JP2008091995A - 光伝送装置およびその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】信号波長数が変化したときの過渡的な利得変動を抑圧し、光信号の通信品質を保つことができるようにする。
【解決手段】信号光および自然放出光を含む光について波長チャンネルに相当する波長成分ごとに光パワーを可変させる光パワー制御デバイス24と、前記信号光の波長チャンネルの配置情報を取得する波長配置情報取得部6aと、波長配置情報取得部6aで取得した前記配置情報に基づき、前記信号光の波長成分の光パワーと、前記信号光の波長成分以外の波長成分についての光パワーと、が実質的に同等となるようにパワー制御デバイス24を制御する制御部6bと、をそなえる。
【選択図】図1

Description

本発明は、光伝送装置およびその制御方法に関し、特に、光信号を波長多重して伝送させる光ネットワークにおいて用いて好適の、光伝送装置およびその制御方法に関するものである。
近年、波長多重光伝送システムの一例として、地方の拠点都市間を結び、拠点に配置される任意のノードで任意波長の光信号を挿抜(アド/ドロップ)可能な光ネットワーク(メトロコア)システムが注目されている。
図6はメトロコアシステムの構成例を示すブロック図で、このメトロコアシステムをなす波長多重光伝送システム100においては、光信号をアド/ドロップ可能な複数のOADM(Optical Add-Drop Multiplexer)ノード101(例えば図6中の101−1,101−2および101−n)や、図示しない光ブロードバンドHUB、光スイッチングHUBなどがそれぞれ伝送路光ファイバ102を介して接続されたものである。そして、複数のOADMノード101における任意のOADMノード101間で信号パスを設定することにより、波長多重信号光による通信を行なうことができるようになっている。
なお、各OADMノード101やその他光伝送装置の前後段には、必要に応じて、それぞれ光アンプ103(プリアンプ及びポストアンプ)が設けられ、伝送路光ファイバ102やOADMノード101で受ける信号光パワーの損失を補償する役割を担っている。
上述のOADMノード101間での通信においては、運用中にOADMノード101で信号パスの切り替えが動的に行なわれるようになっているため、システム中を伝送する信号波長数が動的に変化する。このような信号波長数の変化が頻繁に生じても、個々の光信号の通信品質を保つことが必要である。この波長数変動に対して、各信号波長の出力光パワーを一定に保持(波長に対する利得平坦性を維持)するために、通常、上記光アンプ103には、利得一定制御(AGC)機能を有するAGCアンプが適用される。この光アンプ103には例えばEDFA(Erbium Doped Fiber Amplifier)等のファイバ増幅器が用いられる。
図7は、OADMノード101の構成例を示す図である。このOADMノード101は、分波器111と、信号光を自ノード101で(ドロップ方路101dへ)分岐するための分岐カプラ112、信号光を通過させるか自ノード101で(挿入方路101aからの光を)挿入するかを選択する光スイッチ113、光スイッチ113からの光をパワー調整するための光可変減衰器(VOA:Variable Optical Attenuator)114、および合波器115をそなえている。
図6に示すOADMノード101−2における構成に着目する。このOADMノード101−2よりも伝送路光ファイバ102の上流側にそなえられるOADMノード101−1から、波長多重信号光が入力されると、図7に示すように、このOADMノード101−2をなす分波器111で信号波長毎に分波される。
そして、分波された各信号光は次に配置される光スイッチ113の設定により、当該OADMノード101−2でドロップされるか、または通過(スルー)されるかが決まる。当該OADMノード101−2でドロップされる波長については、光スイッチ113により挿入方路からの光をOADMノード101−n側に出力される光に挿入(アド)することもできる。このようにして光スイッチ113を通過した信号光は、VOA114で出力パワー調整が行なわれ、合波器115へ出力される。合波器115では波長毎に分波された光信号を再び多重化し、下流側の伝送路光ファイバ102を通じてOADMノード101−n側に出力される。
図8は、OADMノード101間通信において伝送路光ファイバ102を伝送される波長多重光のスペクトルの一例を示す図表、即ち、図7に示す合波器115から出力される光スペクトルの一例を示すものである。横軸は波長(λ)を表し、縦軸は光のパワー(Power)を表す。合波器115においては、この図8に示すように、波長毎の信号光(図8におけるA参照)と、当該信号光の波長帯を有し、光アンプ103での増幅時に発生する雑音光である自然放出光(ASE:Amplified Spountaneous Emission、図8におけるB参照)と、が蓄積された状態で、下流側の伝送路光ファイバ102に伝送される。
なお、OADMノード101間において、信号光として未使用の波長(図8のC参照)のパスについては、光スイッチ113でのスイッチング又はVOA114での光減衰制御により、光が通過しないように設定される。
なお、下記の特許文献1には、上述した従来技術と同等のVOAをそなえた伝送装置について記載されている。
また、本願発明に関連する従来技術として、特許文献2に記載されたものもある。
特開2003−163641号公報 特開2002−353939号公報
しかしながら、従来の光伝送装置においては、図6に示すように、波長多重伝送システム100におけるOADMノード101が多段接続された状態で、伝送波長数が変化した場合、その直後における光信号パワー制御に過渡的な遅延が生じる。言い換えれば、伝送波長数が変化した直後においては、VOA制御が伝送波長数変化を過渡的に反映しない状態で、光信号が下流側伝送路に出力されるようになる。
このため、多段に介装されたOADMノード間での通信を行なう場合には、信号パワー変動量が蓄積していくことが想定され、受信側装置における光信号のパワーが受信レンジよりも低下、即ち信号として認識されるのに支障を来たしたり、もしくは信号雑音比が劣化することにより受信エラーを招いたり等、通信品質の低下を招く場合があるという課題があった。
