JP2008111782A - エックス線分析装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 測定対象の組成物質の測定を行う場合に、被測定位置に対するエックス線の照射方向と検出方向を高精度に調整することができ、しかも軽量化を向上させて可搬性に優れたエックス線分析装置を提供する。
【解決手段】 発生装置2と検出装置3とを共通のラック6によってこのラック6と噛合するピニオン27a、37aをそれぞれ備えた駆動モータ27、37により各別に移動させるようにする。また、発生装置2と検出装置3とを、それぞれ照射方向と検出方向に移動可能とする。これら発生装置2と検出装置3の移動を案内するガイドレール4を3分割にして形成し、ベースプレート5に形成した収容溝4bに収容させて固定すると共に、該ガイドレール4の内側部分にはベースプレート5に固定した維持板5aを当接させて、ガイドレール4が温度変化等により変形することを防止する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、エックス線を用いて試料を分析するエックス線分析装置に関し、特に、極力正確な測定データを捕捉することができるようにしたエックス線分析装置に関する。
白色エックス線を試料に照射し、その照射位置における回折線と蛍光エックス線とを同時に検出することにより試料を分析するエネルギー分散型エックス線回折・分光装置を、本願出願人は既に提案している(特許文献1参照)。このエックス線回折・分光装置は、白色エックス線発生手段とエックス線検出手段とをそれぞれ離散した異なる第1の位置と第2の位置とに移動させ、それぞれの位置における前記エックス線検出手段により各エネルギー毎のエックス線強度を得て、得られたデータに所定の処理を施して、回折エックス線に関するデータと蛍光エックス線のデータを得るようにしたものである。
このエックス線回折・分光装置では、エックス線発生手段とエックス線検出手段とを、第1の位置と第2の位置とに移動させて測定を行うことができるため、可搬性に優れた装置とすることができるものである。良好な可搬性を備えているため、測定対象が設置されている場所に携行して測定を行うことができる利点を備えている。
さらに、本願出願人はエックス線発生手段とエックス線検出手段の移動を常に所定の関係に支持させて行うことができるようにしたエックス線分析装置を提案している(特許文献2参照)。このエックス線分析装置は、前記エックス線発生手段とエックス線検出手段とを、同一の円弧に沿って移動させると共に、エックス線発生手段の照射方向とエックス線検出手段の検出方向をこの円弧の中心で交差させるよう案内する案内手段と、前記エックス線発生手段とエックス線検出手段とを、それぞれ案内手段に沿って移動させる発生手段移動装置と検出手段移動装置とを備え、前記測定対象の被測定位置を前記円弧の中心である測定予定位置に設定する構成とされたものである。
国際公開 WO 2005/005969 A1 特願2005−359017
上述したように、特許文献1に開示されているエックス線分析装置により、測定対象の設置場所までこのエックス線分析装置を搬入させて測定を行えることにより、汎用性の高いエックス線分析装置となるものである。
このエックス線分析装置による測定に際しては、第1の位置において測定し、次いで第2の位置において測定することによるが、このとき、エックス線発生手段とエックス線検出手段との位置関係も所定の関係に保たれなければならない。すなわち、エックス線発生手段で発生されたエックス線の測定対象に対する照射角度とエックス線検出手段による検出角度とが、第1の位置と第2の位置とでそれぞれ等しくなるように調整する必要がある。しかも、測定対象における被測定位置を、第1の位置での測定時と第2の位置での測定時、すなわちエックス線発生手段とエックス線検出手段の移動の前後において一致させる必要がある。このため、これらエックス線発生手段とエックス線検出手段の移動や停止位置、入射や検出の方向等に高い正確性が要求されることになる。
また、特許文献2に記載されたエックス線分析装置では、第1の位置と第2の位置との移動を確実に行えて、被測定位置を第1の位置と第2の位置とで簡単に試料と一致させることができる。しかし、エックス線発生手段とエックス線検出手段の動作精度を高くするためには、このエックス線分析装置の構造が強固なものとなって、重量が大きくなってしまう。また、エックス線発生手段とエックス線検出手段の移動によって、エックス線分析装置の重心位置が変化することにより生じる第1の位置と第2の位置に被測定位置に対するずれが生じるおそれがある。
そこで、この発明は、エックス線発生手段とエックス線検出手段の移動を高精度に行うことができ、移動の前後において被測定位置を確実に一致させることができるようにするエックス線分析装置を提供することを目的としている。
前記目的のため、この発明に係るエックス線分析装置は、測定対象の被測定位置に対して白色エックス線を照射するエックス線発生手段と、前記被測定位置から放出されたエックス線のエネルギーと強度を検出するエックス線検出手段とを有し、照射角度と検出角度を所定の関係に保って前記エックス線発生手段とエックス線検出手段とをそれぞれ移動させ、前記エックス線検出手段により取得されたエックス線のエネルギーと強度とに基づいて回折エックス線分析と蛍光エックス線分析を行うエックス線分析装置において、前記エックス線発生手段の移動とエックス線検出手段の移動とを案内する共通の案内手段と、前記案内手段に、前記エックス線発生手段とエックス線検出手段とのそれぞれを各別に連繋させてこれらエックス線発生手段とエックス線検出手段を前記案内手段に案内させて各別に移動させる発生手段駆動手段と検出手段駆動手段とからなり、エックス線発生手段の移動とエックス線検出手段の移動とを各別に行うことを特徴としている。
