JP2008105522A - 操舵装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 マイコンリセット後の仮の初期推定温度に基づいた温度推定演算を行う頻度を低減して、必要以上に操舵アシスト機能が制限されないようにする。
【解決手段】 イグニッションスイッチがオンすると初期診断を行い、初期診断が完了し、かつ、エンジンの回転数Nxが所定回転数N0以上で、電源電圧Vbが所定電圧V0以上となる状態が所定時間T以上継続したときに、エンジンが確実に始動したとみなしてアシスト制御を開始する。これにより、アシスト制御開始後にエンストする頻度が減り、エンジン再始動時に発生する電源電圧低下に伴うマイコンリセットの頻度も低下する。この結果、仮の初期設定温度を使用した電流制限を行う頻度が減り、必要以上に操舵アシスト機能が制限されにくくなる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、電動モータを駆動制御して操舵状態を変化させる電動パワーステアリング装置などの操舵装置に関する。
従来から、この種の操舵装置としては、例えば、電動パワーステアリング装置が知られている。電動パワーステアリング装置は、操舵ハンドルの操舵操作に対して操舵アシストトルクを発生する電動モータと、この電動モータの通電を制御する電子制御ユニットとを備える。電子制御ユニットは、主要部がマイクロコンピュータから構成され電動モータの目標通電制御量を演算する演算回路と、この演算回路からの指令信号に応じて電動モータに通電するモータ駆動回路を備える。
演算回路は、例えば、操舵トルクセンサにより検出した操舵ハンドルに働く操舵トルクと、車速センサにより検出した車速とに基づいて目標アシストトルク値を演算し、この目標アシストトルク値に対応する目標電流値と、電流センサにより検出した実際に電動モータに流れる実電流値との偏差に応じて電動モータに印加すべき電圧指令値を演算しモータ駆動回路に出力する。そして、モータ駆動回路は、演算回路からの電圧指令値に応じたデューティ比でスイッチング回路をオン/オフして、電圧指令値に応じた電圧を電動モータに印加する。
こうして電動モータにより発生した操舵アシストトルクと、運転者により操舵ハンドルに加えられた操舵トルクとに和により転舵輪の向きが変えられる。
以下、こうした電子制御ユニットの行う制御をアシスト制御と呼ぶ。
このような電動パワーステアリング装置においては、電動モータやモータ駆動回路のスイッチング回路が発熱して損傷してしまうことを防止するために、それらの温度をアシスト制御中に推定し、その推定温度に基づいて電動モータに流す電流の制限量(上限値)を設定している(特許文献1〜3)。この温度推定処理は、アシスト制御中に繰り返し行われる。そして、アシスト制御が終了すると、そのときの推定温度を不揮発性メモリに記憶して、この推定温度を次回のアシスト制御開始時の初期推定温度として利用する。
特開2002−362393号 特開2001−138928号 特開2003−284375号
ところで、こうしたアシスト制御を行う電子制御ユニットの演算回路は、マイクロコンピュータにより構成しているため、車載バッテリの出力電圧がマイクロコンピュータの最低作動電圧を下回るとリセットされてしまう。例えば、アシスト制御が開始された後にエンスト(エンジンストール)してエンジン再始動を行った場合には、特にバッテリが劣化している状況下においては、バッテリの一時的な電圧降下によりマイクロコンピュータがリセットされてしまい、アシスト制御中に逐次演算していた推定温度の情報が失われてしまう。
そこで、従来の電動パワーステアリング装置においては、こうしたマイクロコンピュータのリセットにより温度情報が失われた場合を想定して、予め設定された仮の初期推定温度を記憶しておき、マイクロコンピュータがリセットした場合には、次のアシスト制御を開始するときに、この仮の初期推定温度を用いて温度推定演算を開始するようにしている。この仮の初期推定温度は、過熱損傷防止を考慮して高めに設定されている。従って、実際には電動モータや駆動回路に過熱が生じていない場合であっても、ハンドル操作を行ったときには電動モータの電流制限が過剰に働いてしまい操舵力が重くなってしまう。また、こうした状況においては、運転者に故障していると誤解を与えてしまう。
本発明は、上記問題に対処するためになされたもので、マイクロコンピュータのリセットによる温度情報の消失頻度を低減して、操舵アシスト機能等、電動モータによる操舵機能を十分生かすようにすることを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、転舵輪を操舵するためのトルクを付与する電動モータと、上記電動モータを駆動する駆動回路と、操舵ハンドルの操舵状態を検出する操舵検出手段と、上記電動モータあるいは上記電動モータの駆動回路の発熱体の温度を演算により推定する温度推定部と、上記推定された推定温度に基づいた電流制限を加えながら上記検出された操舵ハンドルの操舵状態に基づいて上記電動モータの目標通電制御量を演算する通電制御量演算部とをマイクロコンピュータにより構成して備え、上記演算された目標通電制御量にしたがって上記駆動回路を介して上記電動モータを駆動制御するモータ制御手段とを備えた操舵装置において、車両のエンジン回転数に関する回転数情報を取得する回転数情報取得手段と、上記モータ制御手段へ電源供給を行う電源装置の電源電圧に関する情報を取得する電圧情報取得手段と、上記エンジンの回転数が所定回転数以上で、かつ、上記電源電圧が所定電圧以上となる状態が所定時間以上継続した後に、上記モータ制御手段の作動開始を許可する制御開始許可手段とを備えたことにある。
