JP2008114215A - 汚泥処理方法および処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】膜分離装置を用いた汚泥処理方法において、好気性消化槽を連続曝気することができ、かつ電子供与体を供給することなく脱窒することができ、脱窒反応に適した酸化還元電位を維持することができ、汚泥処理槽の温度調節も不要にでき、アルカリ溶液も不要にでき、嫌気処理槽の容積も最小にできる小型で低コストの汚泥処理方法および装置を提供することを目的とする。
【解決手段】有機質排水の処理によって発生した余剰汚泥を好気処理槽1へと移送し、好気処理槽1内の汚泥を超音波処理装置4との間で循環処理し、好気処理槽1内の散気装置15によって好気処理槽1内を連続曝気撹拌し、好気処理槽1内に設置した膜分離装置5によって、好気処理槽1内の汚泥を濃縮し、好気処理槽1と嫌気処理槽2との間で汚泥を循環させ、生物処理を行うものである。
【選択図】図1
【解決手段】有機質排水の処理によって発生した余剰汚泥を好気処理槽1へと移送し、好気処理槽1内の汚泥を超音波処理装置4との間で循環処理し、好気処理槽1内の散気装置15によって好気処理槽1内を連続曝気撹拌し、好気処理槽1内に設置した膜分離装置5によって、好気処理槽1内の汚泥を濃縮し、好気処理槽1と嫌気処理槽2との間で汚泥を循環させ、生物処理を行うものである。
【選択図】図1
Description
本発明は、有機物を含む有機質排水を生物処理により浄化処理するときに生じた余剰汚泥の処理方法および処理装置に関するものである。
従来、有機質排水の浄化処理において発生した余剰汚泥の処理方法は、余剰汚泥を超音波やオゾンやアルカリなどで可溶化処理した後、有機質排水を浄化処理する生物処理槽へ返送し、有機質排水と余剰汚泥の浄化処理を同じ生物処理槽で行うのが一般的であった(例えば、特許文献1参照)。
しかし、このような方法で余剰汚泥の浄化処理を行うと、生物処理槽の有機物処理負荷が増大することとなり、余剰汚泥の処理量によっては、生物処理槽が過負荷となって最終の処理水質が悪化してしまうという問題があった。
そこで、「排水処理系」で有機質排水の浄化処理によって発生した余剰汚泥を、「排水処理系」とは別の「汚泥処理系」へ導入し、オゾンで可溶化処理しつつ、好気性汚泥消化槽にて分解する汚泥処理方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
以下、その汚泥処理方法について図5を参照しながら説明する。
図5に示すように、まず原水(有機質排水)は「排水処理系」の脱窒槽101に導入され、硝化槽102から返送される活性汚泥、オゾン処理槽104から移送されるオゾン処理汚泥、電子供与体供給路112から供給されるメタノールなどの電気供与体および脱窒槽101内の脱窒素細菌とともに撹拌機106にて緩やかに嫌気性を維持しながら撹拌され、原水中の有機物が分解されるとともに、脱窒も行われる。
脱窒槽101内の脱窒液の一部は硝化槽102に移送され、硝化細菌を含む活性汚泥、薬液供給路115から添加される酸またはアルカリと混合され、pHを7〜8に維持しつつ、散気されることで脱窒液中の有機物を更に分解してBODを除去するとともに、有機性窒素がアンモニア性窒素に分解される。この場合BOD除去のための散気よりも過剰に散気して、硝化細菌を優勢にされる。
硝化槽102内の活性汚泥は、浸漬型膜分離装置113により膜分離され、膜透過液は処理水として排出される。濃縮された活性汚泥の一部は脱窒槽101に返送され、余剰汚泥は「汚泥処理系」の好気性消化槽103に導入される。
好気性消化槽103の活性汚泥は浸漬型膜分離装置114により膜分離され、膜透過液と濃縮液とに分離される。浸漬型膜分離装置114を透過した膜透過液は晶析処理槽107に導入され、薬液供給路115から塩化マグネシウムなどの薬剤を注入して膜透過液中のリンが晶析処理によって除去され、処理水として排出される。
好気性消化槽103内の活性汚泥その他の固形分が濃縮された濃縮液の一部はオゾン処理槽104に移送され、オゾン発生器105で発生させたオゾンと接触されてオゾン処理(改質処理)をされ、これにより好気性消化液中の汚泥がBOD化する。オゾン処理液は好気性消化槽103に返送され、散気されることにより、好気性消化によって分解される。
また、オゾン処理槽104でオゾン処理されたオゾン処理液の一部は脱窒槽101に移送され、これによりオゾン処理液中の有機物が脱窒に必要な電子供与体として利用されている。
また、この種の汚泥処理方法には、有機質排水の浄化処理において発生した余剰汚泥をアルカリで可溶化処理した後、好気処理し、嫌気処理を行う汚泥処理方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
以下、その汚泥処理方法について図6を参照しながら説明する。
図6に示すように、余剰汚泥はアルカリ供給装置205によりアルカリ処理されることにより可溶化されて、汚泥好気処理槽201に供給される。汚泥好気処理槽201は温度調節装置204により温度調節が行われ、撹拌機206により撹拌が行われつつ、散気装置203により酸素供給を行い、好気的に余剰汚泥が処理される。
好気的に処理された余剰汚泥は汚泥嫌気処理槽202に移送され、汚泥嫌気処理槽202では温度調節装置204により温度調節がおこなわれ、撹拌機206により撹拌が行われる。嫌気処理された汚泥は汚泥嫌気処理水排出管207から排出される。
特開平11−128975号公報
特開平11−277095号公報
特開2000−185299号公報
しかしながら、図5に示すような従来の汚泥処理方法では、好気性消化槽を連続で散気し続けると、余剰汚泥の分解に伴って硝酸が好気性消化槽内に蓄積され、pHが低下し、生物処理が阻害されるという課題があった。
そこで、実際の施設では散気を間欠的に行い、好気性消化と嫌気脱窒を繰り返すことによってpHを中性近傍に維持する方法が取られている。しかし、好気性消化槽内の浸漬型膜分離装置は、散気とともに膜分離を行わないと分離膜が閉塞するため、散気を停止している間は膜分離を行うことができず、散気が間欠的に行われると、連続で散気する場合と比較して、散気を停止する時間分だけ多くの分離膜が必要であり、大きなコスト増となる課題があった。
また、汚泥処理に伴って発生する窒素を十分に除去するためには、排水処理系に脱窒槽と電子供与体の供給設備が必要であり、設備の大型化とコスト増となる課題があった。
また、図6に示すような従来の汚泥処理法では、汚泥好気処理槽および汚泥嫌気処理槽の温度調節やアルカリ溶液が必要であり、ランニングコストが高くなるという課題があった。また、汚泥好気処理槽からの持込溶存酸素の影響によって、汚泥嫌気処理槽にて脱窒反応に適した酸化還元電位を維持することが難しく、安定した窒素除去を行うためには、汚泥嫌気処理槽の容積を大きくしなければならないという課題があった。
そこで、本発明はこのような従来の課題を解決するものであり、好気性消化槽を連続曝気することができ、かつ電子供与体を供給がすることなく脱窒することができ、脱窒反応に適した酸化還元電位を維持することができ、汚泥処理槽の温度調節も不要にでき、アルカリ溶液も不要にできる小型で低コストの汚泥処理方法および装置を提供することを目的としている。
本発明の汚泥処理方法は上記目的を達成するために、好気処理領域と嫌気処理領域から構成される生物処理槽を有し、汚泥を破砕・可溶化する再基質化手段により汚泥を処理する汚泥処理方法において、好気処理領域内には膜分離手段と曝気手段を備え、余剰汚泥を生物処理槽へ移送し、生物処理槽内の汚泥を生物処理槽と再基質化手段との間で循環させて再基質化しつつ、曝気手段により好気処理領域を連続曝気し、膜分離手段によって得られた膜透過水を好気処理領域から排出することで、好気処理領域内の汚泥を濃縮し、この濃縮した汚泥を好気処理領域と嫌気処理領域との間で循環することで生物処理を行うようにしたものである。
