や演算コストが上昇してしまうという問題もある。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたもので、コストアップを抑制しながら、小さな異物でも確実に検知することができ、また、X線透過量の少ない被検査物や、搬送速度の速いラインにも対応することのできるX線検査装置の提供をその課題としている。
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明のX線検査装置は、互いに対向配置されたX線源とX線ラインセンサと、これらのX線源とX線ラインセンサの間で被検査物を搬送する搬送装置と、その搬送装置の駆動により被検査物が上記X線源とX線ラインセンサの間を通過する際に取り込んだX線透過データを用いて、被検査物内の異物の有無を検査するとともに被検査物のX線透視像の表示を行う画像処理部を備えたX線検査装置において、上記X線ラインセンサからの出力を前処理して上記画像処理手段に供給するデータ前処理部を備え、上記データ前処理部の処理は、上記画像処理部が取り扱う画素数が上記X線ラインセンサの画素数の整数分の一となるように、上記X線ラインセンサの複数の画素の画素値を基に、上記画像処理部の一つ画素に割り当てることによって特徴づけられる。
また、同じ課題を解決するため、請求項2に係る発明のX線検査装置は、互いに対向配置されたX線源とX線ラインセンサと、これらのX線源とX線ラインセンサの間で被検査物を搬送する搬送装置と、その搬送装置の駆動により被検査物が上記X線源とX線ラインセンサの間を通過する際に取り込んだX線透過データを用いて、被検査物内の異物の有無を検査するとともに被検査物のX線透視像の表示を行う画像処理部を備えたX線検査装置において、上記X線ラインセンサからの出力を前処理して上記画像処理手段に供給するデータ前処理部を備え、そのデータ前処理部は、上記X線ラインセンサからの出力に対して複数種の前処理を選択的に施すことが可能であり、上記データ前処理部での前処理の選択は、設定された上記搬送装置の搬送速度、被検査物のX線の透過のしやすさの両方または、いずれかに基づいて自動的に行うことによって特徴づけられる。
ここで、以上の請求項1および2に係る発明においては、上記データ前処理部での処理として、上記X線ラインセンサの画素出力を上記画像処理部で扱う画素に割り当てる際に、上記X線ラインセンサの該当の画素を含む周辺所定個数の画素の画素値を平均化して割り当てる処理を含み、かつ、その平均化に用いる画素数が可変である構成(請求項3)を採用することができる。
また、請求項1および2に係る発明においては、上記データ前処理部での処理として、上記X線ラインセンサの画素出力を上記画像処理部で扱う画素に割り当てる際に、上記X線ラインセンサの該当の画素を含む周辺所定個数の画素の画素値のうちの最低のものを割り当てる処理を含む構成(請求項4)を採用することができる。
本発明は、X線ラインセンサの出力をそのまま画像処理部で用いるのではなく、これらの間にデータ前処理部を設け、このデータ前処理部の処理により、画像処理部が取り扱う画素数をX線ラインセンサの画素数よりも少なくするか(請求項1)、あるいはそのデータ処理部における処理の内容を選択可能としておくこと(請求項2)で、課題を解決しようとするものである。
すなわち、請求項1に係る発明のように、画像処理部で取り扱う画像のX線ラインセンサ方向への画素数を、当該X線ラインセンサの画素数の整数分の一として、画像処理部で取り扱う一つの画素に割り当てることにより、特に後述の請求項4に係る発明との組み合わせにより、画像処理部の画素ピッチ(画像の分解能)を細かくすることなく小さな異物を確実に検出することが可能となる。
また、請求項2に係る発明のように、データ前処理部での前処理を複数種選択的に施すことを可能とするとともに、その選択を、搬送装置の搬送速度、および/または、被検査物のX線の透過のしやすさに基づいて自動的に行うように構成することで、オペレータがデータ前処理部における処理の内容を設定することなく、様々な被検査物に対応することができる。
そして、請求項1または2に係る発明において、例えば、請求項3に係る発明のように、画像処理部で取り扱う画素に対してX線ラインセンサの画素出力を割り当てるに際して、周辺所定個数の画素の画素値を平均化することにより、透視画像のS/Nを向上させることができ、その平均化に供する出力画素数を多くするほど低ノイズ化を図ることができる。
また、請求項4に係る発明のように、同じく画像処理部で取り扱う画素に対してX線ラインセンサの画素出力を割り当てるに際して、周辺所定個数の画素の画素値の最低(最暗)のものを用いることで、小さい異物でも確実に捕らえることが可能となる。
本発明によれば、低出力のX線源を用いて、X線の透過しにくい被検査物を高いS/Nのもとに画像処理をすることができ、また、細かい異物の有無を確実に検査することができるなど、様々な被検査物に対応することができ、低コストで適用範囲の広いX線検査装置が得られる。
