JP2008106662A - 圧縮機 - Google Patents

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Ichiro Kita
一朗 喜多
Takanori Ishida
貴規 石田
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Abstract

【課題】ピストンとシリンダの摺動損失が小さく高効率な圧縮機を提供するものである。
【解決手段】シリンダブロック220とピストン223をアルミ材で形成し、ピストン223またはシリンダ221のいずれか一方の摺動面に鉄のコーティング層224を形成したもので、シリンダブロック220をアルミ材にすることにより、ピストン223とシリンダ221の摺動を摩擦係数が小さく摺動損失の小さい鉄材とアルミ材の摺動として効率化を図った圧縮機を提供できるものである。
【選択図】図2

Description

本発明は、主に家庭用冷蔵庫等に用いられる圧縮機に関するものである。
近年、家庭用冷蔵庫等において、省エネルギーの観点から、高効率化を図った圧縮機の要望が高まっている。
従来の圧縮機としては、R600aを主体とする冷媒を用い、低振動化、高効率化を図ったものがある(例えば、特許文献1参照)。
以下、図面を参照しながら、上記従来の圧縮機を説明する。
図6は、従来の圧縮機の縦断面図である。
図6において、インバーター60は、制御回路61を介して商用電源62から電力を供給されている。
密閉容器101には潤滑油102が貯留されている。電動要素105は固定子103、および永久磁石を内蔵する回転子104からなる。圧縮要素106は電動要素105の上方に構築され、電動要素105によって駆動され、ともに密閉容器101に収容される。また、この圧縮機は、温暖化係数の低い炭化水素冷媒の代表的な冷媒であるR600aを圧縮する。
次に圧縮要素106の詳細を以下に説明する。
クランクシャフト110は回転子104を圧入固定した主軸部111および主軸部111に対し偏芯して形成された偏芯部112を有する。シリンダブロック120は鋳鉄よりなり略円筒形のシリンダ122を有するとともに、主軸部111を軸支する軸受123を有し、電動要素105の上方に形成されている。
ピストン130はシリンダ122に勘入され、偏芯部112とピストン130に挿入されたピストンピン130aとの間をコンロッド131によって連結されている。ピストン130は、シリンダと同じ線膨張係数を有する鋳鉄や鉄系の焼結から形成される。バランスウエイト133は回転子104に固定される。バルブプレート135はシリンダ122の端面を封止する。ヘッド136は高圧室を形成し、バルブプレート135の反シリンダ122側に固定される。サクションチューブ139は密閉容器101に固定されるとともに、冷凍サイクルの低圧側(図示せず)に接続され、冷媒ガス(図示せず)を密閉容器101内に導く。サクションマフラー140は消音空間142を形成する。
サスペンションスプリング150は密閉容器101に固定されたスナブバー152および固定子103に固定されたスナブバー153の間に嵌装され、圧縮要素106を、電動要素105の固定子103を介して間接的に弾性支持する。
以上のように構成された圧縮機について、以下その動作を説明する。
商用電源62から供給される電力は制御回路61、インバーター60を介して電動要素105に供給され、電動要素105の回転子104を任意の回転数で回転させる。回転子104はクランクシャフト110を回転させ、偏芯部112の運動がコンロッド131、ピストンピン130aを介してピストン130に伝えられることでピストン130はシリンダ122内を往復運動し、サクションチューブ139を通して密閉容器101に導かれた前記冷媒ガスは、サクションマフラー140から吸入されシリンダ122内で連続して圧縮され、冷媒は、冷凍サイクル(図示せず)へ吐き出される。