この方法により、好気性消化槽を連続曝気することができ、かつ電子供与体を供給することなく脱窒することができ、脱窒反応に適した酸化還元電位を維持することができ、汚泥処理槽の温度調節も不要にでき、アルカリ溶液も不要にでき、嫌気処理槽の容積も最小にできる汚泥処理方法が実現できる。
本発明によれば、好気消化槽を小型化することができ、省設置スペースで低コストな汚泥処理方法および処理装置を提供できる。
また、ランニングコストが低コストな汚泥処理方法および処理装置を提供できる。
本発明の第1の実施の形態による汚泥処理方法は、好気処理領域と嫌気処理領域から構成される生物処理槽を有し、汚泥を破砕・可溶化する再基質化手段により汚泥を処理する汚泥処理方法において、好気処理領域内には膜分離手段と曝気手段を備え、余剰汚泥を前記生物処理槽へ移送し、生物処理槽内の汚泥を生物処理槽と再基質化手段との間で循環させて再基質化しつつ、曝気手段により好気処理領域を連続曝気し、膜分離手段によって得られた膜透過水を好気処理領域から排出することで、好気処理領域内の汚泥を濃縮し、この濃縮した汚泥を好気処理領域と嫌気処理領域との間で循環することで生物処理を行うものである。
本実施の形態によれば、好気処理領域で生成された硝酸は嫌気領域にて窒素と水に分解されるため、好気処理領域を連続曝気しても、生物処理槽内のpHは中性近傍で維持することが可能となり、余剰汚泥の分解速度も高速化することが可能となる。
本発明の第2の実施の形態による汚泥処理方法は、第1の実施の形態による汚泥処理方法において、嫌気処理領域の前段に、酸化還元電位調整領域を設け、膜分離手段によって濃縮した汚泥を好気処理領域と酸化還元電位調整領域および嫌気処理領域との間で循環することで生物処理を行うものである。
本実施の形態によれば、酸化還元電位調整領域にて嫌気処理領域の汚泥の酸化還元電位を脱窒反応に適した値に調節することにより、嫌気処理領域での脱窒処理を効率良く行うことができる。
本発明の第3の実施の形態による汚泥処理方法は、第1および第2の実施の形態による汚泥処理方法において、好気処理領域内の汚泥を再基質化手段により再基質化し、再基質化した汚泥を好気処理領域か嫌気処理領域、または、好気処理領域か酸化還元電位調整領域へと移送するものである。
本実施の形態によれば、嫌気処理領域の酸化還元電位が脱窒反応の適正値である場合は、再基質化汚泥を好気処理領域で分解した後に嫌気処理領域に移送することで、再基質化汚泥由来の生物難分解性有機物が好気性細菌等によって生物易分解性有機物に分解され、その生物易分解性有機物が脱窒反応の電子供与体となり、嫌気処理領域での脱窒反応を効率良く行うことができる。一方、嫌気処理領域の酸化還元電位が脱窒反応の適正値よりも好気的雰囲気である場合は、再基質化汚泥を嫌気処理領域へ移送し、嫌気処理領域内の好気性細菌等の好気呼吸を促して、すみやかに脱窒反応(硝酸塩呼吸)に適した嫌気的雰囲気へと移行させることができる。
本発明の第4の実施の形態による汚泥処理方法は、第1の実施の形態による汚泥処理方法において、余剰汚泥を好気処理領域へ移送し、好気処理領域内の余剰汚泥を好気処理領域と再基質化手段との間で循環するものである。
本実施の形態によれば、再基質化汚泥は好気処理領域内で分解・硝化された上で嫌気処理領域へと送られるので、嫌気処理領域での脱窒処理を効率良く行うことができる。
本発明の第5の実施の形態による汚泥処理装置は、好気処理槽と嫌気処理槽からなる生物処理槽と再基質化手段とを備え、好気処理槽には余剰汚泥の流入口と、膜透過水の流出口と、膜分離手段と、膜分離手段下方に散気管を配置し、好気処理槽から嫌気処理槽へ余剰汚泥を移流する好気汚泥移流管と、好気汚泥移流管に好気汚泥移流ポンプと、嫌気処理槽から好気処理槽へ余剰汚泥を移流する嫌気汚泥移流管と、好気処理槽から再基質化手段へ余剰汚泥を移流する未再基質化汚泥移流管と、未再基質化汚泥移流管に未再基質化汚泥移流ポンプと、再基質化手段から好気処理槽へ余剰汚泥を返送する再基質化汚泥返送管とを有し、好気処理槽の液位よりも嫌気処理槽の液位が高くなるようにしたものである。
本実施の形態によれば、好気処理槽と嫌気処理槽の水位差を利用して、脱窒によって嫌気処理槽の液面に浮上するスカムを、嫌気処理槽から好気処理槽へ移送させて、好気処理槽内の散気による撹拌力によって破砕することができる。
本発明の第6の実施の形態による汚泥処理装置は、第5の実施の形態による汚泥処理装置において、嫌気処理槽の前段に酸化還元電位調整槽を備え、好気移流管は好気処理槽から酸化還元電位調整槽へ汚泥を移流し、酸化還元電位調整槽から嫌気処理槽へ汚泥を移流する酸化還元電位調整汚泥移流管とを有し、嫌気処理槽の液位よりも酸化還元電位調整槽の液位が高くなるようにしたものである。
本実施の形態によれば、嫌気処理槽の酸化還元電位が脱窒反応に適した値よりも高い、つまり好気的雰囲気の場合、再基質化汚泥を酸化還元電位調整槽に返送することによって、酸化還元電位調整槽内に生息する好気性細菌および通性嫌気性細菌の好気呼吸を促し、酸化還元電位調整槽内の汚泥を嫌気的雰囲気へと導き、結果として酸化還元電位調整槽後段の嫌気処理槽内の酸化還元電位を脱窒反応に適した値に調整することができる。
本発明の第7の実施の形態による汚泥処理装置は、第5または第6の実施の形態による汚泥処理装置において、好気処理槽と嫌気処理槽、または好気処理槽と嫌気処理槽および酸化還元電位調整槽は、嫌気処理槽内の汚泥、または酸化還元電位調整槽から嫌気処理槽までのいずれかの箇所における汚泥の嫌気状態を検知する嫌気状態検知手段を有し、第1の再基質化汚泥返送管に再基質化汚泥返送先切換手段と、この再基質化汚泥返送先切換手段から嫌気処理槽、または酸化還元電位調整槽へ汚泥を返送する第2の再基質化汚泥返送管を備え、嫌気状態検知手段で検知した嫌気状態に応じて、再基質化汚泥の返送先を好気処理槽か嫌気処理槽、または酸化還元電位調整槽かを切換えるようにしたものである。
本実施の形態によれば、嫌気処理槽内の汚泥、または酸化還元電位調整槽から嫌気処理槽までのいずれかの箇所における汚泥の酸化還元電位が脱窒反応に適した値よりも大きい、つまり好気的雰囲気の場合、再基質化汚泥を嫌気処理槽、または酸化還元電位調整槽に返送することによって、嫌気処理槽内に生息する好気性細菌および通性嫌気性細菌の好気呼吸を促し、嫌気処理槽内の汚泥を嫌気的雰囲気へと導き、嫌気処理槽内の酸化還元電位を脱窒反応に適した値に維持することができる。
本発明の第8の実施の形態による汚泥処理装置は、第7の実施の形態による汚泥処理装置において、制御装置を備え、制御装置は、嫌気状態検知手段で検知した嫌気状態に応じて、再基質化汚泥返送先切換手段を制御して、再基質化汚泥の返送先を好気処理槽か嫌気処理槽か、または好気処理槽か酸化還元電位調整槽かを切換えるようにしたものである。
本実施の形態によれば、嫌気状態検知手段で検知した嫌気状態に応じて、再基質化汚泥の返送先を切換えることにより、嫌気処理槽内の酸化還元電位を脱窒反応に適した値に調整することができる。
本発明の第9の実施の形態による汚泥処理装置は、第5または第6の実施の形態による汚泥処理装置において、各槽間は、仕切板によって区分されたものである。
本実施の形態によれば、好気処理槽と嫌気処理槽、または好気処理槽と嫌気処理槽と酸化還元電位調整槽が単一槽となるので、嫌気汚泥移流管および酸化還元電位調整汚泥移流管が不要となり、設置スペースも小さくできると共に、嫌気処理槽および酸化還元電位調整槽の液面に浮上するスカムを後段の槽へ流下させやすくすることができる。
本発明の第10の実施の形態による汚泥処理装置は、第5または第6の実施の形態による汚泥処理装置において、好気処理槽と嫌気処理槽、または好気処理槽と嫌気処理槽および酸化還元電位調整槽は、底部近傍を移流管によって接続するようにしたものである。
