JP2008105522A - 操舵装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 イグニッションスイッチがオンすると初期診断を行い、初期診断が完了し、かつ、エンジンの回転数Nxが所定回転数N0以上で、電源電圧Vbが所定電圧V0以上となる状態が所定時間T以上継続したときに、エンジンが確実に始動したとみなしてアシスト制御を開始する。これにより、アシスト制御開始後にエンストする頻度が減り、エンジン再始動時に発生する電源電圧低下に伴うマイコンリセットの頻度も低下する。この結果、仮の初期設定温度を使用した電流制限を行う頻度が減り、必要以上に操舵アシスト機能が制限されにくくなる。
【選択図】 図3
Description
こうして電動モータにより発生した操舵アシストトルクと、運転者により操舵ハンドルに加えられた操舵トルクとに和により転舵輪の向きが変えられる。
以下、こうした電子制御ユニットの行う制御をアシスト制御と呼ぶ。
このエンジン始動時には、電源装置の出力電圧(電源電圧)が一時的に大きく低下する。しかし、本発明においては、こうした電源電圧が低下している状況においては、制御開始許可手段によりモータ制御手段の作動開始が許可されない。そして、制御開始許可手段は、エンジン回転数が所定回転数以上であり、かつ、電源電圧が所定電圧以上となる状態が所定時間以上継続したときに、エンジンが確実に始動したとみなして、モータ制御手段による電動モータ制御の開始を許可する。従って、電動モータの駆動制御が開始された後にエンストする頻度が少なくなる。
この場合においても、エンジンが確実に始動した後に、電動モータの駆動制御が開始されるため、操舵アシスト機能の過剰な制限が低減され、操舵アシスト機能を十分活かすことができる。
尚、仮の初期推定温度は、書き換え不能で安定して記憶保持可能なROM等の記憶手段に記憶しておくと良い。
転舵機構10は、操舵ハンドル11の回動操作に連動したステアリングシャフト12の軸線周りの回転をラックアンドピニオン機構13によりラックバー14の軸線方向の運動に変換して、このラックバー14の軸線方向の運動に応じて転舵輪である左右前輪FW1,FW2を操舵するようになっている。
ラックバー14は、ギヤ部14aがラックハウジング16内に収納され、その左右両端がラックハウジング16から露出してタイロッド17と連結される。左右のタイロッド17の他端は、左右前輪FW1,FW2に設けられたナックル19に接続される。
電動モータ15には、回転角センサ23が設けられる。この回転角センサ23は、電動モータ15の回転子の回転に応じた検出信号を出力するもので、例えば、エンコーダやレゾルバにより構成される。この回転角センサ23により検出される回転角は、操舵ハンドル11の操舵角に比例するものであるので、操舵ハンドル11の操舵角θの検出用に用いられる。
また、操舵トルクセンサ21をステアリングシャフト12に組み付けるのに代え、ラックバー14に組み付けて、ラックバー14の軸線方向の歪み量から操舵トルクThをそれぞれ検出するようにしてもよい。
電子制御ユニット30(以下、ECU30と呼ぶ)は、電動モータ15の目標通電制御量を演算し、演算された目標通電制御量にて電動モータ15を駆動制御する電子制御回路40と、電子制御回路40からの制御指令により電動モータ15を駆動する駆動回路32とを含んで構成される。
電子制御回路40は、CPU,ROM,RAM等からなるマイクロコンピュータ41(以下、マイコン41と呼ぶ)と、入力インタフェース42と、出力インタフェース43と、EEPROM(Electric Erasable PROM)44とから構成される。マイコン41内のROMには後述する制御プログラムや各種データ等が記憶されている。
車速センサ22は、車両の走行速度vxに応じた車速信号を出力する。エンジン回転数センサ24は、図示しないエンジンの回転数Nxに応じた回転数信号を出力する。
