この発明は、信号伝送路を介して接続された通信装置の組が複数ある場合に信号伝送路を介して伝送される信号の補正量を設定する信号補正量設定装置、信号補正量設定方法および信号補正量設定プログラムに関し、特に、短時間で最適な補正量の検出および設定を行うことができる信号補正量設定装置、信号補正量設定方法および信号補正量設定プログラムに関するものである。
従来、情報処理装置や伝送装置など、信号を入出力して所定の処理を行う電子装置は、複数の通信装置がバックボード(以下、「BWB」と呼ぶ)を介して接続されて構成されることが一般的である。通常、かかる電子装置に用いられる通信装置は、信号の送受信を行う回路など、所定の処理を行う集積回路が実装されたプリント基板により実現されることが多い。一方、バックボードには、通信装置の入出力端子を挿入するための複数のスロットが備えられている。各スロットは、配線パターンを介して互いに接続されており、これらスロットを経由して、各通信装置の間で信号がやり取りされる。
図16は、バックボードの構成の一例を示す図である。同図に示すバックボードには、8つのスロット(Slot#1〜#8)が実装されており、Slot#1とSlot#2、Slot#3とSlot#4、Slot#5とSlot#6、Slot#7とSlot#8とが、それぞれ、配線パターンにより接続されている。なお、同図においては、スロット間の配線パターンを1本で示しているが、実際にはスロット間では信号が双方向に伝送されるため、スロット間は、それぞれの方向について1本ずつ、計2本の配線パターンで接続されている。
このようなBWBにおいて、近年では、電子装置の処理速度の向上に応じて、より高速に信号が伝送されるようになってきており、これに伴い、プリント基板やBWBにおいて生じる伝送信号の品質劣化(例えば、ビットエラーレートの劣化)が課題となっている。この伝送信号の劣化は、プリント基板やBWBの材料を構成する絶縁体の誘電損失など、伝送路の特性に起因するものである。
かかる伝送信号の劣化を補正するための方法として、例えば、プレエンファシス(Pre−Emphasis)と呼ばれる手法により、送信する際に信号を補正する方法や、イコライザー(Equalizer)により、受信する際に信号を補正する方法が有効であることが知られている。
図17は、プレエンファシスを説明するための図である。同図の(a)および(b)は、何も補正が行われずに信号が伝送された場合の、送信側で測定した信号波形と、受信側で測定した信号波形とをそれぞれ示している。同図の(b)に示すように、何も補正が行われずに伝送された場合には、伝送路の特性によって伝送信号の品質が劣化し、その結果、受信側では信号波形の肩が落ちる。そこで、プレエンファシスでは、同図の(c)に示すように、送信側において、送信する伝送信号に対して肩の部分を強調しておく。これにより、同図の(d)に示すように、受信側の伝送信号の波形を正しい波形に補正することができる。
一方、図18は、イコライザーを説明するための図である。同図の(a)および(b)は、図17に示した(a)および(b)と同じ信号の波形を示している。イコライザーでは、受信側において、受信された伝送信号に対して肩の部分を強調する。これにより、同図の(d)に示すように、受信側の伝送信号の波形を正しい波形に補正することができる。
このように、伝送信号に対して、送信側でプレエンファシス(以下、「PE」と呼ぶ)により補正を行い、また、受信側でイコライザー(以下、「EQ」と呼ぶ)により補正を行うことによって伝送信号の品質を補償することが可能になるが、伝送信号を補正(強調)する際の補正量は、あらかじめ最適な補正量を探し出し、送信側および受信側においてそれぞれ設定しておく必要がある。
かかる最適な補正量は、スロット間の配線パターンの長さに応じて変化する。そのため、電子装置の保守者は、あらかじめ、手動でPEおよびEQの補正量を変更しながら、プリント基板間で信号を伝送させる作業を繰り返し、伝送信号のエラーレートが最も小さくなる補正量を探し出し、その補正量に対応付けられた設定値を、受信側および送信側の通信装置に設定していた。これらの作業は全て手動で行われていたため、非常に手間のかかるものとなっていた。
このような初期設定作業の労力を軽減するため、電子装置の立ち上げた際の初期設定処理において、スロット間で自動的に設定値を変更しながら信号を伝送させて最適設定値を検出するとともに、探し出した最適設定値を、信号の補正処理を行う処理部に対して設定することによって、従来手動で行っていた作業を自動的に行うことを可能にする技術が考案されている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、近年では、BWBには、任意のスロット間でペアを組むことができる構成(以下、「フルメッシュ構成」と呼ぶ)を可能とすることが求められている。フルメッシュ構成のBWBでは、ペアになり得る全てのスロットがあらかじめ配線パターンにより互いに接続されており、任意のスロット間でペアを組むことが可能となる。しかし、いずれのスロットをペアとするかは、電子装置の使用方法に依存するため、保守者は、ペアとなり得る全てのスロット間で前述した最適設定値の設定に係る作業を行う必要がある。
このようなフルメッシュ構成のBWBに、上記した従来の技術を適用した場合、ペアになり得る全てのスロットの組み合わせに対して、最適設定値の検出および設定が行われることになるため、初期設定処理にかかる時間が増大してしまうという問題がある。
また、プリント基板やBWBは、電子装置の運用が開始された後に、経年劣化や環境変動などの外的な要因によって、運用前の状態と比べてパターンインピーダンスが変化することがあり、それにより、スロット間で伝送される信号の品質が劣化することがある。
その場合、前述したPEやEQの最適設定値を再度検索して設定し直す必要があるが、運用中に、PEやEQの設定値を変えると、実運用で伝送されている信号の品質をさらに劣化させてしまう可能性がある。例えば、設定値の再設定を行うために運用をいったん中断する方法も考えられるが、その場合、電子装置を利用している業務やサービスを全て停止することになり、BWBに実装されているスロットの数が多い場合など、最適設定値の検索に長い時間を要する場合には、業務に与える影響は多大である。
そのため、いかにして短時間で最適な信号の補正量の検出および設定を行うかが極めて重要な課題となっている。
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、短時間で最適な補正量の検出および設定を行うことができる信号補正量設定装置、信号補正量設定方法および信号補正量設定プログラムを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、信号伝送路を介して接続された通信装置の組が複数ある場合に信号伝送路を介して伝送される信号の補正量を設定する信号補正量設定装置であって、複数の信号伝送路のうち、等しい長さの信号伝送路をグループとして登録したグループ情報を記憶するグループ情報記憶手段と、前記複数の信号伝送路のうち一つの信号伝送路が指定された場合に、信号の補正量を変化させながら異常の発生状況に係るエラー情報を取得するエラー情報取得手段と、指定された信号伝送路と等しい長さの信号伝送路を前記グループ情報記憶手段により記憶されたグループ情報に基づいて選択し、選択した信号伝送路を介して伝送される信号の補正量を前記エラー情報取得手段により取得されたエラー情報に基づいて設定する信号補正量設定手段と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明は、上記の発明において、前記エラー情報取得手段は、指定された信号伝送路が使用中であるか否かを確認し、使用中であることを確認した場合に、該信号伝送路と等しい長さの未使用の信号伝送路において信号の補正量を変化させながら異常の発生状況に係るエラー情報を取得することを特徴とする。
また、本発明は、上記の発明において、異なる長さの信号伝送路にそれぞれ設定されている信号の補正量の差分情報を記憶する差分情報記憶手段をさらに備え、前記エラー情報取得手段は、指定された信号伝送路と等しい長さの未使用の信号伝送路が他に存在しなかった場合に、該信号伝送路とは異なる長さの未使用の信号伝送路において信号の補正量を変化させながら異常の発生状況に係るエラー情報を取得し、取得したエラー情報と前記差分情報記憶手段により記憶された差分情報とに基づいて信号の補正量を導出することを特徴とする。