すなわち、エックス線発生手段とエックス線検出手段の移動を、各別に行なうようにしたものである。これらエックス線発生手段とエックス線検出手段を移動させる場合、同期させて行うことにより、これらの位置関係を一定に保つことが容易に行える。例えば、移動部材に対してこれらエックス線発生手段とエックス線検出手段とを連繋させ、移動部材の移動に応じてこれらの各手段が移動する機構を採用することで、移動時の位置関係を一定に保つことができる。しかし、エックス線発生装置とエックス線検出装置の移動範囲を大きくするためには、移動部材の移動範囲が大きくなり、しかも2つの手段を移動させるため、これら各手段の移動量よりも大きく移動させる必要が生じるおそれがあり、このため、この移動部材がエックス線分析装置の外側に突出した位置に位置付く場合が生じ、エックス線分析装置の設置空間が大きくなってしまうおそれがある。このため、エックス線発生手段とエックス線検出手段とを各別に移動させることで、これらの移動を案内する部材を一定位置に固定させることで、エックス線分析装置から突出する部材をなくすようにしたものである。
また、請求項2の発明に係るエックス線分析装置は、前記発生手段駆動手段と検出手段駆動手段は、前記案内手段と所定の位置関係に配したラックと、前記ラックに噛合するピニオンギヤと、前記ピニオンギヤを有する、発生手段用駆動モータと検出手段用駆動モータとからなることを特徴としている。
すなわち、エックス線発生手段とエックス線検出手段の移動を、ラック−ピニオン機構により行うようにしたものであり、ピニオンを出力軸に嵌着させた駆動用モータをこれらエックス線発生手段とエックス線検出手段に各別に連繋させて設けて、この駆動用モータのそれぞれの作動によりこれらの手段をそれぞれ前記ラックに対して移動させるようにしたものである。
また、請求項3の発明に係るエックス線分析装置は、前記発生手段用駆動モータと検出手段用駆動モータは、ステッピングモータからなることを特徴としている。
すなわち、前記駆動用モータにステッピングモータを用いたものである。
また、請求項4の発明に係るエックス線分析装置は、前記案内手段を、前記被測定位置を位置付かせる測定予定位置を中心とした円弧に沿った形状のガイドレールで形成し、前記ガイドレールの両端部の位置を、前記測定予定位置よりも該ガイドレールの敷設側に配し、前記エックス線発生手段とエックス線検出手段とを、それぞれ照射方向と検出方向とに移動可能とし、前記エックス線発生手段とエックス線検出手段とを、前記ガイドレールのそれぞれの端部よりも突出した位置まで移動可能としたことを特徴としている。
エックス線発生装置とエックス線検出装置の移動範囲において、これらの被測定位置に対する角度が最も広角となる位置は、これらの照射方向と検出方向とが一直線となる状態に近い位置である。このとき、測定対象が壁面等のように平面に近いものである場合には、最も広角となる位置に位置した状態では、エックス線発生手段とエックス線検出手段の一部が壁面に当接してしまって、これらの位置の調整を行えない場合が生じる。このため、最も広角となる位置ではこれらエックス線発生手段とエックス線検出手段とを、被測定位置から最も離れた位置まで移動させた状態とすることにより、調整時に壁面との当接を回避するようにしたものである。調整後にこれら手段を被測定位置側に移動させて、エックス線の照射距離と検出距離とを調整する。また、エックス線発生手段とエックス線検出手段とがガイドレールの端部に位置した状態では、これらを駆動する駆動手段がこれらエックス線発生手段とエックス線検出手段を移動させるのに十分な位置にあればよい。このため、エックス線発生手段とエックス線検出手段とをガイドレールの端部よりも突出させた状態に位置付くことを可能とすることができ、このガイドレールの端部を測定予定位置よりも敷設側に配したものである。
また、請求項5の発明に係るエックス線分析装置は、前記ガイドレールを敷設したベースプレートを、前記ガイドレールと相似形に円弧に沿った形状に形成すると共に、このベースプレートの両端部にガイドレールの両端部よりも突出させた突出部を設け、この突出部を支持ブラケットで、該突出部を移動可能に支持したことを特徴としている。
エックス線分析装置は極力軽量とすることが可搬性を確保する上において有利であるから、ベースプレートを、ガイドレールを敷設するのに十分な大きさとしたもので、このためベースプレートの形状をガイドレールと同様に円弧状に形成したものである。また、このベースプレートは保持プレート等によって支持されるが、この保持プレート等よりもベースプレートを突出させ、この突出した部分を支持ブラケットで移動可能に支持するものである。なお、この支持ブラケットはこのエックス線分析装置の架台に固定する。
また、請求項6の発明に係るエックス線分析装置は、前記ガードレールを適宜数に分割した構造とし、前記ベースプレートのガイドレールを収容する収容溝を形成し、この収容溝にガイドレールを収容させて敷設したことを特徴としている。
ガイドレールはエックス線発生手段とエックス線検出手段の移動を高精度に案内する必要があり、また円弧状に形成されているため、一体の円弧状に形成した場合、例えばベースプレートに固定する際に不用意な力が加えられてしまうと、初期応力が生じて経年することにより変形するおそれがある。加工精度を高くすることにより固定時に生じる初期応力は低減させることができる。しかし、加工のための製作コストが大きくなると共に、僅かな温度変化によっても歪みが生じるおそれがある。この僅かな歪みであっても、エックス線発生手段とエックス線検出手段の案内精度が低下してしまい、測定効率が低下するおそれがある。このため、ガードレールを分割構造とし、ベースプレートにこのガイドレールを収容する収容溝を形成したものである。