ECU30は、バッテリ51と、エンジンの回転により発電するオルタネータ52とからなる電源装置50から電源供給される。バッテリ51としては、定格出力電圧が12Vの一般の車載バッテリが用いられる。
この電源装置50は、電動パワーステアリング装置だけでなくエンジン始動装置等を含む他の車載電気負荷への電源供給も共通して行う。バッテリ51の電源端子(+端子)に接続される主電源供給ライン53には、電動パワーステアリングへの電源供給ラインとして、第1電源供給ライン54と第2電源供給ライン55とが接続される。
第1電源供給ライン54は、ECU30への制御用電源供給ラインとなる。一方、第2電源供給ライン55は、電動モータ15への電力供給ラインとなる。
第2電源供給ライン55には、この電源リレー57よりも負荷側において、連結ライン58により第1電源供給ライン54と接続される。この連結ライン58は、第1電源供給ライン54におけるダイオード56と電子制御回路40との間に接続される。連結ライン58には、ダイオード59が設けられる。このダイオード59は、カソードを第1電源供給ライン54側に、アノードを第2電源供給ライン55側に向けて設けられ、第2電源供給ライン55から第1電源供給ライン54に向けてのみ通電可能とする逆流防止素子である。
このように構成された電源供給系においては、電源リレー57がオン状態とされたときには、イグニッションスイッチ60の状態にかかわらず、電子制御回路40および駆動回路32に電源が供給される構成となっている。
ここでは、まずECU30の行う処理の全体的な概要について説明する。図10は、ECU30にて行われる処理を時系列に表したものである。
図10に示すように、イグニッションスイッチ60がオフ状態からオン状態に切り替わると(時刻t0)、まず初期診断が行われる。このとき、同時にアシスト制御(電動モータ15により操舵アシストトルクを発生させる制御)を開始するための開始条件の成立判定も開始される。初期診断中においては、前回のアシスト制御の終了時にEEPROM44に記憶した推定温度が読み出される(時刻t1)。アシスト開始条件が成立するとアシスト制御が開始される(時刻t3)。このアシスト制御においては、時刻t1に読み出した推定温度を初期推定温度として、この初期推定温度に基づいて電動モータ15の温度推定が逐次行われる。アシスト制御が開始されると、すぐに、ROMに記憶されている仮初期推定温度が読み出され、この仮初期推定温度がEEPROM44に記憶される(時刻t4)。このとき、EEPROM44に記憶されていた直前回の推定温度は、この仮初期推定温度に書き換えられる。これは、アシスト制御終了時における推定温度の書き込みが不能になる事態に備えて行われるものであり、通常のアシスト制御中においては、この仮初期推定温度は使用されない。
イグニッションスイッチ60がオフ状態からオン状態に切り替わると、電源装置50からECU30に電源供給される。マイコン41は、電源供給を受けると、アシスト制御を開始するに先立って、アシスト制御を開始する条件の成立判定を行う。
図3は、マイコン41により行われるアシスト開始条件判定ルーチンを表すもので、マイコン41のROM内に制御プログラムとして記憶され、短い周期で繰り返し実行される。この判定ルーチンは、イグニッションスイッチ60がオンしてECU30に電源供給されると起動する。
従って、エンジン回転数Nxが所定回転数N0以上であるか否かの判断処理が繰り返される。
マイコン41は、エンジン回転数Nxが所定回転数N0以上となったことを確認すると(S15:YES)、その処理をステップS16に進める。
こうした処理を繰り返し、ステップS15におけるエンジン回転数Nxの条件(Nx≧N0)と、ステップS16における電源電圧Vbの条件(Vb≧V0)の両方が成立すると、マイコン41は、その処理をステップS17に進める。
マイコンは、このステップS17におい、計時タイマを起動して、この2つの条件(S15,S16)が全て成立している時間が所定時間T秒(例えば、1秒)以上継続したか否かを判断する。タイマ計時中に、2つの条件の1つでも成立しないとタイマをゼロクリアして本ルーチンを一旦抜ける。
