JP2008094687A - 光ファイバの製造方法および製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】2層以上の被覆層を被覆した構造をもつ光ファイバを製造する際に、各層の偏肉調整を容易にすることが可能な光ファイバの製造方法および製造装置を提供する。
【解決手段】光ファイバ母材1を加熱溶融して光ファイバ裸線2を線引きし、さらにこの光ファイバ裸線2の表面に2層以上の被覆層(保護層もしくはポリマークラッド層、又はこれらの組み合わせ)を2層以上、被覆装置12,14によって順次被覆して光ファイバ素線3となす光ファイバの製造方法であって、被覆装置12,14間に光ファイバの通過経路の固定装置20を設け、該固定装置20によって被覆装置12,14間の光ファイバ4の通過経路を固定した状態で、各々の被覆装置12,14において偏肉調整を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、光ファイバ母材を加熱溶融して光ファイバ裸線を線引きし、さらにこの光ファイバ裸線の外周に、保護層及び/又はポリマークラッド層(以下、保護層とポリマークラッド層とを総称して「被覆層」という場合がある。)を2層以上順次被覆して光ファイバ素線となす光ファイバの製造方法および製造装置に関する。
従来、光ファイバの製造は、図8に示すように、光ファイバ母材1を加熱炉11にて加熱溶融して光ファイバ裸線2を線引きし、次いで外傷からの保護やポリマークラッド層の形成を目的として、光ファイバ裸線2の表面に被覆装置12によりUV樹脂等を塗布し、次いで紫外線ランプ13により、塗布された樹脂をUV硬化する。2層以上の被覆層が必要な光ファイバについては、さらに、先に設けた被覆層の上に、被覆装置14によりUV樹脂等を塗布し、次いで紫外線ランプ15により、塗布された樹脂をUV硬化する。そして、被覆層が被覆された光ファイバ素線3は、張力計(図示略)、引き取り機17、巻き取り機19へと巻かれ、製品となる。
この被覆時に問題となるのが、光ファイバ裸線と被覆層との間(または内側の被覆層と外側の被覆層との間)の偏心量(同心度からのズレ)による偏肉(被覆厚の最大値と最小値との比)である。この偏肉を調整するためには、従来は、次のようなことが行われている。
特許文献1,2には、光ファイバに対する被覆装置12,14とのXY方向の相対位置を変化させることで、光ファイバが被覆装置内のダイス、ニップル穴内を通過する位置を調整し、偏肉を改善する方法が記載されている(図9参照)。
特許文献3には、光ファイバに対する被覆装置12,14の傾斜角度を変化させることで、光ファイバが被覆装置内のダイス、ニップル穴内を通過する位置を調整し、偏肉を改善する方法が記載されている(図10参照)。
特開2000−90756号公報 特開2001−300382号公報 特開2003−252653号公報
上記の方法では、2層以上の被覆層を被覆した構造をもつ光ファイバ素線において、次の欠点がある。
基本的に被覆装置の移動や傾斜により光ファイバの通過経路(パスライン)もまた変化するため、各層にて調整を行うと、他の層の偏肉もまた変化する。例えば2層構造の場合、1層目の偏肉調整の影響が2層目に、2層目の偏肉調整の影響が1層目に生じるので、かえって偏肉が悪くなるおそれがある。
特に、被覆厚が20μm以下の薄膜コート品については、偏心量が偏肉に与える影響が相対的に大きく、このため、高い調整精度が要求される。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、2層以上の被覆層を被覆した構造をもつ光ファイバを製造する際に、各層の偏肉調整を容易にすることが可能な光ファイバの製造方法および製造装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、光ファイバ母材を加熱溶融して光ファイバ裸線を線引きし、さらにこの光ファイバ裸線の表面に、保護層及び/又はポリマークラッド層を2層以上、被覆装置によって順次被覆して光ファイバ素線となす光ファイバの製造方法であって、被覆装置間に光ファイバの通過経路の固定装置を設け、該固定装置によって光ファイバの通過経路を固定した状態で、各々の被覆装置において偏肉調整を行うことを特徴とする光ファイバの製造方法を提供する。
前記偏肉調整は、光ファイバの通過経路に対する被覆装置の傾斜角度の調整によって、あるいは、光ファイバの通過経路に対する被覆装置の水平方向位置の調整によって行うことができる。
