JP2008099513A - モータ駆動装置およびこれを具備する冷蔵庫 - Google Patents
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Abstract
【課題】整流回路を大幅に小型化し、低コスト化したブラシレスモータの駆動装置の信頼性を高める。
【解決手段】交流電源1を入力とする整流回路2と、脈動の大きい整流回路2の出力電圧を入力とするインバータ5と、インバータ5により駆動されるブラシレスモータ6と、インバータ5を制御するインバータ制御部212と、インバータ5の入力電圧の平均値を演算する平均電圧演算手段25とを有し、平均電圧演算手段25の演算結果から交流電源1の電圧状態を監視し、インバータ5への入力電圧が所定の電圧より低くなったとき、インバータ5の出力を停止し、ブラシレスモータ6の駆動を停止する。
【選択図】図1
【解決手段】交流電源1を入力とする整流回路2と、脈動の大きい整流回路2の出力電圧を入力とするインバータ5と、インバータ5により駆動されるブラシレスモータ6と、インバータ5を制御するインバータ制御部212と、インバータ5の入力電圧の平均値を演算する平均電圧演算手段25とを有し、平均電圧演算手段25の演算結果から交流電源1の電圧状態を監視し、インバータ5への入力電圧が所定の電圧より低くなったとき、インバータ5の出力を停止し、ブラシレスモータ6の駆動を停止する。
【選択図】図1
Description
本発明は、ブラスレスモータをインバータにより駆動制御するモータ駆動装置、および前記駆動装置を具備する冷蔵庫に関するものである。
従来、この種のモータ駆動装置は、交流電圧が瞬時的に低電圧となった場合を高速で検出し、モータを停止する保護回路を設け、インバータを駆動するインバータ制御部の電圧不足によるインバータの破壊を防ぐように構成している(例えば、特許文献1参照)。
図5は、上記特許文献1に記載されている従来のモータ駆動装置を示すものである。以下の説明において、図5に示した従来のモータ制御装置を第1の従来技術とする。
図5において、制御装置は、交流電源101と、交流電源101に接続し交流を直流に変換する整流部102と、整流部102の出力電圧を安定した直流電圧に平滑する平滑コンデンサ103と、平滑コンデンサ103の出力を入力として直流電力を交流電力に変換するインバータ回路104と、インバータ回路104により駆動されるモータ105と、インバータ回路104を制御する制御回路106とを備えた構成である。
そして、制御回路106は、整流部102の直流電力を制御用の低電圧に変換する電源回路107と、インバータ回路104を制御してモータ105の回転を制御する回転制御回路108と、インバータ回路104の入力電圧を検出する電圧検知手段109と、電圧検知手段109の出力によって電圧低下異常を検出する電圧低下検知手段110と、電圧低下検知手段110の出力信号により、インバータ回路104の出力を停止する出力禁止手段111を具備した構成である。
電圧低下検知手段110は、電圧検知手段109により検出した電圧低下の変化率が所定値以上になると出力禁止手段111に信号を出力し、インバータ回路104の出力を停止させるよう構成することで、インバータ回路104の入力電圧の瞬時電圧低下を高速に検知し、パワースイッチング半導体の駆動を停止して電圧低下によるインバータ回路104の破壊を防止している。
一方、モータ駆動装置の小型・低コスト化を図るために、交流電源を整流した電圧をインバータに入力し、脈動の大きな入力電圧においても、ブラシレスモータへの電圧印加を停止することなく安定してブラシレスモータを駆動できるモータ駆動装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
図6は、上記特許文献2に示される内容のブロック図で、以下、図6を基に第2の従来技術について説明する。
図6において、交流電源201は、整流ダイオード203により脈動を持った直流電力に変換され、インバータ206に入力される。インバータ206は、整流された直流電力を交流電力に変換し、ブラシレスモータ207に所望の電圧を印加する。
