JP2008101174A - 多重膜マイクロカプセル - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性及び耐圧性に優れた膜で覆い、ポットライフに優れたトリフェニルホスフィンを内包した多重膜マイクロカプセルの提供。
【解決手段】硬化促進剤を内包したマイクロカプセルであって、該マイクロカプセルの皮膜がアミノ樹脂とゼラチン及び/又はアラビアゴムからなり、これらの膜は交互に配置されかつ複数有するもので、例えば、前記マイクロカプセルの皮膜がアミノ樹脂、ゼラチン及び/又はアラビアゴム、アミノ樹脂、ゼラチン及び/又はアラビアゴムの順に有する四重膜からなる。また二重膜または三重膜、五重膜以上であってもよい。前記アミノ樹脂がメラミン−ホルムアルデヒド樹脂皮膜であること、また前記ゼラチン及び/又はアラビアゴムはゼラチン−アラビアゴム膜が好ましい。更に前記硬化促進剤がトリフェニルホスフィンであり、前記マイクロカプセルの粒径が15μm〜80μmである。
【選択図】図1

Description

本発明は、多重膜マイクロカプセルに関し、特に液状エポキシ樹脂組成物に混合して使用する際に必要な耐熱性及び耐圧性に優れた膜で覆う、いわゆるトリフェニルホスフィンを内包した多重膜マイクロカプセルに関するものである。
従来、液状エポキシ樹脂組成物を使用して半導体チップを封止するスポット封止等に用いる場合、液状エポキシ樹脂組成物に硬化促進剤が用いられるが、この際、液状エポキシ樹脂組成物に硬化促進剤としてイミダゾールを添加した場合は、液状エポキシ樹脂組成物が剛性のある硬化物になり、可撓性が得られず樹脂封止層がフレキシブル配線板から剥離してしまうという問題がある。このため前記イミダゾールに代えてトリフェニルホスフィンを用いられ、かつトリフェニルホスフィンを被覆処理して溶出温度が100〜150℃のマイクロカプセル、すなわち一重被覆処理したマイクロカプセルを添加することにより、使用時に100〜150℃に加熱したとき、マイクロカプセルが溶融して内部のトリフェニルホスフィンが排出されて硬化反応が促進され液状エポキシ樹脂組成物が硬化する。このような液状エポキシ樹脂組成物に硬化促進剤(例えば、トリフェニルホスフィンなど)を被覆処理したマイクロカプセル、すなわち一重被覆処理したマイクロカプセルを添加することにより液状エポキシ樹脂組成物の硬化物の可撓性が向上し、ポリイミドフィルム製のフレキシブル配線板と樹脂とが剥離し難く、ピール強度が強くなるという利点があることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−176280号公報(明細書段落0011〜0014)
しかしながら、この硬化促進剤を被覆処理したマイクロカプセル、すなわち一重被覆処理したマイクロカプセルの場合は、硬化促進剤、特にトリフェニルホスフィンの一部が漏れ出す恐れがあり、このような場合、液状エポキシ樹脂組成物と硬化剤にトリフェニルホスフィンを内包した一重膜マイクロカプセルを配合した組成物は、経時においてトリフェニルホスフィンが漏れ出し、その結果反応が促進され、しかも温度上昇時には粘度が著しく上昇してポットライフが短くなるという問題が生じる。そこで、本発明者は、マイクロカプセル被膜の耐熱性及び耐圧性を向上させ、保存時におけるポットライフの長い優れた性能を有する多重膜マイクロカプセルを得るために種々検討したところ、一重膜目を耐熱性のあるアミノ樹脂を形成し、二重膜目を耐圧性のあるゼラチン及び/又はアラビアゴムで形成し、更に耐熱性と耐圧性を強化する場合には、三重膜目に、前記一重膜目の耐熱性のある膜で被覆し、その上に四重膜目に、前記二重膜目の耐圧性のある膜で被覆するという耐熱性のある膜と耐圧性のある膜とを交互に被覆することによって得られた多重膜マイクロカプセルを使用することによりマイクロカプセル被膜の耐熱性及び耐圧性が向上することを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、液状エポキシ樹脂組成物に混合して使用する際に必要な耐熱性及び耐圧性が向上した膜で覆い、ポットライフに優れたトリフェニルホスフィンを内包した多重膜マイクロカプセルを提供することにある。