上記のように構成した本発明においては、温度推定部が電動モータあるいは電動モータの駆動回路の発熱体の温度を演算により推定し、通電制御量演算部がこの推定温度に基づいた電流制限を加えながら操舵ハンドルの操舵状態に基づいて電動モータの目標通電制御量を演算する。モータ制御手段は、この温度推定部と通電制御量演算部とをマイクロコンピュータにより構成して備え、演算された目標通電制御量にしたがって電動モータを駆動制御する。こうして電動モータの駆動制御により転舵輪に転舵力が付与される。このとき、電動モータあるいはその駆動回路は、電流制限によりその過熱損傷が防止される。
モータ制御手段においては、演算処理をマイクロコンピュータにより行う。従って、マイクロコンピュータに供給される電源電圧がその最低作動電圧を下回るとマイクロコンピュータがリセットされ推定温度情報が消失してしまう。従って、このときの推定温度を次回のモータ制御時における初期推定温度として利用することができない。
車両の電源装置としては、一般に、バッテリと、エンジンの回転により発電してバッテリを充電するオルタネータとを有するが、エンジン始動時には、オルタネータによる発電電力が得られないためバッテリのみからエンジンスタータに電源供給される。
このエンジン始動時には、電源装置の出力電圧(電源電圧)が一時的に大きく低下する。しかし、本発明においては、こうした電源電圧が低下している状況においては、制御開始許可手段によりモータ制御手段の作動開始が許可されない。そして、制御開始許可手段は、エンジン回転数が所定回転数以上であり、かつ、電源電圧が所定電圧以上となる状態が所定時間以上継続したときに、エンジンが確実に始動したとみなして、モータ制御手段による電動モータ制御の開始を許可する。従って、電動モータの駆動制御が開始された後にエンストする頻度が少なくなる。
この結果、電動モータの制御中に、エンジンの再始動操作が行われる頻度が減り、エンジン始動時の電源電圧低下によるマイクロコンピュータのリセットが低減される。従って、例えば、リセット後に過熱防止用に設定された仮の初期推定温度に基づいて推定温度を演算するように温度推定部を構成した場合には、仮の初期推定温度(高めに設定されている)を使用する頻度が減るため、適切に電動モータを駆動制御することができ、その機能を十分活かすことができる。
本発明の他の特徴は、上記電動モータは、操舵ハンドルの操舵により転舵輪を転舵する転舵機構に設けられ、操舵ハンドルの操舵操作に対して操舵アシストトルクを発生する電動モータであり、上記操舵検出手段は、操舵状態として操舵ハンドルの操作により加えられた操舵トルクを検出するトルクセンサであることにある。
この発明においては、電動パワーステアリング機能を備えている。つまり、この操舵装置では、運転者の操舵ハンドルの操作により加えられた操舵トルクをトルクセンサにより検出し、推定温度に基づいた電流制限を加えながら操舵トルクに基づいて電動モータの目標通電制御量を演算する。そして、この目標通電制御量にしたがって電動モータを駆動制御することにより、運転者の行う操舵操作に対して操舵アシストトルクを付与する。例えば、検出した操舵トルクが大きいほど、通電制御量演算部により電動モータの目標通電制御量を大きく設定することで、操舵操作に応じた適切な操舵アシストトルクが得られる。
この場合においても、エンジンが確実に始動した後に、電動モータの駆動制御が開始されるため、操舵アシスト機能の過剰な制限が低減され、操舵アシスト機能を十分活かすことができる。
本発明の他の特徴は、不揮発性記憶手段と、上記モータ制御手段による電動モータの駆動制御の終了時における上記推定温度を上記不揮発性記憶手段に書き込むとともに、上記電動モータの駆動制御終了時における推定温度に応じて設定される所定時間が上記終了時から経過したときに、上記不揮発性記憶手段に記憶されている上記推定温度を上記所定時間経過したときの推定温度に書き換え、上記不揮発性記憶手段に記憶されている推定温度を次回の電動モータの駆動制御時における初期推定温度として設定する初期推定温度設定手段と、上記モータ制御手段による電動モータの駆動制御を開始した後に、上記不揮発性記憶手段に記憶されている初期推定温度を、予め設定した仮の初期推定温度に書き換える仮初期推定温度書き込み手段とを備え、上記モータ制御手段の温度推定部は、上記電動モータの駆動制御の開始直前に上記不揮発性記憶手段に記憶されている初期推定温度を読み込み、その読み込まれた初期推定温度に基づいて上記電動モータあるいは上記電動モータの駆動回路の発熱体の温度を逐次演算により推定することにある。
この発明によれば、初期推定温度設定手段が、モータ制御手段による電動モータの駆動制御の終了時における推定温度を不揮発性記憶手段に書き込んで記憶しておき、さらに、その終了時の推定温度応じて設定される所定時間が経過すると、不揮発性記憶手段に記憶されている推定温度を、その所定時間経過後の推定温度に書き換える。そして、この不揮発性記憶手段に記憶されている推定温度が次回の電動モータの駆動制御時における初期推定温度として設定される。
この所定時間は、例えば、電動モータの駆動停止状態における温度推移特性に基づいて放熱が完了するまでの相当時間に設定するとよい。この場合、モータ駆動制御の終了時における推定温度が高いほど所定時間が長く設定される。そして、この所定時間が経過した後は、電動モータあるいは駆動回路の発熱体の温度が予め設定した所定温度に安定したものとみなし、この所定温度を推定温度として不揮発性記憶手段に記憶更新するとよい。尚、電動モータの駆動制御終了から所定時間経過するまでの期間においても、随時、推定温度を最新のものに書き換えるようにしてもよい。
電動モータの駆動制御中にマイクロコンピュータがリセットした場合には、こうした不揮発性記憶手段への推定温度の書き込みを(記憶)を行うことができなくなる。そこで、仮初期推定温度書き込み手段は、こうした事態に備えるために、モータ制御手段による電動モータの駆動制御を開始した後に、不揮発性記憶手段に記憶されている初期推定温度を、予め設定した仮の初期推定温度に書き換える。この場合、仮の初期推定温度は、過熱損傷防止を図る観点から高めの温度に設定される。尚、この仮の初期推定温度に書き換えるタイミングは、モータ制御手段による電動モータの駆動制御を開始した直後がよい。
