JP2008091613A - 部品実装基板の品質表示データの作成方法およびプログラム - Google Patents

部品実装基板の品質表示データの作成方法およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】基板の自動外観検査により保証される部品の品質を表す品質表示データを、コンピュータにより自動作成する。
【解決手段】自動外観検査装置に登録された検査データを用いて、「誤実装」「ずれ」「ショート」「オープン」の各分類について、検査が実施されるか否かを示す実施状況データをウィンドウ毎に作成する。つぎに、ランドウィンドウについては、ウィンドウ毎の実施状況データの論理積を求めることで、データを統合する。この後、部品毎に、ランドウィンドウの統合された実施状況データとその他のウィンドウの実施状況データとを統合し、統合後のデータを部品の識別データに対応づけて出力する。
【選択図】図6

Description

この発明は、部品実装基板に対して実施される自動外観検査について、その検査により保証される品質を表すデータ(以下、「品質表示データ」という。)を、コンピュータにより自動作成する方法、およびその方法に用いられるプログラムに関する。
近年の国際的な品質規格では、製品を構成する各部の品質を各種の項目に分けてリストアップしたもの(以下、「品質保証リスト」という。)を提出することを義務づけている(たとえばTS16949)。製品に部品実装基板が組み込まれている場合には、この基板に実装される部品毎に、その品質を表すデータを示した品質保証リストを作成する必要がある。
基板の各部品について自動外観検査が行われる場合には、一般に、部品およびその周囲(ランドなど)を含む範囲に複数の検査領域が設定され、検査領域毎に、あらかじめ定めた設定データ(実施される検査の種類やその検査基準を含む。)に基づく検査が行われる。このため、基板の自動外観検査に基づき品質保証リストを作成する場合には、基板に実装される部品を個別にリストアップした上で、それぞれの部品毎に、各検査領域においてどのような目的の検査が実施されるかを確認し、その確認内容を1つにまとめる必要がある。
上記の作業において、実装部品のリストアップについては、基板のCADデータまたは検査データを用いて特定することができる。また各部品で実施される検査の内容についても、検査データから抽出して、表示や出力を行うことが可能である(特許文献1参照。)。
特開平8−321700号公報
しかし、各部品について、どのような検査が実施され、それによってどのような品質が保証されるかについては、ユーザ自身が判断しなければならない。特に、検査の種類は多岐にわたる上に、同一種の部品であっても、周囲部品との関わりなどによって設定内容が異なることがあるため、1つ1つの部品について個別に内容を確認する必要があり、基板製造者の負担は多大なものとなる。
この発明は上記の問題に着目し、部品実装基板上の各部品について、自動外観検査により保証される部品の品質を表す品質表示データを、コンピュータにより自動的に作成できるようにすることを、課題とするものである。
上記の課題を解決するために、自動外観検査の実施に関する品質保証データをコンピュータにより作成する方法では、以下の第1〜4の各ステップを実施する。
第1ステップでは、複数の検査目的について、それぞれ基板に設定される検査領域毎に、検査のために定められた設定データに基づき、その目的に対応する検査が実施されるか否かを示す実施状況データを作成する。第2ステップでは、第1ステップで作成された実施状況データのうちランドの検査領域につき作成された実施状況データについて、部品毎に論理積を求める、第3ステップでは、基板上の部品について、第2ステップで求められた論理積の実施状況データと、ランド以外の検査領域について第1ステップで作成された実施状況データとを、検査の目的毎に統合する。さらに第4ステップでは、各部品について、それぞれ第3ステップで統合された実施状況データの組み合わせを部品の識別データに対応づけたデータを作成し、品質表示データとして出力する。
上記の方法でいうところの「複数の検査目的」は、たとえば、部品の誤実装の検出、部品のずれ検出、部品の接続不良の検出である。検査領域は、部品の本体、電極、ランドなど、部品およびその近傍に部位毎に設けるのが望ましいが、部品全体を包含するような検査領域を設定してもよい。
