JP2008101668A - オルタネータ用転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】オルタネータの電気容量の増大傾向に伴い、オルタネータ用軸受においても高温化対策が必要となっている実情にかんがみ、グリース、その他の構成部材の材質を従来のものと変えることなくコストの上昇を抑えながら、潤滑寿命の長期化により、高温化に対処できるようにすることである。
【解決手段】オルタネータ用転がり軸受の外輪2の軌道溝4の両側に沿ってグリース溜り14を設け、グリースをそのグリース溜り14に滞留させて繰り返し潤滑作用に寄与できるようにした。
【選択図】図1
【解決手段】オルタネータ用転がり軸受の外輪2の軌道溝4の両側に沿ってグリース溜り14を設け、グリースをそのグリース溜り14に滞留させて繰り返し潤滑作用に寄与できるようにした。
【選択図】図1
Description
この発明は、自動車等のオルタネータのロータ回転軸を支持するオルタネータ用転がり軸受に関するものである。
自動車のオルタネータは、自動車部品の電動化の進展に伴い要求される発電容量が増大し、これに伴いオルタネータ自体の発熱量が大きくなる傾向がある。オルタネータのロータ回転軸を支持する軸受についても、従来、要求温度は150℃とされていたが、近時は180℃程度の高い要求温度もみられるようになっている。
オルタネータ用軸受の高温化対策として、シール部材の高温化対策が提案され(特許文献1参照)、また、音響機器の分野において提案された含油ポリマ材料で保持器を構成することによりグリースの保持機能を改善する提案(特許文献2参照)をオルタネータ用軸受の高温化対策として転用することも考えられている。
図4は、従来一般に用いられているオルタネータ用転がり軸受である。この軸受は、内輪1と外輪2、及び前記内輪1と外輪2の対向した軌道溝3、4間に介在された複数の転動体5、前記転動体5の保持器6、及び前記内輪1と外輪2の軸方向両端部間に設けられたシール部材7、7からなる。この軸受の内部には転動体5の潤滑のためのグリースが封入される。
特開2005−26830号公報(段落0008)
特開平8−021450号公報(段落0018)
前掲の従来技術は、いずれも軸受の一部の部材の材質変更又は潤滑の長寿命化を図ることによって、オルタネータの高温化に対処しようとするものであり、一応有効な手段であるということができる。
しかし、これらの対策はいずれも一部の材料が特殊化するため、コスト高になる問題があり、厳しい低コスト化が要求される自動車部品としては、主としてコスト面から一層の見直しが求められるものである。この観点から従来技術を見ると、軸受の回転に伴い軌道溝3、4から押し出されたグリースが両側のシール部材7、7の近傍に偏在的に滞留する傾向があり、また、全体に遠心力の作用を受けて外輪2側に滞留し易くなる。
グリースは、回転する転動体5や保持器6に接触することにより攪拌され、その攪拌によって軌道溝3、4側へ押し戻されることによって、潤滑作用に寄与することができる。しかし、従来の場合は、軌道溝3、4とシール部材7、7の間の内輪1の外径面8及び外輪2の内径面9は平坦面であったので、軌道溝3、4から押し出されたグリースはシール部材7、7に付着して滞留し易く、軌道溝側に押し戻され難い構造であった。このため、潤滑の必要な軌道溝近辺にグリースが不足する傾向があり、グリースの寿命が比較的短寿命であり、高温化オルタネータの軸受としては不十分なものであった。
そこで、この発明は、軸受の高温化対策として、従来一般の材料を用いながら、潤滑の長寿命化を図ることによって、高温化オルタネータに適応可能な低コストの転がり軸受を提供することを課題とする。
前記の課題を解決するために、この発明は、図1、図2に示したように、内輪1と外輪2、及び前記内輪1と外輪2の相互に対向した軌道溝間3、4に介在された複数の転動体5、前記転動体5の保持器6、前記内輪1と外輪2の軸方向両端部間に装着されたシール部材7、7からなる転がり軸受であって、エンジン出力で回転駆動されるオルタネータ11のロータ回転軸12をケーシング13に対して支持するオルタネータ用転がり軸受15において、前記内輪1と外輪2の少なくとも一方の軌道溝3、4の両側に沿ってグリース溜り14が設けられた構成を採用した。