図9〜図11は、信号波長数の変化による信号パワー変化の一例を示す説明図である。例えば図9に示すように、波長多重伝送システム100におけるOADMノード101−1から1波(λ1)、OADMノード101−2から1波(λ2)挿入されている状態において、OADMノード101−1に障害が発生し、OADMノード101−1から送信されていた1波が消えることにより信号波長数が、2波(λ1,λ2)の光信号から、1波(λ2)の光信号だけに減少した場合を想定する。
図10(a)および図10(b)は、上述のごとく光信号が2波から1波へ変化した場合の、OADMノード101−2における合波器115から出力される段での波長の変化を示す図である。横軸は波長(λ)を表し、縦軸は各光信号のパワーを表す。
ここで、信号波長数が減少する前段においては、図10(a)に示すように、合波器115から出力される出力光として、光信号(λ1,λ2)と、光信号(λ1,λ2)の近傍のASE(λ1_ase,λ2_ase)からなる光が出力される。光信号(λ1,λ2)の近傍以外の波長成分を有するASEが出力されないのは、光スイッチ113又はVOA114の動作により、光信号として用いられる波長帯以外のASEが取り除かれているためである。
これに対し、上述のごとく波長数が減少した後においては、1波の光信号がOADMノード101−2へ入力される。このとき、信号波長数の変化直後において、OADMノード101−2内のVOA114が、信号がなくなったことを検出し調整を行なうまでは、分波器111を経由すると、図10(b)に示すように、信号光λ2と波長λ1,λ2それぞれの近傍のASE(λ1_ase,λ2_ase)が出力され、次段の光アンプ103に入力されることとなる。
この光信号の波長数が1波になった直後には、次段の光アンプ103では、光信号の通信品質を保つために、各波長成分(λ1,λ2)の平均パワーに安定するように、信号光λ2の利得を一定制御する。即ち、信号光λ2が利得制御される目標パワーは、そのときの当該信号光λ2のパワーと、信号光成分が取り除かれてレベルが比較的低いASE光の成分λ1_aseのパワーと、の平均になる。
また、このような波長数の変動が生じたとき、AGCアンプ103による応答制御が安定するまでの過渡的な時間において、例えばSHB(スペクトラルホールバーニング)が要因となって、信号光利得の変化が大きくなる場合がある。図11(a),図11(b)は、図9に示した信号波長の変化における光アンプ103出力での光スペクトルを示す説明図である。横軸は波長(λ)を表し、縦軸は各光信号のパワーを表す。
ここで、信号波長数が変化する前の状態では、図11(a)に示すように、光アンプ103に入力される光信号λ1の波長が、上述のSHBのホールにあたる場合には、光信号λ1の利得が低下するので、光アンプ103から出力される2つの光信号λ1,λ2の間に、事実上のパワー偏差が生じている。
この後、信号波長数が変化して短波長側の1波(λ1)がなくなり、長波長側の1波(λ2)だけになった場合、上述のSHBの影響が少なくなるために、図11(b)に示すように、光アンプ103は、この信号波長数が変化した直後の過渡応答期間中は、この1波(λ2)が本来有していたパワーを、矢印Pd分低減させてしまう。
このようなパワー、つまり利得の変動量は、一つのOADMノード101−2だけでみれば、わずかな信号パワー変動量として無視できるとも考えられる。しかし、OADMノード101−1〜101−nが多段接続された場合、伝送経路の後段側にいくにしたがって、徐々にこの信号パワー変動量が蓄積していく。信号パワー変動量の蓄積分が大きいと、光信号のパワーが受信レンジよりも低下、即ち信号として認識されのに支障を来たしたり、もしくは信号雑音比が劣化することにより受信エラーを招いたり等、通信品質の低下を招くという課題があった。
この波長数変動に伴う信号利得変動が発生する要因としては、上述の(1)SHBによる要因のほかに、(2)利得(波長)偏差及び(3)誘導ラマン散乱(SRS:Stimulated Raman Scattering)効果によるものもある。以下それぞれについて説明する。
(1)SHB
1つ目の要因であるSHBは、光アンプ103に例えばEDFAを用いた場合に生じる現象で、短波長側の光信号利得が低下するという特徴がある。例えば、光アンプ103にCバンド(1530〜1565nm)の1波(例えば、1538nm)の光信号を入力すると、その信号波長近辺のEDFA利得が低下する(これをメインホールと呼ぶ)とともに、1530nm付近のEDFA利得も低下する(これをセカンドホールと呼ぶ)という現象が生じる。
そしてSHBは、Cバンド内ではメインホールは短波長側ほど深く(利得低下量が大きく)、また、光信号入力パワーが高いほどメインホール及びセカンドホールともに深くなるという特徴をもつ。また、SHBは、多波長の信号光が入力されている状態ではその影響は小さく、入力波長数が少なくなるほどその影響が大きくなるという特徴がある。
(2)利得偏差
2つ目の要因である利得(波長)偏差も光アンプで生じる現象である。即ち、光アンプは、信号光の平均利得を一定に保つ制御(AGC)を行なっており、偏差の生じている波長が残留すると、その信号光の利得を目標利得に合わせるよう動作するため、残留光信号の出力光パワーに変化が生じる。
(3)SRS効果
3つ目の要因であるSRS効果は、光ファイバ伝送路もしくは分散補償ファイバ中で生じる現象である。波長多重光信号が光ファイバを伝送する際に、短波長側の信号光パワーが励起光パワーとして長波長側の信号光を増幅し、結果として長波長側ほど信号光パワーが大きくなるという現象が発生する。このため、短波長側の信号が消えた場合、長波長側の残留信号光は短波長側からパワーを奪うことができなくなりパワー低下が生じる。
このように、伝送される波長多重信号光の波長数が変動すると、上記SHB,利得偏差及びSRSの主に3つの要因によって、残留信号光(残留チャンネル)の信号光パワーが変動する。1スパンあたりの変動量はそれほど大きくなくても、AGCを行なう光アンプ(図6の符号103参照)を多段に設けた長距離システムでは、各光アンプ及び光ファイバ伝送路で生じた各信号波長の光パワー変化が累積される。
従来のように伝送距離が短く、光アンプの段数が少ない光伝送システムではこの変動は微小であり問題とならなかったが、今後、システムの長距離化に伴う光アンプ段数の増加が進むと、受信端での光信号パワーが受信許容範囲を超えてしまい、伝送エラーの発生の原因となる場合も考えられる。
