JP2008101053A - 耐摩耗撥水性構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】表面に撥水性を発現させるとともに、撥水機能の摩耗耐久性を著しく向上させた耐摩耗撥水性構造体、自動車用内外装用材料及び網戸を提供すること。
【解決手段】接触角が90°以上の樹脂基材の表面に複数の凹部を設けて成り、凹部の直径Dが12mm以下、隣接する凹部同士の間隔Lが20μm以下である。樹脂基材の表面積を凹部の数で割った値をAm2としたときに、A/Dの値が1.0×10−5m2/m以下である。
上記耐摩耗撥水性構造体を適用した自動車用内外装用材料である。
上記耐摩耗撥水性構造体を構成糸として適用した網戸であって、上記間隔Lを上記直径Dで除した値が、1.8以下、且つ網目の間隔が0.1〜2.0mmである。
【選択図】なし
【解決手段】接触角が90°以上の樹脂基材の表面に複数の凹部を設けて成り、凹部の直径Dが12mm以下、隣接する凹部同士の間隔Lが20μm以下である。樹脂基材の表面積を凹部の数で割った値をAm2としたときに、A/Dの値が1.0×10−5m2/m以下である。
上記耐摩耗撥水性構造体を適用した自動車用内外装用材料である。
上記耐摩耗撥水性構造体を構成糸として適用した網戸であって、上記間隔Lを上記直径Dで除した値が、1.8以下、且つ網目の間隔が0.1〜2.0mmである。
【選択図】なし
Description
本発明は、耐摩耗撥水性構造体、自動車用内外装用材料及び網戸に係り、更に詳細には、表面に撥水性を発現すると同時に、その撥水性の耐摩耗性能の向上を可能とする耐摩耗性撥水構造体、自動車用内外装用材料及び網戸に関する。
従来から、材料の表面に撥水性を発現させるために、水接触角が90°以上の基材の表面に微細な突起を無数に配置する方法が提案されている。
具体例としては、図1に示すような、柱状微細突起群1を備えた機能性基板2とその製造方法が挙げられる(特許文献1参照。)。
特開2004−170935号公報
具体例としては、図1に示すような、柱状微細突起群1を備えた機能性基板2とその製造方法が挙げられる(特許文献1参照。)。
特許文献1に記載の技術は、柱状の微細突起を無数に配列した機能性基板の製造方法に関するものであり、具体的には、直径50nm〜0.5μm、高さ数μm〜数十μmの撥水性材料から成る柱状突起物を20nm〜10μmの間隔でシート上に配列した構成とすることにより、ベースとなる撥水性材料以上の撥水性を付与するものである。
しかしながら、この機能性基板は、耐摩耗性が要求されるような状況下で使用する場合には、柱状突起物が人の手や衣服等との摩擦によって、摩滅し、撥水性が長続きしないという問題点があった。また、図2に示すように、摩耗前は起立した状態の柱状突起物が、摩耗によって倒れて、微細構造が失われた状態となるという問題点があった。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、表面に撥水性を発現させるとともに、撥水機能の摩耗耐久性を著しく向上させた耐摩耗撥水性構造体、自動車用内外装用材料及び網戸を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、接触角が90°以上の樹脂基材に所定の凹部を複数設けることにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の耐摩耗撥水性構造体は、接触角が90°以上の樹脂基材の表面に複数の凹部を設けて成る耐磨耗性撥水構造体であって、
上記凹部の開口部形状の外接円の直径Dが12μm以下、隣接する凹部同士の間隔Lが20μm以下であることを特徴とする。
上記凹部の開口部形状の外接円の直径Dが12μm以下、隣接する凹部同士の間隔Lが20μm以下であることを特徴とする。
また、本発明の耐摩耗撥水性構造体の好適形態は、上記樹脂基材の表面積を上記凹部の数で割った値をAm2としたときに、A/Dの値が1.0×10−5m2/m以下であることを特徴とする。
更に、本発明の自動車用内外装用材料は、上記耐摩耗撥水性構造体を適用したことを特徴とする。
更にまた、本発明の網戸は、上記耐摩耗撥水性構造体を構成糸として適用した網戸であって、