前記の構成によると、転動体5の回転に伴い内輪1及び外輪2の軌道溝3又は4から押し出されたグリースや、保持器6によって攪拌されたグリースは、グリース溜り14を構成する段差部16において抵抗を受けるため、軌道溝3、4側に押し戻され、軌道溝3、4に接近したグリース溜り14に滞留し、回転に伴う攪拌により繰り返し潤滑作用に寄与することができる。
なお、前記のグリース溜り14が、前記軌道溝3、4とシール部材7、7との間の内輪外径面8又は外輪内径面9から該軌道溝3、4側に段差部16によって落ち込んだ凹部によって形成され、そのグリース溜り14の内側端が前記軌道溝3、4に連続している構成をとることが望ましい。
前記のように、この発明は、内輪1と外輪2の少なくとも一方の軌道溝3、4の両側に沿って設けたグリース溜り14の段差部16によってグリースが押し戻され、グリース溜り14に滞留したグリースが繰り返して転動体5の潤滑作用に寄与するので、長期間にわたり十分な潤滑を行うことができる。また、グリースを始め、軸受の構成部材の材料は従来のものを使用することができるので、低コストで提供することができ、潤滑性能の点及びコストの点から高温化傾向にあるオルタネータの軸受として好適である。
以下、添付図面に基づいてこの発明の実施例を説明する。
図1(a)に示した実施例のオルタネータ用転がり軸受15は、図2に示したオルタネータ11のロータ回転軸12をケーシング13に対して支持する部分に用いられる。ロータ回転軸12の外端部にプーリ17が設けられ、またケーシング13の内部においてロータ18が設けられる。
前記の転がり軸受15は、図1(a)に示したように、内輪1と外輪2、及び前記内輪1と外輪2の相互に対向した軌道溝3、4間に介在された複数の転動体5(図示の場合は玉)、前記転動体5の保持器6、前記内輪1と外輪2の軸方向両端部間に装着されたシール部材7、7から構成される。各シール部材7の外周縁部が外輪2の内径面に形成された装着溝19に嵌合固定され、内周縁部のリップ部20が内輪1の外径面に形成されたシール溝21に摺接される。
前記外輪2の内径面9において、軌道溝4の両側に沿って段差部16によって落ち込んだ凹部が軌道溝4に連続するように形成され、グリース溜り14となっている。前記の軸受の内部にグリースが封入され、シール部材7、7によってその漏出が防止される。
図3に示したように、同様のグリース溜り14を内輪1の外径面8に形成してもよく、また、内輪1、外輪2の両方に設けてもよい。
また、保持器6は、図1及び図2の場合は保持部を有する1枚の環状体により構成されたものであるが、図3に示したように、2枚の環状体を向かい合わせに結合一体化したものであってもよい。図1のように1枚の環状体からなる保持器6の場合は、グリースの封入量を多くできる利点がある。
前記の内輪1又は外輪2は冷間ローリング加工によって製造されるが、マンドレルにグリース溜り14と補完形状をなす成形部を設けておくことにより、通常の冷間ローリング加工によって製造できるので、製造コストに影響を与えることがない。
実施例の転がり軸受は以上のような構成であり、図2に示したように、オルタネータ11のロータ回転軸12の転がり軸受15として使用に供される。転動体5及び保持器6の回転に伴い内部のグリースが攪拌され、その内部のグリースが軌道溝3、4から押し出されたグリースとともにシール部材7、7の近辺に滞留する傾向があるが、この実施例の場合は、グリース溜り14の段差部16において抵抗を受け軌道溝3、4側に押し戻され(図1(b)の矢印参照)、グリース溜り14に滞留する。グリース溜り14は軌道溝3、4に連続しているので、ここに滞留したグリースは繰り返し潤滑作用に寄与することができる。
図1及び図2に示したように、外輪2の内径面にのみグリース溜り14を設けたのは、内輪1が回転する型式においては遠心力の影響を受けてグリースが外輪2側に集まる傾向があるため、グリース溜り14を設け外輪2側のグリース量の増大に対処できるようにするためである。
前記のように、軌道溝3、4に通じたグリース溜り14を設けることは、シール部材7、7に付着して潤滑に貢献しないグリースを少なくし、段差部16において押し戻すことにより(図1(b)の矢印参照)、繰り返し潤滑に寄与するグリースを増加させるという点で、外輪2側に限らず、内輪1側にも設けることが望ましい。
