JP2008106670A - 液圧駆動式動弁装置 - Google Patents

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Noriaki Fujii
徳明 藤井
Keiko Yoshida
恵子 吉田
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一人 阿部
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Abstract

【課題】動力の損失を極力低減することのできる液圧駆動式動弁装置を提供する。
【解決手段】カム8で駆動される加圧ポンプ9の加圧室21から圧送される液圧によって駆動される液圧駆動式動弁装置において、前記加圧ポンプを、カムによって加圧室の内方へ押し込まれる加圧ピストン27と、加圧ピストンをカムに向けて弾発付勢するピストンスプリング30と、加圧室の内圧を受けて加圧室の容積を変化させる蓄圧ピストン28と、蓄圧ピストンを加圧室の内方へ向けて弾発付勢する蓄圧スプリング29とを有するものとする。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関の燃焼室に設けられる吸気弁あるいは排気弁を、液圧作動するアクチュエータで開弁駆動する液圧駆動式動弁装置に関するものである。
エンジンのクランク軸で駆動される油圧ポンプと、クランク軸と連動するカムで駆動されるリフタと、リフタに軸方向変位可能に結合し且つ燃焼室の吸・排気弁に連結されたプランジャとを備え、リフタとプランジャとの間に画成された油圧室の容積を変化させることにより、吸・排気弁の開度並びに開弁時期を自在に変化させることができるように構成された油圧駆動式動弁装置が知られている(特許文献1を参照されたい)。
特開昭56−34913号公報
この従来の油圧駆動式動弁装置の構成によると、カムによって駆動されたピストンが発生する余剰油圧をリリーフ弁から排出することで自在なバルブリフトカーブを作るというものであった。このようなリリーフ弁による圧力調節は、つまるところ油圧ポンプが発生するエネルギを無為に捨てること、換言すると、動力の損出を伴うことを意味している。
本発明は、このような従来技術の不都合を解消すべく案出されたものであり、その主な目的は、動力の損失を極力低減することのできる液圧駆動式動弁装置を提供することにある。
このような従来技術の課題を解決するため、本発明は、カム8で駆動される加圧ポンプ9の加圧室21から圧送される液圧によって駆動される液圧駆動式動弁装置において、前記加圧ポンプを、カムによって加圧室の内方へ押し込まれる加圧ピストン27と、加圧ピストンをカムに向けて弾発付勢するピストンスプリング30と、加圧室の内圧を受けて加圧室の容積を変化させる蓄圧ピストン28と、蓄圧ピストンを加圧室の内方へ向けて弾発付勢する蓄圧スプリング29とを有するものとした(請求項1)。この場合は特に、ピストンスプリングのばね剛性を蓄圧スプリングよりも高くすると良い(請求項2)。
また、シリンダ5と、シリンダに摺合し且つシリンダ内を2つの室11・12に分割する駆動ピストン6とを備え、加圧室から圧送される液圧によって駆動されるアクチュエータ7を有するものとし、2つの室同士間を連通するオリフィス40を駆動ピストンに設け、2つの室の一方を加圧室に連通させ、2つの室の他方を開閉弁15を備えた排出通路16に連通させるものとした(請求項3)。そしてこの場合は特に、加圧ピストンの変位量が最大であり且つカムに駆動されている状態の時に開閉弁を開弁させるものとした(請求項4)。
さらに、ポンプから作動液を供給される供給通路33と、前記駆動ピストンに加圧液を供給する加圧液通路19とを前記加圧室に連通させ、これらの通路を、加圧ピストンと蓄圧ピストンとが最接近して容積が最小となった状態の加圧室内に開口させるものとした(請求項5)。
これらにおいて用いる液圧として、当該エンジンの各部を潤滑するための潤滑油ポンプ24が発生する油圧を用いると良い(請求項6)。
このように構成することにより、以下の如き格別な効果を奏することができる。