本実施の形態によれば、好気処理槽の余剰汚泥は嫌気処理槽へ底部から流入し、嫌気処理槽内で上向流で脱窒されつつ、嫌気処理槽の液面に到達し好気処理槽へ移流される。このため、余剰汚泥は嫌気処理槽全体を通過し、脱窒を効率よく行うことができる。
また、好気処理槽の余剰汚泥が酸化還元電位調整槽へ底部から流入し、酸化還元電位調整槽内で上向流で流れ、酸化還元電位調整槽全体を通過することにより、酸化還元電位の調整を効率よく行うことができる。
本発明の第11の実施の形態による汚泥処理装置は、第5または第6の実施の形態による汚泥処理装置において、嫌気汚泥移流管が嫌気処理槽の液面近傍と好気処理槽の液面上の空間を接続し、酸化還元電位調整汚泥移流管が酸化還元電位調整槽の液面近傍と嫌気処理槽の液面上の空間を接続するようにしたものである。
本実施の形態によれば、好気処理槽と嫌気処理槽の水位差を利用して、脱窒によって嫌気処理槽の液面に浮上するスカムを、嫌気処理槽から好気処理槽の液面上へ移送させて、好気処理槽内の散気による波力と撹拌力によって破砕することができる。
また、本実施の形態によれば、余剰汚泥は酸化還元電位調整槽へ底部から流入し、酸化還元電位調整槽内で上向流で酸素を消費されつつ、酸化還元電位調整槽の液面に到達される。このため、余剰汚泥は槽全体を通過し、好気処理槽から酸化還元電位調整槽に持込まれる溶存酸素を、好気呼吸によって効率よく消費し、すみやかに嫌気的雰囲気へと調整することができる。
本発明の第12の実施の形態による汚泥処理装置は、第5または第6の実施の形態による汚泥処理装置において、嫌気処理槽の液面近傍にスカム除去手段を設けたものである。
本実施の形態によれば、スカムによって嫌気処理槽の液面近傍の余剰汚泥の流動が阻害され、嫌気処理槽内の撹拌が不均一となるのを防ぐことができる。
本発明の第13の実施の形態による汚泥処理装置は、第12の実施の形態による汚泥処理装置において、スカム除去手段は、各槽の液面に浮かんでいるスカムを液面近傍の余剰汚泥とともに各槽の下側に向かって送り出すものである。
本実施の形態によれば、スカムを破砕しつつ各槽の撹拌を行うことができ、スカムによって各槽の液面近傍の汚泥の流動が阻害され、各槽内の撹拌が不均一となるのを防ぐことができる。
本発明の第14の実施の形態による汚泥処理装置は、第5または第6の実施の形態による汚泥処理装置において、嫌気処理槽、または嫌気処理槽および酸化還元電位調整槽に汚泥撹拌手段を設けるものである。
本実施の形態によれば、各槽内汚泥の撹拌不足を防止することによって、撹拌不足による汚泥の嫌気的雰囲気の促進と硫化水素等腐敗ガスの発生防ぐことができる。
本発明の第15の実施の形態による汚泥処理装置は、第7の実施の形態による汚泥処理装置において、嫌気状態検知手段を溶存酸素濃度計としたものである。
本実施の形態によれば、嫌気状態検知手段を溶存酸素濃度計とすることで、汚泥の嫌気状態を容易に判断することができ、溶存酸素濃度値に応じた再基質化汚泥返送先切換手段の制御が可能となる。
本発明の第16の実施の形態による汚泥処理装置は、第7の実施の形態による汚泥処理装置において、嫌気状態検知手段を酸化還元電位計としたものである。
本実施の形態によれば、嫌気状態検知手段を酸化還元電位計とし、汚泥中の酸化還元電位を連続的に測定することで、その測定値推移の情報から、脱窒反応の開始および停止の予測をすることができ、酸化還元電位に応じた再基質化汚泥返送先切換手段の制御が可能となる。
本発明の第17の実施の形態による汚泥処理装置は、第6の実施の形態による汚泥処理装置において、酸化還元電位調整槽に曝気手段を設けるものである。
本実施の形態によれば、酸化還元電位調整槽内の汚泥が脱窒反応に適した嫌気的雰囲気よりもさらに嫌気度が進行している場合、曝気手段によって酸化還元電位調整槽内の酸化還元電位を脱窒反応に適した値に調整することができる。
本発明の第18の実施の形態による汚泥処理装置は、第17の実施の形態による汚泥処理装置において、曝気手段が嫌気状態検知手段によって制御されるようにしたものである。
本実施の形態によれば、酸化還元電位調整槽内の汚泥が脱窒反応に適した嫌気的雰囲気よりもさらに嫌気度が進行している場合、曝気手段によって酸化還元電位調整槽内の酸化還元電位を脱窒反応に適した値に調整することができる。
本発明の第19の実施の形態による汚泥処理装置は、第5の実施の形態による汚泥処理装置において、好気処理槽に揺動床を設けたものである。
本実施の形態によれば、好気処理槽内を浮遊する微生物だけでなく、揺動床に付着する細菌や原生動物などによって高速に分解することができる。
本発明の第20の実施の形態による汚泥処理装置は、第19の実施の形態による汚泥処理装置において、揺動床を散気管から上方の分離膜に向けて放出される有酸素気泡によって形成される水流の分離膜より下流域に配置したものである。
本実施の形態によれば、新たに散気管を設けることなく、分離膜を散気する散気管による水流を利用して揺動床を揺動させ、酸素を供給することができる。
(実施の形態1)
図1は本発明の汚泥処理方法を行う装置の構成図である。図1において汚泥処理方法は大きく、移送工程(S1)、再基質化工程(S2)、曝気工程(S3)、濃縮工程(S4)、好気嫌気工程(S5)、の5工程から構成されている。次に、各工程の詳細を説明する。
図1は本発明の汚泥処理方法を行う装置の構成図である。図1において汚泥処理方法は大きく、移送工程(S1)、再基質化工程(S2)、曝気工程(S3)、濃縮工程(S4)、好気嫌気工程(S5)、の5工程から構成されている。次に、各工程の詳細を説明する。
S1:有機質排水の処理によって発生した余剰汚泥を好気処理槽1へと移送する。
S2:好気処理槽1内の汚泥を超音波処理装置4との間で循環処理し、移送工程で移送してきた余剰汚泥の約3倍量の汚泥を再基質化する。
S3:好気処理槽1内の散気装置15によって好気処理槽1内を連続曝気撹拌することで、再基質化汚泥を生分解し、アンモニアの生成から硝化までを行う。
S4:好気処理槽1内に設置した膜分離装置5によって、好気処理槽1内の汚泥を濃縮し、得られた膜透過水を好気処理槽1から排出する。この膜透過水はSSを含まないので、塩素殺菌などを施した後、河川へ放流しても良いし、図1には示してない排水処理施設の曝気槽や流量調整槽へ移送しても良い。
S5:好気処理槽1と嫌気処理槽2との間で汚泥を循環させ、好気処理槽1で生成した硝酸等を電子受容体として利用し、再基質化処理によって分解可能となった汚泥を電子供与体として利用することで窒素と水に分解し、汚泥のpHを6〜7の中性近傍で維持することが可能となる。
このようにS1〜S5の工程で汚泥処理を行うことで、好気処理槽1を連続で曝気することが可能となり、膜分離装置5による濃縮も連続で行うことが可能となる。
次に、嫌気処理槽2の酸化還元電位に応じて再基質化汚泥の返送先を切換える場合について説明する。
上記S2において再基質化汚泥の返送先を好気処理槽1か嫌気処理槽2かを切換え、嫌気処理槽2へ返送する工程(S6)を追加している。
S6の工程を追加することで、嫌気処理槽2が脱窒反応に適した酸化還元電位よりも好気的雰囲気の場合、再基質化汚泥を嫌気処理槽2に返送することによって、嫌気処理槽2内の好気性細菌や通性嫌気性細菌の好気呼吸を促し、嫌気処理槽2内汚泥の酸化還元電位を嫌気的雰囲気に調整することが可能となる。
(実施の形態2)
図2は本発明の汚泥処理装置を側面から見た構成図である。
図2は本発明の汚泥処理装置を側面から見た構成図である。
