JP2008101923A - 電気化学式センサ - Google Patents
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Abstract
【課題】上述の課題に鑑み、従来より水漏れあるいは水蒸気の蒸散を防止でき、耐ノイズ性があり、作動温度の低い電気化学式センサを提供すること。
【解決手段】水11を貯留した金属製水タンク2と、2つの電極5,7間に固体電解質膜6を挟み込んだセンサ素子4と、金属製容器からなり、該金属製容器の上部にガス入口13aと底部にガス拡散口13bを形成し、2つの電極のうちの一方の電極と底部で接触して電気的に接続される第1のリード部材13と、水蒸気供給口3aを有し、2つの電極のうちの他方の電極と接触してセンサ素子4を水面の上方に支持する金属製ワッシャ3とを有する電気化学式センサ1であって、第1のリード部材13、センサ素子4および金属製ワッシャ3と金属製水タンク2との間に、パッキング部材8を備えている。
【選択図】図1
【解決手段】水11を貯留した金属製水タンク2と、2つの電極5,7間に固体電解質膜6を挟み込んだセンサ素子4と、金属製容器からなり、該金属製容器の上部にガス入口13aと底部にガス拡散口13bを形成し、2つの電極のうちの一方の電極と底部で接触して電気的に接続される第1のリード部材13と、水蒸気供給口3aを有し、2つの電極のうちの他方の電極と接触してセンサ素子4を水面の上方に支持する金属製ワッシャ3とを有する電気化学式センサ1であって、第1のリード部材13、センサ素子4および金属製ワッシャ3と金属製水タンク2との間に、パッキング部材8を備えている。
【選択図】図1
Description
本発明は、一酸化炭素(CO)や水素(H2 )等のガスを検知するための電気化学式センサに関するものである。
従来、一酸化炭素(CO)や水素(H2 )を検知するセンサとして半導体式センサ、接触燃焼式センサおよび電気化学式センサ等がある。
電気化学式センサは、高分子プロトン導電体等の高分子固体電解質を用いたもの(たとえば、特許文献1参照。)やジルコニア等の酸化系固体電解質を用いたもの(たとえば、特許文献2参照。)がある。
図15は、従来の高分子固体電解質を用いた電気化学式センサの構造例を示す図である。電気化学式センサ1は、水タンク2、ワッシャ3、センサ素子4、ガスケット8、フィルタ9およびワッシャ12から構成されている。
水タンク2には、蒸留水11が貯留されている。ワッシャ3は、水蒸気供給口3aが形成されており、水タンク2の上方に形成されたくびれ部2aの上側内壁に支持されている。センサ素子4は、バッキングレイヤ(対極)5、高分子固体電解質膜である高分子プロトン導電体6およびバッキングレイヤ(検知極)7の積層構造からなり、ワッシャ3の上に配置されている。バッキングレイヤ(対極)5、ワッシャ3および水タンク2は、それぞれの接触を介して電気的に接続されている。フィルタ9は、内部に活性炭10が充填されると共に、上部にガス入口9a、底部に下穴9bが形成されており、水タンク2のくびれ部2aの上方をパッキングするガスケット8にはめ込まれている。センサ素子4のバッキングレイヤ(検知極)7とフィルタ9の間には、金属製の拡散制御板12が挟み込まれている。拡散制御板12には、フィルタ9の下穴9bに対応する位置にガス拡散口12aが形成されている。ワッシャ3上のセンサ素子4は、接着剤15で固定されている。
上述の構成を有する電気化学式センサ1において、雰囲気中にCOが存在すると、センサ素子4の検知極7および対極5において、それぞれ下記の反応が起こる。
検知極 CO+H2 O→CO2 +2H+ +2e- ・・・(1)
対極 2H+ +O2 /2+2e- →H2 O・・・(2)
検知極 CO+H2 O→CO2 +2H+ +2e- ・・・(1)
対極 2H+ +O2 /2+2e- →H2 O・・・(2)
この電気化学式センサ1は、拡散制御用のピンホール(ガス拡散口9b)と透過性のバッキングレイヤ(検知極)7およびバッキングレイヤ(対極)5を設けているため、ガス濃度を表す電気化学式センサ1のセンサ出力を、検知極7から対極5へ流れる電流として検出することができる。
次に図16は、従来の酸化系固体電解質を用いた電気化学式センサの構造例を示す図である。電気化学式センサ30は、固体電解質の安定化ジルコニア31からなる有底管の底部に、白金ペースト32a上に白金メッシュセンサ32bを被せた一方の電極33と、有底管の外周に酸化亜鉛(ZnO)等の酸化物層33a上に白金メッシュ33bを被せた他方の電極33とが形成されている。この電気化学式センサ30は、有底管の中に空気を流通させると共に有底管の外側に検知すべきガスを流通させて、両電極間の電位差を、白金リード線34および35を介して取り出してセンサ出力とする。この電気化学式センサ30は、良好な水素(H2 )感度と選択性を示すが、水素検出用の作動温度は400〜600℃である。
