JP2008086114A - スイッチング電源装置および電圧検出回路 - Google Patents

スイッチング電源装置および電圧検出回路 Download PDF

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Abstract

【課題】電源装置のスイッチング動作が停止した場合であっても直流入力電圧を検出することが可能なスイッチング電源装置を提供する。
【解決手段】電圧検出部20は、トランス21と、スイッチング素子24と、一対の検出信号線W1,W2とを有する。トランス21は、1次側巻線21Aおよび2次側巻線21Bを有する。1次側巻線21Aの一端は入力端子T1に、1次側巻線21Aの他端はスイッチング素子24の一端に、スイッチング素子24の他端は入力端子T2にそれぞれ接続されている。一方、2次側巻線21Bの一端は検出信号線W1の一端に、2次側巻線21Bの他端は検出信号線W2の一端にそれぞれ接続されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、直流入力電圧をスイッチングして得られるスイッチング出力を電圧変換トランスの出力巻線に取り出すように構成されたスイッチング電源装置、およびそのようなスイッチング電源装置等に用いられる電圧検出回路に関する。
一般に、ハイブリッドカー(Hybrid Electric Vehicle )には、ワイパー、ヘッドライト、ルームライト、オーディオ機器、空調機および各種計器類等の車両搭載機器を駆動するための電源として、例えば12ボルト程度の低圧の直流電圧を出力する低圧バッテリ(以下、低圧バッテリという。)が搭載されると共に、モータを駆動するための電源として、例えば400V程度の高圧の直流電圧を出力する高圧バッテリが搭載されている。通常、このような低圧バッテリに対する充電は、エンジンの回転を利用して駆動される交流発電機からの交流出力電圧を整流して高圧の直流電圧を得ると共に、この直流入力電圧をスイッチング電源装置を用いてより低圧の直流電圧に変換してから低圧バッテリに供給することで行われる。なお、高圧バッテリに対する充電は、上記したエンジン側からの直流入力電圧を高圧バッテリに供給することで行われる。このスイッチング電源装置は、例えば特許文献1に記載されているように、直流入力電圧をインバータ回路によって交流電圧に一旦変換したのち、その交流電圧を電圧変換トランスで変圧すると共に整流回路等によって再び直流電圧に変換することで電圧変換を行うものである。
ところで、エンジン側から供給される直流入力電圧がスイッチング電源装置の内部回路の耐圧を超えると内部回路を破壊する虞がある。そのため、内部回路が破壊されないように、その直流入力電圧を常に監視しておくことが重要となる。このことは、上記ハイブリッドカーに搭載されたスイッチング電源装置に限られるものではなく、一般的なスイッチング電源装置にも当てはまるものである。
例えば、特許文献2では、直流入力電圧を検出するための電圧検出回路が設けられている。この電圧検出回路は、電圧変換トランスの出力巻線に発生する電圧を検出した後、演算により直流入力電圧を推定するようになっている。
特開2003−259637号公報 特開2003−33015号公報
しかし、特許文献2の技術では、ひとたび、スイッチング電源装置のスイッチング動作が停止し、出力巻線に電圧が発生しなくなると、直流入力電圧を検出することができなくなる。このように、特許文献2の技術では、直流入力電圧を常に検出することが極めて困難であるという問題がある。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、電源装置のスイッチング動作が停止した場合であっても直流入力電圧を検出することが可能なスイッチング電源装置を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、スイッチング電源装置等に好適に利用可能な電圧検出回路を提供することにある。
本発明のスイッチング電源装置は、第1電源から入力される直流入力電圧をスイッチングして交流電圧に変換すると共に、この交流電圧を変圧し整流して得られる直流出力電圧を第2電源に出力する電源本体部と、電圧検出用トランスと、スイッチング素子と、検出信号線とを有する電圧検出部とを備え、上記電圧検出用トランスが、スイッチング素子のオン・オフに応じて直流入力電圧が断続的に印加される1次側の第1トランスコイルと、上記検出信号線に接続された2次側の第2トランスコイルとを含むようにしたものである。
本発明のスイッチング電源装置では、電圧検出部において、スイッチング素子がスイッチング動作してオン状態になると、第1電源からの直流入力電圧がパルス状の電圧に変換され、第1トランスコイルに電流が流れる。すると、この第1トランスコイルの電流により、第2トランスコイルにパルス状の電圧が誘起される。ここで、第1トランスコイルを流れる電流は、第1電源からの直流入力電圧の情報を含んでいるので、第2トランスコイルに誘起される電圧も第1電源からの直流入力電圧の情報を含むこととなる。このように、第1電源からの直流入力電圧の情報を含んだ電圧が、電圧検出部によって第1電源の出力端から直接検出される。
本発明のスイッチング電源装置では、上記電圧検出部が1つのスイッチング素子を有すると共に、第1トランスコイルとこの1つのスイッチング素子とを第1電源の両端間に互いに直列接続させるように、すなわち、いわゆるフォワード型の構成とすることが可能である。この場合において、上記電圧検出部が、電圧検出用トランスに蓄積されたエネルギーを放出する放出回路を有するようにするのが好ましい。このように構成した場合、放出回路によって蓄積されたエネルギーが放出されて熱消費され、電圧検出用トランスのコアがリセットされるため、例えば直流入力電圧が0Vとなった場合であっても、直流入力電圧の情報を含んだ電圧を検出可能となる。