また、請求項7の発明に係るエックス線分析装置は、前記ガイドレールの内側の円弧面とほぼ等しい円弧面を備えた維持板を前記ベースプレートに取り付て、この維持板によりガイドレールの円弧形状を維持させることを特徴としている。
ガイドレールが変形しては不都合であることは前述の通りであり、より確実に変形を防止するために、ガイドレールの形状を維持するための維持板を設けたものである。
この発明に係るエックス線分析装置によれば、エックス線発生手段とエックス線検出手段の移動を各別に行わせることにより、これらを同期させて移動させるための移動部材等を設ける必要がない。このため、移動部材等を設ける場合のように、動作時にエックス線分析装置の外方に突出する部分が存せず、エックス線分析装置が大型化してしまうことを抑制できる。したがって、可搬性に優れた利点を損なうことがない。
また、請求項2の発明に係るエックス線分析装置によれば、簡単な構造でエックス線発生手段とエックス線検出手段とを各別に駆動させることができる。しかも、これらを共通のラックに担わせることにより、移動量を等しくできるから、各別に駆動する場合であっても移動時の位置調整を容易に行うことができる。
また、請求項3の発明に係るエックス線分析装置によれば、エックス線発生手段とエックス線検出手段の移動を高精度に制御することができるから、測定効率をより高めることができる。
また、請求項4の発明に係るエックス線分析装置によれば、ガイドレールを円弧状に形成し、エックス線発生手段の照射方向とエックス線検出手段の検出方向をこの円弧の中心を通るように調整することにより、これらが確実に被測定位置を指向した状態に維持できる。また、照射方向と検出方向に移動可能とすることにより、測定対象が壁面のようにエックス線発生装置とエックス線検出装置の位置によっては測定対象に当接してしまう場合に、これらを測定対象に当接しない位置まで後退させて、被測定位置に対する照射角度と検出角度とを調整できるので、調整作業を支障なく行うことができる。しかも、ガイドレールの端部よりも突出した状態までエックス線発生手段とエックス線検出手段とを位置させることができるから、被測定対象に対して照射角度と検出角度とを極力広角位置に設定することができる。
また、請求項5の発明に係るエックス線分析装置によれば、ガイドレールに合わせてベースプレートを円弧状としたので、測定対象が立体的で、被測定位置がこの立体の凹んだ部分となる場合には、被測定位置よりも前方にある部分を円弧状の内側部分に位置させることができるので、測定を支障なく行うことができる。また、ガイドレールの端部よりもベースプレートを突出させ、この突出部を移動可能に支持ブラケットで支持することにより、ガイドレールの端部にエックス線発生手段とエックス線検出手段とが位置した場合でも、ベースプレートが撓むことがなく、しかもベースプレートを移動させることができるから、エックス線発生手段とエックス線検出手段の位置決めを行うのに支障がない。
また、請求項6の発明に係るエックス線分析装置によれば、ガイドレールの加工精度を高くしなくてもよく、温度変化により歪んでしまうことを防止できる。
また、請求項7の発明に係るエックス線分析装置によれば、ガイドレールが変形することを確実に防止でき、エックス線発生手段とエックス線検出手段との移動精度を一定に保持することができる。
以下、図示した好ましい実施の形態に基づいて、この発明に係るエックス線分析装置を具体的に説明する。
図1にこの実施形態に係るエックス線分析装置1の正面からの斜視図を、図2に測定のための動作を説明する一部を想像線で示す平面図を、図3に構造を説明する平面図を、図4に正面図をそれぞれ示してある。このエックス線分析装置1は、白色エックス線を発生するエックス線発生手段である発生装置2と、この発生装置2で発生された白色エックス線が測定対象となる測定対象物Oを照射した位置(被測定位置)で反射したエックス線を捕捉して、当該位置におけるエックス線のエネルギーと強度とを検出するエックス線検出手段である検出装置3と、これら発生装置2と検出装置3の移動を案内する案内手段であるガイドレール4等により構成されている。前記発生手段2から発生した白色エックス線はこの発生手段2の先端から照射方向に伸長させたキャピラリー12を通して射出され、前記検出手段3の先端から検出方向に伸長させたキャピラリー13を通して捕捉される。
前記発生装置2と検出装置3は、それぞれ摺動プレート21、31に取り付けられて保持されており、これら摺動プレート21、31は保持プレート22、32に対して、それぞれ照射方向と検出方向に摺動可能とされている。これら摺動プレート21、31の摺動は、図4に示すように、摺動プレート21、31と保持プレート22、32との間に介在させた直動ガイド装置G12によって案内されるようにしてある。また、この摺動プレート21、31には、発生装置2と検出装置3の側方に張り出させて、図2及び図3に示すように、係合ブラケット23a、33aが設けられている。他方、保持プレート22、32のそれぞれには、照射方向側の両端部と検出方向側の両端部とのそれぞれに設けられた支持ブラケット24a、24b、34a、34bに回動自在に駆動スクリュー23b、33bが掛け渡されており、これら駆動スクリュー23b、33bのそれぞれに前記係合ブラケット23a、33aに形成されたナット部が螺合させてある。これら駆動スクリュー23b、33bは、発生装置2の反出射側すなわち背部側の支持ブラケット24aと、検出装置3の反入射側すなわち背部側の支持ブラケット34aよりもさらに背部側に突出させてあり、この突出させた部分に操作つまみ25、35が嵌着されており、操作者がこの操作つまみ25、35を摘んで回転させると駆動スクリュー23b、33bがそれぞれ回動する。また、保持プレート22、32の表面であって前記駆動スクリュー23b、33bに沿った部分には、前記係合ブラケット23a、33aの位置を把握できるよう、目盛26、36が刻設されている。これら保持プレート22、32は前記ガイドレール4に連繋して、このガイドレール4に案内されて移動可能とされている。