特開2004−170101号公報
特開2002−116178号公報
一方、半導体式センサは、検知すべきガス、たとえば一酸化炭素(CO)や水素(H2 )と酸化物(たとえば、酸化錫)の表面吸着酸素との反応により生じる電子が、酸化物半導体に移り、酸化物半導体の抵抗値を変化させることによって、一酸化炭素(CO)や水素(H2 )を検知するものである。半導体式センサをCOセンサとして用いる場合は、センサ素子を100℃前後まで加熱することによりCOを検知することができるが、センサ材料表面の吸着水を脱離させるために、CO検知をしていない期間に300〜400℃まで加熱する必要がある。また、半導体式センサをH2 センサとして用いる場合は、H2 に対する感度がピークになる200〜300℃の温度範囲に加熱する必要がある。
また、接触燃焼式ガスセンサは、貴金属を担持する酸化触媒にて、検知すべきガス、たとえば水素(H2 )が燃焼し、それにより生じる燃焼熱が白金コイルに伝導し、白金コイルの温度を上昇させ、抵抗値を変化させるものである。接触燃焼式ガスセンサにおける水素(H2 )に対する作動温度範囲は、300〜400℃である。
しかしながら、図15の電気化学式センサは、ワッシャ3は、直接に水タンク2のくびれ部2aに圧着されているだけなので、接着剤15の劣化等があると前記圧着部分より水漏れあるいは水蒸気の蒸散のおそれがある。また、常温でガス検知を行うことができるが、検知信号とする電流がnA〜μAのオーダーと微少なため、大幅に増幅する必要があり、また外部ノイズの影響を受けやすいという問題がある。
また、上述の半導体式ガスセンサと接触燃焼式ガスセンサと図16の電気化学式センサは、いずれも作動温度がかなり高いため、作動温度まで加熱するための消費電力が多くなり、特に電池式のガス警報器に使用する場合には、電池の消耗が早くなるという問題がある。
そこで本発明は、上述の課題に鑑み、従来より水漏れあるいは水蒸気の蒸散を防止でき、耐ノイズ性があり、作動温度の低い電気化学式センサを提供することを目的としている。
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の発明は、水を貯留した金属製水タンクと、2つの電極間に固体電解質膜を挟み込んだセンサ素子と、金属製容器からなり、該金属製容器の上部にガス入口と底部にガス拡散口を形成し、前記2つの電極のうちの一方の電極と前記底部で接触して電気的に接続される第1のリード部材と、水蒸気供給口を有し、前記2つの電極のうちの他方の電極と接触して前記センサ素子を水面の上方に支持する金属製ワッシャとを有する電気化学式センサであって、前記第1のリード部材、前記センサ素子および前記金属製ワッシャと前記金属製水タンクとの間に、パッキング部材を備えていることを特徴とする。
請求項1記載の発明においては、水を貯留した金属製水タンクと、2つの電極間に固体電解質膜を挟み込んだセンサ素子と、金属製容器からなり、該金属製容器の上部にガス入口と底部にガス拡散口を形成し、2つの電極のうちの一方の電極と底部で接触して電気的に接続される第1のリード部材と、水蒸気供給口を有し、2つの電極のうちの他方の電極と接触してセンサ素子を水面の上方に支持する金属製ワッシャとを有する電気化学式センサであって、第1のリード部材、センサ素子および金属製ワッシャセンサと金属製水タンクとの間に、パッキング部材を備えている。それにより、水タンクに貯留されている水面より上方に配置される第1のリード部材、センサ素子および金属製ワッシャが全てパッキング部材にはめ込まれ、パッキング部材が水タンクと緊密に接触することで、水タンクに貯留されている水の水漏れあるいは水蒸散を防止することができる。
上記課題を解決するためになされた請求項2記載の発明は、請求項1記載の電気化学式センサにおいて、前記金属製水タンクの底部と前記金属製ワッシャの間に設けられ、前記金属製ワッシャを支持すると共に、前記金属製水タンクと前記金属製ワッシャを電気的に接続する第2のリード部材をさらに備えていることを特徴とする。
請求項2記載の発明においては、金属製水タンクの底部と金属製ワッシャの間に設けられ、金属製ワッシャを支持すると共に、金属製水タンクと金属製ワッシャを電気的に接続する第2のリード部材をさらに備えている。それにより、金属製ワッシャを支持してたわみを防止すると共に、センサ素子の対極を水タンクに電気的に接続して、外部へのセンサ出力の取り出しを容易にすることができる。