上記の方法によれば、検査のために定められた設定データに基づき、各種の検査目的毎に、その目的に対応する検査を実施するか否かを示すデータが検査領域毎に作成された後、これらの実施状況データが部品単位にまとめられ、部品の識別データに対応づけて出力される。よって、基板の品質保証リストの作成のために、部品毎に検査の内容を確認する作業が不要になり、リストの作成に要する時間を大幅に削減することができる。
また、殆どの部品は複数のランドに接続されているので、ある目的に対応する検査がランドに対して実施されたことを保証するには、その検査がすべてのランドにおいて実施される必要がある。この点に鑑み、上記の第2ステップでは、ランドの検査領域につき作成された実施状況データについては、部品毎に論理積を求めているので、すべてのランドに対して実施された検査に基づき、最終の品質表示データの内容を決定することができる。
上記方法の一態様では、検査領域毎に定められた設定データに、検査領域で実施可能な検査を示すデータと、当該検査を実施するか否かを示すフラグデータとが含まれる。この場合、第1ステップでは、各種検査を検査目的毎に分類したテーブルに基づき、設定データに含まれる検査の検査目的を特定するとともに、設定データ中のフラグデータに基づき、特定された検査目的に対応する実施状況データの値を決定する。
上記の態様によれば、実施可能な検査が設定されている検査目的については、その検査に対応するフラグデータに基づいて、実施状況データの値を簡単に決定することができる。なお、実施可能な検査が設定されていない検査目的についても、その目的の検査が設定されていないことをもって、実施状況データの値を簡単に決定することができる(検査が実施されないことを示す値にすることができる。)。
さらに好ましい態様においては、設定データ中に、同一の検査目的に対して実施可能な検査が複数設定されているとき、これらの検査に対応するフラグデータの論理和または論理積を求め、その演算結果を各検査に対応する検査目的の実施状況データとする。
上記の態様によれば、基板の製造者が従うべき基準または製造者自身が設定した基準が、「すべての検査を実施していなければ品質を保証できるとは言えない」というものである場合には、各フラグデータの論理積を求め、「いずれか1つの検査が実行されれば良い」というものであれば、各フラグデータの論理和を求めることができる。よって、品質保証について要求される基準に柔軟に対応することが可能になる。
部品実装基板の検査に関する品質表示データの作成用のプログラムは、上記の第1〜第4の各ステップをコンピュータに実行させるものである。このうち第1ステップのプログラムには、上記した各態様を実行するためのプログラムを含めることができる。
上記の方法およびプログラムによれば、基板の自動外観検査のために設定されたデータに基づき、検査により保証される品質を表す品質表示データをコンピュータで自動作成することができる。よって、品質保証リストの作成者の負担を大幅に削減することができ、またリストに誤りが生じるのを防止することができる。
図1は、この発明が適用されたプリント基板の自動外観検査装置の構成を示す。
この自動外観検査装置(以下、単に「検査装置」という。)は、基板生産ラインの最終工程であるリフロー工程を経た基板を対象に、各部品の品質の良否を検査するもので、コントローラ1、カメラ2、照明装置3、基板ステージ4、入力部5、モニタ6などにより構成される。
基板ステージ4には、基板8を支持するためのテーブル部41や、X軸ステージおよびY軸ステージ(いずれも図示せず。)を含む移動機構42などが含まれる。
カメラ2および照明部3は、「カラーハイライト方式」と称される光学系を構成する。カメラ2は、カラー静止画像を生成するもので、基板ステージ41の上方に撮像面を下方に向け、かつ光軸を鉛直方向に合わせた状態で配備される。照明部3は、基板ステージ4とカメラ2との間に配置された3個の円環状光源3R,3G,3Bにより構成される。これらの光源3R,3G,3Bは、それぞれ、赤、緑、青の色彩光を発するもので、各中心部をカメラ4の光軸に位置合わせした状態で配備されている。また、各光源3R,3G,3Bは、基板4に対しそれぞれ異なる方向から光を照射できるように、互いに異なる大きさの径を有するように設定される。
コントローラ1には、コンピュータによる制御部10のほか、画像入力部11、撮像制御部12、照明制御部13、XYステージ制御部14、メモリ15、CD−ROMドライブ16、通信用インターフェース17などが設けられる。画像入力部11には、カメラ2に対するインターフェース回路などが含まれる。撮像制御部12は、カメラ2に対し、撮像を指示するタイミング信号を出力するためのものである。