また、上記電圧検出部が第1トランスコイルの両端側に配置された2つのスイッチング素子を有すると共に、これら第1トランスコイルと2つのスイッチング素子とを第1電源の両端間に互いに直列接続させるように、すなわち、いわゆるダブル・フォワード型の構成とすることも可能である。この場合において、上記電圧検出部が、電圧検出用トランスに蓄積されたエネルギーを第1電源へ回生する回生回路を有するようにするのが好ましい。このように構成した場合、回生回路によって電圧検出用トランスのコアがリセットされるため、例えば直流入力電圧が0Vとなった場合であっても、直流入力電圧を検出可能となる。また、蓄積されたエネルギーが第1電源に回生されるため、上記放出回路を設けた場合と比べ、電力損失が低減される。
本発明のスイッチング電源装置では、上記スイッチング素子がオン状態のときの検出信号線の出力電圧を保持する保持部と、この保持部で保持された電圧の絶対値が基準電圧の絶対値よりも大きい場合に、上記電源本体部のスイッチング動作を停止させるための制御信号を出力する比較部とを備えるようにしてもよい。このように構成した場合、電圧検出部によって検出された直流入力電圧の情報を含む電圧に基づいて、電源本体部のスイッチング動作を停止させることが可能となる。
本発明のスイッチング電源装置では、上記第1トランスコイルの極性と第2トランスコイルの極性とを、互いに同じ向きとなるように磁気結合してもよい。また、上記スイッチング素子が、第2電源からの電源供給を利用して駆動されているようにするのが好ましい。このように構成した場合、安定した電源である第2電源から電源供給を受けるため、電圧検出部の動作が安定化する。
本発明の電圧検出回路は、直流電圧を検出する回路であって、電圧検出用トランスと、スイッチング素子と、検出信号線とを備え、上記電圧検出用トランスが、スイッチング素子のオン・オフに応じて直流電圧が断続的に印加される1次側の第1トランスコイルと、上記検出信号線に接続された2次側の第2トランスコイルとを含むようにしたものである。
本発明の電圧検出回路では、スイッチング素子がスイッチング動作すると、検出対象の直流電圧がパルス状の電圧に変換され、第1トランスコイルに電流が流れる。すると、この第1トランスコイルの電流により、第2トランスコイルにパルス状の電圧が誘起される。ここで、第1トランスコイルを流れる電流は、上記直流電圧の情報を含んでいるので、第2トランスコイルに誘起される電圧も上記直流電圧の情報を含むこととなる。このように、検出対象の直流電圧の情報を含んだ電圧が、直接検出される。
本発明のスイッチング電源装置によれば、第1電源から第1トランスコイルに直流入力電圧を印加すると共に、この第1電源からの直流入力電圧の情報を含んだ電圧を第1電源の出力端から直接検出するようにしたので、電源本体部のスイッチング動作が停止した後であっても、直流入力電圧を検出することが可能となる。
また、本発明の電圧検出回路によれば、第1トランスコイルに検出対象の直流電圧を印加すると共に、この直流電圧の情報を含んだ電圧を直接検出するようにしたので、検出対象の直流電圧が0Vとなっても、直流電圧を検出することができる。よって、この電圧検出回路を例えばスイッチング電源装置に適用した場合、電源装置のスイッチング動作が停止した後であっても直流入力電圧を検出することができ、スイッチング電源装置等に好適に利用することが可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、単に実施の形態という。)について、図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るスイッチング電源装置の構成を表すものである。このスイッチング電源装置は、高圧バッテリHB(第1電源)から供給される高圧の直流入力電圧Vinを、より低い直流出力電圧Voutに変換して、低圧バッテリLB(第2電源)に供給するDC−DCコンバータとして機能するものであり、後述するように2次側がセンタタップ型カソードコモン接続のスイッチング電源装置である。
このスイッチング電源装置は、電源本体部10と、電源本体部10に並列に接続された電圧検出部20(電圧検出回路)と、電圧検出部20に接続された保持部26と、保持部26に接続された比較部27と、電源本体部10に接続された制御回路17とを備えている。
最初に、電源本体部10の構成について説明する。
電源本体部10は、1次側巻線11Aおよび2次側巻線11B,11Cを含んで構成された3巻線型のトランス11を有している。トランス11の1次側には平滑コンデンサ12、インバータ回路13および共振用インダクタ14が、2次側には整流回路15および平滑回路16がそれぞれ設けられている。平滑コンデンサ12およびインバータ回路13は1次側高圧ラインL1Hと1次側低圧ラインL1Lとの間に、共振用インダクタ14はインバータ回路13と1次側巻線11Aとの間にそれぞれ設けられている。
また、1次側高圧ラインL1Hに入力端子T1が、1次側低圧ラインL1Lに入力端子T2がそれぞれ設けられており、これら入力端子T1,T2が高圧バッテリHBの出力端子と接続されるようになっている。また、平滑回路16の高圧側のラインである出力ラインL0に出力端子T3が、平滑回路16の低圧側のラインである接地ラインLGに出力端子T4がそれぞれ設けられており、これら出力端子T3,T4が低圧バッテリLBの入出力端子と接続されるようになっている。