上記課題を解決するためになされた請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の電気化学式センサにおいて、前記センサ素子を加熱するためのヒータをさらに備えていることを特徴とする。
請求項3記載の発明においては、センサ素子を加熱するためのヒータをさらに備えている。それにより、検知対象ガスの検知に適する所定作動温度まで加熱することができる。この作動温度は、従来構造の電気化学式センサの作動温度よりもかなり低く、従来より電力消費を軽減することができる。
上記課題を解決するためになされた請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の電気化学式センサにおいて、前記電気化学式センサは、前記2つの電極間に生じる混成電位を含む電位差をセンサ出力とする混成電位型電気化学式センサであることを特徴とする。
請求項4記載の発明においては、電気化学式センサは、2つの電極間に生じる混成電位を含む電位差をセンサ出力とする混成電位型電気化学式センサである。それにより、混成電位型電気化学式センサにおいても、請求項1から3に記載の電気化学式センサと同様の効果を期待することができる。
請求項1記載の発明によれば、水タンクに貯留されている水面より上方に配置される第1のリード部材、センサ素子および金属製ワッシャが全てパッキング部材にはめ込まれ、パッキング部材が水タンクと緊密に接触することで、水タンクに貯留されている水の水漏れあるいは水蒸散を防止することができる。また、センサ素子の2つの電極間に生じる混成電位を含む電位差をセンサ出力とするため、ガス検知信号を従来より大きく得ることができるので、耐ノイズ性が向上する。
請求項2記載の発明によれば、金属製ワッシャを支持してたわみを防止すると共に、センサ素子の対極を水タンクに電気的に接続して、外部へのセンサ出力の取り出しを容易にすることができる。
請求項3記載の発明によれば、検知対象ガスの検知に適する所定作動温度まで加熱することができる。この作動温度は、従来構造の電気化学式センサの作動温度よりもかなり低く、従来より電力消費を軽減することができる。
請求項4記載の発明によれば、混成電位型電気化学式センサにおいても、請求項1から3に記載の電気化学式センサと同様の効果を期待することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)図1は、本発明の第1の実施形態に係る電気化学式センサの構造を示す断面図である。なお、本発明の第1の実施形態は、混成電位型電気化学式センサに適用した場合について説明する。電気化学式センサ1は、水タンク2、ワッシャ3、センサ素子4、ガスケット8、検知極リード13および対極リード14から構成されている。
水タンク2は、たとえば有底円筒形状を有する金属製容器であり、その内部に蒸留水11が貯留されている。ワッシャ3は、金属製で円盤状に形成され、そのほぼ中央に水蒸気供給口3aが形成されている。センサ素子4は、バッキングレイヤ(対極)5と、高分子固体電解質の膜である高分子プロトン導電体膜と、バッキングレイヤ(検知極)7の積層構造からなり、ワッシャ3の上に配置されている。バッキングレイヤ(検知極)7は、検知ガスおよび酸素に活性な貴金属(たとえば、Pt、Pd、Au、Rh、Ruやこれらの合金等)を担持した電極触媒となる膜である。バッキングレイヤ(対極)5は、検知ガスに不活性であるが酸素に活性な電極触媒となる膜である。
検知極リード13は、上から見た外形が円形状でその内部に空洞を有する金属製容器からなり、上部2箇所にガス入口9aと底部の中央にガス拡散口9bが形成され、センサ素子4の上に配置されている。検知極リード13は、請求項における第1のリード部材に相当する。
ワッシャ3、センサ素子4および検知極リード13は、ガスケット8にはめ込まれている。ガスケット8は、弾性を有する絶縁性の高分子材料からなり、その下部が折り曲げられてワッシャ3の底面の外周付近を覆うと共にその上部が折り曲げられて検知極リード13の上面の外周付近を覆うように、水タンク2のくびれ部2aの上にはめ込まれ、上部開口部の上端を加締めてくびれ部2a上に圧着させることにより、水タンク2の内壁と緊密に接触して、くびれ部2aより上方を密閉している。ガスケット8は、請求項におけるパッキング部材に相当する。