モータ制御手段の温度推定部は、電動モータの駆動制御の開始直前にこの不揮発性記憶手段に記憶されている初期推定温度を読み込み、その読み込まれた初期推定温度に基づいて電動モータあるいは電動モータの駆動回路の発熱体の温度を逐次演算により推定する。従って、前回の電動モータの駆動制御中にマイクロコンピュータのリセットが発生していなければ、適切な初期推定温度に基づいて推定温度演算が行われる。一方、前回の電動モータの駆動制御中にマイクロコンピュータのリセットが発生した場合には、予め設定した仮の初期推定温度に基づいて推定温度演算が行われることとなる。この場合には、大きな電流制限が働くことになる。
そこで、この発明では、エンジンが確実に始動したと判断されるまで待って、つまり、エンジン回転数が所定回転数以上であり、かつ、電源電圧が所定電圧以上にとなる状態が所定時間以上継続した後に、モータ制御手段による電動モータの駆動制御を開始する。従って、モータ制御中にエンジン再始動操作によりマイクロコンピュータがリセットする頻度が減少し、過剰な電流制限が働いてしまうケースを少なくすることができる。
尚、仮の初期推定温度は、書き換え不能で安定して記憶保持可能なROM等の記憶手段に記憶しておくと良い。
以下、本発明の一実施形態に係る車両の操舵装置について図面を用いて説明する。図1は、本発明の操舵装置の実施形態としての車両の電動パワーステアリング装置を概略的に示し、図2は、その電動パワーステアリング装置における制御システムおよび電源供給系を概略的に示している。
この車両の電動パワーステアリング装置は、大別すると、操舵ハンドル11の操舵により転舵輪を転舵する転舵機構10と、転舵機構10に組み付けられ操舵アシストトルクを発生する電動モータ15と、操舵ハンドル11の操舵状態に応じて電動モータ15の作動を制御する電子制御ユニット30とから構成される。
転舵機構10は、操舵ハンドル11の回動操作に連動したステアリングシャフト12の軸線周りの回転をラックアンドピニオン機構13によりラックバー14の軸線方向の運動に変換して、このラックバー14の軸線方向の運動に応じて転舵輪である左右前輪FW1,FW2を操舵するようになっている。
ラックバー14は、ギヤ部14aがラックハウジング16内に収納され、その左右両端がラックハウジング16から露出してタイロッド17と連結される。左右のタイロッド17の他端は、左右前輪FW1,FW2に設けられたナックル19に接続される。
ステアリングシャフト12には減速ギヤ18を介して電動モータ15が組み付けられている。電動モータ15は、その回転により減速ギヤ18を介してステアリングシャフト12をその軸中心に回転駆動して、操舵ハンドル11の回動操作に対して操舵アシスト力を付与する。
電動モータ15には、回転角センサ23が設けられる。この回転角センサ23は、電動モータ15の回転子の回転に応じた検出信号を出力するもので、例えば、エンコーダやレゾルバにより構成される。この回転角センサ23により検出される回転角は、操舵ハンドル11の操舵角に比例するものであるので、操舵ハンドル11の操舵角θの検出用に用いられる。
ステアリングシャフト12には、操舵ハンドル11と減速ギヤ18との中間位置に操舵トルクセンサ21が組みつけられている。この操舵トルクセンサ21は、操舵ハンドル11の回動操作によってステアリングシャフト12に作用する操舵トルクThを検出する。操舵トルクThは、正負の値により操舵ハンドル11の右方向および左方向の操舵時における操舵トルクの大きさをそれぞれ表す。
また、操舵トルクセンサ21をステアリングシャフト12に組み付けるのに代え、ラックバー14に組み付けて、ラックバー14の軸線方向の歪み量から操舵トルクThをそれぞれ検出するようにしてもよい。
次に、電子制御ユニット30について図2を用いて説明する。
電子制御ユニット30(以下、ECU30と呼ぶ)は、電動モータ15の目標通電制御量を演算し、演算された目標通電制御量にて電動モータ15を駆動制御する電子制御回路40と、電子制御回路40からの制御指令により電動モータ15を駆動する駆動回路32とを含んで構成される。
電子制御回路40は、CPU,ROM,RAM等からなるマイクロコンピュータ41(以下、マイコン41と呼ぶ)と、入力インタフェース42と、出力インタフェース43と、EEPROM(Electric Erasable PROM)44とから構成される。マイコン41内のROMには後述する制御プログラムや各種データ等が記憶されている。
入力インタフェース42は、バスを介してマイコン41に接続されるとともに、操舵トルクセンサ21、車速センサ22、回転角センサ23、エンジン回転数センサ24、電流センサ25が接続され、マイコン41に対して各センサの検出信号を供給するようになっている。また、入力インタフェース42には、電子制御回路40に供給された電源から、その電源電圧Vbに応じたデジタル信号を生成してマイコン41に供給するA/Dコンバータ(図示略)を備える。従って、このA/Dコンバータは、電源電圧検出センサとしての機能をも備えている。
車速センサ22は、車両の走行速度vxに応じた車速信号を出力する。エンジン回転数センサ24は、図示しないエンジンの回転数Nxに応じた回転数信号を出力する。
出力インタフェース43は、バスを介してマイコン41に接続されるとともに、駆動回路32および常開(ノーマル・オープン)型の電源リレー57に接続されていて、マイコン41からの指令に基づきこれらの導通状態を変更する信号を送出するようになっている。また、EEPROM44は、電源装置50からの電源供給を受けない状態においてもデータを記憶・保持する不揮発性記憶手段であり、バスを介してマイコン41と接続されていている。