インバータ回路13は、高圧バッテリHBから出力される直流入力電圧Vinをほぼ矩形波状の単相交流電圧に変換する単相インバータ回路である。このインバータ回路13は、制御回路17から供給されるスイッチング信号によってそれぞれ駆動される4つのスイッチング素子13A,13B,13C,13Dをフルブリッジ接続してなるフルブリッジ型のスイッチング回路である。これらスイッチング素子13A,13B,13C,13Dとしては、例えば、MOS−FET(Metal Oxide Semiconductor-Field Effect Transistor )やIGBT(Insulated Gate Bipolor Transistor )などの素子が用いられる。
スイッチング素子13Aは、トランス11の1次側巻線11Aの一端と1次側高圧ラインL1Hとの間に設けられ、スイッチング素子13Bは1次側巻線11Aの他端と1次側低圧ラインL1Lとの間に設けられている。スイッチング素子13Cは1次側巻線11Aの他端と1次側高圧ラインL1Hとの間に設けられ、スイッチング素子13Dは1次側巻線11Aの一端と1次側低圧ラインL1Lとの間に設けられている。上記した共振用インダクタ14は、スイッチング素子13A,13Dの接続点と1次側巻線13Aの一端との間に接続されている。
これより、インバータ回路13は、スイッチング素子13A,13Bのオン動作により、1次側高圧ラインL1Hから順にスイッチング素子13A、1次側巻線11Aおよびスイッチング素子13Bを通って1次側低圧ラインL1Lに至る第1の電流経路に電流が流れる一方、スイッチング素子13C,13Dのオン動作により、1次側高圧ラインL1Hから順にスイッチング素子13C、1次側巻線11A、共振用インダクタ14およびスイッチング素子13Dを通って1次側低圧ラインL1Lに至る第2の電流経路に電流が流れるようになっている。
トランス11は、1次側巻線11Aおよび2次側巻線11B,11Cの極性が互いに同じ向きとなるように磁気結合された磁気素子である。トランス11の一対の2次側巻線11B,11CはセンタタップCで互いに接続され、このセンタタップCが接地ラインLGを介して出力端子T4に接続されている。つまり、このスイッチング電源装置はセンタタップ型のものである。これより、このトランス11は、インバータ回路13によって変換された交流電圧を変圧(降圧)し、一対の2次側巻線11B,11Cの各端部A,Bから、互いに180度位相が異なる交流電圧VO1,VO2を出力するようになっている。なお、この場合の変圧の度合いは、1次側巻線11Aと2次側巻線11B,11Cとの巻数比によって定まる。
なお、共振用インダクタ14は、コイル部品を実際に配置してもよいが、これに代えて、またはこれと共に、トランス11のリーケージインダクタンス(図示せず)や配線などを含めた直列インダクタンスを利用して構成してもよい。
整流回路15は、一対のダイオード15A,15Bからなる単相全波整流型のものである。ダイオード15Aのアノードは2次側巻線11Bの一端Aに、ダイオード15Bのアノードは2次側巻線11Cの一端Bにそれぞれ接続されている。ダイオード15A,15Bの各カソード同士は、接続点Dにおいて互いに接続されると共に、出力ラインLOに接続されている。つまり、この整流回路15はカソードコモン接続の構造を有しており、トランス11の交流出力電圧VO1,VO2の各半波期間をそれぞれダイオード15A,15Bによって個別に整流して直流電圧を得るようになっている。
平滑回路16は、チョークコイル16Aと平滑コンデンサ16Bとを含んで構成されている。チョークコイル16Aは、出力ラインLOに挿入配置されており、その一端は接続点Dに、その他端は出力端子T3にそれぞれ接続されている。平滑コンデンサ16Bは、チョークコイル16Aの他端と接地ラインLGとの間に接続されている。平滑回路16は、このような構成により、整流回路15で整流された直流電圧を平滑化して直流出力電圧Voutを生成し、これを出力端子T3,T4から低圧バッテリLBに給電するようになっている。
次に、電圧検出部20およびその他の部分の構成について説明する。
電圧検出部20は、トランス21(電圧検出用トランス)、放出回路22、スイッチング素子24、ドライブ回路25および一対の検出信号線W1,W2を有している。
トランス21は、1次側巻線21A(第1トランスコイル)および2次側巻線21B(第2トランスコイル)を含み、1次側巻線21Aの極性と2次側巻線21Bの極性とが、互いに同じ向きとなるように磁気結合されてなる2巻線型のフォワードトランスである。1次側巻線21Aの一端は放出回路22を介して高圧バッテリHBの出力端子の一端に接続され、1次側巻線21Aの他端はスイッチング素子24を介して高圧バッテリHBの出力端子の他端に接続されている。すなわち、1次側巻線21Aおよびスイッチング素子24は、高圧バッテリHBの両端間に互いに直列接続されている。一方、2次側巻線21Bの一端は検出信号線W1の一端に、2次側巻線21Bの他端は検出信号線W2の一端にそれぞれ接続されている。また、検出信号線W1および検出信号線W2のそれぞれの他端は保持部26に接続されている。