ワッシャ3と検知極リード13の間の隙間には、密閉性を高めるために接着剤15が封入されている。水タンク2の内部には、その底部よりワッシャ3に接触するように金属製の小径円筒状の対極リード14が立設されている。この対極リード14は、水タンク2と一体形成でも良いし、または別の金属製部材を水タンク2の底部に溶接しても良い。対極リード14の一部には、その内側から外側に貫通する水流通口14aが1つ(または複数)形成されている。対極リード14は、請求項における第2のリード部材に相当する。
上述の構成を有する電気化学式センサ1においては、検知極リード13とセンサ素子4とワッシャ3は、弾性を有する絶縁性の高分子材料からなるガスケット8に納められ、ガスケット8が水タンク2と緊密に接触することで、水タンク2に貯留されている蒸留水11の水漏れあるいは水蒸散を防止することができる。
雰囲気ガス中にCOが有無すると、センサ素子4の検知極7および対極5において、それぞれ下記の反応が起こる。
検知極 CO+H2 O→CO2 +2H+ +2e- ・・・(3)
2H+ +O2 /2+2e- →H2 O ・・・(4)
対極 2H+ +O2 /2+2e- →H2 O ・・・(5)
検知極 CO+H2 O→CO2 +2H+ +2e- ・・・(3)
2H+ +O2 /2+2e- →H2 O ・・・(4)
対極 2H+ +O2 /2+2e- →H2 O ・・・(5)
検知極7において、COの電気化学的な酸化反応(3)と酸素の電気化学的な還元反応(4)は、同時に進行するので、一種の局部電池を形成する。反応(3)と反応(4)が平衡になると、検知極7の電位は混成電位となる。この混成電位は、検知極の触媒種類、温度およびCO濃度に依存する。図2は、検知極7における反応を示すモデル断面図である。一方、対極5において、反応(5)が起こる。その結果、電気化学式センサ1のセンサ出力は、検知極7と対極5間の電位差として得られる。この検知信号は、混成電位によるものなので従来の構造の電気化学式センサに比べて大きく得られるため、耐ノイズ性が向上する。
図3は、図1の構造を有する電気化学式センサ1の常温でのCO依存特性を示す図である。図3に示すように、センサの起電力(EMF)は、CO濃度にほぼ比例する。
図4は、図1の構造を有する電気化学式センサ1のガス選択性を示す図である。図4に示すように、COに対するガス感度に比べ、他の種類のガス、たとえば水素(H2 )、メタン(CH4 )および二酸化炭素(CO2 )に対するガス感度は小さいため、電気化学式センサ1は良好なCO選択性を示す。
図5は、図1の構造を有する電気化学式センサ1の温度依存性を示す図である。図5に示すように、環境温度が高くなるにつれて、COの検出出力は大きくなる。
このように、本発明の第1の実施形態によれば、検知極リード13、センサ素子4およびワッシャ3がガスケット8に納められているので、水タンク2に貯留されている蒸留水11の水漏れあるいは水蒸散を防止することができる。また、検知信号を従来より大きく得ることができるので、耐ノイズ性が向上する。また、対極リード14を備えたことにより、ワッシャ3を支持してたわみを防止すると共に、センサ素子4の対極5を水タンク2に電気的に接続して、外部へのセンサ出力の取り出しを容易にすることができる。
次に図6は、本発明の第1の実施形態に係る電気化学式センサ1を用いたCO警報器の構成を示すブロック図である。CO警報器は、図1の電気化学式センサ1、温度センサ21、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)22および警報部23から構成される。
温度センサ21は、温度検出手段として働き、電気化学式センサ1の近傍に設置され、電気化学式センサ1の周囲温度を検出する。マイコン22は、予め定めたプログラムにしたがって各種の制御および処理等を行うCPU22aと、CPU22aのためのプログラム等を格納したROM22bと、各種データを格納するとともに、CPU22aの処理作業に必要なエリアを有するRAM22c等を内蔵している。マイコン22には、電気化学式センサ1からの検出出力と、温度センサ21からの温度検出信号が入力される。また、マイコン22は、ブザー等からなる警報部23へ警報信号を出力する。
上述の構成において、CPU22aは、電気化学式センサ1からCO検出によるセンサ出力が入力されると、センサ出力がRAM22cに予め記憶されているCO警報判定値以上になった場合、警報部23へ警報信号を出力し、警報部23よりCO警報を報知する。
(第2の実施形態)次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、上述の第1の実施形態の構成に加えて、センサ素子を加熱するヒータをさらに備えたことを特徴とする。