また、本発明は、上記の発明において、前記エラー情報取得手段は、前記信号伝送路を介して送信される送信信号および受信される受信信号の補正量をそれぞれ変化させながら異常の発生状況に係るエラー情報を取得し、前記信号補正量設定手段は、前記エラー情報取得手段により取得されたエラー情報に基づいて前記送信信号および前記受信信号の補正量をそれぞれ設定することを特徴とする。
また、本発明は、上記の発明において、前記信号補正量設定手段は、前記エラー情報取得手段により取得されたエラー情報から前記異常の発生状況が所定の閾値以下となる送信信号および受信信号の補正量を取得し、取得した送信信号および受信信号の補正量のうち、それぞれの補正量の和が最小となる送信信号および受信信号の補正量を、前記選択した信号伝送路を介して伝送される信号の前記送信信号および前記受信信号の補正量としてそれぞれ設定することを特徴とする。
また、本発明は、信号伝送路を介して接続された通信装置の組が複数ある場合に信号伝送路を介して伝送される信号の補正量を設定する信号補正量設定方法であって、複数の信号伝送路のうち、等しい長さの信号伝送路をグループとして登録したグループ情報を記憶するグループ情報記憶工程と、前記複数の信号伝送路のうち一つの信号伝送路が指定された場合に、信号の補正量を変化させながら異常の発生状況に係るエラー情報を取得するエラー情報取得工程と、指定された信号伝送路と等しい長さの信号伝送路を前記グループ情報記憶工程により記憶されたグループ情報に基づいて選択し、選択した信号伝送路を介して伝送される信号の補正量を前記エラー情報取得工程により取得されたエラー情報に基づいて設定する信号補正量設定工程と、を含んだことを特徴とする。
また、本発明は、信号伝送路を介して接続された通信装置の組が複数ある場合に信号伝送路を介して伝送される信号の補正量を設定する信号補正量設定プログラムであって、複数の信号伝送路のうち、等しい長さの信号伝送路をグループとして登録したグループ情報を記憶するグループ情報記憶手順と、前記複数の信号伝送路のうち一つの信号伝送路が指定された場合に、信号の補正量を変化させながら異常の発生状況に係るエラー情報を取得するエラー情報取得手順と、指定された信号伝送路と等しい長さの信号伝送路を前記グループ情報記憶手順により記憶されたグループ情報に基づいて選択し、選択した信号伝送路を介して伝送される信号の補正量を前記エラー情報取得手順により取得されたエラー情報に基づいて設定する信号補正量設定手順と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
本発明によれば、複数の信号伝送路のうち、等しい長さの信号伝送路をグループとして登録したグループ情報を記憶し、複数の信号伝送路のうち一つの信号伝送路が指定された場合に、信号の補正量を変化させながら異常の発生状況に係るエラー情報を取得し、指定された信号伝送路と等しい長さの信号伝送路を、記憶したグループ情報に基づいて選択し、選択した信号伝送路を介して伝送される信号の補正量を、取得したエラー情報に基づいて設定するよう構成したので、同じグループに属する信号伝送路に対して同時に補正量を設定することが可能になり、短時間で最適な補正量を検出して設定することができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、指定された信号伝送路が使用中であるか否かを確認し、使用中であることを確認した場合に、その信号伝送路と等しい長さの未使用の信号伝送路において信号の補正量を変化させながら異常の発生状況に係るエラー情報を取得するよう構成したので、運用が開始した後でも、実運用に影響を与えずに、最適な補正量を検出して設定することができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、異なる長さの信号伝送路にそれぞれ設定されている信号の補正量の差分情報を記憶し、指定された信号伝送路と等しい長さの未使用の信号伝送路が他に存在しなかった場合に、その信号伝送路とは異なる長さの未使用の信号伝送路において信号の補正量を変化させながら異常の発生状況に係るエラー情報を取得し、取得したエラー情報と、記憶した差分情報とに基づいて信号の補正量を導出するよう構成したので、運用時の信号伝送路の構成および使用状況に影響されずに、最適な補正量を検出して設定することができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、信号伝送路を介して送信される送信信号および受信される受信信号の補正量をそれぞれ変化させながら異常の発生状況に係るエラー情報を取得し、取得したエラー情報に基づいて送信信号および受信信号の補正量をそれぞれ設定するよう構成したので、信号伝送路を介して伝送される信号に対して、送信時および受信時にそれぞれ補正を行うように構成されていた場合でも、最適な補正量を検出して設定することができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、取得したエラー情報から異常の発生状況が所定の閾値以下となる送信信号および受信信号の補正量を取得し、取得した送信信号および受信信号の補正量のうち、それぞれの補正量の和が最小となる送信信号および受信信号の補正量を、選択した信号伝送路を介して伝送される信号の送信信号および受信信号の補正量としてそれぞれ設定するよう構成したので、信号の補正において必要とされる電力が補正量の増加に伴って大きくなる場合に、消費電力を抑えることができるという効果を奏する。
以下に添付図面を参照して、この発明に係る信号補正量設定装置、信号補正量設定方法および信号補正量設定プログラムの好適な実施例を詳細に説明する。なお、本実施例では本発明を、BWBにより接続されたプリント基板を介して信号を送受信する信号伝送装置に適用した場合について説明する。
本実施例1に係る信号伝送装置は、等しい長さの配線パターンで接続されたスロットの組をグループとして記憶し、信号を伝送させるスロットの組が指定された場合には、指定されたスロット間の配線パターンに補正量を変化させながら信号を伝送させて、補正量ごとにエラーレートを取得し、取得したエラーレートに基づいて、当該スロット間でやり取りされる信号の最適な補正量を設定し、さらに、この補正量と同じになるように、当該スロット間と同じグループに属する全てのスロットの組についても、それぞれ、スロット間でやり取りされる信号の補正量を設定するものである。
まず、本実施例1に係る信号伝送装置の概念について説明する。本実施例1に係る信号伝送装置は、配線パターンを介して接続された8つのスロットを備えたBWBと、信号の送受信を行う回路が実装された8つのプリント基板とから構成される。
図1は、本実施例1に係る信号伝送装置を構成するBWBを示す図である。同図に示すように、本実施例1に係る信号伝送装置を構成するBWB10は、Slot#1〜#8の8つのスロットを備えており、各スロットは、配線パターンを介して、他のそれぞれのスロットと1対1で接続されている。
このBWB10において、配線パターンを介して接続されたスロットの組は、それぞれ、配線パターン長ごとに分けられた7つのグループ(以下、「等長グループ」と呼ぶ)に分類することができる。図2は、等長グループの分類を示す図である。同図に示すように、スロットの組は、等長グループA〜Gの7つのグループに分類される。なお、同図においては、図1に示した配線パターンを双方向それぞれに分けて示している。
ここで、各等長グループと、伝送信号に対するPEおよびEQの設定値との関係について考える。図3は、配線パターン長ごとのPEおよびEQの設定値とエラーレートとの関係の一例を示す図である。同図は、図2に示した等長グループA、B、DおよびGのスロット間でPEおよびEQの設定値を変化させながら信号を伝送させて、エラーレートを測定した結果を示しており、同図において六角形で囲まれた範囲は、伝送信号がエラーフリー状態(エラーレートが、信号を伝送するうえで十分に小さい状態)となる設定値の範囲を示している。