またこの際、ピストン130とシリンダ122は、鉄系材料同士の摺動をしている。またピストン130は、シリンダ122内で往復運動することで不平衡な振動エネルギーを発生するが、バランスウエイト133である程度打ち消している。
特開2003−3958号公報
しかしながら、上記従来のような構成では、シリンダブロック120とシリンダブロック120を構成するシリンダ122が鋳鉄よりなり、ピストン130も鋳鉄や焼結などの鉄系材料よりなり、ピストン130とシリンダ122が鉄系材料同士の摺動であるので、鉄と鉄同士の摺動では、摺動ロスが大きいことがわかってきた。図3は、横軸に摺動の厳しさを表すゾンマーフェルト数Sを取り、縦軸に摩擦係数μを取って、鉄材と鉄材の摺動と鉄材とアルミ材の摺動による摩擦係数μを比較した実験結果であるが、鉄材と鉄材の組み合わせの方が摩擦係数μが高く、摺動ロスが大きい結果が得られた。
本発明は、上記課題を解決するもので、ピストン、シリンダ間の摺動ロスを低減することで高効率の圧縮機を実現することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明の圧縮機は、シリンダを形成するシリンダブロックと、シリンダ内で往復運動するピストンを備え、シリンダブロックとピストンをアルミ材で形成し、ピストンまたはシリンダのいずれか一方の摺動面に鉄のコーティング層を形成したものであり、ピストンまたはシリンダのいずれか一方の摺動面に鉄のコーティング層を形成することによりピストンとシリンダの摺動を鉄材同士の摺動よりも摩擦係数が少なく摺動ロスの小さい鉄材とアルミ材の摺動とし摺動損失を低減する作用を有するとともに、鉄とアルミでは、線膨張係数が異なるにもかかわらず、鉄のコーティング層は薄く母材のアルミに線膨張係数が支配されるため、ピストンとシリンダのクリアランスをほぼ一定の値に保つことが出来る。
本発明の圧縮機は、ピストンとシリンダが鉄材とアルミ材の摺動となり摺動ロスが少なく摺動損失が低下するとともに、ピストンとシリンダのクリアランスを一定に保つことで漏れ損失が少なく、高効率の圧縮機を提供することが出来る。
本発明の請求項1に記載の発明は、シリンダを形成するシリンダブロックと、前記シリンダ内で往復運動するピストンを備え、前記シリンダブロックと前記ピストンをアルミ材で形成し、前記ピストンまたは前記シリンダのいずれか一方の摺動面に鉄のコーティング層を形成したもので、ピストンとシリンダが鉄材とアルミ材の摺動となることにより摩擦係数が小さくなり、摺動ロスの低下で摺動損失が下がるとともに、鉄とアルミでは線膨張係数が異なるにもかかわらず、鉄のコーティング層は薄く母材のアルミに線膨張係数が支配されるため、ピストンとシリンダのクリアランスをほぼ一定の値に保つことが出来、漏れ損失が少なく、高効率な圧縮機を提供できる。
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、鉄のコーティング層の厚みを5から20ミクロンとしたもので、5ミクロン以上のコーティング層があるため、磨耗が母材のアルミ材まで進行せず、20ミクロン以下のコーティング層であるため、母材のアルミ材と鉄のコーティング層の線膨張係数の差で鉄のコーティング層の表面に亀裂が発生することも無く、亀裂からの冷媒のリークによる性能や効率の低下が無く、磨耗が母材まで進行しないため信頼性の高い圧縮機を提供できる。
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、鉄のコーティング層を鉄メッキで形成したもので、鉄メッキによる優れた潤滑油吸着性による高潤滑性で、低摺動損失とこの摺動面が臨む摺動部での耐摩耗性を長期に高められるとともに、アルミ材の疲労強度をも長期に高められるので信頼性の高い圧縮機を提供できる。
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、シリンダブロックをアルミダイキャストで形成したものでダイキャストは成形精度が良く、シリンダブロックの後の加工数を削減して生産性を高められるとともに、ダイキャスト自体も生産性が高く低コストであり、生産性の良い低コストな圧縮機を提供できる。
