JP2008108510A - 鉛蓄電池補助液 - Google Patents

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Abstract

【課題】サルフェーションの抑止乃至除去が可能な鉛蓄電池補助液を提供すること。
【解決手段】Ca(II)、リン酸根及び硫酸根が、実質的に真溶液の状態で存在する鉛蓄電池補助液。硫酸でpH3.5〜6.5に調節されている。Ca(II)源が、卵殻や貝殻等の炭酸カルシウム主体の天然カルシウム源が使用され、通電処理を経て製造される。
【選択図】なし

Description

本発明は鉛蓄電池補助液(電解液補助液)及び該補助液の製造方法に関する。特に、鉛蓄電池におけるサルフェーション(硫酸鉛析出)の阻止乃至除去ができ鉛蓄電池の延命乃至容量回復に好適な鉛蓄電池補助液に係るものである。
鉛蓄電池の用途は、1)主動力電源用、2)補助動力電源用、3)照明電源用、4)負荷緩衝用または予備電源用など多方面にわたっている(化学大辞典編集委員会編「化学大辞典6」(昭37-7-31)共立出版、p622参照)。
鉛蓄電池は、現在でも最も広く使われている蓄電池で、基本的な反応は、下記の通りである。
Figure 2008108510
すなわち、正極活物質(PbO2)も負極活物質(Pb)も放電によってPbSO4(固体)となり、充電によって全く元の状態にもどって、多数回(1000回以上)の充放電を繰り返せる代表的2次電池である。
放電により水を生じ、充電により硫酸を生ずるので、放電では硫酸水溶液の比重は小さくなり、充電で元へ戻る。
放電しすぎたり、あまり長く充電せずに放置したりすると両極活物質がほとんどすべて硫酸鉛となる。硫酸鉛の電気伝導性がないので、充電不可能となる。この現象をサルフェーション(sulfation)とよぶ。(以上「岩波理化学辞典第5版」(1998-2-20)岩波書店、p987から引用)。
上記サルフェーションの抑制さらにサルフェーションの除去が鉛蓄電池における長年の課題となっている。
特に、昨今、中古バッテリーの廃棄による鉛公害の問題、さらには循環型社会構築の要請から、バッテリーの延命化さらには再生利用の要請が増大してきている。すなわち、上記サルフェーションの抑制乃至除去に有用な技術の出現が希求されている。
例えば、特許文献1には「リン酸カルシウム等のカルシウム塩の微粒子を含み、好ましくは水酸基または結晶水を有する鉱物やセラミックスの存在下、通電することにより得た9以上のpHを示す分散液」(要約等参照)が、特許文献2には「カルシウム塩の微粒子を含み、pH調節剤の非存在下で9以上のpHを示す分散液、および希硫酸を含み、電極として二酸化鉛および鉛を用いる鉛蓄電池」(要約等参照)が、それぞれ提案されている。
さらに、本発明の発明に影響を与えるものではないが、鉛蓄電池の延命化(長寿命化)および再生化に関連する先行技術文献として特許文献3〜6等が存在する。
特開2005−19351号公報 特開2005−19350号公報 特開2003−59527号公報 特開2002−100415号公報 特開2000−149980号公報 特開平11−307115号公報
本発明は、上記にかんがみて、上記特許文献等に記載されていない、新規な鉛蓄電池補助液及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記要請に応えるべく、特許文献1・2に記載された発明をベースにして、鋭意開発に努力をした結果、特定のカルシウム塩の溶解液(真溶液)も、鉛蓄電池の補助液として使用した場合、鉛蓄電池の延命化(耐用性向上)および再生(容量回復)に有用であることを見出して、下記構成の鉛蓄電池補助液及びその製造方法に想到した。なお、特許文献1・2に記載の分散液は、コロイド溶液(1〜1000nmのコロイド粒子の分散液)である。
本発明の鉛蓄電池補助液は、Ca(II)、リン酸根及び硫酸根が、実質的に真溶液の状態で存在し、pH3.5〜6.5を示すものであることを特徴とする。