このように、BWB10に備えられたスロットの組を、それぞれ、配線パターン長ごとに分けられた等長グループに分類した場合、PEおよびEQの最適設定値(伝送信号がエラーフリー状態となる設定値)は等長グループごとに異なり、言い換えると、同じ等長グループに属するスロットの組には同じPEおよびEQの設定値を設定することができる。
上記の点に着目し、本実施例1に係る信号伝送装置は、初期設定時には、保守者によって、信号を疎通させるスロットの組が指定された場合に、そのスロットの組の間で、自動的にPEおよびEQの設定値を変えながら信号を伝送させて、当該スロットの組におけるPEおよびEQの最適設定値(伝送信号がエラーフリー状態となる設定値)を検索し、検索した最適設定値を、当該スロットの組と同じ等長グループに属する全てのスロットの組に対して設定する。
また、本実施例1に係る信号伝送装置は、運用開始後には、スロット間で伝送される信号のエラーレートを常時監視し、エラーレートが所定の閾値を超えている伝送信号を検出した場合に、その信号が伝送されたスロットの組と同じ等長グループに属する未使用のスロットの組の間で、自動的にPEおよびEQの設定値を変えながら信号を伝送させて、当該スロットの組におけるPEおよびEQの最適設定値を検索し、検索した最適設定値を、当該スロットの組と同じ等長グループに属する全てのスロットの組に対して設定する。
図4は、運用開始後の最適設定値検索の一例を示す図である。同図に示すように、例えば、運用開始後、Slot#1とSlot#3との間で信号の伝送が行われていた場合に、その伝送信号のエラーレートが所定の閾値を超えた場合には、信号伝送装置は、同じ等長グループに属する(配線パターン長が同じである)、Slot#2とSlot#4との間でPEおよびEQの設定値を変えながら信号を伝送させて、最適設定値を検索し、検索した最適設定値を、Slot#1とSlot#3との間で設定する。同様に、Slot#2とSlot#8との間でエラーレートが所定の閾値を超えた場合には、Slot#1とSlot#7との間で最適設定値を検索し、Slot#4とSlot#7との間でエラーレートが所定の閾値を超えた場合には、Slot#5とSlot#8との間で最適設定値を検索する。
このように、本実施例1に係る信号伝送装置では、初期設定時だけでなく、運用が開始された後でも、運用を中断することなく伝送信号の品質を自動的に補正することができる。
次に、本実施例1に係る信号伝送装置の構成について説明する。図5および図6は、本実施例1に係る信号伝送装置の構成を示す機能ブロック図(1)および(2)である。これらの図に示す信号伝送装置100は、それぞれが所定の処理を行う複数のプリント基板と、プリント基板を接続するスロットを備えたBWB10とから構成されている。なお、ここでは、説明を簡略化するために、プリント基板に実装されている機能部のみを図示し、プリント基板自体は図示を省略している。また、以下では、かかるBWB10を介して各スロット間で伝送される信号を「BWB伝送信号」と呼ぶ。
図5は、BWB10に備えられた8つのスロットのうち、スロット110(Slot#1)およびスロット120(Slot#2)の2つのスロットを示している。スロット110および120は、それぞれ、プリント基板を挿入するためのインタフェースであり、同図に示すように、スロット110には、メモリ111と、信号送受信部112と、制御部113とが実装されたプリント基板が接続されており、スロット120には、メモリ121と、信号送受信部122と、制御部123とが実装されたプリント基板が接続されている。
なお、スロット110とスロット120とは、互いに双方向にBWB伝送信号をやり取りするように接続されており、スロット110に接続されたプリント基板と、スロット120に接続されたプリント基板とは、送受信するBWB伝送信号の向きが逆になるだけであり、本発明に関連する機能部については同様の構成(信号送受信部122、PE処理部122a、EQ処理部122b、レジスタ122c、エラー検出部122d、メモリ121,制御部123)を有するので、以下では、スロット110に接続されたプリント基板の機能部のみを説明し、スロット120に接続されたプリント基板の機能部については説明を省略する。
メモリ111は、各種情報を記憶する記憶部であり、本発明に関連する情報としては、スロットの組と等長グループとを対応付けた情報(以下、「等長グループ情報」と呼ぶ)をあらかじめ記憶している。この等長グループ情報は、以下に示す表1のように、配線パターンで互いに接続されたスロットの組を表すスロット番号の組と、その組が属する等長グループとを対応付けた情報である。
ここで、メモリ111が、複数のスロットの組を配線パターンの長さが同じであるスロットの組ごとにグループ分けした情報を等長グループ情報として記憶しておくことにより、あるスロットの組の間で伝送されるBWB伝送信号に対するPEおよびEQの最適設定値を設定した際に、この等長グループ情報を参照することによって、同じ最適設定値を設定可能な他のスロットの組の間で伝送されるBWB伝送信号に対するPEおよびEQの設定値にも同じ最適設定値を設定することが可能になる。
信号送受信部112は、スロット120との間でBWB伝送信号が伝送される場合に、かかるBWB伝送信号の送受信を制御する処理部であり、本発明に関連する機能部としては、PE処理部112aと、EQ処理部112bと、レジスタ112cと、エラー検出部112dとを有する。
PE処理部112aは、スロット120に対してBWB伝送信号1012を送信する処理部である。このPE処理部112aは、BWB伝送信号1012を送信する際には、所定の設定値に基づいて、当該信号に対してPEによる信号の補正を行う。なお、ここでいう所定の設定値は補正の度合いを示す値であり、「0」〜「4」の5段階の値を設定することができる。これら5段階の値は、それぞれ所定の電圧のレベルによって定義される。
EQ処理部112bは、スロット120からBWB伝送信号1021を受信する処理部である。このEQ処理部112bは、BWB伝送信号1021を受信した際には、所定の設定値に基づいて、当該信号に対してEQによる信号の補正を行う。なお、ここでいう所定の設定値は補正の度合いを示す値であり、「0」〜「4」の5段階の値を設定することができる。これら5段階の値は、それぞれ所定の電圧のレベルによって定義される。
レジスタ112cは、後述する制御部113によって実行される各種処理による演算や、実行状態の保持に用いられる記憶部であり、例えば、PE処理部112aやEQ処理部112bに設定されるPEおよびEQの設定値を一時的に保持する。
エラー検出部112dは、EQ処理部112dによって補正されたBWB伝送信号1021のエラーレートを随時検出し、後述する制御部113に通知する処理部である。
制御部113は、各種の処理を実行することによって、スロット110に接続されたプリント基板上の各機能部の動作を制御する制御部である。特に本発明に関連する処理としては、制御部113は、初期設定時および運用中にPEおよびEQの最適設定値を検索する最適設定値検索処理を等長グループごとに行い、検索された最適設定値を、各スロットに接続されたプリント基板のPE処理部およびEQ処理部に設定する処理を行う。なお、かかる最適設定値検索処理、および、最適設定値検索処理を含む最適設定値の設定に関する処理の処理手順については、後に詳細に説明する。
また、この制御部113は、制御情報信号を経由して、他のスロットに接続されたプリント基板の制御部と通信可能に接続されている。例えば、制御部113は、スロット120に接続されたプリント基板の制御部123とは、制御情報信号2012を経由して通信可能に接続されている。
なお、図5では図示を省略しているが、信号伝送装置100には、スロット110およびスロット120の他にも6つのスロット(Slot#3〜Slot#8)が備えられており、スロット110およびスロット120は、他の6つのスロットとも互いに接続されている。
そのため、スロット110に接続されたプリント基板には、図5では図示を省略しているが、信号送受信部112の他にも、他の6つのスロットとの間でやり取りされるBWB伝送信号の制御を行うための信号送受信部が、それぞれ備えられている(スロット120に接続されたプリント基板についても同様)。
