JP2008101731A - ベルト式無段変速機 - Google Patents

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真哉 藤村
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Abstract

【課題】オイルポンプの駆動損失の増加を抑制することができるベルト式無段変速機を提供すること。
【解決手段】ベルト式無段変速機1−1は、セカンダリ油圧室64への作動油の供給のみ許容し、セカンダリプーリ60と一体回転する作動油供給弁70と、増圧シリンダ81および増圧シリンダ81に対して挿入、引き抜きが行われる増圧ピストン82とからなる増圧装置80とを備える。増圧装置80は、変速比減少時に増圧ピストン82を増圧シリンダ81から引き抜くことでセカンダリ油圧室64内の作動油を排出し、変速比の固定時に増圧シリンダ81の挿入することでセカンダリ油圧室64の油圧P1を増圧する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、ベルト式無段変速機に関するものである。
一般に、車両には、駆動源である内燃機関や電動機からの駆動力、すなわち出力トルクを車両の走行状態に応じた最適の条件で路面に伝達するために、駆動源の出力側に変速機が設けられている。この変速機には、変速比を無段階(連続的)に制御する無段変速機と、変速比を段階的(不連続)に制御する有段変速機とがある。ここで、無段変速機には、2つのプーリ、すなわち駆動源からの駆動力が伝達されるプライマリプーリおよびプライマリプーリに伝達された出力トルクを変化させて出力するセカンダリプーリと、このプライマリプーリに伝達された駆動力をセカンダリプーリに伝達するベルトとにより構成されるベルト式無段変速機がある。このプライマリプーリおよびセカンダリプーリは、平行に配置された2つのプーリ軸であるプライマリプーリ軸とセカンダリプーリ軸と、この各プーリ軸上を軸方向にそれぞれ摺動する2つの可動シーブ(プライマリ可動シーブ、セカンダリ可動シーブ)と、この2つの可動シーブに軸方向においてそれぞれ対向するとともに可動シーブとの間でV字形状の溝を形成する2つの固定シーブ(プライマリ固定シーブ、セカンダリ固定シーブ)と、油圧により可動シーブを固定シーブ側に押圧することで、ベルトに対してベルト挟圧力を発生する挟圧力発生油圧室とにより構成されている。なお、ベルトは、プライマリプーリおよびセカンダリプーリのそれぞれに形成されるV字形状の溝に巻き掛けられている。
このベルト式無段変速機は、各位置決め油圧室によりそれぞれの可動シーブが各プーリ軸上をその軸方向に摺動し、プライマリプーリおよびセカンダリプーリのそれぞれに形成されるV字形状の溝の幅を変化させる。これにより、ベルトと、プライマリプーリおよびセカンダリプーリとの接触半径を無段階に変化させ、変速比を無段階に変化するものである。つまり、駆動源からの出力トルクを無段階に変化させるものである。
この挟圧力発生油圧室は、例えば特許文献1に示すように、この挟圧力発生油圧室の油圧により、可動シーブを固定シーブ側に押圧し、ベルトに対してベルト挟圧力を発生させるものである。ここで、ベルト式無段変速機では、固定シーブに対する可動シーブの軸方向への移動を規制する、すなわち固定シーブに対する可動シーブの軸方向における位置を一定とし、変速比を固定する場合がある。上記特許文献1に示すような従来のベルト式無段変速機では、固定シーブに対する可動シーブの軸方向における位置を一定に保持するため、挟圧力発生油圧室の油圧を所定の油圧に保持する必要がある。
特開2001−323978号公報
従って、従来のベルト式無段変速機では、変速比の変更時だけでなく変速比の固定時においても、挟圧力発生油圧室に作動油を供給する必要がある。このため、挟圧力発生油圧室に油圧を供給する作動油供給制御装置が備えるオイルポンプを作動させる必要がある。また、作動油供給制御装置から挟圧力発生油圧室への作動油の供給は、ベルト式無段変速機の例えばケースなどの固定部材および例えばプーリ軸などの可動部材に形成された通路により行われる。従って、変速比の固定時においても挟圧力発生油圧室に作動油を供給するためには、この固定部材と可動部材との摺動部から作動油が漏れる虞がある。
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、オイルポンプの駆動損失の増加を抑制することができるベルト式無段変速機を提供することを目的とするものである。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明では、平行に配置され、駆動源からの駆動力がいずれか一方に伝達される2つのプーリ軸と、当該2つのプーリ軸上をそれぞれ軸方向に摺動する2つの可動シーブと、2つの可動シーブに軸方向にそれぞれ対向する2つの固定シーブと、からなる2つのプーリと、各プーリに巻き掛けられ、一方のプーリに伝達された駆動源からの駆動力を他方のプーリに伝達するベルトと、油圧により可動シーブと固定シーブとの間にベルト挟圧力を発生する2つの挟圧力発生油圧室と、他方の挟圧力発生油圧室への作動油の供給のみを許容し、他方のプーリと一体回転する作動油供給弁と、他方の挟圧力発生油圧室からの作動油の排出の許容あるいは禁止を制御し、他方のプーリと一体回転する作動油排出手段と、他方の挟圧力発生油圧室の油圧を増圧し、他方のプーリと一体回転する増圧手段とを備えることを特徴とする。
また、この発明では、上記ベルト式無段変速機において、増圧手段は、他方の挟圧力発生油圧室内に挿入されることで、他方の挟圧力発生油圧室の容積を変更する増圧ピストンを備えることを特徴とする。
また、この発明では、上記ベルト式無段変速機において、増圧手段は、他方のプーリ軸内に配置されていることを特徴とする。
また、この発明では、上記ベルト式無段変速機において、増圧ピストンは、他方の可動シーブと、他方の挟圧力発生油圧室を構成する油圧室構成部材との間から他方の挟圧力発生油圧室内に挿入されることを特徴とする。
これらの発明によれば、変速比を変更する際には、作動油供給弁を開弁することで他方の挟圧力発生油圧室へ作動油を供給する、あるいは作動油排出手段によりこの他方の挟圧力発生油圧室から作動油を排出する。一方、変速比を固定(一定)とする際には、作動油排出手段により他方の位置決め油圧室からの作動油の排出を禁止する。つまり、作動油供給弁が他方の挟圧力発生油圧室への作動油の供給のみを許容するものであるため、他方の挟圧力発生油圧室の作動油は、この他方の挟圧力発生油圧室内に保持されることとなる。従って、可動シーブの固定シーブに対する軸方向における位置が変化しようとしても、この他方の挟圧力発生油圧室の油圧が変化することで、可動シーブの固定シーブに対する軸方向における位置を一定に維持することができる。これにより、可動シーブの固定シーブに対する軸方向における位置を一定に維持するために、他方の挟圧力発生油圧室にこの他方の挟圧力発生油圧室の外部から作動油を供給しなくても良く、固定部材と可動部材との摺動部から作動油が漏れることを抑制することができる。これにより、オイルポンプの駆動損失の増加を抑制することができる。
また、増圧手段は、変速比を固定とする際に、例えば増圧ピストンを他方の挟圧力発生油圧室内に挿入し、他方の挟圧力発生油圧室の容積を変更、すなわち減少することで、他方の挟圧力発生油圧室の油圧を増圧する。従って、変速比の固定時に、作動油が保持された他方の挟圧力発生油圧室の油圧を増圧することができる。つまり、変速比の固定が継続した際に、他方の挟圧力発生油圧室内の作動油が漏れることで、他方の挟圧力発生油圧室の油圧が低下することを抑制することができる。これにより、ベルト挟圧力の低下を抑制でき、ベルトの滑りを抑制することができる。
また、この発明では、上記ベルト式無段変速機において、増圧手段は、油圧により増圧ピストンを他方の挟圧力発生油圧室内に挿入する挿入方向押圧力を発生する駆動油圧室を備え、増圧ピストンは、駆動油圧室側の断面積が挿入側の断面積がよりも大きいことを特徴とする。
この発明によれば、駆動油圧室側の断面積が挿入側の断面積がよりも大きいため、他方の挟圧力発生油圧室の油圧を増圧するために、増圧ピストンを他方の挟圧力発生油圧室に挿入する際に必要な駆動油圧室の油圧を小さくすることができる。従って、オイルポンプの駆動損失の増加を抑制することができる。
また、この発明では、上記ベルト式無段変速機において、作動油排出手段は、増圧手段と同一であり、増圧ピストンを他方の挟圧力発生油圧室内から引き抜くことで、他方の挟圧力発生油圧室からの作動油を排出することを特徴とする。
この発明によれば、増圧手段は、増圧ピストンを他方の挟圧力発生油圧室から引き抜くことにより他方の挟圧力発生油圧室から作動油を排出することができるため、作動油排出手段の機能を備えることができる。従って、増圧手段と作動油排出手段とを同一とすることができ、小型化を図ることができる。
また、この発明では、上記ベルト式無段変速機において、増圧手段は、他方のプーリ軸内に配置されていることを特徴とする。
また、この発明では、上記ベルト式無段変速機において、増圧手段は、他方のプーリ軸を構成する軸部材とは別部材の増圧シリンダを備えることを特徴とする。
この発明によれば、他方のプーリ軸内に配置された増圧ピストンが摺動する増圧シリンダは、他方のプーリ軸を構成する軸部材と別部材である。従って、増圧シリンダを軸部材と共用する場合と比較して他方のプーリ軸がたわんだ際の増圧シリンダへの影響を抑制することができる。これにより、増圧ピストンが増圧シリンダ内を摺動する際の摺動抵抗の増加を抑制することができ、増圧ピストンの動作を確実なものとすることができる。
この発明にかかるベルト式無段変速機は、オイルポンプの駆動損失の増加を抑制することができるという効果を奏する。また、作動油が保持された他方の挟圧力発生油圧室の油圧を増圧することができ、プーリに対するベルトの滑りを抑制することができる。
この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施例により、この発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。ここで、下記の実施例におけるベルト式無段変速機に伝達される駆動力を発生する駆動源として内燃機関(ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジンなど)を用いるが、これに限定されるものではなく、モータなどの電動機を駆動源として用いても良い。また、下記の実施例では、セカンダリプーリを他方のプーリとし、セカンダリ油圧室を他方の挟圧力発生油圧室とするが、プライマリプーリを他方のプーリとし、プライマリ油圧室を他方の挟圧力発生油圧室としても良い。
図1は、この発明にかかるベルト式無段変速機のスケルトン図である。また、図2は、実施例1にかかるセカンダリプーリの要部断面図である。図3は、変速比変更時におけるベルト式無段変速機の動作説明図である。図4は、変速比変更時におけるベルト式無段変速機の動作説明図である。
図1に示すように、内燃機関10の出力側には、トランスアクスル20が配置されている。このトランスアクスル20は、トランスアクスルハウジング21と、このトランスアクスルハウジング21に取り付けられたトランスアクスルケース22と、このトランスアクスルケース22に取り付けられたトランスアクスルリヤカバー23とにより構成されている。
このトランスアクスルハウジング21の内部には、トルクコンバータ30が収納されている。一方、トランスアクスルケース22とトランスアクスルリヤカバー23とにより構成されるケース内部には、この実施例1にかかるベルト式無段変速機1−1を構成する2つのプーリであるプライマリプーリ50およびセカンダリプーリ60と、一方の位置決め油圧室であるプライマリ油圧室54と、他方の位置決め油圧室であるセカンダリ油圧室64と、作動油供給弁70と、増圧装置80と、ベルト110とが収納されている。なお、40は前後進切換機構、90は車輪120に内燃機関10の駆動力を伝達する最終減速機、100は動力伝達経路、130は作動油供給制御装置(図2、図3、図4参照)、140はECU(Engine Control Unit)である。