駆動回路32は、ゲートが出力インタフェース43にそれぞれ接続されたMOSFETからなる4個のスイッチング素子Tr1〜Tr4と、2つの抵抗R1,R2とを備えている。抵抗R1の一端は、電源装置50の電源ライン55に接続され、抵抗R1の他端は、スイッチング素子Tr1,Tr2の各ソースに接続されている。スイッチング素子Tr1,Tr2のドレインは、スイッチング素子Tr3,Tr4のソースにそれぞれ接続され、スイッチング素子Tr3,Tr4のドレインは抵抗R2を介して接地されている。また、スイッチング素子Tr1とTr3との間は電動モータ15の一方の極に接続され、スイッチング素子Tr2とTr4との間は電動モータ15の他方の極に接続されている。抵抗R2とスイッチング素子Tr3,Tr4との間には電流センサ25が設けられ、電動モータ15に流れる電流値Ixを表す検出信号を入力インタフェース42に出力する。
駆動回路32は、電源が供給されている状態において、スイッチング素子Tr1,Tr4が選択的に導通状態(オン状態)とされたとき、電動モータ15に所定方向の電流が流れて同モータ15は右回転し、スイッチング素子Tr2,Tr3が選択的に導通状態とされたとき、電動モータ15に前記所定の方向と反対方向の電流が流れて同モータ15は左回転する。
次に、電子制御回路40および駆動回路32への電源供給回路構成について図2を用いて説明する。
ECU30は、バッテリ51と、エンジンの回転により発電するオルタネータ52とからなる電源装置50から電源供給される。バッテリ51としては、定格出力電圧が12Vの一般の車載バッテリが用いられる。
この電源装置50は、電動パワーステアリング装置だけでなくエンジン始動装置等を含む他の車載電気負荷への電源供給も共通して行う。バッテリ51の電源端子(+端子)に接続される主電源供給ライン53には、電動パワーステアリングへの電源供給ラインとして、第1電源供給ライン54と第2電源供給ライン55とが接続される。
第1電源供給ライン54は、ECU30への制御用電源供給ラインとなる。一方、第2電源供給ライン55は、電動モータ15への電力供給ラインとなる。
第1電源供給ライン54には、その途中にイグニッションスイッチ60が設けられ、更に、その二次側(イグニッションスイッチ60と電子制御回路40との間)にダイオード56が設けられる。ダイオード56は、カソードを電子制御回路40側、アノードを電源装置50側にして設けられ、電源供給方向にのみ通電可能とする逆流防止素子である。
第2電源供給ライン55は、主電源供給ライン53と駆動回路32の電源入力部とを電気的に接続するが、その途中に電源リレー57が設けられる。この電源リレー57は、電子制御回路40からの制御信号によりオンして電動モータ15への電力供給回路を形成するものである。
第2電源供給ライン55には、この電源リレー57よりも負荷側において、連結ライン58により第1電源供給ライン54と接続される。この連結ライン58は、第1電源供給ライン54におけるダイオード56と電子制御回路40との間に接続される。連結ライン58には、ダイオード59が設けられる。このダイオード59は、カソードを第1電源供給ライン54側に、アノードを第2電源供給ライン55側に向けて設けられ、第2電源供給ライン55から第1電源供給ライン54に向けてのみ通電可能とする逆流防止素子である。
このように構成された電源供給系においては、電源リレー57がオン状態とされたときには、イグニッションスイッチ60の状態にかかわらず、電子制御回路40および駆動回路32に電源が供給される構成となっている。
次に、ECU30の行う処理について説明する。
ここでは、まずECU30の行う処理の全体的な概要について説明する。図10は、ECU30にて行われる処理を時系列に表したものである。
図10に示すように、イグニッションスイッチ60がオフ状態からオン状態に切り替わると(時刻t0)、まず初期診断が行われる。このとき、同時にアシスト制御(電動モータ15により操舵アシストトルクを発生させる制御)を開始するための開始条件の成立判定も開始される。初期診断中においては、前回のアシスト制御の終了時にEEPROM44に記憶した推定温度が読み出される(時刻t1)。アシスト開始条件が成立するとアシスト制御が開始される(時刻t3)。このアシスト制御においては、時刻t1に読み出した推定温度を初期推定温度として、この初期推定温度に基づいて電動モータ15の温度推定が逐次行われる。アシスト制御が開始されると、すぐに、ROMに記憶されている仮初期推定温度が読み出され、この仮初期推定温度がEEPROM44に記憶される(時刻t4)。このとき、EEPROM44に記憶されていた直前回の推定温度は、この仮初期推定温度に書き換えられる。これは、アシスト制御終了時における推定温度の書き込みが不能になる事態に備えて行われるものであり、通常のアシスト制御中においては、この仮初期推定温度は使用されない。
イグニッションスイッチ60がオフ状態に切り替わると(時刻t5)、アシスト制御の終了成立条件が判定され、終了条件が成立した時点(時刻t6)でアシスト制御が終了する。このとき、逐次演算されていた推定温度がEEPROM44に書き込まれる。そして、所定時間の経過を待って、その時点における推定温度がEEPROM44に書き込まれる(時刻t7)。こうして、EEPROM44には、時刻t7における推定温度が記憶されることとなる。推定温度を記憶した後、電源リレー57がオフされて全ての処理が終了する。
次に、ECU30が実行する各処理について個々に詳細に説明する。まず、アシスト開始条件判定処理について説明する。
イグニッションスイッチ60がオフ状態からオン状態に切り替わると、電源装置50からECU30に電源供給される。マイコン41は、電源供給を受けると、アシスト制御を開始するに先立って、アシスト制御を開始する条件の成立判定を行う。
図3は、マイコン41により行われるアシスト開始条件判定ルーチンを表すもので、マイコン41のROM内に制御プログラムとして記憶され、短い周期で繰り返し実行される。この判定ルーチンは、イグニッションスイッチ60がオンしてECU30に電源供給されると起動する。
