JP2008107587A - エレクトロクロミック素子及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 可視光領域のみでなく、赤外光領域の透過率をも大きく変化させることができるエレクトロクロミック素子及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 エレクトロクロミック素子において、エレクトロクロミック層を挟み込むために用いる透明導電膜付基板の透明導電膜のキャリア電子密度を1〜4×1020cm−3の範囲に制御する。この透明導電膜としては、TiやWを含む錫添加酸化インジウム(ITO)が好ましい。このエレクトロクロミック素子は、可視光だけでなく熱線である赤外光の透過率盛業が可能な調光ガラスとして好適である。
【選択図】 図3

Description

本発明は、可視光領域のみでなく赤外光領域の透過率変化が大きいエレクトロクロミック素子、及びその製造方法に関する。
エレクトロクロミック(EC)現象は、物質の電気化学的な酸化還元反応によって色及び透過率が変化する現象であり、1969年にベル研究所のS.K.Debにより酸化タングステン(WO)について報告されたのが最初である。
WOはタングステン(W)原子に酸素(O)原子が6配位した立方晶であり、可視光に対して透明である。この立方晶WOに電圧印加により電子が注入されると、立方晶の中心にプロトンあるいはアルカリ金属イオン等が挿入され、立方晶ペロブスカイト型構造に変化する。この構造変化と同時にWの価数が6+から5+に変化し、光エネルギーに基づくWのd軌道間の遷移が可能となり、可視光を吸収して着色する。また、電圧を逆に印加することにより、プロトンあるいはアルカリ金属イオン等が引き抜かれると、立方晶となって消色する。このような着色と消色の現象が可逆的に起こる。
上記のようにプロトンあるいはアルカリ金属イオン等が挿入される時に着色する材料を還元着色材料と呼ぶ。逆に、プロトンあるいはアルカリ金属イオン等を引き抜く時に着色する材料を酸化着色材料と呼ぶ。還元着色材料としては、酸化タングステン、酸化ニオブ、ニオブ酸リチウム、酸化モリブデン、酸化チタン、酸化錫、アンチモン添加酸化錫(ATO)、リチウム酸コバルト、プルシアンブルー等が知られている。また、酸化着色材料としては、酸化ニッケル、水酸化ニッケル、オキシ水酸化ニッケル、酸化イリジウム、酸化ロジウム、酸化コバルト、水酸化コバルト等が知られている。更に、消色状態である程度着色していても良い場合には、酸化バナジウム、窒化インジウム、窒化錫等が用いられる。
エレクトロクロミック素子は、上記EC現象を利用したものであり、基本的には、2枚の対向した透明導電膜付基板の間に、還元着色材料や酸化着色材料からなるエレクトロクロミック層を挟み込んだ積層構造を有している。例えば、基板/透明導電膜/還元着色型エレクトロクロミック層/電解質層/酸化着色型エレクトロクロミック層/透明導電膜/基板の積層構造となっている。この構造の素子は、電解質層を介して還元着色材と酸化着色材を対向させることにより、着色効果が重畳されることを期待した構造である。また、基板/透明導電膜/エレクトロクロミック層/電解質層/透明導電膜/基板の積層構造のものもある。
上記エレクトロクロミック素子の透明導電膜付基板に用いられる基板の材質としては、ガラスが一般的であるが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、フッ素樹脂、エチレン、ビニルアルコールなど、屈曲性のある透明樹脂フィルムも用いられている。また、電解質としては、プロピレンカーボネートなどの極性溶媒にアルカリ金属塩を溶解させた液体電解質や、パーフルオロスルホン酸を代表とするイオン交換膜に用いられる高分子電解質などが使用されている。固体電解質として、酸化タンタルも使用されている。
このようなエレクトロクロミック素子の応用例として、調光ガラス、調光めがね、防眩ミラー、漏電検知器、表示素子等の開発が進められている。例えば、住宅の窓にエレクトロクロミック素子の調光ガラスを用いた場合、可視光透過率の制御による着消色と、赤外光透過率の制御による熱線(赤外光)の遮蔽又は取り入れ効果が考えられる。一例として、還元着色材料である酸化タングステン膜の着色時と消色時の透過率を図1に示すが、プロトンやアルカリ金属イオン等の挿入又は引き抜きにより、可視光の透過率が変化するだけでなく、赤外光の透過率も大きく変化することが分る。
