JP2008114142A - スラリー脱水処理方法および装置、ならびに懸濁液処理システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スラリーに凝集剤を添加してフロック化してフロック圧送ポンプ13によりフィルタープレス装置6に圧送して加圧脱水を行う。スラリーへの凝集剤の添加を2段に分けて行い、前段ではアニオン系高分子凝集剤を添加し、後段ではカチオン系高分子凝集剤を添加する。フロック生成装置11と、フィルタープレス装置6と、フロック圧送ポンプ13とを備え、フロック生成装置には前後2段の凝集剤添加装置を備え、その後段にフロック貯留槽12を備える。上記のスラリー脱水処理装置10を懸濁液の処理システムにおける凝集沈降槽1の後段に備える。
【選択図】図1
Description
そのようなスラリーの脱水処理手法としてはフィルタープレス、ベルトプレス、真空脱水、遠心脱水、スクリュープレス等が一般的であるが、なかでもフィルタープレスは他の手法に比べて脱水後のケーキの含水率を充分に低下させることができ、また大型のフィルタープレス装置では1度に多量のスラリーを処理できる点で有効であり、大規模な処理施設において広く採用されている。
そして、上記のような凝集沈降槽1における沈降分離処理によってその底部に沈降してスラリー化した固形物を脱水処理するべく、それをスラリーポンプ3によってスラリー槽4に送ってそこに貯留しつつ攪拌しながら一定濃度(たとえば固形物濃度10〜20%程度、言い換えると含水率90〜80%程度)のスラリーを調製し、所定量のスラリーが貯留されたらスラリーポンプ5によってフィルタープレス装置6に圧送して加圧脱水処理を行い、それによって脱水ケーキの含水率を35〜45重量%程度として次工程に移送して適宜処分するようにしている。なお、フィルタープレス装置6により分離された分離水は分離水槽7に回収し、懸濁液と混合されて凝集沈降槽に戻して再処理することが通常である。
したがって、従来おいては1日当たりではせいぜい2〜3サイクルの稼働が限界であって、大型のフィルタープレス装置であっても総合的な処理能力は必ずしも充分といえるものではなく、大規模な水処理施設では必要とされる処理能力を確保するために大型のフィルタープレス装置を何台も並設せざるを得ず、そのために多大の設備費と運転費を必要としていてこの種の施設のコスト削減を図るうえでの障害ともなっている。
本発明のスラリー脱水処理方法においては、処理対象のスラリーへの凝集剤の添加を前後2段に分けて行い、前段ではアニオン系高分子凝集剤を添加し、後段ではカチオン系高分子凝集剤を添加することが好ましい。
本発明のスラリー脱水処理装置においては、フロック生成装置に前後2段の凝集剤添加装置を備え、前段の凝集剤添加装置はアニオン系高分子凝集剤の添加装置とし、後段の凝集剤添加装置はカチオン系高分子凝集剤の添加装置とすることが好ましい。
また、本発明のスラリー脱水処理装置においては、フロック生成装置の後段に、該フロック生成装置により生成したフロックを貯留するとともにフロックと分離水とを分離するためのフロック貯留槽を備えることが好ましい。
特に、スラリーをフロック化するに際してはアニオン系高分子凝集剤とカチオン系高分子凝集剤とを前後2段に分けて添加することにより、それにより生成されるフロックは圧送に際しては壊れ難く、しかも加圧脱水に際しては容易に脱水されやすいものとなるので、最も効果的である。
また、本発明の懸濁液処理システムによれば、従来一般の懸濁液処理システムの後段に上記のスラリー脱水処理装置を備えることのみで、清澄な分離水が得られるとともに、それに伴って発生する多量のスラリーを効率的に脱水処理することが可能である。
そのフロック生成装置11には公知の凝集剤を適宜手法で添加する添加装置を備えれば良いが、図2に示しているように前後2段の凝集剤添加装置14(14a、14b)を設置することが好ましい。図示例では前段の凝集剤添加装置14aはアニオン系高分子凝集剤を添加するものとされていて、その大半をラインミキサ15に対して供給するとともに一部をフロック生成装置11に直接供給するものとされている。また、後段の凝集剤添加装置14bはアニオン系高分凝集剤をフロック生成装置11に対して直接供給するものとされている。