本発明の上記課題は、以下に示す各発明により達成される。
(1)硬化促進剤を内包したマイクロカプセルであって、該マイクロカプセルの皮膜がアミノ樹脂とゼラチン及び/又はアラビアゴムの各膜からなり、これらの膜は交互に配置されかつ複数有することを特徴とする多重膜マイクロカプセル。
(2)前記マイクロカプセルの皮膜がアミノ樹脂、ゼラチン及び/又はアラビアゴム、アミノ樹脂、ゼラチン及び/又はアラビアゴムの各膜を順に有する四重膜からなることを特徴とする前記第1項に記載の多重膜マイクロカプセル。
(3)前記マイクロカプセルの皮膜がアミノ樹脂、ゼラチン及び/又はアラビアゴム、アミノ樹脂の各膜を順に有する三重膜からなることを特徴とする前記第1項に記載の多重膜マイクロカプセル。
(4)前記マイクロカプセルの皮膜がアミノ樹脂、ゼラチン及び/又はアラビアゴムの各膜を順に有する二重膜からなることを特徴とする前記第1項に記載の多重膜マイクロカプセル。
(5)前記アミノ樹脂がメラミン−ホルムアルデヒド樹脂又は尿素−ホルムアルデヒド樹脂から選択されたいずれかであることを特徴とする前記第1項乃至第4項のいずれかに記載の多重膜マイクロカプセル。
(6)前記ゼラチン及び/又はアラビアゴムがゼラチン、ゼラチン−アラビアゴム又はアラビアゴムから選択されたいずれかであることを特徴とする前記第1項乃至第5項のいずれかに記載の多重膜マイクロカプセル。
(7)前記硬化促進剤がトリフェニルホスフィンであることを特徴とする前記第1項乃至第6項のいずれかに記載の多重膜マイクロカプセル。
(8)前記マイクロカプセルの粒径が15μm〜80μmであることを特徴とする前記第1項乃至第7項のいずれかに記載の多重膜マイクロカプセル。
(9)硬化剤を含む液状エポキシ樹脂組成物に混合して使用することを特徴とする前記第1項乃至第8項のいずれかに記載の多重膜マイクロカプセル。
前記第1項に記載の多重膜マイクロカプセルは、硬化促進剤を内包したマイクロカプセルであって、該マイクロカプセルの皮膜がアミノ樹脂とゼラチン及び/又はアラビアゴムの各膜からなり、これらの膜は交互に配置されかつ複数有することを特徴とし、このように構成することにより耐熱性と耐圧性が共に向上し、液状エポキシ樹脂組成物に多重膜マイクロカプセルを使用した際、硬化促進剤が漏れ出す恐れがなく、優れたポットライフが得られる。前記第2項に記載の発明は、前記第1項に記載の多重膜マイクロカプセルにおいて、前記マイクロカプセルの皮膜がアミノ樹脂、ゼラチン及び/又はアラビアゴム、アミノ樹脂、ゼラチン及び/又はアラビアゴムの各膜を順に有する四重膜からなることを特徴とするもので、このようにアミノ樹脂、ゼラチン及び/又はアラビアゴムの各幕を交互にしかも四重膜に構成することにより、耐熱性と耐圧性がいっそう共に向上し、液状エポキシ樹脂組成物に多重膜マイクロカプセルを使用した際、硬化促進剤が漏れ出す恐れがなく、いっそう優れたポットライフが得られる。前記第3項に記載の発明は、前記第1項に記載の多重膜マイクロカプセルにおいて、前記マイクロカプセルの皮膜がアミノ樹脂、ゼラチン及び/又はアラビアゴム、アミノ樹脂の各膜を順に有する三重膜からなることを特徴とするもので、このように三重膜に構成することにより耐熱性と耐圧性が共により向上し、液状エポキシ樹脂組成物に多重膜マイクロカプセルを使用した際、硬化促進剤が漏れ出す恐れがなく、より優れたポットライフが得られる。前記第4項に記載の発明は、前記第1項に記載の多重膜マイクロカプセルにおいて、前記マイクロカプセルの皮膜がアミノ樹脂、ゼラチン及び/又はアラビアゴムの各膜を順に有する二重膜からなることを特徴とし、このように構成することによりマイクロカプセルに内包した硬化促進剤が経時に漏れ出す恐れがほとんどないばかりでなくより優れたポットライフが得られるという格別顕著な効果を奏するものである。