しかしながら、一般に、錫添加酸化インジウム(ITO)に代表される透明導電膜材料は、自由電子のプラズモンによる赤外光領域での反射、吸収が大きく、エレクトロクロミック素子の透明導電膜として用いた場合、常に熱線遮蔽状態となり、熱線遮蔽と熱線取り入れの制御という機能を付与することができない。例えば特開平07−043753号公報には、エレクトロミック素子を用いた調光ガラスが開示されているが、赤外光領域における透過率の制御まで考慮したものではない。
一方、透明導電膜については、これまで可視光領域から赤外光領域まで透過率の高い材料は開発されていなかった。例えば「透明導電膜の技術」、日本学術振興会編、オーム社、p.55〜57)に記載されているように、ITOに代表される透明導電膜材料は、キャリア電子密度が大きくなると、自由電子のプラズモンによる赤外光領域での反射、吸収が大きくなり、エレクトロクロミック素子の透明導電膜として用いた場合、赤外光領域の光の透過率を低下させる。
このような透明導電膜においても、最近では、赤外光領域の透過率が改善された材料の開発が進んできている。例えば、特開2004−091265号公報あるいは特開2004−207221号公報には、可視光領域から赤外光領域まで透過率の高い透明導電膜が記載されているが、エレクトロクロミック素子への適用まで開示されたものではない。
このように、エレクトロクロミック素子において赤外光領域の透過率の問題を解決する試みは、現在までなされてこなかった。それは、エレクトロクロミック素子の主な用途がブラインド等の代替としての調光ガラスにあり、着消色による可視光の制御を中心に置いていたことによる。
特開平07−043753号公報 特開2004−091265号公報 特開2004−207221号公報 「透明導電膜の技術」、日本学術振興会編、オーム社、p.55〜57
上記したように、従来のエレクトロクロミック素子は、可視光領域の着消色は可能であるが、透明導電膜の赤外光領域の透過率が低いため、常に熱線遮蔽状態であった。そのため、住宅の調光ガラス等の用途として、熱線遮蔽と熱線取り入れの制御が可能なエレクトロクロミック素子の提供が望まれていた。
本発明は、このような従来の事情に鑑み、可視光領域のみでなく、赤外光領域の透過率をも大きく変化させることができるエレクトロクロミック素子、及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明者は、エレクトロクロミック素子の赤外光領域における透過率について鋭意研究を行った結果、特定のキャリア電子密度を持った透明導電膜を用いることにより、赤外光領域における透過率の制御が可能であることを見出し、本発明に至ったものである。
即ち、本発明は、2枚の対向した透明導電膜付基板の間に少なくともエレクトロクロミック層を挟み込んでなるエレクトロクロミック素子において、該透明導電膜付基板の少なくとも1枚の透明導電膜のキャリア電子密度が1〜4×1020cm−3であって、可視光領域及び赤外光領域における透過率を変化させることができることを特徴とするエレクトロクロミック素子を提供するものである。
また、上記本発明のエレクトロクロミック素子においては、前記2枚の基板がガラス又はフィルムのいずれかであるか、若しくはガラスとフィルムの組合せからなることが好ましい。
更に、本発明は、2枚の対向した透明導電膜付基板の間に少なくともエレクトロクロミック層を挟み込んでなるエレクトロクロミック素子の製造方法において、少なくとも1枚の基板表面にキャリア電子密度を1〜4×1020cm−3に制御した透明導電膜を形成し、得られた透明導電膜付基板を含む2枚の透明導電膜付基板を対向させ、その間に少なくともエレクトロクロミック層を挟み込むことを特徴とするエレクトロクロミック素子の製造方法を提供する。