上記間隔Lを上記直径Dで除した値が、1.8以下、且つ網目の間隔が0.1〜2.0mmであることを特徴とする。
上記間隔Lを上記直径Dで除した値が、1.8以下、且つ網目の間隔が0.1〜2.0mmであることを特徴とする。
本発明によれば、接触角が90°以上の樹脂基材に所定の凹部を複数設けることとしたため、表面に撥水性を発現させるとともに、撥水機能の摩耗耐久性を著しく向上させた耐摩耗撥水性構造体、自動車用内外装用材料及び網戸を提供できる。
以下、本発明の耐摩耗撥水性構造体について詳細に説明する。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、濃度、含有量、充填量などについての「%」は、特記しない限り質量百分率を表すものとする。
上述の如く、本発明の耐摩耗撥水性構造体は、接触角が90°以上の樹脂基材の表面に複数の凹部を設けて成る。
また、上記凹部は、直径Dが12mm以下、隣接する凹部同士の間隔Lが20μm以下となるようにする。
また、上記凹部は、直径Dが12mm以下、隣接する凹部同士の間隔Lが20μm以下となるようにする。
このような構成により、耐摩耗性が要求されるような状況下でも撥水性が長期間持続することとなる。よって、これまで撥水性を付与できなかった部位、即ち人の手や衣服等との摩擦に暴露されるような部位にも優れた撥水性を付与しうる。
ここで、上記樹脂基材の材質としては、水接触角が90°以上の樹脂であれば良く、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリパーフルオロオクチルエチルアクリレート、フッ化エチレンプロピレン共重合樹脂等のフッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン等が使用できる。
また、上記樹脂基材は、厚さ0.05μm〜50μmの層を積層して成る積層体であることが好ましい。代表的には、10〜100層の樹脂層を積層して全体としての厚さを50μm程度とした樹脂基材を使用することができる。
これにより、耐摩耗性の要求される環境下において、表層が摩耗されて剥離しても下から新しい層が現れ、凹部構造が維持されるために、撥水性が長期間維持しうる。また、摩耗された樹脂層の下から新たに出現する樹脂層の表面が平坦であるために、凹部構造の開口近傍の形状も摩耗前の状態が再現でき、撥水性能が高いレベルで維持されうる。
これにより、耐摩耗性の要求される環境下において、表層が摩耗されて剥離しても下から新しい層が現れ、凹部構造が維持されるために、撥水性が長期間維持しうる。また、摩耗された樹脂層の下から新たに出現する樹脂層の表面が平坦であるために、凹部構造の開口近傍の形状も摩耗前の状態が再現でき、撥水性能が高いレベルで維持されうる。
上述のように樹脂基材が積層構造であるときは、各層の層厚はより下層になるにつれて厚くなっていることが好ましい。
これにより、層厚が薄い為に相対的に剥離しやすい表層から順番に剥離することになる。
これにより、層厚が薄い為に相対的に剥離しやすい表層から順番に剥離することになる。
本発明の耐摩耗性撥水構造体の一例の概念図を図3に、当該耐摩耗性撥水構造体が積層構造である場合の断面概略図を図4に示す。
図3に示すように、上記耐摩耗性撥水構造体は、樹脂基材3に複数の凹部4を配設して成る。また、図4に示すように、上記耐摩耗性撥水構造体は、表面側から順にa層、b層、c層を有する積層体であり、表層であるa層が摩耗されて剥がれると下から新しくb層が現れ、凹部構造が維持されることとなる。即ち、a層の表面が摩耗される前の状態が左図であり、摩耗後にb層が現れた状態が右図である。このように、表面側が摩耗されても、順次下方にある層が現れるため、凹部構造が維持され、撥水性が持続されうる。
同様に図4の右図においても、表面が摩耗されてb層が剥がれても、b層の下方にあるc層が現れるために、凹部構造が維持され、撥水性は長期間に渡って持続されうる。