前記ガイドレール4は、図1〜図3に示すように、円弧状に形成されている。このガイドレール4の円弧の中心は、図2及び図3に示すように、発生装置2の照射方向Doと検出装置3の検出方向Diとの交点Cとしてあり、この交点Cが測定予定位置となり、測定対象物Oの組成物質を測定する位置となる被測定位置をこの測定予定位置に一致させた状態で測定が行われる。
ガイドレール4は図4に示すように、断面鳩尾形状に形成されており、保持プレート22、32にこの断面形状と合致する形状の連繋溝22a、32aが形成され、この連繋溝22a、32aの長手方向をガイドレール4の曲率と等しい曲率で円弧状に湾曲させてあり、この連繋溝22a、32aを介して保持プレート22、32がガイドレール4と連繋させてある。したがって、前記発生装置2の照射方向と、検出装置3の検出方向とを、前記交点C即ち測定予定位置を指向させた状態に維持しながら移動させることができる。また、このガイドレール4は、分割して形成されている。この実施形態では3分割で形成されており、各別にベースプレート5に止めネジ4aによって固定されている。他方、ベースプレート5には、このガイドレール4が取り付けられる位置に、図4に示すように、収容溝4bが形成されており、ガイドレール4の下端部がこの収容溝4bに収容されて、ガイドレール4の円弧の形状が維持されるようにしてある。さらに、図1〜図3に示すように、ベースプレート5には、ガイドレール4の内側に位置させて、該ガイドレール4の内側の円弧に合致する形状の維持面を有する維持板5aが取り付けられている。すなわち、ガイドレール4を前記収容溝4bに収容させて拘束すると共に、前記維持板5aを、維持面がガイドレール4の内側面に押圧した状態でベースプレート5に固定することにより、ガイドレール4が歪むことを防止している。これは、ガイドレール4が、前述したように、発生装置2と検出装置3の移動を案内する場合に、これら発生装置2と検出装置3の停止時における位置関係には高い精度が要求されるためであり、ガイドレール4に歪みが生じては精度を維持できなくなるおそれがあるためである。
前記ガイドレール4の外方には、このガイドレール4が沿っている円弧と同心の円弧に沿わせて外側に歯6aが形成されている円弧状のラック6が配設されている。他方、前記保持プレート22、32のそれぞれには、前記駆動スクリュー23b、33bを挟んで発生装置2と検出装置3の反対側に、これら発生装置2と検出装置3を移動させるための発生手段駆動手段である発生手段用駆動モータ27と検出手段駆動手段である検出手段用駆動モータ37がそれぞれ取り付けられている。これら駆動モータ27、37にはステッピングモータが用いられ、発生装置2と検出装置3の移動を高精度に制御できるようにしてある。これら駆動モータ27、37の出力軸には前記ラック6と噛合するピニオン27a、37aが嵌着させてある。これらピニオン27a、37aは、2枚の同一形状の歯車を軸方向に重ねると共に、これら2枚の歯車の歯の位置を周方向に僅かにずらして前記出力軸に嵌着させてある。この歯の位置のずれによって、ラック6の歯との間に生じるバックラッシュが除去されるようにしてある。すなわち、発生装置2はラック6とピニオン27a、発生手段用駆動モータ27によりガイドレール4に沿って移動され、検出装置3はラック6とピニオン37a、検出手段用駆動モータ37によりガイドレール4に沿って移動されるように、これら発生装置2と検出装置3とは各別に駆動されるようにしてある。なお、図2及び図3においては、これらラック6とピニオン27a、37aとをピッチ円で示してある。
前記ベースプレート5は、前記ガイドレール4とラック6とが敷設され、前記維持板5aを取り付けるのに十分なほぼ円弧状をした架台部5bと、この架台部5bの背部に伸長させた台板部5cとが一体とされている。この台板部5cにはコントロールボックス7が取り付けられており、前記駆動モータ27、37の駆動回路がこのコントロールボックス7に収容されている。なお、この駆動回路に対して駆動信号等の制御信号を出力する制御回路は、このエックス線分析装置1による測定場所から適宜距離を離隔した位置に配された図示しないメインボックス内に配されている。
前記ベースプレート5の下方には支持プレート8が配されて、これらベースプレート5と支持プレート8とは、ベースプレート5を支持プレート8に対して図2及び図3においてガイドレール4の径方向となるY方向に移動自在に、直動ガイド装置G58を介して連繋させてある。さらに、前記支持プレート8は架台プレート9の上方に配されており、支持プレート8と架台プレート9とは、支持プレート8が架台プレート9に対して図2及び図3においてガイドレール4の径方向と直交する径直角方向となるX方向に移動自在に、直動ガイド装置G89を介して連繋させてある。前記ベースプレート5の支持プレート8に対する移動は径方向駆動モータ51の作動により行われ、支持プレート8の架台プレート9に対する移動は径直角方向駆動モータ81により行われる。なお、この移動機構は、これら駆動モータ51、81の出力回転で駆動スクリューを回動させ、この駆動スクリューと螺合させたナット部を、ベースプレート5と支持プレート8のそれぞれに設けた構造等とすることができる。