本判定ルーチンが起動すると、マイコン41は、まず、ステップS11において、フラグFを確認する。このフラグFは、本ルーチンの起動時においてはF=0に設定されており、初期診断が完了するとF=1に設定されるものである。従って、本ルーチンが起動したときには、ステップS11の判断は、「YES」となり、その処理を次のステップS12に進める。マイコン41は、ステップS12において、初期診断、つまり、電動パワーステアリング装置におけるシステム内の診断を行う。この初期診断時においては、同時に、EEPROM44に記憶されている推定温度データの読み出しも行う(図10:時刻t1)。この推定温度データは、後述するアシスト制御を実行するときに行う電動モータ15の温度推定演算の初期値(初期推定温度ta)として利用される。
続いて、ステップS13において初期診断処理が完了したか否かを判断する。初期診断が完了していない場合は、本判定ルーチンを一旦抜ける。本判定ルーチンは所定の周期で繰り返され、初期診断が完了すると(S13:YES、図10:時刻t2))、次に、ステップS14においてフラグFをF=1に設定する。
次に、マイコン41は、ステップS15に処理を進めて、エンジン回転数センサ24からの検出信号を読み込み、エンジン回転数Nxが所定回転数N0(例えば、600rpm)以上あるか否かを判断する。Nx<N0である場合には、本判定ルーチンを一旦抜ける。本制御ルーチンは所定の周期で繰り返し実行されるが、次に実行されるときには、フラグFがF=1に設定されているため、ステップS12〜S14の処理は飛ばされる。
従って、エンジン回転数Nxが所定回転数N0以上であるか否かの判断処理が繰り返される。
マイコン41は、エンジン回転数Nxが所定回転数N0以上となったことを確認すると(S15:YES)、その処理をステップS16に進める。
ステップS16においては、電源装置50からECU30に供給される電源電圧を検出し、検出した電源電圧Vbが所定電圧V0(例えば、10V)以上であるか否かを判断する。Vb<V0である場合には、本判定ルーチンを一旦抜ける。
こうした処理を繰り返し、ステップS15におけるエンジン回転数Nxの条件(Nx≧N0)と、ステップS16における電源電圧Vbの条件(Vb≧V0)の両方が成立すると、マイコン41は、その処理をステップS17に進める。
マイコンは、このステップS17におい、計時タイマを起動して、この2つの条件(S15,S16)が全て成立している時間が所定時間T秒(例えば、1秒)以上継続したか否かを判断する。タイマ計時中に、2つの条件の1つでも成立しないとタイマをゼロクリアして本ルーチンを一旦抜ける。
そして、エンジン回転数Nxが所定回転数N0以上であり、かつ、電源電圧Vbが所定電圧V0以上の状態が所定時間T秒継続すると、ステップS17の判断は、「YES」となり、ステップS18によりアシスト制御の開始許可が出力される。このアシスト制御の開始許可を出力して本アシスト開始条件判定ルーチンは終了し、続いてアシスト制御が開始される。
このアシスト開始条件判定ルーチンのステップS15〜S17の処理は、エンジンが確実に始動したかどうかを判定し、エンジンが確実に始動したと判断され後に、アシスト制御の開始を行うようにしたものである。従って、アシスト制御が開始された後に、エンストする頻度が非常に少なくなる。
次に、ECU30が実行するアシスト制御処理について説明する。
上述したアシスト開始条件判定ルーチンにおいて、アシスト制御の開始が許可されると、このアシスト制御ルーチンが起動する。図4は、マイコン41により行われるアシスト制御ルーチンを表すもので、マイコン41のROM内に制御プログラムとして記憶され、短い周期で繰り返し実行される。
本制御ルーチンが起動すると、マイコン41は、まず、ステップS21において、車速センサ22によって検出された車速vxと、操舵トルクセンサ21によって検出した操舵トルクThを読み込む。
続いて、図5に示すアシストトルクテーブルを参照して、入力した車速vおよび操舵トルクThに応じて設定される基本アシストトルクTasを計算する(S22)。アシストトルクテーブルは、マイコン41のROM内に記憶されるもので、操舵トルクThの増加にしたがって基本アシストトルクTasも増加し、しかも、車速vxが低くなるほど大きな値となるように設定される。
尚、図5の特性グラフは、正領域すなわち右方向の操舵トルクThおよび基本アシストトルクTasの関係についてのみ示しているが、負領域すなわち左方向の操舵トルクThおよび基本アシストトルクTasに関しては、図5の特性グラフを原点を中心に点対称の位置に移動した関係になる。また、本実施形態では、基本アシストトルクTasをアシストトルクテーブルを用いて算出するようにしたが、アシストトルクテーブルに代えて操舵トルクThおよび車速vxに応じて変化する基本アシストトルクTasを定義した関数を用意しておき、その関数を用いて基本アシストトルクTasを計算するようにしてもよい。
また、基本アシストトルクTasの算出に関しては、必ずしも車速vxと操舵トルクThとの組み合わせから算出する必要はなく、少なくとも操舵状態に応じた検出信号に基づいて行えばよい。
続いて、マイコン41は、ステップS23において、この基本アシストトルクTasに補償トルクTrtを加算して目標トルクT*を算出する。この補償トルクTrtは、例えば、操舵角θに比例して大きくなるステアリングシャフト12の基本位置への復帰力と、操舵角速度ωに比例して大きくなるステアリングシャフト12の回転に対向する抵抗力に対応した戻しトルクとの和として計算する。この計算に当たっては、回転角センサ23にて検出した電動モータ15の回転角θおよび電動モータ15の角速度ω(操舵ハンドル11の操舵角θを時間で微分した操舵角速度ωに相当)を入力して算出する。
次に、マイコン41は、ステップS24において、目標トルクT*を発生させるために必要な必要電流I*を計算する。必要電流I*は、目標トルクT*をトルク定数で除算することにより求められる。