図7は、本発明の第2の実施形態に係る電気化学式センサの構造を示す断面図である。本発明の第2の実施形態に係る電気化学式センサ1は、水タンク2、ワッシャ3、センサ素子4、ガスケット8、対極リード14、検知極リード16、ヒータリード17およびヒータ19から構成されている。
水タンク2は、たとえば有底円筒形状を有する金属製容器であり、その内部に蒸留水11が貯留されている。ワッシャ3は、金属製で円盤状に形成され、そのほぼ中央に水蒸気供給口3aが形成されている。センサ素子4は、バッキングレイヤ(対極)5と、高分子固体電解質の膜である高分子プロトン導電体膜と、バッキングレイヤ(検知極)7の積層構造からなり、ワッシャ3の上に配置されている。バッキングレイヤ(検知極)7は、検知ガスおよび酸素に活性な貴金属(たとえば、Pt、Pd、Au、Rh、Ruやこれらの合金等)を担持した電極触媒となる膜である。バッキングレイヤ(対極)5は、検知ガスに不活性であるが酸素に活性な電極触媒となる膜である。
検知極リード16は、その内部に空洞を有する金属製容器からなり、上部にガス入口16aと底部の中央にガス拡散口16bが形成され、センサ素子4の上に配置されている。ヒータリード17は、その内部に空洞を有する金属製容器からなり、上部にガス入口17aと底部の中央にガス拡散口17bが形成されている。検知極リード16およびヒータリード17は、絶縁体18を挟んで固定されて一体化され、これらの全体の外形は、図1に示す検知極リード13の外形とほぼ同様になっている。
ヒータ19は、センサ素子4と検知極リード16およびヒータリード17との間に配置されている。ヒータ19は、絶縁性樹脂19aの内部に、たとえば図8に示すように櫛状の発熱体19bを封じた構成を有する。ヒータ19の一方の端子(発熱体19bの一端)は、バッキングレイヤ(検知極)7の上面に電気的に接触し、ヒータ19の他方の端子(発熱体19bの他端)は、ヒータリード17の底部に電気的に接触している。バッキングレイヤ(検知極)7の一方の端部には突起が設けられ、この部分で検知極リード16の底部に電気的に接触している。
ワッシャ3、センサ素子4、検知極リード16、ヒータリード17およびヒータ19は、ガスケット8にはめ込まれている。ガスケット8は、弾性を有する絶縁性の高分子材料からなり、その下部が折り曲げられてワッシャ3の底面の外周付近を覆うと共にその上部が折り曲げられて検知極リード13の上面の外周付近を覆うように、水タンク2のくびれ部2aの上にはめ込まれ、上部開口部の上端を加締めてくびれ部2a上に圧着させることにより、水タンク2の内壁と緊密に接触して、くびれ部2aより上方を密閉している。ワッシャ3と検知極リード13の間の隙間には、密閉性を高めるために接着剤15が封入されている。水タンク2の内部には、その底部よりワッシャ3に接触するように金属製の小径円筒状の対極リード14が立設されている。この対極リード14は、水タンク2と一体形成でも良いし、または別の金属製部材を水タンク2の底部に溶接しても良い。対極リード14の一部には、その内側から外側に貫通する水流通口14aが形成されている。
上述の構成を有する電気化学式センサ1においては、図10に示すように、ヒータ19が、検知極リード16とヒータリード17の間に直流電源41を接続することによって給電されて発熱し、センサ素子4を加熱する。センサ素子4は、この加熱により検知対象のガス、たとえば水素(H2 )を検知するのに適する作動温度まで上昇する。このように加熱した際の加熱電気化学式センサ1のセンサ出力は、バッキングレイヤ(検知極)7および検知極リード16を介する経路と、バッキングレイヤ(対極)5、ワッシャ3および水タンク2を介する経路とを通ってセンサ出力検出手段40で検出される。
雰囲気ガス中に水素(H2 )が存在すると、作動温度まで加熱された状態のセンサ素子4の検知極7および対極5において、それぞれ下記の反応が起こる。
検知極 H2 →2H+ +2e- ・・・(6)
2H+ +O2 /2+2e- →H2 O ・・・(7)
対極 2H+ +O2 /2+2e- →H2 O ・・・(8)
検知極 H2 →2H+ +2e- ・・・(6)
2H+ +O2 /2+2e- →H2 O ・・・(7)
対極 2H+ +O2 /2+2e- →H2 O ・・・(8)