好気処理槽1には膜分離装置5と、膜分離装置5の下部には散気管16と、未再基質化汚泥移流ポンプ14と、余剰汚泥流入口31と膜透過水流出口32が配置されている。散気管16には曝気ブロア17が接続されており、散気管16によって発生する気泡噴流を膜分離装置5に当てるとともに、好気処理槽1内を曝気撹拌するようになっている。未再基質化汚泥移流ポンプ14は未再基質化汚泥移流管12を通じて、好気処理槽1内の汚泥を超音波処理装置4へと移流し、超音波によって再基質化された再基質化汚泥は再基質化汚泥返送管13を通じて、好気処理槽1へと返送するようになっている。
好気処理槽1と嫌気処理槽2は別個に配置されており、好気処理槽1の底部と嫌気処理槽2の底部は好気汚泥移流管6によって接続されている。
好気汚泥移流管6の途中には好気汚泥移流ポンプ11が設置してあり、好気処理槽1から嫌気処理槽2へと汚泥を送り込むようになっている。
また、嫌気処理槽2の液面レベル近傍と好気処理槽1の液面レベルより上の空間は5%以上の勾配となるように設置された嫌気汚泥移流管7によって接続されている。好気汚泥移流ポンプ11によって嫌気処理槽2へ送り込まれた汚泥は嫌気処理槽2内を上向流で移動し、嫌気汚泥移流管7を流下して好気処理槽1へと返送されるようになっている。
このとき、嫌気処理槽2の液面レベルを好気処理槽1の液面レベルよりも高くして水位差を利用することにより、ポンプ等の動力源を使用せず、嫌気処理槽2の液面近傍の汚泥を好気処理槽1に移送することができる。
このように、好気処理槽1内へ移送した余剰汚泥を超音波処理装置4で再基質化し、好気処理槽1内を曝気撹拌することで再基質化した汚泥を生分解し、アンモニアの生成から硝化までを行うことができる。
また、膜分離槽装置5によって汚泥を濃縮し、得られた膜透過水は好気処理槽1から排出し、汚泥の生分解が進んでも好気処理槽1内の汚泥の濃度を一定に保つことができる。
また、好気処理槽1と嫌気処理槽2の間で汚泥を循環することにより、再基質化処理によって生分解可能となった汚泥を電子供与体として利用することで、好気処理槽1で生成した硝酸を窒素と水に分解し、汚泥のpHを6〜7の中性近傍で維持することが可能となる。
このため、好気処理槽1は間欠曝気をすることなく、連続で曝気することが可能となり、膜分離装置5による濃縮も連続で行うことが可能となり、膜分離装置5に要する分離膜の枚数を削減することができ、装置の小型化と低コスト化が可能となる。
(実施の形態3)
図3は本発明の汚泥処理装置を側面から見た構成図である。
図3は本発明の汚泥処理装置を側面から見た構成図である。
未再基質化汚泥移流ポンプ14は未再基質化汚泥移流管12を通じて、好気処理槽1内の汚泥を超音波処理装置4へと移流し、超音波によって再基質化された再基質化汚泥は再基質化汚泥返送管13を通じて、好気処理槽1もしくは酸化還元電位調整槽3へと返送するようになっている。
好気処理槽1と嫌気処理槽2および酸化還元電位調整槽3は別個に配置されており、好気処理槽1の底部と酸化還元電位調整槽3の底部は好気汚泥移流管6によって接続されている。
好気汚泥移流管6の途中には好気汚泥移流ポンプ11が設置してあり、好気処理槽1から酸化還元電位調整槽3へと汚泥を送り込むようになっている。
また、酸化還元電位調整槽3の液面レベル近傍と嫌気処理槽2の液面レベルより上の空間は酸化還元電位調整汚泥移流管8によって接続され、嫌気処理槽2の液面レベル近傍と好気処理槽1の液面レベルより上の空間は嫌気汚泥移流管7によって接続され、それぞれの移流管は5%以上の勾配となるように設置されている。好気汚泥移流ポンプ11によって酸化還元電位調整槽3へ送り込まれた汚泥は酸化還元電位調整槽3内を上向流で移動し、酸化還元電位調整汚泥移流管8を流下して嫌気処理槽2へと返送され、嫌気処理槽2からは、嫌気汚泥移流管7を流下して好気処理槽1へと返送されるようになっている。
さらに、嫌気処理槽2には撹拌ミキサ23を設置し、撹拌不足による汚泥の閉塞を防止している。酸化還元電位調整槽3には、再基質化汚泥返送先切換装置19と酸化還元電位調整槽用曝気ブロア18と散気装置15、嫌気状態検知装置20および制御装置21を備え、それぞれは信号線22によって接続されている。嫌気状態検知装置20の測定値が脱窒反応に適した値よりも嫌気的雰囲気の場合、酸化還元電位調整槽用曝気ブロア18によって汚泥中の溶存酸素濃度を上昇させ、適正値に調整を行う。一方、嫌気状態検知手段20の測定値が脱窒反応に適した値よりも好気的雰囲気の場合、再基質化汚泥返送先切換装置19を用いて再基質化汚泥を酸化還元電位調整槽3に返送し、酸化還元電位調整槽3内に生息する好気性細菌および通性嫌気性細菌の酸素呼吸を促し、酸化還元電位調整槽3内の汚泥を嫌気的雰囲気へと導き、結果として酸化還元電位調整槽3後段の嫌気処理槽2内の酸化還元電位を脱窒反応に適した値に維持することが可能となる。
(実施の形態4)
図4は本発明の汚泥処理装置を側面から見た構成図である。
図4は本発明の汚泥処理装置を側面から見た構成図である。
生物処理槽30は仕切板33で好気処理槽1と嫌気処理槽2および酸化還元電位調整槽3とに仕切られている。好気処理槽1には膜分離装置5と、膜分離装置5の下部には散気管16と、未再基質化汚泥移流ポンプ14と、余剰汚泥流入口31と膜透過水流出口32が配置されている。
散気管16には曝気ブロア17が接続されており、散気管16によって発生する気泡噴流を膜分離装置5にあてるとともに、好気処理槽1内を曝気撹拌するようになっている。
未再基質化汚泥移流ポンプ14は未再基質化汚泥移流管12を通じて、好気処理槽1内の汚泥を超音波処理装置4へと移流し、超音波によって再基質化された再基質化汚泥は再基質化汚泥返送管13を通じて、好気処理槽1もしくは酸化還元電位調整槽3へと返送するようになっている。
好気処理槽1の底部と酸化還元電位調整槽3の底部は好気汚泥移流管6によって接続されている。
好気汚泥移流管6の途中には好気汚泥移流ポンプ11が設置してあり、好気処理槽1から酸化還元電位調整槽3に送り込むようになっている。
また、嫌気処理槽2の液面レベル近傍と好気処理槽1の液面レベルより上の空間は嫌気汚泥移流口9によって接続されており、酸化還元電位調整槽3の液面レベル近傍と嫌気処理槽2の液面レベルより上の空間は酸化還元電位調整汚泥移流口10によって接続されている。好気汚泥移流ポンプ11によって酸化還元電位調整槽3へ送り込まれた汚泥は、酸化還元電位調整槽3内を上向流で移動し、酸化還元電位調整汚泥移流口10から流下して嫌気処理槽2へ、嫌気処理槽2からは嫌気汚泥移流口9から流下して好気処理槽1へと返送されるようになっている。
また、好気処理槽1には揺動床24が散気管16による気泡噴流によって発生した水流の下向流が通過する位置に設置されており、この下向流によって揺動するようになっている。
嫌気処理槽2および酸化還元電位調整槽3の液面近傍にはスカム除去ポンプ25、25aが設置してあり、嫌気処理槽2および酸化還元電位調整槽3内で発生した窒素ガスによるスカムを液面近傍の余剰汚泥とともに嫌気処理槽2および酸化還元電位調整槽3の下側に向かって送り出すことで、スカムを破砕しつつ嫌気処理槽2および酸化還元電位調整槽3内の撹拌を行うようになっている。スカム除去ポンプ25、25aは軸流ポンプや水中ミキサーを使うのが望ましいが、各槽が比較的小型の場合は水中ポンプの吸込口に吸込ノズルを取り付け、この吸込ノズルを上に、吐出口を下に向けて使用しても良い。
このように、好気処理槽1内へ移送した余剰汚泥を超音波処理装置4で再基質化し、好気処理槽1内を曝気撹拌することで再基質化した汚泥を生分解し、アンモニアの生成から硝化までを行うことができる。
また、膜分離槽装置5によって汚泥を濃縮し、得られた膜透過水は好気処理槽1から排出し、汚泥の生分解が進んでも好気処理槽1内の汚泥の濃度を一定に保つことができる。
また、好気処理槽1と嫌気処理槽2の間で汚泥を循環することにより、再基質化処理によって生分解可能となった汚泥を電子供与体として利用することで、好気処理槽1で生成した硝酸を窒素と水に分解し、汚泥のpHを6〜7の中性近傍で維持することが可能となる。