発進機構であるトルクコンバータ30は、図1に示すように、駆動源からの駆動力、すなわち内燃機関10からの出力トルクを増加、あるいはそのままベルト式無段変速機1−1に伝達するものである。このトルクコンバータ30は、少なくともポンプ(ポンプインペラ)31と、タービン(タービンインペラ)32と、ステータ33と、ロックアップクラッチ34と、ダンパ装置35とにより構成されている。
ポンプ31は、内燃機関10のクランクシャフト11と同一の軸線を中心に回転可能な中空軸36に取り付けられている。つまり、ポンプ31は、中空軸36とともに、クランクシャフト11と同一の軸線を中心に回転可能である。また、ポンプ31は、フロントカバー37に接続されている。このフロントカバー37は、内燃機関10のドライブプレート12を介して、クランクシャフト11に連結されている。
タービン32は、上記ポンプ31と対向するように配置されている。このタービン32は、上記中空軸36内部に配置され、クランクシャフト11と同一の軸線を中心に回転可能なインプットシャフト38に取り付けられている。つまり、タービン32は、インプットシャフト38とともに、クランクシャフト11と同一の軸線を中心に回転可能である。
ポンプ31とタービン32との間には、ワンウェイクラッチ39を介してステータ33が配置されている。このワンウェイクラッチ39は、上記トランスアクスルハウジング21に固定されている。また、タービン32とフロントカバー37との間には、ロックアップクラッチ34が配置されており、このロックアップクラッチ34は、ダンパ装置35を介してインプットシャフト38に連結されている。なお、上記ポンプ31やフロントカバー37により形成されるケーシングには、作動油供給制御装置130から作動流体として作動油が供給されている。
ここで、このトルクコンバータ30の動作について説明する。内燃機関10からの出力トルクは、クランクシャフト11からドライブプレート12を介して、フロントカバー37に伝達される。ロックアップクラッチ34がダンパ装置35により解放されている場合は、フロントカバー37に伝達された内燃機関10からの出力トルクがポンプ31に伝達され、このポンプ31とタービン32との間を循環する作動油を介して、タービン32に伝達される。そして、タービン32に伝達された内燃機関10からの出力トルクは、インプットシャフト38に伝達される。つまり、トルクコンバータ30は、インプットシャフト38を介して、内燃機関10からの出力トルクを増加してベルト式無段変速機1−1に伝達する。上記においては、ステータ33により、ポンプ31とタービン32との間を循環する作動油の流れを変化させ所定のトルク特性を得ることができる。
一方、上記ロックアップクラッチ34がダンパ装置35によりロック(フロントカバー37と係合)されている場合は、フロントカバー37に伝達された内燃機関10からの出力トルクは、作動油を介さずに直接インプットシャフト38に伝達される。つまり、トルクコンバータ30は、インプットシャフト38を介して、内燃機関10からの出力トルクをベルト式無段変速機1−1に伝達する。
なお、トルクコンバータ30と後述する前後進切換機構40との間には、作動油供給制御装置130のオイルポンプ132が設けられている。このオイルポンプ132は、ロータ132aと、ハブ132bと、ボディ132cとにより構成されている。このオイルポンプ132は、ロータ132aにより円筒形状のハブ132bを介して、上記ポンプ31に接続されている。また、ボディ132cが上記トランスアクスルケース22に固定されている。また、ハブ132bは、上記中空軸36にスプライン嵌合されている。従って、オイルポンプ132は、内燃機関10からの出力トルクがポンプ31を介してロータ132aに伝達されるので、駆動することができる。
前後進切換機構40は、図1に示すように、トルクコンバータ30を介して伝達された内燃機関10からの出力トルクをベルト式無段変速機1−1のプライマリプーリ50に伝達するものである。この前後進切換機構40は、少なくとも遊星歯車装置41とフォワードクラッチ42と、リバースブレーキ43とにより構成されている。
遊星歯車装置41は、サンギヤ44と、ピニオン45と、リングギヤ46とにより構成されている。
サンギヤ44は、図示しない連結部材にスプライン嵌合されている。この連結部材は、プライマリプーリ50のプライマリプーリ軸51にスプライン嵌合されている。従って、サンギヤ44に伝達された内燃機関10からの出力トルクは、プライマリプーリ軸51に伝達される。
ピニオン45は、サンギヤ44と噛み合い、その周囲に複数個(例えば、3個)配置されている。各ピニオン45は、サンギヤ44の周囲で一体に公転可能に支持する切換用キャリヤ47に保持されている。この切換用キャリヤ47は、その外周端部においてリバースブレーキ43に接続されている。
リングギヤ46は、切換用キャリヤ47に保持された各ピニオン45と噛み合い、フォワードクラッチ42を介して、トルクコンバータ30のインプットシャフト38に接続されている。
フォワードクラッチ42は、インプットシャフト38の図示しない中空部に、作動油供給制御装置130から作動油が供給されることにより、ON/OFF制御されるものである。フォワードクラッチ42のOFF時には、インプットシャフト38に伝達された内燃機関10からの出力トルクがリングギヤ46に伝達される。一方、フォワードクラッチ42のON時には、リングギヤ46とサンギヤ44と各ピニオン45とが互いに相対回転することなく、インプットシャフト38に伝達された内燃機関10からの出力トルクが直接サンギヤ44に伝達される。
リバースブレーキ43は、図示しないブレーキピストンに、作動油供給制御装置130から作動油が供給されることにより、ON/OFF制御されるものである。リバースブレーキ43がON時には、切換用キャリヤ47がトランスアクスルケース22に固定され、各ピニオン45がサンギヤ44の周囲を公転できない状態となる。リバースブレーキ43がOFF時には、切換用キャリヤ47が解放され、各ピニオン45がサンギヤ44の周囲を公転できる状態となる。
ベルト式無段変速機1−1のプライマリプーリ50は、一方のプーリであり、前後進切換機構40を介して伝達された内燃機関10からの出力トルク、すなわち駆動力(正駆動力F1および逆駆動力F3)をベルト110により、他方のプーリであるセカンダリプーリ60に伝達するものである。このプライマリプーリ50は、図1に示すように、プライマリプーリ軸51と、プライマリ固定シーブ52と、プライマリ可動シーブ53と、このプライマリプーリ50にベルト挟圧力を発生させることでベルト式無段変速機1−1の変速比を変更するプライマリ油圧室54とにより構成されている。
プライマリプーリ軸51は、軸受111,112により回転可能に支持されている。また、プライマリプーリ軸51は、内部に図示しない作動油通路を有しており、この作動油通路には、作動油供給制御装置130からプライマリ油圧室54に供給される作動油が流入する。
プライマリ固定シーブ52は、プライマリ可動シーブ53と対向するように、プライマリプーリ軸51と一体回転するように設けられている。ここでは、プライマリ固定シーブ52は、プライマリプーリ軸51の外周から径方向外側に突出する環状部として形成されている。つまり、この実施例では、プライマリ固定シーブ52は、プライマリプーリ軸51の外周に一体的に設けられている。
プライマリ可動シーブ53は、プライマリプーリ軸51にこのプライマリプーリ軸51上を軸方向に摺動可能にスプライン嵌合されている。このプライマリ固定シーブ52とプライマリ可動シーブ53との間、すなわちプライマリ固定シーブ52のプライマリ可動シーブ53に対向する面と、プライマリ可動シーブ53のプライマリ固定シーブ52と対向する面との間で、V字形状のプライマリ溝110aが形成されている。
プライマリ油圧室54は、プライマリ可動シーブ53のプライマリ固定シーブ52と対向する面と反対側の背面53aと、プライマリプーリ軸51に固定された円板形状のプライマリ隔壁55とに構成されている。プライマリ可動シーブ53の背面53aには、軸方向の一方向に突出、すなわちトランスアクスルリヤカバー23側に突出する環状の突出部53bが形成されている。一方、プライマリ隔壁55には、軸方向の他方向、すなわちプライマリ可動シーブ53側に突出する環状の突出部55aが形成されている。この突出部53bと突出部55aとの間には、例えばシールリングなどの図示しないプライマリ油圧室用シール部材が設けられている。つまり、プライマリ油圧室54を構成するプライマリ可動シーブ53の背面53aとプライマリ隔壁55とは、シール部材によりシールされている。
このプライマリ油圧室54には、図示しない作動油供給孔を介して、プライマリプーリ軸51の図示しない作動油通路に流入した作動油が供給される。つまり、作動油供給制御装置130は、プライマリ油圧室54に作動油を供給し、このプライマリ油圧室54の油圧により、プライマリ可動シーブ53を軸方向に摺動させ、このプライマリ可動シーブ53をプライマリ固定シーブ52に対して接近あるいは離隔させるものである。プライマリ油圧室54は、このプライマリ油圧室54に供給される作動油により、プライマリ可動シーブ53を軸方向に押圧する可動シーブ押圧力をこのプライマリ可動シーブ53に作用させることで、プライマリ溝110aに巻き掛けられるベルト110に対するベルト挟圧力を発生させ、プライマリ可動シーブ53のプライマリ固定シーブ52に対する軸方向位置を変更するものである。これにより、プライマリ油圧室54は、ベルト式無段変速機1−1の変速比を変更させる変速比変更手段としての機能を有するものである。
ベルト式無段変速機1−1のセカンダリプーリ60は、ベルト110によりプライマリプーリ50に伝達された内燃機関10からの出力トルクをベルト式無段変速機1−1の最終減速機90に伝達するものである。このセカンダリプーリ60は、図1、図2に示すように、セカンダリプーリ軸61と、セカンダリ固定シーブ62と、セカンダリ可動シーブ63と、このセカンダリプーリ60にベルト挟圧力を発生させることでベルト110の張力を制御するセカンダリ油圧室64と、セカンダリ隔壁65とにより構成されている。なお、66は、例えばスプライン嵌合などにより、セカンダリプーリ軸61に固定されたパーキングブレーキギヤである。また、67は、例えばスプライン嵌合などにより、セカンダリプーリ軸61に固定され、軸受113の軸方向における移動を規制する固定部材である。
セカンダリプーリ軸61は、軸受113,114により回転可能に支持されている。また、このセカンダリプーリ軸61は、内部に作動油主通路61aが形成されている。この作動油主通路61aは、セカンダリプーリ軸61の軸方向における両端部に開口しており、一方の端部(図2に示す右側端部)から作動油供給制御装置130からセカンダリ油圧室64に供給される作動流体である作動油が流入し、他方の端部(同図に示す左側端部)から作動油供給制御装置130から増圧装置80の後述する駆動油圧室83に供給される作動油が流入する。
作動油主通路61aには、規制段差部61bと、この規制段差部61bよりも一方の端部側に作動油供給弁70の後述する弁座段差部72が形成されている。ここで、作動油主通路61aは、空間部T1〜T4に分割されている。空間部T1とは、作動油主通路61aのうち、弁座段差部72と一方の端部との間の空間部をいう。空間部T2とは、弁座段差部72と増圧装置80の増圧シリンダ81との間の空間部をいう。なお、空間部T2は、増圧シリンダ81の中空部81aと連通する。空間部T3は、増圧シリンダ81と、増圧装置80の後述する増圧ピストン82の本体部82aとの間の空間部をいう。空間部T4は、増圧ピストン82の本体部82aと他方の端部との間の空間部をいう。