図3に示すように、上記耐摩耗性撥水構造体は、樹脂基材3に複数の凹部4を配設して成る。また、図4に示すように、上記耐摩耗性撥水構造体は、表面側から順にa層、b層、c層を有する積層体であり、表層であるa層が摩耗されて剥がれると下から新しくb層が現れ、凹部構造が維持されることとなる。即ち、a層の表面が摩耗される前の状態が左図であり、摩耗後にb層が現れた状態が右図である。このように、表面側が摩耗されても、順次下方にある層が現れるため、凹部構造が維持され、撥水性が持続されうる。
同様に図4の右図においても、表面が摩耗されてb層が剥がれても、b層の下方にあるc層が現れるために、凹部構造が維持され、撥水性は長期間に渡って持続されうる。
なお、樹脂基材が層構造でない場合には、摩耗によって新たに出現する凹部構造の表面形状の再現性は、層構造である場合に比べて劣るが、凹部構造は維持されるので、撥水性能も維持されることは言うまでもない。即ち、樹脂基材が層構造である方が摩耗によって新たに出現する凹部構造の形状の再現性が良いので、撥水性能が高いレベルで維持されうる。
一方、本発明の耐摩耗性撥水構造体において、上記樹脂基材に配設された凹部は、基材表面の撥水性を向上させる観点から、直径Dが12μm以下になるようにする。好ましくは、上記凹部の直径Dが0.2μm〜10μmであることがよい。なお、直径Dが12μmを超えるときは、撥水性が低下し、水滴が表面に付着してしまう。
また、隣接する凹部同士の間隔Lは、凹部形成による撥水性の向上効果を有効にするべく、20μm以下になるようにする。好ましくは、同士の間隔Lが0.2μm〜18μmであることがよい。なお、間隔Lが20μmを超えるときは、撥水性が低下し、水滴が表面に付着してしまう。
更にまた、上記樹脂基材の表面積を上記凹部の数で割った値をAm2としたときに、A/Dの値が1.0×10−5m2/m以下であることが好ましい。この理由を以下に示す。
通常の雨滴の落下速度は、4m/s程度であるが、円柱状の凹部構造を表面に複数配設した微細凹凸表面に雨滴が落下する場合、凹部構造の直径Dが大きくなると、雨滴の落下衝撃によって、円柱状の凹部構造の内部に雨滴が浸透するので、撥水性が低下し、表面が濡れる。
本発明の耐摩耗性撥水構造体においては、A/Dの値を1.0×10−5m2/m以下とすることによって、落下してきた雨滴が凹部構造内に浸透せず、落下着床した雨滴が表面で撥水性を維持するようになりうる。
通常の雨滴の落下速度は、4m/s程度であるが、円柱状の凹部構造を表面に複数配設した微細凹凸表面に雨滴が落下する場合、凹部構造の直径Dが大きくなると、雨滴の落下衝撃によって、円柱状の凹部構造の内部に雨滴が浸透するので、撥水性が低下し、表面が濡れる。
本発明の耐摩耗性撥水構造体においては、A/Dの値を1.0×10−5m2/m以下とすることによって、落下してきた雨滴が凹部構造内に浸透せず、落下着床した雨滴が表面で撥水性を維持するようになりうる。
例えば、水の接触角が120°である樹脂基材に直径10μmの円柱状の凹部構造を11μm間隔で配設した場合は、A/Dの値が1.0×10−5m2/mであるので、落下着床した雨滴は凹部構造内に浸透しにくく、表面の撥水性が維持されやすい。
一方、同様の円柱状凹部構造を20μm間隔で配設した場合は、A/Dの値が3.5×10−5m2/mと上記基準値より大きくなるので、落下着床した雨滴は凹部構造内に浸透しやすく、撥水性が低下して表面が濡れやすくなることがある。
また、水の接触角が120°である樹脂基材に直径12μmの円柱状の凹部構造を14μm間隔で配置した場合は、A/Dの値が1.4×10−5m2/mと上記基準値より大きくなるので、落下した雨滴は凹部構造内に浸透しやすく、撥水性が低下して表面が濡れやすくなることがある。
一方、同様の円柱状凹部構造を20μm間隔で配設した場合は、A/Dの値が3.5×10−5m2/mと上記基準値より大きくなるので、落下着床した雨滴は凹部構造内に浸透しやすく、撥水性が低下して表面が濡れやすくなることがある。
また、水の接触角が120°である樹脂基材に直径12μmの円柱状の凹部構造を14μm間隔で配置した場合は、A/Dの値が1.4×10−5m2/mと上記基準値より大きくなるので、落下した雨滴は凹部構造内に浸透しやすく、撥水性が低下して表面が濡れやすくなることがある。
なお、かかる凹部構造は、樹脂基材の少なくとも一面に配設されていればよい。言い換えれば、上記樹脂基材が、例えば直方体などの多面体である場合は、撥水加工を施したい1以上の面に凹部を配設することができる。