このため、好気処理槽1は間欠曝気をすることなく、連続で曝気することが可能となり、膜分離装置5による濃縮も連続で行うことが可能となり、膜分離装置5に要する分離膜の枚数を削減することができ、また揺動床24に付着した細菌や原生動物などによって汚泥の分解を行うことができ、装置の小型化と低コスト化が可能となる。
また、嫌気処理槽2の液面近傍の汚泥の流動がスカムによって阻害され、嫌気処理槽2内の撹拌が不均一となるのを防ぐことができる。
なお、膜分離装置5の細孔径は0.4μmのMF膜であり、処理水にSSは全く流出しない。膜の形状は平膜でも中空糸膜でもよいが、平膜の方が閉塞し難かった。
また、酸化還元電位調整槽3は、嫌気処理槽2内汚泥の酸化還元電位を脱窒反応に適した値に安定化させる緩衝作用としての役割を担っている。嫌気処理槽内の酸化還元電位が安定化しない原因として、好気処理槽1からの持込溶存酸素の影響があり、この酸素をすみやかに除去させることができなければ、好気嫌気循環処理の循環比を増大させる必要があり、結果として生物処理槽の大型化を招く。このため、酸化還元電位調整槽内に生息する好気性細菌や通性嫌気性細菌に対して、再基質化処理を施した汚泥を添加することによって、その代謝を促進させ、好気呼吸が増加することによる嫌気的雰囲気へのすみやかな移行を可能とすることができる。
なお、汚泥を破砕・可溶化する手段としては、物理的方法や化学的方法、生物的方法が知られており、物理的方法としては、超音波処理、高速噴流処理、ミル破砕処理等があり、化学的方法として、オゾン酸化処理、熱アルカリ処理、電解処理、水熱処理(高温高圧処理)等が、生物的方法としては好熱細菌処理等があり、これらを組み合わせた方法もあり、いずれの方法を用いてもよい。
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
まず、本発明の効果を明確にするため、従来の膜分離と間欠曝気による汚泥処理実験を実施設で行った。
図7は膜分離と間欠曝気による汚泥処理システムの処理フローを示したものである。
「排水処理系」は排水処理槽301と沈殿槽302と汚泥返送管309で構成されており、原水は「排水処理系」の排水処理槽301へ流入し、散気管305によって排水処理槽301内の活性汚泥とともに曝気撹拌されることによって原水中のBODが除去、汚泥が生成される。
BODを除去した活性汚泥は沈殿槽302へ移送され、重力沈降によって固液分離され、清澄な上澄みは処理水として排出される。
一方、沈殿槽302に沈んだ活性汚泥は汚泥返送管309を通じて排水処理槽301へと返送されて再利用されるが、BODを除去して生成された(増加した)汚泥は余剰汚泥として余剰汚泥引抜管310を通じて「汚泥処理系」の好気汚泥消化槽303へと移送され、排水処理系内の活性汚泥量は一定に保たれるようになっている。
「汚泥処理系」は好気性汚泥消化槽303と、好気汚泥消化槽303内に膜分離装置306と、撹拌ミキサー312と、膜分離装置306の下部には膜散気装置307が配置されている。
「排水処理系」より好気性汚泥消化槽303へ移送された余剰汚泥は、好気汚泥消化槽303と汚泥を超音波によって破砕・可溶化する超音波処理装置304間を循環することで、微生物によって分解可能な再基質化汚泥となる。
好気性汚泥消化槽303内の余剰汚泥と再基質化汚泥の混合液は膜散気装置307によって曝気撹拌され、好気処理が行われる。
膜分離装置306は膜散気装置307によって曝気しつつ、膜吸引ポンプ308を運転することで、好気性汚泥消化槽303内の汚泥と再基質化汚泥の混合液を濃縮し、混合液中の水分をろ過して処理水として排出するようになっている。
膜散気装置307は所定時間間隔でONとOFFを繰り返すようになっており、膜散気装置307がONの時は、膜吸引ポンプ308もONとなって、膜分離装置306で濃縮を行い、膜散気装置307がOFFの時は、膜吸引ポンプ308はOFFとなり、撹拌ミキサー312がONとなるよう制御される。
なお、膜分離装置306の細孔径は0.4μmのMF膜であり、処理水にSSは全く流出しない。膜の形状は平膜でも中空糸膜でもよいが、平膜の方が閉塞し難かった。
なお、汚泥を破砕・可溶化する手段としては、物理的方法や化学的方法、生物的方法が知られており、物理的方法としては、超音波処理、高速噴流処理、ミル破砕処理等があり、化学的方法として、オゾン酸化処理、熱アルカリ処理、電解処理、水熱処理(高温高圧処理)等が、生物的方法としては好熱細菌処理等があり、これらを組み合わせた方法もあり、いずれの方法を用いてもよい。
本汚泥処理実験の実験条件は下記の通りとし、冬期(12〜2月)を含む約17ヶ月間連続運転し、超音波処理装置の汚泥破砕性能を示す汚泥再基質化率、超音波で破砕した汚泥を微生物が分解した量を示す汚泥削減量を測定、評価した。
(実験条件)
好気汚泥消化槽303内MLSS:20,000mg/L
好気汚泥消化槽303の有効容積:60m3
汚泥移送量:17kgDS/日
好気汚泥消化槽303内pH:6〜7
水温:常温
膜散気装置307の間欠曝気サイクル:1時間ON・1時間OFF
超音波処理汚泥量:51kgDS/日
超音波処理汚泥の再基質化率:約60%
(再基質化率の測定方法)
再基質化とは超音波処理等により汚泥を破砕し、微生物が吸着・同化・分解可能な状態に変換することを指し、再基質化が進むほど微生物による分解は促進されることが知られている。再基質化率とは、汚泥中に38μm未満のSS(Suspended Solid)が含まれる割合であり、式(1)より算出した。
好気汚泥消化槽303内MLSS:20,000mg/L
好気汚泥消化槽303の有効容積:60m3
汚泥移送量:17kgDS/日
好気汚泥消化槽303内pH:6〜7
水温:常温
膜散気装置307の間欠曝気サイクル:1時間ON・1時間OFF
超音波処理汚泥量:51kgDS/日
超音波処理汚泥の再基質化率:約60%
(再基質化率の測定方法)
再基質化とは超音波処理等により汚泥を破砕し、微生物が吸着・同化・分解可能な状態に変換することを指し、再基質化が進むほど微生物による分解は促進されることが知られている。再基質化率とは、汚泥中に38μm未満のSS(Suspended Solid)が含まれる割合であり、式(1)より算出した。
ε=(A2/A1)×100 ・・・(1)
ε:汚泥の再基質化率(%)
A1:汚泥の全TOC(mg/L)
A2:汚泥中の38μm未満のSSに含まれるTOC(mg/L)
なお、TOCの測定は可溶化成分については、株式会社 島津製作所製 型番TOC−VCSN、固形成分については、同社製 SSM−5000Aを用いて測定を行った。
ε:汚泥の再基質化率(%)
A1:汚泥の全TOC(mg/L)
A2:汚泥中の38μm未満のSSに含まれるTOC(mg/L)
なお、TOCの測定は可溶化成分については、株式会社 島津製作所製 型番TOC−VCSN、固形成分については、同社製 SSM−5000Aを用いて測定を行った。
(汚泥削減量の測定方法)
汚泥削減量は余剰汚泥に含まれるSSの生物処理量を示す値であり、式(2)より算出し、超音波処理と生物処理による汚泥削減性能を評価した。
汚泥削減量は余剰汚泥に含まれるSSの生物処理量を示す値であり、式(2)より算出し、超音波処理と生物処理による汚泥削減性能を評価した。
D=( Q1×X1 ×10-6)−( Vt×Xt×10-6) ・・・(2)
D:汚泥削減量(kgDS/日)
Q1:好気汚泥消化槽303へ移送される余剰汚泥量(L/日)
X1:移送される余剰汚泥のMLSS(mg/L)
Vt:好気汚泥消化槽303内汚泥汚泥容積(L)
Xt:好気汚泥消化槽内MLSS(mg/L)
なお、SSの測定は「JIS K0102―1998 14.1 懸濁物質」に従っておこなった。
D:汚泥削減量(kgDS/日)