また、作動油主通路61aには、作動油主通路61aとセカンダリプーリ軸61の外周面とを連通する連通通路61cと排出通路61dとが形成されている。連通通路61cは、空間部T2に形成されており、作動油主通路61aに流入した作動油を他方の挟圧力発生油圧室であるセカンダリ油圧室64に流入させるものである。排出通路61dは、空間部T3に形成されており、他方の挟圧力発生油圧室であるセカンダリ油圧室64から排出された作動油をセカンダリプーリ60の外部に流出させるものである。
セカンダリ固定シーブ62は、セカンダリ可動シーブ63と対向する位置に、セカンダリプーリ軸61と一体回転するように設けられている。ここでは、セカンダリ固定シーブ62は、セカンダリプーリ軸61の外周から径方向外側に突出する環状部として形成されている。つまり、この実施例1では、セカンダリ固定シーブ52は、セカンダリプーリ軸61の外周に一体的に形成されている。
セカンダリ可動シーブ63は、円筒部63aと、環状部63bとにより構成されている。また、プライマリ可動シーブ53には、環状部53bの外周端部の近傍に軸方向のうち他方向に突出、すなわちプライマリ隔壁側に突出する環状の突出部63dが形成されている。円筒部63aは、セカンダリプーリ軸61の軸線と同一軸線を中心に形成されている。環状部63bは、この円筒部63aのセカンダリ固定シーブ側の端部から径方向外側に突出して形成されている。このセカンダリ可動シーブ63は、円筒部63aの内周面に形成されたスプライン63cと、セカンダリプーリ軸61の外周面に形成されたスプライン61eとが嵌合することで、このセカンダリプーリ軸61に軸方向に摺動可能に支持されている。このセカンダリ固定シーブ62とセカンダリ可動シーブ63との間、すなわちセカンダリ固定シーブ62のセカンダリ可動シーブ63に対向する面と、セカンダリ可動シーブ63のセカンダリ固定シーブ62と対向する面との間で、V字形状のセカンダリ溝110bが形成されている。
セカンダリ油圧室64は、他方の挟圧力発生油圧室であり、セカンダリ可動シーブ63とセカンダリ固定シーブ62との間にベルト挟圧力を発生するものである。セカンダリ油圧室64は、セカンダリ可動シーブ63と、セカンダリ隔壁65との間に形成されている。このセカンダリ油圧室64は、セカンダリプーリ軸61の外周面と、セカンダリ可動シーブ63の背面63eと、セカンダリ隔壁65のセカンダリ可動シーブ側の側面65aとにより構成されている。ここで、セカンダリ隔壁65とセカンダリ可動シーブ63との間(セカンダリ隔壁65の先端部と、セカンダリ可動シーブ63の突起部63dの内周面との間)、セカンダリ可動シーブ63とセカンダリプーリ軸61との間(セカンダリ可動シーブ63の内周面と、セカンダリプーリ軸の外周面との間)には、例えばシールリングなどのセカンダリ油圧室用シール部材S1が設けられている。つまり、セカンダリ油圧室64を構成するセカンダリプーリ軸61と、セカンダリ可動シーブ63と、セカンダリ隔壁65とは、セカンダリ油圧室用シール部材S1によりシールされている。
セカンダリ隔壁65は、油圧室構成部材であり、セカンダリ油圧室64を構成する部材である。このセカンダリ隔壁65は、セカンダリ可動シーブ63を挟んでセカンダリ固定シーブ62と軸方向において対向するように配置されている。このセカンダリ隔壁65は、例えばスプライン嵌合などにより、セカンダリプーリ軸61に対して周方向における移動が規制されている。また、セカンダリ隔壁65は、軸受113を介して、セカンダリプーリ軸61に固定された固定部材67により軸方向における移動が規制されている。
ここで、セカンダリ油圧室64には、連通通路61cを介して、作動油供給制御装置130から作動油主通路61aに流入した作動油が供給される。つまり、作動油供給制御装置130は、セカンダリ油圧室64に作動油を供給し、この供給された作動油の油圧、すなわちセカンダリ油圧室64の油圧により、セカンダリ可動シーブ63を軸方向に摺動させ、セカンダリ可動シーブ63をセカンダリ固定シーブ62に対して接近あるいは離隔させるものである。セカンダリ油圧室64は、このセカンダリ油圧室64に供給される作動油により、セカンダリ可動シーブ63にセカンダリ固定シーブ62に向かう方向の押圧力を作用させることで、セカンダリ溝110bに巻き掛けられるベルト110に対するベルト挟圧力を発生させる。セカンダリ油圧室64は、発生したベルト挟圧力により、ベルト110の張力を制御することで、このベルト110のプライマリプーリ50およびセカンダリプーリ60に対する接触半径を一定に維持する機能の一部と、ベルト110の滑りを抑制する機能とを担うものである。
また、セカンダリ可動シーブ63と、セカンダリ隔壁65との間には、シーブ押圧弾性部材68が配置されている。このシーブ押圧弾性部材68は、例えばスプリングであり、セカンダリ可動シーブ63の背面63eと、セカンダリ隔壁65の側面65aとの間に、付勢された状態で配置されている。従って、セカンダリ可動シーブ63は、このシーブ押圧弾性部材68が発生する付勢力により、セカンダリ固定シーブ側の補助押圧力が作用している。この補助押圧力は、セカンダリ油圧室64の油圧が低下しても、セカンダリ溝110bに巻き掛けられるベルト110に対して最低限のベルト挟圧力を作用させ、最低限の張力を維持させるものである。
作動油供給弁70は、他方の挟圧力発生油圧室であるセカンダリ油圧室64への作動油の供給のみを許容するものである。作動油供給弁70は、図2、図5、図6に示すように、セカンダリ油圧室64の外部、すなわちセカンダリプーリ60の外部からセカンダリ油圧室64への作動流体である作動油の供給のみを行うものである。この作動油供給弁70は、この実施例1では、他方のプーリであるセカンダリプーリ60のセカンダリプーリ軸61に形成された作動油主通路61aに配置されている。従って、作動油供給弁70は、他方のプーリであるセカンダリプーリ60と一体回転するものである。また、この作動油供給弁70は、弁体71と、上述した弁座段差部72と、弁体弾性部材73とにより構成されている。
弁体71は、球状であり、弁座段差部72の径よりも大きい直径である。また、この弁体71は、作動油主通路61aの弁座段差部72よりもセカンダリ固定シーブ側に配置されている。弁座段差部72は、セカンダリ固定シーブ側から反対側(作動油主通路61aの他方の端部から一方の端部)に向かうに伴い、径方向内側に向かって傾斜するテーパー形状である。弁体71が弁座段差部72に接触することで、作動油主通路61aのうち、弁座段差部72より閉弁方向側の空間部T1と、開弁方向側の空間部T2との連通が遮断され、作動油供給弁70が閉弁される。また、弁体71が弁座段差部72から離れることで、空間部T1と空間部T2とが連通され、作動油供給弁70が開弁される。つまり、作動油供給弁70は、開弁方向に向かって開弁し、閉弁方向に向かって閉弁する。
弁体弾性部材73は、弁体閉弁方向押圧手段である。この弁体弾性部材73は、弁体71を介して、作動油主通路61aに挿入された増圧シリンダ81と、弁体段差部72との間に付勢された状態で配置されている。これにより、弁体弾性部材73は、閉弁付勢力を発生しており、この閉弁付勢力が、弁体71が弁座段差部72に接触する方向の弾性部材押圧力が弁体閉弁方向押圧力として弁体71に作用している。これにより、弁体71が弁座段差部72に押さえつけられ、作動油供給弁70が逆止弁として機能する。
ここで、作動油供給弁70を開弁する場合は、弁体71が弁座段差部72から離れる方向、すなわち開弁方向に弁体71に作用する押圧力である弁体開弁方向押圧力が、この弁体71が弁座段差部72に接触する方向、すなわち閉弁方向に弁体71に作用する押圧力である弁体閉弁方向押圧力を超え、弁体71が弁座段差部72から離れることで行われる。この弁体開弁方向押圧力は、作動油供給制御装置130から空間部T1に供給された作動油の油圧、すなわち空間部T1の油圧P2により弁体71に作用する開弁方向の押圧力である。一方、弁体閉弁方向押圧力は、上記閉弁付勢力により弁体71に作用する押圧力と、セカンダリ油圧室64の油圧P1、すなわち空間部T2の油圧P1により弁体71に作用する閉弁方向の押圧力とが含まれる。セカンダリ油圧室64の油圧P1は、弁体71に閉弁方向の押圧力として作用するため、セカンダリ油圧室64の油圧P1が上昇しても、弁体71が弁座段差部72から離れることがない。従って、弁体71に作用する弁体開弁方向押圧力が弁体開弁方向押圧力を超えない限り、作動油供給弁70の閉弁状態は維持される。
増圧装置80は、増圧手段であり、他方の挟圧力発生油圧室64の油圧P1を増圧するものである。この実施例1では、増圧装置80は、作動油排出手段であり、他方の挟圧力発生油圧室であるセカンダリ油圧室64からの作動油の排出の許容あるいは禁止を制御するものでもある。増圧装置80は、セカンダリプーリ軸61内に配置されている。従って、増圧装置80は、他方のプーリであるセカンダリプーリ60と一体回転するものである。増圧装置80は、増圧シリンダ81と、増圧ピストン82と、駆動油圧室83とにより構成されている。なお、84,85は、作動油主通路61aの内壁面に形成された溝に挿入、固定されるスナップリングである。
増圧シリンダ81は、円筒形状であり、中空部81aが形成されている。中空部81aは、増圧ピストン82の後述する突出部82bが軸方向に摺動するものであり、軸方向における両端部が開口している。増圧シリンダ81は、作動油主通路61aの規制段差部61bと、作動油主通路61aに固定されたスナップリング84との間に配置されることで、作動油主通路61aに固定されている。従って、中空部81aの軸方向における両端部のうち、一方の端部(図2に示す右側の端部)が空間部T2と連通し、他方の端部(同図に示す左側の端部)が空間部T3と連通している。また、中空部81aの他方の端部は、テーパー面81bが形成されている。従って、増圧シリンダ81から増圧ピストン82が引き抜かれた際に、再び増圧ピストン82を増圧シリンダ81に挿入し易くすることができる。なお、増圧シリンダ81と作動油主通路61aとの間には、例えばシールリングなどのシリンダ用シール部材S2が設けられている。つまり、増圧シリンダ81と作動油主通路61aとは、シリンダ用シール部材S2によりシールされている。
セカンダリプーリ軸61は、自重、あるいは遠心力により、径方向に撓む虞がある。従って、増圧シリンダ81を軸部材、すなわちセカンダリプーリ軸61と共用する、すなわち一体とした場合は、増圧シリンダ81の中空部81aが径方向に撓み、増圧ピストン82が増圧シリンダ81内を摺動する際の摺動抵抗が増加する虞があった。しかしながら、増圧シリンダ81は、上述のように、他方のプーリ軸であるセカンダリプーリ軸61を構成する部材とは別部材である。従って、セカンダリプーリ軸61が撓んだ際の増圧シリンダ81への影響を抑制することができ、中空部81aが撓むことを抑制することができる。これにより、増圧ピストン82が増圧シリンダ81内を摺動する際の摺動抵抗の増加を抑制することができ、増圧ピストン82の動作を確実なものとすることができる。
増圧ピストン82は、増圧シリンダ81内を軸方向に摺動するものである。増圧ピストン82は、作動油主通路61a内に固定された増圧シリンダ81を挟んで作動油供給弁70と軸方向において対向して配置されている。増圧ピストン82は、本体部82aと、突出部82bとにより構成されている。
本体部82aは、円柱形状であり、作動油主通路61aに軸方向に摺動自在に支持されている。
突出部82bは、本体部82aの軸方向における両側面のうち、増圧シリンダ側の側面の中央部に、増圧シリンダ側に突出して形成されている。突出部82bは、本体部82aが増圧シリンダ側に摺動することで、増圧シリンダ81の中空部81aに挿入される。つまり、増圧ピストン82が増圧シリンダ81に挿入されると、増圧シリンダ81の中空部81aのうち、突出部82bが挿入されていない部分の体積が減少する。ここで、中空部81aは、空間部T2および連通通路61cを介して他方の挟圧力発生油圧室であるセカンダリ油圧室64と常に連通している。従って、作動油供給弁70が閉弁されている場合、セカンダリ油圧室64の実際の容積には、連通通路61c、空間部T2(作動油供給弁70の部分を除く)および中空部81aの体積が含まれる。つまり、増圧ピストン82が増圧シリンダ81に挿入、すなわち増圧ピストン82が他方の挟圧力発生油圧室であるセカンダリ油圧室64内に挿入されると、セカンダリ油圧室64の容積が減少することとなる。