本構成の鉛蓄電池補助液は、鉛蓄電池の電解液の一部として使用した場合、後述の実施例で示す如く、特許文献1記載の従来例と同等以上の鉛蓄電池の延命及び容量回復ができる。
上記鉛蓄電池補助液は、さらに、Mg(II)及び/又はCu(II)が、実質的に真溶液の状態で存在することが望ましい。蓄電池電解液の通電性をより確保し易い。
上記鉛蓄電池補助液は、例えば、下記方法で製造する。
Ca(II)及びリン酸根、実質的に真溶液の状態で存在し、pH5〜7を示すリン酸水溶液(補助液前駆液)を、10〜30倍の水存在下で、且つ、鉱物系ないし廃棄物系の天然物カルシウム源の存在下で、pH8〜12となるまで通電処理した後の清澄液に、硫酸を添加してpH3〜6に調節して製造することを特徴とする。
そして、上記鉛蓄電池の製造方法におけるリン酸水溶液(補助液前駆液)は、粗砕天然カルシウム源とリン酸とを、リン酸過剰で徐反応させるとともに、それと同時又は後に、Mgを添加して溶解させ、更に、微細天然カルシウム源を添加して徐反応をさせ、該徐反応と同時又は完了後に、可溶性銅塩を添加してリン酸水溶液(補助液前駆液)を調製することにより製造することができる。
上記リン酸水溶液(補助液前駆液)の調製に際して、粗砕天然カルシウム源として貝殻及び/又は卵殻の粗砕物を、前記微細天然カルシウム源として貝殻の未焼成微細調製物を使用することが望ましい。これらは、天然カルシウム源の原料は、産業廃棄物として入手できる。
上記鉛蓄電池補助液の製造における通電処理時における、前記鉱物系の天然カルシウム源として使用でき、蛇紋岩、電気石(トルマリン)、けい石、トムロ石の群から1種又は2種以上選択して使用でき、前記廃棄物系の天然カルシウム源として、貝殻及び/又は卵殻をすることができる。
以下、本発明を詳細に説明をする。以下の説明で、配合量、配合比、配合%は、特に断らない限り、質量単位である。
本発明は、陽性成分としてCa(II)を、陰性成分としてリン酸根および硫酸根を実質的に真溶液の状態で含有し、pH3.5〜6に調節されてなるものである。
ここでCa(II)源とは、カルシウムと無機酸または有機酸を使用できる。例えば、カルシウムと、炭酸、リン酸、亜リン酸(ホスホン酸)、硫酸、亜硫酸、塩酸、硝酸、ケイ酸等の無機酸;酢酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、酪酸、シュウ酸、ステアリン酸などの有機酸との塩を挙げることができる。
これらのうちで、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム等を好適に使用でき、特に、炭酸カルシウムを主成分とする天然カルシウム源を好適に使用できる。
ここで、リン酸カルシウムや硫酸カルシウムを、水分散媒中に、直接的に溶解分散させてもよいが、天然カルシウム源とリン酸とを反応させて調製することが望ましい。リン酸と天然カルシウム源との徐反応により、リン酸カルシウム(難溶性)が可及的に分子乃至分子近似の状態で水分散されて、真溶液状態に近くなり、更に、可溶性のリン酸二水素カルシウム(重過リン酸石灰)も生成する。このため、溶解状態(イオン乃至化合物)のリン酸成分比率が、従来例の製造方法に比して増大する。
このため、鉛蓄電池の補助液として使用した場合、硫酸に代わるリン酸が電荷移動担持体としての性能が増大(主として分子数乃至イオン数の増大)して、蓄電池の容量の回復乃至維持の効果が、特許文献1に記載のカルシウム塩の微粒子の分散液に比して大きいと推定される。
なお、特許文献1段落0016実施例1(後述の比較例に対応)に記載の分散液(蓄電池補助液)は、水酸化カルシウムとリン酸とを反応させて調製したリン酸カルシウムを水中に分散させて、カルシウム含有鉱石の存在下で通電させたものである。
上記Mg(II)成分及び/又はCu(II)成分を含有させるのは、通電処理時の通電処理能、鉱物からのイオンないし陽性化合物の溶出促進のためである。これらの成分は電気伝導性が良好で、通電処理時の電流量の増大に寄与して通電処理効率を促進するとともに、鉛蓄電池の電解液補助液として鉛蓄電池の電解液に添加使用又は部分入れ替え使用をした場合、導電性の向上に寄与すると推定される。