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、主軸部および偏芯軸部を有するクランクシャフトと、シリンダを形成するとともに前記クランクシャフトの主軸部を軸支する軸受を形成したシリンダブロックと、前記シリンダブロックのシリンダ内で往復運動するピストンと、前記ピストンに固定したピストンピンと、前記ピストンピンと前記偏芯軸部を連結するコンロッドを備え、前記クランクシャフトと前記ピストンピンを鉄系材で形成し、前記コンロッドおよび前記軸受をアルミ材で形成したもので、シリンダとピストン、ピストンピンとコンロッド、コンロッドとクランクシャフトの偏芯軸部、クランクシャフトと軸受のすべての摺動部を摩擦係数の低い鉄材とアルミ材の摺動にすることが出来、摺動損失を最大限低減することが出来るので、効率を最大限向上した圧縮機を提供できる。
本発明の請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の発明において、冷媒としてHC系冷媒を用い、圧縮機構の潤滑油としてアルキルベンゼン油、ナフテン系鉱油、バラフィン系鉱油を用いたもので、塩素を含まずオゾン層破壊が無くかつ温暖化係数も低い冷媒を用いるので環境に優しいとともに、潤滑油が冷媒と相溶性を有し、潤滑油自体の潤滑に加え、潤滑油が冷媒によって持ち運ばれることによる潤滑も行えるため、摺動部の潤滑がよくなり摺動ロス低減がさらに効果的に行えるとともに、信頼性の高い、環境に優しい圧縮機を提供できる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における圧縮機の縦断面図、図2は、同実施の形態のピストンの断面図である。図3は、摺動材の差による摩擦係数を比較した図である。図4は、従来と本案による圧縮機の効率結果の図である。図5は、シリンダとピストンの各材質による温度対径変化の図である。
図1から図2において、密閉容器201内には、冷媒202を充填するとともに、潤滑油203を貯留している。電動要素203aは、固定子204と、固定子204と所定の間隙を有して配置され、永久磁石を内蔵した回転子205から構成されている。圧縮要素206は、電動要素203aの上方に構築され、ともに密閉容器201に収容される。また、この圧縮機は、オゾン層破壊係数が0で温暖化係数の低いHC(炭化水素)系冷媒の代表的な冷媒202であるR600aを用いている。
次に圧縮要素206の詳細を以下に説明する。
クランクシャフト210は、鋳鉄例えばFC250材よりなり、回転子205を圧入固定した主軸部211および主軸部211に対し偏芯して形成された偏芯軸部212を有する。
シリンダブロック220は、ADC−12やADC−14などのアルミダイキャストで形成され、略円筒形のシリンダ221を有するとともに、主軸部211を軸支する軸受222を有している。シリンダブロック220がアルミダイキャストで形成されることから、シリンダブロック220と一体に成型されるシリンダ221や軸受222もアルミ材で形成される。また、シリンダブロック220は、シリンダ221および軸受222の孔が真円度3ミクロン以下の高精度で仕上げるため、粗加工で研削した後で、砥石によるホーニング仕上げを行い、面粗度も0.2a以下を確保している。
ピストン223は母材をADC−12やADC−14などのアルミダイキャストや重力鋳造法などによるアルミ材で形成され、シリンダ221との摺動面には厚さ5から20ミクロンの鉄メッキによる鉄のコーティング層224が形成されている。ピストン223の完成品の外径の真円度は2ミクロン以下とするため、まず母材のアルミ材をセンタレス研磨などの方法で外周研磨し、その後、メッキなどで鉄のコーティング層224を形成し、鉄のコーティング層を形成した後に再度センタレス研磨などの方法で仕上げ研磨を行って製作する。