放出回路22は、抵抗器22A、コンデンサ22Bおよびダイオード22Cを有している。抵抗器22Aの一端は、1次側巻線21Aの一端、コンデンサ22Bの一端および高圧バッテリHBの一端に接続され、抵抗器22Aの他端は、コンデンサ22Bの他端およびダイオード22Cのカソードに接続されている。また、ダイオード22Cのアノードは、1次側巻線21Aの他端およびスイッチング素子24の一端に接続されている。このような構成により放出回路22は、詳細は後述するが、トランス21に蓄積されたエネルギーを放出し、熱消費するようになっている。
スイッチング素子24は、ダイオード22Cのアノードおよび1次側巻線21Aと、高圧バッテリHBの他端との間に配置されており、低圧バッテリLBとは別個に電源供給されるドライブ回路25によってそのオン・オフ動作が制御されるようになっている。なお、このスイッチング素子24としては、スイッチング素子13A,13B,13C,13Dと同様に、例えばMOS−FETやIGBTなどの素子が用いられる。
保持部26は、例えば、検出信号線W1およびW2の間にコンデンサCが接続されると共に、検出信号線W1にダイオード26Aが挿入配置された回路である。具体的には、ダイオード26Aのアノードが2次側巻線21Bの一端に接続され、カソードがコンデンサ26Bの一端に接続され、コンデンサ26Bの他端が2次側巻線21Bの他端に接続されている。この保持部26は、詳細は後述するが、検出信号線W1と検出信号線W2との間に誘起された電圧V2のうちピーク電圧Vpを所定の時間保持すると共に、その保持している電圧Vpを比較部27に供給するようになっている。
比較部27は、例えば、コンパレータを含んで構成されており、保持部26から入力された電圧Vpの絶対値と基準電圧Vrefの絶対値との大小関係を判定し、保持部26から入力された電圧Vpの絶対値の方が大きい場合に、制御回路17からインバータ回路13へ出力されるスイッチング信号を停止させるための制御信号Sを、制御回路17へ出力するようになっている。
次に、図1〜図6を参照して、以上のような構成のスイッチング電源装置の動作について詳細に説明する。以下、電源本体部10の動作、本発明の特徴部分の1つである電圧検出部20の動作原理、および電圧検出部20の周辺回路の動作について、順次説明する。
まず、図1を参照して、電源本体部10の動作について説明する。
インバータ回路13のスイッチング素子13A,13Bがオンすると、スイッチング素子13Aからスイッチング素子13Bの方向に電流が流れ、トランス11の2次側巻線11B,11Cに現れる電圧VO1,VO2がダイオード15Bに対して逆方向となり、ダイオード15Aに対して順方向となる。このため、2次側巻線11Bからダイオード15Aを通って出力ラインLOに電流が流れる。
次に、スイッチング素子13Bがオフし、スイッチング素子13Cがオンすると、トランス11の2次側巻線11Cに現れる電圧[−VO2]は、ダイオード15Bに対して順方向となる。このため、2次側巻線11Cからダイオード52を通って出力ラインLOに電流が流れる。
スイッチング素子13C,13Dがオンすると、スイッチング素子13Cからスイッチング素子13Dの方向に電流が流れ、トランス11の2次側巻線11B,11Cに現れる電圧[−VO1]、[−VO2]がダイオード52に対して順方向になる一方、ダイオード15Aに対して逆方向となる。このため、2次側巻線11Cからダイオード15Bを通って出力ラインLOに電流が流れる。
次に、スイッチング素子13Cがオフし、スイッチング素子13Bがオンすると、トランス11の2次側巻線11Bに現れる電圧[−VO1]はダイオード15Aに対して順方向となる。このため、2次側巻線11Bからダイオード15Aを通って出力ラインLOに電流が流れる。
このようにして、電源本体部10は、高圧バッテリHBから供給された直流入力電圧Vinを直流出力電圧Voutに変圧(降圧)し、その変圧した直流出力電圧Voutを低圧バッテリLBに給電する。
次に、図2〜図6を参照して、電圧検出回路20の動作原理およびその周辺回路の動作について説明する。
ここで、図2(A)〜(F)は、直流入力電圧Vinが内部回路が破壊されない範囲内(以下、「安全な範囲内」とする)のうち下方にあるときの各波形図の一例を、図3(A)〜(F)は、直流入力電圧Vinが安全な範囲内のうち上方にあるときの各波形図の一例を、図4(A)〜(F)は、直流入力電圧Vinが安全な範囲の上限である基準電圧Vrefの絶対値よりも大きくなったときの各波形図の一例をそれぞれ表すものである。また、図5は、スイッチング素子24がオンしたとき(後述するタイミングt1〜t2,t4〜t5,t7〜t8間)の動作について、図6は、スイッチング素子24がオフしたとき(後述するタイミングt2〜t3,t5〜t6,t8〜t9間)の動作についてそれぞれ説明するためのものである。
なお、図2(A),図3(A),図4(A)は、ドライブ回路25からスイッチング素子24へ出力されるスイッチング信号の電圧(スイッチング素子24がMOS−FETの場合、ゲート・ソース間に印加される電圧)Vgsを、図2(B),図3(B),図4(B)は、スイッチング素子24の両端間の電圧(スイッチング素子24がMOS−FETの場合、ドレイン・ソース間の電圧)Vdsを、図2(C),図3(C),図4(C)は、1次側巻線21Aに流れる電流I1を、図2(D),図3(D),図4(D)は、2次側巻線21Bに誘起される電圧(電圧検出部20の出力電圧)V2を、図1(E),図3(E),図4(E)は、保持部26によって保持された電圧(ピーク電圧)Vpを、図2(F),図3(F),図4(F)は、比較部27から制御回路17へ出力される制御信号Sの電圧をそれぞれ表し、図1,図5,図6中に示した矢印が正方向を示している。