前記ベースプレート5は前述したように、少なくとも円弧状に形成する必要から架台部5bを有する形状とされているが、前記支持プレート8と架台プレート9は、前記X方向の移動とY方向の移動を行わせる機構を組み込めるものであれば任意の形状とすることができる。一方、このエックス線分析装置1の小型軽量化は、良好な可搬性を確保するために好ましい。また、ベースプレート5が円弧状とされていれば、測定対象物Oが立体的で、測定位置がこの立体の凹んだ部分となる場合には、測定位置よりも前方にある部分を円弧状の内側部分に位置させることができるので、測定を支障なく行うことができて好ましい。このため、ベースプレート5を円弧状に形成し、支持プレート8と架台プレート9とは、この円弧状の内側に突出する部分がない形状とすることが好ましい。そこで、この実施形態では、架台プレート9はベースプレート5と支持プレート8とを支持するために、ベースプレート5の架台部5bとほぼ等しい形状の円弧状に形成し、支持プレート8は、架台プレート9に対してX方向へ移動することが可能であり、ベースプレート5がY方向へ移動することを案内するのに十分となる大きさの矩形に形成されている。支持プレート8が矩形とされているため、ベースプレート5の測定対象物O側、すなわち前部側の端部が支持プレート8から外れた位置となる。他方、前記発生装置2と検出装置3とはベースプレート5の端部まで移動するが、端部まで移動した場合には、これら発生装置2と検出装置3との重量によってベースプレート5が撓んでしまうおそれがある。これを防止するために、図5に示すように、ベースプレート5の端部の下方に、架台プレート9に固定した支持ブラケット10が配されている。この支持ブラケット10は、架台プレート9に固定された台座部10aに支持部10bが昇降可能に支持されて、高さ調整が自在となるように設けられ、この支持部10bの上面に転動可能に支持球10cが保持されている。ベースプレート5は、下面がこの支持球10cに接した状態で支持されるようにしてある。なお、支持部10bの昇降は、支持部10bの下部にネジ部10dを設け、台座部10aにこのネジ部10dと螺合するナット部を設けて、ネジ部10dを回動させることにより行わせることができる。
前記発生装置2から出射される照射エックス線はキャピラリー12に測定位置を照射するよう案内され、測定位置で反射した検出エックス線はキャピラリー13によって案内されて検出装置3に入射するようにしてある。これらキャピラリー12、13は、発生装置2と検出装置3とのそれぞれに被せられたカバー14、15を介して取り付けられている。キャピラリー12、13は中空円筒で形成されており、いずれのキャピラリー12、13も同一形状であれば発生装置2と検出装置3との間の互換性があって好ましい。前記カバー14、15にはキャピラリーホルダ16が取り付けられており、このキャピラリーホルダ16にキャピラリー12、13が保持される。なお、キャピラリー12、13が同一形状である場合には、キャピラリーホルダ16は発生装置2と検出装置3とに共通の形状とすることが好ましい。
図6は、キャピラリーホルダ16にキャピラリー12が保持された状態を示す断面図である。キャピラリーホルダ16の先端部の開口にはキャピラリーチャック16aが挿入されており、このキャピラリーチャック16aの先端部開口からキャピラリー12が挿入される。このキャピラリーチャック16aは、中間部に先端部よりも拡径された拡径部16dが形成されており、前記キャピラリーホルダ16の先端開口部にはこの拡径部16dよりも内径を小径とした環状の係止環16eが止着されている。また、キャピラリーチャック16aの先端部の外径はこの係止環16eの内径よりも小さくしてある。このため、キャピラリーチャック16aはキャピラリーホルダ16の基端部側から挿入して、前記拡径部16dの段部が前記係止環16eに当接した状態で配されるようにしてある。他方、キャピラリー12にはロックナット16bが遊嵌され、このロックナット16bはキャピラリーチャック16aの先端部の外周面に形成された雄ネジと螺合する。キャピラリーチャック16aの先端部は、外側に僅かに拡開されており、ロックナット16bが締め付けられると、この先端部が内側に撓むようにしてある。また、キャピラリーチャック16aの内周面には、キャピラリー12に接触するよう縮径されたスロート部16cが形成されており、ロックナット16bの締め付けによる前記先端部の撓みによって、このスロート部16cがさらに縮径されてキャピラリー12を適宜な力で保持するようにしてある。他方、キャピラリーホルダ16の先端部近傍には、調整ネジ17が螺合されている。この調整ネジ17は周方向にほぼ等間隔で4カ所に設けられており、先端を前記キャピラリーチャック16aに当接させるようにしてある。この調整ネジ17をそれぞれ適宜に締め付けることにより、キャピラリー12の指向方向を調整できると共に、キャピラリーチャック16aがキャピラリーホルダ16に保持される。
前記発生装置2には前記カバー14が取り付けられて、このカバー14の先端部に前記キャピラリーホルダ16が取り付けられている。エックス線が出射される発生装置2の先端部は円錐台形に形成されており、前記カバー14はこの円錐台形の部分に被せられる。この円錐台形の基部に円柱形の胴部2aが連続しており、この胴部2aに環状の保持フレーム18が嵌着され、この保持フレーム18に前記カバー14が固定されている。カバー14と保持フレーム18との結合は、図4に示すように、保持フレーム18の前面に形成された凹所にカバー14を嵌合させて、いわゆるインロウ形式によって行われている。また、保持フレーム18の背面に形成された凹所に、発生装置2の胴部2aの基部に形成されたフランジ部2bを嵌合させて、いわゆるインロウ形式よって結合させてあり、このフランジ部2bの背面側から固定板18aを当接させ、この固定板18aを保持フレーム18にネジ止めすることにより、このフランジ部2bを保持フレーム18と固定板18aとにより挟持させて、発生装置2が保持フレーム18に固定されている。そして、この保持フレーム18が前記摺動プレート21に止着されて、発生装置2が摺動プレート21に取り付けられた状態としてある。