インバータ制御部212は、dq変換部213、d軸PI制御器214、q軸PI制御器215、PWM生成部216を有し、インバータ206への入力電圧と、ブラシレスモータ207に流れるモータ電流と、ブラシレスモータ207に流れるべき値を示すモータ電流指令値が入力され、インバータ206への入力電圧値が印加すべき電圧値よりも小さいときにブラシレスモータ207への印加電圧の電圧位相を保持して、インバータ206を制御する。
これにより、インバータ206の直流側電圧が低いときでもブラシレスモータ207への電圧印加を停止させることなく連続的に電圧を印加するようにし、大きく脈動した電圧がインバータ206に入力された場合でも安定した駆動を実現することで、モータ駆動装置の小型化を図っている。
特開2000−358377号公報
特開2005−20986号公報
しかしながら、上記第1の従来技術は、交流電源101を整流し、さらにコンデンサ103で平滑した安定した直流電圧をインバータ104に入力し、モータ105を駆動する場合は有効な技術ではあるが、第2の従来技術に示す様に交流電源201を整流した脈動を含む電圧をインバータ206に入力し、モータ207を駆動するモータ駆動装置では、常に電圧低下を検出してしまうため、モータ207を駆動することができないという課題を有していた。
また上記第2の従来技術では、交流電源201の低下を検出することができず、ブラシレスモータ207が、所定のトルクで所定の回転数により駆動している状態において、交流電源201の電圧が低下した時、トルク及び回転数を保持する為には、モータ電流を増大しなければならず、かかる制御は、電流増大によるインバータの発熱や、ブラシレスモータの回転子における永久磁石の減磁等に対応する信頼性の確保が課題であった。
さらに交流電源201の電圧低下により、モータが脱調停止した時、交流電源の正常復帰の検出ができず、再起動のタイミングが確定できないという課題を有していた。
本発明の目的は、上記従来の課題を解決するものであり、大きく脈動する整流回路の出力電圧をインバータに入力してモータを駆動するモータ駆動装置において、交流電圧の瞬時低下が発生した場合、安全にモータを停止し、再度交流電源が正常な電圧に戻ったときに再度モータを駆動するようにし、第2の従来技術に示すモータ駆動装置の信頼性および実用性をより高めるものである。
上記従来の課題を解決するために、本発明のモータ駆動装置は、交流電源を入力とする整流回路の出力である大きな脈動を含む電圧をインバータに入力して、ブラシレスモータを安定して駆動させるインバータ制御部と、前記インバータの入力電圧を平均する平均電圧算出手段を設け、前記平均電圧算出手段により算出した前記インバータへ入力される平均電圧が、所定の電圧以下にとなったとき、前記インバータの出力を停止することで、前記ブラシレスモータを停止するようにしたものである。
これにより、交流電源が低下したことを間接的に検出し、前記インバータの出力を停止することで、速やかにブラシレスモータを停止することができる。
本発明のモータ駆動装置は、脈動を含む整流回路からの出力電圧をインバータの入力とした場合でも、安定したブラシレスモータの駆動を実現することで、小型・低コスト化を可能とすると共に、信頼性の高いモータ駆動装置が提供できる。
また本発明のモータ駆動装置を用いた冷蔵庫においては、前記モータ駆動装置を、冷凍システムを構成する圧縮機の駆動装置とすることができ、モータ駆動装置の小型化に伴い、食品貯蔵室の容積を大きくすることが可能となり、また前記モータ駆動装置の信頼性向上に伴い、圧縮機停止による冷蔵庫内温度上昇に起因した腐敗等による食品の無駄を省くことができる。
請求項1に記載の発明は、交流電源を入力とする整流回路と、脈動の大きい前記整流回路の出力電圧を入力とするインバータと、前記インバータにより駆動されるブラシレスモータと、前記インバータを制御するインバータ制御部と、前記インバータに入力される電圧の平均値を算出する平均電圧算出手段を具備し、前記平均電圧算出手段により算出した前記インバータへ入力される平均電圧が、所定の電圧以下にとなったとき、前記ブラシレスモータを停止するものである。
