JP2008113608A - 培地及びそれを用いた、目的ポリペプチドを15nで標識する方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】遺伝子工学的手法により生産される目的ポリペプチドを15Nで標識することが可能な培地であって、効率良く目的ポリペプチドを合成させることができ、その結果、従来法よりも少量の培地で短時間で必要量の15N標識目的ポリペプチドを生産することができる培地及び該培地を用いた、目的ポリペプチドを15Nで標識する方法を提供すること。
【解決手段】通常の大腸菌をM9培地で培養することにより15Nで標識した大腸菌の加水分解物を窒素源として添加した培地中で、所望の外来遺伝子を導入した形質転換大腸菌を培養すると、該形質転換大腸菌による外来蛋白質の合成速度が大きく、かつ、該形質転換大腸菌が産生する蛋白質が15Nで標識される。
【選択図】なし
【解決手段】通常の大腸菌をM9培地で培養することにより15Nで標識した大腸菌の加水分解物を窒素源として添加した培地中で、所望の外来遺伝子を導入した形質転換大腸菌を培養すると、該形質転換大腸菌による外来蛋白質の合成速度が大きく、かつ、該形質転換大腸菌が産生する蛋白質が15Nで標識される。
【選択図】なし
Description
本発明は、大腸菌等を培養する培地及びそれを用いた、遺伝子工学的手法により生産される目的ポリペプチドを15Nで標識する方法に関する。
遺伝子工学的手法、すなわち、所望の外来遺伝子を大腸菌等の宿主細胞に導入し、宿主細胞中で外来遺伝子を発現させて該外来遺伝子によりコードされる目的蛋白質を生産することは広く行なわれている。目的蛋白質の構造を解析したい場合、核磁気共鳴吸収(NMR)法は有力なツールである。
NMR法で蛋白質の構造解析を行うには、配列各位置のアミノ酸に由来するシグナルを同定する必要があり、この目的に比較的単純なスペクトルを与える1H-15N HSQC(Heteronuclear Single Quantum Correlation)NMRを利用することが多い。これに必要な15N-標識蛋白質(窒素原子の安定な放射性同位体である質量数15の窒素原子(15N)を分子内に含む蛋白質)は、15NH4Clを窒素源とする化学合成培地(M9培地)を用いて調製されてきた。
M9培地は、無機塩である15NH4Clを実質的に唯一の窒素源としていることから、大腸菌の培養に従来から広く用いられているLB培地等の複合培地(窒素源として酵母抽出物やトリプトンを含む)に比べて蛋白質の合成速度が大幅に低いという問題がある。従って、所望の外来遺伝子を導入した大腸菌を培養して該外来遺伝子によりコードされる目的蛋白質を、構造解析に必要な量だけ生産しようとすると、数リットルもの培地を用いて長時間にわたって培養を行なう必要がある。このため、目的蛋白質を必要量得るための時間とコストがかかる。さらに、実験室のスペースや培養に必要な装置類の数には限りがあり、1つの目的蛋白質を生産するのに多量の培地(すなわち大きなスペース)と時間を必要とする従来法では、1つの実験室で多種類の目的蛋白質を並行して生産することは困難である。
従って、本発明の目的は、遺伝子工学的手法により生産される目的ポリペプチドを15Nで標識することが可能な培地であって、効率良く目的ポリペプチドを合成させることができ、その結果、従来法よりも少量の培地で短時間で必要量の15N標識目的ポリペプチドを生産することができる培地及び該培地を用いた、目的ポリペプチドを15Nで標識する方法を提供することである。
本願発明者らは、鋭意研究の結果、通常の大腸菌をM9培地で培養することにより15Nで標識した大腸菌の加水分解物を窒素源として添加した培地中で、所望の外来遺伝子を導入した形質転換大腸菌を培養すると、該形質転換大腸菌による外来蛋白質の合成速度が大きく、かつ、該形質転換大腸菌が産生する蛋白質が15Nで標識されることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、15N含有細菌の加水分解物を窒素源として含む培地を提供する。また、本発明は、所望の外来遺伝子を発現する細胞を、上記本発明の培地中で培養することにより、前記外来遺伝子の発現により産生される目的ポリペプチドを15Nで標識することを含む、目的ポリペプチドを15Nで標識する方法を提供する。