他方、検出装置3には保持フレーム19が嵌着され、この保持フレーム19に前記カバー15が固定されて取り付けられている。また、この保持フレーム19が前記摺動プレート31に止着されて、検出装置3が摺動プレート31に取り付けられた状態としてある。
前記カバー14、15には管継ぎ手20aが取り付けられており、この管継ぎ手20aを介してカバー14の内外部が連通させてあって、内部側ではキャピラリー12、13の内部に連通させてある。そして、図1に示すようにチューブ20が管継ぎ手20aに接続されている。このチューブ20には、図示しないヘリウムガスの供給装置が接続されており、ヘリウムガスがカバー14の内部からキャピラリー12、13の内部にシールガスとして供給されるようにしてある。なお、シールガスは、チューブ20の途中に流量計等を介在させて、キャピラリー12、13への供給量を調整することができるようにしてある。
前記ガイドレール4は、図1〜図3に示すように、前記交点Cを中心とした円弧に沿ってベースプレート5に設けられている。このベースプレート5のガイドレール4の交点C側に測距手段としての測距装置30が設けられている。この測距装置30は、レーザー光線を発するレーザー光源31と、発せられたレーザー光線が測定対象で反射してその反射光線を受け入れる受光部32とを備えている。また、レーザー光線は、その進行方向が前記交点Cを通過するようにしてあり、極力小さい径のものとすることが好ましい。また、この測距装置30で測定する範囲は、前記交点Cを含む径方向にある位置であって、交点Cの前後に数mm程度の範囲でよく、特に交点Cまでの距離を正確に測定できるものであれば好ましい。この測距装置30の駆動回路と検出された距離情報の処理回路等も前記コントロールボックス7に収容されている。
図7はこのエックス線分析装置により分析を行うシステムの構成を示す図で、エックス線分析装置1の前記発生手段2はエックス線制御器101によりエックス線の発生が制御されている。他方、前記検出装置3の検出信号は増幅器102とマルチチャンネルアナライザ103を介してコンピュータ104に送出されている。また、このコンピュータ104から送出される出力信号が前記ベースプレート5や架台プレート8の駆動信号として前記コントロールボックス7内の駆動回路等を経由して前記径方向駆動モータ51や径直角方向駆動モータ81に送出されている。
前記コンピュータ104の記憶装置には、単体の物質毎に、当該物質の回折エックス線の回折する角度や強度のデータを備えたいわゆるICDDのPDFデータがデータベースとして格納されており、コンピュータ104に入力された前記検出装置3の前記検出信号による測定データのエックス線強度と比較照合することにより測定対象の組成物質が同定される。図8は測定対象から得られたエックス線強度のデータのパターンと前記データベースが備えているパターンを、コンピュータ104の表示装置104a上で比較している状態を例示しており、これら測定データに関するエックス線強度のパターンとデータベースに備えられているパターンとがほぼ一致することを視認して、測定対象の組成に含まれる物質を同定する。すなわち、図8において、連続した波形で測定対象から得られたデータを示し、棒線でICDDのPDFデータを示しており、同図に示すように、測定対象のデータとICDDのデータのピークが一致することにより、測定対象の物質組成がICDDのデータベースから読み出された物質のデータパターンと一致することを表示装置104a上にて視認することによって物質の同定を行う。
以上により構成されたこの発明の実施形態に係るエックス線分析装置1の作用を、以下に説明する。
このエックス線分析装置1では、発生装置2から測定対象物Oに向けて白色エックス線を照射し、測定対象物Oで反射したエックス線を検出装置3で捕捉し、そのエックス線強度を測定して測定対象物Oの組成物質を検出する。この測定に際しては、発生装置2と検出装置3とを移動させ、測定対象物Oにおける被測定位置に対する角度を、例えば、図3に示す広角位置と図2において想像線で示す狭角位置にある場合のそれぞれについて行うものである。このため、発生装置2から発せられたエックス線を被測定位置に確実に照射させ、被測定位置で反射したエックス線を検出装置3で確実に捕捉する必要があると共に、発生装置2と検出装置3の移動の前後において、被測定位置が同一とならなければないらない。まず、この被測定位置に発生装置2の照射位置と検出装置3の検出位置とを一致させる操作を説明する。
発生装置2と検出装置3のキャピラリー12、13の指向方向を前記交点Cで交差するように調整する。キャピラリー12、13は、予めキャピラリーホルダ16に挿入され、先端部に前記ロックナット16bが螺合させてあるキャピラリチャック16aにロックナット16b側から挿入する。このとき、ロックナット16bは締め付けを緩めておくことにより、キャピラリー12、13が円滑に挿入できるようにしておく。他方、キャピラリーホルダ16に螺合させて調整ネジ17を適宜に締め付けて、キャピラリーホルダ16にキャピラリーチャック16aを保持させた状態としておく。キャピラリー12、13がキャピラリチャック16aに挿入された状態でロックナット16bを締め付ける。これにより、キャピラリーチャック16aの先端部が内側に撓み、前記スロート部16cがキャピラリー12、13を押圧するから、キャピラリー12、13がキャピラリーチャック16aに保持された状態となる。そして、前記調整ネジ17を締め付け、あるいは緩めることによりキャピラリーチャック16aのキャピラリーホルダ16に対する姿勢を変更する。すなわち、調整ネジ17は、周方向にほぼ等間隔で4カ所に設けられているから、対向した位置にある一対の調整ネジ17のうち一方を締め付け、他方を緩めることにより、キャピラリーチャック16aは締め付けられた調整ネジ17の押圧力の方向に応じて傾くことになる。したがって、4本の調整ネジ17の締め付け状態に応じて、キャピラリーチャック16aの姿勢を変更させることができ、該キャピラリーチャック16aに保持されているキャピラリー12、13の指向方向を変更することができる。このそれぞれの調整ネジ17の締め付け状態を調整して、キャピラリー12、13の指向方向が交点Cを通過するように調整する。