鉄のコーティング層224の生成方法のひとつとして鉄メッキの生成方法について詳述する。まず母材のアルミの酸化膜を取るためアルカリエッチングを行い水洗する。その後、混酸処理を行い、珪素やアルミ以外の不純金属性分を表面から除去し水洗する。その後、亜鉛置換、水洗、酸処理、水洗、亜鉛置換処理、水洗を行った後、ピストンを電極となる治具に取り付け、メッキ槽の中で鉄と置換することによって純鉄のメッキ層を形成する。
純鉄のメッキ層を形成することでアルミの母材のビッカース硬度が90前後であるのに対して、鉄メッキの硬度は、300から600程度にまで向上することが出来る。
ピストン223には、SUJやSCM材などの鉄系材よりなるピストンピン225が固定され、ピストンピン225と偏芯軸部212との間をADC−12やADC−14などのアルミ材よりなるコンロッド226によって連結されている。結果として、圧縮機の摺動部であるピストン223とシリンダ221、クランクシャフト210の主軸部211と軸受222、ピストンピン225とコンロッド226の小端孔236、クランクシャフト210の偏芯軸部212とコンロッド226の大端孔235とはいずれもアルミ材と鉄材の摺動となっている。
クランクシャフト210の下端には、遠心ポンプを構成する給油機構231があり、主軸部211に形成された螺旋溝232と連通している。螺旋溝232の上端は偏芯軸部212の給油溝233と孔(図示せず)で連通し、さらに、給油溝233は、コンロッド226の給油孔234でコンロッド226の大端孔235から小端孔236に連通している。
シリンダ221の端面は、バルブプレート240で封止され、シリンダヘッド241はバルブプレート240の反シリンダ221側で固定され高圧室(図示せず)を形成している。
サスペンションスプリング250は、図1の断面を中心に4箇所に設けてあり、密閉容器201に固定されたスナブバー251および電動要素203aの固定子204に固定されたスナブバー252の間に嵌装され、圧縮要素206を、固定子204を介して弾性的に支持する。
以上のように構成された圧縮機について、以下その動作を説明する。
電動要素203aの固定子204にインバーターにより通電がなされると回転子205はクランクシャフト210とともに回転する。これに伴い、偏芯軸部212の偏芯運動は、コンロッド226、ピストンピン225を介してピストン223をシリンダ221内で往復運動させ、冷凍サイクルの低圧側(図示せず)より戻った冷媒202は、密閉容器201内に導かれ、密閉容器201内の冷媒202を、サクションマフラー242を介して吸入管243よりシリンダ221内に吸い込み、冷媒202を圧縮する所定の圧縮動作を行う。
一方、潤滑油203は、クランクシャフト210の下方の給油機構231により吸い上げられ、主軸部211の螺旋溝232を通って主軸部211と軸受222の摺動面を潤滑しながら上方に送られる。螺旋溝232の上端は、偏芯軸部212の給油溝233と孔(図示せず)で連通しており、潤滑油203は、偏芯軸部212とコンロッド226の大端孔235の摺動面を潤滑する。さらに潤滑油203は、給油溝233からコンロッド226の給油孔234を通ってピストンピン225とコンロッド226の小端孔236の摺動面を潤滑する。また、潤滑油203は、偏芯軸部212の上端の孔(図示せず)からも飛び出し、飛び出した潤滑油203は、ピストン223にふりかかり、ピストン223とシリンダ221の間の摺動部を潤滑する。
ここで、ピストン223とシリンダ221の摺動について説明する。本実施の形態では、シリンダ221がADC−12やADC−14などのアルミダイキャストで形成され、ピストン223も同様なアルミダイキャストで形成された母材の表面を鉄メッキによる鉄のコーティング層224が5から20ミクロンの厚さで形成されている。これにより、ピストン223とシリンダ221は、鉄とアルミの摺動となり、鉄系同士の摺動よりも摩擦係数が低くなり、摺動損失が低減できる。図3を用いて、材料組み合わせによる摩擦係数の差異を説明する。
図3は、横軸に摺動の厳しさであるゾンマーフェルト数Sを取り、縦軸に摩擦係数μを取り、鉄材と鉄材の摩擦係数μ(図3の点線)と鉄材とアルミ材の摩擦係数μ(図3の実線)を測定した実験結果である。図3より、鉄材とアルミ材の摩擦係数μが鉄材と鉄材の摩擦係数μよりも低く、摺動ロスを低減できることがわかっている。