かかる構成とすることにより、脈動を含む整流回路からの出力電圧をインバータの入力としてブラシレスモータを駆動するモータ駆動装置において、安定したブラシレスモータの駆動を実現すると共に、交流電源の電圧の低下を、インバータ入力電圧の状態から間接的に検出でき、交流電源電圧低下に伴うインバータ入力電圧が低下したとき、前記インバータの出力を確実に停止することができるので、小型・低コストのモータ駆動装置の信頼性を向上することができる。
請求項2に記載の発明は、前記インバータへの入力電圧の平均値が所定の電圧以下に低下し、前記ブラシレスモータの運転を停止した状態において、前記インバータの入力電圧が、所定の電圧まで上昇したときを条件に前記ブラシレスモータの運転を再開するものである。
かかる構成とすることにより、交流電源電圧が正常状態に復旧したことを間接的に検出できるようになり、交流電源電圧が前記ブラシレスモータ再起動可能電圧に復旧した時、ブラシレスモータの運転を速やかに再開することができ、小型・低コストを実現しつつ、装置の実用化を向上している。
請求項3に記載の発明は、前記ブラシレスモータの停止状態において、所定の時間が経過するまでは前記ブラシレスモータの駆動再開を遅延するものである。
かかることにより、冷凍サイクルの圧縮機が停止した直後は再起動を行わず、圧縮機の吸入と吐出の圧力が平衡したときに再起動を行うため、再起動時の大電流を防止することができ、急激な過電流によるインバータの故障や永久磁石の減磁等を回避して、信頼性の向上をはかることができるものである。
請求項4に記載の発明は、前記ブラシレスモータを、冷凍システムを構成する圧縮機の駆動用としたものである。
かかることにより、整流回路のコンデンサを小容量とした場合であっても、インバータの入力電圧の変動、あるいは前記ブラシレスモータの回転斑に対しての影響を受け難くすることができる。
請求項5に記載の発明は、前記圧縮機を、レシプロ機構を具備する構成としたもので、かかることにより、慣性モーメントの大きいレシプロ構成であっても、前記交流電源電圧の低下に伴うブラシレスモータの停止と、交流電源電圧復帰時の再起動を高い確実性で行うことができ、また、インバータ入力電圧の変動等に起因して前記ブラシレスモータに回転斑が生じている状態であっても、その回転斑に起因する振動や騒音の圧縮機外部への伝播を抑制し、騒音および振動の増大を抑えることができるものである。
請求項6に記載の発明は、前記冷凍システムの冷媒を、R600aとしたものである。
したがって、冷凍能力の関係からR134a等のHFC系冷媒と比較して圧縮機のピストンを大型化する必要があるが、これに起因してモータの慣性モーメントが増大し、前記インバータ入力電圧の変動による前記ブラスレスモータの回転斑が生じても、これによる振動増大や騒音増大等の影響を受けることがほとんど無い。その結果、大容量の平滑コンデンサを整流回路に使用したモータ駆動装置と遜色の無い振動・騒音レベルでありながら小型・低コストの冷凍システムを提供することができる。
請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載したモータ駆動装置を具備する冷蔵庫としたものである。
これにより交流電源電圧の低下とそれに伴うインバータ入力電圧低下によるインバータの故障が回避でき、インバータ故障に伴う庫内温度上昇による食品の腐敗等が回避でき、冷蔵庫の信頼性を高めることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明するが、上記従来技術と同一の構成要素については、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。尚、この実施の形態により、本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるモータ駆動装置のブロック図である。