なお、特許文献2に記載された技術は、このような課題について解決する技術を提供するものではない。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、信号波長数が変化したときの過渡的な利得変動を抑圧し、光信号の通信品質を保つことができるようにすることを目的とする。
このため、本発明の光伝送装置は、信号光および自然放出光を含む光について波長チャンネルに相当する波長成分ごとに光パワーを可変させる光パワー制御デバイスと、前記信号光の波長チャンネルの配置情報を取得する波長配置情報取得部と、該波長配置情報取得部で取得した前記配置情報に基づき、前記信号光の波長成分の光パワーと、前記信号光の波長成分以外の波長成分についての光パワーと、が実質的に同等となるように該パワー制御デバイスを制御する制御部と、をそなえたことを特徴としている。
この場合においては、入力信号光および自然放出光を含む入力光について前記波長チャンネルに相当する波長成分ごとに分波する分波器と、該分波器で分波された各波長成分の光についてのドロップ方路へのドロップおよび出力方路への通過、ならびにアド方路からの光についての前記出力方路へのアドを切り替える切り替え部と、をそなえるとともに、該パワー制御デバイスを、該切り替え部における前記出力方路を通じて出力された各波長成分の光について光パワーを可変減衰させる光可変減衰器により構成し、かつ、該光可変減衰器で可変減衰がなされた各波長成分の光について合波して出力する合波器をそなえるとともに、該制御部が、該波長配置情報取得部で取得した前記配置情報に基づき、前記信号光の波長成分の光パワーと、前記信号光の波長成分以外の波長成分についての光パワーと、が実質的に同等となるように、該光可変減衰器における各波長成分の光パワーについての減衰量を制御することとしてもよい。
また、好ましくは、該切り替え部は、前記出力信号光となる信号光に用いられない波長帯については擬似光を出力すべく切り替えを行なう。
さらに、該パワー制御デバイスを、前記波長チャンネルに相当する波長成分ごとに光可変減衰を行ないうる波長選択光スイッチにより構成することとしてもよい。
さらに、本発明の光伝送装置の制御方法は、信号光および自然放出光を含む光について波長チャンネルに相当する波長成分ごとに光パワーを可変させるパワー制御デバイスをそなえた光伝送装置の制御方法であって、前記信号光としてとりうる波長成分のうちで、前記信号光の波長チャンネルの配置情報を取得し、前記取得した前記配置情報に基づき、前記信号光の波長成分の光パワーと、前記信号光の波長成分以外の波長成分についての光パワーと、が実質的に同等となるように該パワー制御デバイスを制御することを特徴としている。
このように、本発明によれば、信号光の波長チャンネルの配置情報を取得し、前記取得した前記配置情報に基づき、前記信号光の波長成分の光パワーと、前記信号光の波長成分以外の波長成分についての光パワーと、が実質的に同等となるようにパワー制御デバイスを制御することができるので、信号波長数が変化したときのSRSやSHBなどに起因した過渡的な利得変動を抑圧し、光信号の通信品質を保つことができる利点がある。
以下、図面を参照することにより、本発明の実施の形態について説明する。
なお、上述の本願発明の目的のほか、他の技術的課題,その技術的課題を解決する手段及び作用効果についても、以下の実施の形態による開示によって明らかとなる。
〔a〕一実施形態の説明
図1は本発明の一実施形態にかかる光伝送装置1を示す図である。この図1に示す光伝送装置1は、前述の図6に示すメトロコアシステム等の波長多重光伝送システムにおけるOADMノードとして用いることができるものであり、OADM部2と、OADM部2の入出力側にそなえられた光アンプ3a,3bと、OADM部2の入力側にそなえられた光カプラ4aおよびフォトダイオード4bと、出力側にそなえられたレーザダイオード5aおよびカプラ5bと、がそなえられ、更に、OADM部2における損失および光分岐挿入の制御を行なう制御システム6がそなえられている。
ここで、光カプラ4aは、伝送路ファイバ10を通じて伝送されてくる波長多重光信号とOSC(Optical Service Channel)光とを分離して、波長多重光信号を光アンプ3aに、OSC光をフォトダイオード4bに、それぞれ出力する。このOSC光には、適用される波長多重光伝送システムにおいて運用中の信号波長情報が少なくとも含まれている。
また、光アンプ3aは、光カプラ4aからの波長多重光信号を入力されて、伝送路損失、即ち、伝送路ファイバ10での伝送により生じた損失を補償する。尚、光アンプ3aとしては例えばEDFA等のファイバ増幅器を適用することができるが、この光アンプ3aで増幅された波長多重光信号にはASE光が含まれることとなる。
OADM部2は、光アンプ3aから入力される波長多重光信号について波長単位で光分岐挿入を行なうものであり、分波器21,ドロップ用ビームスプリッタ22,光スイッチ23,VOA24,合波器25をそなえるとともに、モニタ用ビームスプリッタ26およびフォトダイオード27をそなえている。
分波器21は、入力信号光およびASE光(自然放出光)を含む入力光について複数の波長成分に分波する。即ち、分波器21では入力信号光とともにASE光について波長チャンネルごとの信号光に分波する。又、分波器21に入力されるASE光は、前段の光アンプ3aでの増幅に伴って生じたものであり、伝送路ファイバ10に介装される光アンプにおける増幅作用によって生じた成分についても累積されうる。そして、このASE光はこの入力信号光が取りうる波長帯をカバーする波長成分を有するものである。
ドロップ用ビームスプリッタ22,光スイッチ23,VOA24およびモニタ用ビームスプリッタ26は、分波器21で分波された各光に対応してそなえられる。ドロップ用ビームスプリッタ22は、分波器21で分波された入力光(分波入力光)についてドロップ方路22aへの分岐用に一部を分岐させて残りを後段の光スイッチ23に出力するものであり、光スイッチ23は、ドロップ用ビームスプリッタ22からの分波入力光、およびアド方路23aを通じて入力される対応波長の信号光のいずれか一方を選択的に後段のVOA24に出力する。即ち、OADM部2においては、この光スイッチ23の設定により、ドロップ用ビームスプリッタ22からの分波入力光を選択的に後段のVOA24に出力することにより当該波長をスルーとして設定する一方、アド方路23aを通じて入力される信号光を選択的に後段のVOA24に出力することにより、当該波長をアドとして設定することができる。