突出部82bの先端部(同図の右側の端部)は、テーパー形状である。従って、増圧シリンダ81から増圧ピストン82が引き抜かれた際に、再び増圧ピストン82を増圧シリンダ81に挿入し易くすることができる。なお、増圧ピストン82と増圧シリンダ81との間には、例えばシールリングなどのピストン用シール部材S3が設けられている。この実施例1では、突出部82bの先端部の近傍に取り付けられている。つまり、増圧ピストン82と増圧シリンダ81とは、増圧ピストン82が増圧シリンダ81に挿入され、ピストン用シール部材S3に増圧シリンダ81が接触した際に、シールされる。
また、増圧ピストン82の軸方向の摺動は、増圧シリンダ側への摺動が増圧シリンダ81により規制され、増圧シリンダ側と反対側の摺動が作動油主通路61aに固定されたスナップリング85により規制される。ここで、突出部82bの軸方向における最小長さは、増圧ピストン82がスナップリング85と接触した際に、増圧シリンダ81の中空部81aから引き抜かれる長さに設定されている(図4参照)。また、突出部82bの軸方向における最大長さは、増圧ピストン82がスナップリング84を介して増圧シリンダ81と接触した際に、作動油供給弁70が開弁した際の弁体71と接触しない長さに設定されている。
駆動油圧室83は、作動油が供給されるものであり、この供給された作動油の油圧、すなわち駆動油圧室83の油圧P3により、増圧ピストン82に作用する増圧ピストン82を増圧シリンダ81に挿入する挿入方向押圧力を発生させ、制御するものである。駆動油圧室83は、上記空間部T4であり、作動油主通路61aと、増圧ピストン82との間に形成されるものである。従って、駆動油圧室83の油圧P3により、増圧ピストン82に挿入方向押圧力が作用する。
ここで、増圧ピストン82を増圧シリンダ81に挿入する場合は、増圧ピストン82が増圧シリンダ81に挿入される方向、すなわち挿入方向(閉弁方向)に増圧ピストン82に作用する押圧力である挿入方向押圧力が、増圧ピストン82が増圧シリンダ81から引き抜かれる方向、すなわち引き抜き方向(開弁方向)に増圧ピストン82に作用する押圧力である引き抜き方向押圧力を超えることで行われる。挿入方向押圧力は、作動油供給制御装置130から駆動油圧室83に供給された作動油の油圧、すなわち駆動油圧室83の油圧P3により増圧ピストン82に作用する押圧力である。一方、引き抜き方向押圧力は、増圧シリンダ81の中空部81aの油圧、すなわち中空部81aと連通するセカンダリ油圧室64の油圧P1により増圧ピストン82に作用する押圧力である。
挿入方向押圧力が引き抜き方向押圧力を超えている場合は、増圧ピストン82が増圧シリンダ81に挿入されることで(ピストン用シール部材S3に増圧シリンダ81が接触することで、増圧シリンダ81と増圧ピストン82とがシールされることで)、増圧装置80が閉塞状態となる。このとき、作動油供給弁70が閉弁状態を維持していると、他方の挟圧力発生油圧室であるセカンダリ油圧室64の作動油がセカンダリ油圧室64に確実に保持される。
また、従来のベルト式無段変速機のように、セカンダリ可動シーブ63のプライマリ固定シーブ62に対する軸方向における位置を一定に維持するために、作動油供給制御装置130から他方の挟圧力発生油圧室であるセカンダリ油圧室64へ作動油を供給し続ける場合は、作動油が作動油供給制御装置130からセカンダリ油圧室64までの作動油供給流路に、所定圧力の作動油が存在することとなる。この作動油供給流路には、固定部材と可動部材との摺動部を複数箇所含まれており、変速比の固定時において所定圧力の作動油がこの摺動部から作動油供給流路の外部に漏れる虞があった。この固定部材とは、ベルト式無段変速機1−1を構成する部材において、回転、摺動などを行わない部材である。例えばトランスアクスル20のトランスアクスルハウジング21、トランスアクスルケース22と、トランスアクスルリヤカバー23である。一方、この可動部材とは、ベルト式無段変速機1−1を構成する部材において、回転、摺動などを行う部材である。例えばセカンダリプーリ軸61などである。従って、摺動部とは、例えば、トランスアクスル20のトランスアクスルハウジング21、トランスアクスルケース22、トランスアクスルリヤカバー23などに対して、セカンダリプーリ軸61が回転する部分などが含まれる。
この実施例1にかかる上記ベルト式無段変速機1−1では、作動油供給弁70および増圧装置80は、セカンダリ油圧室64と上記摺動部との間に配置されている。つまり、作動油供給弁70の閉弁状態を維持し、増圧装置80の閉塞状態を維持することで、セカンダリ油圧室64に作動油を保持した状態とした際に、セカンダリ油圧室64と、作動油供給弁70および増圧装置80との間には、上記固定部材と可動部材との摺動部が存在しない。これにより、この摺動部から作動油が漏れることを抑制することができるので、オイルポンプ132の動力損失の増加を抑制することができる。
また、増圧ピストン82を増圧シリンダ81から引き抜く場合は、引き抜き方向押圧力が挿入方向押圧力を超えることで行われる。引き抜き方向押圧力が挿入方向押圧力を超えている場合、すなわち駆動油圧室83の油圧P3により増圧ピストン82に作用する挿入方向押圧力を引き抜き方向押圧力よりも小さくする場合は、増圧シリンダ81に挿入されていた増圧ピストン82が増圧シリンダ81から引き抜かれ、増圧装置80が解放状態となる。つまり、セカンダリ油圧室64と空間部T3とが連通し、空間部T3と連通している排出通路61dからセカンダリ油圧室64内の作動油が排出される。従って、増圧装置80は、駆動油圧室83の油圧P3により、セカンダリ油圧室64からの作動油の排出の許容あるいは禁止を制御することができ、作動油排出手段としての機能をも備える。従って、増圧手段と作動油排出手段とを同一とすることができ、小型化を図ることができる。
ここで、増圧ピストン82は、本体部82aの径方向の断面積、すなわち駆動油圧室側の断面積R2が、突出部82bの径方向の断面積、すなわち油圧室側の断面積R1よりも大きく設定されている。つまり、駆動油圧室83の油圧P3を受ける本体部82の受圧面積が他方の挟圧力発生油圧室であるセカンダリ油圧室64の油圧P1を受ける受圧面積よりも大きく設定されている。従って、増圧ピストン82を増圧シリンダ81に挿入、すなわちセカンダリ油圧室64内に挿入する際に必要な駆動油圧室83の油圧P3を小さくすることができる。つまり、セカンダリ油圧室64の油圧P1を増圧するための駆動油圧室83の油圧P3を小さくすることができる。例えば、駆動油圧室83の油圧P3は、断面積R2が断面積R1の10倍であれば、目標とするセカンダリ油圧室64の油圧P1の1/10とすれば良い。これにより、セカンダリ油圧室64の油圧P1を増圧するために、オイルポンプ132を駆動することを抑制することができ、オイルポンプ132の駆動損失の増加を抑制することができる。
セカンダリプーリ60と最終減速機90との間には、動力伝達経路100が配置されている。この動力伝達経路100は、セカンダリプーリ軸61と平行な動力伝達軸101およびインターミディエイトシャフト102と、カウンタドライブピニオン103、カウンタドリブンギヤ104と、ファイナルドライブピニオン105とにより構成されている。動力伝達軸101は、セカンダリプーリ軸61と連結されており、軸受115,116により回転可能に支持されている。インターミディエイトシャフト102は、軸受117,118により回転可能に支持されている。カウンタドライブピニオン103は、動力伝達軸101に固定されている。カウンタドリブンギヤ104は、インターミディエイトシャフト102に固定されており、カウンタドライブピニオン103と噛み合わされている。また、ファイナルドライブピニオン105は、インターミディエイトシャフト102に固定されている。
ベルト式無段変速機1−1の最終減速機90は、動力伝達経路100を介して伝達された内燃機関10からの出力トルクを車輪120,120から路面に伝達するものである。この最終減速機90は、中空部が形成されたデフケース91と、ピニオンシャフト92と、デフ用ピニオン93,94と、サイドギヤ95,96とにより構成されている。
デフケース91は、軸受97,98により回転可能に支持されている。また、このデフケース91の外周には、リングギヤ99が設けられており、このリングギヤ99がファイナルドライブピニオン105と噛み合わされている。ピニオンシャフト92は、デフケース91の中空部に取り付けられている。デフ用ピニオン93,94は、このピニオンシャフト92に回転可能に取り付けられている。サイドギヤ95,96は、このデフ用ピニオン93,94の両方に噛み合わされている。このサイドギヤ95,96は、それぞれドライブシャフト121,122に固定されている。
ドライブシャフト121,122は、その一方の端部にそれぞれサイドギヤ95,96が固定され、他方の端部に車輪120,120が取り付けられている。
ベルト式無段変速機1−1のベルト110は、プライマリプーリ50を介して伝達された内燃機関10からの出力トルクをセカンダリプーリ60に伝達するものである。このベルト110は、図1に示すように、プライマリプーリ50のプライマリ溝110aとセカンダリプーリ60のセカンダリ溝110bとの間に巻き掛けられている。また、ベルト110は、多数の金属製の駒と複数本のスチールリングで構成された無端ベルトである。
作動油供給制御装置130は、少なくともベルト式無段変速機1−1の各構成部品の潤滑部分や、各油圧室(プライマリ油圧室54やセカンダリ油圧室64や駆動油圧室83も含まれる)に作動油を供給するものである。この作動油供給制御装置130は、オイルタンク131と、オイルポンプ132と、プレッシャーレギュレータ133と、挟圧力調圧バルブ134と、押圧力調圧バルブ135とにより構成されている。
オイルポンプ132は、上述のように、内燃機関10の出力、例えば図示しないクランクシャフトの回転に連動して作動するものであり、オイルタンク131に貯留されている作動油を吸引、加圧し、吐出するものである。この加圧されて吐出された作動油は、プレッシャーレギュレータ133を介して、挟圧力調圧バルブ134および押圧力調圧バルブ135に供給される。ここで、プレッシャーレギュレータ133は、このプレッシャーレギュレータ133よりも下流側における油圧が所定油圧以上となった際に、この下流側にある作動油の一部をオイルタンク131に戻すものである。
挟圧力調圧バルブ134は、挟圧力発生制御手段であり、その弁開度を制御することで、挟圧力発生手段であるセカンダリ油圧室64に供給される作動油の圧力を調圧するものである。これにより、挟圧力調圧バルブ134は、セカンダリ油圧室64の油圧P1を調圧するものである。つまり、挟圧力調圧バルブ134は、セカンダリ油圧室64によるベルト挟圧力の発生を制御するものである。この挟圧力調圧バルブ134は、セカンダリプーリ軸61の作動油主通路61aに接続されており、挟圧力調圧バルブ134により調圧された作動油が、この作動油通路61aの空間部T1、作動油供給弁70、空間部T2および連通通路61cを介してセカンダリ油圧室64に供給される。なお、作動油供給制御装置130は、この挟圧力調圧バルブ134以外にもう一つ図示しない挟圧力調圧バルブを備え、この図示しない挟圧力調圧バルブがプライマリプーリ軸51の図示しない作動油通路に接続されており、この挟圧力調圧バルブにより調圧された作動油が、この図示しない作動油通路を介してプライマリ油圧室54に供給される。