前記第5項に記載の発明は、前記第1項乃至第4項のいずれかに記載の多重膜マイクロカプセルにおいて、前記アミノ樹脂がメラミン−ホルムアルデヒド樹脂又は尿素−ホルムアルデヒド樹脂から選択されたいずれかであることを特徴とするもので、このようなメラミン−ホルムアルデヒド樹脂膜又は尿素−ホルムアルデヒド樹脂膜から選択されたいずれかの膜を用いることによりいっそう耐熱性が向上した膜が得られ、しかもゼラチン及び/又はアラビアゴム膜と共に用いることにより、耐熱性と耐圧性が共に向上し、液状エポキシ樹脂組成物に多重膜マイクロカプセルを使用した際、硬化促進剤が漏れ出す恐れがなく、優れたポットライフが得られる。前記第6項に記載の発明は、前記第1項乃至第5項のいずれかに記載の多重膜マイクロカプセルにおいて、前記ゼラチン及び/又はアラビアゴムがゼラチン、ゼラチン−アラビアゴム又はアラビアゴムから選択されたいずれかであることを特徴とし、このようなゼラチン及び/又はアラビアゴムがゼラチン、ゼラチン−アラビアゴム又はアラビアゴムから選択されたいずれかの膜であることにより、耐圧性が向上し、しかもアミノ樹脂膜と共同して耐熱性と耐圧性が共に向上して優れた多重膜マイクロカプセルが得られ、液状エポキシ樹脂組成物に多重膜マイクロカプセルを使用した際、硬化促進剤が漏れ出す恐れがなく、優れたポットライフが得られる。
前記第7項に記載の発明は、前記第1項乃至第6項のいずれかに記載の多重膜マイクロカプセルにおいて、前記硬化促進剤がトリフェニルホスフィンであることを特徴とするもので、このように硬化促進剤がトリフェニルホスフィンであり、かつアミノ樹脂とゼラチン及び/又はアラビアゴムの各膜からなる多重膜とすることにより経時にマイクロカプセル膜からトリフェニルホスフィンが漏れ出す恐れがなく、優れたポットライフが得られる。前記第8項に記載の発明は、前記第1項乃至第7項のいずれかに記載の多重膜マイクロカプセルにおいて、前記マイクロカプセルの粒径が15μm〜80μmであることを特徴とし、このようなマイクロカプセルの粒径のものを用いることにより適度の硬化促進効果を得ることができる。前記第9項に記載の発明は、前記第1項乃至第8項のいずれかに記載の多重膜マイクロカプセルにおいて、硬化剤を含む液状エポキシ樹脂組成物に混合して使用することを特徴とするもので、このような液状エポキシ樹脂組成物に混合して使用することにより多重膜マイクロカプセルに内包された硬化促進剤、とりわけトリフェニルホスフィンの漏れ出しがなく、優れたポットライフを得ることができるという格別顕著な効果を奏するものである。
以下に、本発明の実施の形態の最良のものについて説明するが、これは一例であってこれに限定されるものではない。
本発明の多重膜マイクロカプセルは、前述の如く第1項に記載の発明は、硬化促進剤を内包したマイクロカプセルであって、該マイクロカプセルの皮膜がアミノ樹脂とゼラチン及び/又はアラビアゴムの各膜からなり、これらの膜は交互に配置されかつ複数有することを特徴とするものである。本発明の多重膜マイクロカプセルは、硬化促進剤を内包したカプセル膜からなり、本発明のマイクロカプセル被膜は、それぞれ耐熱性を有する被膜と耐圧性を有する被膜の2種類の膜で硬化促進剤が被覆されている。本発明のマイクロカプセル被膜を製造する際、ウレタン膜などの界面重合法を用いると、硬化促進剤であるトリフェニルホスフィン(TPP)にイソシアネートを配合するため、硬化促進剤であるTPPがイソシアネートと反応してしまう可能性があるばかりかこの方法の場合、二膜目以降の膜をつけることができない。その他、液中乾燥法などによるカプセル化法もあるが、この方法もまた二膜目以降の膜を付けることができず、多重膜の製造には不適当である。したがって、多重膜を作るにはin situ 重合法とコアセルベーション法が最適である。本発明では耐熱性を有する被膜はin situ 重合法により生成されたアミノ樹脂膜からなるのが好ましく、また耐圧性を有する被膜はコアセルベーション法により生成されたゼラチン及び/又はアラビアゴム膜からなるのが好ましい。