Q1:好気汚泥消化槽303へ移送される余剰汚泥量(L/日)
X1:移送される余剰汚泥のMLSS(mg/L)
Vt:好気汚泥消化槽303内汚泥汚泥容積(L)
Xt:好気汚泥消化槽内MLSS(mg/L)
なお、SSの測定は「JIS K0102―1998 14.1 懸濁物質」に従っておこなった。
超音波による汚泥の再基質化率および汚泥削減量の実験結果を次に示す。
図8は超音波処理前・後の汚泥の粒径毎(5μm未満、5〜38μm、38μm以上)のTOCを示し、このTOCと式(1)より算出した超音波処理前・後の再基質化率を表1に示している。
表1より、超音波処理前の再基質化率は6%に対して、超音波処理後の再基質化率は69%となっており、汚泥は十分に破砕されていることが確認できた。このように汚泥フロックが小さく破砕され、再基質化されることで、微生物による分解が可能となる。
図9は全実験期間513日に渡る好気性消化槽303への余剰汚泥の累積投入量と好気性消化槽303への蓄積量のトレンドを示している。
図9より全期間で12,863kgDSの余剰汚泥が排水処理系から好気性消化槽303へ投入されたにも関わらず、好気性消化槽303内の汚泥は6,962kgDSしか増加しなかったことが分かる。
このことから、好気性消化槽303では一日あたり、
(12,863kgDS−6,962kgDS)/513日=11.5kgDS
の汚泥が生物分解されたということが分かる。
(12,863kgDS−6,962kgDS)/513日=11.5kgDS
の汚泥が生物分解されたということが分かる。
好気性汚泥消化槽303の有効容積は60m3であることから、本実験における生物処理槽単位容積あたりの汚泥分解量は、
11.5kgDS/60m3=0.19kgDS/m3日
であることが分かった。
11.5kgDS/60m3=0.19kgDS/m3日
であることが分かった。
なお、本実験における膜透過水のT−Nは30mg/L程度であった。
図10は汚泥が超音波等によって再基質化され、微生物によって分解されていく過程を概念的に示したものである。
図10に示すように,余剰汚泥は菌体細胞や菌体外物質などの高分子有機化合物で構成されており、そのままでは微生物によって分解されにくい。
そこで、超音波等の物理化学処理で汚泥フロックを分散、菌体細胞を破壊し、微生物によって分解し易い有機化合物へと加工する。
次に、この有機化合物を生物処理によって糖、アミノ酸、脂肪酸、リン酸などの溶解性物質へと低分子化する。最後に、これらの溶解性物質も生物処理によって二酸化炭素や窒素や水へと分解することで消滅する。
式(3)〜(5)は好気性消化槽303内における余剰汚泥の分解過程を示したものである。
C5H7N+5O2→5CO2+2H2O+NH3・・・(3)
2NH4+4O2→2NO3 -+2H2O+4H+・・・(4)
2NO3+12H++10e-→N2+6H2O・・・(5)
余剰汚泥(一般的にはC5H7Nと示される)は超音波で破砕された後、微生物の働きにより低分子化され、式(3)に示すように好気的環境下で酸化されて二酸化炭素と水とアンモニアに分解される。
2NH4+4O2→2NO3 -+2H2O+4H+・・・(4)
2NO3+12H++10e-→N2+6H2O・・・(5)
余剰汚泥(一般的にはC5H7Nと示される)は超音波で破砕された後、微生物の働きにより低分子化され、式(3)に示すように好気的環境下で酸化されて二酸化炭素と水とアンモニアに分解される。
次にアンモニアは式(4)に示すように、好気的環境下で硝化菌によって酸化されて硝酸と水に分解される。
膜分離装置306を用いた生物処理では硝化菌が高濃度になるため、膜透過水とともにに排出される硝酸よりも、硝化菌によって生成される硝酸の方が多くなり、pHが低下し、好気性汚泥消化槽303内の微生物の活性が低下してしまうという課題がある。
そこで、通常は一定時間間隔毎に曝気を停止し、式(5)に示すように嫌気的雰囲気下で脱窒菌によって硝酸を窒素に還元することで、pHを中性近傍で維持するような運転が可能となる。
しかしこの場合、生物処理の状況に合わせてブロアのON/OFFサイクルを微調整しなければならないため、pHの制御が困難であるという課題を有する。
また、長時間曝気を停止すると分離膜が閉塞するという課題を有する。
また、脱窒のために曝気を停止すると膜分離を行うことができず、分離膜の枚数が余分に必要になるという課題も有している。
本汚泥処理実験の実験条件は下記の通りとし、食品工場の排水処理場に有効容積14m3の生物処理槽と超音波処理装置を設置、約6ヶ月間連続運転し、好気処理槽1と嫌気処理槽2の間に汚泥を循環させながら処理する上での課題の抽出とともに、超音波処理装置の汚泥破砕性能を示す汚泥再基質化率、超音波で破砕した汚泥を微生物が分解した量を示す汚泥削減量を測定、評価した。
(実験条件)
好気処理槽1内MLSS:20,000mg/L
嫌気処理槽2内MLSS:20,000mg/L
好気汚泥処理槽1の有効容積:8.4m3
嫌気汚泥処理槽2の有効容積:5.6m3
生物処理槽30の有効容積:8.4m3+5.6m3=14m3
好気汚泥移流管6の流量:20L/min
水温:常温
汚泥移送量:14kgDS/日
好気処理槽1および嫌気処理槽2内pH:6〜7
膜散気装置307の間欠曝気サイクル:連続曝気
超音波処理汚泥量:42kgDS/日
超音波処理汚泥の再基質化率:約60%
(再基質化率の測定方法)
従来の膜分離と間欠曝気による汚泥処理実験と同じ方法によって行った。
好気処理槽1内MLSS:20,000mg/L
嫌気処理槽2内MLSS:20,000mg/L
好気汚泥処理槽1の有効容積:8.4m3
嫌気汚泥処理槽2の有効容積:5.6m3
生物処理槽30の有効容積:8.4m3+5.6m3=14m3
好気汚泥移流管6の流量:20L/min
水温:常温
汚泥移送量:14kgDS/日
好気処理槽1および嫌気処理槽2内pH:6〜7
膜散気装置307の間欠曝気サイクル:連続曝気
超音波処理汚泥量:42kgDS/日
超音波処理汚泥の再基質化率:約60%
(再基質化率の測定方法)
従来の膜分離と間欠曝気による汚泥処理実験と同じ方法によって行った。
(汚泥削減量の測定方法)
汚泥削減量は余剰汚泥に含まれるSSの生物処理量を示す値であり、式(6)より算出し、超音波処理と生物処理による汚泥削減性能を評価した。
汚泥削減量は余剰汚泥に含まれるSSの生物処理量を示す値であり、式(6)より算出し、超音波処理と生物処理による汚泥削減性能を評価した。
D2=( Q2×X2×10-6)−( Va×Xa×10-6+Vb×Xb×10-6) ・・(6)
D2:汚泥削減量(kgDS/日)
Q2:好気処理槽1へ移送される余剰汚泥量(L/日)
X2:移送される余剰汚泥のMLSS(mg/L)
Va:好気処理槽1の有効容積(L)
Xa:好気処理槽内MLSS(mg/L)
Vb:嫌気処理槽2の有効容積(L)
Xb:好気処理槽内MLSS(mg/L)
なお、SSの測定は「JIS K0102―1998 14.1 懸濁物質」に従っておこなった。
D2:汚泥削減量(kgDS/日)
Q2:好気処理槽1へ移送される余剰汚泥量(L/日)
X2:移送される余剰汚泥のMLSS(mg/L)
Va:好気処理槽1の有効容積(L)
Xa:好気処理槽内MLSS(mg/L)
Vb:嫌気処理槽2の有効容積(L)
Xb:好気処理槽内MLSS(mg/L)
なお、SSの測定は「JIS K0102―1998 14.1 懸濁物質」に従っておこなった。
本実験において、超音波処理前・後の汚泥の粒径毎(5μm未満、5〜38μm、38μm以上)のTOCおよび、このTOCと式(1)より算出した超音波処理前・後の再基質化率は図8および表1とほぼ同じであった。
実験開始から約5ヶ月間は好気処理槽1と嫌気処理槽2の間に汚泥を循環させながら処理する上で数々の課題が発生した。その中でも最も対策に苦慮した生物処理槽30内の汚泥の黒色化について次に述べる。