図1は、本発明の実施の形態1におけるモータ駆動装置のブロック図である。
図1において、交流電源1は、商用電源で、日本国内では周知の如くAC100V、50Hzまたは60Hzであり、整流回路2に接続している。整流回路2は、4個のダイオード3a、3b、3c、3dをブリッジ接続した整流ダイオード3と静電容量の小さい平滑用のコンデンサ4で構成され、整流ダイオード3で全波整流した電圧をコンデンサ4に入力する。
なお本実施の形態1において、コンデンサ4は、静電容量1μFの積層セラミックコンデンサを採用している。積層セラミックコンデンサは、近年高耐圧で大容量のコンデンサがチップで実現できるようになってきている。従来、この平滑用コンデンサには、主に大容量(200W出力の場合には数百μF)の電解コンデンサが使われていたため、装置そのものは大型となるものであったが、積層セラミックコンデンサの採用により、非常に小型の駆動装置が実現できることになる。
さらに、前述の如く平滑用に電解コンデンサを用いた場合は、使用周囲温度の影響や経年劣化等に起因した容量抜け等による寿命を考慮する必要があるが、本実施の形態1では、電解コンデンサを使用しないことで、装置の信頼性を向上することができる。
また、従来このコンデンサにおける静電容量の決定は、一般的にインバータ5の出力容量(WまたはVA)や駆動装置全体の入力容量(WまたはVA)から、直流電圧のリプル含有量や、リプル電流による平滑用コンデンサの耐リプル電流の特性等を考慮して行われていた。
かかることから、一般的には2〜4μF/W程度の容量を確保する事が慣例となっており、すなわち、200Wの出力容量の場合は400〜800μF程度の電解コンデンサを使用していた。
これに対し、本実施の形態1では、コンデンサ4に0.2μF/W以下の静電容量を持つコンデンサを使用している。すなわち200Wの出力容量の場合は、40μF以下のコンデンサを使用することになる。
インバータ5は、6個のスイッチング素子5a、5b、5c、5d、5e、5fと逆向きに接続されたダイオード5g、5h、5i、5j、5k、5lをセットにした回路を、6回路3相ブリッジ接続している。なお本実施の形態1では、インバータ5にFETを使用しているが、IGBTでもバイポーラトランジスタでも構わない。
ブラシレスモータ6は、インバータ5の3相出力により駆動される。モータ6の固定子には、3相スター結線された巻線が施され、この巻き方は集中巻であっても、分布巻であっても構わない。また回転子は、希土類系の永久磁石を採用しており、その配置方法は、表面磁石型(SPM)でも磁石埋め込み型(IPM)であっても構わない。また永久磁石は、フェライト系磁石でも構わない。
尚、永久磁石に希土類系磁石を用いた場合は、マグネット使用重量をフェライト系磁石と同重量使用した場合、モータ効率を向上することができ、またフェライト系磁石を用いたモータと同等のモータ性能とする場合は、マグネット重量を低減することができるため、モータ重量を軽量化する事ができる。
モータ6は、後述する圧縮機9を構成しており、該圧縮機9を構成する圧縮要素7の駆動源である。
圧縮要素7は、モータ6の回転子の軸に接続され、冷媒ガスを吸入し、圧縮して吐出する。このモータ6と圧縮要素7を同一の密閉容器に収納し、圧縮機9を構成する。
圧縮機9で圧縮された吐出ガスは、凝縮器10、減圧器11、蒸発器12を通って圧縮機9の吸い込みに戻るような冷凍空調システムを構成し、凝縮器10では放熱を行い、蒸発器12では吸熱を行うので、冷却や加熱を行うことができる。
尚、必要に応じて凝縮器10や蒸発器12に送風機等(図示せず)を付加し、熱交換をさらに促進することもある。また本実施の形態1では、冷凍空調システムを利用して冷蔵庫の庫内13を蒸発器12により冷却する構成としている。
また、平均電圧演算手段25は、インバータ5の入力電圧(即ち整流回路2の出力電圧)を入力として、その平均電圧を演算し、駆動回転数決定手段26に入力する。
尚、インバータ入力電圧の平均値を監視することにより、交流電源1の電圧状態をインバータ入力電圧から間接的に検出していることになる。