押圧力調圧バルブ135は、挿入方向押圧力制御手段であり、その弁開度を制御することで、駆動油圧室83に供給される作動油の圧力を調圧するものである。これにより、押圧力調圧バルブ135は、駆動油圧室83の油圧P3を調圧、すなわち変化させるものである。つまり、押圧力調圧バルブ135は、駆動油圧室83の油圧P3により、増圧ピストン82に作用する、増圧ピストン82を増圧シリンダ81に挿入させる、すなわち他方の挟圧力発生油圧室であるセカンダリ油圧室64に挿入させる挿入方向押圧力を制御し、セカンダリ油圧室64の容積を変更、すなわち減少させるものである。この押圧力調圧バルブ135は、セカンダリプーリ軸61の作動油主通路61aに接続されており、押圧力調圧バルブ135により調圧された作動油が、この作動油主通路61aの空間部T4である駆動油圧室83に供給される。
この作動油供給制御装置130は、少なくとも内燃機関10の運転制御を行う図示しないECU140と接続されている。従って、作動油供給制御装置130は、ECU140からの変速比の制御信号に基づいて、プライマリ油圧室54の油圧を調圧する図示しない挟圧力調圧バルブ、セカンダリ油圧室64の油圧P1を調圧する挟圧力調圧バルブ134、駆動油圧室83の油圧P3を調圧する押圧力調圧バルブ135を制御することで、ベルト式無段変速機1−1の変速比、ベルトの張力を制御するものである。
次に、実施例1にかかるベルト式無段変速機1−1の動作について説明する。まず、一般的な車両の前進、後進について説明する。車両に設けられた図示しないシフトポジション装置により、運転者が前進ポジションを選択した場合は、ECU140が作動油供給制御装置130から供給された作動油によりフォワードクラッチ42をON、リバースブレーキ43をOFFとし、前後進切換機構40を制御する。これにより、インプットシャフト38とプライマリプーリ軸51が直結状態となる。つまり、遊星歯車装置41のサンギヤ44とリングギヤ46を直接連結し、内燃機関10のクランクシャフト11の回転方向と同一方向にプライマリプーリ軸51を回転させ、この内燃機関10からの出力トルクをプライマリプーリ50に伝達する。プライマリプーリ50に伝達された内燃機関10からの出力トルクは、ベルト110を介してセカンダリプーリ60に伝達され、このセカンダリプーリ60のセカンダリプーリ軸61を回転させる。
セカンダリプーリ60に伝達された内燃機関10の出力トルクは、駆動力としてセカンダリプーリ軸61に伝達される。セカンダリプーリ軸61に伝達された駆動力は、動力伝達経路100の動力伝達軸101に伝達される。動力伝達軸101に伝達された駆動力は、カウンタドライブピニオン103およびカウンタドリブンギヤ104を介して、インターミディエイトシャフト102に伝達され、インターミディエイトシャフト102を回転させる。インターミディエイトシャフト102に伝達された駆動力は、ファイナルドライブピニオン105およびリングギヤ99を介して最終減速機90のデフケース91に伝達され、このデフケース91を回転させる。デフケース91に伝達された内燃機関10からの出力トルクは、デフ用ピニオン93,94およびサイドギヤ95,96を介してドライブシャフト121,122に伝達され、その端部に取り付けられた車輪120,120に伝達され、車輪120,120を回転させ、車両は前進する。
一方、車両に設けられた図示しないシフトポジション装置により、運転者が後進ポジションを選択した場合は、ECU140が、作動油供給制御装置130から供給された作動油によりフォワードクラッチ42をOFF、リバースブレーキ43をONとし、前後進切換機構40を制御する。これにより、遊星歯車装置41の切換用キャリヤ47がトランスアクスルケース22に固定され、各ピニオン45が自転のみを行うように切換用キャリヤ47に保持される。従って、リングギヤ46がインプットシャフト38と同一方向に回転し、このリングギヤ46と噛み合っている各ピニオン45もインプットシャフト38と同一方向に回転し、この各ピニオン45と噛み合っているサンギヤ44がインプットシャフト38と逆方向に回転する。つまり、サンギヤ44に連結されているプライマリプーリ軸51は、インプットシャフト38と逆方向に回転する。これにより、セカンダリプーリ60のセカンダリプーリ軸61は、運転者が前進ポジションを選択した場合とは逆方向に回転する。
セカンダリプーリ60に伝達された内燃機関10の出力トルクは、逆駆動力としてセカンダリプーリ軸61に伝達される。セカンダリプーリ軸61に伝達された逆駆動力は、動力伝達経路100の動力伝達軸101に伝達され、この動力伝達軸101が運転者が前進ポジションを選択した場合とは逆方向に回転する。そして、インターミディエイトシャフト102、デフケース91、ドライブシャフト121,122などが運転者が前進ポジションを選択した場合とは逆方向に回転し、車両が後進する。
また、ECU140は、車両の速度や運転者のアクセル開度などの諸条件とECU140の記憶部に記憶されているマップ(例えば、機関回転数とスロットル開度に基づく最適燃費曲線など)とに基づいて、内燃機関10の運転状態が最適となるようにベルト式無段変速機1−1の変速比を制御する。このベルト式無段変速機1−1の変速比の制御には、変速比の変更と、変速比の固定(変速比γ定常)とがある。この変速比の変更、変速比の固定は、プライマリプーリ50におけるベルト挟圧力を発生するプライマリ油圧室54の油圧、セカンダリプーリ60におけるベルト挟圧力を発生するセカンダリ油圧室64の油圧P1および増圧装置80の駆動油圧室83の油圧P3を作動油供給制御装置130からそれぞれ供給される作動油の油圧を調圧することで制御して行われる。変速比の変更は、プライマリ可動シーブ53がプライマリプーリ軸51の軸方向に摺動し、プライマリ固定シーブ52とこのプライマリ可動シーブ53との間の間隔、すなわちプライマリ溝110aの幅を調整することで行われる。このとき、セカンダリ可動シーブ63をセカンダリプーリ軸61の軸方向に摺動させて、プライマリプーリ50とセカンダリプーリ60との間に巻き掛けられたベルト110の張力の制御が行われる。これにより、プライマリプーリ50におけるベルト110の接触半径が変化し、プライマリプーリ50の回転数とセカンダリプーリ60の回転数との比である変速比が無段階(連続的)に制御される。
変速比の変更には、ダウンシフト、すなわち変速比を増加させる変速比増加変更と、アップシフト、すなわち変速比を減少させる変速比減少変更とがある。以下、それぞれについて説明する。
変速比増加変更では、プライマリプーリ50は、プライマリ油圧室54から作動油を排出し、プライマリ可動シーブ53をプライマリ固定シーブ側と反対側に摺動(移動)させることで行われる。具体的には、ECU140は、増加変速比と変速速度と算出し、これらに基づいた変速比の制御信号を作動油供給制御装置130に出力する。作動油供給制御装置130は、ベルト式無段変速機1−1の変速比を上記変速速度で増加変速比とするために、プライマリ油圧室54内の作動油を排出する。従って、プライマリ可動シーブ53をプライマリ固定シーブ側に押圧力する押圧力が減少し、プライマリ可動シーブ53が軸方向のうち、プライマリ固定シーブ側と反対側に摺動する。これにより、プライマリプーリ50におけるベルト110の接触半径が減少し、変速比が減少され、減少変速比となる。
このとき、セカンダリプーリ60は、作動油供給制御装置130からセカンダリ油圧室64へ作動油を供給し、セカンダリ可動シーブ63をセカンダリ固定シーブ側に摺動(移動)させることで、プライマリプーリ50におけるベルト110の接触半径の減少に伴い、セカンダリプーリ60におけるベルト110の接触半径を増加させる。具体的には、作動油供給制御装置130は、挟圧力調圧バルブ134を制御し、作動油主通路61aの空間部T1に供給される作動油の油圧を上昇させる。従って、空間部T1の油圧P2が上昇し、空間部T1の油圧P2により弁体71に作用する弁体開弁方向押圧力は、弁体弾性部材73の閉弁付勢力およびセカンダリ油圧室64の油圧P1により弁体71に作用する弁体閉弁方向押圧力を超えることとなる。これにより、弁体71は、図3に示すように、開弁方向に移動し、作動油供給弁70が開弁する。つまり、作動油供給弁70による他方の挟圧力発生油圧室であるセカンダリ油圧室64への作動油の供給が許容される。
作動油供給弁70によるセカンダリ油圧室64への作動油の供給が許容されると、同図の矢印Aに示すように、作動油供給制御装置130の挟圧力調圧バルブ134により調圧された作動油は、作動油主通路61aの空間部T1から空間部T2および連通通路61cを介してセカンダリ油圧室64に供給される。このとき、作動油供給制御装置130は、駆動油圧室83の油圧P3を駆動油圧室83の油圧P3により増圧ピストン82に作用する挿入方向押圧力が引き抜き方向押圧力と同じか若干小さくなるように、駆動油圧室83に供給される作動油の油圧を押圧力調圧バルブ135により調圧する。従って、増圧シリンダ81の中空部81aに増圧ピストン82の突出部82bの先端部の一部が挿入され、増圧装置80が閉塞状態(若干の漏れを許容)となる。つまり、作動油排出手段である増圧装置80による他方の挟圧力発生油圧室であるセカンダリ油圧室64からの作動油の排出が禁止される。これにより、作動油供給制御装置130からセカンダリ油圧室64へ供給される作動油が中空部81a、空間部T3および排出通路61dを介して排出されることが禁止されている。従って、作動油供給弁70を介して供給された作動油によりセカンダリ油圧室64の油圧P1が上昇し、セカンダリ可動シーブ63をセカンダリ固定シーブ側に押圧力する押圧力が上昇し、セカンダリ可動シーブ63が軸方向のうち、セカンダリ固定シーブ側に摺動する。これにより、ベルト式無段変速機1−1の変速比を上記変速速度で増加変速比とする際におけるベルト110の張力をベルト110の滑りが発生しない張力以上に維持しながら、セカンダリプーリ60におけるベルト110の接触半径を増加させる。
変速比減少変更では、プライマリプーリ50は、作動油供給制御装置130からプライマリ油圧室64に作動油を供給し、プライマリ可動シーブ53をプライマリ固定シーブ側に摺動(移動)させることで行われる。具体的には、ECU140は、減少変速比と変速速度と算出し、これらに基づいた変速比の制御信号を作動油供給制御装置130に出力する。作動油供給制御装置130は、ベルト式無段変速機1−1の変速比を上記変速速度で減少変速比とするために、プライマリ油圧室54に作動油を供給する。従って、プライマリ可動シーブ53をプライマリ固定シーブ側に押圧力する押圧力が増加し、プライマリ可動シーブ53が軸方向のうち、プライマリ固定シーブ側に摺動する。これにより、プライマリプーリ50におけるベルト110の接触半径が増加し、変速比が増加され、増加変速比となる。
このとき、セカンダリプーリ60は、セカンダリ油圧室64内の作動油を排出し、セカンダリ可動シーブ63をセカンダリ固定シーブ側と反対側に摺動(移動)させることで、プライマリプーリ50におけるベルト110の接触半径の増加に伴い、セカンダリプーリ60におけるベルト110の接触半径を減少させる。具体的には、作動油供給制御装置130は、押圧力調圧バルブ135を制御し、作動油主通路61aの空間部T4である駆動油圧室83に供給される作動油の油圧を減少させる。従って、駆動油圧室83の油圧P3が減少し、セカンダリ油圧室64の油圧P1により増圧ピストン82に作用する引き抜き方向押圧力が駆動油圧室83の油圧P3により増圧ピストン82に作用する挿入方向押圧力を超えることとなる。これにより、増圧シリンダ81の中空部81aに挿入されていた増圧ピストン82の突出部82bは、図4に示すように、増圧ピストン81の中空部81aから引き抜かれ、増圧装置80が開放状態となる。つまり、作動油排出手段である増圧装置80による他方の挟圧力発生油圧室であるセカンダリ油圧室64からの作動油の排出が許容される。