なお、実験開始当初は嫌気処理槽2にはスカム除去ポンプ25は取り付けていなかった。
実験開始から1ヶ月程度で生物処理槽30内のMLSSが20,000mg/Lに達すると、ほどなく嫌気処理槽2内の液面に、大量の黒色化したスカムが発生した。その後、嫌気処理槽2内に発生した黒色化スカムが嫌気処理槽2の液面付近の流動を阻害、液面上の滞留領域が徐々に増加し、生物処理槽30内の汚泥全部が黒色化してしまい、膜分離装置5によるろ過も困難となり、汚泥削減量も少なくなっていった。
このように、汚泥が黒色化してしまった原因は次のように考察した。
生物処理槽30内の汚泥をMLSS20,000mg/Lという高濃度で維持すると、汚泥の粘度が著しく上昇し、特に嫌気処理槽2において、均一な流動が困難となる。
一部流動が停止した領域が発生すると、汚泥がさらに嫌気的雰囲気へと変化し、脱窒菌ではなく、さらに高い嫌気度を好む硫酸塩還元菌が優先種となる。
硫酸塩還元菌は嫌気的雰囲気下で硫酸イオンの還元を行い、最終産物として硫化水素を発生する。この硫化水素は汚泥中の可溶化鉄と反応して硫化鉄となり、汚泥の黒色化を引き起こしたと考えられる。
実際、嫌気処理槽2内で発生したスカムを長時間(数週間以上)放置しておいたところ、スカム付近で汚泥の流動が阻害され、嫌気処理槽2内の酸化還元電位(以下ORPと記す)が−200mV以下まで低下した。
脱窒反応に適したORPは−100mV〜―200mVであることが一般に知られているので、黒色化した汚泥では脱窒反応は起きていないものを考えられる。
以上の結果より、本実験装置で安定した生物処理を行うポイントは、嫌気処理槽2内で発生するスカムを長時間滞留させず、嫌気処理槽2内の汚泥を均一に流動させることにあることが明らかとなった。そこで、嫌気処理槽2の液面近傍にスカム除去ポンプを設置することにした。
次に嫌気処理槽2内の酸化還元電位の変化について説明する。
図11は実験開始後約90日間の好気処理槽1のMLSS(▲)と嫌気処理槽2のORP(●)との関係を示したものである。
生物処理槽内のMLSSは、余剰汚泥の供給や膜分離装置による汚泥の濃縮、および削減率の変動によって日々刻々と変化する。たとえば、図11において実験開始後25日から55日の区間、MLSSが25,000〜35,000mg/Lまで達した。図11のように、好気処理槽1MLSSと嫌気処理槽2のORPには一定の相関が見られ、MLSSが高い場合、汚泥の粘性等の影響により酸素の汚泥中への溶解度が減少し、ORPが低下したものと示唆される。
安定した脱窒処理を行うためには、硝酸の供給とともに、ORPの適正管理が必要となる。本発明のような膜分離装置を用いた汚泥処理系では、日々刻々をMLSSが変化し、それに応じてORPも変化するため、ORPの安定化を目的とした酸化還元電位調整槽を嫌気処理槽2前段に設けてもよい。
図12は全6ヶ月に渡る実験期間のうち、生物処理が安定してから約11日間の生物処理槽30への余剰汚泥の累積投入量と生物処理槽30への蓄積量のトレンドを示している。
なお、本実験においては揺動床は設置せずに実験を行った。図12より11日間で142kgDSの余剰汚泥が排水処理系から生物処理槽30へ投入されたにも関わらず、生物処理槽30内の汚泥は69kgDSしか増加しなかったことが分かる。
このことから、生物処理槽30では一日あたり、
(142kgDS−69kgDS)/11日=6.6kgDS
の汚泥が生物分解されたということが分かる。生物処理槽30の有効容積は14m3であることから、本実験における生物処理槽単位容積あたりの汚泥分解量は、
6.6kgDS/14m3=0.47kgDS/m3日
であることが分かった。
(142kgDS−69kgDS)/11日=6.6kgDS
の汚泥が生物分解されたということが分かる。生物処理槽30の有効容積は14m3であることから、本実験における生物処理槽単位容積あたりの汚泥分解量は、
6.6kgDS/14m3=0.47kgDS/m3日
であることが分かった。
これは、図9に示した膜分離と間欠曝気による汚泥処理実験により得られた0.19kgDS/m3日に対して2.5倍である。超音波処理装置4による超音波処理後の汚泥の再基質化率は図9に示した膜分離と間欠曝気による汚泥処理実験とほぼ同じであるから、この生物処理槽単位容積あたりの汚泥分解量の増加は好気処理槽1と嫌気処理槽2の間で汚泥を循環させて処理する生物処理槽30による生物処理によって、生物処理槽が単位容積あたりに分解する汚泥処理速度が約2.5倍になったと考えられる。
このように、生物処理槽が単位容積あたりに分解する汚泥処理速度が約2.5倍になった理由としては下記の2つが考えられる。
1)従来の膜分離と間欠曝気による汚泥処理方法では図13に示すように1時間程度で頻繁に好気処理と嫌気処理を切替えていたが、嫌気処理槽2を追加することで、図14に示すように好気処理槽1の滞留時間7h・嫌気処理槽2の滞留時間4.6h、というように各処理工程を長時間維持することが可能となり、微生物が好気・嫌気各工程に馴染んで図15に示すように生物処理の反応速度が最大近傍で安定して処理できるようになり、効率よく式(3)〜(4)の反応が行われるようになった。
2)嫌気工程の時間が長くなったので、脱窒が効率よく行われるようになり、生物処理槽30内の窒素含有率が低下し、汚泥の分解に伴う微生物細胞の再合成(同化)が抑制され、結果的に汚泥分解量が増加した。
これは、図13に示した膜分離と間欠曝気による汚泥処理実験における膜透過水のT−Nが30mg/Lであったのに対して、本実験では膜透過水のT−Nが10mg/Lと低いことから、推測される。
なお、脱窒反応には硝酸呼吸の電子源としてメタノール等の電子供与体の投入が必要であるが、本実験では、このような電子供与体を投入することなく良好な脱窒反応が行われた。
これは、超音波処理装置4によって微生物細胞が破砕され、微生物細胞に含まれるアミノ酸類や糖類等、電子供与体となりうる物質が電子供与体の供給源となり、脱窒反応を促進し、汚泥削減に寄与しているものと考えられる。
本発明による汚泥削減方法および装置は、工場や、排水処理施設などの有機質排水処理によって発生する余剰汚泥に対して適用することができる。
1 好気処理槽
2 嫌気処理槽
3 酸化還元電位調整槽
4 超音波処理装置
5 膜分離装置
6 好気汚泥移流管
7 嫌気汚泥移流管
8 酸化還元電位調整汚泥移流管
9 嫌気汚泥移流口
10 酸化還元電位調整汚泥移流口
11 好気汚泥移流ポンプ
12 未再基質化汚泥移流管
13 再基質化汚泥返送管
14 未再基質化汚泥移流ポンプ
15 散気装置
16 散気管
17 曝気ブロア
18 酸化還元電位調整槽用曝気ブロア
19 再基質化汚泥返送先切換装置
20 嫌気状態検知装置
21 制御装置
22 信号線
23、23a 撹拌ミキサ
24 揺動床
25、25a スカム除去ポンプ
30 生物処理槽
31 余剰汚泥流入口
32 膜透過水流出口
33 仕切板
2 嫌気処理槽
3 酸化還元電位調整槽
4 超音波処理装置
5 膜分離装置
6 好気汚泥移流管
7 嫌気汚泥移流管
8 酸化還元電位調整汚泥移流管
9 嫌気汚泥移流口
10 酸化還元電位調整汚泥移流口
11 好気汚泥移流ポンプ
12 未再基質化汚泥移流管
13 再基質化汚泥返送管
14 未再基質化汚泥移流ポンプ
15 散気装置
16 散気管
17 曝気ブロア
18 酸化還元電位調整槽用曝気ブロア
19 再基質化汚泥返送先切換装置
20 嫌気状態検知装置
21 制御装置
22 信号線
23、23a 撹拌ミキサ
24 揺動床
25、25a スカム除去ポンプ
30 生物処理槽
31 余剰汚泥流入口
32 膜透過水流出口
33 仕切板
Claims (20)