請求項1:加圧室に液圧を蓄えておけるので、従来は捨てていた余剰な液圧エネルギを回生し得るため、動力損失を低減し得る。
請求項2:加圧室に蓄圧したまま加圧ピストンが変位し得るので、回生エネルギをカムに有効に与えられると同時に、ピストンスプリングを小さくでき、加圧室を大型化することなく作動液量を確保できる。
請求項3:加圧ピストンと蓄圧ピストンとが変位しても作動液供給通路と加圧液通路との開口面積が変化しないので、圧力損失を生ずることがない。
請求項4:開閉弁の閉弁時は、駆動ピストンに設けられたオリフィスによって駆動ピストンの前後が同圧に保たれるので、加圧ポンプの蓄圧時にアクチュエータの駆動ピストンが移動することがない。
請求項5:加圧室の圧力が最大に達した状態で駆動ピストンに推力を発生させるので、駆動ピストンの応答性を高められる。
請求項6:潤滑油ポンプの油圧を利用するので、格別な液圧発生源を設ける必要がなく、構成を複雑化せずに済む。
以下に添付の図面を参照して本発明について詳細に説明する。
図1は、本発明に基づく液圧駆動式動弁装置の概略構成を示している。この動弁装置は、燃焼室の吸気ポート1(または排気ポート)に設けられ、バルブスプリング2によって常時閉弁付勢されている吸気弁3(または排気弁)と、ロッカアーム4を介して吸気弁3に開弁駆動力を加えるべく、シリンダ5とシリンダ5に摺合した駆動ピストン6とからなる直線摺動型のアクチュエータ7と、アクチュエータ7への作動油圧を発生すべく、エンジンのクランク軸と同期回転するカム8で駆動される加圧ポンプ9とを備えている。なお、以下に説明する実施形態においては、本装置を駆動する液圧を発生させる液体として、エンジン各部へ圧送される潤滑油を流用するものとした。これによれば、格別な液圧発生源を設けずにエンジンの運転中は常時所要の液圧を得ることができる。
アクチュエータ7は、駆動ピストン6で隔てられた上室11と下室12との圧力差で駆動ピストン6が上下動するものであり、そのピストンロッド6aの上下端が、シリンダ5の上下端壁から突出している。そしてピストンロッド6aの上端はロッカアーム4の一端に当接し、その下端はシリンダ5の下壁に設けられた緩衝装置13内に突入している。また駆動ピストン6は、下室12内に設けられたコイルスプリング14にて上向きに、つまりロッカアーム4の一端との当接を常時維持する向きに弾発付勢されている。
上室11は、電磁開閉弁15を備えた排出通路16を介してエンジンのオイルパン17に接続され、下室12は、下室12へ向けての流れのみを許容するチェック弁18を備えた加圧油通路19を介して加圧ポンプ9の加圧室21に接続されている。そして緩衝装置13は、緩衝装置13へ向けての流れのみを許容するチェック弁22が設けられた緩衝油供給通路23を介して潤滑油ポンプ24の吐出通路25に接続されている。
加圧ポンプ9は、有底円筒状をなすケーシング26と、ケーシング26内の中間部に加圧室21を画成すべく、ケーシング26の上側に摺合した加圧ピストン27と、ケーシング26の下側に摺合した蓄圧ピストン28とを備えている。そして、蓄圧ピストン28とケーシング26の底壁との間には、蓄圧ピストン28を加圧室21の内方へ向けて常時弾発付勢するための蓄圧スプリング29が設けられ、加圧ピストン27と蓄圧ピストン28との間には、加圧ピストン27をカム8に向けて常時弾発付勢するためのピストンスプリング30が設けられている。また加圧ピストン27の上端には、カム8に当接するカムフォロワ31が設けられており、カム8の回転に追従して加圧ピストン27が加圧室21内を円滑に上下動するようにされている。さらに加圧ポンプ9の加圧室21は、加圧室21へ向けての流れのみを許容するチェック弁32が設けられた作動油供給通路33を介して潤滑油ポンプ24の吐出通路25に接続されている。
なお、蓄圧ピストン28の上昇限度はストッパ20で規定されており、上述の加圧油通路19並びに作動油供給通路33は、加圧室21における蓄圧ピストン28の上限位置と加圧ピストン27の下限位置との間に開口している。これにより、加圧ピストン27及び蓄圧ピストン28が移動しても両通路19・33の開口面積が変化しないので、圧力損失を生ずることがない。