したがって、上述のドロップ用ビームスプリッタ22および光スイッチ23により、分波器21およびVOA24の間に介装される切り替え部を構成する。即ち、切り替え部としてのドロップ用ビームスプリッタ22および光スイッチ23は、分波器21で分波された各波長成分についてのドロップ方路22aへのドロップおよび合波器25から出力される方路への通過、ならびにアド方路23aからの光についての合波器25から出力される方路へのアド(挿入)を切り替える。
また、VOA24は、分波器21で分波された各波長成分の光パワーを可変減衰させるものであり、(波長多重信号光をなす)信号光および自然放出光を含む光について波長チャンネルに相当する波長成分ごとに光パワーを可変させるパワー制御デバイスである。尚、図1に示すものの場合においては、光スイッチ23からの(合波器25を通じて出力させるべき)各波長の光について可変減衰させることにより、光レベルを均一化させる調整を行なう。
さらに、モニタ用ビームスプリッタ26は、VOA24で可変減衰がなされた結果についてモニタ用に一部を分岐するものであり、フォトダイオード27は、モニタ用ビームスプリッタ26で分岐された光について光レベルをモニタし、モニタ結果については制御システム6に出力される。
制御システム6は、運用信号波長情報解析部6a,制御部6bおよび制御情報送信部6cをそなえている。運用信号波長情報解析部6aは、フォトダイオード4bを通じて受光されたOSC光をもとに当該OSC光に含まれる運用信号波長情報、即ち当該OADMノード1が適用される波長多重光伝送システムにおいて、信号光として運用中の波長配置情報、即ち、VOA24で可変減衰が施されて当該OADMノード1から下流側伝送路ファイバ10に送出する信号光の波長配置情報を解析により取得するものである。従って、運用信号波長情報解析部6aは、信号光の波長チャンネルの配置情報を取得する波長配置情報取得部である。
また、制御部6bは、フォトダイオード27からのモニタ結果をもとに各VOA24での可変減衰量をフィードバック制御し、かつ、運用信号波長情報解析部6aで取得した波長配置情報から得られる波長毎のアド・ドロップおよびスルーの設定に基づいて、光スイッチ23での切り替えを制御する制御部6bと、当該OADMノード1として運用中の信号波長情報を次の(次なる伝送先となる下流側の)OADMノードに送信する制御情報送信部6cと、を備えている。
ここで、制御部6bは、運用信号波長情報解析部6aからの運用信号波長情報の解析結果を受けて、合波器25から出力される出力信号光となる信号光として運用されていない波長帯について擬似光を出力すべく光スイッチ23を制御する。具体的には、制御部6bは、光スイッチ23を制御することにより、分波器21で分波された波長成分のうち出力信号光に用いられない波長帯の光について、擬似光として、上流側伝送路ファイバ10から累積されたASE光を通過(スルー)させることができる。又は、光スイッチ23は、制御部6bからの制御を受けて、出力信号光に用いられない波長帯について、アド方路23aからのASE光を擬似光としてアドすることもできる。これらの場合においては、制御部6bにおいては、合波器25から出力される出力信号光となる波長成分についての可変減衰量が、当該出力信号光の波長成分以外についての可変減衰量よりも大きくなるように、各VOA24での可変減衰量を制御するようにして、それぞれの波長成分の出力パワーが同等の目標レベルとなるようにしている。
さらには、ドロップ用ビームスプリッタ22でドロップさせるが、光スイッチ23において出力信号光の要素としては通過(スルー)もアドも行なわない波長については、擬似光として、ドロップ用ビームスプリッタ22からの光をスルーさせることもできる。この場合、合波器25から出力される出力信号光となる波長成分についての可変減衰量と、ドロップ用ビームスプリッタ22から擬似光としてスルーされた波長成分についての可変減衰量と、は実質的には同等として、それぞれの波長成分の出力パワーが同等の目標レベルとなるようにしている。
すなわち、上述したように、出力信号光となる波長成分以外の波長成分については、擬似光がVOA24に入力されるようになっているが、制御部6bでは、出力信号光となる波長成分および擬似光の光パワーが、後述の図2(a)に示すような同一の目標パワーObとなるように、該当のVOA24を制御する。
換言すれば、制御部6bは、運用信号波長情報解析部6aで取得した信号光の波長配置情報に基づき、信号光の波長成分の光パワーと、信号光の波長成分以外の波長成分についての光パワーと、が実質的に同等となるように、VOA24における各波長成分の光パワーについての減衰量を制御する。
VOA24の減衰量ではなく、VOA24から出力される各波長の光パワーに着目すると、制御部6bは、出力信号光をなす波長帯において、信号光に用いられない波長帯については、入力信号光に含まれる自然放出光レベルが、出力信号光となる信号光レベルに実質的に等しい目標パワーなるように、各VOA24の可変減衰量をフィードバック制御することになる。
具体的に、図2(a)に示すように、運用信号波長情報解析部6aにおいて、λ1とλ2とが運用波長として用いられていると判定するとともに、制御部6bにおいて、λ1およびλ2の波長の光信号をスルーする設定を行なう場合を想定する。この場合においては、波長λ1,λ2についての信号光およびASE光が入力されるVOA24の減衰量を、波長λ1,λ2以外の未使用波長(図2(a)のC参照)の光が入力されるVOA24での減衰量よりも大きくする。
たとえば、図2(a)に示すように、本来、λ1,λ2および未使用波長帯にわたって均一化されたレベルのASE光が各VOA24に入力されると想定されるところ、λ1,λ2についての光の減衰量を未使用波長Cでの減衰量よりも大きくして、λ1,λ2についての信号光レベルと、未使用波長帯のASE光レベルと、を均一化させることができる。
これにより、例えば図2(b)に示すように、波長λ1の信号光入力がなくなった場合においても、図11(a),図11(b)に示す従来技術の場合に比べてSHBやSRS等の利得変動要因を生じにくくさせることができるので、残った信号光波長λ2の利得変動が後段のOADMノードに与える影響を最小限にとどめることができる。