所望の外来遺伝子を導入した宿主細胞を本発明の培地中で培養すると、目的ポリペプチドを15Nで標識するために従来から用いられているM9培地等と比較して、宿主細胞中での目的ポリペプチドの合成効率が高く、かつ、目的ポリペプチドが15Nで標識される。従って、NMR解析に必要な量の目的ポリペプチドを、従来法に比較して少量の培地を用い、短時間で得ることができる。従って、多種類の目的ポリペプチド産生する多種類の宿主細胞を並行して培養することも容易になり、本発明は、ポリペプチドの構造解析に大いに貢献するものと期待される。
上記の通り、本発明の培地は、15Nを含む細菌の加水分解物を窒素源として含む。細菌としては、遺伝子工学や発酵分野で広く用いられ、培養条件や培地が確立している大腸菌や枯草菌等が好ましく、特に大腸菌が好ましい。
15N含有細菌は、細菌を構成する各種生体分子中の窒素原子が15Nである細菌であり、周知の方法により得ることができる。例えば、窒素源として15N含有無機塩を含む培地で細菌を培養することにより得ることができ、好ましくは、窒素源として実質的に15N含有無機塩、好ましくは15NH4Clのみを含む培地で細菌を培養することにより得ることができる。ここで、「実質的に」とは窒素源として15N含有無機塩のみを含むか又は他の窒素源を含んでいても少量(好ましくは窒素源全体の10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下、最も好ましくは0%)であることを意味する。大腸菌の場合、従来から行われているように、M9培地中で培養することにより、15N含有大腸菌を得ることができる。M9培地の具体的な組成は下記実施例に記載されている。M9培地は窒素源として15Nのみを含むので、M9培地中で大腸菌を培養すると、大腸菌を構成しているほぼ全分子(大腸菌が生産する全ポリペプチドを包含する)中のほぼ全窒素原子が15Nになる。M9培地中で大腸菌を培養する場合、培養温度は、好ましくは、大腸菌の至適温度である37℃前後(±2℃)で、通常、24時間〜36時間程度培養する。
15N含有細菌の加水分解物は、細菌をそのままアルカリ金属水酸化物水溶液、好ましくは水酸化ナトリウム水溶液のような強アルカリや、塩酸のような強酸の水溶液で加水分解処理し、溶液部分を回収することにより得ることができる。強アルカリの場合、そのpHは好ましくは13以上、さらに好ましくは14以上であり、強酸の場合、そのpHは好ましくは2以下、さらに好ましくは1以下である。菌体の湿重量1g当り、強アルカリ又は強酸の水溶液を0.2mL以上、好ましくは0.3mLから3mL程度加えることが好ましい。加水分解は、加熱下で行なうことが好ましく、80℃以上、さらに好ましくは煮沸下(約100℃)で行なうことが好ましい。この場合、加水分解の時間は好ましくは10分間〜40分間、さらに好ましくは15分間〜30分間程度である。加水分解処理後、菌体残渣を遠心分離により除去し、上清を回収することにより、15N含有細菌の加水分解物を得ることができる。得られた加水分解物を上記した強酸又は強アルカリで中和することが好ましい。中和後のpHは好ましくは6.5〜7.5程度である。
本発明の培地は、15N含有細菌の加水分解物を窒素源として含む。該加水分解物の培地中の終濃度は特に限定されないが、通常、1w/v%〜15w/v%程度、好ましくは2w/v%〜7w/v%程度である。