上述したアシスト開始条件判定ルーチンにおいて、アシスト制御の開始が許可されると、このアシスト制御ルーチンが起動する。図4は、マイコン41により行われるアシスト制御ルーチンを表すもので、マイコン41のROM内に制御プログラムとして記憶され、短い周期で繰り返し実行される。
本制御ルーチンが起動すると、マイコン41は、まず、ステップS21において、車速センサ22によって検出された車速vxと、操舵トルクセンサ21によって検出した操舵トルクThを読み込む。
また、基本アシストトルクTasの算出に関しては、必ずしも車速vxと操舵トルクThとの組み合わせから算出する必要はなく、少なくとも操舵状態に応じた検出信号に基づいて行えばよい。
次に、マイコン41は、ステップS24において、目標トルクT*を発生させるために必要な必要電流I*を計算する。必要電流I*は、目標トルクT*をトルク定数で除算することにより求められる。
この推定温度txは、後述する電動モータ15および駆動回路の過熱損傷を防止するための電流上限値を演算するために使用される。
尚、電動モータ15を駆動制御するとき、駆動回路32のスイッチング素子Tr1〜Tr4も発熱するが、本実施形態においては、スイッチング素子Tr1〜Tr4に比べて電動モータ15(特にブラシ部)のほうが早く過熱防止温度に達するため、電動モータ15のブラシ部の推定温度検出による電流制限にて駆動回路32をも含めた過熱損傷防止を図る。
目標指令電圧V*は、例えば、下記式により計算する。
V*=Kp・ΔI+Ki・∫ΔI dt
ここでKpは、PI制御における比例項の制御ゲイン、Kiは、PI制御における積分項の制御ゲインである。
この場合、直前回のアシスト制御中に逐次算出した推定温度データが消失しているため、次回のアシスト制御を行うときには、適切な初期推定温度が得られない。つまり、直前回のアシスト制御時においては、その途中で制御が中断されていることから、アシスト制御終了時に行う推定温度のEEPROM44への書き込みが行われていない。
そこで、マイコン41は、こうした事態に備えて、予め設定された仮の初期推定温度tbをROM内に記憶しており、アシスト制御中に、ROMから仮初期推定温度tbを読み出してEEPROM44に記憶させている。この仮初期推定温度tbは、過熱損傷防止を図る観点で高い温度に設定されている。
アシスト制御の開始とともに、本ルーチンが起動すると、ステップS51において、書き込みタイミングか否かを判断する。本実施形態においては、アシスト制御の開始から所定時間経過したとき(例えば、0.2秒)が書き込みタイミングとなっている(図10における時刻t4)。そして、書き込みタイミングが到来すると(S51:YES)、マイコン41は、ROMに記憶されている仮初期推定温度tbを読み出し(S52)、この仮初期推定温度tbをEEPROM44に記憶する(S53)。従って、EEPROM44に記憶されていた推定温度は、この仮初期推定温度tbに書き換えられる。マイコン41は、仮初期推定温度tbをEEPROM44に記憶すると、本ルーチンを終了する。
この仮初期推定温度tbは、電動モータの過熱損傷防止を行うという観点から高めに設定されている。従って、仮初期推定温度tbを初期推定温度taとして設定して推定温度を算出した場合には、電動モータ15が過熱していないケースであっても上限電流値Imaxの制限が厳しくなり、必要以上に操舵アシストの制限が働いてしまう。
本判定ルーチンが繰り返され、イグニッションスイッチ60のオフ状態を検出すると(S31:YES)、次に、ステップS32において、エンジン回転数Nxが所定回転数N1以下になっているか否かを判断する。このステップS32は、エンジン停止を判断するためのもので、例えば、N1=0rpmに設定される。
マイコン41は、アシスト制御の終了指令を出力したのち、本アシスト終了条件判定ルーチンを終了し、アシスト終了時温度記憶ルーチンを実行する。
このように本実施形態の電動パワーステアリングによれば、電動モータや駆動回路の過熱保護と、操舵アシスト機能の有効利用とを両立することができる。