また、上記凹部の形状は、代表的には、円柱状であるが三角形や四角形などの多角形状であってもよい。特に凹部底面が円形であることがよい。
更に、上記凹部は樹脂基材を貫通するように設けてもよい。このときは、開口を有する樹脂基材表面の双方に撥水性、撥水耐久性を付与することができる。
また、上記凹部の形状は、代表的には、円柱状であるが三角形や四角形などの多角形状であってもよい。特に凹部底面が円形であることがよい。
更に、上記凹部は樹脂基材を貫通するように設けてもよい。このときは、開口を有する樹脂基材表面の双方に撥水性、撥水耐久性を付与することができる。
上述のような微細凹部構造の製造方法としては、幾つかあるが、一例としては樹脂多層フィルムを熱ナノインプリント法で成形する方法を挙げることができる。
以上説明した本発明の耐摩耗性撥水構造体は、板、フィルム、糸などに成形とし利用することが考えられる。代表的には、自動車用内外装用材料に適用することができる。具体的には、自動車の窓用網戸、リアランプ、ヘッドランプ等への利用が考えられる。
特に、網戸を構成する糸の表面を撥水性にするためには構成糸の表面の水の接触角は少なくとも130°程度にすることが必要である。よって、本発明の耐摩耗性撥水構造体を網戸に適応した場合、構成糸のL/Dの値が1.8以下であれば、落下着床した雨滴の接触角が135°以上となり、通風性を維持しながら、雨の浸入を防止することができる。また、網目の間隔は0.1〜2.0mmであるとさらによい。
特に、網戸を構成する糸の表面を撥水性にするためには構成糸の表面の水の接触角は少なくとも130°程度にすることが必要である。よって、本発明の耐摩耗性撥水構造体を網戸に適応した場合、構成糸のL/Dの値が1.8以下であれば、落下着床した雨滴の接触角が135°以上となり、通風性を維持しながら、雨の浸入を防止することができる。また、網目の間隔は0.1〜2.0mmであるとさらによい。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
樹脂基材としてポリパーフルオロオクチルエチルアクリレートを単層構造で使用し、その表面に直径Dが2.0μmの円柱状の凹部構造を、凹部同士の間隔Lが2.2μmとなるように配設し、本例の耐摩耗性撥水構造体を得た。
この構造体において、凹部構造を形成した面の表面積をその表面内にある円柱状の凹部構造の数で割った値をA[m2]とし、円柱状の凹部構造の直径をD[m]としたとき、A/Dの値は2.1×10−5[m2/m]であった。また、L/Dの値は1.1であった。
樹脂基材としてポリパーフルオロオクチルエチルアクリレートを単層構造で使用し、その表面に直径Dが2.0μmの円柱状の凹部構造を、凹部同士の間隔Lが2.2μmとなるように配設し、本例の耐摩耗性撥水構造体を得た。
この構造体において、凹部構造を形成した面の表面積をその表面内にある円柱状の凹部構造の数で割った値をA[m2]とし、円柱状の凹部構造の直径をD[m]としたとき、A/Dの値は2.1×10−5[m2/m]であった。また、L/Dの値は1.1であった。
(性能評価)
以下の方法により各特性値を測定した。評価結果を表1に示す。
<水滴の落下着床>
高さ1mから5μLの水滴を落下着床させたときの水滴の状態を観察した。
<接触角>
純水の液滴3.1μLを水平なサンプル面上に静置したときの接触角を計測した。計測装置としては協和界面科学(株)製のCA−X型接触角計を用いた。
<摩耗による撥水性の劣化>
実車のフロントウインドウにサンプルを取り付け、ワイパーで9万往復摩耗した前後の水接触角を測定した。
以下の方法により各特性値を測定した。評価結果を表1に示す。
<水滴の落下着床>
高さ1mから5μLの水滴を落下着床させたときの水滴の状態を観察した。
<接触角>
純水の液滴3.1μLを水平なサンプル面上に静置したときの接触角を計測した。計測装置としては協和界面科学(株)製のCA−X型接触角計を用いた。
<摩耗による撥水性の劣化>
実車のフロントウインドウにサンプルを取り付け、ワイパーで9万往復摩耗した前後の水接触角を測定した。