前記加水分解をアルカリ処理により行なった場合には、加水分解により生じるグリシン、セリン、スレオニン及びアルギニンも分解されてしまうので、これらのアミノ酸は培地に別途添加することが好ましい。同様に、加水分解を酸処理により行なった場合には、トリプトファンが分解されてしまうので、トリプトファンを培地に別途添加することが好ましい。添加するこれらのアミノ酸の培地中の終濃度は、特に限定されないが、通常、各アミノ酸について0.5mM〜8mM、好ましくは1mM〜4mM程度である。なお、添加する各アミノ酸は、15Nで標識されたものが好ましい。15Nで標識された各アミノ酸は市販されているので、市販品を用いることができる。
所望の外来遺伝子を導入した宿主細胞内での外来遺伝子の発現をラクトース代謝により誘導する場合には、培地はさらにラクトースを含む。この場合、培地中のラクトースの終濃度は通常、0.05w/v%〜0.8w/v%、好ましくは0.1w/v%〜0.4w/v%程度である。ラクトース代謝により外来遺伝子の発現を誘導する場合には、発現誘導のための操作(吸光度のモニタリングや培養規模のスケールアップ等)が不要であり、同時に多種類の細胞を別々に培養する場合に便利である。
宿主細胞の増殖効率を高めるため、培地はさらに、グルコースやガラクトース等の単糖類や、グリセロールを含むことが好ましい。培地中の単糖類(複数種類の場合はそれらの合計)の終濃度は、特に限定されないが、通常、0.02w/v%〜0.4w/v%、好ましくは0.04w/v%〜0.2w/v%程度である。また、培地中のグリセロールの終濃度は、特に限定されないが、通常、0.1w/v%〜2w/v%、好ましくは0.2w/v%〜1w/v%程度である。なお、グリセロールは化学構造上、糖ではないが、糖蜜状であるので、下記実施例では、グルコース及びラクトースと共にグリセロールを含む液を糖質混合液と呼んでいる。
培地はさらに、エネルギー代謝に関する生体機能の維持のためにマグネシウムイオンを含むことが好ましい。マグネシウムイオンは、通常、硫酸マグネシウム等のマグネシウムの無機塩を添加することにより添加される。培地中のマグネシウムイオンの終濃度は、特に限定されないが、通常、0.2mM〜4mM程度、好ましくは0.4mM〜2mM程度である。
培地はさらに、pHの変動を防止するために緩衝液を含んでいることが好ましい。緩衝液を含まないと、細菌の場合、通常、培養時間の経過とともにpHが低下し、菌の増殖が抑制されるので、これを防止するために培地が緩衝液を含んでいることが好ましい。培地のpHは、培養開始時点で6.5〜7.5程度が好ましく、特に約7.0が好ましい。
培地はさらに、培養する細胞の種類に応じて、所望により上記以外の添加成分をさらに含んでいてもよい。
所望の外来遺伝子を発現する細胞を、上記した本発明の培地中で培養することにより、前記外来遺伝子の発現により産生される目的ポリペプチドを15Nで標識することができる。
ここで、「遺伝子」は天然の遺伝子のみならず、cDNAや人為的に製造した所望の塩基配列を有する任意の核酸をも包含する意味で用いており、DNAでもRNAでもよい。通常、PCR等の核酸増幅法で増幅された核酸が好ましく用いられるが、これらに限定されるものではない。この外来遺伝子によりコードされるポリペプチドが目的ポリペプチドであり、15Nで標識すべきポリペプチドである。
培養される、外来遺伝子を発現する細胞は、特に限定されないが、遺伝子工学分野で広く用いられ、培養条件や培地が確立している大腸菌や枯草菌等が好ましく、特に大腸菌が好ましい。
培養条件は、培養する細胞の増殖に適した条件であり、従来と同様の条件でよい。例えば、大腸菌の場合、大腸菌の至適温度である37℃前後(±2℃)で、通常、24時間〜36時間程度培養するが、これに限定されるものではない。
上記本発明の培地は、窒素源として15N含有細菌の加水分解物を含み、培養される細胞はこれを取り込んでタンパク質を合成するので、目的ポリペプチドを構成する窒素原子が15Nとなり、目的ポリペプチドが15Nで標識される。さらに、本発明の培地を用いて細胞を培養すると、従来のM9培地等を用いた場合と比較して、大幅に目的ポリペプチドの合成速度が大きくなる。これは、培地中に含まれる15Nは、M9培地のように無機塩ではなく、主としてアミノ酸を構成する窒素原子であり、培養細胞がこれらの15N含有アミノ酸を取り込んで目的ポリペプチドを合成するためであると考えられる。