前記の「in situ 重合法により生成されたアミノ樹脂膜とコアセルベーション法により生成されたゼラチン及び/又はアラビアゴム膜からなり、これらの膜は交互に配置されかつ複数有する」場合を例示的に列挙すると以下のようになる。アミノ樹脂膜とゼラチン及び/又はアラビアゴム膜が、交互に配置されると共に、配置される被膜の種類の順序は、例えば、二重膜の場合にはまずアミノ樹脂で硬化促進剤がマイクロカプセル化され、ついでこのマイクロカプセルの表面上にゼラチン及び/又はアラビアゴム膜が形成される。この例では、マイクロカプセルの皮膜がアミノ樹脂膜、ゼラチン及び/又はアラビアゴム膜の順に有する二重膜からなる第4項の発明が該当する。また三重膜の場合には、アミノ樹脂膜で硬化促進剤がマイクロカプセル化され、ついでこのマイクロカプセルの表面上にゼラチン及び/又はアラビアゴム膜が形成され、更にこの膜の上にアミノ樹脂膜が形成される。この例では、マイクロカプセルの皮膜がアミノ樹脂膜、ゼラチン及び/又はアラビアゴム膜、アミノ樹脂膜の順に有する三重膜からなる第3項の発明が該当する。更にまた四重膜の場合には、アミノ樹脂膜で硬化促進剤がマイクロカプセル化され、ついでこのマイクロカプセルの表面上にゼラチン及び/又はアラビアゴム膜が形成され、更にこの膜の上にアミノ樹脂膜が形成され、ついでこの膜上にゼラチン及び/又はアラビアゴム膜が形成される。この例では、マイクロカプセルの皮膜がアミノ樹脂膜、ゼラチン及び/又はアラビアゴム膜、アミノ樹脂膜、ゼラチン及び/又はアラビアゴム膜の順に有する四重膜からなる第2項の発明が該当する。
本発明に用いられるアミノ樹脂は、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂又は尿素−ホルムアルデヒド樹脂から選択されたいずれかであることが好ましいが、耐熱性の向上するものであれば、これに限定されるものではない。また本発明に用いられるゼラチン膜及び/又はゼラチン−アラビアゴム膜は、ゼラチン、ゼラチン−アラビアゴム又はアラビアゴムから選択されたいずれかの膜であることが好ましく、これらはコアセルベーション法により生成されたものが好ましい。本発明では、耐熱性と耐圧性のある被膜の組み合わせとしては、アミノ樹脂皮膜とゼラチン膜又はゼラチン−アラビアゴム膜との組み合わせが好ましいが、最も好ましいものは、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂膜とゼラチン−アラビアゴム膜の組み合わせである。本発明では、マイクロカプセル化する硬化促進剤としては特に限定されるものではないが、スポット封止に使用される接着剤が液状エポキシ樹脂系組成物である点からみてトリフェニルホスフィンであることが好ましい。本発明に用いられるマイクロカプセルの粒径は15μm〜80μmである。好ましくはマイクロカプセルの粒径は25μm〜50μmであり、更に好ましくは30μm前後である。この範囲外では、硬化促進性能が不十分となる。本発明では多重膜からなる点で、被膜の厚みが厚いので、内包する硬化促進剤の量を考慮すると、この範囲が適当である。ちなみに硬化促進剤の添加量は、液状エポキシ樹脂組成物100質量部に対して1質量部〜5質量部であり、好ましくは2質量部〜4質量部であり、更に好ましくは3質量部前後である。この範囲外では、硬化促進性能が不十分となる。本発明では、硬化剤を含む液状エポキシ樹脂組成物に硬化促進剤を内包した多重膜マイクロカプセルを混合して使用することが好ましいが、特に硬化促進剤としてトリフェニルホスフィンを内包した多重膜マイクロカプセルを硬化剤を含む液状エポキシ樹脂組成物に混合して使用することが好ましい。