照明制御部13は、前記照明部3の各光源3R,3G,3Bの点灯・消灯動作の制御や光量の調整などを行う。XYステージ制御部14は、基板ステージ4の移動タイミングや移動量を制御する。
メモリ15には、検査用のプログラム、および後記する検査データファイル101が格納される。さらに、この実施例のメモリ15には、後記する品質表示データ作成システム100を構成するプログラムも格納されている。
検査データファイル101には、各部品に対する検査領域の設定データ(領域の位置や大きさを示すもの)が格納されるとともに、検査領域毎の検査データが格納される。検査データは、ユーザ(基板の製造者であり、また品質保証リストの作成者である。)によって設定されたもので、対応する検査領域で実施可能な検査を示すデータ(この明細書では「検査項目」という。)や当該検査を実施するか否かを示すフラグデータ(以下、「検査項目フラグ」という。)が含まれる。さらに、検査項目フラグがオンに設定された検査について、被検査部位を検出するための2値化しきい値、良否の判定基準値などの検査基準値も、検査データに含まれる。
制御部10は、XYステージ制御部14を介して基板ステージ42の移動を制御することにより、カメラ2と基板8とを位置合わせし、撮像する。この撮像により生成されたカラー画像は画像入力部11を介して制御部10に入力され、その内部メモリ(RAM)に格納される。制御部10は、このRAMに格納されたカラー画像の各部品に対し、それぞれ検査データファイル101に登録されたデータを用いて、各部品に対する検査を順に実行する。さらに、制御部10は、各部品に対する計測結果や判定結果、ならびに検査に使用された画像を、通信用インターフェース17を用いて図示しない外部装置に送信する。
上記の検査装置では、基板の各実装部品に複数の検査領域(以下、「ウィンドウ」と称する。)を設定するとともに、ウィンドウ毎にそれぞれ個別の検査データを設定して検査を行っている。
図2は、この検査装置で実施される各種検査を、それぞれ検査目的に基づいて分類したテーブルである。このテーブルには、「誤実装」「ずれ」「ショート」「オープン」という4種類の名前の分類が設けられ、各分類にそれぞれその分類に属する検査項目の名称が対応づけられている。なお、検査項目によれば、対応する検査に必要な一連の処理(被検査部位の検出、計測、判定など)の内容を特定することができる。
「誤実装」は、部品の実装間違いを検出することを目的とする検査であり、「実装」「OCR」の2種類の検査項目が割り当てられている。「ずれ」は、部品のずれを検出することを目的とする検査であり、「角度ずれ」「Xずれ」「Yずれ」の各検査項目が割り当てられている。
「ショート」は、部品間の短絡を検出することを目的とする検査であり、検査項目「ブリッジ」が割り当てられている。また、「オープン」は、部品側の電極と基板側の電極(ランド)との接続不良を検出することを目的とする検査である。この分類には、「ぬれ」「フィレット」「電極検出」の各検査項目が割り当てられる。
図3は、部品に対するウィンドウの設定例を示す。この図では、上下に並ぶ2つのチップ部品C,Cについて、ランドやフィレットの図示を省略し、各種ウィンドウの設定状態を示している。図中、下方のチップ部品Cの本体には、文字が記されているが、上方のチップ部品Cには、文字は記されていない。
この実施例では、いずれの部品C,Cにも、部品全体を包含する大きさの部品本体ウィンドウが設けられる。ただし、部品本体ウィンドウは、検査目的のウィンドウではなく、その他のウィンドウを設定するための基準ウィンドウとして機能する。
さらに、各部品C,Cとも、部品の両側のランドの位置にそれぞれランドウィンドウが設定される。このランドウィンドウでは、「ずれ」「ショート」「オープン」の各分類の検査を行うことができる。「ずれ」の検査では、ウィンドウ内の色彩に基づき部品の端縁を検出し、その検出結果を用いて、部品の角度または位置の適否を判定する。また「ショート」「オープン」の検査では、前出のカラーハイライト方式の特性を利用して、各光源に対応する色彩領域(赤、緑、青の領域)の位置や大きさを検出し、その検出結果に基づいて、ブリッジの発生の有無やはんだ形状の適否を判定する。なお、「オープン」について、ランドウィンドウで実施対象となるのは、「ぬれ」と「フィレット」である。