上記Mg(II)源は、上記カルシウムと同様、各種無機酸及び有機酸のマグネシウム塩を使用できるが、金属マグネシウムを使用することが望ましい。金属マグネシウムを添加することにより、天然カルシウム源の溶解(反応)速度を増大させて、前駆液の生産性が向上する。
上記Cu(II)源としては、上記カルシウムと同様、各種無機酸及び有機酸の銅塩を使用できるが、硫酸銅を使用することが望ましい。溶解時通電性が良好であるとともに、通電槽の浴温(通常約60℃)における溶解性が良好であるためである。
本発明における鉛蓄電池補助液(分散液)は、水を溶媒(分散媒)とし、真溶液である。すなわち、分散微粒子が、コロイド粒子より小径の分子形態乃至イオン形態で溶解(分散)しているものが主体となる。なお、「コロイド」とは、「微粒子の大きさが1〜1000nmの範囲にあるもの」をいう(「化学辞典」東京化学同人1994発行、“コロイド”参照)。
これに対して、特許文献1に記載の分散液は、コロイド粒子乃至懸濁粒子の分散液である。このことは、同文献段落0005における記載「本発明においてカルシウム塩の分散液とは、水を主な分散媒として、カルシウム塩粒子が分散された液をいう。カルシウム塩粒子の直径は1nmから数十ミクロンの範囲であることができ、好ましくは1nmから10ミクロン、より好ましくは1nmから1000nm、最も好ましくは1nmから5000nmの範囲である。」から支持される。
本発明の鉛蓄電池補助液は真溶液であるため、その各成分濃度は、通常、各成分を含む飽和溶解度以下である。
参考として、常温における溶解度(水100gに対する。)を下記に示す(日本化学会編「化学便覧 基礎編I」(昭41-9-25)丸善、引用)。なお、各化合物名の後における括弧内の数字は化学式量を示す。
<リン酸塩>
リン酸カルシウム(310g) 0.0025g/100g
リン酸一水素カルシウム(172g) 0.02g/100g
リン酸二水素カルシウム(252.7g) 1.8g/100g
リン酸マグネシウム四水和物(334.94g) 0.02g/100g
リン酸水素マグネシウム三水和物(174.30) 0.025g/100g
<硫酸塩>
硫酸銅(159.61) 14.3g/100g
硫酸カルシウム(136.14) 0.298g/100g
硫酸マグネシウム(120.37) 26.9g/100g
<炭酸塩>
炭酸カルシウム(100.09) 0.015g/100g
炭酸マグネシウム(84.32) 0.0106g/100g
<水酸化物>
水酸化カルシウム(74.09) 0.185g/100g
水酸化マグネシウム(58.33) 0.00084g/100g
水酸化アルミニウム(78.00) 0.00015g/100g
本発明の鉛蓄電池補助液は、pH調節剤(硫酸未添加)の状態で、pH9〜12を示すものとする。その理由は、後述の天然カルシウム源の存在下で、通電処理をすることにより、天然カルシウム源のCa(II)が溶出して、該Ca(II)が実質的に真溶液の状態(イオン乃至水酸化物の形態)で水中に分散(溶解)するためである。
そして、pH低下剤(pH調節剤)を添加して、pHを4〜6.5の弱酸性に調整する。このときのpH調節剤の添加量は、硫酸を使用する場合、通常、1%前後となる。弱酸性とすることにより、従来の取り扱い性が良好となるとともに、極寒地で使用しても沈殿の発生し難い鉛蓄電池補助液となる。特にpH調節剤として硫酸を使用した場合、溶液(分散液)中の組成が、リン酸塩より溶解度積(溶解度定数)の大きい硫酸塩の組成比率が増大するとともに、第三塩(リン酸カルシウム:Ca3(PO42)が水溶性の第一塩(リン酸二水素カルシウム:Ca(H2PO42)に変換されるためである。