検知極7において、H2 の電気化学的な酸化反応(6)と酸素の電気化学的な還元反応(7)は、同時に進行するので、一種の局部電池を形成する。反応(6)と反応(7)が平衡になると、検知極7の電位は混成電位となる。この混成電位は、検知極の触媒種類、温度およびH2 濃度に依存する。図9は、検知極7における反応を示すモデル断面図である。一方、対極5において、反応(8)が起こる。その結果、電気化学式センサ1のセンサ出力は、検知極7と対極5間の電位差として得られる。この検知信号は、混成電位によるものなので従来の構造の電気化学式センサに比べて大きく得られるため、耐ノイズ性が向上する。
図11は、図7の構造を有する電気化学式センサ1の作動温度(20℃、50℃および70℃)でのH2 依存特性を示す図である。図11に示すように、センサの起電力(EMF)は、H2 濃度が高くなるにつれて大きくなる。好適な作動温度範囲は、50〜70℃である。この作動温度は、従来構造の電気化学式センサの作動温度よりもかなり低く、従来より電力消費を軽減することができる。
図12は、図7の構造を有する電気化学式センサ1のガス選択性を示す図である。図12に示すように、H2 に対するガス感度に比べ、他の種類のガス、たとえばメタン(CH4 )および二酸化炭素(CO2 )に対するガス感度は小さいため、電気化学式センサ1は良好なH2 選択性を示す。
図13は、図7の構造を有する電気化学式センサ1の温度依存性を示す図である。図13に示すように、環境温度が高くなるにつれて、COの検出出力は大きくなる。
このように、本発明の第2の実施形態によれば、検知極リード16、センサ素子4およびワッシャ3がガスケット8に納められているので、水タンク2に貯留されている蒸留水11の水漏れあるいは水蒸散を防止することができる。また、検知信号を従来より大きく得ることができるので、耐ノイズ性が向上する。また、対極リード14を備えたことにより、ワッシャ3を支持してたわみを防止すると共に、センサ素子4の対極5を水タンク2に電気的に接続して、外部へのセンサ出力の取り出しを容易にすることができる。さらに、ヒータ19を内蔵し、検知対象ガスの検知に適する所定作動温度まで加熱することができる。この作動温度は、従来構造の電気化学式センサの作動温度よりもかなり低く、従来より電力消費を軽減することができる。
次に図14は、本発明の第2の実施形態に係る電気化学式センサ1を用いた水素警報器の構成を示すブロック図である。水素警報器は、図7の電気化学式センサ1、温度センサ21、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)22、警報部23、直流電源41およびスイッチ42から構成される。
電気化学式センサ1に内蔵されているヒータ19には、スイッチ42を介して直流電源41が接続されている。温度センサ21は、温度検出手段として働き、電気化学式センサ1の近傍に設置され、電気化学式センサ1の周囲温度を検出する。
マイコン22は、予め定めたプログラムにしたがって各種の制御および処理等を行うCPU22aと、CPU22aのためのプログラム等を格納したROM22bと、各種データを格納するとともに、CPU22aの処理作業に必要なエリアを有するRAM22c等を内蔵している。
CPU22aは、電気化学式センサ1からセンサ出力と温度センサ21から温度検出信号が入力され、警報部23に警報信号を出力する。また、CPU22aは、スイッチ42をオン、オフ制御する制御信号を出力する。
上述の構成において、CPU22aは、スイッチ42へ制御信号を出力してスイッチ42をオフからオンにし、ヒータ19へ直流電源41から電流を流してヒータ19を発熱させる。CPU22aは、発熱したヒータ19により、電気化学式センサ1のセンサ素子4を所定作動温度まで加熱するように制御する。次に、CPU22aは、センサ素子4が作動温度まで加熱された状態のセンサ出力を取り込み、センサ出力がRAM22cに予め記憶されている水素警報判定値以上になった場合、警報部23へ警報信号を出力し、警報部23より水素警報を報知する。
以上の通り、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限らず、種々の変形、応用が可能である。
たとえば、上述の実施の形態では、水タンクは有底円筒形状を有しているが、これに限らず、有底角筒状などの他の形状とすることができる。
また、本発明は、上述の実施形態で説明した混成電位型電気化学式センサに限らず、固体電解質を含むセンサ素子を用いた他のタイプの電気化学式センサにも適用可能である。
1 電気化学式センサ
11 蒸留水
2 水タンク
3 ワッシャ
3a 水蒸気供給口
4 センサ素子
5 バッキングレイヤ(対極)
6 高分子プロトン導電体膜(固体電解質膜)
7 バッキングレイヤ(検知極)
8 ガスケット(パッキング部材)
13a ガス入口