実装ウィンドウおよびOCRウィンドウでは、それぞれ1番目の分類「誤実装」に属する検査を実行することができる。いずれのウィンドウも部品の本体に対応する位置に設定されており、大きさもほぼ同じである。
実装ウィンドウでは、ウィンドウ内の色彩によって部品の誤実装の検出を目的とする検査(図2の実装検査)を実施することができる。OCRウィンドウでは、ウィンドウ内の文字列を検出し、その文字列の適否によって部品の誤実装の検出を目的とする検査(図2のOCR検査)を実施することができる。なお、図3に示すように、文字列が表示されていない部品については、実装ウィンドウを設定する必要がある。文字列が表示されている部品については、一般にOCRウィンドウが設定されるが、OCRおよび実装の双方のウィンドウを設定してもよい。
ブリッジウィンドウでは、3番目の分類項目「ショート」に属する検査を実行することができる。このウィンドウでも、ランドウィンドウで行われる検査と同様に、ウィンドウ内の色彩を用いて、隣の部品との間にはんだのブリッジが生じていないかどうかを判定する。このブリッジウィンドウは、部品C、Cのいずれか一方、または双方ともに設定することができる。
なお、図3には示していないが、部品側の電極に対応する位置に電極検出ウィンドウが設定される場合もある。このウィンドウでは、「オープン」に属する「電極検出」の検査を実施することができる。
検査データファイル101には、基板上の部品毎に、その部品に対応するウィンドウに関する設定データが格納される。さらに、ウィンドウ毎に、そのウィンドウで実施可能な検査項目毎に検査項目フラグが設定される。検査が実施される項目については、対応する検査項目フラグが「オン」(値としては「1」)になり、検査が実施されない項目については、対応する検査項目フラグが「オフ」(値としては「0」)となる。
ウィンドウや検査項目フラグの設定は、検査に先立ち、検査装置のユーザにより行われる。この設定処理には、あらかじめ装置に登録された基準の検査データ(ライブラリデータ)を用いて行われる場合もあるが、マニュアル操作により行われる場合もある。また同一種の部品であっても、ランドの大きさや周囲の実装密度などによって、異なる設定がなされる場合がある。
この実施例の検査装置では、基板上の各部品について、それぞれ図2に示した4種類の分類に対応する検査により保証される品質を示す品質表示データを作成するようにしている。作成された品質表示データはモニタ6に表示されるほか、通信用インターフェース17を介して外部装置(たとえばパーソナルコンピュータ)に出力される。よって、ユーザは、この出力データに、自動外観検査以外の検査の状況データを加味して、図4に示すような品質表示リストを作成することができる。
図4のリストは、部品毎に、その部品コードおよび品番に、各種検査が基準を満たす内容で実施されたか否かを示す○×印を対応づけた構成のものである。点線で囲まれた範囲は、検査装置で作成された品質表示データに基づくものである。○印は、対応する項目について、基準を満たす検査が実施されることを示し、×印は基準を満たす検査が実施されないことを示す。
図5は、上記の品質表示データの作成システムの構成を示す。このシステムは、検査データファイル101のほか、検査データ読出部102、初期データ作成部103、ランド単位データ統合部104、部品単位データ統合部105、条件入力部106、結果出力部107により構成される。これらのうち、検査データファイル101を除く各処理部の実体は、それぞれその処理用のプログラムを実行する制御部である。
検査データ読出部102は、基板上の各部品について、それぞれ検査データファイル101から、その部品の識別データ(部品に個別に付与された識別コードや品番など)、ウィンドウの設定データ、および各ウィンドウに設定された検査項目ならびに検査項目フラグなどを読み出す。ここで読み出されたデータは、初期データ作成部103に提供される。また、ランド単位データ統合部104や部品単位データ統合部105には、ウィンドウの設定データに基づきその設定数が提供され、結果出力部107には、各部品の識別データが提供される。
初期データ作成部103は、検査データ読出部102から供給されたデータに基づき、各部品につき設定されるウィンドウ毎に、4種類の分類に対応する実施状況データの初期値を作成する(以下、これを「初期の実施状況データ」または「初期データ」という。)。この処理では、図2に示したテーブルを参照して、各ウィンドウで実施可能な検査に対応する分類を判別する。そして対応しない分類については、無条件に初期データをオフ設定し、対応する分類については、以下のような方法により、初期データの値を決定する。