高さ1mから落下した水滴は本例の構造体表面でバウンドした。
また、初期の水接触角は151.1°と超撥水性を示し、摩耗によっても、撥水性はほとんど劣化しなかった。
また、初期の水接触角は151.1°と超撥水性を示し、摩耗によっても、撥水性はほとんど劣化しなかった。
(実施例2)
樹脂基材としてポリパーフルオロオクチルエチルアクリレートを層厚0.2μmの20層構造とし、その表面に直径Dが2.0μmの円柱状の凹部構造を、凹部同士の間隔Lが2.2μmとなるように配設し、本例の耐摩耗性撥水構造体を得た。
この構造体において、凹部構造を形成した面の表面積をその表面内にある円柱状の凹部構造の数で割った値をA[m2]とし、円柱状の凹部構造の直径をD[m]としたとき、A/Dの値は2.1×10−5[m2/m]であった。また、L/Dの値は1.1であった。
樹脂基材としてポリパーフルオロオクチルエチルアクリレートを層厚0.2μmの20層構造とし、その表面に直径Dが2.0μmの円柱状の凹部構造を、凹部同士の間隔Lが2.2μmとなるように配設し、本例の耐摩耗性撥水構造体を得た。
この構造体において、凹部構造を形成した面の表面積をその表面内にある円柱状の凹部構造の数で割った値をA[m2]とし、円柱状の凹部構造の直径をD[m]としたとき、A/Dの値は2.1×10−5[m2/m]であった。また、L/Dの値は1.1であった。
実施例1と同様の評価試験を行ったところ、高さ1mから落下した水滴は本例の構造体表面でバウンドした。
また、初期の水接触角は151.4°と超撥水性を示し、摩耗によっても、撥水性はほとんど劣化しなかった。単一層構造と比べると、多少劣化しにくい傾向が見られた。
また、初期の水接触角は151.4°と超撥水性を示し、摩耗によっても、撥水性はほとんど劣化しなかった。単一層構造と比べると、多少劣化しにくい傾向が見られた。
(実施例3)
樹脂基材としてポリパーフルオロオクチルエチルアクリレートを下に行くほど層が厚くなる12層構造とし、その表面に直径Dが2.0μmの円柱状の凹部構造を、凹部同士の間隔Lが2.2μmとなるように配設し、本例の耐摩耗性撥水構造体を得た。
この構造体において、凹部構造を形成した面の表面積をその表面内にある円柱状の凹部構造の数で割った値をA[m2]とし、円柱状の凹部構造の直径をD[m]としたとき、A/Dの値は2.1×10−5[m2/m]であった。また、L/Dの値は1.1であった。
樹脂基材としてポリパーフルオロオクチルエチルアクリレートを下に行くほど層が厚くなる12層構造とし、その表面に直径Dが2.0μmの円柱状の凹部構造を、凹部同士の間隔Lが2.2μmとなるように配設し、本例の耐摩耗性撥水構造体を得た。
この構造体において、凹部構造を形成した面の表面積をその表面内にある円柱状の凹部構造の数で割った値をA[m2]とし、円柱状の凹部構造の直径をD[m]としたとき、A/Dの値は2.1×10−5[m2/m]であった。また、L/Dの値は1.1であった。
実施例1と同様の評価試験を行ったところ、高さ1mから落下した水滴は本例の構造体表面でバウンドした。
また、初期の水接触角は151.3°と超撥水性を示し、摩耗によっても、撥水性はほとんど劣化しなかった。層厚一定の多層構造と比べると、多少劣化しにくい傾向が見られた。
また、初期の水接触角は151.3°と超撥水性を示し、摩耗によっても、撥水性はほとんど劣化しなかった。層厚一定の多層構造と比べると、多少劣化しにくい傾向が見られた。
(実施例4)
樹脂基材としてポリパーフルオロオクチルエチルアクリレートを単層構造とし、その表面に直径Dが10μmの円柱状の凹部構造を、凹部同士の間隔Lが11μmとなるように配設し、本例の耐摩耗性撥水構造体を得た。
この構造体において、凹部構造を形成した面の表面積をその表面内にある円柱状の凹部構造の数で割った値をA[m2]とし、円柱状の凹部構造の直径をD[m]としたとき、A/Dの値は1.0×10−5[m2/m]以下を満たすぎりぎりであった。また、L/Dの値は1.1であった。
樹脂基材としてポリパーフルオロオクチルエチルアクリレートを単層構造とし、その表面に直径Dが10μmの円柱状の凹部構造を、凹部同士の間隔Lが11μmとなるように配設し、本例の耐摩耗性撥水構造体を得た。