そして、試料である測定対象物Oにおける測定すべき被測定位置が前記交点Cと一致するように設置する。この状態で、前記測距装置30によって被測定位置に対する距離を測定すれば、この被測定位置が交点C上にあるか否かを判別できる。被測定位置が交点Cと一致していない場合には、前記径方向駆動モータ51と径直角方向駆動モータ81とを必要に応じて作動させる。すなわち、径直角方向駆動モータ81を作動させると、前記支持プレート8が直動ガイド装置G89に案内されて架台プレート9に対してガイドレール4の径方向と直交するX方向に移動するので、測距装置30から発せられたレーザー光線が測定対象Oに入射するように調整する。また、測距装置30により得られた距離が、ベースプレート5上に設定された図示しない基準点と交点Cとの間の距離と異なっている場合には前記径方向駆動モータ51を作動させ、ベースプレート5を支持プレート8に対してY方向に移動させる。これにより、図示しない前記基準点から交点Cまでの距離と、同じく測定対象Oの被測定位置までの距離とを等しくすることができる。これらの調整によって、被測定位置が交点Cに位置した状態となるから、前記発生装置2から白色エックス線を発生させ、前記検出装置3により被測定位置におけるエックス線のエネルギーと強度を検出する。また、ベースプレート5の前部側の端部が前記支持プレート8から外れた状態としてあるが、この端部は前記支持ブラケット10により移動可能に支持されているから、ベースプレート5は支障なく移動することができ、被測定位置に対する調整を円滑に行うことができる。
前記発生装置2からの白色エックス線の発生は、被測定位置が交点Cに位置した状態となったことを、前記測距装置30が確認しなければ行えないようにしてある。例えば、測距装置30の出力信号を前記エックス線制御器101に送出し、この出力信号が、被測定位置と交点Cとが一致した状態、すなわち測距装置30により得られた距離情報が所定の距離となった状態を示したことにより発生装置2の作動を許可するようにする。これは、被測定位置を所定の位置に位置させる作業中には、作業者は測定対象物Oの周囲にあって作業を行う必要がある場合があり、この作業中にエックス線を発生させてしまうとその照射方向が不定であるため作業者が被曝するおそれがあるためで、測定可能な状態とならなければ発生装置2の作動を行えないようにしておくようにしたものである。
発生装置2から発せられたエックス線は、一部はキャピラリー12に導かれて被測定位置を照射することになるが、キャピラリー12に進入しない部分が生じる。エックス線のうちのキャピラリー12に進入しない部分は、カバー14内で反射する。このカバー14は保持フレーム18に止着され、保持フレーム18は固定板18aに連繋した状態で発生装置2に取り付けられているから、反射したエックス線はカバー14内から周囲に漏洩することがない。特に、この実施形態のように、カバー14と保持フレーム18との結合と、保持フレーム18と発生装置2のフランジ部2bとの結合をそれぞれインロウ形式によって行わせることにより、カバー14や保持フレーム18、固定板18aの間や、これらカバー14等と発生装置2との間に形成される隙間が迷路状に形成されるので、エックス線の漏洩を確実に防止することができる。
一方、前記発生装置2のキャピラリー12と検出装置3のキャピラリー13とにはヘリウムガスがシールガスとして供給されているから、これらキャピラリー12、13の先端からヘリウムガスが噴出される。発生装置2から出射されたエックス線はキャピラリー12に案内されて被測定位置に集中して照射され、被測定位置で反射したエックス線の一部はキャピラリー13に案内されて検出装置3に入射する。このため、これらエックス線は、ヘリウムガスの雰囲気中を進行することとなり、大気中を進行する場合に比べて減衰することが極力防止される。しかも、ヘリウムガスは被測定位置まで達するから、エックス線は大気と全く接触することなく、測定対象物Oを照射し、検出装置3で捕捉される。これは、例えば、測定対象物Oが壁面の一部である場合には、図3に示すように、発生装置2と検出装置3との間が広角となった場合に、発生装置2または検出装置3の一部が壁面に当接してしまうおそれが生じる。このような場合には、広角の状態を維持したまま前記摺動プレート21、31を前記保持プレート22、32に対して移動させて、壁面と接触することを防止する。このとき、発生装置2と検出装置3は、被測定位置から離隔する方向に移動することとなり、キャピラリー12、13から被測定位置までの距離が大きくなる。この場合でも、ヘリウムガスがキャピラリー12、13から被測定位置に向けて噴出されるから、エックス線は確実にヘリウムガス雰囲気中を進行することになり、良好な検出効率を維持させることができる。
次いで、発生装置2と検出装置3とを移動させて、これらの照射角度と検出角度を変更する。これら発生装置2、3の移動は、前記駆動モータ27、37をそれぞれ作動させることにより行う。駆動モータ27、37を作動させると、これらの出力軸に嵌合させたピニオン27a、37aが回動し、これらピニオン27a、37aと前記ラック6の噛合により、これらピニオン27a、37aがラック6に沿って転動する。これにより、駆動モータ27、37を支持している保持プレート22、32がガイドレール4に案内されて移動することになり、これら保持プレート22、32に摺動プレート21、31を介して取り付けられている発生装置2と検出装置3が前記交点Cを中心とした円弧に沿って移動することになる。しかも、これら発生装置2と検出装置3の照射方向と検出方向はいずれも交点Cを指向した状態に維持される。