この際、凝集剤の添加は上述したように前後2段の凝集剤添加装置14により2段に分けて行うことが好ましく、特に前段の添加装置14aによりアニオン系高分子凝集剤を添加し、後段の添加装置14bによりカチオン系高分子凝集剤を添加することが最適である。
また、後段の添加装置14bによるカチオン系高分子凝集剤の添加量は、アニオン系高分子凝集剤の添加量に応じて適宜設定すれば良く、この場合の凝集剤の一次溶解液も0.2〜1.0重量%程度、特に0.3〜0.5重量%の液が好ましい。なお、カチオン系高分子凝集剤の添加量は、アニオン系高分子凝集剤の添加量の1/20〜1/10程度とすることが好ましい。
なお、フィルタープレス装置6においてフロックから分離された分離水は、フロック貯留槽12において上澄み液として分離される分離水とともに分離水層7に回収し、可能であれば適宜処分するか循環使用し、さらに処理する必要があれば凝集沈降槽1に戻して再処理する。
その主たる理由は、従来においては微細な粒子が主体である均一攪拌混合スラリーをそのまま加圧脱水することからろ布での目詰まりが生じ易く、したがって短時間に急激な加圧脱水を行うことには自ずと限界があったのに対し、本実施形態ではより大きな粒子の塊としてのフロックとしたことで加圧脱水に際して目詰まりが自ずと生じ難いものとなり、短時間での急激な加圧脱水が支障なく行われるためである。
つまり、前段の添加装置14aによりアニオン系高分子凝集剤を添加することにより生成されるフロックは、高分子ポリマーと土粒子とがからみあって強固なフロックを形成し、したがってそのフロックはフロック圧送ポンプ13による圧送に際しても容易に壊れることがなく、フロックのままでフィルタープレス装置6に支障なく圧送できるものとなる。ただし、そのようなフロックは内部に水分も取り込んでしっかりと団粒化した含水フロックとなっており、充分に強固であるが故にそのままではフィルタープレス装置6における加圧脱水工程においては極めて脱水し難い状態となっている。そこで、後段の添加装置14bにより少量のカチオン系高分子凝集剤をさらに添加して緩速攪拌混合することにより、フロックにおける高分子の鎖が部分的に外されてその内部に取り込まれている水分が排出され易いものとなり、それによりフィルタープレス装置6における加圧脱水工程により容易に脱水可能なものとなるのである。
したがって、懸濁液を清澄化するための処理に伴って発生するスラリーを対象としてその脱水処理効率の向上を可能とするためには、凝集沈降槽1の後段でスラリーを積極的にフロック化するための工程と、生成したフロックをフロックのままで圧送する工程が不可欠であり、本実施形態のようにフロック生成装置11による格別のフロック化処理工程を付加し、かつそれにより生成したフロックをチューブポンプやスクリューポンプ、シリンダーポンプ等のフロック圧送ポンプ13によって静的に圧送することが必須であり、それにより加圧脱水工程の効率向上を初めて実現し得るのである。
特に、上述したようにアニオン系とカチオン系の2種の高分子凝集剤を前後2段に分けて添加すれば、上記のような処理に適合した最適な構造のフロックを形成することができることから、そのようにすることが最適である。
この結果から、従来のようにスラリーのままで脱水した場合には脱水時間に600秒(10分)を要しても脱水量は100ml程度に過ぎないのに対し、アニオン系やカチオン系の凝集剤を単独で添加した場合、あるいはその双方を添加した場合には、いずれも100秒(2分足らず)で300ml以上の脱水量が得られて脱水処理効率が格段に向上し、特にアニオン系とカチオン系の凝集剤の双方を添加した場合が最も効果的であることがわかる。
また、フロックを生成した後に敢えて破壊した場合には、フロックのままで処理する場合に比べて効率が若干は低下するものの、フロック化することなくスラリーのままで処理する場合に比較すれば充分なる改善効果が得られている。このことから、フロック圧送に際してはフロックが破壊されないようにそのまま可及的に静的に圧送すべきではあるが、仮にフロック圧送ポンプにより多少破壊されたとしても従来に比べれば充分な処理効率が得られることがわかる。