本発明によれば、可視光領域のみでなく、赤外光領域でも透過率を大きく変化でき、熱線遮蔽と熱線取り入れの制御という新たな機能を有するエレクトロクロミック素子を提供することができる。従って、本発明のエレクトロクロミック素子を住宅や自動車の窓などの調光ガラスとして用いることにより、可視光透過率の制御のみならず、熱線を遮蔽したいときに遮蔽でき且つ熱線を取り入れたいときに取り入れられることが可能となり、快適な住環境を提供することができる。
上述のごとく錫添加酸化インジウム(ITO)に代表される透明導電膜は赤外光領域での反射、吸収が大きいため、この透明導電膜を用いるエレクトロクロミック素子は常に熱線遮蔽状態となっていた。これに対して、本発明のエレクトロクロミック素子では、2枚の対向した透明導電膜付基板のうち少なくとも片方の透明導電膜のキャリア電子密度を1〜4×1020cm−3に制御することで、可視光領域の透過率だけでなく、赤外光領域における透過率も大きく変化させることができる。
透明導電膜のキャリア電子密度が1×1020cm−3未満では、透明導電膜の電気伝導性が低く、透過率制御の応答速度が遅くなりすぎるため好ましくない。また、キャリア電子密度が4×1020cm−3を超えると、赤外光領域の透過率が低くなり、この透明導電膜を用いたエレクトロクロミック素子が常に熱線遮蔽状態となってしまう。参考例として、キャリア電子密度が4×1020cm−3以下の透明導電膜を設けた基板と、4×1020cm−3を超える透明導電膜を設けた基板の透過率を、図2に示す。低電子密度の透明導電膜付基板の方が、赤外光領域での透過率が大きくなっていることが分る。
本発明における透明導電膜としては、ITO(錫添加酸化インジウム)、ATO(アンチモン添加酸化錫)、FTO(フッ素添加酸化錫)、AZO(アルミニウム添加酸化亜鉛)、GZO(ガリウム添加酸化亜鉛)等を使用することができる。これら透明導電膜のキャリア電子密度を1〜4×1020cm−3の範囲内に制御するには、ITO等の金属酸化物の場合、TiやW等の金属原子を添加する方法が有効である。例えば、Ti/Inの原子比で0.003〜0.120のTiを含むITOや、W/Inの原子比で0.001〜0.17のWを含むITOは好ましい透明導電膜の一つである。
本発明のエレクトロクロミック素子は、上記キャリア電子密度を有する透明導電膜を少なくとも片方の基板に備えた2枚の透明導電膜付基板の間に、少なくともエレクトロクロミック層を挟み込んだ積層構造を有している。上記積層構造の具体例としては、一般的に、基板/透明導電膜/酸化タングステン等を主成分とする還元着色型エレクトロクロミック層/電解質層/オキシ水酸化ニッケル等を主成分とする酸化着色型エレクトロクロミック層/透明導電膜/基板の積層構造がある。また、基板/透明導電膜/エレクトロクロミック層/電解質層/透明導電膜/基板の積層構造としてもよい。尚、基板/透明導電膜の構成を、透明導電膜付基板と称する。
透明導電膜付基板に用いる基板としては、透明な樹脂やガラス等を使用でき、硬いボード状のものでも、フレキシブルなフィルム状のものでもよく、これらを単独で用いても組合せて用いてもよい。特に、既存の窓ガラス等に貼付して調光ガラスとする用途には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、フッ素樹脂、エチレン、ビニルアルコールなどの透明樹脂フィルムを用いることが好ましい。
エレクトロクロミック層を形成する還元着色材料としては、酸化タングステン、酸化ニオブ、ニオブ酸リチウム、酸化モリブデン、酸化チタン、酸化錫、アンチモン添加酸化錫(ATO)、リチウム酸コバルト、プルシアンブルー等の公知のものを用いてよい。また、酸化着色材としては、酸化ニッケル、水酸化ニッケル、オキシ水酸化ニッケル、酸化イリジウム、酸化ロジウム、酸化コバルト、水酸化コバルト等を用いることができる。更に、消色状態においてある程度着色していてもよい場合には、酸化バナジウム、窒化インジウム、窒化錫等を用いることもできる。