本明細書において、pH調節剤とは、水系溶媒に添加した場合に、添加された系のpHを変化させることのできるすべての物質をいい、例えば、ナトリウム、およびカリウム等のアルカリ金属の水酸化物等の無機塩基、アミン、アンモニアなどの有機塩基、並びに塩酸、および硫酸などの無機酸や酢酸、シュウ酸などの有機酸が挙げられる。こららのうちで、鉛蓄電池用を予定し、且つ、Ca(II)を分散質(溶質)の主体とするため、pH低下剤としては前記の如く、硫酸又はリン酸を、pH上昇剤としては、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を使用することが望ましい。
次に、上記本発明の鉛蓄電池補助液の製造方法について説明をする(図1〜2参照)。
図1は製造フローシートで、故障等を考慮して、2系統としてある。当然、1系統でもよい。
本発明の製造方法は、(1)前駆液(原液)調製工程、(2)通電(電解)処理工程、及び(3)pH調節工程からなる。
(1)前駆液調製工程:第一天然カルシウム源を過剰のリン酸と反応させて補助液原液(開始剤:トリガー)を製造(調製)する工程である。
1)先ず、第一天然カルシウム源を、前駆液製造槽12に、該製造槽12の容量の1/10〜1/5、望ましくは、1/3.5〜1/4.5を投入する。
ここで第一天然カルシウム源としては、リン酸により徐反応(徐溶解)させることのできるものなら特に限定されない。
しかし、産業廃棄物有効利用の観点から、卵殻や貝殻(ホタテ貝、アコヤ貝、カキ等)を粗砕物(1〜5cm前後)が望ましい。
2)リン酸と、リン酸に対して10〜30倍量、望ましくは15〜25倍量の水(温水を含む。)を前記前駆液製造槽12に投入して、攪拌後、金属Mg(粉末又は箔)を投入し、攪拌を続ける。ここで、水の投入量が少なすぎると、リン酸濃度が高くなって、徐反応を期待し難く、水の投入量が多すぎると、リン酸濃度が低くなって、逆に反応時間が長くなり、生産性に劣る。
ここでリン酸の投入量は、粗砕・微細天然カルシウム源に対して第一塩生成、および金属マグネシウムに対して第二塩生成可能な当量以上とする。例えば、第一天然カルシウム源の主成分は、炭酸カルシウムであるため、第一塩を得るためには、炭酸カルシウム1molに対して、リン酸2molが必要となる(後述の反応式参照)。
3)マグネシウムが略溶解したなら、微細天然カルシウム源(炭酸カルシウム)を、泡(リン酸との反応により炭酸ガスが発生する。)がこぼれないように分けて(通常、数回)投入する。なお、マグネシウムはリン酸と同時投入してもよい。
そして、投入後、反応液pHが、5〜7、望ましくは、5.5〜6.5に上昇するまで徐反応を進行させる。この徐反応時間は、各天然カルシウム源の投入量、リン酸水溶液濃度・温度等により異なる。通常、30〜90h、望ましくは、40〜60hとする。
このときの反応は下記諸反応が同時的及び/又は経時的に生じているものと推定される。
<炭酸カルシウム>
第三塩生成:3CaCO3+2H3PO4→Ca3(PO42+3CO2+3H2
第二塩生成:2CaCO3+2H3PO4→2Ca(HPO4)+2CO2+2H2
第一塩生成:CaCO3+2H3PO4→Ca(H2PO42+CO2+H2
<マグネシウム>
第二塩生成:2Mg+2H3PO4→2MgHPO4+H2
第一塩生成:Mg+2H3PO4→Mg(PO42+H2
微細天然カルシウム源としては、前述の貝殻や卵殻の非焼成微細物が好適である。
焼成カルシウムは塩基(アルカリ)度が非常に高く、リン酸にて溶解しようとする場合、反応が早くて顆粒(コロイド)状となり、本発明のCa(II)化合物の真溶液を得難い。非焼性カルシウムは塩基度が低く、徐反応により本発明のCa(II)化合物の真溶液を安定して得易い。
4)この徐反応後の清澄液(上済み液)は、そのまま補助液前駆液として使用できる。本実施形態では、清澄液に可溶性銅塩を添加する。後述の通電処理の効率を向上させるためである。可溶性銅塩の添加時期は、リン酸水溶液の調製と同時又は調製後を問わない。
可溶性銅塩としては、硫酸銅を好適に使用できる。本発明の目的と達成できれば、他の銅塩(例えば、硝酸銅や塩化銅)も使用可能である。ここで、硫酸銅の添加量は、溶解度(14.3g/100g)より十分に低い濃度である0.1〜5g/100g、望ましくは0.1〜1g/100gとする。