13b ガス拡散口
13 検知極リード(第1のリード部材)
14 対極リード(第2のリード部材)
19 ヒータ
11 蒸留水
2 水タンク
3 ワッシャ
3a 水蒸気供給口
4 センサ素子
5 バッキングレイヤ(対極)
6 高分子プロトン導電体膜(固体電解質膜)
7 バッキングレイヤ(検知極)
8 ガスケット(パッキング部材)
13a ガス入口
13b ガス拡散口
13 検知極リード(第1のリード部材)
14 対極リード(第2のリード部材)
19 ヒータ
Claims (4)
- 水を貯留した金属製水タンクと、2つの電極間に固体電解質膜を挟み込んだセンサ素子と、金属製容器からなり、該金属製容器の上部にガス入口と底部にガス拡散口を形成し、前記2つの電極のうちの一方の電極と前記底部で接触して電気的に接続される第1のリード部材と、水蒸気供給口を有し、前記2つの電極のうちの他方の電極と接触して前記センサ素子を水面の上方に支持する金属製ワッシャとを有する電気化学式センサであって、
前記第1のリード部材、前記センサ素子および前記金属製ワッシャと前記金属製水タンクとの間に、パッキング部材を備えていることを特徴とする電気化学式センサ。 - 請求項1記載の電気化学式センサにおいて、
前記金属製水タンクの底部と前記金属製ワッシャの間に設けられ、前記金属製ワッシャを支持すると共に、前記金属製水タンクと前記金属製ワッシャを電気的に接続する第2のリード部材をさらに備えていることを特徴とする電気化学式センサ。 - 請求項1または2記載の電気化学式センサにおいて、
前記センサ素子を加熱するためのヒータをさらに備えていることを特徴とする電気化学式センサ。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載の電気化学式センサにおいて、
前記電気化学式センサは、前記2つの電極間に生じる混成電位を含む電位差をセンサ出力とする混成電位型電気化学式センサであることを特徴とする電気化学式センサ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006282239A JP2008101923A (ja) | 2006-10-17 | 2006-10-17 | 電気化学式センサ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006282239A JP2008101923A (ja) | 2006-10-17 | 2006-10-17 | 電気化学式センサ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2008101923A true JP2008101923A (ja) | 2008-05-01 |
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Family Applications (1)
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JP (1) | JP2008101923A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011220905A (ja) * | 2010-04-13 | 2011-11-04 | Osaka Gas Co Ltd | シール構造、ガスセンサ及びガス検出器 |
JP2012225906A (ja) * | 2011-04-05 | 2012-11-15 | Figaro Eng Inc | 電気化学ガスセンサ及びそのカシメ方法 |
JP2015519539A (ja) * | 2012-03-16 | 2015-07-09 | ソルビコア・ゲーエムベーハー・ウント・コ・カーゲー | アニオン交換膜を含む電気化学式ガスセンサー |
JP2016189107A (ja) * | 2015-03-30 | 2016-11-04 | 能美防災株式会社 | 火災感知器および火災検知システム |
-
2006
- 2006-10-17 JP JP2006282239A patent/JP2008101923A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012225906A (ja) * | 2011-04-05 | 2012-11-15 | Figaro Eng Inc | 電気化学ガスセンサ及びそのカシメ方法 |
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