電解質層は、支持電解質と溶媒のイオン伝導性物質か、これに所望に応じて他の成分を添加したものを、ポリビニルアセタール(PVA)やポリビニルブチラール(PVB)からなる高分子シート中に保持することにより固体状態が形成されたものである。電解質としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩を使用でき、特にリチウム(Li)塩が好ましい。溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン等があり、これらを単独で又は2種以上混合して使用する。尚、ポリビニルアセタール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)を溶解する作用のある溶媒を用いることが特に好ましい。
本発明のエレクトロクロミック素子の製造方法は、キャリア電子密度を1〜4×1020cm−3に制御した透明導電膜を基板上に形成し、得られた透明導電膜付基板を少なくとも一つ以上用いて2枚の透明導電膜付基板を対向させる。この2枚の透明導電膜付基板の間に、エレクトロクロミック特性を示す還元着色材料及び酸化着色材料の両方若しくは片方からなるエレクトロクロミック層と、電解質層とを挟み込む。その後、上記のごとく積層された各層を、通常のごとく熱圧着することによって、最終的にエレクトロミック素子が得られる。
基板上への透明導電膜の形成方法は、スパッタリング法、蒸着法、イオンプレーティング法などの物理的成膜法のほか、透明導電膜形成用塗液を塗布する方法が知られている。特に、スパッタリング法やイオンプレーティング法は、蒸気圧の低い材料を用いて基板上に膜を形成する場合や、精密な膜厚制御が必要とされる場合に有効な手法であり、操作が非常に簡便であることから広範に利用されている。
上記スパッタリング法は、一般に、約10Pa以下のアルゴンガス雰囲気のもとで、基板を陽極及びターゲットを陰極として、これらの間にグロー放電を起こしてアルゴンプラズマを発生させ、プラズマ中のアルゴン陽イオンを陰極のターゲットに衝突させ、これによってターゲット成分の粒子をはじき飛ばし、その粒子を基板上に堆積させて成膜する方法である。スパッタリング法は、アルゴンプラズマの発生方法で分類され、高周波プラズマを用いるものを高周波スパッタリング法、直流プラズマを用いるものを直流スパッタリング法という。また、ターゲットの裏側にマグネットを配置してアルゴンプラズマをターゲット直上に集中させ、低ガス圧でもアルゴンイオンの衝突効率を上げて成膜する方法をマグネトロンスパッタ法という。
通常、上記透明電極膜の製造には、直流マグネトロンスパッタ法が採用されている。また、直流プラズマをベースにして、高周波を重畳させたプラズマを用いる場合もある。これは高周波重畳直流スパッタリングと呼び、放電電圧を下げることができる利点がある。高周波重畳直流スパッタリングは、酸化物ターゲットを用いて酸化物膜を作製する場合によく利用される。低放電電圧でスパッタリングを行えるため、ターゲットから発生した酸素イオンによる膜への衝撃を少なくして、良質の膜を得ることができるためである。
上記エレクトロクロミック層は、塗布法、スパッタリング法などを用いて、透明導電膜付基板上に形成される。上記スパッタリング法では、エレクトロクロミック特性を示す還元着色材料もしくは酸化着色材料のターゲットを通常の方法でスパッタリングすることにより、透明導電膜付基板の透明導電膜上にエレクトロクロミック層が形成される。
また、上記塗布法では、エレクトロクロミック特性を示す還元着色材料又は酸化着色材料を、溶剤、バインダー、可塑剤と粘度調整しながら混合して塗布液を作製し、これを透明導電膜付基板の透明導電膜上に塗布し、乾燥する。塗布に用いるコータとしては、通常の塗布法で用いられるコータを使用することができる。具体的には、ドクタコータ、ブレードコータ、ロッドコータ、ナイフコータ、リバースロールコータ、グラビアコータ、スプレイコータ、カーテンコータ等を用いることができ、粘度及び膜厚により使い分けることができる。
また、エレクトロクロミック素子に必要な電解質層は、公知の方法で作製することができる。電解質層はシート状に成形されて用いられるが、その成形方法としては特に限定されず、押出し成型、キャスト法による方法などを挙げることができる。上記押出し成型については、通常の方法により行うことができ、ポリビニルアセタール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)とイオン伝導性物質を混合し、加熱溶融した後、押出しすることでシートが成型される。