この構造体において、凹部構造を形成した面の表面積をその表面内にある円柱状の凹部構造の数で割った値をA[m2]とし、円柱状の凹部構造の直径をD[m]としたとき、A/Dの値は1.0×10−5[m2/m]以下を満たすぎりぎりであった。また、L/Dの値は1.1であった。
実施例1と同様の評価試験を行ったところ、高さ1mから落下した水滴は本例の構造体表面でバウンドした。
また、初期の水接触角は151.2°と超撥水性を示し、摩耗によっても、撥水性はほとんど劣化しなかった。層厚一定の多層構造と比べると、多少劣化しにくい傾向が見られた。
また、初期の水接触角は151.2°と超撥水性を示し、摩耗によっても、撥水性はほとんど劣化しなかった。層厚一定の多層構造と比べると、多少劣化しにくい傾向が見られた。
(実施例5)
樹脂基材としてポリパーフルオロオクチルエチルアクリレートを単層構造とし、その表面に直径Dが2.0μmの円柱状の凹部構造を、凹部同士の間隔Lが2.8μmとなるように配設し、本例の耐摩耗性撥水構造体を得た。
この構造体において、凹部構造を形成した面の表面積をその表面内にある円柱状の凹部構造の数で割った値をA[m2]とし、円柱状の凹部構造の直径をD[m]としたとき、A/Dの値は3.3×10−6[m2/m]であった。また、L/Dの値は1.4であった。
樹脂基材としてポリパーフルオロオクチルエチルアクリレートを単層構造とし、その表面に直径Dが2.0μmの円柱状の凹部構造を、凹部同士の間隔Lが2.8μmとなるように配設し、本例の耐摩耗性撥水構造体を得た。
この構造体において、凹部構造を形成した面の表面積をその表面内にある円柱状の凹部構造の数で割った値をA[m2]とし、円柱状の凹部構造の直径をD[m]としたとき、A/Dの値は3.3×10−6[m2/m]であった。また、L/Dの値は1.4であった。
実施例1と同様の評価試験を行ったところ、高さ1mから落下した水滴は本例の構造体表面でバウンドした。
また、初期の水接触角は137.5°と撥水性を示し、摩耗によっても、撥水性はほとんど劣化しなかった。
また、初期の水接触角は137.5°と撥水性を示し、摩耗によっても、撥水性はほとんど劣化しなかった。
(実施例6)
樹脂基材としてポリパーフルオロオクチルエチルアクリレートを単層構造とし、その表面に直径Dが10μmの円柱状の凹部構造を、凹部同士の間隔Lが20μmとなるように配設し、本例の耐摩耗性撥水構造体を得た。
この構造体において、凹部構造を形成した面の表面積をその表面内にある円柱状の凹部構造の数で割った値をA[m2]とし、円柱状の凹部構造の直径をD[m]としたとき、A/Dの値は3.5×10−5[m2/m]であり、1.0×10−5[m2/m]以下を満たさなかった。また、L/Dの値は2.0であり、1.8以下を満たさなかった。
樹脂基材としてポリパーフルオロオクチルエチルアクリレートを単層構造とし、その表面に直径Dが10μmの円柱状の凹部構造を、凹部同士の間隔Lが20μmとなるように配設し、本例の耐摩耗性撥水構造体を得た。
この構造体において、凹部構造を形成した面の表面積をその表面内にある円柱状の凹部構造の数で割った値をA[m2]とし、円柱状の凹部構造の直径をD[m]としたとき、A/Dの値は3.5×10−5[m2/m]であり、1.0×10−5[m2/m]以下を満たさなかった。また、L/Dの値は2.0であり、1.8以下を満たさなかった。
実施例1と同様の評価試験を行ったところ、高さ1mから落下した水滴は本例の構造体表面で一部が濡れ広がり、バウンドしなかった。
また、初期の水接触角は127.8°と撥水性を示し、摩耗によっても、撥水性はほとんど劣化しなかった。
また、初期の水接触角は127.8°と撥水性を示し、摩耗によっても、撥水性はほとんど劣化しなかった。
(実施例7)
樹脂基材としてポリパーフルオロオクチルエチルアクリレートを単層構造とし、その表面に直径Dが12μmの円柱状の凹部構造を、凹部同士の間隔Lが19μmとなるように配設し、本例の耐摩耗性撥水構造体を得た。
この構造体において、凹部構造を形成した面の表面積をその表面内にある円柱状の凹部構造の数で割った値をA[m2]とし、円柱状の凹部構造の直径をD[m]としたとき、A/Dの値は2.6×10−5[m2/m]であり、1.0×10−5[m2/m]以下を満たさなかった。また、L/Dの値は1.6であった。