図2(A),図3(A),図4(A),図5に示したように、タイミングt1,t4またはt7において、ドライブ回路25からパルス状のスイッチング信号が出力され、スイッチング素子24がオンすると、図2(B),図3(B),図4(B)に示したように、スイッチング素子24の両端間の電圧Vdsが0Vとなる。また、図5に示したように、入力端子T1、1次側巻線21A、スイッチング素子24および入力端子T2へと至る電流経路Iaにより、電流が流れる。よって、1次側巻線21Aを流れる電流I1が、図2(C),図3(C),図4(C)に示したように、傾き(Vin/L1)の割合で増加していく。ここで、L1は1次側巻線21Aのインダクタンスである。これにより、スイッチング素子24がオンの間、トランス21に直流入力電圧Vinが断続的に印加されてエネルギーが蓄積されると共に、図2(D),図3(D),図4(D)に示したように、ダイオード26Aのアノードと2次側巻線21Bの他端との間に電圧V2が誘起される。ここで、電圧V2は、電流I1が増加している間は(n2/n1)×Vinであり、電流I1が停止するとゼロになる。ここで、n1は1次側巻線21Aの巻き数、n2は2次側巻線21Bの巻き数である。なお、電圧V2は、上記電流I1と同様、直流入力電圧Vinの情報を含んでいるが、直流出力電圧Voutの情報を含んでいない。
ピーク電圧Vpの基となる電圧(n2/n1)×Vinが2次側巻線21Bに誘起されると、図2(E),図3(E),図4(E)に示したように、保持部26は、その電圧からダイオード26Aの順方向電圧Vfを減じた電圧(ピーク電圧Vp=((n2/n1)×Vin−Vf)を、所定の時間保持すると共に、比較部27に出力する。
比較部27は、保持部26からピーク電圧Vpが入力されると、そのピーク電圧Vpと基準電圧Vrefとの大小関係を判定する。ここで、基準電圧Vrefは、安全な範囲内の上限の値Vmaxに順方向電圧Vfを加えた値をn1/n2で除した値から順方向電圧Vfを減じた値((n2/n1)×(Vmax+Vf)−Vf)とする。
ここで、図2(E)や図3(E)に示したような大きさのピーク電圧Vpが入力されると、比較部27は、直流入力電圧Vinは安全な範囲内にあると判定し、図2(F),図3(F)に示したように、制御回路17からインバータ回路13へ出力されるスイッチング信号を停止させるための制御信号Sを出力しない。一方、図4(E)に示したような大きさのピーク電圧Vpが入力されると、比較部27は、直流入力電圧Vinは安全な範囲を超えていると判定し、図4(F)に示したように、タイミングt7において制御信号Sを出力する。制御回路17は、例えば、この制御信号Sを受信すると、スイッチング信号の出力を停止する。このようにして、内部回路は過大な直流入力電圧Vinから保護される。
また、スイッチング信号の出力を停止したのち、図2(E)や図3(E)に示したような大きさのピーク電圧Vpが入力されると、比較部27は、直流入力電圧Vinは安全な範囲内に戻ったと判定して、例えば、制御信号Sの出力を停止し、その結果、制御回路17からインバータ回路13へスイッチング信号が出力される。
その後、図2(A),図3(A),図4(A),図6に示したように、タイミングt2,t5またはt8においてスイッチング素子24がオフすると、図6に示したように、1次側巻線21Aから放出回路22へと至る電流経路Ibにより、電流が流れる。これにより、トランス21に蓄積されたエネルギーが放出回路22へ放出されると共に熱消費され、その結果、トランス21のコアがリセットされる。
また、スイッチング素子24がオフすると、1次側巻線21Aを流れる電流I1が、図2(C),図3(C),図4(C)に示したように、タイミングt3,t6またはt9までの間、傾き[−(V22B/L1)]の割合で減少していく。なお、V22Bは、コンデンサ22Bの両端間に印加されている電圧である。
このようにして本実施の形態のスイッチング電源装置では、電圧検出部20において、スイッチング素子24がスイッチング動作してオン状態になると、高圧バッテリHBからの直流入力電圧Vinがパルス状の電圧に変換され、1次側巻線21Aに電流I1が流れる。すると、この1次側巻線21Aを流れる電流I1により、2次側巻線21Bにパルス状の電圧V2が誘起される。ここで、1次側巻線21Aを流れる電流I1は、高圧バッテリHBからの直流入力電圧Vinの情報を含んでいるので、2次側巻線21Bに誘起される電圧V2も高圧バッテリHBからの直流入力電圧Vinの情報を含むこととなる。このように、高圧バッテリHBからの直流入力電圧Vinの情報を含んだ電圧が、電圧検出部20によって高圧バッテリHBの出力端(入力端子T1,T2)から直接検出される。
以上のように、本実施の形態では、電圧検出部20内の1次側巻線21Aを、スイッチング素子24を介して高圧バッテリHBの出力端に接続された入力端子T1,T2に接続することにより、直流入力電圧Vinの情報を含む電圧を高圧バッテリHBの出力端から直接検出するようにしたので、直流出力電圧Voutが変動した場合であっても、直流入力電圧Vinの値を精度良く検出することができる。また、電源本体部10のスイッチング動作が停止した場合であっても、電圧検出部20が直流入力電圧Vinの情報を含む電圧を検出することができる。
また、電圧検出部20において、トランス21と1つのスイッチング素子24とが高圧バッテリHBの両端間に互いに直列接続されるようにし、いわゆるフォワード型の構成としたので、後述する第2の実施の形態におけるいわゆるダブル・フォワード型の構成と比べ、簡易な構成とすることができる。