続いて、マイコン41は、ステップS25において、電動モータ15の推定温度txを算出する。この推定温度txは、初期診断時にEEPROM44から読み込んだ推定温度を初期推定温度taとして、この初期推定温度taと電動モータ15に流れる電流値Ixとから以下に示すように演算される。
Figure 2008105522
ここで、Knは温度変換ゲイン、Thはフィルタ時定数、sはラプラス演算子である。
この推定温度txは、後述する電動モータ15および駆動回路の過熱損傷を防止するための電流上限値を演算するために使用される。
尚、電動モータ15を駆動制御するとき、駆動回路32のスイッチング素子Tr1〜Tr4も発熱するが、本実施形態においては、スイッチング素子Tr1〜Tr4に比べて電動モータ15(特にブラシ部)のほうが早く過熱防止温度に達するため、電動モータ15のブラシ部の推定温度検出による電流制限にて駆動回路32をも含めた過熱損傷防止を図る。
こうして推定温度txが算出されると、マイコン41は、ステップS26において、この推定温度txから電動モータ15に通電する上限電流値Imaxを設定する。この上限電流値Imaxは、図6に示す上限電流値マップを参照して求められる。この上限電流値マップは、マイコン41のROMに記憶され、推定温度txが高いほど上限電流値Imaxを小さな値に設定する。
続いて、ステップS27の処理に移行し、ステップS24で算出された必要電流I*とステップS26にて算出された上限電流値Imaxとから最終的な目標電流I**を求める。必要電流I*が上限電流値Imax以下であれば、目標電流I**は必要電流I*と同一値に設定され、必要電流I*が上限電流値Imaxより大きければ、目標電流I**は上限電流値Imaxと同一値に設定される。
続いて、ステップS28の処理に移行し、目標電流I**と実電流Ixとの偏差ΔIを算出し、この偏差ΔIに基づくPI制御(比例積分制御)により目標指令電圧V*を計算する。ステップS25,S28の演算に用いられる実電流Ixは、電流センサ25により検出した電動モータ15に流れる電流値である。
目標指令電圧V*は、例えば、下記式により計算する。
V*=Kp・ΔI+Ki・∫ΔI dt
ここでKpは、PI制御における比例項の制御ゲイン、Kiは、PI制御における積分項の制御ゲインである。
そして、マイコン41は、目標指令電圧V*に応じたPWM制御電圧信号を駆動回路32に出力して本アシスト制御ルーチンを一旦終了する。本制御ルーチンは、所定の短い周期で繰り返し実行される。従って、本制御ルーチンの実行により、駆動回路32のスイッチング素子Tr1〜Tr4のデューティ比がPWM制御により制御されて、運転者の操舵操作に応じた操舵アシストトルクが得られる。また、このアシスト制御においては、電動モータ15の推定温度txに応じた電流制限が加えられることにより、電動モータ15および駆動回路32の過熱損傷を防止することができる。
アシスト制御ルーチンを実施しているときに、電源電圧が低下してマイコン41がリセットした場合には、上述したアシスト制御を継続できなくなる。マイコン41は、リセットされたのち電源電圧が復帰すると、アシスト制御を再開するにあたり、上述した図3に示すアシスト開始判定ルーチンを行う。
この場合、直前回のアシスト制御中に逐次算出した推定温度データが消失しているため、次回のアシスト制御を行うときには、適切な初期推定温度が得られない。つまり、直前回のアシスト制御時においては、その途中で制御が中断されていることから、アシスト制御終了時に行う推定温度のEEPROM44への書き込みが行われていない。
そこで、マイコン41は、こうした事態に備えて、予め設定された仮の初期推定温度tbをROM内に記憶しており、アシスト制御中に、ROMから仮初期推定温度tbを読み出してEEPROM44に記憶させている。この仮初期推定温度tbは、過熱損傷防止を図る観点で高い温度に設定されている。
図11は、マイコン41の実行する仮初期推定温度書き込みルーチンを表す。このルーチンは、マイコン41のROM内に制御プログラムとして記憶されており、アシスト制御の開始と同期して起動する。
アシスト制御の開始とともに、本ルーチンが起動すると、ステップS51において、書き込みタイミングか否かを判断する。本実施形態においては、アシスト制御の開始から所定時間経過したとき(例えば、0.2秒)が書き込みタイミングとなっている(図10における時刻t4)。そして、書き込みタイミングが到来すると(S51:YES)、マイコン41は、ROMに記憶されている仮初期推定温度tbを読み出し(S52)、この仮初期推定温度tbをEEPROM44に記憶する(S53)。従って、EEPROM44に記憶されていた推定温度は、この仮初期推定温度tbに書き換えられる。マイコン41は、仮初期推定温度tbをEEPROM44に記憶すると、本ルーチンを終了する。
従って、電源電圧の一時的な低下によりマイコン41がリセットした場合には、電源電圧の復帰後、マイコン41は初期診断時にEEPROM44からこの仮初期推定温度tbを読み出すこととなる。そして、アシスト制御中の推定温度の演算時においては、この仮初期推定温度tbを初期推定温度taとして演算する。
この仮初期推定温度tbは、電動モータの過熱損傷防止を行うという観点から高めに設定されている。従って、仮初期推定温度tbを初期推定温度taとして設定して推定温度を算出した場合には、電動モータ15が過熱していないケースであっても上限電流値Imaxの制限が厳しくなり、必要以上に操舵アシストの制限が働いてしまう。
しかしながら、本実施形態においては、アシスト制御の実行に先立って、アシスト開始条件判定ルーチンを実行することにより、エンジンが確実に始動したと判断した後に、アシスト制御を開始する。つまり、エンジン回転数が所定回転数以上であり、かつ、電源電圧が所定電圧以上にとなる状態が所定時間以上継続したときに、エンジンが確実に始動したとみなして、電動モータ15の駆動制御を開始する。従って、アシスト制御を行っている途中でエンストする頻度が少なくなり、エンジン再始動操作時での電源電圧の低下によるマイコン41のリセットが抑制される。従って、必要以上に操舵アシスト制限が働く頻度が低減され、アシスト機能を有効利用することができる。