増圧装置80によるセカンダリ油圧室64からの作動油の排出が許容されると、同図の矢印Bに示すように、セカンダリ油圧室64の作動油は、連通通路61c、作動油主通路61aの空間部T2、中空部81a、空間部T3および排出通路61dを介してセカンダリプーリ60の外部に排出される。このとき、作動油供給制御装置130は、作動油主通路61aの空間部T1の油圧P2が最低油圧となるように、挟圧力調圧バルブ134を制御することで空間部T1に供給される作動油の油圧を調圧することが好ましい。ここで、最低油圧とは、セカンダリ油圧室64の油圧P1がベルト110の滑りを抑制することができるベルト挟圧力を発生することができる押圧力をセカンダリ可動シーブ63に作用することができる油圧未満となった際に、作動油供給弁70を開弁することができる油圧である。これにより、セカンダリ油圧室64から作動油が過剰に排出されて、セカンダリ油圧室64の油圧P1が低下しても、作動油供給弁70が開弁され、作動油供給制御装置130からセカンダリ油圧室64に作動油が供給されるため、ベルトが滑ることを抑制することができる。
従って、セカンダリ油圧室64内の作動油の量が減少するため、セカンダリ可動シーブ63が軸方向のうち、セカンダリ固定シーブ側と反対側に摺動する。これにより、ベルト式無段変速機1−1の変速比を上記変速速度で減少変速比とする際におけるベルト110の張力をベルト110の滑りが発生しない張力以上に維持しながら、セカンダリプーリ60におけるベルト110の接触半径を減少させる。
変速比の固定では、プライマリプーリ50は、プライマリ可動シーブ53のプライマリ固定シーブ52に対する軸方向における位置を一定とし、プライマリ可動シーブ53のプライマリ固定シーブ52に対する移動を規制する。また、セカンダリプーリ60は、セカンダリ油圧室64に作動油を保持し、セカンダリ可動シーブ63のセカンダリ固定シーブ62に対する軸方向における位置を一定とし、セカンダリ可動シーブ63のセカンダリ固定シーブ62に対する移動を規制する。なお、変速比を固定、すなわち変速比を定常とするのは、車両の走行状態が安定している場合など、大幅な変速比の変更を行う必要がないと、ECU140が判断した場合である。
変速比の固定では、図2に示すように、作動油供給弁70を閉弁状態に維持し、増圧装置80を閉塞状態に維持し、セカンダリ油圧室64への作動油の供給の許容およびセカンダリ油圧室64から作動油の排出をともに禁止する。具体的には、作動油供給制御装置130は、挟圧力調圧バルブ134を閉弁し、作動油供給制御装置130から作動油主通路61aの空間部T1への作動油の供給を停止する。
変速比の固定時においても、ベルト110のベルト張力が変化するため、セカンダリプーリ60におけるベルト110の接触半径が変化しようとし、セカンダリ可動シーブ63のセカンダリ固定シーブ62に対する軸方向における位置が変化する虞がある。上述のように、セカンダリ油圧室64には、作動油が保持された状態となるため、セカンダリ可動シーブ63のセカンダリ固定シーブ62に対する軸方向における位置が変化しようとすると、このセカンダリ油圧室64の圧力は変化するがセカンダリ可動シーブ63のセカンダリ固定シーブ62に対する軸方向における位置は一定に維持される。従って、セカンダリ可動シーブ63のセカンダリ固定シーブ62に対する軸方向における位置を一定に維持するために、セカンダリ油圧室64に外部から作動油を供給することによるセカンダリ油圧室64の油圧P1の上昇を行わなくても良い。これにより、変速比の固定時に、セカンダリ油圧室64に作動油を供給するためにオイルポンプ132を駆動させなくても良いため、オイルポンプ132の動力損失の増加を抑制することができる。
上述のように、変速比の固定時には、セカンダリ油圧室64の作動油は、セカンダリ油圧室64内に保持される。しかし、変速比の固定状態、すなわち変速比の定常状態が継続されると、微少であるがセカンダリ油圧室64の内部の作動油が外部に漏れる。従って、容積が変化しない場合、セカンダリ油圧室64の油圧P1が低下することとなる。つまり、セカンダリ油圧室64の油圧P1が低下し、セカンダリ可動シーブ63に作用する押圧力が低下し、ベルト挟圧力が低下し、ベルト110の滑りが発生する虞がある。
そこで、作動油供給制御装置130は、押圧力調圧バルブ135を制御することで、駆動油圧室83の油圧P3がセカンダリ油圧室64の油圧P1を増圧、すなわち一定に維持できる所定油圧となるように、同図矢印Cに示すように、駆動油圧室83に供給される作動油の油圧を調圧する。従って、セカンダリ油圧室64の油圧P1が低下すると、増圧ピストン82に作用する引き抜き方向押圧力が挿入方向押圧力未満となるため、突出部82bが中空部81aを挿入方向に移動し、増圧ピストン82が増圧シリンダ81に挿入、すなわち他方の挟圧力発生油圧室であるセカンダリ油圧室64に挿入される。これにより、セカンダリ油圧室64の容積が変更、すなわち減少し、低下していたセカンダリ油圧室64の油圧P1が増圧され、一定に維持される。従って、変速比の固定時に、ベルト挟圧力の低下を抑制することができ、ベルト110の滑りを抑制することができる。
なお、上記実施例1において、増圧ピストン82の増圧シリンダ81に対する位置を検出する位置検出手段を備えていても良い。位置検出手段で検出された位置データは、ECU140に出力される。これにより、ECU140は、例えば変速比増加変更時に、増圧ピストン82の増圧シリンダ81に対する位置が、増圧シリンダ81から増圧ピストン82が引き抜かれない位置となるように、作動油供給制御装置130の押圧力調圧バルブ135により駆動油圧室83の油圧P3を検出された位置データに基づいてフィードバック制御することができる。また、ECU140は、例えば変速比固定時に、セカンダリ油圧室64の油圧P1を増圧し、一定に維持し続けることで、増圧ピストン82が増圧シリンダ81と接触する位置となる前に、セカンダリ油圧室64に作動油を供給できるように、挟圧力調圧バルブ134により供給空間部T2の油圧P2を制御することができる。
また、上記実施例1では、増圧ピストン82が増圧シリンダ81から引き抜かれた際に、ピストン用シール部材S3が増圧シリンダ81に接触されなくなるがこの発明はこれに限定されるものではない。図5−1は、実施例1にかかる増圧装置の他の構成例を示す図である。図5−2は、図5−1のI−I断面図である。図5−1および図5−2に示すように、増圧シリンダは、固定側増圧シリンダ86と摺動側増圧シリンダ87とに分割されている。
固定側増圧シリンダ86は、円筒形状であり、中空部86aが形成されている。中空部86aは、軸方向における両端部が開口している。固定側増圧シリンダ86は、作動油主通路61aの規制段差部61bと、作動油主通路61aに固定されたスナップリング84との間に配置されることで、作動油主通路61aに固定されている。従って、中空部86aの軸方向における両端部のうち、一方の端部(図5−1に示す右側の端部)が空間部T2と連通し、他方の端部(同図に示す左側の端部)が空間部T3と連通している。なお、固定側増圧シリンダ86と作動油主通路61aとの間には、例えばシールリングなどのシリンダ用シール部材S2が設けられている。つまり、固定側増圧シリンダ86と作動油主通路61aとは、シリンダ用シール部材S2によりシールされている。
中空部86aには、摺動溝86bが形成されている。摺動溝86bは、周方向に連続しており、軸方向に延在している。摺動溝86bは、軸方向における一方の端部(図5−1では、右側の端部)が中空部86aの途中に形成されており、他方の端部(同図では、左側の端部)が開口している。また、摺動溝86bの他方の端部には、規制溝86cが形成されている。規制溝86cは、中空部86aから固定側増圧シリンダ86の外周面まで切り欠くことで形成されている。規制溝86cは、1つ以上形成されていれば良く、同図では周方向に等間隔に2つ形成されている。
摺動側増圧シリンダ87は、円筒形状であり、固定側増圧シリンダ86に挿入され、摺動溝86bを軸方向に摺動自在に支持されている。摺動側増圧シリンダ87は、中空部87aが形成されている。中空部87aは、軸方向における両端部が開口している。従って、中空部87aの軸方向における両端部のうち、一方の端部(同図に示す右側の端部)が空間部T2と連通し、他方の端部(同図に示す左側の端部)が空間部T3と連通している。また、中空部87aの他方の端部は、テーパー面87bが形成されている。なお、摺動側増圧シリンダ87と固定側増圧シリンダ86との間には、例えばシールリングなどのピストン用シール部材S3が設けられている。つまり、摺動側増圧シリンダ87と固定側増圧シリンダ86とは、ピストン用シール部材S3によりシールされている。
摺動側増圧シリンダ87の他方の端部には、各規制溝86cに対応する規制突起87cがそれぞれ形成されている。各規制突起87cは、摺動側増圧シリンダ87の他方の端部の外周面から径方向外側に突出して形成されている。各規制突起87cは、摺動側増圧シリンダ87が固定側増圧シリンダ86に挿入された際に、各規制溝86cに挿入される。各規制突起87cは、摺動側増圧シリンダ87が固定側増圧シリンダ86に対して軸方向に摺動する際に、各規制溝86c内を軸方向にそれぞれ移動するものである。従って、摺動側増圧シリンダ87は、各規制突起87cが各規制溝86cにそれぞれ挿入されることで固定側増圧シリンダ86に対して周方向に移動することが規制される。なお、摺動側増圧シリンダ87の引き抜き方向への移動は、スナップリング84に規制突起87cが接触することで規制されている。規制突起87cが、スナップリング84に接触した状態では、ピストン用シール部材S3が規制溝86cよりも挿入方向側に位置する。
ここで、増圧ピストン82の突出部82bの先端部近傍には、ピストン用シール部材S3の代わりに段差部82cが形成されている。段差部82cは、駆動油圧室83の油圧P3により、突出部82bのうち段差部82cよりも挿入方向側の部分が摺動側増圧シリンダ87の中空部87aに挿入されると、摺動側増圧シリンダ87の他方の端面であるシール端面87dと接触する。つまり、増圧ピストン82と摺動側増圧シリンダ87とは、段差部82cとシール端面87dとが接触することによりシールされている。なお、増圧装置80は、突出部82bのうち段差部82cよりも挿入方向側の部分が摺動側増圧シリンダ87の中空部87aに挿入されることで、閉塞状態となる。また、増圧装置80は、中空部87aに挿入されていた突出部82bのうち段差部82cよりも挿入方向側の部分が中空部87aから引き抜かれることで解放状態となる。
以上のように、増圧ピストン82と摺動側増圧シリンダ87とのシールは、段差部82dとシール端面87cとが接触することで行われ、摺動側増圧シリンダ87と固定側増圧シリンダ86とのシールは、摺動側増圧シリンダ87が固定側増圧シリンダ86に対して軸方向に摺動しても、固定側増圧シリンダ86と摺動側増圧シリンダ87との接触を維持するピストン用シール部材S3により行われる。これにより、ピストン用シール部材S3の噛み込みを抑制することができ、耐久性を向上することができる。
次に、実施例2にかかるベルト式無段変速機1−2について説明する。図6は、実施例2にかかるセカンダリプーリの要部断面図である。図7は、増圧装置の動作説明図である。実施例2にかかるベルト式無段変速機1−2が、実施例1にかかるベルト式無段変速機1−1と異なる点は、増圧装置160の増圧ピストン161がセカンダリ可動シーブ63と、セカンダリ隔壁65との間からセカンダリ油圧室64内に挿入される点である。また、作動油供給弁140がセカンダリプーリ軸61ではなく、セカンダリ可動シーブ63に設けられている点である。なお、実施例2にかかるベルト式無段変速機1−2の基本的構成は、実施例1にかかるベルト式無段変速機1−1の基本的構成とほぼ同一であるため、同一部分については省略あるいは簡略化して説明する。
