JP2008112599A - 無電極放電ランプ及び照明器具 - Google Patents
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Abstract
【課題】水銀蒸気圧を制御するための最冷点となる突起部の温度を下げ、光出力を向上させた無電極放電ランプを提供する。
【解決手段】透光性材料により形成された気密容器1内に放電ガス及び最冷点温度で蒸気圧を制御される水銀を封入して成るバルブ2を備え、このバルブ2には外部へ向けて突き出した突起部10を備え、バルブ内面には紫外線を可視光に変換する蛍光体12を塗布されており、誘導コイル3により形成される電磁界の作用により放電ガスを励起発光させる無電極放電ランプにおいて、前記突起部10の蛍光体厚みをバルブ内面の平均的な蛍光体厚みよりも薄くした。
【選択図】図1
【解決手段】透光性材料により形成された気密容器1内に放電ガス及び最冷点温度で蒸気圧を制御される水銀を封入して成るバルブ2を備え、このバルブ2には外部へ向けて突き出した突起部10を備え、バルブ内面には紫外線を可視光に変換する蛍光体12を塗布されており、誘導コイル3により形成される電磁界の作用により放電ガスを励起発光させる無電極放電ランプにおいて、前記突起部10の蛍光体厚みをバルブ内面の平均的な蛍光体厚みよりも薄くした。
【選択図】図1
Description
本発明は、放電ガスを封入したバルブ内に電極を持たず、誘導コイルにより高周波電流を通電することによって形成した高周波電磁界を放電ガスに作用させることにより、放電ガスを放電させる無電極放電ランプとその照明器具に関するものである。
無電極放電ランプは、放電ガスと水銀蒸気を封入したバルブと、このバルブに近接して配置された誘導コイルからなり、誘導コイルに高周波電流を流すことで発生する高周波電磁界によって、バルブ内の水銀蒸気を励起し、水銀蒸気により放射された紫外線が蛍光体により可視光に変換されるようになっている。この無電極放電ランプは、内部に電極を持たない構造となっているため、電極の劣化による不点灯がなく、一般の蛍光灯に比べて長寿命である。
特開平7−272688号公報、実開平6−5006号公報で開示されているような、無電極放電ランプでは、水銀蒸気の供給源としてビスマス−インジウム−水銀アマルガムを使用している。このアマルガムは、周囲温度が変化しても広い範囲で高い光出力が得られるという長所がある。その一方で、高い光出力を実現するためには高いアマルガム温度が必要となり、必要な温度に達するまでの時間がかかってしまう。したがって、立ち上がり時間が遅いという短所があり、ビスマス−インジウム−水銀アマルガムを使用した場合、安定点灯時の光出力に対して60%の光出力を確保するのに1分ほどかかるという結果が得られている。
これに対して、特開2001−325920号公報で開示されているような無電極放電ランプでは、立ち上がり時間を短くする目的で、純粋な水銀滴を使用している。この公報によれば、ランプが始動した後、2〜3秒以内に最大出力の50%に達したと記載されている。これは、水銀滴の方が低い温度でも高い水銀蒸気圧を得ることができ、必要な温度に達するまでの時間が短いからである。ただし、バルブの体積に対して入力電力が大きい高負荷のランプや、周囲温度が高い場合には、バルブの温度が高くなるため、水銀蒸気圧が高くなり過ぎて安定点灯中は光出力が低下してしまう。従って、水銀滴を使用する場合には、水銀の蒸気圧を制御する最冷部(バルブの表面の中で最も温度が低くなる部位)を確保する必要があり、その温度は35℃から45℃程度である。同公報では、バルブに突起部を設けて、その突起部を最冷部としている。また、純粋な水銀滴に代えて、Zn−Hgアマルガムを排気管内に封入した無電極放電ランプが特開2005−346983号公報に開示されており、この文献においても、バルブに突起部を設けて、その突起部を最冷部とすることで水銀蒸気圧を制御している。
特開2005−346983号公報
しかしながら、さらに高負荷のランプの場合には、突起部を設けても温度が高くなりすぎて、水銀蒸気圧が最適範囲から外れることにより、光出力が低下してしまう。また、ランプの周囲温度が高くなるような密閉型照明器具内で用いた場合にも、突起部の温度が上がり、光出力が低下してしまう。