目的ポリペプチドは、公知の方法により培養物から回収することができる。すなわち、例えば、細胞を超音波破砕等により破砕し、破砕物を遠心分離で除去し、上清をクロマトグラフィーや電気泳動等にかけることにより目的ポリペプチドを回収することができる。
目的ポリペプチドの回収後に得られる細胞(目的ポリペプチドが分泌性の場合)や細胞破砕物は、15Nを含むので、培養細胞が細菌の場合にはこれを加水分解物の調製のための出発原料としてリサイクルすることができる。
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
1. 15N標識大腸菌の調製
以下の組成を有するM9培地約3リットルに2mgの大腸菌菌体(菌株名BL21(DE3))を加え、37℃で28時間培養した。遠心分離により湿重量28 gの菌体を集菌し、これを15N-大腸菌とした。
以下の組成を有するM9培地約3リットルに2mgの大腸菌菌体(菌株名BL21(DE3))を加え、37℃で28時間培養した。遠心分離により湿重量28 gの菌体を集菌し、これを15N-大腸菌とした。
M9培地の組成
Na2HPO4(12H2O) 38.4g
KH2PO4 9g
NaCl 1.5g
15NH4Cl 4.5g
逆浸透水(pH7.4) 3リットル
1M MgSO4 6ml
1M CaCl2 0.3ml
グルコース 30g
FeCl3 (3.5ml/l) 70μl
チアミン(2.4mg/l) 3ml
ビオチン(1.2mg/l) 30ml
Na2HPO4(12H2O) 38.4g
KH2PO4 9g
NaCl 1.5g
15NH4Cl 4.5g
逆浸透水(pH7.4) 3リットル
1M MgSO4 6ml
1M CaCl2 0.3ml
グルコース 30g
FeCl3 (3.5ml/l) 70μl
チアミン(2.4mg/l) 3ml
ビオチン(1.2mg/l) 30ml
2. 15N-大腸菌の加水分解
上記1で得られた15N-大腸菌10g(湿重量)に、4 mL の5 M NaOH溶液を加え、大腸菌体を加水分解するためこの液を100℃で40分間加熱した。加水分解した液をHClで中和(pH 7.0付近)後、遠心分離(3,270 ×g、30分)して上清を回収した。
上記1で得られた15N-大腸菌10g(湿重量)に、4 mL の5 M NaOH溶液を加え、大腸菌体を加水分解するためこの液を100℃で40分間加熱した。加水分解した液をHClで中和(pH 7.0付近)後、遠心分離(3,270 ×g、30分)して上清を回収した。
3. 培地の調製
以下の組成を有する本発明の培地を調製した。
培地の組成
上記2で得られた加水分解物 上記2で得られた量の1/4
15N-アミノ酸混合液*1 5ml
糖質混合液*2 2ml
1M MgSO4 0.1ml
1M リン酸緩衝液*3 5ml
逆浸透水で全量を100mlにする
*1: Gly、Ser、Thr、Arg 各40mMをpH7.0に調製した液
*2: 25%グリセロール、5%グルコース、10%ラクトース
*3: KH2PO4 13.6 g、Na2HPO4 14.2gに逆浸透水を加えて100 mlにし、pHを6.8に調整した液
以下の組成を有する本発明の培地を調製した。
培地の組成
上記2で得られた加水分解物 上記2で得られた量の1/4
15N-アミノ酸混合液*1 5ml
糖質混合液*2 2ml
1M MgSO4 0.1ml
1M リン酸緩衝液*3 5ml
逆浸透水で全量を100mlにする
*1: Gly、Ser、Thr、Arg 各40mMをpH7.0に調製した液
*2: 25%グリセロール、5%グルコース、10%ラクトース