オイルパン17に貯容された潤滑油をくみ出す潤滑油ポンプ24は、主にクランクシャフトや動弁機構などのエンジン各部へ潤滑油を供給すると共に、加圧ポンプ9の加圧室21へ作動油を供給する作動油供給通路33と、アクチュエータ7の緩衝装置13へ緩衝油を供給する緩衝油供給通路23とに潤滑油の一部を供給するようにされており、作動油供給通路33並びに緩衝油供給通路23の吐出通路25からの分岐部には、それぞれにオリフィス34・35が設けられている。
なお、上述(後述)の上下方向は、説明の便宜上のことであり、実際にエンジンに搭載される方向性はこれに限定されるものではない。
次に、図2〜6を併せて参照して本発明装置の作動要領を説明する。初期状態では、図1に示したように、戻し通路16の電磁開閉弁15が閉じた状態にあり、加圧ポンプ9の加圧室21への作動油供給通路33と、アクチュエータ7の緩衝装置13への緩衝油供給通路23とに、オリフィス34・35で絞られた油量が潤滑油ポンプ24の吐出通路25から流入し、両通路23・33のチェック弁22・32で設定された油圧がその内部に封入された状態にある(図6のポイント1)。
排出通路16の電磁開閉弁15が閉じた状態で、図2に示すようにカム8の回転によって加圧ピストン27が下降すると、加圧室21の内圧が上昇する。すると蓄圧スプリング29の反力と加圧室21の内圧との釣り合いに応じて蓄圧スプリング29が縮み、蓄圧ピストン28が下降する。これにより、潤滑油ポンプ24の吐出圧よりも加圧室21の内圧が高くなるので、作動油供給通路33のチェック弁32は閉じたままであるが、加圧通路19のチエック弁18は開いてアクチュエータ7の下室12に圧油が流入しようとする。しかし電磁開閉弁15が閉じているので駆動ピストン6は移動し得ず、ピストン6に設けられたオリフィス40を介して上室11と下室12との内圧が平衡する。つまり加圧室21に蓄圧する時に駆動ピストン6が移動することはない(図6のポイント2)。
カム8が加圧ピストン27を最大に押し下げている状態、つまり蓄圧スプリング29の反力による最高圧が加圧室21に作用している状態で電磁開閉弁15を開くと、アクチュエータ7の上室11が急激に減圧(大気圧)するので、図3に示すように、加圧室21の高い内圧が下室12に作用してアクチュエータ7の駆動ピストン6が即座に(高応答で)上昇し、ロッカアーム4を介して吸気弁3が開弁駆動される(図6のポイント3)。この時は駆動ピストン6の上昇速度が十分に高いので、駆動ピストン6のオリフィス40を介しての上下室11・12間の油の移動は無視し得る。
適宜なタイミングで電磁開閉弁15を閉じると、アクチュエータ7の上室11の減圧が停止するので、駆動ピストン6のオリフィス40を介して上室11と下室12との内圧が等しくなる。ここでバルブスプリング2の反力(吸気弁を閉じる力)がロッカアーム4を介してピストンロッド6aに加わっているので、これによる押し下げ力がアクチュエータ7の駆動ピストン6に作用する。これにより、駆動ピストン6が下向きに変位するので、吸気弁3が閉弁する。この時の吸気弁3の閉弁特性は、駆動ピストン6のピストンロッド6aの下端が緩衝装置13に突入する際の抵抗および駆動ピストン6のオリフィス40の流動抵抗と、バルブスプリング2とコイルスプリング14との反力の釣り合いによって定まる。
他方、吸気弁3を開弁駆動することで加圧室21の油圧エネルギが消費されると、蓄圧スプリング29が収縮することで蓄えたエネルギを放出しつつ伸張して蓄圧ピストン28を上昇させ、加圧室21の内圧を上昇させる。これにより加圧ピストン27に上向きの力が加わり、図4に示すように、カム8の高位部の終端がカムフォロワ31に当接する位置では、これがカム8を回転駆動する力として作用するので、カム8の回転抵抗が減じられ、動力損失が低減される(図6のポイント5)。そしてカム8のベース円部分にカムフォロワ31が摺接している状態で蓄圧スプリング29のエネルギが使い切られると、潤滑油ポンプ24の吐出圧が加圧室21の内圧よりも高くなるので、図5に示すように、作動油供給通路33のチェック弁32が開いて吸気弁3を開弁駆動した際に消費した油量が補充される(図6のポイント5)。ここで加圧ピストン27と蓄圧ピストン28との間には、蓄圧スプリング29よりもばね剛性が高いピストンスプリング30が設けられているので、これによっても加圧ピストン27がカム8から離れないようにされるため、潤滑油ポンプ24からの作動油の補充が促進される。