本発明では、多重膜マイクロカプセルは、前述のほか、五重膜としても、また六重膜としてもよく、更に交互に設ける被膜の数を必要に応じて増加させてもよい。また本発明では、一重目と三重目等のアミノ樹脂は、耐熱性向上に優れており、二重目と四重目等のゼラチン及び/又はアラビアゴムは耐圧性の向上に優れた効果を発揮するもので、各皮膜を交互に重ね合わせることによりマイクロカプセルの耐熱性及び耐圧性をいっそう向上させることができるという格別顕著な効果を奏するものである。
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、この例は本発明を説明するためのものであり、本発明はこれに限定されるものではない。
〔実施例1〕
本発明の実施例では、硬化促進剤雄としてトリフェニルホスフィンを内包した多重膜マイクロカプセルを製造する。
〔一膜目のマイクロカプセルの製造工程〕
(1)コア形成物質の調整
硬化促進剤であるトリフェニルホスフィン(融点82℃)を85℃に熱して溶かし、コア形成物質を調整した。
(2)水性媒体の調整
水にスチレン−無水マレイン酸共重合体(モンサント社製;Scripset−520)を添加し、溶解させ、5%のスチレン−無水マレイン酸共重合体水溶液を調整した。さらにこの水溶液に10%水酸化ナトリウム水を添加して該水溶液のPHを4.7に調整した。
(3)メチロールメラミン水溶液の調整
水溶性メチロールメラミン(昭和高分子社製、メラミン−ホルムアルデヒド初期縮合物、ミルベンレジンSM−607)18gと水72gとを混合し、70℃で攪拌して水溶性メチロールメラミンを溶解し、20%メチロールメラミン水溶液を調整した。
(4)乳化、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂シェル形成工程
5%スチレン−無水マレイン酸共重合体水溶液100gをミキサーを用いて高速攪拌しながら、前記(1)のコア形成物質100gを徐々に添加し、液温85℃にて平均粒径30μmになるまで乳化し、前記(3)のメチロールメラミン水溶液45gを添加した。その後60℃で2時間攪拌してメラミン−ホルムアルデヒド樹脂からなるシェルを形成してマイクロカプセルスラリーを得た。
(5)洗浄工程
生成したメラミン−ホルムアルデヒド樹脂膜マイクロカプセルスラリーを水で3倍に希釈し、30分静置後、上澄み液を捨てる。この工程を2度繰返して、コア形成物質であるトリフェニルホスフィンを内包するメラミン−ホルムアルデヒド樹脂膜マイクロカプセルスラリーの洗浄物を200g得た。
〔二膜目のマイクロカプセルの製造工程〕
(1)ゼラチン水溶液の調整
水にゼラチンを添加して50℃で攪拌して溶解し、5%ゼラチン水溶液を調整した。
(2)アラビアゴム水溶液の調整
水にアラビアゴムを添加して50℃で攪拌して溶解し、5%アラビアゴム水溶液を調整した。
(3)ゼラチン−アラビアゴムシェル形成工程
5%ゼラチン水溶液100gと5%アラビアゴム水溶液100gとを混合し、一膜目で形成したメラミン−ホルムアルデヒド樹脂膜マイクロカプセルスラリーの洗浄物200gを加え、攪拌しながら15%酢酸水でPH4.7に調整した後、25℃までゆっくりと冷却した。ついで、10℃まで急速に冷却した後、25%グルタールアルデヒド水溶液2gを加えると、該洗浄物の表面にゼラチン−アラビアゴムからなるシェルを形成した。その結果、コア形成物質がトリフェニルホスフィンを内包するメラミン−ホルムアルデヒド樹脂膜からなる一膜目の被膜の上に二膜目のゼラチン膜を有する二重膜マイクロカプセルスラリーが得られた。
〔三膜目のマイクロカプセルの製造工程〕
(1)脱水工程
二重膜マイクロカプセルスラリーをブフナーロートとろ紙及び真空ポンプを用いて脱水し、二重膜マイクロカプセルケーキを得た。