駆動回転数決定手段26は、ブラシレスモータ6の駆動回転数を決定するもので、インバータ5の入力の平均電圧が所定の電圧より高い通常状態においては、回転数設定手段27により設定された回転数を受けて、ブラシレスモータ6が設定された回転数で駆動するようにインバータ制御部へ指示する。
さらに、インバータ5の入力の平均電圧が所定の電圧以下となった場合、駆動回転数決定手段26は、ブラシレスモータ6を停止するようにインバータ制御部112へ指示し、インバータ5の出力を停止し、ブラシレスモータ6を停止するとともに、タイマ28のカウントを開始する。
尚、タイマ28は、インバータ入力の平均電圧が所定の電圧以下となり、ブラシレスモータを停止した時からカウントを開始するタイマであり、タイマ28がカウントを開始したとき、所定の時間が経過するまではインバータ入力の平均電圧が所定の電圧まで上昇した場合でも、駆動回転数決定手段26は、回転数設定手段27が指示する回転数が何れであろうと、ブラシレスモータ6を停止するようにインバータ制御部212へ指示する。したがって、インバータ制御部212は、ブラシレスモータ6の停止状態を維持する。
尚、インバータ制御部212は、dq変換部213、d軸PI制御器214、q軸PI制御器215、PWM生成部216を有し、大きな脈動を含む電圧をインバータ5に入力しても、ブラシレスモータ6の安定した駆動を実現するものであり、かかる内容については、第2の従来技術と全く同じ構成、同じ動作であることから、詳細な説明は省略する。
次に、ブラシレスモータ6を具備した圧縮機9について説明する。図2は、本実施の形態1における圧縮機の断面図である。
図2において、圧縮機9を構成する密封容器8内には、オイル14を貯溜すると共にR600aの冷媒15が封入され、また固定子16と回転子17からなるブラシレスモータ6およびこれによって駆動される前述の圧縮要素7がスプリング等により弾性的に支持されており、この構成によってブラシレスモータ6の回転による振動が圧縮機外部に伝播され難い構成となっている。
圧縮要素7は、回転子17が固定された主軸部18および偏芯軸部19から構成されたクランクシャフト20の主軸部18を軸支するとともに、圧縮室21を有するシリンダ22と、圧縮室21内で往復運動するピストン23と、偏芯軸部19とピストン23を連結する連結手段24を備え、レシプロ型の圧縮機構を構成している。
したがって、本実施の形態1においては、インバータの入力電圧に大きな脈動を含む場合でも、イナーシャが大きいレシプロ型圧縮機の特徴と構造から、脈動による振動および振動に伴う騒音が圧縮機外部に漏れにくくなっている。
尚本実施の形態1では、HFC系冷媒のR134aと比較して冷凍能力の低いHC系冷媒R600aを用いているので、同等の冷却性能を確保するためには、R134a用圧縮機より圧縮室容積を大きくする必要があり、ピストンが大型化する。したがって、かかる場合は、モータイナーシャが増大するため、図1に示す整流回路2の平滑コンデンサ4を非常に小さい容量とし、インバータ入力電圧に大きな脈動を含んだ場合であっても振動および騒音の影響がさらに受けにくくなり、安定した直流電圧をインバータに入力したモータ駆動装置と比較して、振動および騒音は遜色の無いレベルを実現している。
以上の構成において、図1、図3および図4を用いてモータ駆動装置の動作を説明する。
図3は、本発明の実施の形態1におけるモータ駆動装置の動作フローチャートであり、図4は、同実施の形態1におけるブラシレスモータの運転動作内容を示すタイミングチャートである。
図1、図3および図4において、交流電源1の電圧が安定した通常時は図4のA点までの区間に示すように、インバータ5の入力平均電圧は安定した状態を保っている。
このとき図3のstep101で回転数設定手段27によって設定されたブラシレスモータ6の回転数指示を取得する。
次にstep102でインバータ5の入力電圧の平均値を平均電圧演算手段25により演算し、step103で演算結果が所定の電圧V1より高いか低いかを判断する。
このとき、交流電源1の電圧が安定した正常なレベルを確保している場合は、演算結果がV1より高いため、step104に進む。