図4に、従来のシリンダが鉄材(鋳鉄)でピストンが鉄材(焼結)を用いた場合の鉄−鉄による圧縮機の効率結果と、本実施の形態のシリンダ221がアルミ材(ADC−12)でピストン223がアルミダイキャスト(ADC−12)の母材に鉄のコーティング層(鉄メッキ)を用いた場合の鉄−アルミによる圧縮機の効率結果を示している。発明者の実験では、本実施の形態の鉄−アルミによる圧縮機の方が、カロリーメーターによるCOPの測定結果で約0.005の向上が確認できている。
また、ピストン223とシリンダ221の母材が同じアルミ同士であるので、線膨張係数が等しく、熱時や冷時のいかなる温度条件においてもピストン223とシリンダ221の間のクリアランス(隙間)は一定に保たれピストン223とシリンダ221間からの冷媒202の漏れを最小限にすることが出来る。
このことは、鉄とアルミによる低摺動損失を得るために、ピストン223とシリンダ221の母材自体を鉄系とアルミ材にした場合を考えると線膨張係数の違う母材を使うことにより、低温時と高温時でクリアランスが大きく異なり、クリアランスが大きくなることによる冷媒202の漏れによる損失が発生してしまうことを考えると同一の母材を使うメリットは大きい。
図5を用いて線膨張係数によるピストン223とシリンダ221のクリアランスについて説明する。図5は、横軸に温度、縦軸に径を示し、アルミのシリンダ221の温度による径変化とアルミ材に鉄メッキによるコーティング層を設けたピストン223の径変化と、鉄材(焼結材)のピストンの温度による径変化を示している。
アルミ材に鉄メッキによるコーティング層を設けたピストン223も、鉄材(焼結材)のピストンも25℃でシリンダとのクリアランスが9ミクロンに設定している。アルミ材に鉄メッキによるコーティング層を設けたピストン223が、アルミのシリンダ221とのクリアランスが温度により変化せず常に9ミクロンであるのに対して、鉄材(焼結材)によるピストンを用いるとアルミ材のシリンダ221とのクリアランスが100℃で約30ミクロンとなり、クリアランスから冷媒が漏れ、大幅な性能低下を起してしまうことが確認できている。
また、鉄材(焼結材)によるピストンを用いると低温時には、クリアランスが小さくなりすぎ、シリンダ221内でピストンがロックしてしまうこともある。
一方、アルミ材に鉄のコーティング層(鉄メッキ)をしたものは、径が母材のアルミの線膨張係数に支配され、アルミと同等の線膨張係数で温度に対する径変化を起すので、アルミのシリンダ221に対してクリアランスは常に一定に保たれ、冷媒202の漏れによる冷凍能力、効率の低下や、低温時のロックを起すことは無い。
次に、鉄メッキによる鉄のコーティング層224を5から20ミクロンにする作用であるが、鉄材とアルミ材を用いた市場での鉄材の磨耗量が、5ミクロン未満であることが発明者の実験からわかっており、5ミクロン以上の鉄のコーティング層224があれば市場での磨耗進行が母材のアルミ材まで及ばない。また、鉄のコーティング層224が20ミクロンより大きくなると母材のアルミ材と鉄の線膨張係数の差から、鉄のコーティング層224に亀裂が発生する可能性があり、20ミクロン以下にすることによって、亀裂が発生することが無く、亀裂から冷媒202が漏れることによる損失が防止できる。
なお、シリンダ221側に鉄のコーティング層を形成しても同じ効果を得ることが出来るが、メッキの方法として、母材をメッキ槽にいれ、母材に電極を取り付けて鉄を析出させる方法を取る場合、母材がシリンダ221となるとシリンダ221の内面にだけ鉄メッキをつけることが難しく、本実施の形態のようにピストン223に鉄メッキをする方が容易である。
次に本実施の形態では、シリンダブロック220をアルミダイキャストで形成しているので、量産性に富み、生産性が高い。また、シリンダブロック220の機械加工に於いてもアルミ材がやわらかいので切削抵抗が少なく加工性が良いとともに、アルミダイキャストの寸法精度が高いので、ボルトの下孔や吐出のチャンバー(図示せず)などはアルミダイキャストで成形でき、後加工をする必要が無く生産性が高くなり、コストも削減出来る。そして従来の鋳物や焼結などの鉄系部材を用いた圧縮機よりも約1キログラム軽量化することに成功している。