たとえば、図3(a),図3(b)に示すように、光アンプ3aへ入力される信号光が2波(λ1,λ2)から1波(λ2)に減少しても、信号パワー相当に成長したASE光がλ1,λ2以外の未使用波長帯に存在する。このため、OADMノード1の収容可能な波長数を40波とすると、実質的な光パワーは、40波増幅から39波増幅への減少にとどまる。このように使用波長数の変化割合が大きくても、未使用波長帯を信号光レベルと実質的に同等のレベルとしているので、SHBの影響や伝送路のSRSによる信号パワー変化への影響が小さくなり(図3(b)に示すPdの値を図11(b)の場合よりも小さくすることができ)、信号パワー変動量の蓄積を抑圧できる。
また、制御信号送信部6cにより、出力信号光として使用している波長情報を下流側の伝送路ファイバ10を通じてOSC光として送信することができるので、この下流側の伝送路ファイバ10を介して接続された、上述のOADMノード1と同様の構成を有するOADMノードでは、OADMノード1の制御情報送信部6cから送信される制御情報から、運用波長を解析して、同様の光スイッチおよびVOAに対する制御を行なうことができる。
上述のごとく構成された、第1実施形態にかかるOADMノード1では、制御システム6をなす制御部6bにおいて、運用信号波長情報解析部6aからの運用信号波長情報に応じて(図4のステップA1)、分波器21で分波される波長チャンネルごとに、光スイッチ23およびVOA24の設定を行なう(ステップA2〜ステップA3,ステップA41〜ステップA43,ステップA5,ステップA6のNoルートからステップA7)。
すなわち、運用信号波長情報解析部6aで、出力信号光としてとりうる波長成分のうちで、出力信号光として用いられる波長成分および出力信号光として用いられる波長成分以外の波長成分の情報について取得し、制御部6bで、運用信号波長情報解析部6aで取得した波長配置情報に基づき、信号光の波長成分の光パワーと、信号光の波長成分以外の波長成分についての光パワーと、が実質的に同等となるようにVOA24を制御している。尚、図4のフローチャートにおいては、収容される波長チャンネル数が40である場合において、各波長チャンネルをn=1〜40としてそれぞれ波長チャンネルについて、光スイッチ23およびVOA24の設定を行なっている。
具体的には、制御部6bでは、各信号波長についての光信号処理方法として、[1]自身のOADMノード1でドロップさせるか、[2]自身のOADMノード1においてアド方路23aからの信号光をアドするか、[3]自身のOADMノード1を通過(スルー)させるか、又は、[4]非運用状態(未使用状態)の波長か、のいずれかの設定モードに分け(ステップA3)、それぞれの設定モードに応じて光スイッチ23の切り替えを制御するとともに、VOA24での可変減衰量を設定する(ステップA41〜ステップA43)。
まず、自身のOADMノード1を信号光波長として通過させる波長については、該当光スイッチ23を、ドロップ用ビームスピリッタ22からの光をスルー信号光として該当VOA24に出力する設定(スルーする設定)とする一方、該当VOA24に、スルーされる信号光パワーを所定の目標パワーとするような減衰量を設定する(ステップA3の「通過」ルートからステップA41,ステップA5)。この制御部6bによるVOA24への減衰量の設定制御は、フォトダイオード27からのモニタ結果に基づいて、VOA24から出力される光レベルが所定の目標値(図2のレベルOb参照)となるようにフィードバック制御される。
さらに、OADMノード1でドロップさせるか否かにかかわらず、自身のOADMノード1においてアド方路23aからの信号光をアドする波長については、該当光スイッチ23を、アド方路23aからの光を該当VOA24に出力する設定(アドする設定)とする一方、該当VOA24に、アドされる信号光パワーを上述の目標パワーObとするような減衰量を設定する(ステップA3の「挿入or分岐かつ挿入」ルートからステップA42,ステップA5)。この制御部6bによるVOA24への減衰量の設定制御についても、フォトダイオード27からのモニタ結果に基づいて、VOA24から出力される光レベルが所定の目標値(図2のレベルOb参照)となるようにフィードバック制御される。
また、自身のOADMノード1でドロップさせる一方後段のOADMノードにはアドもスルーも行なわない波長、又は非運用状態の波長については、該当光スイッチ23を、ドロップ用ビームスピリッタ22からの光を擬似光として該当VOA24に出力する設定(スルーする設定)とする一方、該当VOA24に、上述の目標パワーObとなるような減衰量を設定する(ステップA3の「光信号なしor分岐のみ」ルートからステップA43,ステップA5)。
この場合においては、擬似光(運用中だがアドおよびスルーを行なわない波長の場合には信号光であり、非運用中の場合にはASE光)のレベルが、運用中の信号光レベルと同様となるように減衰量を設定する。即ち、制御部6bにおいて、フォトダイオード27からのモニタ結果に基づいて、該当VOA24から出力されるASE光レベルが所定の目標値(図2(a)のレベルOb参照)となるように、該当VOA24をフィードバック制御する。
このように、制御部6bでは、VOA24からの出力光パワーがシステム光レベルダイヤで設計された所定の値である目標値ObとなるようにVOA損失を調整する。この調整は該当波長の信号の運用有無にかかわらず同様の動作で行なわれる。尚、VOA24に入力される光パワーが低く、VOA24での損失を最小にしても目標値の光パワーに到達できない場合は、当該VOA24の損失を最小の状態に固定する。
上述の図2(a),図2(b)は本実施形態におけるOADMノード1内の合波器25出力の光スペクトルを示す図である。制御部6bにより、OADMノード1内で信号光を運用していない波長の経路では、ノード1の光スイッチ23を通過に設定し、OADMノード1の上流から累積してくるASE光を下流に通過させる。ASE光は光スイッチ23を通過後、VOA24により損失を受けるが、上述したように、積極的に該当VOA24の損失を小さくしておく。
一方、信号光が運用されている波長の経路では、該当VOA24で信号パワーを調整していることから、VOA24の開放状態よりはVOA損失が大きい。よって、信号光を運用していない波長の方が、ASEパワーが大きく成長し、さらにVOA出力の光パワー(ASE光の出力パワー)を信号出力パワーの目標値Obと同等に調整することにより、信号パワーと同等のレベルまで成長すれば、それ以上のパワーになることはない。