step104では、タイマ28が動作しているかどうかを確認する。タイマ28は、インバータ5の入力電圧の平均が低下したことを検出してブラシレスモータ6を停止したとき動作を行うため、この時タイマ28は停止している。従ってstep105に進み、タイマ28を停止および0にクリアし、step106に進む。
step106において、駆動回転数決定手段26は、回転数設定手段27により設定されたブラシレスモータ6の指示回転数を実際に駆動する回転数として決定し、step107でインバータ制御部212に駆動回転数を引き渡す処理を行う。その結果、インバータ5によってブラシレスモータ6を駆動し、以降この動作が繰り返される。
次に、交流電源1の電圧が安定した状態でブラシレスモータが駆動しているとき、図4におけるA点のタイミングで交流電源電圧が突然低下した時について説明する。
この時は、交流電源1の低下に伴い、インバータ5の入力電圧の平均が低下し、上述の場合におけるstep103での処理が異なる。
すなわち、step103で平均電圧演算手段25により演算した電圧が停止電圧V1より低くなったとき(図3におけるB点に到達)、step108へ移行してタイマ28の動作を開始し、step109で駆動回転数決定手段26がブラシレスモータ6の駆動回転数を0回転(即ち停止)と決定する。
その結果、step107で、インバータ制御部212にブラシレスモータ6を停止するように指示し、インバータ制御部212は、インバータ5の出力が停止する信号を出力することでブラシレスモータ5を停止する。
以降、平均電圧演算手段25での演算結果である電圧が起動電圧V1+ΔVへ上昇するまで(図4におけるC点)この動作を繰り返す。なお停止電圧V1の値は、インバータ制御部112へ電圧を供給する電源回路(図示せず)が正常に動作するための最低電圧(例えばDC50V)より高い値(例えば80V)に設定しており、インバータ入力電圧が停止電圧V1まで低下した場合でも電源回路は動作しており、これによってインバータ制御部212の動作が停止するまでにインバータ5の出力を安全かつ速やかに停止することができる。
ここで、本実施の形態1において、ブラシレスモータ6を、冷蔵庫の圧縮機を駆動するものとしているため、ブラシレスモータ6が停止した直後では、圧縮機9の吸入圧力と吐出圧力との間において圧力差が発生している。この様に、圧縮機9の吸入側と吐出側の圧力差が大きい状態で、ブラシレスモータ6の起動を試みた場合、ブラシレスモータ6への負荷が定格以上に大きく、モータ巻線に大電流が発生する可能性がある。この大電流はインバータ5のスイッチング素子5a、5b、5c、5d、5e、5fの機能停止(破壊等)や、モータ回転子の永久磁石の減磁等、モータ駆動装置の故障の原因となる。
したがって、本実施の形態1では、装置の信頼性を向上するため、交流電源1が異常に低下し、即ちインバータ入力電圧の平均値が所定の電圧より低下した時、これに起因してブラシレスモータ6を停止したとき、たとえ図4におけるE点で示すように交流電源1の電圧が正常な状態に復旧した場合であっても、所定の時間Tsが経過するまで、ブラシレスモータ6の再起動を行わないようにしている。
即ち、step103で平均電圧演算手段25による演算結果と停止電圧V1を比較し、停止電圧V1より高くなった時は、step104に進み、step104でタイマの動作状態を確認する。このとき、ブラシレスモータ6が交流電源1の電圧低下(即ちインバータ入力電圧低下)により停止された状態にあるので、タイマ28は動作中であり、step110に進む。
step110では、検出電圧が起動電圧V1+ΔVまで上昇したかどうかを判断し、この起動電圧V1+ΔVより低いとき(例えば、図4におけるB点とC点の区間)、駆動回転数決定手段26はstep111でブラシレスモータ6の停止を決定し、step7に進む。