本発明は、前記通過経路の固定装置として、3つ以上のプーリを組み合わせた装置を用い、これらプーリを使用して通過経路上の光ファイバを曲げることによって光ファイバの通過経路を固定するものとすることができる。
また、前記通過経路の固定装置として、光ファイバの通過経路に対して平行かつ互い違いに設置された3つのV溝プーリを備えた装置を用い、上下2つのV溝プーリを光ファイバに接触させた後、中央のV溝プーリを光ファイバに対して押し込み、通過経路上の光ファイバを曲げることによって光ファイバの通過経路を固定するものとすることができる。
光ファイバの通過経路を固定したとき、固定なし時と比較して紡糸張力の増加分が20gf以下であることが好ましい。
本発明は、前記2層以上の保護層及び/又はポリマークラッド層のうち、内側の層の被覆厚が20μm以下である場合に、特に好適である。
本発明においては、前記2層以上の保護層及び/又はポリマークラッド層のうち、内側の層のヤング率が50MPa以上であることが好ましい。
また、本発明は、光ファイバ母材を加熱溶融して光ファイバ裸線を線引きし、さらにこの光ファイバ裸線の表面に、保護層及び/又はポリマークラッド層を2層以上、被覆装置によって順次被覆して光ファイバ素線となす光ファイバの製造装置であって、被覆装置間に光ファイバの通過経路の固定装置が設けられ、該固定装置は、光ファイバの通過経路に対して平行かつ互い違いに設置された3つのV溝プーリを備え、上下2つのV溝プーリを光ファイバに接触させた後、中央のV溝プーリを光ファイバに対して押し込み、通過経路上の光ファイバを曲げることによって光ファイバの通過経路を固定するようになっていることを特徴とする光ファイバの製造装置を提供する。
本発明によれば、被覆装置の間で光ファイバの通過経路を固定するため、各々の被覆装置において被覆層毎に単独で偏肉調整を行うことができ、各被覆装置における偏肉調整を、互いに影響を与えることなく独立して行うことができる。偏肉調整の影響を互いに与えないため、偏肉調整が容易になり、結果として良品部が長く取れ、歩留まりを向上することができる。
光ファイバの通過経路に対する被覆装置の傾斜角度を調整すると、被覆装置内のダイスやニップルの傾斜角度もまた変化するため、被覆装置内の光ファイバの通過経路が変化し、被覆層の偏肉調整を行うことができる。
光ファイバの通過経路に対する被覆装置の水平方向位置を調整すると、被覆装置内のダイスやニップルの水平方向位置もまた変化するため、被覆装置内の光ファイバの通過経路が変化し、被覆層の偏肉調整を行うことができる。
3つ以上のプーリを組み合わせた通過経路の固定装置を用い、これらプーリを使用して光ファイバの通過経路を曲げるように設置すると、光ファイバを狭いところに挟み込む必要がないので、光ファイバの被覆層にダメージを与えることなく、光ファイバの通過経路を固定することができる。また、紡糸張力の増加量が少ないため、プーリに対する光ファイバの押し付け力が弱く、光ファイバにねじれ等が生じることなく製造することができる。
内側の被覆層の被覆厚が20μm以下である場合には、偏心量が偏肉へ与える影響が大きいため、偏肉調整をより効果的に行うことができる。
内側の被覆層のヤング率が50MPa以上である場合には、通過経路の固定装置におけるプーリ等に接触したときに、該被覆層がプーリ等に付着して削れることがなく、良好な製造を実施することができる。
以下、最良の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1は、本発明の光ファイバの製造方法および製造装置を説明する概略図である。同図において、符号1は光ファイバ母材である。光ファイバ母材1を紡糸炉(加熱炉)11にて加熱溶融し、光ファイバ裸線2を線引き(紡糸)する。光ファイバ裸線2は、冷却筒(図示略)を通して被覆層の形成に適する温度まで冷却した後、第1の被覆装置12により一次被覆用樹脂(UV樹脂等)を塗布する。光ファイバ裸線2の表面に塗布された一次被覆用樹脂は、第1の架橋筒13内にて硬化して、一次被覆(内側の被覆層)を形成する。さらにこの一次被覆の表面に、第2の被覆装置14により二次被覆用樹脂を塗布した後、第2の架橋筒15を通して前記二次被覆用樹脂を硬化させて二次被覆(外側の被覆層)を形成し、光ファイバ素線3とする。光ファイバ素線3は、ターンプーリ16を介して引き取り機17により引き取られ、ダンサー18を経由して巻き取り機19に巻き取られる。