本発明は上記のような問題を解決するためになされたものであり、突起部の温度を下げ、光出力を向上させた無電極放電ランプとその照明器具を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、図1〜図3に示すように、透光性材料により形成された気密容器1内に放電ガス及び最冷点温度で蒸気圧を制御される水銀を封入して成るバルブ2を備え、このバルブ2には外部へ向けて突き出した突起部10を備え、バルブ内面には紫外線を可視光に変換する蛍光体12を塗布されており、誘導コイル3により形成される電磁界の作用により放電ガスを励起発光させる無電極放電ランプにおいて、前記突起部10の蛍光体厚みをバルブ内面の平均的な蛍光体厚みよりも薄くしたことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記気密容器1に誘導コイル3を含むカプラ6が嵌合されるキャビティ7を備え、キャビティ頂部の蛍光体厚みをキャビティ側面の平均的な蛍光体厚みよりも薄くしたことを特徴とする(図4参照)。
請求項3の発明は、請求項1または請求項2のいずれかに記載の無電極ランプと、無電極ランプの内部に電磁界を形成する誘導コイルと、誘導コイルに高周波電流を供給する点灯回路14とを備えた照明器具である(図5参照)。
請求項1の発明によれば、突起部の蛍光体厚みを薄くして、光の透過率を上げている。光の透過率を上げることで、バルブ内で発生した光の吸収による温度上昇を減らすことができる。また、紫外線を可視光に変換するときに蛍光体で発生する熱も減らすことができるので、突起部の温度が下がる。
請求項2の発明によれば、キャビティ頂部での光の反射または放射が減るので、突起部への光が減り、突起部の温度が下がる。
請求項3の発明によれば、ランプの周囲温度が高くなるような密閉型照明器具内で用いた場合でも、突起部の温度が上がらないため、良好な光出力を得ることが出来る。
(実施形態1)
図1は、実施形態1の無電極放電ランプを示す。この無電極放電ランプは、気密容器1で構成された電球形状のバルブ2よりなり、バルブ2の内部に誘導電磁界を発生させる誘導コイル3を挿入されている。誘導コイル3は中心部に円筒形のフェライトコア4を備えている。フェライトコア4は放熱部材5により保持されている。これらの誘導コイル3とフェライトコア4と放熱部材5は一体化されてカプラ6となり、気密容器1の中心部に設けられた凹部であるキャビティ7に嵌合される。このキャビティ7の底部からキャビティ7の開口に向かって排気管8が突設されている。排気管8内には水銀を放出させるためZn−Hgアマルガム9が収納されている。気密容器1内には、バッファガスとしてアルゴン等の希ガスが数十Pa封入されている。バルブ2の頂部には、突起部10を設けている。バルブ2の内壁およびキャビティ7の周囲には、保護膜11及び蛍光体膜12を塗布している。バルブ2の底部付近には樹脂材からなる円筒状の口金13が取り付けられている。
図1は、実施形態1の無電極放電ランプを示す。この無電極放電ランプは、気密容器1で構成された電球形状のバルブ2よりなり、バルブ2の内部に誘導電磁界を発生させる誘導コイル3を挿入されている。誘導コイル3は中心部に円筒形のフェライトコア4を備えている。フェライトコア4は放熱部材5により保持されている。これらの誘導コイル3とフェライトコア4と放熱部材5は一体化されてカプラ6となり、気密容器1の中心部に設けられた凹部であるキャビティ7に嵌合される。このキャビティ7の底部からキャビティ7の開口に向かって排気管8が突設されている。排気管8内には水銀を放出させるためZn−Hgアマルガム9が収納されている。気密容器1内には、バッファガスとしてアルゴン等の希ガスが数十Pa封入されている。バルブ2の頂部には、突起部10を設けている。バルブ2の内壁およびキャビティ7の周囲には、保護膜11及び蛍光体膜12を塗布している。バルブ2の底部付近には樹脂材からなる円筒状の口金13が取り付けられている。
図2は、実施形態1のランプを備えた無電極ランプ点灯装置を示す。上述のカプラ6には高周波電流を通電する点灯回路14が管灯線15を介して接続される。カプラ6は、バルブ2の口金13に嵌合させるとキャビティ7に挿入される。
この無電極放電ランプの動作を説明する。誘導コイル3に点灯回路14から出力された135kHzの高周波電流を流すと、誘導コイル3の周囲に高周波電磁界が発生する。この高周波電磁界により気密容器1内の電子が加速され、電子の衝突により電離が起こり、プラズマ16が発生する。プラズマ16中では、水銀原子が励起され、基底状態に戻るときに254nmの紫外線を発生する。この紫外線はバルブ2の内壁およびキャビティ7の周囲に塗布された蛍光体12により可視光に変換される。変換された可視光は、バルブ2を透過して外部に放出される。点灯中、プラズマ16による熱でバルブ2は高温となるが、バルブ2の頂部に突起部10を設け、この突起部10を最冷点とすることで、気密容器1内の水銀蒸気圧は下がる。
図3に、突起部10の拡大断面図を示す。突起部10の蛍光体17の厚みを、バルブ2の主たる発光部分の内壁に塗布された蛍光体12の平均的な厚みよりも薄くしている。バルブ2の蛍光体12は、蛍光体を含む混濁液をバルブ2に流し込み、エアーで乾燥させて蛍光体膜を形成しているが、このエアー量や混濁液の粘度を調整することで、突起部の蛍光体17の厚みは容易に調整できる。例えば、エアーにより突起部10の蛍光体17だけを吹き飛ばして厚みを薄くすることも出来る。