またstep110で平均電圧演算手段25によって検出した電圧が起動電圧V1+ΔVより高くなったとき(図4におけるD点)は、step112へ移行し、ここでブラシレスモータ6の停止から時間Tsが経過したかを確認する。このとき経過時間がTsより短い場合(図4におけるC点からF点間)は、圧縮機9の吸入側と吐出側において圧力差を有している可能性があるため、step113に進み、ブラシレスモータ6の継続停止を決定し、step107でブラシレスモータ6の停止状態を決定する。
さらに、step112において、ブラシレスモータ6が停止してから時間Ts以上経過した場合(図4におけるF点以降)は、交流電源1の電圧が回復しており、また圧縮機9の吸入側と吐出側の圧力差が小さくなったタイミングであり、step114でタイマ28のカウントを停止し、0にクリアした後、step115でブラシレスモータ6の駆動回転数を回転数設定手段27で指示された値に決定し、step107で決定された回転数でブラシレスモータ6を駆動する。
なお、圧縮機9の停止から再起動までの遅延時間Tsは、冷凍サイクルの吸入圧力と吐出圧力が平衡するまでの時間を目安としており、その時間は冷凍システムの機器に応じて任意に設定すればよい。例えば家庭用冷蔵庫、ルームエアコン等であれば通常3分程度であるが、これに限るものではない。
このように交流電源1の電圧が低下したことを、インバータ5の入力平均電圧で間接的に検出してブラシレスモータ6を停止し、その後交流電源1が正常な状態に復帰した場合でも、一定時間経過するまでは、ブラシレスモータ6の起動を遅延することで、ブラシレスモータ6の永久磁石の減磁回避や、インバータ5の過電流による機能停止を回避し、モータ駆動装置の信頼性を向上することができる。
以上の様に、本実施の形態1においては、インバータ入力電圧の平均値を監視することで、交流電源1の電圧状態を間接的に監視し、交流電源1の低下時は、ブラシレスモータ6を停止させ、交流電源1の電圧復旧時は、ブラシレスモータ6を再起動出来るようにし、モータ駆動装置の小型化・低コスト化を図るとともに、モータ駆動装置の信頼性および実用性を向上することができるものである。
さらに、前記モータ駆動装置が冷凍サイクルの圧縮機9を駆動する場合は、インバータ5の入力電圧が、大きな脈動を含む電圧あるいは大きく変動する電圧であっても、前記冷凍サイクルへ与える影響は少なく、本モータ駆動装置の最適な用途の一つである。
また、本モータ駆動装置により冷凍システムの圧縮機9を駆動する場合、交流電源1の電圧の低下を検出してブラシレスモータ6を停止した後、一定時間経過後までブラシレスモータ6の駆動を遅延するため、その間において、冷凍システムの吸入側と吐出側の圧力における平衡を待ってからブラシレスモータ6を再起動することとなり、その結果、ブラシレスモータ6に流れる過電流を防止し、永久磁石の減磁やインバータ5の過電流による機能停止あるいは破壊を回避し、信頼性を向上することができる。
また、冷凍サイクルの圧縮機9がレシプロ構成の場合は、脈動が伴う入力電圧によって回転斑が発生しても、それに起因する騒音や振動の影響を受けにくく、振動および騒音の増大が抑制できる。
さらに冷凍サイクルの冷媒にR134aと比較して冷凍能力の低いR600aを使用すれば、圧縮機ピストンの大型化により慣性モーメントが増大するものの、R134a冷媒を使用した冷凍サイクルの圧縮機と比較して遜色の無い振動・騒音レベルを確保することができ、また装置の小型・低コスト化を図ることができるものである。
また、本モータ駆動装置を冷蔵庫に採用した場合、交流電源1の電圧低下とそれに伴うインバータ5の入力電圧低下によるインバータ5の故障が回避でき、インバータ5の故障による庫内温度の上昇、およびこれに起因する庫内食品の腐敗等が回避できることに加えて、モータ駆動装置の小型化を活かして食品貯蔵容量を大きくすることができるとともに、低コストな冷凍サイクルの提供もできる。
以上のように本発明のモータ駆動装置は、平滑コンデンサを大幅に小容量化したにもかかわらず、交流電源電圧の低下を検出することでインバータ入力電圧の低下を検出し、これにより交流電源電圧低下に伴うインバータ回路の機能停止あるいは破壊を回避することができ、しかも小型、低コスト化が図れ、且つ高い信頼性を確保することができるもので、AV機器(特に小型機器)等の如く、モータが非常に小さくてセンサをつけることが困難な機器や回路を非常に小型化したい場合などの用途に広く適用できるものである。