ここで、光ファイバ裸線は、光ファイバのガラスからなる部分であり、これは、コアを構成する場合、コアとクラッドを構成する場合、コアの全部とクラッドの一部を構成する場合が挙げられる。
被覆層は、保護層もしくはポリマークラッド層、あるいはこれらの組み合わせである。
本発明によって製造される光ファイバ素線は、光ファイバ裸線の表面に2層以上の被覆層を順次被覆したものであれば特に限定されないが、その具体例としては、以下に示す形態が例示される。
(1)光ファイバ裸線がガラスコアとガラスクラッドを有し、その外周に2層以上の保護層を設けてなる光ファイバ素線、
(2)光ファイバ裸線がガラスコアを有し、その外周に2層以上のポリマークラッド層を設けてなる光ファイバ素線、
(3)光ファイバ裸線がガラスコアを有し、その外周に1層以上のポリマークラッド層と、1層以上の保護層とを設けてなる光ファイバ素線。
本形態例の光ファイバの製造装置10においては、第1の被覆装置12と第2の被覆装置14との間に、光ファイバの通過経路(以下、パスラインという。)の固定装置20が設けられており、該パスライン固定装置20によってパスラインを固定した状態としている。ここで、パスラインを固定した状態とは、被覆装置12,14の間において上から下に引き取られる光ファイバ4の通過経路が、水平方向に変動することのない状態をいう。パスラインを固定した状態においても、光ファイバ4自体はパスラインに沿って移動し、円滑に引き取られる。
パスラインを固定した状態で各々の被覆装置12,14において被覆層の偏肉調整を行うことにより、被覆装置12,14における偏肉調整を、互いに影響を与えずに単独で行うことができる。これにより、偏肉調整が容易になり、良品部を長く取ることが可能になり、歩留まりを向上することができる。
各被覆装置12,14における偏肉調整は、パスラインに対する被覆装置の傾斜角度や水平方向位置(XY位置)の調整によって行うことができる。被覆装置の傾斜や位置を調整する具体的な装置は特に限定されず、例えば上述の特許文献1〜3に記載された被覆装置および調整装置を用いることができる。被覆装置の傾斜や角度を調整すると、被覆装置内のダイスやニップルの傾斜や位置もまた変化するため、被覆装置内の光ファイバの通過経路が変化し、被覆層の偏肉調整を行うことができる。本形態例の実施においては、傾斜と位置のうち一方のみを調整するようにしてもよく、あるいは両方を調整するようにしてもよい。
パスライン固定装置20の一例としては、図2に示すように、パスラインに対して平行かつ互い違いに設置された3つのV溝プーリ21,22,23を備えた装置が挙げられる。この固定装置20を用いてパスラインを固定する手順は、図3に示すように、3つのプーリ21,22,23がすべてパスライン上の光ファイバ4から離れた状態を初期状態として、まず、図4に示すように、上下2つのプーリ21,22を光ファイバ4に接触させた後、図5に示すように、中央のプーリ23を光ファイバ4に対して押し込み、図2に示すように、パスライン上の光ファイバ4を曲げる。これによってパスラインが固定される。
ここではプーリの個数は3個と説明したが、本発明は特に3個に限定されるものではなく、3個以上であれば同様の手順を実施できることは言うまでもない。例えば、図2〜図5を参照して説明した手順において、上側のプーリ21、下側のプーリ22、中央のプーリ23はそれぞれ1個のプーリでなくともよく、例えば1個のプーリを2個以上のプーリからなる組に置き換えたとしても、同等の機能を果たすことが可能であることは明らかである。しかし、上側のプーリ21、下側のプーリ22、中央のプーリ23として、それぞれ1個のプーリを設置した場合には、パスライン固定装置の構成や各プーリの制御方法が単純になるため、好ましい。
図2〜図5では、図面を簡略にするため、パスライン固定装置20のうちプーリ21〜23のみを図示したが、パスライン固定装置20には、このほか、各プーリ21〜23を支持する支持手段、各プーリ21〜23をパスラインに向かって押し込み、もしくはパスラインから離れる方向に移動させる駆動手段や制御手段等が、適宜設けられる。上述の機能を有するパスライン固定装置20は、様々に設計することが可能であり、パスライン固定装置20の構成上の詳細は、本発明において特に限定されるものではない。