また、前処理部における処理内容の選択を自動的に行うように構成することにより、オペレータによる設定や調整の困難性を伴うことなく、上記の効果を奏することができる。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の実施の形態の構成図で、機械的構成を表す模式図とシステム構成を表すブロック図とを併記して示す図である。
図1は本発明の実施の形態の構成図で、機械的構成を表す模式図とシステム構成を表すブロック図とを併記して示す図である。
X線源1とX線ラインセンサ2とが対向配置されており、これらの間で被検査物Wを搬送するための搬送装置3が設けられている。X線ラインセンサ2の出力は、前処理部10に取り込まれ、この前処理部10で後述する処理が施された後、画像処理部4に供給される。画像処理部4では、従来のこの種の検査装置と同等の画像処理を行うことによって、被検査物WのX線透視像をモニタ兼操作部5に表示するとともに、被検査物Wの内部に異物が存在するか否か等を自動的に検査し、その結果を出力する。
前処理部10は、複数の処理を選択的に実行することができ、その処理の選択は、後述するように制御部11からの指令によって自動的に行われる。また、搬送装置3は搬送駆動回路12からの駆動信号によって動作し、この搬送駆動回路12は制御部11の制御下に置かれている。制御部11には、前記したモニタ兼操作部5が接続されており、このモニタ兼操作部5に表示される操作メニューを通じて、搬送装置3による被検査物Wの搬送速度の設定や各種指令を与えることができる。そして、この制御部11は、以上の前処理部10、搬送駆動回路12のほか、X線ラインセンサ2および画像処理部4をも制御下に置いている。
画像処理部4が取り扱う1ライン分(X線ラインセンサ2の方向へのライン)の画素の数は、X線ラインセンサ2の画素数の1/2となっている。すなわち、例えばX線ラインセンサ2の画素数を1024とすると、画像処理部4のそのライン方向への画素数は512であり、この画素数のもとに被検査物WのX線透視像の構築と画像処理を行う。そして、この画像処理部4の各画素に対して、X線ラインセンサ2の画素出力を変換して割り当てる処理は、前処理部10によって行われる。
この例においては、前処理部10における処理の選択可能数は3であって、(1)ノーマル設定、(2)微小異物検出設定、および(3)低ノイズ設定の3種類の処理のうちのいずれかが設定される。
図2に示すように、X線ラインセンサ2の画素をu=1,2,3・・とし、被検査物Wの搬送と同期して実行されるX線ラインセンサ2のスキャン回数をt=1,2,3・・として、その画素をX(u,t)で表すものとする。一方、画像処理部4において取り扱う画素を、X線ラインセンサ2の方向への番号をi=1,2,3・・、スキャン方向に沿った番号をj=1,2,3・・としてその画素をZ(i,j)で表すものとする。
さて、(1)ノーマル設定および(2)微小異物検査設定においては、それぞれ、X線ラインセンサ2の画素出力Xは以下のように画像処理部4における画素Zに割り当てられる。すなわち、図3に示すように、画像処理部4の画素Z(i,j)には、X線ラインセンサ2の画素出力のうち、ライン方向並びにスキャン回数ともに2画素分ずつ、合計4個の画素出力X(u,t),X(u+1,t),X(u,t+1),X(u+1,t+1)が割り当てられる。
そして、(1)ノーマル設定では、これらの合計4個のX線ラインセンサ2の画素の画素値(明暗値)の平均値が画像処理部4の1つの画素に割り当てられる。
一方、(2)微小異物検査設定においては、上記の合計4個のX線ラインセン2の画素値のうち、最も暗い値が割り当てられる。このような前処理を施すことにより、微小な異物の画素情報が実質的に拡大された状態で画像処理部4における処理に供されることになり、確実にその存在を検知することができる。図4,図5に微小異物検査設定の状態で、ステンレス製の線と球をそれぞれ透視した場合の例を図示する。各図において(A)は微小異物検査設定、(B)は従来のX線検査装置による画像をそれぞれ示し、線の太さ並びに球の直径が種々に相違するものを透視している。本発明の実施の形態における微小異物検査設定では、線や球がやや誇張されるものの、これらを確実に検知できることが確認された。
(3)低ノイズモードでは、画像処理部4で用いる画素Z(i,j)は、X線ラインセンサ2からの画素出力の16個の平均値を画素値とする。すなわち、X線ラインセンサ2の素子の配列方向に4画素分、スキャン回数4回分、合計16個の画素の各画素値を平均化して1つの画素値とする。なお、この場合、画像処理部4で用いる画素の互いに隣接するものには、X線ラインセンサ2の画素の各画素値が一部重複することになる。
このような(3)低ノイズ設定によると、透視画像の細かなノイズをキャンセルすることができ、樹脂や骨などの低コントラストで比較的大きな異物の検知に有効である。図6に骨片を透視した場合の例を示す。図6(A)に示すような透視画像において、同図に四角で示す領域の画素値を3次元表現すると、(B)が本発明の実施の形態における低ノイズ設定における画素値、(C)が従来のX線検査装置における画素値を表す通りとなる。このように、本発明の実施の形態における低ノイズモードでは、各画素値が平準化される結果、周囲ノイズが抑制される結果、低コントラストの異物でも誤検知の発生を防止することが可能となる。