次に、アシスト制御の終了条件を判定する処理について説明する。図7は、マイコン41により行われるアシスト終了条件判定ルーチンを表すもので、マイコン41のROM内に制御プログラムとして記憶される。このアシスト終了条件判定ルーチンは、上述したアシスト制御ルーチンと並行して、短い周期で繰り返し実行される。
本アシスト終了条件判定ルーチンが起動すると、マイコン41は、まず、ステップS31において、イグニッションスイッチ60の状態を確認し、イグニッションスイッチ60がオン状態であれば(S31:NO)、そのまま本判定ルーチンを一旦抜ける。
本判定ルーチンが繰り返され、イグニッションスイッチ60のオフ状態を検出すると(S31:YES)、次に、ステップS32において、エンジン回転数Nxが所定回転数N1以下になっているか否かを判断する。このステップS32は、エンジン停止を判断するためのもので、例えば、N1=0rpmに設定される。
エンジン回転数Nxが所定回転数N1より大きい場合には(S32:NO)、そのまま本判定ルーチンを一旦抜ける。本判定ルーチンが繰り返され、イグニッションスイッチ60がオフ状態で、かつ、エンジン回転数Nxが所定回転数N1以下となったことが確認されると(S31,S32:YES)、ステップS33において、アシスト制御の終了指令を出力する。この終了指令により、アシスト制御ルーチンが終了する。
マイコン41は、アシスト制御の終了指令を出力したのち、本アシスト終了条件判定ルーチンを終了し、アシスト終了時温度記憶ルーチンを実行する。
図8は、マイコン41により行われるアシスト終了時温度記憶ルーチンを表すもので、マイコン41のROM内に制御プログラムとして記憶される。このアシスト終了時温度記憶ルーチンは、上述したアシスト終了条件判定ルーチンの終了にあわせて起動する。
本アシスト終了時温度記憶ルーチンが起動すると、まず、ステップS41において、アシスト制御終了時における電動モータ15の推定温度txを表すデータをEEPROM44に書き込む。続いて、ステップS42において、この推定温度txに基づいてパワーオフまでの待機時間を設定する。この待機時間の設定は、マイコン41のROM内に記憶されている待機時間マップを参照して行う。待機時間マップは、図9に示すように、モータ推定温度の増加に従って増加する待機時間を記憶している。
この待機時間は、アシスト制御終了時からモータ温度(ブラシ部温度)が所定温度(例えば0℃)にまで下がるのに必要な時間を設定している。例えば、本実施形態においては、アシスト制御中において推定温度txが71℃を超えると電流制限が働くように設定されており、モータ温度(ブラシ部温度)は80℃を超えないようになっている。そこで、本実施形態においては、電動モータ15をそのモータ温度が80℃の状態から非通電状態で放置したときに10分でモータ温度が0℃にまで下がるとした温度推移特性を用い、この温度推移特性とアシスト制御終了時における推定温度txとから待機時間を設定している。従って、待機時間は、アシスト制御終了時における推定温度txが高温であるほど長い時間に設定される。
マイコン41は、ステップS42において待機時間マップに基づいて待機時間を設定すると、次に、ステップS43において、その待機時間を計測する計時タイマを起動する。続いて、ステップS44において計時タイマが待機時間だけ経過したか否かを判断する。そして、待機時間の経過が計測されると(S44:YES)、このときの電動モータ15の推定温度txを初期推定温度taとしてEEPROM44に記憶更新する。この場合、先のステップS41においてEEPROM44に記憶されていた推定温度txは、待機時間が経過したときの最終の推定温度txに書き換えられる。この推定温度txは、本実施形態においては0℃に設定される。
こうして、EEPROM44に推定温度txが記憶されると、マイコン41は、ステップS46において、電源リレー57をオフしてECU30への電源供給を遮断して、本ルーチンを終了する。従って、次回のアシスト制御時においては、このEEPROM44に記憶された推定温度txを初期推定温度taとして、この初期推定温度taに基づいた電動モータ15の温度推定演算が行なわれることになる。
また、ステップS44における待機時間の計測中、つまり、待機時間の経過が完了する前にイグニッションスイッチ60がオンされた場合には、本アシスト終了時温度記憶ルーチンを終了して、上述したアシスト開始条件判定ルーチンを起動する。この場合、次回のアシスト制御時においては、ステップS41において記憶した推定温度txが初期推定温度taとして設定され、この初期推定温度taに基づいた電動モータ15の温度推定演算が行われる。また、待機時間の計測中に、バッテリ51が主電源供給ライン53から外された場合においても、バッテリ51が接続された後の最初のアシスト制御時においては、ステップS41において記憶した推定温度txが初期推定温度taとして設定され、この推定温度taに基づいた電動モータ15の温度推定演算が行われる。
尚、待機期間中(ステップS44における時間経過の判断中)においても温度推移特性に基づいて周期的に推定温度txを演算するようにし、この演算された推定温度txをEEPROM44に記憶更新するようにしてもよい。この構成においては、待機中にイグニッションスイッチ60がオンしてアシスト制御を開始する場合、初期推定温度taがさらに適正な値となる。
以上説明した本実施形態の電動パワーステアリング装置によれば、エンジンが確実に始動したと判断されるタイミングでアシスト制御を開始するため、アシスト制御の開始後にエンストする頻度が少なくなる。この結果、アシスト制御中に、エンジン再始動時に発生する電源電圧低下に伴うマイコンリセットの頻度も減少し、高めに設定された仮初期推定温度を使用した推定温度に基づく電流制限の頻度も低下する。従って、必要以上に電流制限が働いて操舵アシスト機能が良好に得られないという状況も少なくなる。また、故障によりハンドル操作が重くなったと運転者が誤解するケースも少なくなる。