システムで使用できる最大信号波長数が40波で、実際に運用している信号波長数が2波(λ1,λ2)の光信号から、1波(λ2)の光信号だけに減少した場合について説明する。変化する前の2波の状態では、使用していない信号波長が38波あり、本発明では38波長のASEが信号パワー相当に成長する。つまり、実際に運用している信号波長数が2波であっても、光アンプ3a,3bとしては、40波相当の動作をすることになる。さらに、上流側伝送装置の障害等により伝送されてくる信号が1波のみに減少しても、ASE光は残るので、39波相当の動作を実現することができる。
また、図3(a),図3(b)は、本実施形態における光アンプ3a又は3bからの出力における光スペクトルを示す図である。上述したように光アンプへ入力される信号は2波から1波に減少しても、信号パワー相当に成長したASEが存在するので40波増幅から39波増幅に減少することになる。このように波長数の変化が小さい場合、SHBの影響や伝送路のSRSによる信号パワー変化への影響が小さくなり、信号パワー変動量の蓄積を抑圧できる。
図5は本発明による信号パワー変動累積の改善効果の一例を示した図である。23ノード(♯0〜♯22)で構成されるシステムを想定し、ノード#0からノード#22まで1波(λ1)、ノード#1からノード#22まで1波(λ2)信号伝送している状態から、ノード#0からの1波分の送信機能が障害で動作しなくなると仮定したとき、信号λ2の各ノードの合波器出力点におけるパワー変化量をプロットしている。この図5に示すように、従来構成と比較して大幅な信号のパワー変化量の抑圧が可能である。
以上説明したように、本発明にかかるOADMノードは、信号波長数が変化したときに過渡的に生じる信号パワー変動量を従来に比べて大幅に抑圧することができる。したがって、光ネットワークにおいてOADMノードが多段接続された場合であっても、波長数変化時の通信品質改善が期待できる。
このように、本発明によれば、制御部6bにより、運用信号波長解析部6aで取得した波長配置情報に基づき、信号光の波長成分の光パワーと、信号光の波長成分以外の波長成分についての光パワーと、が実質的に同等となるようにVOA24を制御することができるので、信号波長数が変化したときのSRSやSHBなどに起因した過渡的な利得変動を抑圧し、光信号の通信品質を保つことができる利点がある。
〔b〕その他
上述の実施形態にかかわらず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
たとえば、上述の図1に示すようなOADMノードの構成のほか、米国特許第6,661,948号明細書に記載されているような、波長選択スイッチ(WSS:Wavelength Selective Switch)を用いた構成においても、波長配置情報取得部で取得した前記配置情報に基づき、前記信号光の波長成分の光パワーと、前記信号光の波長成分以外の波長成分についての光パワーと、が実質的に同等となるように該パワー制御デバイスを制御する制御部としての構成を適用することができる。
この場合には、WSSが、信号光および自然放出光を含む光について波長チャンネルに相当する波長成分ごとに光パワーを可変させる光パワー制御デバイスとして機能する。尚、WSSが波長チャンネルに相当する波長成分ごとに光パワーを可変、具体的には減衰量を制御できることについては、上述の米国特許第6,661,948号明細書に記載されている。
図12はWSSの構成例を示す図である。この図12に示すWSS31は、m(mは自然数)個の光入力ポートからの光ビームの出力先をn(nは自然数)個の光出力ポートのうちで波長単位に切り替え可能な光スイッチである。尚、図12中においては、特に1個の光入力ポートに対する光出力ポート39をm1(m1は4よりも大きい自然数)個としたものである。
ここで、光入力ポートをなす端面38aを有する入力光ファイバ38と光出力ポート39aを有する出力光ファイバ39とが、それぞれの端面38a,39aが同一方向を向くように配列されるとともに、WSS31は、端面38aから出射される光について、運用中の波長チャンネルの光ごとに、往復光路を設定しながら出力先となる出力光ファイバ39に導くことができる一方、出力光ファイバ39への結合効率を調整することにより、出力光ファイバ39へ出力される光信号パワーを減衰制御して等化することができるようになっている。
このために、WSS31は、コリメータ32,エキスパンダー33,回折格子34,焦点レンズ35および可動ミラーアレイ36をそなえて、光入力ポートをなす入力光ファイバ38の端部38aと光出力ポートをなす出力光ファイバ39の端部39aとの間に往復光路が設定され、且つ、可動ミラーアレイ36を駆動する制御ドライバ37をそなえている。
ここで、コリメータ32は、上述の入力光ファイバ38からの往光路の光を平行光として後段のエキスパンダー33に出力する一方、復光路におけるエキスパンダー33からの運用チャンネルの平行光について出力光ファイバ39に結合させる。
また、エキスパンダー33は、コリメータ32からの往光路を通じた平行光について、図12中X軸方向に広がったビーム形状の光として回折格子34に出力する。又、回折格子34からの復光路を通じた光についてはX軸方向に広がった平行光のビーム幅を狭くした平行光として出力する。エキスパンダー33としては、この図12に示すように一対のレンズ体により構成することができる。従って、上述のコリメータ32およびエキスパンダー33は、光入力ポートからの光を平行光にするコリメート部を構成する。
さらに、回折格子34は、エキスパンダー33からの往光路を通じた平行光について分光して、波長チャンネルの成分ごとに(図中X軸方向に広がる)異なる角度で焦点レンズ35に出射するものである。又、焦点レンズ35からの復光路を通じた光についても、波長チャンネルの成分ごとに異なる角度でエキスパンダー33に出射するようになっている。従って、回折格子34は、コリメート部からの光を分光する分光部である。
また、焦点レンズ35は、光波長ごとに異なった角度で入射したビームを全て平行な光線に変換しつつ、波長チャンネルの光ごとに可動ミラーアレイ36をなす異なるミラー36aに焦点位置で入射させる。更に、可動ミラーアレイ36をなすミラー36aで反射された復光路の光については回折格子34に出力させる。従って、焦点レンズ35は、分光部で分光された光ビームを波長ごとに集光する集光部である。