例えば、図6に示すように、信号伝送装置100には、スロット110および120の他にスロット130(Slot#3)も備えられており、スロット110に接続されたプリント基板には、信号送受信部112の他に信号送受信部114も備えられており、スロット120に接続されたプリント基板には、信号送受信部122の他に信号送受信部124も備えられている。
ここで、信号送受信部114は、図示していないスロットとスロット110との間で伝送されるBWB伝送信号の送受信を制御する処理部であり、信号送受信部124は、スロット120とスロット130との間で伝送されるBWB伝送信号の送受信を制御する処理部であり、それぞれ、前述した信号送受信部112と同様の機能部を有する。
そして、スロット130には、メモリ131と、信号送受信部132および134と、制御部133とがそれぞれ実装されたプリント基板が接続されており、それぞれ、前述したメモリ111、信号送受信部112および114、制御部113と同様の機能部を有する。
次に、制御部による最適設定値検索処理について具体的に説明する。この最適設定値検索処理は、所定のスロットの組の間で、PEおよびEQの設定値を変えながら実際に信号を伝送させることにより、当該スロットの組に設定するPEおよびEQの設定値を検索する処理である。ここでいう所定のスロットの組は、初期設定時においては、保守者によって指定されたスロットの組となり、運用開始後においては、BWB伝送信号のエラーレートが所定の閾値を超えたスロットの組となる。
なお、ここでは、図5に示した、スロット110からスロット120に対して伝送されるBWB伝送信号1012について、PEおよびEQの最適設定値を設定する場合を例に挙げて説明する。この場合、BWB伝送信号1012を受信する側であるスロット120に接続されたプリント基板の制御部123において、最適設定値検索処理が行われる。
まず、スロット110に接続されたプリント基板のPE処理部112a、および、スロット120に接続されたプリント基板のEQ処理部122bの設定値には、それぞれ「0」が設定されていたとする。その状態で、制御部123は、まず、エラー検出部122dから通知されるBWB伝送信号1012のエラーレートをレジスタ122c経由で取得する。ここで、取得したエラーレートが「1.0E−9」であったとする。
そして、制御部123は、PE処理部112aの設定値が「0」、EQ処理部122bの設定値が「0」、BWB伝送信号1012のエラーレートが「1.0E−9」という結果をメモリ121に書き込み、さらに、制御情報信号2012経由で、スロット110に接続されたプリント基板の制御部113に対して、PEの設定値を「1」に変更する変更要求を送信する。
変更要求を受信した制御部113は、レジスタ112c経由でPE処理部112aの設定値を「1」に変更し、その後、制御情報信号2012経由で、制御部123に対して、PE処理部112aの設定値を「1」に変更したことを示す変更通知を送信する。
変更通知を受信した制御部123は、その時点でエラー検出部122dから通知されるBWB伝送信号1012のエラーレート、すなわち、PE処理部112aの設定値が「1」、EQ処理部122bの設定値が「0」の時のBWB伝送信号1012のエラーレートをレジスタ122c経由で取得する。ここで、取得したBWB伝送信号1012のエラーレートが「1.0E−10」であったとする。
続いて、制御部123は、PE処理部112aの設定値が「1」、EQ処理部122bの設定値が「0」、BWB伝送信号1012のエラーレートが「1.0E−10」という結果をメモリ121に格納する。
この後、制御部123は、PE処理部112aの設定値を「2」、「3」、「4」と順番に変更させながら、その都度、上記同様にBWB伝送信号1012のエラーレートを取得し、取得した結果をメモリ121に格納する。この時点で、PE処理部112aの設定値には「4」が、EQ処理部122bの設定値には「0」が、それぞれ設定されている。
続いて、制御部123は、レジスタ122cを経由してEQ処理部122bの設定値を「1」に変更する。
その状態で、制御部123は、エラー検出部122dから通知されるBWB伝送信号1012のエラーレート、すなわち、PE処理部112aの設定値が「4」、EQ処理部122bの設定値が「1」の時のBWB伝送信号1012のエラーレートをレジスタ122c経由で取得する。ここで、取得したエラーレートが「1.0E−10」であったとする。
続いて、制御部123は、PE処理部112aの設定値が「4」、EQ処理部122bの設定値が「1」、BWB伝送信号1012のエラーレートが「1.0E−10」という結果をメモリ121に書き込んだ後に、レジスタ122cを経由して、EQ処理部122bの設定値を「2」に変更する。
その状態で、制御部123は、エラー検出部122dから通知されるBWB伝送信号1012のエラーレート、すなわち、PE処理部112aの設定値が「4」、EQ処理部122bの設定値が「2」の時のBWB伝送信号1012のエラーレートをレジスタ122c経由で取得する。ここで、取得したエラーレートが「1.0E−11」であったとする。
続いて、制御部123は、PE処理部112aの設定値が「4」、EQ処理部122bの設定値が「2」、BWB伝送信号1012のエラーレートが「1.0E−11」という結果をメモリ121に格納する。
この後、制御部123は、EQ処理部122bの設定値を「3」,「4」と順番に変更させながら、その都度、上記同様にBWB伝送信号1012のエラーレートを取得し、取得した結果をメモリ121に格納する。
以後、制御部123は、上記の処理を繰り返し、最終的に、PE処理部112aの設定値を「0」,「1」,「2」,「3」,「4」、EQ処理部122bの設定値を「0」,「1」,「2」,「3」,「4」とした全ての設定値の組合せについてBWB伝送信号1012のエラーレートを取得し、取得した結果をメモリ121に格納する。この結果、例えばメモリ121には、以下に示す表2のような測定結果(以下、「エラーレート測定結果」と呼ぶ)が格納される。
なお、ここで、制御部123がエラーレートを測定する順番は、特に1つの順番に限定されるものではない。図7は、エラーレート測定順の一例を示す図である。例えば、同図に示すように、まずは(1)〜(2)に示すようにPEの設定値を1つずつ増やしていき、次に(2)〜(3)に示すようにEQの設定値を1つずつ増やしていき、次に(3)〜(4)に示すようにPEの設定値を1つずつ減らしていき、次に(4)〜(5)に示すようにEQの設定値を1つずつ減らしていき、次に(5)〜(6)に示すようにPEの設定値を1つずつ増やしていき、次に(6)〜(7)に示すようにEQの設定値を1つずつ増やしていき、次に(7)〜(8)に示すようにPEの設定値を1つずつ減らしていき、次に(8)〜(9)に示すようにEQの設定値を1つ減らし、最後に(9)〜(10)に示すようにPEの設定値を1つ増やして、エラーレートを測定してもよい。
このようにして、PEおよびEQの設定値ごとにエラーレートを測定した後、制御部123は、メモリ121に格納されたエラーレート測定結果に基づいて、PEおよびEQの最適設定値を決定する。図8は、エラーレート測定結果の一例を示す図である。同図に示すエラーレート測定結果において、エラーフリー状態であると判定する基準となるエラーレートを「1.0E−12」とすると、同図において六角形で囲まれた内部のPEおよびEQの設定値が、伝送信号がエラーフリー状態となる設定値、すなわち、最適設定値の候補となる。
ここで、PEおよびEQの設定値の値は、電圧値に対応付けられるものであり、それぞれ、設定値が「0」から「4」に近付くにつれて、PE処理部112aおよびEQ処理部122bにおける消費電力が高くなるため、最適設定値とする値はなるべく小さい値であることが望ましい。
さらに、最適設定値とする値は、最も外的要因による劣化に耐え得る値とすることが望ましい。そのため、最適設定値は、測定誤差等を考慮して、エラーフリー状態とエラー状態との境界上の値ではないことが望ましい。
そこで、制御部123は、エラーフリー状態となる範囲の内側(境界を含まない)に入るPEおよびEQの設定値のうち、それぞれの設定値の合計が最小となるものを、それぞれの最適設定値とする。例えば、図8に示す例では、PEの最適設定値は「2」、EQの設定値は「2」となる。なお、エラーフリー状態となる範囲の内側に設定値が存在しなかった場合には、制御部123は、境界上のPEおよびEQの設定値のうち、合計が最小となるものを、それぞれの最適設定値とする。