実施状況データは、検査項目フラグと同様に、検査が行われるか否かを示すフラグデータであり、対応する検査項目の検査項目フラグに応じて値を定めることができる。ここである分類につき設定されている検査項目が1つであれば、その検査項目フラグと同じ値を初期データに設定すれば良いが、複数の検査項目が設定されている場合には、これらに対応する検査項目フラグの論理和または論理積を求め、その演算結果を初期データとする。
条件入力部106は、実施可能な検査項目が複数ある場合に初期データの値を定める条件を入力するためのものである。この条件は、複数の検査項目を実施可能な分類について、その分類の検査がされたことを保証するための条件として表される。具体的には、検査の内容を保証するには、実施可能なすべての検査項目が実施される必要があるとする選択肢(以下、これを「AND条件」という。)と、実施可能な検査項目のうちの少なくとも1つが実施されていれば良いとする選択肢(以下、これを「OR条件」という。)として、ユーザに提示される。
ユーザは、所定の規格の定めるところ、またはユーザ自身が定めた規準に基づき、ウィンドウ毎および分類毎に条件を選択することができる。たとえば、ランドウィンドウの場合、「ずれ」については、「角度ずれ」「Xずれ」「Yずれ」のOR条件を選択し、「オープン」については、「ぬれ」「フィレット」のAND条件を選択することができる。
初期データ作成部103は、AND条件が選択された場合には、対象となる各検査項目の検査項目フラグの論理積を求め、OR条件が選択された場合には、各検査項目フラグの論理和を求める。
ランド単位データ統合部104は、実施状況データ作成部により作成された実施状況データのうち、ランドウィンドウに対応するものを1つのデータに統合する。部品単位データ統合部105は、ランドにつき統合された実施状況データとその他の実施状況データとを取り込み、1つのデータに統合する。以下、ランド単位データ統合部104や部品単位データ統合部105で統合された実施状況データを、「統合後データ」という場合もある。
ランド単位データ統合部104および部品単位データ統合部105における統合処理は、分類項目毎に実施される。部品単位データ統合部105で統合された最終的な実施状況データは、結果出力部107に渡される。結果出力部107は、各部品について、各項目の統合後データを部品コードおよび品番に対応づけたデータを作成し、これを品質表示データとして外部装置などに出力する。
図6は、部品本体ウィンドウ、ランドウィンドウ、実装ウィンドウが設定された部品を例に、4種類の分類項目の実施状況データの内容の変化を示したものである。図中の(A)は、初期データ作成部103において作成された初期の実施状況データのテーブルを、(B)は、ランド単位データ統合部104による統合データを含むテーブルを、(C)は、部品単位データ統合部105により作成された最終的な統合データを、それぞれ示す。
以下、図7〜9を用いて、上記の実施状況データを作成する処理の流れを説明する。なお、これらの図は、基板上の一部品に対する処理であり、部品毎に同様の処理を実行する必要がある。また、いずれのフローチャートでも、部品に設定されるウィンドウを特定するためのカウンタをiとし、分類項目を特定するカウンタをjとする。また、各図のSTはSTEP(ステップ)の略である。
図7は、初期の実施状況データを作成する処理の流れを示す。この処理では、まずST1において、処理対象の部品に設定されているウィンドウの総数Wと検査項目の分類数N(図2の例の場合N=4)を取得する。
初期の実施状況データは、ウィンドウのカウンタiと分類のカウンタjとを引数とする関数として表される。ST2では、この関数が表す全ての実施状況データを「オフ」(値としては「0」)に初期設定する。
ST3では、カウンタiに初期値の「1」を設定する。ST4では、このiにより特定されるウィンドウ(たとえば部品本体ウィンドウ)について、検査データを取得する。
ST5では、カウンタjに初期値の「1」を設定し、このjにより特定される分類(図2の例の場合であれば「誤実装」)について、以下のST6〜10の処理を実行する。
ST6では、着目中のウィンドウにおいて、j番目の分類について、実施可能な検査項目が設定されているかどうかをチェックする。この判定が「YES」であれば、ST7に進み、その検査項目の検査項目フラグをチェックする。