以上の3種類の前処理は、制御部11によって自動的に選択される。すなわち、まず、搬送装置3の搬送速度をモニタ兼操作部5の操作により設定すると、搬送装置3はその速度で動作するとともに、X線ラインセンサ2はその搬送速度に対応した走査速度でスキャンを繰り返す。次いで被検査物Wを搬送装置3上に載せて搬送する。X線源1とX線ラインセンサ2の間を被検査物Wが通過することにより、そのX線透視像が得られる。被検査物Wがない場合のX線ラインセンサ2のプロファイルが図7(A)に例示する通りであり、被検査物Wの通過時におけるX線ラインセンサ2のプロファイルが(B)で表す通りであるとすると、図中aで示す分が被検査物Wにより吸収ないしは散乱されたX線量であり、被検査物Wがない場合のX線量をbとすると、(b−a)/bが被検査物Wの見かけ上のX線透過率と見なすことができる。制御部11では、この被検査物WのX線透過率と、設定されている搬送速度に基づき、例えば下記の[表1]に示す通りに前処理部10における処理の内容を自動的に選択する。
このような前処理部10における処理の自動選択を行った後、被検査物Wを搬送装置3で順次搬送することにより、X線ラインセンサ2の画素出力に対し、設定された搬送速度と被検査物WのX線透過率に応じた最適な前処理が施されたうえで、画像処理部4による処理に供される。
以上の実施の形態によると、従来のX線検査装置では検知しにくかった微小な異物の検知が必要であったり、あるいは、低コントラストの異物を検知する必要があるなど、様々な被検査物に対応することができ、しかも、X線源の出力を上げたり、あるいは画像処理部の画素数を多くすることなく、上記の作用効果を達成することができる。
なお、以上の実施の形態においては、前処理部における処理の内容を制御部が自動的に設定する例を示したが、オペレータが設定するように構成してもよい。
1 X線源
2 X線ラインセンサ
3 搬送装置
4 画像処理部
5 モニタ兼操作部
10 前処理部
11 制御部
12 搬送駆動回路
W 被検査物
2 X線ラインセンサ
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5 モニタ兼操作部
10 前処理部
11 制御部
12 搬送駆動回路
W 被検査物
Claims (4)
- 互いに対向配置されたX線源とX線ラインセンサと、これらのX線源とX線ラインセンサの間で被検査物を搬送する搬送装置と、その搬送装置の駆動により被検査物が上記X線源とX線ラインセンサの間を通過する際に取り込んだX線透過データを用いて、被検査物内の異物の有無を検査するとともに被検査物のX線透視像の表示を行う画像処理部を備えたX線検査装置において、
上記X線ラインセンサからの出力を前処理して上記画像処理手段に供給するデータ前処理部を備え、
上記データ前処理部の処理は、上記画像処理部が取り扱う画素数が上記X線ラインセンサの画素数の整数分の一となるように、上記X線ラインセンサの複数の画素の画素値を基に、上記画像処理部の一つ画素に割り当てることを特徴とするX線検査装置。 - 互いに対向配置されたX線源とX線ラインセンサと、これらのX線源とX線ラインセンサの間で被検査物を搬送する搬送装置と、その搬送装置の駆動により被検査物が上記X線源とX線ラインセンサの間を通過する際に取り込んだX線透過データを用いて、被検査物内の異物の有無を検査するとともに被検査物のX線透視像の表示を行う画像処理部を備えたX線検査装置において、
上記X線ラインセンサからの出力を前処理して上記画像処理手段に供給するデータ前処理部を備え、そのデータ前処理部は、上記X線ラインセンサからの出力に対して複数種の前処理を選択的に施すことが可能であり、
上記データ前処理部での前処理の選択は、設定された上記搬送装置の搬送速度、被検査物のX線の透過のしやすさの両方または、いずれかに基づいて自動的に行うことを特徴とするX線検査装置。 - 上記データ前処理部での処理として、上記X線ラインセンサの画素出力を上記画像処理部で扱う画素に割り当てる際に、上記X線ラインセンサの該当の画素を含む周辺所定個数の画素の画素値を平均化して割り当てる処理を含み、かつ、その平均化に用いる画素数が可変であることを特徴とする請求項1または2に記載のX線検査装置。
- 上記データ前処理部での処理として、上記X線ラインセンサの画素出力を上記画像処理部で扱う画素に割り当てる際に、上記X線ラインセンサの該当の画素を含む周辺所定個数の画素の画素値のうちの最低のものを割り当てる処理を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のX線検査装置。
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