制御部123は、このような最適設定値の検索を全ての等長グループについて行い、検索したPEおよびEQの最適設定値に基づいて、以下に示す表3のように、等長グループごとの最適設定値の情報(以下、「最適設定値情報」と呼ぶ)をメモリ121に格納する。
次に、本実施例1に係る最適設定値の設定に関する処理について説明する。ここでは、初期設定時における最適設定値の設定処理手順、および、運用開始後における最適設定値の設定処理手順について、それぞれ説明する。
最初に、初期設定時における最適設定値の設定処理手順について説明する。図9は、本実施例1に係る信号伝送装置100による初期設定時の最適設定値の設定手順を示すシーケンス図である。なお、ここでは、図5に示した、スロット110からスロット120に伝送されるBWB伝送信号1012に対するPEおよびEQの最適設定値を設定する場合について説明する。
まず、BWB伝送信号1012に対して、最適値検索処理が行われる。すなわち、BWB伝送信号1012を受信する側のスロット120に接続されたプリント基板の制御部123が、PEおよびEQの設定値の組合せごとにエラーレートを検出し(ステップS101)、検出したエラーレートに基づいて、PEおよびEQの最適設定値を検索する(ステップS102)。
続いて、制御部123は、検索したEQの最適設定値をEQ処理部122bに設定し(ステップS103)、さらに、検索したPEの最適設定値を、制御情報信号2012経由でスロット110に対して通知する(ステップS104)。
PEの最適設定値を設定する要求を受信したスロット110の制御部113は、受信した要求に基づいてPE処理部112aに最適設定値を設定し(ステップS105)、PEの設定値の変更完了通知を、制御情報信号2012経由でスロット120に対して送信する(ステップS106)。
変更完了通知を受信したスロット120の制御部123は、BWB伝送信号1012に対するPEおよびEQの最適設定値検索が完了したことを保守者に通知する(ステップS107)。
さらに、制御部123は、メモリ121に格納された等長グループ情報を参照して、スロット110とスロット120の組(Slot#1とSlot#2の組)が属する等長グループAに属する他のスロットの組を確認し、関連するスロットの制御部に対して、同じPEおよびEQの最適設定値を設定する要求を、それぞれのスロットに対応する制御情報信号経由で送信する(ステップS108)。
続いて、運用開始後における最適設定値の設定処理手順について説明する。図10は、本実施例1に係る信号伝送装置100による運用開始後の最適設定値の設定手順を示すシーケンス図である。なお、ここでは、図6に示した信号伝送装置100において、運用上、スロット110とスロット120との間で伝送されるBWB伝送信号1012および1021が使用されており、スロット120とスロット130との間で伝送されるBWB伝送信号1023および132は使用されていない場合について説明する。
信号伝送装置100の運用開始後、運用上使用されているBWB伝送信号1012を受信する側のスロット130において、制御部133は、常時、未使用であるBWB伝送信号1023を用いて、PEおよびEQの最適設定値検索処理を行う。すなわち、制御部133は、PEおよびEQの設定値の組合せごとにBWB伝送信号1023のエラーレートを検出し(ステップS201)、検出したエラーレートに基づいて、BWB伝送信号1023に対するPEおよびEQの最適設定値を検索する(ステップS202)。
ここで、運用上使用されているBWB伝送信号1012のエラーレートが「1.0E−11」であり、PE処理部112aの最適設定値が「2」、EQ処理部122bの最適設定値が「3」であったとする。これら最適設定値は、各スロットに接続されたプリント基板のメモリに格納された等長グループ情報、最適設定値情報を参照することによって確認することができる。
続いて、制御部133は、検索したPEの最適設定値(「2」)を、制御情報信号2013経由でスロット110に対して通知し(ステップS203)、また、検索したEQの最適設定値(「3」)を、制御情報信号2023経由でスロット120に対して通知する(ステップS204)。
そして、制御部113は、受信したPEの最適設定値に基づいて、現在の環境状況下におけるBWB伝送信号1023に対するPEの最適設定値が「2」であることを示す情報をメモリ111に格納する(ステップS205)。
一方、制御部123は、受信したEQの最適設定値に基づいて、現在の環境状況下におけるBWB伝送信号1023に対するEQの最適設定値が「3」であることを示す情報をメモリ121に格納する(ステップS206)。
ここで、制御部123は、エラー検出部122dから通知されるBWB伝送信号1012のエラーレートが所定の閾値を超えているか否かを判定する。ここでは、所定の閾値が「1.0E−10」であったとする。この時点で、BWB伝送信号1012のエラーレートは「1.0E−11」であり、所定の閾値を超えていないので、制御部123は、EQ処理部112bの設定値変更を行わない。
この後、制御部133は、再度、最適設定値検索処理を行い、時々刻々、現在の環境条件下におけるBWB伝送信号1023に対するPEおよびEQの最適設定値を検索して、ステップS201〜S204の処理を繰り返し、常に、現在の環境状況下におけるBWB伝送信号1012に対するPEの最適設定値およびEQの最適設定値を、それぞれ、スロット110の制御部113、および、スロット120の制御部123に対して通知する。
そして、制御部113は、PEの最適設定値を受信するたびに、その最適設定値をメモリ111に格納し、制御部123は、EQの最適設定値を受信するたびに、その最適設定値をメモリ121に上書きする(ステップS205、S206と同様)。
このように、BWB伝送信号1012のエラーレートが所定の閾値を超えない限り、ステップS201〜S206の処理が繰り返され、メモリ111および121には、常に現在の環境状況下におけるBWB伝送信号1012に対するPEおよびEQの最適設定値が格納される。
そして、BWB伝送信号1012のエラーレートが所定の閾値を超えた場合には、制御部123が、これを検出し、メモリ121を参照して現在の環境条件化におけるEQの最適設定値を取得し、EQ処理部122bに設定し(ステップS207)、さらに、制御情報信号2012経由で、メモリ参照要求を制御部113に対して送信する(ステップS208)。
メモリ参照要求を受信し制御部113は、メモリ111を参照して現在の環境条件下におけるPEの最適設定値を取得し、PE処理部112aに設定する(ステップS209)。
この後、制御部123は、メモリ121に格納された等長グループ情報を参照して、スロット110とスロット120の組(Slot#1とSlot#2の組)が属する等長グループAに属する他のスロットの組を確認し、関連するスロットの制御部に対して、同じPEおよびEQの最適設定値を設定する要求を、それぞれのスロットに対応する制御情報信号経由で送信する(ステップS210)。
このように、ある伝送信号のエラーレートが所定の閾値を超えた場合に、その伝送信号の劣化を補正すると同時に、その伝送信号と同じ等長グループに属する全ての伝送信号についてPEおよびEQの設定値を最適な設定値に変更することができる。
上述してきたように、本実施例1では、複数のスロットの組のうち、等しい長さの配線パターンで接続されたスロットの組をグループとして登録した等長グループ情報を記憶し、複数のスロットの組のうち一つのスロットの組が指定された場合に、信号のPEおよびEQの設定値を変化させながらエラーレートを検出し、指定されたスロットの組を接続する配線パターンと等しい長さの配線パターンで接続されたスロットの組を、等長グループ情報に基づいて選択し、選択したスロットの組の間で伝送される信号のPEおよびEQの最適設定値を、検出したエラーレートに基づいて設定するので、同じグループに属するスロットの組に対して同時にPEおよびEQの最適設定値を設定することが可能になり、短時間で最適な補正量の検出および設定を行うことができる。
また、本実施例1では、指定されたスロットの組が使用中であるか否かを確認し、使用中であることを確認した場合に、そのスロットの組の間の配線パターンと等しい長さの未使用の配線パターンで接続されたスロットの組において信号のPEおよびEQの設定値を変化させながらエラーパターンを検出するので、運用が開始した後でも、実運用に影響を与えずに、最適な補正量を検出して設定することができる。