セカンダリプーリ軸61は、内部に第1作動油主通路61fと第2作動油主通路61gとが形成されている。第1作動油主通路61fは、一方の端部(図6に示す右側端部)がセカンダリプーリ軸61の内部で閉塞しており、他方の端部(同図に示す左側端部)が開口している。第1作動油主通路61fには、他方の端部を介して作動油供給制御装置130からセカンダリ油圧室64に供給される作動流体である作動油が流入する。また、第1作動油主通路61fには、第1作動油主通路61fと、空間部T5とを連通する連通通路61hが形成されている。連通通路61hは、第1作動油主通路61fに流入した作動油を他方の挟圧力発生油圧室であるセカンダリ油圧室64に流入させるものである。なお、空間部T5は、セカンダリプーリ軸61と、セカンダリ可動シーブ63と、セカンダリ隔壁65との間に形成されている。
第2作動油主通路61gは、一方の端部(同図に示す右側端部)が開口しており、他方の端部(同図に示す左側端部)がセカンダリプーリ軸61の内部で閉塞している。第2作動油主通路61gには、一方の端部を介して作動油供給制御装置130から増圧装置160の後述する駆動油圧室163に供給される作動油が流入する。また、第1作動油主通路61fには、第1作動油主通路61fの内壁面からセカンダリプーリ軸61の外周面までを連通する連通通路61hが形成されている。連通通路61hは、第1作動油主通路61fに流入した作動油を他方の挟圧力発生油圧室であるセカンダリ油圧室64に流入させるものである。また、第2作動油主通路61gには、第2作動油主通路61gと、セカンダリ隔壁65と増圧装置160の後述する駆動油圧室構成部材163との間に形成された増圧装置側連通通路163aとを連通する連通通路61iが形成されている。連通通路61iは、第2作動油主通路61gに流入した作動油を増圧装置160の後述する駆動油圧室162に流入させるものである。
セカンダリ可動シーブ63の本体部63aには、セカンダリ可動シーブ63の内周面と背面63eとを連通、すなわち空間部T5とセカンダリ油圧室64とを連通するシーブ側連通通路63fが形成されている。シーブ側連通通路63fには、作動油供給弁150の後述する弁座段差部152が形成されている。
セカンダリ油圧室64は、他方の挟圧力発生油圧室であり、セカンダリ可動シーブ63の背面63eと、セカンダリ隔壁65のセカンダリ可動シーブ側の側面65aと、増圧装置160の後述する増圧ピストン161の挿入部161aとにより構成されている。ここで、セカンダリ隔壁65とセカンダリ可動シーブ63との間(セカンダリ隔壁65の内周面と、セカンダリ可動シーブ63の円筒部63aの外周面との間)、セカンダリ隔壁65と増圧シリンダ161との間(セカンダリ隔壁の先端部と、増圧シリンダ161の挿入部161aの内周面との間)、増圧シリンダ161とセカンダリ可動シーブ63との間(増圧シリンダ161の挿入部161aの外周面と、セカンダリ可動シーブ63の突起部63dの内周面との間)には、例えばシールリングなどのセカンダリ油圧室用シール部材S1が設けられている。つまり、セカンダリ油圧室64を構成するセカンダリ可動シーブ63と、セカンダリ隔壁65と、増圧ピストン161とは、セカンダリ油圧室用シール部材S1によりシールされている。なお、セカンダリ可動シーブ63とセカンダリプーリ軸61との間(セカンダリ可動シーブ63の内周面と、セカンダリプーリ軸61の外周面との間)も、例えばシールリングなどの作動油供給用シール部材S4が設けられている。これにより、空間部T5を構成するセカンダリプーリ軸61と、セカンダリ可動シーブ63と、セカンダリ隔壁65とは、作動油供給用シール部材S4によりシールされている。
作動油供給弁150は、他方の挟圧力発生油圧室であるセカンダリ油圧室64への作動油の供給のみを許容するものである。作動油供給弁150は、この実施例2では、他方のプーリであるセカンダリプーリ60のセカンダリ可動シーブ63に形成されたシーブ側連通通路63fに配置されている。従って、作動油供給弁150は、他方のプーリであるセカンダリプーリ60と一体回転するものである。また、この作動油供給弁150は、弁体151と、上述した弁座段差部152と、弁体弾性部材153と、円板部材154と、係止部材155とによりそれぞれ構成されている。
弁体151は、球状であり、弁座段差部152の径よりも大きい直径である。また、弁体151は、シーブ側連通通路63fの弁座段差部152よりもセカンダリ油圧室側に配置されている。弁座段差部152は、セカンダリ油圧室側から反対側(シーブ側連通通路63fの他方の端部から一方の端部)に向かうに伴い、径方向内側に向かって傾斜するテーパー形状である。弁体151が弁座段差部152に接触することで、シーブ側連通通路63fを介した空間部T5とセカンダリ油圧室64との連通が遮断され、作動油供給弁150が閉弁される。また、弁体151が弁座段差部152から離れることで、シーブ側連通通路63fを介して空間部T5とセカンダリ油圧室64とが連通され、作動油供給弁150が開弁される。
弁体弾性部材153は、弁体閉弁方向押圧手段である。この弁体弾性部材153は、弁体151を介して、係止部材155によりシーブ側連通通路63fに固定された円板部材154と、弁座段差部152との間に付勢された状態で配置されている。これにより、弁体弾性部材153は、閉弁付勢力を発生しており、この閉弁付勢力が、弁体151が弁座段差部152に接触する方向の弾性部材押圧力が弁体閉弁方向押圧力として弁体151に作用している。これにより、弁体151が弁座段差部152に押さえつけられ、作動油供給弁150が逆止弁として機能する。なお、係止部材155は、円板形状であり、その中央部に作動油を通過させるための開口が形成されている。
ここで、作動油供給弁150を開弁する場合は、弁体151が弁座段差部152から離れる方向、すなわち開弁方向に弁体151に作用する押圧力である弁体開弁方向押圧力が、この弁体151が弁座段差部152に接触する方向、すなわち閉弁方向に弁体151に作用する押圧力である弁体閉弁方向押圧力を超え、弁体151が弁座段差部152から離れることで行われる。この弁体開弁方向押圧力は、作動油供給制御装置130から第1作動油主通路61fに供給された作動油の油圧、すなわちシーブ連通通路63fのうち、弁座段差部152より空間部T5と連通する部分の油圧P4(以下、単に「シーブ連通通路63fの油圧P4」と称する。)により弁体151に作用する開弁方向の押圧力である。一方、弁体閉弁方向押圧力は、上記閉弁付勢力により弁体151に作用する押圧力と、セカンダリ油圧室64の油圧P1により弁体151に作用する閉弁方向の押圧力とが含まれる。セカンダリ油圧室64の油圧P1は、弁体151に閉弁方向の押圧力として作用するため、セカンダリ油圧室64の油圧P1が上昇しても、弁体151が弁座段差部152から離れることがない。従って、弁体151に作用する弁体開弁方向押圧力が弁体開弁方向押圧力を超えない限り、作動油供給弁150の閉弁状態は維持される。
増圧装置160は、増圧手段であり、他方の挟圧力発生油圧室64の油圧P1を増圧するものである。この実施例2では、増圧装置160は、作動油排出手段であり、セカンダリ油圧室64からの作動油の排出の許容あるいは禁止を制御するものでもある。増圧装置160は、セカンダリ隔壁65と軸受113との間に配置されている。従って、増圧装置160は、他方のプーリであるセカンダリプーリ60と一体回転するものである。増圧装置160は、増圧ピストン161と、駆動油圧室162と、駆動油圧室構成部材163と、バランサ構成部材164と、排出用空間部165と、バランサ油圧室166とにより構成されている。なお、167は、セカンダリ隔壁65の外周面に形成された溝に挿入、固定されるスナップリングである。
増圧ピストン161は、セカンダリ可動シーブ63とセカンダリ隔壁65との間から他方の挟圧力発生油圧室であるセカンダリ油圧室64内に挿入されるものである。増圧ピストン161は、セカンダリ可動シーブ63とセカンダリ隔壁65との間および駆動油圧室構成部材163とセカンダリ隔壁65との間に、軸方向に摺動自在に支持されている。増圧ピストン161は、円筒形状であり、挿入部161aと、排出用切欠部161bと、排出孔161cとにより構成されている。
挿入部161aは、増圧ピストン161が軸方向のうち挿入方向に摺動することで、セカンダリ油圧室64に挿入されるものである。この挿入部161aは、セカンダリ可動シーブ63の突起部63dの内周面とセカンダリ隔壁65の先端部との間を軸方向に摺動するものである。
排出用切欠部161bは、セカンダリ油圧室64から作動油を排出するものである。排出用切欠部161bは、挿入部161aの内周面(増圧ピストン161の軸方向における両端部のうち挿入方向の端部近傍の内周面)に形成されている。排出用切欠部161bは、引き抜き方向から挿入方向に向かうに伴い、径方向外側に傾斜するテーパー形状に形成されている。排出用切欠部161bは、増圧ピストン161に1つ以上形成されていれば良い。この実施例2では、周方向に等間隔に3つ形成されている。ここで、排出用切欠部161bの軸方向における長さは、セカンダリ隔壁65の先端部の軸方向における幅よりも長く設定されている。従って、増圧ピストン161が軸方向のうち引き抜き方向に摺動することで、排出用切欠部161aがセカンダリ隔壁65の先端部を軸方向において覆うように対向すると、排出用切欠部161aを介して、セカンダリ油圧室64と排出用空間部165とが連通する。
ここで、排出用空間部165は、セカンダリ油圧室64から排出された作動油が流入するものである。排出用空間部165は、セカンダリ隔壁65を挟んでセカンダリ油圧室64と対向するように設けられている。この排出用空間部165は、セカンダリ隔壁65と、増圧ピストン161と、バランサ構成部材164とにより構成されている。なお、バランサ構成部材164は、セカンダリ隔壁65と増圧ピストン161との間に設けられる。バランサ構成部材164は、セカンダリ隔壁65に固定されたスナップリング167により軸方向のうち少なくとも挿入方向への移動が規制されている。
排出孔161cは、セカンダリ油圧室64内の作動油をセカンダリプーリ60の外部に排出するものである。排出孔161cは、増圧ピストン161が軸方向に摺動しても、セカンダリ隔壁65とバランサ構成部材164との間に位置する部分に形成されている。排出孔161cは、排出孔161cの内周面と外周面とを連通する。つまり、排出孔161cは、排出用空間部165とセカンダリプーリ60の外部とを連通するものである。従って、セカンダリ油圧室64から排出用空間部165に排出された作動油は、排出孔161cを介してセカンダリプーリ60の外部に排出される。
駆動油圧室162は、作動油が供給されるものであり、この供給された作動油の油圧、すなわち駆動油圧室162の油圧P5により、増圧ピストン161に作用する増圧ピストン161をセカンダリ可動シーブ63とセカンダリ隔壁65との間からセカンダリ油圧室64に挿入する挿入方向押圧力を発生させ、制御するものである。駆動油圧室162は、増圧ピストン161と、駆動油圧室構成部材163とにより構成されている。従って、駆動油圧室162の油圧P5により、増圧ピストン161に挿入方向押圧力が作用する。なお、駆動油圧室構成部材163は、軸受113を介して、セカンダリプーリ軸61に固定された固定部材67により、セカンダリ隔壁65とともに軸方向における移動が規制されている。
ここで、バランサ油圧室166は、作動油供給制御装置130からセカンダリ油圧室64に供給される作動油が流入するものである。バランサ油圧室166、増圧ピストン161を挟んで駆動油圧室162と対向するように設けられている。バランサ油圧室166は、セカンダリ隔壁65と、増圧ピストン161と、バランサ構成部材164とにより構成されている。バランサ油圧室166は、セカンダリ隔壁65に形成された連通孔65bにより、空間部T5と連通する。従って、増圧ピストン161には、バランサ油圧室166の油圧P6により、増圧ピストン161を引き抜き方向に押圧する押圧力が引き抜き方向押圧力として作用する。なお、増圧ピストン161には、セカンダリ油圧室64の油圧P1により、増圧ピストン161を引き抜き方向に押圧する押圧力も引き抜き方向押圧力として作用する。