また、可動ミラーアレイ36は、焦点レンズ35の焦点位置に、(回折格子34による分光方向に相当する)X軸に沿って配列されたミラー36aからなり、各ミラー36aは、回折格子34で分光された波長チャンネル(図1中においてはλ1〜λ5)ごとの光について個別に反射するようになっており、且つその反射面がX軸およびY軸について回動可能に構成されている。これにより、反射面角度を上述のX軸およびY軸について独立して設定することができるようになっている。換言すれば、可動ミラーアレイ36をなすミラー36aは、集光部で集光された波長ごとの光ビームを個別に反射させるべく配置された複数の回動軸を有する回動ミラーである。
ここで、可動ミラーアレイ36をなす各ミラー36aは、後述の制御ドライバ37からの駆動を受けて、X軸についての傾斜角度θxの設定により、結合される出力光ファイバ39を、図12中♯1〜♯m1の光ファイバ39のいずれかに定めることができるようになっている。又、Y軸についての傾斜角度θyの設定により、運用中の波長チャンネルと待機中の波長チャンネルとで出力光ファイバ39への光結合のオンオフを切り替えることができるようになっている。
具体的には、Y軸についての回動制御量が実質的に0度である場合には、ミラー36aで反射した光は、焦点レンズ35,回折格子34,エキスパンダー33およびコリメータ32を介し、当該ミラー36aのX軸角度で定まる出力光ファイバ39に結合して出力される。これに対し、可動ミラーアレイ36をなす各ミラー36aは、Y軸についての反射面角度θyを傾斜させることにより、ミラー36aで反射した光は、焦点レンズ35,回折格子34,エキスパンダー33を介して、出力光ファイバ39に結合されるコリメータ32への光路から外れた領域(シャッター動作領域)に出射されるようになっている。
また、上述の各ミラー36aにおけるθx,θyを調整することで、出力光ファイバ39に結合される光のレベルを波長チャンネルごとに設定された目標レベルにまで減衰させることもできる。
また、制御ドライバ37は、入力光ファイバ38から入力された波長多重光信号についての波長チャンネルの光信号ごとの出力先となる出力光ファイバ39の設定に応じて、該当波長チャンネルの光信号を反射するミラー36aを駆動することにより、当該ミラー36aのX軸およびY軸についての反射面角度を個別に調整するものである。即ち、ドライバ37による可動ミラーアレイ36の駆動によって生成される外力によって、各ミラー36aはそれぞれ設定された角度だけ傾斜されるようになっているのである。
このように構成されたWSS31においては、ミラー36aにおける反射面角度を反射される光ビームの波長ごとに制御することにより、入力光ファイバ38から入力された波長多重光信号について、波長チャンネルの光信号ごとに出力先となる出力光ファイバ39を切り替えるとともに、又出力される波長チャンネルの光信号の出力光ファイバ39への結合効率の調整により等化処理を行なっている。
また、上述の実施形態においては、OADMノードに、VOAと、波長配置情報を取得する構成と、取得した波長配置情報に基づき、信号光の波長成分の光パワーと、信号光の波長成分以外の波長成分についての光パワーと、が実質的に同等となるようにパワー制御デバイスであるVOAを制御する構成と、を適用した場合について詳述したが、OADMノード以外の構成においても上述の本願発明の構成を同様に適用する適用することができ、このようにしても、信号波長数が変化したときのSRSやSHBなどに起因した過渡的な利得変動を抑圧し、光信号の通信品質を保つことができる。
さらに、上述の実施形態におけるOADMノード1においては、ポストアンプおよびプリアンプとしての光アンプ3a,3bが備えられているが、伝送路光ファイバの上流側に少なくとも光増幅器が介装されていれば、光伝送装置内部においては必ずしも光増幅器が搭載されていなくても、信号波長数が変化したときの利得変動を抑圧するためのASE光を下流側の伝送路光ファイバに出力することができる。
また、上述の実施形態の開示により、当業者であれば本願発明の装置を製造することは可能である。
〔c〕付記
(付記1)
信号光および自然放出光を含む光について波長チャンネルに相当する波長成分ごとに光パワーを可変させる光パワー制御デバイスと、
前記信号光の波長チャンネルの配置情報を取得する波長配置情報取得部と、
該波長配置情報取得部で取得した前記配置情報に基づき、前記信号光の波長成分の光パワーと、前記信号光の波長成分以外の波長成分についての光パワーと、が実質的に同等となるように該パワー制御デバイスを制御する制御部と、
をそなえたことを特徴とする光伝送装置。
(付記2)
入力信号光および自然放出光を含む入力光について前記波長チャンネルに相当する波長成分ごとに分波する分波器と、
該分波器で分波された各波長成分の光についてのドロップ方路へのドロップおよび出力方路への通過、ならびにアド方路からの光についての前記出力方路へのアドを切り替える切り替え部と、をそなえるとともに、
該パワー制御デバイスが、該切り替え部における前記出力方路を通じて出力された各波長成分の光について光パワーを可変減衰させる光可変減衰器により構成され、
かつ、該光可変減衰器で可変減衰がなされた各波長成分の光について合波して出力する合波器をそなえるとともに、
該制御部が、該波長配置情報取得部で取得した前記配置情報に基づき、前記信号光の波長成分の光パワーと、前記信号光の波長成分以外の波長成分についての光パワーと、が実質的に同等となるように、該光可変減衰器における各波長成分の光パワーについての減衰量を制御することを特徴とする付記1記載の光伝送装置。
(付記3)
該制御部は、信号光の波長成分以外の波長成分については、前記自然放出光レベルが、前記信号光の波長成分の光パワーに実質的に等しくなるように、該パワー制御デバイスを制御することを特徴とする付記1記載の光伝送装置。
(付記4)
該切り替え部は、前記出力信号光となる信号光に用いられない波長帯については擬似光を出力すべく切り替えを行なうことを特徴とする付記2記載の光伝送装置。
(付記5)
該切り替え部は、前記出力信号光となる信号光に用いられない波長帯について、自然放出光を前記擬似光として通過させるべく切り替えを行なうことを特徴とする付記4記載の光伝送装置。
(付記6)
該切り替え部は、前記出力信号光となる信号光に用いられない波長帯について、自然放出光を前記アド方路から前記擬似光としてアドすべく切り替えを行なうことを特徴とする付記4記載の光伝送装置。
(付記7)