清澄液とする(固液分離の)方法は、沈降分離、ろ過、遠心分離など、特に限定されない。これらのうちで、沈降分離が徐反応をさせながらでき、且つ、特別な装置・器具が不要で、コスト的にも有利である。具体的には、前駆液製造槽12で調製したものを沈降分離後、バルブ乃至堰を開いて溢流させ、前駆液貯蔵タンク14に貯蔵する。
(2)通電処理工程:前駆液を水で希釈して第三天然カルシウム源の存在下で通電処理を行う工程である。この通電処理は、補助液の組成安定化のためである。
前駆液の水希釈倍率は、10〜30倍、望ましくは15〜25倍とする。
この通電処理は、通電電極16を備えた通電槽18と、該通電槽18と往路20a・復路20bで接続された循環槽(反応槽:処理槽)22とを用いて行う。なお、往路20aにはポンプ24を備えて、通電槽18と循環槽22との間を処理液を循環可能となっている。また、図例中、24はガス抜き穴であり、26は、前駆液、水(湯)、pH調整剤を投入するための薬剤投入口である。
そして、通電槽18の底部に敷き詰める天然カルシウム源としては、鉱物系(合成鉱物・セラミックを含む。)の天然カルシウム源と、廃棄物系の天然カルシウム源とを併用することが望ましい。廃棄物系は通電時の水素イオン安定化に寄与し、他方、鉱物系はそのときの浴液のpH安定に寄与する。
鉱物系としては、蛇紋岩、電気石(トルマリン)、けい石、トムロ石の群から1種又は2種以上を、前記廃棄物系の天然カルシウム源として、貝殻及び/又は卵殻を、それぞれ好適に使用することができる。
更に、上記天然カルシウム源以外に、下記のようなカルシウム含有・非含有の各種鉱物も併用可能である。
例えば、異柱鉱(Zn4Si27(OH)2・H2O)、針鉄鉱(FeOOH)、珪ニッケル鉱(Ni含有珪酸塩化合物)、ボーキサイト(Al(OH)3)、らん銅石(Cu3(CO3)(OH)2)、孔雀石(Cu2(CO3)(OH)2)、ミョウバン石(KAl3(SO42(OH)6)、燐灰石(Ca5(PO43(Fe,Cl,OH))、紅柱石(Al2SiO5)、めろう石(Al2Si410(OH)2)、滑石(Mg3Si410(OH)2)、カオリナイト(Al4Si410(OH)8)、モルデンフッ石((Na2Ca,K24(Al8Si10)O96・28H2O)、トルコ石(CuAl6(PO4)4(OH)8・4H2O)、トパーズ(Al2SiO4(F,OH)2)、リチア電気石(Na(Li,Al)3Al6(BO3)Si618(OH)4)、オパール、緑閃石(Ca2(Mg,Fe)5Si822(OH)2)、金雲母(K(Mg,Fe)3(AlSi310)(OH,F)2)、白雲母(KAl2(AlSi310)(OH,F))、黒雲母、タルク(Mg2(OH)2SiO10)、マイカ(KAl2(SiAlO10)(OH)2)などがあげられる。
通電処理は、電解液のpH9以上、望ましくはpH10〜12、更に望ましくは、pH10.5〜11.5に上昇するまで行う。
電解時間、電圧、および電流はかかる目的を達成するために適宜実験的に決定される。典型的には通電は、電圧:5〜100V(望ましくは10〜30V)×電流:10〜150A(望ましくは80〜120A)で行う。
電解時間は処理される天然カルシウム源の種類、補助液のバッチ生産量などによって異なるが、通常、1〜15h、典型的には2〜10hとする。
通電処理は、常温から90℃の、望ましくは約80℃以下の適宜温度に維持して行う。
上記通電処理に際して、被処理液中に、すなわち通電槽(電解槽)18の底部に存在させる天然カルシウム源およびその他鉱物(以下、「天然カルシウム源等」という。)の量は、特に制限するものではない。典型的には被処理液100Lに対して10〜50kgの範囲とする。また天然カルシウム源等の大きさなども自由に選択することができるが、水との接触面積を大きくしつつ、取り扱い性に問題を生じない様に適宜決定される。また、鉱物等は鉱物等は、殆ど減少することがないため、表面汚れがひどくなってきたときを交換時期とする(通常、交換は2年に1回程度)。