樹脂基材としてポリパーフルオロオクチルエチルアクリレートを単層構造とし、その表面に直径Dが12μmの円柱状の凹部構造を、凹部同士の間隔Lが19μmとなるように配設し、本例の耐摩耗性撥水構造体を得た。
この構造体において、凹部構造を形成した面の表面積をその表面内にある円柱状の凹部構造の数で割った値をA[m2]とし、円柱状の凹部構造の直径をD[m]としたとき、A/Dの値は2.6×10−5[m2/m]であり、1.0×10−5[m2/m]以下を満たさなかった。また、L/Dの値は1.6であった。
実施例1と同様の評価試験を行ったところ、高さ1mから落下した水滴は本例の構造体表面で一部が濡れ広がり、バウンドしなかった。
また、初期の水接触角は133.0°と撥水性を示し、摩耗によっても、撥水性はほとんど劣化しなかった。
また、初期の水接触角は133.0°と撥水性を示し、摩耗によっても、撥水性はほとんど劣化しなかった。
(比較例1)
樹脂基材としてポリパーフルオロオクチルエチルアクリレートを単層構造とし、その表面に直径Dが10μmの円錐状の凸部構造を、凸部同士の間隔が11μmとなるように配設し、本例の撥水構造体を得た。
樹脂基材としてポリパーフルオロオクチルエチルアクリレートを単層構造とし、その表面に直径Dが10μmの円錐状の凸部構造を、凸部同士の間隔が11μmとなるように配設し、本例の撥水構造体を得た。
実施例1と同様の評価試験を行ったところ、高さ1mから落下した水滴は本例の構造体表面でバウンドした。
但し、摩耗前の水接触角が150.1°であったのに対して、摩耗後の水接触角は122.0°となり、摩耗によって、撥水性は著しく劣化していた。
但し、摩耗前の水接触角が150.1°であったのに対して、摩耗後の水接触角は122.0°となり、摩耗によって、撥水性は著しく劣化していた。
以上説明したように、本発明好適形態である実施例1〜7の耐摩耗性撥水構造体は、表面に撥水性を発現するとともに、更に撥水性の摩耗耐久性が著しく向上していることがわかる。
1 柱状微細突起
2 基板
2 基板
Claims (10)
- 接触角が90°以上の樹脂基材の表面に複数の凹部を設けて成る耐磨耗性撥水構造体であって、
上記凹部の開口部形状の外接円の直径Dが12μm以下、隣接する凹部同士の間隔Lが20μm以下であることを特徴とする耐摩耗性撥水構造体。 - 上記樹脂基材は厚さ0.05μm〜50μmの層を積層して成ることを特徴とする請求項1に記載の耐摩耗撥水性構造体。
- 上記樹脂基材の層厚はより下層になるにつれて厚くなることを特徴とする請求項2に記載の耐摩耗撥水性構造体。
- 上記凹部は上記樹脂基材の少なくとも一面に配設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の耐摩耗撥水性構造体。
- 上記凹部の形状が円柱であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の耐摩耗撥水性構造体。
- 上記凹部が上記樹脂基材を貫通していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の耐摩耗撥水性構造体。
- 上記樹脂基材の表面積を上記凹部の数で割った値をAm2としたときに、A/Dの値が1.0×10−5m2/m以下であることを特徴とする請求項1に記載の耐摩耗性撥水構造体。
- 上記間隔Lを上記直径Dで除した値が、1.1以下であること特徴とする請求項1に記載の耐摩耗性撥水構造体。
- 請求項1〜8のいずれか1つの項に記載の耐摩耗撥水性構造体を適用したことを特徴とする自動車用内外装用材料。
- 請求項1〜7のいずれか1つの項に記載の耐摩耗撥水性構造体を構成糸として適用した網戸であって、
上記間隔Lを上記直径Dで除した値が、1.8以下、且つ網目の間隔が0.1〜2.0mmであることを特徴とする網戸。
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-
2006
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