*3: KH2PO4 13.6 g、Na2HPO4 14.2gに逆浸透水を加えて100 mlにし、pHを6.8に調整した液
4. 形質転換大腸菌の調製
宿主大腸菌内で発現させる外来遺伝子として、テロメアDNA結合タンパク質であるTRF2のDNA結合ドメイン(DBD, GenBank Accession No.NM_005652)を採用した。発現ベクターは、市販の発現ベクターであるpET-23b(商品名、Novagen社)を用いた。この発現ベクターのマルチクローニング部位に、上記DBDのcDNAとその上流に融合タグとを連結したものを挿入した組換えベクターを用いた。融合タグは、発現ベクターpET160-DEST(商品名、Invitrogen社)に含まれるLumio(商品名)タグ(蛍光物質の存在下で蛍光を発する)コード領域とTEVプロテアーゼ認識部位を切り出し、その上流に開始コドンを付けたものである。この組換えベクターで、大腸菌BL21-star(商品名、Invitrogen社)を、商品の指示書に記載された常法により形質転換した。
宿主大腸菌内で発現させる外来遺伝子として、テロメアDNA結合タンパク質であるTRF2のDNA結合ドメイン(DBD, GenBank Accession No.NM_005652)を採用した。発現ベクターは、市販の発現ベクターであるpET-23b(商品名、Novagen社)を用いた。この発現ベクターのマルチクローニング部位に、上記DBDのcDNAとその上流に融合タグとを連結したものを挿入した組換えベクターを用いた。融合タグは、発現ベクターpET160-DEST(商品名、Invitrogen社)に含まれるLumio(商品名)タグ(蛍光物質の存在下で蛍光を発する)コード領域とTEVプロテアーゼ認識部位を切り出し、その上流に開始コドンを付けたものである。この組換えベクターで、大腸菌BL21-star(商品名、Invitrogen社)を、商品の指示書に記載された常法により形質転換した。
5. 目的ポリペプチドの生産
上記4で調製した、形質転換大腸菌(5%グリセロールストックから約5μリットル)を、上記3で調製した100mlの培地に植菌し、37℃で24時間培養した。遠心分離により集菌し、大腸菌の湿重量を測定した。細胞を1mlのリン酸緩衝液(上記)存在下で超音波破砕し、その懸濁液にLumioタグ(商品名)用の蛍光物質を添加し、17.5% SDS-PAGE電気泳動にかけた。Lumio(商品名)タグを利用して、得られた電気泳動バンドを蛍光発光させ、蛍光強度からタンパク量を算出した。なお、Lumio(商品名)タグが付されているのは外来遺伝子の発現により生産される目的ポリペプチド(TRF2のDBD)だけであるので、算出されたタンパク量は、目的ポリペプチドの生産量である。また、比較のため、上記4で調整した形質転換大腸菌を、300mlのM9培地中で、上記と同条件で培養し、上記と同様にして培養後の大腸菌の湿重量と、生産された目的ポリペプチドの量を測定した。
上記4で調製した、形質転換大腸菌(5%グリセロールストックから約5μリットル)を、上記3で調製した100mlの培地に植菌し、37℃で24時間培養した。遠心分離により集菌し、大腸菌の湿重量を測定した。細胞を1mlのリン酸緩衝液(上記)存在下で超音波破砕し、その懸濁液にLumioタグ(商品名)用の蛍光物質を添加し、17.5% SDS-PAGE電気泳動にかけた。Lumio(商品名)タグを利用して、得られた電気泳動バンドを蛍光発光させ、蛍光強度からタンパク量を算出した。なお、Lumio(商品名)タグが付されているのは外来遺伝子の発現により生産される目的ポリペプチド(TRF2のDBD)だけであるので、算出されたタンパク量は、目的ポリペプチドの生産量である。また、比較のため、上記4で調整した形質転換大腸菌を、300mlのM9培地中で、上記と同条件で培養し、上記と同様にして培養後の大腸菌の湿重量と、生産された目的ポリペプチドの量を測定した。