このようなパスライン固定装置20によれば、偏肉調整前の紡糸製造条件までの調整作業、例えば被覆装置に光ファイバ裸線を挿入したり、良品製造条件までの線速や張力の調整作業などは、従来とは変えることなく行うことができる。さらに、3つ以上のプーリを組み合わせた固定装置を使用することにより、
パスライン固定装置20としては、3つ以上のプーリを使用し、これらプーリに沿ってパスラインを曲げるように設置すると、光ファイバを狭いところに挟み込む必要がないので、光ファイバの被覆層にダメージを与えることなく、パスラインを固定することができる。
本発明において、パスラインを固定したとき、固定なし時と比較して紡糸張力の増加分は20gf以下とすることが好ましい。これにより、光ファイバに無駄な抵抗(力)を与えることがなく、最低限パスラインの固定を行うことができる。特に、プーリとして図6に示すようにV溝プーリ31を使用した場合、図6(a)に示すように光ファイバ32が厳密にV溝33の中央部に固定されればよいが、図6(b)に示すようにV溝33に対して若干片側への接触が強い場合、光ファイバ32に一方向ねじれ(図6(b)に矢印34で示す。)が生じてしまうという問題がある。一方向ねじれが生じると、光ファイバのテープ化等の後工程において作業性が悪化する。したがって、紡糸張力の増加分が20gf以下となるように光ファイバ32に対するプーリ31の押し付け力を調整することによって、押し付け力が過剰となることがなく、ねじれのトルクが伝わらず、光ファイバに一方向ねじれが生じることを避けることができる。
本発明に係る方法は、被覆厚によって作用が異なるものではないが、特に、内側の被覆層(パスライン固定装置が設けられた位置より上側で設けられる被覆層)の被覆厚が20μm以下である場合には、偏心量が偏肉へ与える影響が大きいため、本発明の手法がより効果的となる。
図7に示す光ファイバ素線の断面図は、(a)薄膜で偏肉無し、(b)厚膜で偏肉無し、(c)薄膜で偏肉有り、(d)厚膜で偏肉有りの場合を示す。偏肉無しの(a)および(b)では、一層目の被覆5の厚みについてA=B、二層目の被覆6の厚みについてC=Dであるが、偏肉有りの場合、A≠B、C≠Dとなる。ここで、(c)と(d)とを比較すれば、被覆厚が薄いほど、偏心量が偏肉へ与える影響が大きいことが分かる。
本発明に係る方法は、内側の被覆層(パスライン固定装置が設けられた位置より上側で設けられる被覆層)のヤング率が50MPa以上である場合に利用することが好ましい。偏肉調整方法自体は被覆層のヤング率には無関係であるが、プーリ等を利用したパスライン固定装置は、該内側の被覆層と接触してパスラインの固定を行うものであるため、ヤング率が小さい材質に適用すると、プーリ等に被覆層が貼り付き、剥がれてしまうおそれがある。したがって、本発明の手法は、プーリ等への貼り付きや剥がれのない、内側の被覆層のヤング率が50MPa以上の光ファイバ素線の製造の場合に、特に有効である。
以下、実施例および比較例をもって本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
各実施例では、図1に示すように、パスライン固定手段を用いて2層の被覆層を有する光ファイバを製造し、各比較例では、図8に示すように、パスライン固定手段を用いずに2層の被覆層を有する光ファイバを製造した。線引き速度は、共通の条件として、いずれも1000m/minとした。
表1および表2に実施の一覧を示すように、実施例のうち、実施例1〜3および5〜7では、図2〜図5に示すように3個のプーリを互い違いに設置し光ファイバの通過経路を曲げることによってパスラインを固定した。実施例4では、2個のプーリを向かい合わせた間の狭い空間に光ファイバをはさみこむ方式(挟み方式)によってパスラインを固定した。
Figure 2008094687
Figure 2008094687
表1において、偏肉調整方法としては、被覆装置の傾斜角度の調整によって行う方式と、被覆装置の水平方向位置の調整によって行う方式を使用した。表1において「XY」は水平方向位置の調整のみ、「傾斜」は傾斜角度の調整のみ、「XY−傾斜」は水平方向位置と傾斜角度の両方の調整によることを表す。
偏肉調整回数とは、被覆層の偏肉調整を1層目と2層目で交互に繰り返したときの延べの繰り返し回数(1層目の偏肉調整回数と2層目の偏肉調整回数との和)である。
所要時間とは、光ファイバの製造を開始するときに、偏肉調整に要した時間である。