ここで、オン設定された検査項目フラグがあれば、ST8に進み、AND条件、OR条件のいずれが選択されているかをチェックする。ユーザが、AND条件を選択している場合にはST9に進み、設定されている全ての検査項目について、検査項目フラグが「オン」であるかどうかをチェックする。この判定が「YES」であれば、ST10に進み、j番目の分類の初期データを、ST2で設定された「オフ」から「オン」に変更する。一方、検査項目フラグがいずれか1つでも「オフ」であれば、ST10はスキップされる。
一方、ユーザが、OR条件を選択している場合には、ST8からST10に進み、初期データを「オン」に変更する処理を行う。なお、実施可能な検査項目が1つしかない場合にも、OR条件が選択されたとみなして、ST10の処理を実行する。
以下、カウンタjおよびiを、それぞれN,Wになるまでインクリメントしながら、i,jの組み合わせ毎に上記と同様の処理を実行する。これにより、部品に設定されているすべてのウィンドウについて、それぞれ分類毎に初期データ(図6(A)に対応する内容のもの)を作成することができる。
上記の処理により設定されたウィンドウ毎の実施状況データは、各分類について、それぞれ目的とする検査が保証できるレベルで実施されているかどうかを、ウィンドウ毎に示すものとなる。
図8は、上記処理により作成された実施状況データのうち、ランドウィンドウに対応するデータを統合する処理の手順を示す。
最初のステップST101では、着目中の部品のランドウィンドウの数Rおよび検査項目の分類数Nを取得する。つぎに、ST102では、すべての分類について、ランドの統合後データ(ランドウィンドウ毎の実施状況データを1つにまとめたもの)の初期値を「オン」に設定する。
この後、ST103,104において、カウンタj,iをそれぞれ初期値の「1」に設定する。つぎのST105では、i番目のランドウィンドウにおけるj番目の分類の初期データの設定値を取得し、その設定値をチェックする。
上記のデータ設定が「オン」であれば、ST106が「YES」となってST107に進み、カウンタiをインクリメントする。この後は、ST109を経由してST105に戻り、更新後のiにより特定されるランドウィンドウについて、上記と同様の処理を実行する。
ただし、いずれかのランドウィンドウについて、実施状況データが「オフ」に設定されている場合には、ST106が「NO」となってST108に進み、j番目の分類にかかる統合後の実施状況データを「オン」から「オフ」に変更する。この後は、ST105〜109のループを抜けて、ST110に進む。
ST110ではjの値の更新により着目対象の分類を変更する。この後は、ST104に戻り、上記と同様の処理を実行する。
上記の処理は、各分類について、それぞれランドウィンドウ毎の初期データの論理積を求め、これを統合後の実施状況データとして設定していることになる。これは、図7のST8,9,10で実行している処理の手順と、実質的に同様のものである。この処理により、実施状況データは、図6(B)に示すような内容に変更される。
上記のランド単位のデータ統合処理において初期データの論理積を求めるのは、ランドの検査については、すべてのウィンドウで条件をクリアできない限り、検査が万全に実施されているとは言えず、部品の品質を保証できない、という理由によるものである。たとえば、角チップでは、部品の左右にランドがあるが、「ずれ」の検査を行う場合、片側のランドウィンドウのみ検査しても、ずれ量を十分に測定できない可能性がある。また、「オープン」や「ショート」の検査については、すべてのランドウィンドウで不良がないことを確認しなければ、部品の接続状態が良好であるということはできない。
図9は、実施状況データを部品単位で統合する処理の手順を示す。まず、最初のステップであるST201では、ウィンドウの総数W、ランドウィンドウの総数R、検査項目の分類数Nを取得する。
続いてST202で、全ての分類について、分類単位の統合後データを「オフ」に初期設定した後、ST203,204において、カウンタj,iにそれぞれ初期値の「1」を設定する。
ST205では、i番目のウィンドウのj番目の実施状況データについての設定値を取得し、その値をチェックする。このチェックの結果、データ設定がオンでなければ、ST206が「NO」となり、ST207でiの値の更新により着目対象のウィンドウを変更する。この後は、ST208を経由してST205に戻る。
以下、ウィンドウ毎に上記と同様のチェックを実行する。この結果、いずれかのウィンドウにおけるj番目の実施状況データがオンに設定されていると、ST206が「YES」となってST209に進む。ST209では、j番目の分類の統合後データを、ST202で設定された「オフ」から「オン」に変更する。