勿論、フロック生成装置11は単にスラリーに凝集剤を添加して攪拌混合するものであれば良いのでさして複雑なものではないし、フロック貯留槽12やフロック圧送ポンプ13も何等特殊なものではないので、それらを設置するために要するコスト増は些少であるし、またフロック生成に長時間を要するものでもないから、総合的には設備費および運転費の双方について大きくコストダウンを図ることができ、充分な改善効果を得ることができる。
たとえば、フロック生成装置の構成としては、上記実施形態で例示したようにスラリーをスクリューで移送しつつ凝集剤を攪拌混合するものに限らず、たとえば特許第3728647号公報に開示されている泥水連続処理設備におけるフロック生成槽のように、スラリーを水槽内において攪拌機によって攪拌混合する構成のものも好適に採用可能である。但し、上記公報に示されているように生成したフロックを排出シュート内を落下させたり、その後段でフロックの粒径をさらに調整するようなことは好ましくなく、上記実施形態のように生成したフロックをフロック貯留12に貯留し、あるいはフロック生成装置11から直接的に、フロック圧送ポンプ13によって可及的に静的にフィルタープレス装置6に圧送すべきである。
また、スラリーをフロック化するための凝集剤の添加は上述したように前後2段に分けて行うこととして、前段ではアニオン系高分子凝集剤を添加し、後段ではカチオン系高分子凝集剤を添加することが最適ではあるが、図3にも示したようにアニオン系あるいはカチオン系の凝集剤を単独で使用した場合であっても充分に効果的であることから、凝集剤の種類やその添加工程については特に限定されるものではない。
勿論、凝集剤としてはアニオン系およびカチオン系の高分子凝集剤に限るものではなく、アルギン酸ナトリウムやCMC(カルボキシ・メチルセルロース)などの天然有機系凝集剤や、場合によっては無機系凝集剤を使用しても良い。
2 ポンプ
3 スラリーポンプ
4 スラリー槽
5 スラリーポンプ
6 フィルタープレス装置
7 分離水槽
10 スラリー脱水処理装置
11 フロック生成装置
12 フロック貯留槽
13 フロック圧送ポンプ
14(14a、14b) 凝集剤添加装置
15 ラインミキサ
Claims (6)
- スラリーに対する脱水処理を行うための方法であって、
処理対象のスラリーに凝集剤を添加してフロック化し、そのフロックをフロック圧送ポンプによってフィルタープレス装置に圧送して加圧脱水を行うことを特徴とするスラリー脱水処理方法。 - 請求項1記載のスラリー脱水処理方法であって、
処理対象のスラリーへの凝集剤の添加を前後2段に分けて行い、前段ではアニオン系高分子凝集剤を添加し、後段ではカチオン系高分子凝集剤を添加することを特徴とするスラリー脱水処理方法。 - スラリーに対する脱水処理を行うための装置であって、
処理対象のスラリーに凝集剤を添加してフロック化するフロック生成装置と、フロックを加圧脱水するフィルタープレス装置と、フロック生成装置において生成したフロックをフィルタープレス装置に圧送するフロック圧送ポンプとを備えてなることを特徴とするスラリー脱水処理装置。 - 請求項3記載のスラリー脱水処理装置であって、
フロック生成装置には前後2段の凝集剤添加装置を備え、前段の凝集剤添加装置はアニオン系高分子凝集剤の添加装置とされ、後段の凝集剤添加装置はカチオン系高分子凝集剤の添加装置とされていることを特徴とするスラリー脱水処理装置。 - 請求項3または4記載のスラリー脱水処理装置であって、
フロック生成装置の後段に、該フロック生成装置により生成したフロックを貯留するとともにフロックと分離水とを分離するフロック貯留槽を備えてなることを特徴とするスラリー脱水処理装置。 - 請求項3〜5のいずれかに記載のスラリー脱水処理装置を備えた懸濁液処理システムであって、
前記スラリー脱水処理装置の前段に、懸濁液に凝集剤を添加して水と固形物とを分離することによって清澄な分離水を回収するとともに固形物をスラリー化して沈降させる凝集沈降槽を配置し、該凝集沈降槽の底部に沈降したスラリーを前記スラリー脱水処理装置に送るスラリーポンプを備えてなることを特徴とする懸濁液処理システム。
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