不良ファイバ長とは、偏肉調整の間に線引きされたため不良とされた光ファイバの長さであり、今回は、偏肉調整の所要時間と線引き速度とから換算した。
1層目被覆厚および2層目被覆厚とは、それぞれ偏肉がないときの理想被覆厚(目標値)を示す。
表2において、1層目偏肉および2層目偏肉は、それぞれの被覆層の偏肉(被覆厚の最大値と最小値との比)であり、偏肉がない場合は1となる。
紡糸張力の増加分とは、パスライン固定装置を設けたことによる光ファイバの紡糸張力の増加分である。
ねじれとは、線引きした光ファイバに生じた一方向ねじれの大きさであり、光ファイバの長さ1mあたりのねじれ角度(°/m)で表した。
1層目ヤング率とは、1層目の被覆層(UV樹脂の硬化後)のヤング率である。
1層目コート径変動とは、1層目の被覆層のコート径(光ファイバ裸線に1層目の被覆層を設けた状態における直径)の変動の絶対値を表す。
剥離とは、光ファイバ裸線(ガラス)と被覆層との間の剥離の有無を表す。
以上の項目について評価を行い、比較した。
実施例1〜3は、パスライン固定手段としては、いずれも図2〜図5に示すパスライン固定装置20を使用しており、偏肉調整方法が、XY方向のみ、傾斜角度のみ、XY方向と傾斜角度の両方、の3通りでの比較である。それぞれ1層目被覆厚および2層目被覆厚が異なるが、いずれの場合においても、偏肉調整回数が2回(1層目と2層目をそれぞれ1回ずつ)で済み、偏肉は1.1以下であり、その他も特に問題なく、不良ファイバ長も短く、良好に偏肉調整して光ファイバを製造することができた。
これに対して比較例1〜3は、パスライン固定手段を用いずに偏肉調整を行った結果である。偏肉調整方法によらず、およそ10回の偏肉調整が必要であった。しかも得られた光ファイバの偏肉も1.2程度が限界であり、良好であるとは言えないものであった。
実施例4は、パスライン固定手段として2個のプーリで光ファイバを両側から挟み込む方式を用いた結果を示している。被覆装置間でパスラインを固定した結果、偏肉調整回数や所要時間は短く、得られた光ファイバの偏肉も良好であったが、光ファイバ裸線(ガラス)と被覆層との間に剥離が生じてしまった。
実施例5は、パスライン固定手段による紡糸張力の増加分が30gfである結果を示している。パスライン固定手段として、図2〜図5に示すパスライン固定装置20を使用しているため、偏肉調整や剥離については問題はなかったものの、紡糸張力の増加分が30gfであったため、得られた光ファイバ素線に一方向ねじれが生じ、テープ工程などの後工程で問題が生じてしまった。
実施例6と比較例4は、被覆厚が比較的大きい(厚膜の)場合におけるパスライン固定手段の効果を調べた結果を示している。実施例6の結果より、パスライン固定手段が存在する場合には、薄膜時と同様に偏肉調整の利点が生かされており、偏肉調整回数が少ないなどの効果が得られている。比較例4は、パスライン固定手段が無い場合についても、薄膜の場合と比較して偏肉調整回数が少なく、偏肉も小さくなっているが、パスライン固定手段がある場合と比べると、やはり偏肉調整回数が多くなっており、それによる不良ファイバ長も長くなっている。
実施例7は、1層目ヤング率が20MPaである結果を示している。パスライン固定手段として、図2〜図5に示すパスライン固定装置20を使用しているため、偏肉調整や剥離については問題はなかったものの、1層目ヤング率が20MPaと低いために、固定装置内でプーリと接触する個所において被覆材料の削れが確認され、その結果、コート径変動が大きくなる結果となった。
以上の結果により、本発明の製造方法について、次のことがいえる。
・偏肉調整方法に関わらず、偏肉調整回数減により調整時間を減少でき、よって不良ファイバ長が短くなり、良好な光ファイバ素線を製造することができる。
・パスラインの固定方法としては、2個のプーリの挟み方式では被覆した被覆層にダメージを与えるため、好ましくない。
・パスライン固定装置による紡糸張力の増加は、ファイバねじれ低減の観点から、20gf以下であることが望ましい。
・本発明は、被覆厚が薄い場合に、特に効果が得られる。
・1層目の被覆層のヤング率は、50MPa以上が好ましい。
本発明は、2層以上の被覆層を被覆した構造をもつ光ファイバの製造に利用することができる。例えば、石英系光ファイバ素線、ポリマークラッド光ファイバ素線などの光ファイバ素線が挙げられる。