(2)メラミン−ホルムアルデヒド樹脂シェル形成工程
5%スチレン−無水マレイン酸共重合体水溶液100gに、脱水工程で得た二重膜マイクロカプセルケーキ150gを加え、メチロールメラミン水溶液45gを添加し、60℃で2時間攪拌してメラミン−ホルムアルデヒド樹脂からなるシェルを形成して三重膜マイクロカプセルスラリーを得た。
(3)洗浄工程
三重膜マイクロカプセルスラリーを水で3倍に希釈し、30分静置後、上澄みを捨てる。この工程を2度繰り返し、コア形成物質であるトリフェニルホスフィンを内包する三重膜マイクロカプセルスラリーの洗浄物を200g得た。
〔四膜目のマイクロカプセルの製造工程〕
(1)ゼラチン−アラビアゴムシェル形成工程
5%ゼラチン水溶液100gと5%アラビアゴム水溶液100gとを混合し、ついで、三重膜マイクロカプセルスラリーの洗浄物200gを加え、攪拌しながら15%酢酸水でPH4.7に調整した後、25℃までゆっくりと冷却した。ついで、10℃まで急速に冷却した後、25%グルタールアルデヒド水溶液2gを加えると、該洗浄物の表面にゼラチン−アラビアゴムからなるシェルを形成し、四重膜マイクロカプセルスラリーが得られた。
(2)乾燥工程
上記で作製した二重膜、三重膜及び四重膜のマイクロカプセルスラリーをブフナーロートとろ紙及び真空ポンプを用いて脱水し、それぞれ二重膜、三重膜及び四重膜のマイクロカプセルケーキを製造した。次に、これらのマイクロカプセルケーキの質量に対してでんぷんを各3%添加し、十分に混合した後、3個のアルミトレー上にそれぞれ並べる。これらのトレイを循環式定温乾燥器に入れ、40℃で乾燥して各多重膜マイクロカプセルパウダーを得た。
なお、本発明の多重膜マイクロカプセルは、二重膜乃至四重膜マイクロカプセルの他、必要に応じて五重膜又はそれ以上の多重膜マイクロカプセルを形成することができることはいうまでもない。
〔比較例1〕
トリフェニルホスフィンを内包するメラミン−ホルムアルデヒド樹脂膜マイクロカプセルを製造する。
(a)実施例1に記載した一膜目の工程のうち、(1)コア形成物質の調整、(2)水性媒体の調整、(3)メチロールメラミン水溶液の調整及び(4)乳化、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂シェル形成工程を順次行って、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂被膜からなるマイクロカプセルスラリーを形成した。
(b)乾燥工程
入口温度150℃のスプレードライア内に、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂膜マイクロカプセルスラリーをアドマイザー回転数30,000rpmで噴霧して乾燥し、コア形成物質であるトリフェニルホスフィンを内包するメラミン−ホルムアルデヒド樹脂膜マイクロカプセルパウダーを得た。
〔試験例〕
ビスフェノールA型エポキシ樹脂と硬化剤であるアリル化フェノールノボラックの混合物に実施例1、比較例1及び参考例のマイクロカプセルパウダーを配合し、140℃で10分間過熱した。ここで、参考例は、トリフェニルホスフィンを内包した多重膜マイクロカプセルパウダーを破壊したものである。得られた結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1において、多重膜マイクロカプセルパウダーを配合したものは、粘度は、二重膜マイクロカプセルパウダーでは、16,000mPa・sとわずかに粘度変化があるものの、三重膜及び四重膜マイクロカプセルパウダーでは15,000mPa・sであり、粘度変化は全くなかった。これに対して、比較例1では、一重膜のメラミン−ホルムアルデヒド樹脂膜マイクロカプセルパウダーを配合したものは90,000mPa・sと粘度の上昇が見られた。