以上詳述した通り、本発明によれば、電磁開閉弁15を開くことによって駆動ピストン7に必要なだけ高圧油を供給することにより、自在なバルブリフトカーブを得ることができ、しかも、吸気弁3の開弁駆動時に使われなかった余剰エネルギは、蓄圧スプリング29によって蓄えられており、これが加圧ピストン27の復帰時にカムフォロワ31を介してカム8を駆動する方向に働き、これをもって動力の回生がなされる。
本発明装置の1サイクルの初期状態を示す全体構成図である。 本発明装置の加圧開始状態を示す全体構成図である。 本発明装置の吸気弁開弁状態を示す全体構成図である。 本発明装置の回生状態を示す全体構成図である。 本発明装置の1サイクルの作動終了状態を示す全体構成図である。 加圧ピストンストローク(カムリフト)と吸気弁開度(バルブリフト)との関係線図である。
符号の説明
5 シリンダ
6 駆動ピストン
7 アクチュエータ
8 カム
9 加圧ポンプ
11 上室
12 下室
15 電磁開閉弁
16 排出通路
19 加圧油通路
21 加圧室
24 潤滑油ポンプ
27 加圧ピストン
28 蓄圧ピストン
29 蓄圧スプリング
30 ピストンスプリング
33 作動油供給通路
40 オリフィス

Claims (6)

  1. カムで駆動される加圧ポンプの加圧室から圧送される液圧によって駆動される液圧駆動式動弁装置であって、
    前記加圧ポンプは、前記カムによって前記加圧室の内方へ押し込まれる加圧ピストンと、
    該加圧ピストンを前記カムに向けて弾発付勢するピストンスプリングと、
    前記加圧室の内圧を受けて該加圧室の容積を変化させる蓄圧ピストンと、
    該蓄圧ピストンを前記加圧室の内方へ向けて弾発付勢する蓄圧スプリングとを有することを特徴とする液圧駆動式動弁装置。
  2. 前記ピストンスプリングは、前記蓄圧スプリングよりもばね剛性が高いことを特徴とする請求項1に記載の液圧駆動式動弁装置。
  3. シリンダと、該シリンダに摺合し且つ該シリンダ内を2つの室に分割する駆動ピストンとを備え、前記加圧室から圧送される液圧によって駆動されるアクチュエータを有し、
    前記駆動ピストンが、前記2つの室同士間を連通するオリフィスを備え、
    前記2つの室の一方が前記加圧室に連通し、
    前記2つの室の他方が開閉弁を備えた排出通路に接続されることを特徴とする請求項1若しくは2に記載の液圧駆動式動弁装置。
  4. 前記開閉弁は、前記加圧ピストンの変位量が最大であり且つ前記カムに駆動されている状態の時に開弁することを特徴とする請求項3に記載の液圧駆動式動弁装置。
  5. 前記加圧室には、ポンプから作動液を供給される供給通路と、前記駆動ピストンに加圧液を供給する加圧液通路とが連通し、
    これらの通路は、前記加圧ピストンと前記蓄圧ピストンとが最接近して容積が最小となった状態の前記加圧室内に開口していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の液圧駆動式動弁装置。
  6. 前記液圧は、当該エンジンの各部を潤滑するための潤滑油ポンプが発生する油圧であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の液圧駆動式動弁装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019100199A1 (zh) * 2017-11-21 2019-05-31 白保忠 一种内燃机液压配气装置、其驱动方法及液压配气内燃机

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