本発明の光ファイバの製造方法および製造装置を説明する概略図である。 3個のプーリを用いたパスライン固定装置を説明する概略図である。 図2の固定装置について、固定前の状態を示す概略図である。 図2の固定装置について、固定の第1段階を示す概略図である。 図2の固定装置について、固定の第2段階を示す概略図である。 V溝プーリに対する光ファイバの接触状態を説明する図面であり、(a)はV溝の中央に接触した状態を示し、(b)は偏り接触した状態を示す。 被覆層の膜厚と偏肉との関係を説明する図面であり、(a)は薄膜で偏肉無し、(b)は厚膜で偏肉無し、(c)は薄膜で偏肉有り、(d)は厚膜で偏肉有りの場合を示す、光ファイバ素線の断面図である。 従来の光ファイバの製造装置を説明する概略図である。 特許文献1に記載された偏肉調整装置を説明する概略図である 特許文献2に記載された偏肉調整装置を説明する概略図である
符号の説明
1…光ファイバ母材、2…光ファイバ裸線、3…光ファイバ素線、4…被覆装置間の光ファイバ、5…一次被覆(内側の被覆層)、6…二次被覆(外側の被覆層)、10…光ファイバの製造装置、12…第1の被覆装置、14…第2の被覆装置、20…光ファイバの通過経路(パスライン)の固定装置、21…上側のV溝プーリ、22…下側のV溝プーリ、23…中央のV溝プーリ。

Claims (9)

  1. 光ファイバ母材を加熱溶融して光ファイバ裸線を線引きし、さらにこの光ファイバ裸線の表面に2層以上の保護層及び/又はポリマークラッド層を2層以上、被覆装置によって順次被覆して光ファイバ素線となす光ファイバの製造方法であって、被覆装置間に光ファイバの通過経路の固定装置を設け、該固定装置によって光ファイバの通過経路を固定した状態で、各々の被覆装置において偏肉調整を行うことを特徴とする光ファイバの製造方法。
  2. 前記偏肉調整は、光ファイバの通過経路に対する被覆装置の傾斜角度の調整によって行うことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバの製造方法。
  3. 前記偏肉調整は、光ファイバの通過経路に対する被覆装置の水平方向位置の調整によって行うことを特徴とする請求項1または2に記載の光ファイバの製造方法。
  4. 前記通過経路の固定装置として、3つ以上のプーリを組み合わせた装置を用い、これらプーリを使用して通過経路上の光ファイバを曲げることによって光ファイバの通過経路を固定することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光ファイバの製造方法。
  5. 前記通過経路の固定装置として、光ファイバの通過経路に対して平行かつ互い違いに設置された3つのV溝プーリを備えた装置を用い、上下2つのV溝プーリを光ファイバに接触させた後、中央のV溝プーリを光ファイバに対して押し込み、通過経路上の光ファイバを曲げることによって光ファイバの通過経路を固定することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光ファイバの製造方法。
  6. 光ファイバの通過経路を固定したとき、固定なし時と比較して紡糸張力の増加分が20gf以下であることを特徴とする請求項5に記載の光ファイバの製造方法。
  7. 前記2層以上の保護層及び/又はポリマークラッド層のうち、内側の層の被覆厚が20μm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光ファイバの製造方法。
  8. 前記2層以上の保護層及び/又はポリマークラッド層のうち、内側の層のヤング率が50MPa以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光ファイバの製造方法。
  9. 光ファイバ母材を加熱溶融して光ファイバ裸線を線引きし、さらにこの光ファイバ裸線の表面に、保護層及び/又はポリマークラッド層を2層以上、被覆装置によって順次被覆して光ファイバ素線となす光ファイバの製造装置であって、
    被覆装置間に光ファイバの通過経路の固定装置が設けられ、該固定装置は、光ファイバの通過経路に対して平行かつ互い違いに設置された3つのV溝プーリを備え、上下2つのV溝プーリを光ファイバに接触させた後、中央のV溝プーリを光ファイバに対して押し込み、通過経路上の光ファイバを曲げることによって光ファイバの通過経路を固定するようになっていることを特徴とする光ファイバの製造装置。
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