例えば、本実施形態においては、推定温度txをEEPROM44に記憶するようにしているが、それに限るものでなく、他の不揮発性メモリに記憶するようにしてもよい。
また、本実施形態においては、電動モータ15のブラシ部の温度を推定しているが、駆動回路32のスイッチング素子等の発熱部の温度を推定して、この推定温度に基づいて電動モータ15の電流制限を行うようにしてもよく、また、電動モータ15と駆動回路32との両方の温度を推定するようにしてもよい。
尚、駆動回路の発熱部の推定温度についてもモータ推定温度の算出式(1)を用いて算出することができる。この場合、温度変換ゲインKnやフィルタ時定数Thを駆動回路の発熱部に応じた値に適宜設定する。また、例えば、特開2001−138928号に示されるように、駆動回路の基板に温度センサを設け、この温度センサにて検出した基板温度tbと、電動モータの電流値を擬似的に積分した積分値Isumと、所定の係数kとを用いて、推定温度txを次式のように算出してもよい。
tx=k・Isum+tb
また、本実施形態においては、電動パワーステアリング装置への適用について説明したが、例えば、操舵ハンドルと転舵装置とを機械的に分離したステアバイワイヤ方式の転舵装置に適用してもよい。
Claims (3)
- 転舵輪を操舵するためのトルクを付与する電動モータと、
上記電動モータを駆動する駆動回路と、
操舵ハンドルの操舵状態を検出する操舵検出手段と、
上記電動モータあるいは上記電動モータの駆動回路の発熱体の温度を演算により推定する温度推定部と、上記推定された推定温度に基づいた電流制限を加えながら上記検出された操舵ハンドルの操舵状態に基づいて上記電動モータの目標通電制御量を演算する通電制御量演算部とをマイクロコンピュータにより構成して備え、上記演算された目標通電制御量にしたがって上記駆動回路を介して上記電動モータを駆動制御するモータ制御手段と
を備えた操舵装置において、
車両のエンジン回転数に関する回転数情報を取得する回転数情報取得手段と、
上記モータ制御手段へ電源供給を行う電源装置の電源電圧に関する情報を取得する電圧情報取得手段と、
上記エンジンの回転数が所定回転数以上で、かつ、上記電源電圧が所定電圧以上となる状態が所定時間以上継続した後に、上記モータ制御手段の作動開始を許可する制御開始許可手段と
を備えたことを特徴とする操舵装置。 - 上記電動モータは、操舵ハンドルの操舵により転舵輪を転舵する転舵機構に設けられ、操舵ハンドルの操舵操作に対して操舵アシストトルクを発生する電動モータであり、
上記操舵検出手段は、操舵状態として操舵ハンドルの操作により加えられた操舵トルクを検出するトルクセンサであることを特徴とする請求項1記載の操舵装置。 - 不揮発性記憶手段と、
上記モータ制御手段による電動モータの駆動制御の終了時における上記推定温度を上記不揮発性記憶手段に書き込むとともに、上記電動モータの駆動制御終了時における推定温度に応じて設定される所定時間が上記終了時から経過したときに、上記不揮発性記憶手段に記憶されている上記推定温度を上記所定時間経過したときの推定温度に書き換え、上記不揮発性記憶手段に記憶されている推定温度を次回の電動モータの駆動制御時における初期推定温度として設定する初期推定温度設定手段と、
上記モータ制御手段による電動モータの駆動制御を開始した後に、上記不揮発性記憶手段に記憶されている初期推定温度を、予め設定した仮の初期推定温度に書き換える仮初期推定温度書き込み手段と
を備え、
上記モータ制御手段の温度推定部は、上記電動モータの駆動制御の開始直前に上記不揮発性記憶手段に記憶されている初期推定温度を読み込み、その読み込まれた初期推定温度に基づいて上記電動モータあるいは上記電動モータの駆動回路の発熱体の温度を逐次演算により推定することを特徴とする請求項1または請求項2記載の操舵装置。
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