いずれにしても、グリース溜り14の存在により、潤滑に寄与するグリースが増えるので、グリースその他の部材の材質は通常のままで、高温環境にあるオルタネータ用の軸受として長期にわたり所望の潤滑作用を維持することができる。
1 内輪
2 外輪
3 軌道溝
4 軌道溝
5 転動体
6 保持器
7 シール部材
8 外径面
9 内径面
11 オルタネータ
12 ロータ回転軸
13 ケーシング
14 グリース溜り
15 転がり軸受
16 段差部
17 プーリ
18 ロータ
19 装着溝
20 リップ部
21 シール溝
2 外輪
3 軌道溝
4 軌道溝
5 転動体
6 保持器
7 シール部材
8 外径面
9 内径面
11 オルタネータ
12 ロータ回転軸
13 ケーシング
14 グリース溜り
15 転がり軸受
16 段差部
17 プーリ
18 ロータ
19 装着溝
20 リップ部
21 シール溝
Claims (2)
- 内輪(1)と外輪(2)、及び前記内輪(1)と外輪(2)の相互に対向した軌道溝(3)、(4)間に介在された複数の転動体(5)、前記転動体(5)の保持器(6)、前記内輪(1)と外輪(2)の軸方向両端部間に装着されたシール部材(7)、(7)からなる転がり軸受(15)であって、エンジン出力で回転駆動されるオルタネータ(11)のロータ回転軸(12)をケーシング(13)に対して支持するオルタネータ用転がり軸受において、前記内輪(1)と外輪(2)の少なくとも一方の軌道溝(3)、(4)の両側に沿ってグリース溜り(14)が設けられたことを特徴とするオルタネータ用転がり軸受。
- 前記のグリース溜り(14)が、前記軌道溝(3)、(4)とシール部材(7)、(7)との間の内輪外径面(8)又は外輪内径面(9)から該軌道溝(3)、(4)側に段差部(16)によって落ち込んだ凹部によって形成され、そのグリース溜り(14)の内側端が前記軌道溝(3)、(4)に連続していることを特徴とする請求項1に記載のオルタネータ用転がり軸受。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006283615A JP2008101668A (ja) | 2006-10-18 | 2006-10-18 | オルタネータ用転がり軸受 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006283615A JP2008101668A (ja) | 2006-10-18 | 2006-10-18 | オルタネータ用転がり軸受 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2008101668A true JP2008101668A (ja) | 2008-05-01 |
Family
ID=39436152
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006283615A Pending JP2008101668A (ja) | 2006-10-18 | 2006-10-18 | オルタネータ用転がり軸受 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2008101668A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102261382A (zh) * | 2010-05-28 | 2011-11-30 | 台州优特轴承有限公司 | 外圈带储脂沟的角接触球轴承 |
CN104061237A (zh) * | 2014-05-04 | 2014-09-24 | 洛阳德润精密机床轴承有限公司 | 外圈沟道带储脂沟的双向推力角接触球轴承 |
CN104132061A (zh) * | 2014-07-02 | 2014-11-05 | 洛阳德润精密机床轴承有限公司 | 内圈储脂沟的双向推力角接触球轴承 |
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2006
- 2006-10-18 JP JP2006283615A patent/JP2008101668A/ja active Pending
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