また、上記キャスト法については、ポリビニルアセタール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)とイオン伝導性物質を混合し、更に適当な希釈剤にて粘度調整を行い、コータにて塗布し、乾燥することで成膜することができる。コータとしては、前記エレクトロクロミック層形成時の塗布法に用いられるコータと同様のものを使用することができる。
[実施例1]
透明導電膜付基板の作製:
直流マグネトロンスパッタリング装置の非磁性体ターゲット用カソードに、Ti/Inの原子比で0.003〜0.120のTiを含むITOスパッタリング用ターゲットを取り付け、ターゲットの対向面に厚み1mmのガラス基板を取り付けた。上記ターゲットと基板との距離を60mmとし、チャンバ内の真空度が1×10−4Pa以下に達した時点で、成膜ガスとして純度99.9999質量%のArガスをチャンバ内に導入して、ガス圧を0.5Paとした。
次に、上記成膜ガスに酸素を1%導入し、ターゲットと基板の間に直流電力350Wを投入し、直流プラズマを発生させてスパッタリングを行った。その際、ガラス基板を200℃に加熱して、100nmの膜厚のITO透明導電膜をガラス基板上に形成した。得られた透明導電膜のキャリア電子密度は、ホール効果測定装置で測定したところ、2×1020cm−3であった。
エレクトロクロミック層の形成:
窒素ガス中において、溶媒として用いるエタノール350gに、塩化タングステン(WCl)粉末を少量づつゆっくり加えて溶解した。この溶液を70℃に保持して溶媒を蒸発させ、更に100℃で加熱処理することにより、薄黄色の粉末を得た。この粉末を300℃で加熱処理し、エレクトロクロミック特性を示す酸化タングステン(WO)の微粒子を得た。
得られた酸化タングステン微粒子100gと、分散剤(商品名Solspers20000)10gと、エタノール900gを混合し、この溶液をボールミルで分散処理して、平均分散粒子径80nm以下の分散液を作製した。次に、この分散液50gに、エタノールで5%に希釈したポリビニルブチラール(PVB)(積水化学工業製、商品名BL−1)10gと、可塑剤(トリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート)0.3gを加えて撹拌混合し、エレクトロクロミック層形成用の塗布液を作製した。
得られたエレクトロクロミック層形成用の塗布液を、上記キャリア電子密度2×1020cm−3の透明導電膜付ガラス基板上に、バーコータで厚さ300nmに塗布した。これを70℃で1分間乾燥して溶媒を蒸発させ、エレクトロクロミック特性を示す酸化タングステン微粒子分散膜からなるエレクトロクロミック層を透明導電膜付ガラス基板上に形成した。
電解質シートの作製:
エタノールで5%に希釈したポリビニルブチラール(PVB)(積水化学工業製、商品名BL−1)200gに、1mol/lのLiClOのエチレンカーボネート溶液500gと可塑剤(トリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート)6gを添加し、エチルアルコールで希釈した後、撹拌して均一な溶液を得た。この溶液を10cm角のフッ素樹脂板上にバーコータで塗布し、加熱乾燥を行い、無色透明な電解質膜を得た。この電解質膜をフッ素樹脂板から剥がし、電解質シートを得た。
エレクトロクロミック素子への成形:
上記エレクトロクロミック層を形成した透明導電膜付ガラス基板と、エレクトロクロミック層未形成の透明導電膜付ガラス基板とを対向させ、その透明導電膜の間に上記電解質シートを挟み込み、ホットプレート上で100℃に加熱して熱圧着することにより、エレクトロクロミック素子を作製した。
エレクトロクロミック素子への評価:
得られたエレクトロクロミック素子のエレクトロクロミック特性を調査するために、この素子に3Vの電圧を印可したところ、均一な濃青色の色調を示した。また、印可電圧を逆方向にかけたところ、素子の色は直ちに消えて透明になった。この素子の透過率変化のプロファイルを図3に示す。尚、素子の光学特性は、光透過率を分光光度計(日立製作所社製、商品名U−4000)で測定することで評価した。この図3から、可視光領域だけでなく、赤外光領域においても透過率の大きな変化が見られ、熱線透過率の制御が可能であることが分る。