また、本実施例1では、スロットの組を接続する配線パターンを介して伝送される信号のPEおよびEQの設定値をそれぞれ変化させながらエラーレートを検出し、検出したエラーレートに基づいてPEおよびEQの設定値をそれぞれ設定するので、スロットの組を接続する配線パターンを介して伝送される信号に対して、送信時および受信時にそれぞれ補正を行うように構成されていた場合でも、最適な補正量を検出して設定することができる。
また、本実施例1では、検出したエラーレートが所定の閾値以下となるPEおよびEQの設定値を取得し、取得したPEおよびEQの設定値のうち、それぞれの設定値の和が最小となるPEおよびEQの設定値を、選択したスロットの組に対するPEおよびEQの設定値としてそれぞれ設定するので、信号の補正において必要とされる電力が補正量の増加に伴って大きくなる場合に、消費電力を抑えることができる。
ところで、上記実施例1では、運用開始後に、あるスロット間においてエラーレートが所定の閾値を超えているBWB伝送信号を検出した場合に、その信号が伝送されたスロットの組と同じ等長グループに属する未使用のスロットの組の間で、自動的にPEおよびEQの設定値を変えながら信号を伝送させて、当該スロットの組におけるPEおよびEQの最適設定値を検索する場合について説明した。
しかしながら、運用時に使用するスロットの構成によっては、あるスロットの組の間で伝送されるBWB伝送信号のエラーレートが所定の閾値を超えた場合に、そのスロットの組と同じ等長グループに属するスロットの組の中に、未使用の組が存在しない場合も考えられる。図11は、同じ等長グループのスロットの組に未使用の組が存在しない構成を示す図である。例えば、同図のパターン1〜4のように、運用時に使用するスロットが構成されていたとする。パターン1においては、Slot#1とSlot#8との組と同じ等長グループに属するスロットの組は、そもそも存在しない。また、パターン2においては、Slot#1とSlot#7との組と同じ等長グループに属し得るスロットの組は、Slot#2とSlot#8との組しかないが、この組はすでに使用されている。同様に、パターン3におけるSlot#1とSlot#6との組、パターン4におけるSlot#1とSlot#5との組も、同じ等長グループに属し得る他のスロットの組は、全て使用されている。
そこで、以下では実施例2として、BWB伝送信号の品質の補正が必要となったスロットの組と同じ等長グループに属するスロットの組の中に未使用の組が存在しない場合であっても、他の等長グループに属する未使用のスロットの組を利用し、近似的にPEおよびEQの最適設定値を検索する方法について説明する。
まず、本実施例2に係る信号伝送装置による最適設定値の検索方法の概念について説明する。ここでは、図11に示したパターン1の構成において、Slot#1とSlot#8との間で伝送されるBWB伝送信号に対するPEおよびEQの最適設定値を検索する場合を例に挙げて説明する。
図12は、本実施例2に係る信号伝送装置による最適設定値の検索方法の概念を説明するための図である。同図に示す(1)および(2)は、運用開始前の初期設定時に検出した、伝送信号がエラーフリー状態となるPEおよびEQの設定値の範囲を示しており、(1)はSlot#1とSlot#8との間で伝送されるBWB伝送信号について、(2)はSlot#1とSlot#7との間で伝送されるBWB伝送信号について検出した結果を示している。そして、Slot#1とSlot#8との間でのPEおよびEQの最適設定値が、それぞれ、「3」および「3」であり、Slot#1とSlot#7との間のPEおよびEQ最適設定値が、それぞれ、「2」および「3」であったとする。
本実施例2に係る信号伝送装置は、初期設定の時点で、Slot#1とSlot#8との間のPEおよびEQの最適設定値と、Slot#1とSlot#7との間のPEおよびEQ最適設定値との差分を算出して記憶しておく。すなわち、それぞれのスロット間のPEおよびEQ最適設定値との差分として、「1」および「0」を記憶しておく。
そして、運用が開始した後、温度変動によってSlot#1とSlot#8との間で伝送されるBWB伝送信号が劣化したとする。この場合、信号伝送装置は、前述したようにSlot#1とSlot#8との組と同じ等長グループに属するスロットの組が存在しないため、次に配線パターン長が短い等長グループに属するSlot#1とSlot#7との組の間で信号を伝送させて、PEおよびEQの最適設定値を検索する。
この結果、例えば、同図に示す(3)の範囲が、エラーフリー状態となる設定値の範囲として得られたとすると、信号伝送装置は、消費電力および測定誤差等を考慮して、PEおよびEQの最適設定値を、それぞれ「1」および「1」とする。
このようにして得られたSlot#1とSlot#7との間での最適設定値に対して、信号伝送装置は、初期設定時に算出しておいた差分を加算することによって、近似的にSlot#1とSlot#8との間での最適設定値を算出する。具体的には、信号伝送装置は、Slot#1とSlot#7との間でのPEおよびEQの最適設定値「1」および「1」に対して、それぞれの差分「1」および「0」を加算し、「2」および「1」を算出し、これらをSlot#1とSlot#8との間でのPEおよびEQの最適設定値とする(同図に示す(4)参照)。
このように、本実施例2に係る信号伝送装置では、等しい長さの未使用の配線パターンで接続されたスロットの組が他に存在しなかった場合に、そのスロットの組の配線パターンとは異なる長さの未使用の配線パターンで接続されたスロットの組において信号のPEおよびEQの設定値を変化させながらエラーレートを検出し、検出したエラーレートと、初期設定時に記憶しておいた差分情報とに基づいて信号のPEおよびEQの設定値を導出するので、運用時の信号伝送路の構成および使用状況に対して柔軟に対応することができる。
次に、本実施例2に係る信号伝送装置の構成について説明する。図13は、本実施例2に係る信号伝送装置の構成を示す機能ブロック図である。なお、ここでは説明の便宜上、図5および6に示した各部と同様の役割を果たす機能部については同一符号を付すこととしてその詳細な説明を省略する。
同図に示す信号伝送装置200は、それぞれが所定の処理を行う複数のプリント基板と、プリント基板を接続するスロットを備えたBWB10とから構成されている。なお、ここでは、説明を簡略化するために、プリント基板に実装されている機能部のみを図示し、プリント基板自体は図示を省略している。
同図は、BWB10に備えられた8つのスロットのうち、スロット210(Slot#1)、スロット270(Slot#7)およびスロット280(Slot#8)の3つのスロットを示している。
スロット210、270および280は、それぞれ、プリント基板を挿入するためのインタフェースであり、同図に示すように、スロット210には、メモリ111と、信号送受信部112および114と、制御部213とが実装されたプリント基板が接続されており、スロット270には、メモリ171と、信号送受信部172および174と、制御部273とが実装されたプリント基板が接続されており、スロット280には、メモリ181と、信号送受信部182および184と、制御部283とが実装されたプリント基板が接続されている。
なお、スロット210に接続されたプリント基板と、スロット270に接続されたプリント基板と、スロット280に接続されたプリント基板とは、送受信するBWB伝送信号が異なるだけで、本発明に関連する機能部については同様の構成を有するので、以下では、スロット280に接続されたプリント基板の構成のみを説明し、スロット210および270に接続されたプリント基板の機能部については説明を省略する。
メモリ181は、各種情報を記憶する記憶部であり、本発明に関連する情報としては、等長グループ情報(実施例1を参照)をあらかじめ記憶している。
信号送受信部182は、スロット210との間でBWB伝送信号が伝送される場合に、かかるBWB伝送信号の送受信を制御する処理部であり、本発明に関連する機能部としては、PE処理部182aと、EQ処理部182bと、レジスタ182cと、エラー検出部182dとを有する。