ここで、増圧ピストン161をセカンダリ油圧室64に挿入する場合は、挿入方向に増圧ピストン161に作用する押圧力である挿入方向押圧力が、引き抜き方向に増圧ピストン161に作用する押圧力である引き抜き方向押圧力を超えることで行われる。挿入方向押圧力は、作動油供給制御装置130から駆動油圧室162に供給された作動油の油圧、すなわち駆動油圧室162の油圧P5により増圧ピストン161に作用する押圧力である。一方、引き抜き方向押圧力は、セカンダリ油圧室64の油圧P1およびバランサ油圧室166の油圧P6により増圧ピストン161に作用する押圧力である。挿入方向押圧力が引き抜き方向押圧力を超えている場合は、増圧ピストン161がセカンダリ油圧室64に挿入されることで(セカンダリ油圧室用シール部材S1により、セカンダリ隔壁65と、増圧ピストン161とがシールされることで)、増圧装置160が閉塞状態となる。このとき、作動油供給弁150が閉弁状態を維持していると、他方の挟圧力発生油圧室であるセカンダリ油圧室64の作動油がセカンダリ油圧室64に確実に保持される。
この実施例2にかかる上記ベルト式無段変速機1−2では、作動油供給弁150および増圧装置160は、セカンダリ油圧室64と上記摺動部との間に配置されている。つまり、作動油供給弁150の閉弁状態を維持し、増圧装置160の閉塞状態を維持することで、セカンダリ油圧室64に作動油を保持した状態とした際に、セカンダリ油圧室64と、作動油供給弁150および増圧装置160との間には、上記固定部材と可動部材との摺動部が存在しない。これにより、この摺動部から作動油が漏れることを抑制することができるので、オイルポンプ132の動力損失の増加を抑制することができる。
また、増圧ピストン161をセカンダリ油圧室64から引き抜く場合(増圧ピストン161は、引き抜き方向に摺動しても、セカンダリ可動シーブ63とセカンダリ隔壁65との間からは引き抜かれない)は、引き抜き方向押圧力が挿入方向押圧力を超えることで行われる。引き抜き方向押圧力が挿入方向押圧力を超えている場合、すなわち駆動油圧室162の油圧P5により増圧ピストン161に作用する挿入方向押圧力を引き抜き方向押圧力よりも小さくする場合は、セカンダリ油圧室64に挿入されていた増圧ピストン161がセカンダリ油圧室64から引き抜かれ、増圧装置160が解放状態となる。これにより、上述のようにセカンダリ油圧室64と排出用空間部165とが連通し、排出用空間部165と連通している排出孔161cからセカンダリ油圧室64内の作動油が排出される。従って、増圧装置160は、駆動油圧室162の油圧P5により、セカンダリ油圧室64からの作動油の排出の許容あるいは禁止を制御することができ、作動油排出手段としての機能をも備える。従って、増圧手段と作動油排出手段とを同一とすることができ、小型化を図ることができる。
ここで、増圧ピストン161は、駆動油圧室83の油圧P5の受圧面積が、セカンダリ油圧室64の油圧P1の受圧面積よりも大きく設定されている。これにより、セカンダリ油圧室64の油圧P1を増圧するために、オイルポンプ132を駆動することを抑制することができ、オイルポンプ132の駆動損失の増加を抑制することができる。
次に、実施例2にかかるベルト式無段変速機1−2の動作について説明する。一般的な車両の前進、後進については、実施例1にかかるベルト式無段変速機1−1と同様であるため、説明を省略する。なお、変速比減少変更、変速比増加変更、変速比の固定については、実施例1にかかるベルト式無段変速機1−1と同一部分は、省略あるいは簡略化して説明する。
変速比増加変更では、セカンダリプーリ60は、作動油供給制御装置130からセカンダリ油圧室64へ作動油を供給し、セカンダリ可動シーブ63をセカンダリ固定シーブ側に摺動(移動)させることで、プライマリプーリ50におけるベルト110の接触半径の減少に伴い、セカンダリプーリ60におけるベルト110の接触半径を増加させる。ここでは、作動油供給制御装置130は、挟圧力調圧バルブ134により空間部T5の油圧P4を制御することで、弁体閉弁方向押圧力よりも弁体開弁方向押圧力を超えさせ、作動油供給弁140を開弁させ、作動油供給弁140による他方の挟圧力発生油圧室であるセカンダリ油圧室64への作動油の供給を許容する。これにより、作動油供給制御装置130からセカンダリ油圧室64に供給される。
このとき、作動油供給制御装置130は、駆動油圧室163の油圧P5をセカンダリ油圧室64と排出空間部165が排出用切欠部161bにより連通しないように、駆動油圧室163に供給される作動油の油圧を押圧力調圧バルブ135により調圧する。従って、増圧装置160が閉塞状態(若干の漏れを許容)となる。つまり、作動油排出手段である増圧装置160による他方の挟圧力発生油圧室であるセカンダリ油圧室64からの作動油の排出が禁止される。
変速比減少変更では、セカンダリプーリ60は、セカンダリ油圧室64内の作動油を排出し、セカンダリ可動シーブ63をセカンダリ固定シーブ側と反対側に摺動(移動)させることで、プライマリプーリ50におけるベルト110の接触半径の増加に伴い、セカンダリプーリ60におけるベルト110の接触半径を減少させる。ここでは、作動油供給制御装置130は、押圧力調圧バルブ135により駆動油圧室162の油圧P5を制御することで、挿入方向押圧力よりも引き抜き方向押圧力を超えさせ、作動油排出手段である増圧装置160による他方の挟圧力発生油圧室であるセカンダリ油圧室64からの作動油の排出を許容する。これにより、図7の矢印Eに示すように、排出用切欠部161a、排出用空間部165および排出孔161cを介してセカンダリ油圧室64から作動油が排出される。
変速比の固定では、セカンダリプーリ60は、セカンダリ油圧室64に作動油を保持し、セカンダリ可動シーブ63のセカンダリ固定シーブ62に対する軸方向における位置を一定とし、セカンダリ可動シーブ63のセカンダリ固定シーブ62に対する移動を規制する。ここでは、作動油供給制御装置130は、作動油供給弁150を閉弁状態に維持し、押圧力調圧バルブ135により駆動油圧室162の油圧P5を制御することで増圧装置160を閉塞状態に維持し、セカンダリ油圧室64への作動油の供給の許容およびセカンダリ油圧室64から作動油の排出をともに禁止する。これにより、変速比の固定時に、セカンダリ油圧室64に作動油を供給するためにオイルポンプ132を駆動させなくても良いため、オイルポンプ132の動力損失の増加を抑制することができる。
また、作動油供給制御装置130は、押圧力調圧バルブ135を制御することで、駆動油圧室160の油圧P5がセカンダリ油圧室64の油圧P1を増圧、すなわち一定に維持できる所定油圧となるように、図6の矢印Dに示すように、駆動油圧室162に供給される作動油の油圧を調圧する。これにより、セカンダリ油圧室64の容積が変更、すなわち減少し、低下していたセカンダリ油圧室64の油圧P1が増圧され、一定に維持される。従って、変速比の固定時に、ベルト挟圧力の低下を抑制することができ、ベルト110の滑りを抑制することができる。
この発明にかかるベルト式無段変速機のスケルトン図である。 実施例1にかかるセカンダリプーリの要部断面図である。 変速比変更時におけるベルト式無段変速機の動作説明図である。 変速比変更時におけるベルト式無段変速機の動作説明図である。 実施例1にかかる増圧装置の他の構成例を示す図である。 図5−1のI−I断面図である。 実施例2にかかるセカンダリプーリの要部断面図である。 増圧装置の動作説明図である。
符号の説明
1−1,1−2 ベルト式無段変速機
10 内燃機関(駆動源)
20 トランスアクスル
30 トルクコンバータ
40 前後進切換機構
50 プライマリプーリ(一方のプーリ)
51 プライマリプーリ軸
52 プライマリ固定シーブ
53 プライマリ可動シーブ
54 プライマリ油圧室(一方の挟圧力発生油圧室)
55 プライマリ隔壁
60 セカンダリプーリ
61 セカンダリプーリ軸
61a 作動油主通路
61f 第1作動油主通路
61g 第2作動油主通路
62 セカンダリ固定シーブ
63 セカンダリ可動シーブ
63f シーブ側連通通路
64 セカンダリ油圧室(他方の挟圧力発生油圧室)
65 セカンダリ隔壁(油圧室構成部材)
66 パーキングブレーキギヤ
67 固定部材
68 シーブ押圧弾性部材
70 作動油供給弁
71 弁体
72 弁座段差部
73 弁体弾性部材
80 増圧装置(増圧手段、作動油排出手段)
81 増圧シリンダ
81a 中空部
81b テーパー面
82 増圧ピストン
82a 本体部
82b 突出部
83 駆動油圧室
84,85 スナップリング
86 固定側増圧シリンダ
86a 中空部
86b 摺動溝
86c 規制溝
87 摺動側増圧シリンダ
87a 中空部
87b テーパー面
87c 規制突起部
90 最終減速機
100 動力伝達経路
110 ベルト
120 車輪
130 作動油供給制御装置
131 オイルタンク
132 オイルポンプ
133 プレッシャーレギュレータ
134 挟圧力調圧バルブ
135 押圧力調圧バルブ
140 ECU
150 作動油供給弁
151 弁体
152 弁座段差部
153 弁体弾性部材
154 円板部材
155 係止部材
160 増圧装置(増圧手段、作動油排出手段)
161 増圧ピストン
162 駆動油圧室
163 駆動油圧室構成部材
164 バランサ構成部材
165 排出用空間部
166 バランサ油圧室
167 スナップリング
T1〜T4 空間部
S1 セカンダリ油圧室用シール部材
S2 シリンダ用シール部材
S3 ピストン用シール部材
S4 作動油供給用シール部材

Claims (7)

  1. 平行に配置され、駆動源からの駆動力がいずれか一方に伝達される2つのプーリ軸と、当該2つのプーリ軸上をそれぞれ軸方向に摺動する2つの可動シーブと、当該2つの可動シーブに前記軸方向にそれぞれ対向する2つの固定シーブと、からなる2つのプーリと、
    前記各プーリに巻き掛けられ、一方のプーリに伝達された駆動源からの駆動力を他方のプーリに伝達するベルトと、
    油圧により、前記可動シーブと前記固定シーブとの間にベルト挟圧力を発生する2つの挟圧力発生油圧室と、
    他方の挟圧力発生油圧室への前記作動油の供給のみを許容し、前記他方のプーリと一体回転する作動油供給弁と、
    前記他方の挟圧力発生油圧室からの前記作動油の排出の許容あるいは禁止を制御し、前記他方のプーリと一体回転する作動油排出手段と、
    前記他方の挟圧力発生油圧室の油圧を増圧し、前記他方のプーリと一体回転する増圧手段と、
    を備えることを特徴とするベルト式無段変速機。
  2. 前記増圧手段は、前記他方の挟圧力発生油圧室内に挿入されることで、当該他方の挟圧力発生油圧室の容積を変更する増圧ピストンを備えることを特徴とする請求項1に記載のベルト式無段変速機。
  3. 前記増圧手段は、油圧により前記増圧ピストンを前記他方の挟圧力発生油圧室内に挿入する挿入方向押圧力を発生する駆動油圧室を備え、
    前記増圧ピストンは、駆動油圧室側の断面積が挿入側の断面積がよりも大きいことを特徴とする請求項2に記載のベルト式無段変速機。
  4. 前記作動油排出手段は、前記増圧手段と同一であり、
    前記増圧ピストンを前記他方の挟圧力発生油圧室内から引き抜くことで、他方の挟圧力発生油圧室からの前記作動油を排出することを特徴とする請求項2または3に記載のベルト式無段変速機。
  5. 前記増圧手段は、前記他方のプーリ軸内に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のベルト式無段変速機。
  6. 前記増圧手段は、前記他方のプーリ軸を構成する軸部材とは別部材の増圧シリンダを備えることを特徴とする請求項5に記載のベルト式無段変速機。
  7. 前記増圧ピストンは、前記他方の可動シーブと、前記他方の挟圧力発生油圧室を構成する油圧室構成部材との間から当該他方の挟圧力発生油圧室内に挿入されることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1つに記載のベルト式無段変速機。
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