また、通電の際に、通電槽18の底部に存在させた(敷いた)天然カルシウム源等の周囲の水に電流が流れるよう、図例の如く、鉱物糖の表面近傍に電極16を配置したり、メッシュ状の容器に鉱物および/またはセラミックスを詰め、その両端に電極を配置したりすることが好ましい。
そして通電処理して製造した通電処理液は、循環槽22から、ポンプ等で沈殿槽28へ送入し、沈殿槽28で沈降分離処理により精製後、貯蔵タンク30へ送入する。ここで、沈降分離処理の時間は、12〜48hとする。
(3)pH調節工程:pH低下剤を添加してpHを調節する工程である。
ここで、pH低下剤としては、通常、硫酸を使用するが、リン酸や硝酸も使用可能である。調節pHは、pH3〜6、望ましくは、pH3.5〜4.5とする。
さらに、貯留タンクから製品出荷槽(最終調整槽)32へ送入し、該製品出荷槽32で、硫酸を添加して、所定pHに調整して製品容器に詰めて出荷をする。
このように製造した鉛蓄電池補助液は、使用中の鉛蓄電池の電解液が減少してきたり、比重が低下(1.250未満)してきたりした場合に、補充液ないし容量回復液として使用できる。この際、繰り返し使用することにより、サルフェーションが徐々に除去されて、蓄電池容量が回復することを本発明者は確認している。さらには、新品であっても、電解液の一部(半分以下の量)を抜いて、補助液として使用すれば、3倍以上の寿命延長が期待できる。すなわち、通常の乗用車に搭載の鉛蓄電池は寿命が3年未満であるが、10年近くの寿命になることが期待できる。
以下、本発明を実施例に基づいてより詳細な説明を行う。係る実施例は本発明の説明のために示されるものであり、本発明の範囲を何ら制限するものではない。また、当業者にとって自明な改良や置換は本発明の範囲に含まれるものである。
(1)前駆液の製造
ここでは、20Lの前駆液を製造する場合を例に採る。
1)まず、貝殻及び卵殻の等量混合粉砕物(10〜20mm角程度)を一次天然カルシウム源として用意しておく。
ここで、貝殻及び卵殻の一方のみでもよいが、併用した方が望ましい。天然カルシウム源として多様性がある方が、カルシウムの安定溶出が期待できるためである。
2)20Lの常温水を投入した前駆液製造槽(反応容器)内に前記一次天然カルシウム源1kg(全量CaCO3換算で約10mol)を投入するとともに、オルトリン酸1kg(約10mol)を投入し攪拌後、Mgを200g(約8mol)を投入して溶解させる(約30min)。
3)続いて、未焼成貝殻微粉(平均粒径3〜5μm)を二次天然カルシウム源1.5kg(全量CaCO3換算で約15mol)を数回に分けて投入する。リン酸と天然カルシウム源が反応して泡(CO2)が発生して噴きこぼれるためである。
4)そのpHが7〜5になるまで放置する(通常、3日程かかる)。リン酸がカルシウムと徐々に反応して、リン酸濃度が減少して、pHが上昇するためと推定される。
ここで、カルシウム源が天然物でないと、反応が急激に進み、コロイド分散系を得難いためと推定される。
5)硫酸銅(CuSO4・5H2O)100g(約0.3mol)を投入して溶解させる。硫酸銅(CuSO4・)の溶解度は、25℃で18.2g/100gH2Oである。
6)最終的に沈降分離させた液相(上澄み液)を前駆液とする
この前駆液は、そのまま、水で10〜30倍に希釈して使用可能であるが、本実施例では、下記通電処理を行う。
通電槽(400L容量)は、下記組成の鉱石、天然カルシウム源を敷き詰め、4枚の正極板・負極板(SUS製:300mm幅×500mm長×1mmt)を約5cm間隔に配したものである。
<鉱石>
段戸石(ケイ石) 20kg
緑色変性岩 5kg
蛇紋岩 10kg
電気石(トルマリン) 5kg
トムロ石 10kg
<天然カルシウム源>
貝殻(アコヤ貝) 10kg
上記通電槽に、上記で調製した20Lの前駆液を投入するとともに、400Lとなるように温水(80℃)で希釈後、消石灰((Ca(OH)2)を投入する。
この状態で水中ポンプにより攪拌しながら、24V×100Aの条件で、通電処理をpH10前後となるまで行った(4h)。
この通電処理後の真溶液を、消石灰でpH10に調節した後、一昼夜掛けて沈降分離させる。