なお、ST205では、ランドウィンドウ以外のウィンドウについては、初期データを取得するが、ランドウィンドウについては、図8の処理により統合されたデータが取得対象となる。よって、ST209の処理が行われることがなければ、カウンタiが(W−R+1)を超えた時点で、ST205〜208のループは終了する。
ST210では、jの値の更新により着目対象の分類を変更する。以下、jの値がNを超えるまで、上記と同様の処理を実行する。
上記の処理は、各分類について、それぞれランドウィンドウの統合後データおよびその他のウィンドウの初期データを取得して、それらの論理和を求め、これを統合後の実施状況データとして設定するものである。この処理により、部品単位に統合された実施状況データ(図6(C)に対応する。)を作成することができる。
上記の部品単位の統合処理において、各データの論理積ではなく、論理和を求めたのは、検査の目的とウィンドウの設定とは対応関係にあり、全てのウィンドウで実施できるような上位の検査が存在しないためである。ただし、統合処理の精度を上げるには、このような論理和演算ではなく、具体的に、各分類について、それぞれ実施状況データがオンになるべきウィンドウを特定し、各データのオン/オフ状態とウィンドウとの関係が正しい場合に、統合後データをオン設定するようにしてもよい。
また、この部品単位の統合処理においても、複数のウィンドウ間において同じ分類に属する検査項目が設定されている場合には、ユーザの選択した条件に応じて、これらのウィンドウ毎の実施状況データの論理和や論理積を求めてもよい。たとえば、「オープン」の検査を実施可能なウィンドウとして、ランドウィンドウのほかに、電極検出ウィンドウが設定されている場合には、この「オープン」については、ランドウィンドウ間で統合された実施状況データと、電極検出ウィンドウで設定された実施状況データとの論理和または論理積を求め、その結果を部品単位の統合データとしてもよい。
従来、ユーザが部品実装基板の自動外観検査に関する品質表示リストを作成する場合、基板上の部品のリストと、部品毎の検査データのリストとを照合しながら、1つ1つの部品について、実施される検査内容をチェックする必要があった。このため、多大な手間がかかる上に、誤りが生じる可能性があった。これに対し、上記の品質表示データ作成システム100によれば、検査のために登録されたウィンドウの設定データや検査項目フラグに基づき、各分類に対応する検査の実施状況を示すデータを自動作成することができる。
したがって、ユーザは、システムから出力された品質表示データを表計算ソフトなどを用いて編集して、帳票の体裁に整えたり、その他のデータ(たとえば図4に示したマニュアル検査のデータ)を付加するなど、出力されたデータを加工する作業を行うだけで、正確な品質表示リストを作成することができる。よって、作業の効率や確度が格段に向上する。
なお、上記の実施例では、初期の実施状況データの値を決める場合にAND条件やOR条件を設定したが、個々の検査項目フラグの設定について、複雑な条件を設定してもよい。たとえば、ある検査項目について、さらに細項目が設定されている場合には、その細項目の選択内容について条件を設定し、その条件を満たす細項目が選択されている場合に、検査項目フラグをオン設定してもよい。また必ず選択しなければならない必須の細項目を条件として設定しておき、その細項目が選択されている場合のみ検査項目フラグをオン設定してもよい。
また、上記の実施例では、検査装置において品質表示データを作成したが、これに限らず、パーソナルコンピュータなどの外部装置に検査データファイル101を移植し、その装置で品質表示データを作成してもよい。
つぎに、上記の品質表示データでは、十分な検査が実施されていることを保証する必要があるから、そのベースとなる検査データに不備がないかどうかを事前にチェックできるようにするのが望ましい。たとえば、部品毎に検査の水準データを求め、その結果を出力して、ユーザに確認させるようにしてもよい。
図10は、水準データとして、設定された検査項目の総数に対し、検査項目フラグがオン設定された検査項目の数の割合を求め、その結果をモニタに表示した例を示す。この例では、基板の模式図を示すとともに、その模式図上の各部品に、それぞれ実施される検査の水準をパーセント表示している。また各数値が表示される領域の色彩を、数値によって色分けしている。