- 好気処理領域と嫌気処理領域から構成される生物処理槽を有し、汚泥を破砕・可溶化する再基質化手段により汚泥を処理する汚泥処理方法において、前記好気処理領域内には膜分離手段と曝気手段を備え、余剰汚泥を前記生物処理槽へ移送し、前記生物処理槽内の汚泥を前記生物処理槽と前記再基質化手段との間で循環させて再基質化しつつ、前記曝気手段により前記好気処理領域を連続曝気し、前記膜分離手段によって得られた膜透過水を前記好気処理領域から排出することで、前記好気処理領域内の汚泥を濃縮し、この濃縮した汚泥を前記好気処理領域と前記嫌気処理領域との間で循環することで生物処理を行うことを特徴とする汚泥処理方法。
- 前記嫌気処理領域の前段に、酸化還元電位調整領域を設け、前記膜分離手段によって濃縮した汚泥を前記好気処理領域と前記酸化還元電位調整領域および前記嫌気処理領域との間で循環することで生物処理を行うことを特徴とする請求項1記載の汚泥処理方法。
- 前記好気処理領域内の汚泥を前記再基質化手段により再基質化し、再基質化した汚泥を前記好気処理領域か前記嫌気処理領域、または、前記好気処理領域か前記酸化還元電位調整領域へと移送することを特徴とする請求項1または2記載の汚泥処理方法。
- 余剰汚泥を前記好気処理領域へ移送し、前記好気処理領域内の汚泥を前記好気処理領域と前記再基質化手段との間で循環することを特徴とする請求項1記載の汚泥処理方法。
- 好気処理槽と嫌気処理槽からなる生物処理槽と再基質化手段を備え、前記好気処理槽には余剰汚泥の流入口と、膜透過水の流出口と、膜分離手段と、前記膜分離手段下方に散気管を配置し、前記好気処理槽から前記嫌気処理槽へ汚泥を移流する好気汚泥移流管と、前記好気汚泥移流管に好気汚泥移流ポンプと、前記嫌気処理槽から前記好気処理槽へ汚泥を移流する嫌気汚泥移流管と、前記好気処理槽から前記再基質化手段へと汚泥を移流する未基質化汚泥移流管と、前記未基質化汚泥移流管に未基質化移流ポンプと、前記再基質化手段から前記好気処理槽へ汚泥を返送する第1の再基質化汚泥返送管とを有し、前記好気処理槽の液位よりも前記嫌気処理槽の液位が高いことを特徴とする汚泥処理装置。
- 前記嫌気処理槽の前段に酸化還元電位調整槽を備え、前記好気移流管は前記好気処理槽から前記酸化還元電位調整槽へ汚泥を移流し、前記酸化還元電位調整槽から前記嫌気処理槽へ汚泥を移流する酸化還元電位調整汚泥移流管とを有し、前記嫌気処理槽の液位よりも前記酸化還元電位調整槽の液位が高いことを特徴とする請求項5記載の汚泥処理装置。
- 前記好気処理槽と前記嫌気処理槽、または前記好気処理槽と前記嫌気処理槽および酸化還元電位調整槽は、前記嫌気処理槽内の汚泥、または前記酸化還元電位調整槽から前記嫌気処理槽までのいずれかの箇所における汚泥の嫌気状態を検知する嫌気状態検知手段を有し、前記第1の再基質化汚泥返送管に再基質化汚泥返送先切換手段と、この再基質化汚泥返送先切換手段から前記嫌気処理槽、または前記酸化還元電位調整槽へ汚泥を返送する第2の再基質化汚泥返送管を備え、嫌気処理槽内の汚泥の嫌気状態に応じて、再基質化汚泥の返送先を前記好気処理槽か前記嫌気処理槽かを切換えるか、または酸化還元電位調整槽から嫌気処理槽までのいずれかの箇所における汚泥の嫌気状態に応じて、再基質化汚泥の返送先を前記好気処理槽か前記酸化還元電位調整槽かを切換えることを特徴とする請求項5または6記載の汚泥処理装置。
- 前記好気処理槽と前記嫌気処理槽、または前記好気処理槽と前記嫌気処理槽および酸化還元電位調整槽は、前記嫌気状態検知手段と制御装置を備え、前記制御装置は、前記嫌気状態検知手段で検知した嫌気状態に応じて、前記再基質化汚泥返送先切換手段を制御して、再基質化汚泥の返送先を前記好気処理槽か前記嫌気処理槽かを切換えるか、または再基質化汚泥の返送先を前記好気処理槽か前記酸化還元電位調整槽かを切換えることを特徴とする請求項7記載の汚泥処理装置。
- 各槽間は、仕切板によって区分されたことを特徴とする請求項5または6記載の汚泥処理装置。
- 前記好気処理槽と前記嫌気処理槽、または前記好気処理槽と前記酸化還元電位調整槽は、底部近傍を移流管によって接続することを特徴とする請求項5または6記載の汚泥処理装置。
- 前記好気処理槽と前記嫌気処理槽、または前記好気処理槽と前記嫌気処理槽および酸化還元電位調整槽は、前記嫌気汚泥移流管が前記嫌気処理槽の液面近傍と前記好気処理槽の液面上の空間、または前記嫌気汚泥移流管が前記嫌気処理槽の液面近傍と前記好気処理槽の液面上の空間および前記酸化還元電位調整汚泥移流管が前記酸化還元電位調整槽の液面近傍と前記嫌気処理槽の液面上の空間を接続することを特徴とする請求項5または6記載の汚泥処理装置。
- 前記嫌気処理槽、または前記嫌気処理槽および前記酸化還元電位調整槽の液面近傍にスカム除去手段を設けたことを特徴とする請求項5または6記載の汚泥処理装置。
- 前記スカム除去手段は、各槽の液面に浮かんでいるスカムを液面近傍の汚泥とともに各槽の下側に向かって送り出すことを特徴とする請求項12記載の汚泥処理装置。
- 前記嫌気処理槽、または前記嫌気処理槽および前記酸化還元電位調整槽に汚泥撹拌手段を設けたことを特徴とする請求項5または6記載の汚泥処理装置。
- 前記嫌気状態検知手段が溶存酸素濃度計であることを特徴とする請求項7記載の汚泥処理装置。
- 前記嫌気状態検知手段が酸化還元電位計であることを特徴とする請求項7記載の汚泥処理装置。
- 前記酸化還元電位調整槽に曝気手段を設けたことを特徴とする請求項6記載の汚泥処理装置。
- 前記曝気手段は、前記嫌気状態検知手段によって制御されることを特徴とする請求項17記載の汚泥処理装置。
- 前記好気処理槽に揺動床を設けたことを特徴とする請求項5に記載の汚泥処理装置。
- 前記揺動床を、前記散気管から前記膜分離手段に向けて放出される有酸素気泡によって形成される水流の前記膜分離手段より下流域に配置したことを特徴とする請求項19に記載の汚泥処理装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010046584A (ja) * | 2008-08-20 | 2010-03-04 | Nissei Plant Kk | 余剰汚泥減量化設備 |
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JP2011020069A (ja) * | 2009-07-17 | 2011-02-03 | Panasonic Corp | 汚泥削減手段の運用方法と装置 |
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US10781119B2 (en) | 2013-02-22 | 2020-09-22 | Bl Technologies, Inc. | Membrane assembly for supporting a biofilm |
US11850554B2 (en) | 2014-03-20 | 2023-12-26 | Bl Technologies, Inc. | Wastewater treatment with primary treatment and MBR or MABR-IFAS reactor |
-
2007
- 2007-03-27 JP JP2007080953A patent/JP2008114215A/ja active Pending
Cited By (10)
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US11724947B2 (en) | 2013-02-22 | 2023-08-15 | Bl Technologies, Inc. | Membrane assembly for supporting a biofilm |
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