そして、分離させた液相(上澄み液)に、硫酸を1%程度添加して、pH4に調節して、密封保存した。こうして調製した鉛蓄電池の電解液補助液は、すかして見てもコロイド溶液に見られるチンダル現象(粒子乱反射による)が観察されず、青みがかった透明な溶液として観察され実質的に真溶液であることを確認した。
こうして調製した鉛蓄電池補助液を、使用中の各レベルの市販バッテリー(鉛蓄電池)各10個ずつについて、液を半分抜き取り、補充した。その結果は、下記のとおりであった。
1)レベル1(液比重1.250以上):バッテリーは良好であるが、本実施例の補助液で部分入れ替えした場合、補助液をいれずにそのまま使用を続けた場合比して(寿命:1〜1.5年)、寿命が平均2〜3倍延びた(2.5〜3年)。
2)レベル2(液比重1.200〜1.150):このレベルは、普通機能のバッテリーではサルフェーションが進行して使用できず交換必要な状態である。しかし、週1回の割合で充放電を繰り返したところ、1〜3ヶ月でサルフェーションが除去され十分に使用可能になったものもあった(10個中4個)。
<比較例>
1100gの水酸化カルシウムを10リットルの水に溶解し、これに燐酸2500gを添加した。常温において0.5時間、撹拌しながら反応させた。
生成物の燐酸カルシウムを、沈殿物として得た。沈殿物をろ過後、水で洗浄し、清浄な燐酸カルシウムを得た。
得られた燐酸カルシウム1kgを100リットルの水中に、水槽中で分散させ、分散液を得た。この分散液のpHは約7であった。水槽の底にリチア電気石、緑閃石、および金雲母の等量混合物を10kg敷き詰めた。その表面近傍に、4cm間隔で正極および負極を配置し、その両側に電極を設置した。24V、10Aで約4h通電したところ、pHは約11に上昇した。
なお、本分散液は、透明容器に充填して観察したところ、コロイド溶液に見られるチンダル現象(粒子乱反射による)が観察された。
本発明における鉛蓄電池補助液の製造フローシートである。 本発明の通電処理装置のモデル図である。
符号の説明
12 前駆液製造槽
16 電解電極
18 通電槽

Claims (7)

  1. Ca(II)、リン酸根及び硫酸根が、実質的に真溶液の状態で存在し、pH3.5〜6.5を示すものであることを特徴とする鉛蓄電池補助液。
  2. さらに、Mg(II)及び/又はCu(II)が、実質的に真溶液の状態で存在することを特徴とする請求項1記載の鉛蓄電池補助液。
  3. Ca(II)及びリン酸根が、実質的に真溶液の状態で存在し、pH5〜7を示すリン酸水溶液(補助液前駆液)を、10〜30倍の水存在下で、且つ、鉱物系ないし廃棄物系の天然物カルシウム源の存在下で、pH8〜12となるまで通電処理後の清澄液に、硫酸を添加してpH3〜6に調節して製造することを特徴とする鉛蓄電池補助液の製造方法。
  4. 粗砕天然カルシウム源とリン酸とを、リン酸過剰で徐反応させるとともに、それと同時又は後に、Mgを添加して溶解させ、更に、微細天然カルシウム源を添加して、徐反応中又は徐反応後に、可溶性銅塩を添加して前記補助液前駆液を調製することを特徴とする請求項3記載の鉛蓄電池補助液の製造方法。
  5. 前記補助液前駆液の調製に際して、前記微細天然カルシウム源添加後の徐反応時間を30〜90hとすることを特徴とする請求項4記載の鉛蓄電池補助液の製造方法。
  6. 前記粗砕天然カルシウム源が貝殻及び/又は卵殻の粗砕物であり、前記微細天然カルシウム源が貝殻の未焼成微細調製物であることを特徴とする請求項4又は5記載の鉛蓄電池補助液の製造方法。
  7. 前記鉱物系の天然カルシウム源として、蛇紋岩、電気石(トルマリン)、けい石、トムロ石の群から1種又は2種以上を、前記廃棄物系の天然カルシウム源として、貝殻及び/又は卵殻を、それぞれ選択することを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の鉛蓄電池補助液の製造方法。
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