また、図2〜図4のグラフから分かるように、電圧検出回路20はほぼ完全な線形の入出力特性を有しているので、ピーク電圧Vpを単純にコンパレータに入力するだけで直流入力電圧Vinを精度良く検出することができる。したがって、上記特許文献2のように、わざわざ演算回路を用いてピーク電圧Vpを補正する必要はなく、これにより、直流入力電圧Vinの検出速度を向上させることができる。なお、直流入力電圧Vinをより精度良く検出するには、検出された直流入力電圧Vinの値が外部環境の温度変化に応じて変動しないことが好ましく、例えば、ピーク電圧Vpが順方向電圧Vfのゆらぎを無視できる程度に大きくなるように、n1およびn2の値を設定することが好ましい。
また、直流出力電圧Voutが変動したとしても、検出された直流入力電圧Vinの値への影響は無いので、上記特許文献2のように、わざわざレギュレータを設けて直流出力電圧Voutを安定化させる必要はない。よって、スイッチング電源装置の構成を簡素化することが可能となる。
また、電圧検出部20内に、トランス21に蓄積されたエネルギーを放出する放出回路22を設けるようにしたので、トランス21のコアをリセットさせることができる。よって、例えば直流入力電圧Vinが0Vとなった場合であっても、直流入力電圧Vinの情報を含んだ電圧を検出することが可能となる。
また、スイッチング素子24がオン状態のときの検出信号線W1,W2の出力電圧(ピーク電圧Vp)を保持する保持部26と、この保持部26で保持されたピーク電圧Vpの絶対値が基準電圧Vrefの絶対値よりも大きい場合に、電源本体部10のスイッチング動作を停止させるための制御信号Sを出力する比較部27とを備えるようにしたので、電圧検出部10によって検出された直流入力電圧Vinの情報を含む電圧に基づいて、電源本体部10のスイッチング動作を停止させることが可能となる。
また、電源本体部10を、高圧の直流入力電圧Vinをより低い直流出力電圧Voutに変換する降圧型のDC−DCコンバータにより構成したので、保持部26や比較部27を、低耐圧の素子を用いて構成することができる。よって、高耐圧の素子を用いて構成した場合と比べ、素子の部品コストを低減することが可能となる。
さらに、電圧検出部10内において、トランス21によって1次側(高圧側)と2次側(低圧側)との間を電気的に絶縁して分断するようにしたので、安全な構成とすることができる。
なお、本実施の形態では、電圧検出部20において、1次側巻線21Aの他端と高圧バッテリHBの他端との間にスイッチング素子24を設けるようにした場合について説明したが、1次側巻線21Aの一端と高圧バッテリHBの一端との間にスイッチング素子を設けるようにしてもよい。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図3は、本実施の形態に係るスイッチング電源装置の回路構成を表すものである。この図において、図1に示した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。このスイッチング電源装置は、第1の実施の形態のスイッチング電源装置において、電圧検出部20の代わりに電圧検出部30を設けるようにしたものである。
電圧検出部30(電圧検出回路)は、トランス31(電圧検出用トランス)、回生回路32、2つのスイッチング素子341,342、これらスイッチング素子341,342にそれぞれ対応する2つのドライブ回路351,352および一対の検出信号線W3,W4を有している。
トランス31は、第1の実施の形態のトランス21と同様に、1次側巻線31A(第1トランスコイル)および2次側巻線31B(第2トランスコイル)を含み、1次側巻線31Aの極性と2次側巻線31Bの極性とが、互いに同じ向きとなるように磁気結合されてなる2巻線型のダブル・フォワードトランスである。1次側巻線31Aの一端はスイッチング素子342および回生回路32を介して高圧バッテリHBの出力端子の一端に接続され、1次側巻線31Aの他端はスイッチング素子341および回生回路32を介して高圧バッテリHBの出力端子の他端に接続されている。すなわち、1次側巻線31Aおよび2つのスイッチング素子341,342は、高圧バッテリHBの両端間に互いに直列接続されている。一方、2次側巻線31Bの一端は検出信号線W3の一端に、2次側巻線31Bの他端は検出信号線W4の一端にそれぞれ接続されている。また、検出信号線W3および検出信号線W4のそれぞれの他端は保持部26に接続されている。
回生回路32は、2つのダイオード32A,32Bを有している。ダイオード32Aのアノードは1次側巻線31Aの他端に接続され、カソードはスイッチング素子342の一端および高圧バッテリHBの一端に接続されている。また、ダイオード32Bのアノードはスイッチング素子341の他端および高圧バッテリHBの他端に接続され、カソードは1次側巻線31Aの一端に接続されている。このような構成により回生回路32は、詳細は後述するが、トランス31に蓄積されたエネルギーを高圧バッテリHBへ回生するようになっている。
スイッチング素子341は、ダイオード32Bのアノードおよび高圧バッテリHBの他端と1次側巻線31Aの他端との間に配置されており、低圧バッテリLBとは別個に電源供給されるドライブ回路351によってそのオン・オフ動作が制御されるようになっている。一方、スイッチング素子342は、ダイオード32Aのカソードおよび高圧バッテリHBの一端と1次側巻線31Aの一端との間に配置されており、低圧バッテリLBとは別個に電源供給されるドライブ回路352によってそのオン・オフ動作が制御されるようになっている。なお、詳細は後述するが、スイッチング素子341,342は、互いに同期してスイッチング動作を行うようになっている。また、これらスイッチング素子341,342としては、第1の実施の形態のスイッチング素子24と同様に、例えばMOS−FETやIGBTなどの素子が用いられる。