結果を下記表1に示す。なお、M9培地中で培養した測定結果は、100ml当りの結果に換算して示す。
表1に示されるように、本発明の培地を用いて培養すると、従来のM9培地で培養した場合に比べ、培養後の大腸菌量は1.3倍であるが、生産された目的ポリペプチドの量は約5.6倍であり、本発明の培地を用いることにより目的ポリペプチドの合成効率が大幅に高くなることが明らかになった。なお、本実施例とは別の組換えベクターを用いた実験で、上記した本発明の培地を用いた場合の目的ポリペプチドの生産量は、従来から大腸菌培養用の培地として広く用いられているLB培地を用いた場合よりもさらに多かった。
6. 目的ポリペプチドが15N標識されたことの確認
上記5で生産された、M9培地を用いて得られた目的ポリペプチド(TRF2のDBD)及び上記した本発明の培地を用いて得られた目的ポリペプチドについて、それぞれ1H-15N HSQC NMRにかけた。その結果、両者のスペクトルは完全に一致しており、本発明の培地を用いて目的ポリペプチドを15Nで標識できることが明らかになった。さらに、得られた目的ポリペプチドを質量分析にかけた結果、いずれも理論値と一致しており、意図しない修飾を受けることなく、目的ポリペプチドが生産されていることが明らかになった。
上記5で生産された、M9培地を用いて得られた目的ポリペプチド(TRF2のDBD)及び上記した本発明の培地を用いて得られた目的ポリペプチドについて、それぞれ1H-15N HSQC NMRにかけた。その結果、両者のスペクトルは完全に一致しており、本発明の培地を用いて目的ポリペプチドを15Nで標識できることが明らかになった。さらに、得られた目的ポリペプチドを質量分析にかけた結果、いずれも理論値と一致しており、意図しない修飾を受けることなく、目的ポリペプチドが生産されていることが明らかになった。
Claims (15)
15N含有細菌の加水分解物を窒素源として含む培地。
前記細菌が大腸菌である請求項1記載の培地。
微生物培養用の培地である請求項1又は2記載の培地。
大腸菌培養用の培地である請求項3記載の培地。
前記15N含有細菌は、15N含有無機塩を含む培地で培養されたものである請求項1ないし4のいずれか1項に記載の培地。
前記15N含有細菌は、窒素源として実質的に15N含有無機塩のみを含む培地で培養されたものである請求項5記載の培地。
前記無機塩が15NH4Clである請求項5又は6記載の培地。
前記加水分解がアルカリ処理又は酸処理により行なわれたものである請求項1ないし7のいずれか1項に記載の培地。
前記加水分解がアルカリ処理により行なわれたものであり、前記培地は、添加されたグリシン、セリン、スレオニン及びアルギニンを含む請求項8記載の培地。
添加されたラクトースを含む請求項1ないし9のいずれか1項に記載の培地。
添加されたマグネシウムイオンを含む請求項1ないし10のいずれか1項に記載の培地。
緩衝液を含む請求項1ないし11のいずれか1項に記載の培地。
所望の外来遺伝子を発現する細胞を、請求項1ないし12のいずれか1項に記載の培地中で培養することにより、前記外来遺伝子の発現により産生される目的ポリペプチドを15Nで標識することを含む、目的ポリペプチドを15Nで標識する方法。
目的ポリペプチドを回収した後の細菌及び/又はその破砕物を、前記加水分解物を調製するための原料としてリサイクルすることを含む請求項13記載の方法。
前記細胞が大腸菌である請求項13又は14記載の方法。
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US8426163B2 (en) | 2007-12-07 | 2013-04-23 | National Health Research Institutes | Production of lipidated proteins in E. coli |
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