なお、PE処理部182a、EQ処理部182b、レジスタ182cおよびエラー検出部182dは、送受信するBWB伝送信号が異なるだけで、それぞれ、これまでに説明したPE処理部、EQ処理部、レジスタおよびエラー検出部と同様の機能を有するので、ここでは詳細な説明を省略する。
信号送受信部184は、図示していないスロットとスロット270との間で伝送されるBWB伝送信号の送受信を制御する処理部である。この信号送受信部184は、送受信するBWB伝送信号が異なるだけで、信号送受信部182と同様の構成を有するので、ここでは詳細な説明を省略する。
制御部283は、各種の処理を実行することによって、スロット280に接続されたプリント基板上の各機能部の動作を制御する制御部である。特に本発明に関連する処理としては、制御部283は、初期設定時および運用中にPEおよびEQの最適設定値を検索し、さらに、等長グループごとに、次に短い等長グループとの最適設定値の差分を算出する最適設定値検索処理を行い、検索された最適設定値を、各スロットに接続されたプリント基板のPE処理部およびEQ処理部に設定する処理を行う。なお、かかる最適設定値検索処理、および、最適設定値検索処理を含む最適設定値の設定に関する処理の処理手順については、後に詳細に説明する。
次に、本実施例2に係る最適設定値の設定に関する処理について説明する。ここでは、初期設定時における最適設定値の設定処理手順、および、運用開始後における最適設定値の設定処理手順について、それぞれ説明する。
最初に、初期設定時における最適設定値の設定処理手順について説明する。図14は、本実施例2に係る信号伝送装置200による初期設定時の最適設定値の設定手順を示すシーケンス図である。なお、ここでは、図13に示した、スロット210からスロット280に伝送されるBWB伝送信号1018に対するPEおよびEQの最適設定値を設定する場合について説明する。
まず、システム運用開始前の初期設定時に、BWB伝送信号1018に対して、最適値検索処理が行われる。すなわち、BWB伝送信号1018を受信する側のスロット280に接続されたプリント基板の制御部283が、PEおよびEQの設定値の組合せごとにエラーレートを検出し、検出したエラーレートに基づいてPEおよびEQの最適設定値を検索する。ここでは、PE処理部112aおよびEQ処理部182bの最適設定値が、それぞれ、「3」および「3」であったとする。
続いて、制御部283は、スロット210のPE処理部112a、および、EQ処理部182bに対して、検索した最適設定値を設定するとともに(設定方法については、実施例1を参照)(ステップS301)、各最適設定値をメモリ181に格納する(ステップS302)。
同様に、BWB伝送信号1017に対して、最適値検索処理が行われる。すなわち、BWB伝送信号1017を受信する側のスロット270に接続されたプリント基板の制御部273が、PEおよびEQの設定値の組合せごとにエラーレートを検出し、検出したエラーレートに基づいて、BWB伝送信号1017に対するPEおよびEQの最適設定値を検索する。ここでは、PEおよびEQの最適設定値が、それぞれ、「2」および「3」であったとする。
続いて、制御部273は、スロット210に対して、制御情報信号1017経由で要求を送信することによって、検索したBWB伝送信号1017に対するPE,EQの最適設定値を設定するとともに(設定方法については、実施例1を参照)(ステップS303)、各最適設定値を制御情報信号2078経由で、制御部283に対して通知する(ステップS304)。
最適設定値を受信した制御部283は、メモリ181を参照して、BWB伝送信号1018に対するPEおよびEQの最適設定値を取得し、取得した最適設定値と、すでに受信しているBWB伝送信号1017に対するPEおよびEQとをそれぞれ比較し、差分を算出する(BWB伝送信号1018に対するPEおよびEQの最適設定値から、BWB伝送信号1017に対するPEおよびEQを減算する)(ステップS305)。ここでは、結果として、「1」および「0」を算出する。
続いて、制御部283は、算出した差分をメモリ181に格納し(ステップS306)、保守者に対して、BWB伝送信号1018に対するPEおよびEQの最適値検索が完了したことを通知する(ステップS307)。
このように、本実施例2に係る信号伝送装置200では、各スロットにおいて、制御部が、検索したPEおよびEQの最適設定値を通知し合うことによって、等長グループごとに、次に短い等長グループとの最適設定値の差分を算出し、あらかじめ、それぞれのスロットのメモリに記憶しておく。
続いて、運用開始後における最適設定値の設定処理手順について説明する。図15は、本実施例2に係る信号伝送装置200による運用開始後の最適設定値の設定手順を示すシーケンス図である。
なお、ここでは、図13に示した信号伝送装置200において、運用上、スロット210とスロット280との間で伝送されるBWB伝送信号1018および1081が使用されており、スロット210とスロット270との間で伝送されるBWB伝送信号1017および1071は使用されていないこととし、さらに、スロット210とスロット280との組と同じ等長グループに属するスロットの組で、運用上未使用である組が他に存在しない場合について説明する。
信号伝送装置200の運用開始後、スロット270において、制御部273は、常時、BWB伝送信号1017に対して、PEおよびEQの最適値検索処理を行う。すなわち、制御部273は、PEおよびEQの設定値の組合せごとにBWB伝送信号1017のエラーレートを検出し(ステップS401)、検出したエラーレートに基づいて、BWB伝送信号1017に対するPEおよびEQの最適設定値を検索する(ステップS402)。
そして、制御部273は、検索したBWB伝送信号1017に対するPEおよびEQの最適設定値を、制御情報信号2078経由で、スロット280の制御部283に対して通知する(ステップS403)。
制御部283は、BWB伝送信号1017に対するPEおよびEQの最適設定値を受信すると、受信した各最適設定値を、メモリ181に格納する(ステップS404)。これにより、メモリ181には、常時、現時点でのBWB伝送信号1017に対するPEおよびEQの最適設定値が格納される。
ここで、経年劣化や温度変動などにより、運用上使用されているBWB伝送信号1018のエラーレートが所定の閾値を超えたとする。その場合、制御部283は、これを検出し、メモリ181を参照して、現在の環境条件化におけるBWB伝送信号1017に対するPEおよびEQの最適設定値を取得する。ここでは、それぞれの設定値が「1」および「1」であったとする。
さらに、制御部283は、メモリ181を参照して、初期設定時に格納しておいた、BWB伝送信号1018に対するPEおよびEQの最適設定値と、BWB伝送信号1017に対するPEおよびEQの最適設定値との差分を取得する。ここでは、それぞれの設定値の差分が「1」および「0」であったとする。
続いて、制御部283は、BWB伝送信号1017に対するPEおよびEQの最適設定値に、設定値の差分を加算して、その結果をBWB伝送信号1017に対するPEおよびEQの最適設定値とする(ステップS405)。ここでは、「1」および「1」に「1」および「0」をそれぞれ加算し、その結果、BWB伝送信号1017に対するPEおよびEQの最適設定値は、「2」および「1」となる。
そして、制御部283は、算出したEQの最適設定値をEQ処理部182bに設定し(ステップS406)、さらに、制御情報信号2018経由で、算出したPEの最適設定値をPE処理部112aに対して設定する要求を、制御部213に対して送信する(ステップS407)。
メモリ参照要求を受信し制御部213は、受信した設定要求に基づいて、PE処理部112aに対して、PEの最適設定値を設定する(ステップS408)。これにより、BWB伝送信号1018に対して、PEおよびEQの最適設定値が設定される。
上述してきたように、本実施例2では、異なる長さの配線パターンで接続されたスロットの組にそれぞれ設定されているPEおよびEQの設定値の差分情報を記憶し、指定された信号伝送路と等しい長さの未使用の配線パターンで接続されたスロットの組が他に存在しなかった場合に、そのスロットの組の配線パターンとは異なる長さの未使用の配線パターンで接続されたスロットの組において信号のPEおよびEQの設定値を変化させながらエラーレートを検出し、検出したエラーレートと、記憶した差分情報とに基づいて信号のPEおよびEQの設定値を導出するので、運用時の信号伝送路の構成および使用状況に影響されずに、最適な補正量を検出して設定することができる。