次に、図8〜図12を参照して、本実施の形態のスイッチング電源装置の動作について詳細に説明する。以下、本発明の特徴部分の1つである電圧検出部20の動作原理、および電圧検出部20の周辺回路の動作について、順次説明する。なお、電源本体部10の動作については第1の実施の形態で説明したものと同様であるので、説明を省略する。
ここで、図8(A)〜(F)は、直流入力電圧Vinが内部回路が破壊されない範囲内(以下、「安全な範囲内」とする)のうち下方にあるときの各波形図の一例を、図9(A)〜(F)は、直流入力電圧Vinが安全な範囲内のうち上方にあるときの各波形図の一例を、図10(A)〜(F)は、直流入力電圧Vinが安全な範囲の上限である基準電圧Vrefの絶対値よりも大きくなったときの各波形図の一例をそれぞれ表すものである。また、図11は、スイッチング素子341,342がオンしたとき(後述するタイミングt11〜t12,t14〜t15,t17〜t18間)の動作について、図12は、スイッチング素子341,342がオフしたとき(後述するタイミングt12〜t13,t15〜t16,t18〜t19間)の動作についてそれぞれ説明するためのものである。
なお、図8(A),図9(A),図10(A)は、ドライブ回路351,352からそれぞれスイッチング素子341,342へ出力されるスイッチング信号の電圧(スイッチング素子341,342がMOS−FETの場合、ゲート・ソース間に印加される電圧)Vgs1,Vgs2を、図8(B),図9(B),図10(B)は、スイッチング素子341の両端間の電圧(スイッチング素子341がMOS−FETの場合、ドレイン・ソース間の電圧)Vds1を、図8(C),図9(C),図10(C)は、1次側巻線31Aに流れる電流I2を、図8(D),図9(D),図10(D)は、2次側巻線31Bに誘起される電圧(電圧検出部30の出力電圧)V3を、図8(E),図9(E),図10(E)は、保持部26によって保持された電圧(ピーク電圧)Vpを、図8(F),図9(F),図10(F)は、比較部27から制御回路17へ出力される制御信号Sの電圧をそれぞれ表し、図7,図11,図12中に示した矢印が正方向を示している。
図8(A),図9(A),図10(A),図11に示したように、タイミングt11,t14またはt17において、ドライブ回路351,352からそれぞれパルス状のスイッチング信号が出力され、スイッチング素子341,342がオンすると、図8(B),図9(B),図10(B)に示したように、スイッチング素子341の両端間の電圧Vds1(および図示していないが、スイッチング素子342の両端間の電圧Vds2)が0Vとなる。また、図11に示したように、入力端子T1、スイッチング素子342、1次側巻線31A、スイッチング素子341および入力端子T2へと至る電流経路Icにより、電流が流れる。よって、1次側巻線31Aを流れる電流I2が、図8(C),図9(C),図10(C)に示したように、傾き(Vin/L1)の割合で増加していく。これにより、スイッチング素子341,342がオンの間、トランス31に直流入力電圧Vinが断続的に印加されてエネルギーが蓄積されると共に、図8(D),図9(D),図10(D)に示したように、ダイオード26Aのアノードと2次側巻線31Bの他端との間に電圧V3が誘起される。ここで、電圧V3は、電流I2が増加している間は(n2/n1)×Vinであり、電流I2が停止するとゼロになる。ここで、n1は1次側巻線31Aの巻き数、n2は2次側巻線31Bの巻き数である。なお、電圧V3は、上記電流I2と同様、直流入力電圧Vinの情報を含んでいるが、直流出力電圧Voutの情報を含んでいない。
ピーク電圧Vpの基となる電圧(n2/n1)×Vinが2次側巻線31Bに誘起されると、図8(E),図9(E),図10(E)に示したように、保持部26は、その電圧からダイオード26Aの順方向電圧Vfを減じた電圧(ピーク電圧Vp=((n2/n1)×Vin−Vf)を、所定の時間保持すると共に、比較部27に出力する。
比較部27は、保持部26からピーク電圧Vpが入力されると、そのピーク電圧Vpと基準電圧Vrefとの大小関係を判定する。ここで、基準電圧Vrefは、安全な範囲内の上限の値Vmaxに順方向電圧Vfを加えた値をn1/n2で除した値から順方向電圧Vfを減じた値((n2/n1)×(Vmax+Vf)−Vf)とする。
ここで、図8(E)や図9(E)に示したような大きさのピーク電圧Vpが入力されると、比較部27は、直流入力電圧Vinは安全な範囲内にあると判定し、図8(F),図9(F)に示したように、制御信号Sを出力しない。一方、図10(E)に示したような大きさのピーク電圧Vpが入力されると、比較部27は、直流入力電圧Vinは安全な範囲を超えていると判定し、図10(F)に示したように、タイミングt17において制御信号Sを出力する。制御回路17は、例えば、この制御信号Sを受信すると、スイッチング信号の出力を停止する。このようにして、内部回路は過大な直流入力電圧Vinから保護される。
また、スイッチング信号の出力を停止したのち、図8(E)や図9(E)に示したような大きさのピーク電圧Vpが入力されると、比較部27は、直流入力電圧Vinは安全な範囲内に戻ったと判定して、例えば、制御信号Sの出力を停止し、その結果、制御回路17からインバータ回路13へスイッチング信号が出力される。