前記検出装置3により捕捉されたエックス線に関する測定データは、前記増幅器102とマルチチャンネルアナライザ103とを経由して前記コンピュータ104に入力される。入力された測定データは、コンピュータ104に格納されているデータベースにおける各物質についてのエックス線強度等のデータと比較されて、測定データに含まれるエックス線強度を示す物質が同定される。なお、測定に先だって測定対象を組成すると思われる物質についての比較データをインデックスを作成し、コンピュータ104に格納されているデータベースからこのインデックスに対応した物質のデータを読み出して測定データと比較するようにすることもできる。
この発明に係るエックス線分析装置によれば、エックス線発止手段とエックス線検出手段の移動を高精度に行うことができるため、測定精度を向上させると共に、装置を極力軽量化できるから、可搬性をより向上させて、エックス線分析装置をより汎用なものとすることに寄与する。
この発明の実施形態に係るエックス線分析装置の正面からの斜視図で、概略の構造を示している。 この発明の実施形態に係るエックス線分析装置の概略構造と測定のための動作を説明するための平面図で、一部を想像線で示してある。 この発明の実施形態に係るエックス線分析装置の構造を説明する平面図である。 この発明の実施形態に係るエックス線分析装置の正面図である。 図3に示すエックス線分析装置の左側面図である。 この発明の実施形態に係るエックス線分析装置のキャピラリーの取付構造を説明する断面図である。 この発明に係るエックス線分析装置により分析を行うシステムの構成を示す図である。 この発明に係るエックス線分析装置により物質の同定を行う処理を説明する図で、コンピュータの表示装置の表示内容を示している。
符号の説明
1 エックス線分析装置
2 発生装置(エックス線発生手段)
27 駆動モータ
3 検出装置(エックス線検出手段)
37 駆動モータ
4 ガイドレール
5 ベースプレート
51 径方向駆動モータ
6 ラック
7 コントロールボックス
8 支持プレート
81 径直角方向駆動モータ
9 架台プレート
10 支持ブラケット
12 キャピラリー
13 キャピラリー
30 測距装置
101 エックス線制御器
O 測定対象物
Do 照射方向
Di 検出方向

Claims (7)

  1. 測定対象の被測定位置に対して白色エックス線を照射するエックス線発生手段と、前記被測定位置から放出されたエックス線のエネルギーと強度を検出するエックス線検出手段とを有し、照射角度と検出角度を所定の関係に保って前記エックス線発生手段とエックス線検出手段とをそれぞれ移動させ、前記エックス線検出手段により取得されたエックス線のエネルギーと強度とに基づいて回折エックス線分析と蛍光エックス線分析を行うエックス線分析装置において、
    前記エックス線発生手段の移動とエックス線検出手段の移動とを案内する共通の案内手段と、
    前記案内手段に、前記エックス線発生手段とエックス線検出手段とのそれぞれを各別に連繋させてこれらエックス線発生手段とエックス線検出手段を前記案内手段に案内させて各別に移動させる発生手段駆動手段と検出手段駆動手段とからなり、
    エックス線発生手段の移動とエックス線検出手段の移動とを各別に行うことを特徴とするエックス線分析装置。
  2. 前記発生手段駆動手段と検出手段駆動手段は、前記案内手段と所定の位置関係に配したラックと、前記ラックに噛合するピニオンギヤと、前記ピニオンギヤを有する、発生手段用駆動モータと検出手段用駆動モータとからなることを特徴とする請求項1に記載のエックス線分析装置。
  3. 前記発生手段用駆動モータと検出手段用駆動モータは、ステッピングモータからなることを特徴とする請求項2に記載のエックス線分析装置。
  4. 前記案内手段を、前記被測定位置を位置付かせる測定予定位置を中心とした円弧に沿った形状のガイドレールで形成し、
    前記ガイドレールの両端部の位置を、前記測定予定位置よりも該ガイドレールの敷設側に配し、
    前記エックス線発生手段とエックス線検出手段とを、それぞれ照射方向と検出方向とに移動可能とし、
    前記エックス線発生手段とエックス線検出手段とを、前記ガイドレールのそれぞれの端部よりも突出した位置まで移動可能としたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のエックス線分析装置。
  5. 前記ガイドレールを敷設したベースプレートを、前記ガイドレールと相似形に円弧に沿った形状に形成すると共に、このベースプレートの両端部にガイドレールの両端部よりも突出させた突出部を設け、この突出部を支持ブラケットで、該突出部を移動可能に支持したことを特徴とする請求項4に記載のエックス線分析装置。
  6. 前記ガードレールを適宜数に分割した構造とし、前記ベースプレートのガイドレールを収容する収容溝を形成し、この収容溝にガイドレールを収容させて敷設したことを特徴とする請求項5に記載のエックス線分析装置。
  7. 前記ガイドレールの内側の円弧面とほぼ等しい円弧面を備えた維持板を前記ベースプレートに取り付て、この維持板によりガイドレールの円弧形状を維持させることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のエックス線分析装置。
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