ところで、上記実施例で説明した各種の処理は、あらかじめ用意されたプログラムを、BWB10の各スロットに接続されたプリント基板上に実装されたCPU(Central Processing Unit)、MCU(Micro Control Unit)、MPU(Micro Processing Unit)などの処理装置で実行することによって実現することもできる。
例えば、図5のスロット110に接続されたプリント基板において、上記実施例で説明した各種の処理を実行させるプログラムがメモリ111に記憶されており、このプログラムを、プリント基板上に実装されたCPUが読み出して実行することにより、上述した各種機能を実現する各種プロセスが起動される。
また、上記実施例において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
また、上記図面中に図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示のように構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
さらに、上記実施例において説明した各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
(付記1)信号伝送路を介して接続された通信装置の組が複数ある場合に信号伝送路を介して伝送される信号の補正量を設定する信号補正量設定装置であって、
複数の信号伝送路のうち、等しい長さの信号伝送路をグループとして登録した情報を記憶するグループ情報記憶手段と、
前記複数の信号伝送路のうち一つの信号伝送路が指定された場合に、信号の補正量を変化させながら異常の発生状況に係る情報を取得するエラー情報取得手段と、
指定された信号伝送路と等しい長さの信号伝送路を前記グループ情報記憶手段により記憶された情報に基づいて選択し、選択した信号伝送路を介して伝送される信号の補正量を前記エラー情報取得手段により取得された情報に基づいて設定する信号補正量設定手段と、
を備えたことを特徴とする信号補正量設定装置。
(付記2)前記エラー情報取得手段は、指定された信号伝送路が使用中であるか否かを確認し、使用中であることを確認した場合に、該信号伝送路と等しい長さの未使用の信号伝送路において信号の補正量を変化させながら異常の発生状況に係る情報を取得することを特徴とする付記1に記載の信号補正量設定装置。
(付記3)異なる長さの信号伝送路にそれぞれ設定されている信号の補正量の差分情報を記憶する差分情報記憶手段をさらに備え、
前記エラー情報取得手段は、指定された信号伝送路と等しい長さの未使用の信号伝送路が他に存在しなかった場合に、該信号伝送路とは異なる長さの未使用の信号伝送路において信号の補正量を変化させながら異常の発生状況に係る情報を取得し、取得した情報と前記差分情報記憶手段により記憶された差分情報とに基づいて信号の補正量を導出することを特徴とする付記2に記載の信号補正量設定装置。
(付記4)前記エラー情報取得手段は、前記信号伝送路を介して送信される送信信号および受信される受信信号の補正量をそれぞれ変化させながら異常の発生状況に係る情報を取得し、
前記信号補正量設定手段は、前記エラー情報取得手段により取得された情報に基づいて前記送信信号および前記受信信号の補正量をそれぞれ設定することを特徴とする付記1、2または3に記載の信号補正量設定装置。
(付記5)前記信号補正量設定手段は、前記エラー情報取得手段により取得された情報から前記異常の発生状況が所定の閾値以下となる送信信号および受信信号の補正量を取得し、取得した送信信号および受信信号の補正量のうち、それぞれの補正量の和が最小となる送信信号および受信信号の補正量を、前記選択した信号伝送路を介して伝送される信号の前記送信信号および前記受信信号の補正量としてそれぞれ設定することを特徴とする付記4に記載の信号補正量設定装置。
(付記6)信号伝送路を介して接続された通信装置の組が複数ある場合に信号伝送路を介して伝送される信号の補正量を設定する信号補正量設定方法であって、
複数の信号伝送路のうち、等しい長さの信号伝送路をグループとして登録した情報を記憶するグループ情報記憶工程と、
前記複数の信号伝送路のうち一つの信号伝送路が指定された場合に、信号の補正量を変化させながら異常の発生状況に係る情報を取得するエラー情報取得工程と、
指定された信号伝送路と等しい長さの信号伝送路を前記グループ情報記憶工程により記憶された情報に基づいて選択し、選択した信号伝送路を介して伝送される信号の補正量を前記エラー情報取得工程により取得された情報に基づいて設定する信号補正量設定工程と、
を含んだことを特徴とする信号補正量設定方法。
(付記7)信号伝送路を介して接続された通信装置の組が複数ある場合に信号伝送路を介して伝送される信号の補正量を設定する信号補正量設定プログラムであって、
複数の信号伝送路のうち、等しい長さの信号伝送路をグループとして登録した情報を記憶するグループ情報記憶手順と、
前記複数の信号伝送路のうち一つの信号伝送路が指定された場合に、信号の補正量を変化させながら異常の発生状況に係る情報を取得するエラー情報取得手順と、
指定された信号伝送路と等しい長さの信号伝送路を前記グループ情報記憶手順により記憶された情報に基づいて選択し、選択した信号伝送路を介して伝送される信号の補正量を前記エラー情報取得手順により取得された情報に基づいて設定する信号補正量設定手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする信号補正量設定プログラム。
以上のように、本発明に係る信号補正量設定装置、信号補正量設定方法および信号補正量設定プログラムは、信号伝送路を介して接続された通信装置の組が複数ある場合に信号伝送路を介して伝送される信号の補正量を設定する場合に有用であり、特に、短時間で最適設定値を検出し、実運用に影響を与えずに伝送信号の劣化を補正することが求められる場合に適している。
本実施例1に係る信号伝送装置を構成するBWBを示す図である。
等長グループの分類を示す図である。
配線パターン長ごとのPEおよびEQの設定値とエラーレートとの関係の一例を示す図である。
運用開始後の最適設定値検索の一例を示す図である。
本実施例1に係る信号伝送装置の構成を示す機能ブロック図(1)である。
本実施例1に係る信号伝送装置の構成を示す機能ブロック図(2)である。
エラーレート測定順の一例を示す図である。
エラーレート測定結果の一例を示す図である。
本実施例1に係る信号伝送装置による初期設定時の最適設定値の設定手順を示すシーケンス図である。
本実施例1に係る信号伝送装置による運用開始後の最適設定値の設定手順を示すシーケンス図である。
同じ等長グループのスロットの組に未使用の組が存在しない構成を示す図である。
本実施例2に係る信号伝送装置による最適設定値の検索方法の概念を説明するための図である。
本実施例2に係る信号伝送装置の構成を示す機能ブロック図である。
本実施例2に係る信号伝送装置による初期設定時の最適設定値の設定手順を示すシーケンス図である。
本実施例2に係る信号伝送装置による運用開始後の最適設定値の設定手順を示すシーケンス図である。
バックボードの構成の一例を示す図である。
プレエンファシスを説明するための図である。
イコライザーを説明するための図である。
符号の説明
10 バックボード(BWB)
100,200 信号伝送装置
110,120,130,210,270,280 スロット
111,121,131,171,181 メモリ
112,114,122,124,132,134,172,174,182,184 信号送受信部
112a,122a,182a PE処理部
112b,122b,182b EQ処理部
112c,122c,182c レジスタ
112d,122d,182d エラー検出部
113,123,133,213,273,283 制御部
1012,1017,1018,1021,1023 BWB伝送信号
2012,2013,2018,2023,2078 制御情報信号