該切り替え部は、前記入力信号光に含まれる波長成分のうちで、前記ドロップ方路へドロップするが出力信号光としては通過もアドも行なわないものについては、前記擬似光として、前記分波器で分波された光を通過させることを特徴とする付記4記載の光伝送装置。
(付記8)
該分波器の前段および該合波器の後段のうちの少なくとも一方に光増幅器をそなえたことを特徴とする付記2記載の光伝送装置。
(付記9)
該光可変減衰器への入力パワー又は該光可変減衰器からの出力パワーを波長成分ごとに検出するパワー検出部をそなえ、
該制御部は、該パワー検出部からの検出結果に基づいて、前記各波長成分の光パワーを、波長成分ごとに設定された目標パワーとすべく該光可変減衰器を制御することを特徴とする、付記2記載の光伝送装置。
(付記10)
該制御部が、該パワー検出部からの検出結果に基づいて前記出力信号光となる信号光として入力される波長成分以外の自然放出光パワーが、該合波器に前記出力信号光となる信号光として入力される波長成分のパワーと実質的に等しい目標パワーとなるように、該光可変減衰器を制御することを特徴とする、付記9記載の光伝送装置。
(付記11)
該パワー制御デバイスが、
前記波長チャンネルに相当する波長成分ごとに光可変減衰を行ないうる波長選択光スイッチにより構成されたことを特徴とする、付記1記載の光伝送装置。
(付記12)
信号光および自然放出光を含む光について波長チャンネルに相当する波長成分ごとに光パワーを可変させるパワー制御デバイスをそなえた光伝送装置の制御方法であって、
前記信号光としてとりうる波長成分のうちで、前記信号光の波長チャンネルの配置情報を取得し、
前記取得した前記配置情報に基づき、前記信号光の波長成分の光パワーと、前記信号光の波長成分以外の波長成分についての光パワーと、が実質的に同等となるように該パワー制御デバイスを制御することを特徴とする光伝送装置の制御方法。
本発明の一実施形態にかかる光伝送装置を示す図である。 (a),(b)はともに本実施形態の作用効果を説明するための図である。 (a),(b)はともに本実施形態の作用効果を説明するための図である。 本実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。 本実施形態の作用効果を説明するための図である。 メトロコアシステムの構成例を示すブロック図である。 OADMノードの構成例を示す図である。 OADMノード間通信において伝送路光ファイバを伝送される波長多重光のスペクトルの一例を示す図表である。 信号波長数の変化による信号パワー変化の一例を示す説明図である。 (a),(b)はともに信号波長数の変化による信号パワー変化の一例を示す説明図である。 (a),(b)はともに信号波長数の変化による信号パワー変化の一例を示す説明図である。 波長選択スイッチの構成例を示す説明図である。
符号の説明
1 OADMノード
2 OADM部
3a,3b 光アンプ
4a 光カプラ
4b フォトダイオード
5a レーザダイオード
5b カプラ
6 制御システム
6a 運用信号波長情報解析部
6b 制御部
6c 制御情報送信部
10 伝送路ファイバ
21 分波器
22 ドロップ用ビームスプリッタ
23 光スイッチ
24 VOA
25 合波器
26 モニタ用ビームスプリッタ
27 フォトダイオード
31 WSS
32 コリメータ
33 エキスパンダー
34 回折格子
35 焦点レンズ
36 可動ミラーアレイ
36a ミラー
37 ドライバ
38,39 光ファイバ
38a,39a 端面
100 波長多重光伝送システム
101,101−1〜101−n OADMノード
102 伝送路光ファイバ
103 光アンプ
111 分波器
112 分岐カプラ
113 光スイッチ
114 光可変減衰器
115 合波器

Claims (5)

  1. 信号光および自然放出光を含む光について波長チャンネルに相当する波長成分ごとに光パワーを可変させる光パワー制御デバイスと、
    前記信号光の波長チャンネルの配置情報を取得する波長配置情報取得部と、
    該波長配置情報取得部で取得した前記配置情報に基づき、前記信号光の波長成分の光パワーと、前記信号光の波長成分以外の波長成分についての光パワーと、が実質的に同等となるように該パワー制御デバイスを制御する制御部と、
    をそなえたことを特徴とする光伝送装置。
  2. 入力信号光および自然放出光を含む入力光について前記波長チャンネルに相当する波長成分ごとに分波する分波器と、
    該分波器で分波された各波長成分の光についてのドロップ方路へのドロップおよび出力方路への通過、ならびにアド方路からの光についての前記出力方路へのアドを切り替える切り替え部と、をそなえるとともに、
    該パワー制御デバイスが、該切り替え部における前記出力方路を通じて出力された各波長成分の光について光パワーを可変減衰させる光可変減衰器により構成され、
    かつ、該光可変減衰器で可変減衰がなされた各波長成分の光について合波して出力する合波器をそなえるとともに、
    該制御部が、該波長配置情報取得部で取得した前記配置情報に基づき、前記信号光の波長成分の光パワーと、前記信号光の波長成分以外の波長成分についての光パワーと、が実質的に同等となるように、該光可変減衰器における各波長成分の光パワーについての減衰量を制御することを特徴とする請求項1記載の光伝送装置。
  3. 該切り替え部は、前記出力信号光となる信号光に用いられない波長帯については擬似光を出力すべく切り替えを行なうことを特徴とする請求項2記載の光伝送装置。
  4. 該パワー制御デバイスが、
    前記波長チャンネルに相当する波長成分ごとに光可変減衰を行ないうる波長選択光スイッチにより構成されたことを特徴とする、請求項1記載の光伝送装置。
  5. 信号光および自然放出光を含む光について波長チャンネルに相当する波長成分ごとに光パワーを可変させるパワー制御デバイスをそなえた光伝送装置の制御方法であって、
    前記信号光としてとりうる波長成分のうちで、前記信号光の波長チャンネルの配置情報を取得し、
    前記取得した前記配置情報に基づき、前記信号光の波長成分の光パワーと、前記信号光の波長成分以外の波長成分についての光パワーと、が実質的に同等となるように該パワー制御デバイスを制御することを特徴とする光伝送装置の制御方法。
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