蛍光体17の厚みを薄くすると、光の透過率が上がるので、光の吸収による温度上昇を減らすことができる。また、蛍光体17で紫外線を可視光に変換するときに変換ロスが発生するが、この変換ロスによる熱も減らすことができるので、突起部10の温度を下げることができる。
外径φ95mmのバルブ2に高周波電力30Wを入力した場合、突起部10の蛍光体17の厚みを15μmから10μmに変えると、突起部10の温度が約1℃下がることを実験で確認している。
このような構成にすることで、高負荷ランプでも突起部10の温度が下がるため、光出力を向上できる。
(実施形態2)
図4は、実施形態2の無電極放電ランプのキャビティ頂部の拡大図を示す。本実施形態は、キャビティ頂部の蛍光体18の厚みを薄くしている。その他の構成は、実施形態1と同様である。このような構成にすることで、キャビティ頂部での光の反射または放射が減り、突起部10への光が減るので、突起部10の温度が下がる。
図4は、実施形態2の無電極放電ランプのキャビティ頂部の拡大図を示す。本実施形態は、キャビティ頂部の蛍光体18の厚みを薄くしている。その他の構成は、実施形態1と同様である。このような構成にすることで、キャビティ頂部での光の反射または放射が減り、突起部10への光が減るので、突起部10の温度が下がる。
(実施形態3)
図5は、実施形態1または実施形態2のランプを備えた照明器具の概略構成を示す。この照明器具は、反射板19、前面パネル20で密閉され、内部にバルブ2が配置される。このような密閉型の照明器具では、バルブ2の周囲(器具内)温度が高くなるが、実施形態1または実施形態2のランプを用いているため、突起部10の温度が上がらず、光出力の低下を避けることができる。
図5は、実施形態1または実施形態2のランプを備えた照明器具の概略構成を示す。この照明器具は、反射板19、前面パネル20で密閉され、内部にバルブ2が配置される。このような密閉型の照明器具では、バルブ2の周囲(器具内)温度が高くなるが、実施形態1または実施形態2のランプを用いているため、突起部10の温度が上がらず、光出力の低下を避けることができる。
1 気密容器
2 バルブ
3 誘導コイル
4 フェライトコア
5 放熱部材
6 カプラ
7 キャビティ
8 排気管
9 Zn−Hg
10 突起部
11 保護膜
12 蛍光体
13 口金
14 点灯回路
15 管灯線
16 プラズマ
17 突起部の蛍光体
18 頂部の蛍光体
19 反射板
20 前面パネル
2 バルブ
3 誘導コイル
4 フェライトコア
5 放熱部材
6 カプラ
7 キャビティ
8 排気管
9 Zn−Hg
10 突起部
11 保護膜
12 蛍光体
13 口金
14 点灯回路
15 管灯線
16 プラズマ
17 突起部の蛍光体
18 頂部の蛍光体
19 反射板
20 前面パネル
Claims (3)
- 透光性材料により形成された気密容器内に放電ガス及び最冷点温度で蒸気圧を制御される水銀を封入して成るバルブを備え、このバルブには外部へ向けて突き出した突起部を備え、バルブ内面には紫外線を可視光に変換する蛍光体を塗布されており、誘導コイルにより形成される電磁界の作用により放電ガスを励起発光させる無電極放電ランプにおいて、前記突起部の蛍光体厚みをバルブ内面の平均的な蛍光体厚みよりも薄くしたことを特徴とする無電極放電ランプ。
- 前記気密容器に誘導コイルを含むカプラが嵌合されるキャビティを備え、キャビティ頂部の蛍光体厚みをキャビティ側面の平均的な蛍光体厚みよりも薄くしたことを特徴とする請求項1に記載の無電極放電ランプ。
- 請求項1または請求項2のいずれかに記載の無電極ランプと、無電極ランプの内部に電磁界を形成する誘導コイルと、誘導コイルに高周波電流を供給する点灯回路とを備えた照明器具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006293569A JP2008112599A (ja) | 2006-10-30 | 2006-10-30 | 無電極放電ランプ及び照明器具 |
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JP2006293569A Pending JP2008112599A (ja) | 2006-10-30 | 2006-10-30 | 無電極放電ランプ及び照明器具 |
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2006
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