次に本実施の形態では、クランクシャフト210とピストンピン225を鉄系材で形成し、コンロッド226および軸受222がアルミ材で形成されている。前述したように、ピストン223とシリンダ221が鉄とアルミの摺動となり摩擦係数が低いのに加えて、クランクシャフト210の主軸部211と軸受222の摺動、クランクシャフト210の偏芯軸部212とコンロッド226の大端孔235の摺動、ピストンピン225とコンロッド226の小端孔236の摺動もすべて鉄とアルミの摺動であり、摩擦係数が低く、すべての摺動面の摺動損失を低減でき、圧縮機の摺動損失を最小化することで、効率の最大化を図ることが出来る。
また、シリンダ221およびピストン223がアルミ材で出来ているため、軽量な圧縮機を実現できる。
また次に本実施の形態では、ピストン223がアルミ材で出来ており、アルミの比重は3弱で、比重が約7である鉄材に比べて半分以下であり、ピストン223の軽量化が可能である。この結果、鉄材を用いた場合に比べピストン223の質量が約40%に軽量化でき、往復運動による加振力も約40%に低減でき、その結果として、低振動化を図ることが出来る。
さらに本実施の形態では、冷媒202がHC系冷媒であるのでオゾン層を破壊せず、また温暖化係数も低く環境に優しい。また、潤滑油203が冷媒202と相溶性のあるアルキルベンゼン油、ナフテン系鉱油、バラフィン系鉱油を用いたものなので、潤滑油203自体が供給されることによる潤滑に加えて、冷媒202によって持ち運ばれることによる潤滑も行え、信頼性の高い圧縮機を提供できる。
以上のように、本実施の形態による圧縮機は、摺動損失および漏れ損失が小さく高効率を達成できる。またあわせて、軽量であり、低振動かつ高信頼性も得ることが出来る。
以上のように、本発明にかかる圧縮機は、高効率化を図れるので、エアーコンディショナー、冷凍冷蔵装置等に用いられる圧縮機にも適用できる。
本発明の実施の形態1における圧縮機の縦断面図 同実施の形態のピストンの断面図 摺動材の差による摩擦係数を比較した図 従来と本案による圧縮機の効率結果の図 シリンダとピストンの各材質による温度対径変化の図 従来の圧縮機の縦断面図
符号の説明
202 冷媒
203 潤滑油
210 クランクシャフト
211 主軸部
212 偏芯軸部
220 シリンダブロック
221 シリンダ
222 軸受
223 ピストン
224 鉄のコーティング層
225 ピストンピン
226 コンロッド

Claims (6)

  1. シリンダを形成するシリンダブロックと、前記シリンダ内で往復運動するピストンを備え、前記シリンダブロックと前記ピストンをアルミ材で形成し、前記ピストンまたは前記シリンダのいずれか一方の摺動面に鉄のコーティング層を形成した圧縮機。
  2. 鉄のコーティング層の厚みを5から20ミクロンとした請求項1に記載の圧縮機。
  3. 鉄のコーティング層を鉄メッキで形成した請求項1または2に記載の圧縮機。
  4. シリンダブロックをアルミダイキャストで形成した請求項1から3のいずれか一項に記載の圧縮機。
  5. 主軸部および偏芯軸部を有するクランクシャフトと、シリンダを形成するとともに前記クランクシャフトの主軸部を軸支する軸受を形成したシリンダブロックと、前記シリンダブロックのシリンダ内で往復運動するピストンと、前記ピストンに固定したピストンピンと、前記ピストンピンと前記偏芯軸部を連結するコンロッドを備え、前記クランクシャフトと前記ピストンピンを鉄系材で形成し、前記コンロッドおよび前記軸受をアルミ材で形成した請求項1に記載の圧縮機。
  6. 冷媒としてHC系冷媒を用い、圧縮機構の潤滑油としてアルキルベンゼン油、ナフテン系鉱油、バラフィン系鉱油を用いた請求項1から5のいずれか一項に記載の圧縮機。
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