[比較例1]
透明導電膜付基板の作製:
直流マグネトロンスパッタリング装置の非磁性体ターゲット用カソードに、通常のITOスパッタリング用ターゲットを取り付け、ターゲットの対向面に厚み1mmのガラス基板を取り付けた。このターゲットと基板との距離を60mmとし、チャンバ内の真空度が1×10−4Pa以下に達した時点で、成膜ガスとして純度99.9999質量%のArガスをチャンバ内に導入して、ガス圧を0.5Paとした。
次に、上記成膜ガスに酸素を1%導入し、ターゲットと基板の間に直流電力350Wを投入し、直流プラズマを発生させてスパッタリングを行った。その際、ガラス基板を200℃に加熱して、100nmの膜厚のITO透明導電膜をガラス基板上に形成した。得られた透明導電膜のキャリア電子密度は、ホール効果測定装置で測定したところ、1.2×1021cm−3であった。
エレクトロクロミック層の形成:
上記実施例1で作製したエレクトロクロミック層形成用の塗布液を、上記キャリア電子密度1.2×1021cm−3の透明導電膜付ガラス基板上に、バーコータで厚さ300nmに塗布した。これを70℃で1分間乾燥して溶媒を蒸発させ、エレクトロクロミック特性を示す酸化タングステン微粒子分散膜からなるエレクトロクロミック層を透明導電膜付ガラス基板上に形成した。
エレクトロクロミック素子への成形:
得られたエレクトロクロミック層を形成した透明導電膜付ガラス基板と、エレクトロクロミック層未形成の透明導電膜付ガラス基板(共に透明導電膜のキャリア電子密度は1.2×1021cm−3)とを対向させ、その透明導電膜の間に上記実施例1と同様に形成した電解質シートを挟み込み、ホットプレート上で100℃に加熱して熱圧着することにより、従来と同様のエレクトロクロミック素子を作製した。
エレクトロクロミック素子への評価:
このエレクトロクロミック素子に3Vの電圧を印可したところ、均一な濃青色の色調を示した。また、印可電圧を逆方向にかけたところ、素子の色は直ちに消えて透明になった。この素子の透過率変化のプロファイルを図4に示す。この図4から分るように、比較例のエレクトロクロミック素子では、赤外光領域においては着色時及び消色時のいずれも透過率が低く、且つ透過率の変化も小さいため、満足すべき熱線透過率の制御を行うことは不可能であった。
還元着色材料酸化タングステン膜の着色時と消色時における可視光及び赤外光領域での透過率を示すグラフである。 キャリア電子密度が異なる透明導電膜を設けた2種類の透明導電膜付基板の可視光及び赤外光領域での透過率を示すグラフである。 本実施例のエレクトロクロミック素子の着色時と消色時における可視光及び赤外光領域での透過率を示すグラフである。 比較例のエレクトロクロミック素子の着色時と消色時における可視光及び赤外光領域での透過率を示すグラフである。

Claims (3)

  1. 2枚の対向した透明導電膜付基板の間に少なくともエレクトロクロミック層を挟み込んでなるエレクトロクロミック素子において、該透明導電膜付基板の少なくとも1枚の透明導電膜のキャリア電子密度が1〜4×1020cm−3であって、可視光領域及び赤外光領域における透過率を変化させることができることを特徴とするエレクトロクロミック素子。
  2. 前記2枚の基板がガラス又はフィルムのいずれかであるか、若しくはガラスとフィルムの組合せからなることを特徴とする、請求項1に記載のエレクトロクロミック素子。
  3. 2枚の対向した透明導電膜付基板の間に少なくともエレクトロクロミック層を挟み込んでなるエレクトロクロミック素子の製造方法において、少なくとも1枚の基板表面にキャリア電子密度を1〜4×1020cm−3に制御した透明導電膜を形成し、得られた透明導電膜付基板を含む2枚の透明導電膜付基板を対向させ、その間に少なくともエレクトロクロミック層を挟み込むことを特徴とするエレクトロクロミック素子の製造方法。
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