このような表示によれば、ユーザは、色彩や数値によって水準の低い部品を簡単に把握し、その部品の検査データを見直して水準を高めることができる。よって、各部品について十分な品質を確保できるような検査を実施した上で、品質表示リストを作成することができる。
基板の外観自動検査装置の電気構成および光学的構成を示す図である。 検査項目を目的毎に分類したテーブルを示す説明図である。 部品に対するウィンドウの設定例を示す説明図である。 品質保証リストの一例を示す説明図である。 品質表示データの作成システムの構成を示す機能ブロック図である。 各段階における実施状況データの内容を示す説明図である。 処理の実施状況データを作成する手順を示すフローチャートである。 ランド単位で実施状況データを統合する手順を示すフローチャートである。 部品単位で実施状況データを統合する手順を示すフローチャートである。 検査の水準を表示した例を示す説明図である。
符号の説明
1 コントローラ
2 カメラ
10 制御部
100 品質表示データ作成システム
101 検査データファイル
103 初期データ作成部
104 ランド単位データ統合部
105 部品単位データ統合部

Claims (4)

  1. 個々の部品に複数の検査領域を設定し、検査領域毎に定められた設定データに基づき自動外観検査を実行した部品実装基板を対象に、前記検査により保証される品質を表す品質表示データをコンピュータにより作成する方法であって、
    複数の検査目的について、それぞれ基板に設定される検査領域毎に、前記設定データに基づき、その目的に対応する検査が実施されるか否かを示す実施状況データを作成する第1ステップ、
    前記第1ステップで作成された実施状況データのうちランドの検査領域につき作成された実施状況データについて、部品毎に論理積を求める第2ステップ、
    基板上の部品について、前記第2ステップで求められた論理積の実施状況データと、ランド以外の検査領域について第1ステップで作成された実施状況データとを、検査の目的毎に統合する第3ステップ、
    各部品について、それぞれ第3ステップで統合された各実施状況データの組み合わせを部品の識別データに対応づけたデータを作成し、品質表示データとして出力する第4ステップ、
    の各ステップを実行することを特徴とする部品実装基板の品質表示データの作成方法。
  2. 前記検査領域毎に定められた設定データには、検査領域で実施可能な検査を示すデータと、当該検査を実施するか否かを示すフラグデータとが含まれており、
    前記第1ステップでは、各種検査を検査目的毎に分類したテーブルに基づき、前記設定データに含まれる検査の検査目的を特定するとともに、前記設定データ中のフラグデータに基づき、前記特定された検査目的に対応する実施状況データの値を決定する、請求項1に記載された部品実装基板の品質表示データの作成方法。
  3. 前記第1ステップにおいて、前記設定データ中に、同一の検査目的に対して実施可能な検査が複数設定されているとき、これらの検査に対応するフラグデータの論理和または論理積を求め、その演算結果を各検査に対応する検査目的の実施状況データとする、請求項2に記載された部品実装基板の品質表示データの作成方法。
  4. 個々の部品に複数の検査領域を設定し、検査領域毎に定められた設定データに基づき自動外観検査を実行した部品実装基板を対象に、前記検査により保証される品質を表す品質表示データをコンピュータに作成させるためのプログラムであって、
    複数の検査目的について、それぞれ基板に設定される検査領域毎に、前記設定データに基づき、その目的に対応する検査が実施されるか否かを示す実施状況データを作成する第1ステップ、
    前記第1ステップで作成された実施状況データのうちランドの検査領域につき作成された実施状況データについて、部品毎に論理積を求める第2ステップ、
    基板上の部品について、前記第2ステップで求められた論理積の実施状況データと、ランド以外の検査領域について第1ステップで作成された実施状況データとを、検査の目的毎に統合する第3ステップ、
    各部品について、それぞれ第3ステップで統合された各実施状況データの組み合わせを部品の識別データに対応づけたデータを作成し、品質表示データとして出力する第4ステップ、の各ステップを、前記コンピュータに実行させるためのプログラム。
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