このように本実施形態の電動パワーステアリングによれば、電動モータや駆動回路の過熱保護と、操舵アシスト機能の有効利用とを両立することができる。
以上、本実施形態の電動パワーステアリング装置について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態においては、推定温度txをEEPROM44に記憶するようにしているが、それに限るものでなく、他の不揮発性メモリに記憶するようにしてもよい。
また、本実施形態においては、電動モータ15のブラシ部の温度を推定しているが、駆動回路32のスイッチング素子等の発熱部の温度を推定して、この推定温度に基づいて電動モータ15の電流制限を行うようにしてもよく、また、電動モータ15と駆動回路32との両方の温度を推定するようにしてもよい。
尚、駆動回路の発熱部の推定温度についてもモータ推定温度の算出式(1)を用いて算出することができる。この場合、温度変換ゲインKnやフィルタ時定数Thを駆動回路の発熱部に応じた値に適宜設定する。また、例えば、特開2001−138928号に示されるように、駆動回路の基板に温度センサを設け、この温度センサにて検出した基板温度tbと、電動モータの電流値を擬似的に積分した積分値Isumと、所定の係数kとを用いて、推定温度txを次式のように算出してもよい。
tx=k・Isum+tb
また、本実施形態においては、電動パワーステアリング装置への適用について説明したが、例えば、操舵ハンドルと転舵装置とを機械的に分離したステアバイワイヤ方式の転舵装置に適用してもよい。
本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の全体構成図である。 実施形態の電動パワーステアリング装置における制御システムおよび電源供給系を表す概略回路構成図である。 実施形態に係るアシスト開始条件判定ルーチンを表すフローチャートである。 実施形態に係るアシスト制御ルーチンを表すフローチャートである。 実施形態に係るアシストトルクマップを表す特性図である。 実施形態に係る上限電流値マップを表す特性図である。 実施形態に係るアシスト終了条件判定ルーチンを表すフローチャートである。 実施形態に係るアシスト終了時温度記憶ルーチンを表すフローチャートである。 実施形態に係る待機時間マップを表す特性図である。 実施形態に係るECUが行う制御全体を表すタイミングチャートである。 実施形態に係る仮初期推定温度書き込みルーチンを表すフローチャートである。
符号の説明
10…転舵機構、11…操舵ハンドル、12…ステアリングシャフト、15…電動モータ、21…操舵トルクセンサ、22…車速センサ、23…回転角センサ、24…エンジン回転角センサ、30…電子制御ユニット(ECU)、32…駆動回路、40…電子制御回路、41…マイコン、42…入力インタフェース、43…出力インタフェース、44…EEPROM、50…電源装置、51…バッテリ、60…イグニッションスイッチ、FW1,FW2…左右前輪。

Claims (3)

  1. 転舵輪を操舵するためのトルクを付与する電動モータと、
    上記電動モータを駆動する駆動回路と、
    操舵ハンドルの操舵状態を検出する操舵検出手段と、
    上記電動モータあるいは上記電動モータの駆動回路の発熱体の温度を演算により推定する温度推定部と、上記推定された推定温度に基づいた電流制限を加えながら上記検出された操舵ハンドルの操舵状態に基づいて上記電動モータの目標通電制御量を演算する通電制御量演算部とをマイクロコンピュータにより構成して備え、上記演算された目標通電制御量にしたがって上記駆動回路を介して上記電動モータを駆動制御するモータ制御手段と
    を備えた操舵装置において、
    車両のエンジン回転数に関する回転数情報を取得する回転数情報取得手段と、
    上記モータ制御手段へ電源供給を行う電源装置の電源電圧に関する情報を取得する電圧情報取得手段と、
    上記エンジンの回転数が所定回転数以上で、かつ、上記電源電圧が所定電圧以上となる状態が所定時間以上継続した後に、上記モータ制御手段の作動開始を許可する制御開始許可手段と
    を備えたことを特徴とする操舵装置。
  2. 上記電動モータは、操舵ハンドルの操舵により転舵輪を転舵する転舵機構に設けられ、操舵ハンドルの操舵操作に対して操舵アシストトルクを発生する電動モータであり、
    上記操舵検出手段は、操舵状態として操舵ハンドルの操作により加えられた操舵トルクを検出するトルクセンサであることを特徴とする請求項1記載の操舵装置。
  3. 不揮発性記憶手段と、
    上記モータ制御手段による電動モータの駆動制御の終了時における上記推定温度を上記不揮発性記憶手段に書き込むとともに、上記電動モータの駆動制御終了時における推定温度に応じて設定される所定時間が上記終了時から経過したときに、上記不揮発性記憶手段に記憶されている上記推定温度を上記所定時間経過したときの推定温度に書き換え、上記不揮発性記憶手段に記憶されている推定温度を次回の電動モータの駆動制御時における初期推定温度として設定する初期推定温度設定手段と、
    上記モータ制御手段による電動モータの駆動制御を開始した後に、上記不揮発性記憶手段に記憶されている初期推定温度を、予め設定した仮の初期推定温度に書き換える仮初期推定温度書き込み手段と
    を備え、
    上記モータ制御手段の温度推定部は、上記電動モータの駆動制御の開始直前に上記不揮発性記憶手段に記憶されている初期推定温度を読み込み、その読み込まれた初期推定温度に基づいて上記電動モータあるいは上記電動モータの駆動回路の発熱体の温度を逐次演算により推定することを特徴とする請求項1または請求項2記載の操舵装置。
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