1 交流電源
2 整流回路
5 インバータ
6 ブラシレスモータ
9 圧縮機
15 冷媒
25 平均電圧演算手段
26 駆動回転数決定手段
212 インバータ制御部
2 整流回路
5 インバータ
6 ブラシレスモータ
9 圧縮機
15 冷媒
25 平均電圧演算手段
26 駆動回転数決定手段
212 インバータ制御部
Claims (7)
- 交流電源を入力とする整流回路と、脈動の大きい前記整流回路の出力電圧を入力とするインバータと、前記インバータにより駆動されるブラシレスモータと、前記インバータを制御するインバータ制御部と、前記インバータに入力される電圧の平均値を算出する平均電圧算出手段を具備し、前記平均電圧算出手段により算出した前記インバータへ入力される平均電圧が、所定の電圧以下にとなったとき、前記ブラシレスモータを停止するモータ駆動装置。
- 前記インバータへの入力電圧の平均値が所定の電圧以下に低下し、前記ブラシレスモータの運転を停止した状態において、前記インバータの入力電圧が、所定の電圧まで上昇したときを条件に前記ブラシレスモータの運転を再開する請求項1に記載のモータ駆動装置。
- 前記ブラシレスモータの停止状態において、所定の時間が経過するまでは前記ブラシレスモータの駆動再開を遅延する請求項2に記載のモータ駆動装置。
- 前記ブラシレスモータを、冷凍システムを構成する圧縮機の駆動用とした請求項1から3のいずれか一項に記載のモータ駆動装置。
- 前記圧縮機を、レシプロ機構を具備する構成とした請求項1から4のいずれか一項に記載のモータ駆動装置。
- 前記冷凍システムの冷媒を、R600aとした請求項4または請求項5に記載のモータ駆動装置。
- 請求項1から6のいずれか一項に記載したモータ駆動装置を具備する冷蔵庫。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006281108A JP2008099513A (ja) | 2006-10-16 | 2006-10-16 | モータ駆動装置およびこれを具備する冷蔵庫 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006281108A JP2008099513A (ja) | 2006-10-16 | 2006-10-16 | モータ駆動装置およびこれを具備する冷蔵庫 |
Publications (1)
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JP2008099513A true JP2008099513A (ja) | 2008-04-24 |
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ID=39381752
Family Applications (1)
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JP2006281108A Pending JP2008099513A (ja) | 2006-10-16 | 2006-10-16 | モータ駆動装置およびこれを具備する冷蔵庫 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2008099513A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010074883A (ja) * | 2008-09-16 | 2010-04-02 | Nidec Shibaura Corp | モータの駆動装置 |
-
2006
- 2006-10-16 JP JP2006281108A patent/JP2008099513A/ja active Pending
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