更に参考例では、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と硬化剤であるアリル化フェノールノボラックの混合物にトリフェニルホスフィンを内包した多重膜マイクロカプセルパウダーを配合した後、圧力を掛けて該マイクロカプセルパウダーを破壊し、140℃で10分間過熱したものであり、完全に硬化していることがわかる。以上の結果、実施例1では、多重膜マイクロカプセルは、耐熱性能及び耐圧性能が十分発揮されており、その結果内包しているトリフェニルホスフィンを多重膜マイクロカプセル膜がほぼ完全に保護しているということができるが、比較例1では内包しているトリフェニルホスフィンをマイクロカプセル膜が十分保護していないということができる。
本発明の多重膜マイクロカプセルは、液状エポキシ樹脂組成物を使用するスポット封止、半導体基板の接着などの用途に広く使用される極めて有用な多重膜マイクロカプセルである。
本発明の多重膜マイクロカプセルの一例である四重膜マイクロカプセルを示す断面図である。 従来公知のマイクロカプセルを示す断面図である。
符号の説明
1 四重膜マイクロカプセル
2 硬化促進剤
3 アミノ樹脂
4 ゼラチン及び/又はアラビアゴム
11 一重膜マイクロカプセル

Claims (9)

  1. 硬化促進剤を内包したマイクロカプセルであって、該マイクロカプセルの皮膜がアミノ樹脂とゼラチン及び/又はアラビアゴムの各膜からなり、これらの膜は交互に配置されかつ複数有することを特徴とする多重膜マイクロカプセル。
  2. 前記マイクロカプセルの皮膜がアミノ樹脂、ゼラチン及び/又はアラビアゴム、アミノ樹脂、ゼラチン及び/又はアラビアゴムの各膜を順に有する四重膜からなることを特徴とする請求項1に記載の多重膜マイクロカプセル。
  3. 前記マイクロカプセルの皮膜がアミノ樹脂、ゼラチン及び/又はアラビアゴム、アミノ樹脂の各膜を順に有する三重膜からなることを特徴とする請求項1に記載の多重膜マイクロカプセル。
  4. 前記マイクロカプセルの皮膜がアミノ樹脂、ゼラチン及び/又はアラビアゴムの各膜を順に有する二重膜からなることを特徴とする請求項1に記載の多重膜マイクロカプセル。
  5. 前記アミノ樹脂がメラミン−ホルムアルデヒド樹脂又は尿素−ホルムアルデヒド樹脂から選択されたいずれかであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の多重膜マイクロカプセル。
  6. 前記ゼラチン及び/又はアラビアゴムがゼラチン、ゼラチン−アラビアゴム又はアラビアゴムから選択されたいずれかであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の多重膜マイクロカプセル。
  7. 前記硬化促進剤がトリフェニルホスフィンであることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の多重膜マイクロカプセル。
  8. 前記マイクロカプセルの粒径が15μm〜80μmであることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の多重膜マイクロカプセル。
  9. 硬化剤を含む液状エポキシ樹脂組成物に混合して使用することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の多重膜マイクロカプセル。
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CN114653315A (zh) * 2022-03-31 2022-06-24 山东大学 一种明胶-阿拉伯胶/脲醛树脂双层壁材dcoit微胶囊及其制备方法与应用

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