その後、図8(A),図9(A),図10(A),図12に示したように、タイミングt12,t15またはt18においてスイッチング素子341,342がオフすると、図12に示したように、高圧バッテリHBの他端、ダイオード32B、1次側巻線31A、ダイオード32Aおよび高圧バッテリHBの一端へと至る電流経路Idにより、電流が流れる。これにより、トランス31に蓄積されたエネルギーが高圧バッテリHB2へ回生され、その結果、トランス31のコアがリセットされる。
また、スイッチング素子341,342がオフすると、1次側巻線31Aを流れる電流I2が、図8(C),図9(C),図10(C)に示したように、タイミングt13,t16またはt19までの間、傾き[−(Vin/L1)]の割合で減少していく。なお、この電流I2は、1次側巻線31Aの経路を流れている間、直流入力電圧Vinの情報を含んでいるが、直流出力電圧Voutの情報を含んでいない。
以上のように、本実施の形態では、電圧検出部30内の1次側巻線31Aを、2つのスイッチング素子341,342を介して高圧バッテリHBの出力端に接続された入力端子T1,T2に接続することにより、直流入力電圧Vinの情報を含む電圧を高圧バッテリHBの出力端から直接検出するようにしたので、上記第1の実施の形態と同様の効果を得ることが可能となる。すなわち、直流出力電圧Voutが変動した場合であっても、直流入力電圧Vinの値を精度良く検出することができる。また、電源本体部10のスイッチング動作が停止した場合であっても、電圧検出部20が直流入力電圧Vinの情報を含む電圧を検出することができる。
また、電圧検出部30内に、トランス31に蓄積されたエネルギーを高圧バッテリHBへ回生する回生回路32を設けるようにしたので、トランス31のコアをリセットさせることができる。よって、例えば直流入力電圧Vinが0Vとなった場合であっても、直流入力電圧Vinの情報を含んだ電圧を検出することが可能となる。また、蓄積されたエネルギーを高圧バッテリHBに回生させることができるため、第1の実施の形態で説明した放出回路22を設けた場合と比べ、電力損失を低減することが可能となる。
以上、第1および第2の実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
例えば上記実施の形態では、低圧バッテリLBとは別個に電源供給されるドライブ回路25,351,352によって、それぞれスイッチング素子24,341,342を制御するようにした場合について説明したが、例えば図13および図14にそれぞれ示した電圧検出部20A,30Aのように、低圧バッテリLBから電源供給されるドライブ部28,38によって、スイッチング素子24,341,342を制御するようにしてもよい。すなわち、低圧バッテリLBからの電源供給を利用してスイッチング素子24,341,342を駆動するようにしてもよい。具体的には、ドライブ部28は、ドライブ回路280と、1次側巻線281Aおよび2次側巻線281Bを有するトランス281と、スイッチング素子282とを有している。1次側巻線281Aの両端間に発生する電圧Vgsによってスイッチング素子24のオン・オフ動作が制御されるようになっており、2次側巻線281Bの一端は出力端子T3に接続され、2次側巻線281Bの他端はスイッチング素子282の一端に接続され、スイッチング素子282の他端は出力端子T4に接続され、ドライブ回路280によってスイッチング素子282のオン・オフ動作が制御されるようになっている。一方、ドライブ部38は、ドライブ回路380と、1次側巻線381A,381Cおよび2次側巻線381Bを有するトランス381と、スイッチング素子382とを有している。1次側巻線381Aの両端間に発生する電圧Vgs1によってスイッチング素子341のオン・オフ動作が制御されると共に1次側巻線381Cの両端間に発生する電圧Vgs2によってスイッチング素子342のオン・オフ動作が制御されようになっており、2次側巻線381Bの一端は出力端子T3に接続され、2次側巻線381Bの他端はスイッチング素子382の一端に接続され、スイッチング素子382の他端は出力端子T4に接続され、ドライブ回路380によってスイッチング素子382のオン・オフ動作が制御されるようになっている。このような構成により電圧検出部20A,30Aでは、安定した電源である低圧バッテリLBから電源供給を受けているので、上記実施の形態における効果に加え、電圧検出部の動作を安定化させることが可能となる。また、低圧側の第2電源からの電源供給を利用してスイッチング素子を駆動しているので、駆動素子であるドライブ部28,38内の素子を低耐圧の素子により構成することができ、部品コストを低減することが可能となる。
また、上記実施の形態では、2次側巻線21B,31Bに誘起された電圧V2,V3が保持部26を介して比較部27に入力されるように構成することにより、2次側巻線21B,31Bから比較部27へ入力される電圧が常にピーク電圧Vpと等しい値になっていたが、保持部26を介さずに2次側巻線21B,31Bに誘起された電圧V2,V3が比較部27に直接入力されるように構成してもよい。ただし、この場合は、比較部27へ入力される電圧がピーク電圧Vpと等しい値になるのは、スイッチング素子24,341,342がオン状態の間だけなので、例えば、その間に比較部27から制御回路17に入力される信号だけを有効な信号として判定することの可能なサンプリング機構を制御回路17に設けることが必要となる。
また、上記実施の形態では、スイッチング電源装置の回路構成を具体的に挙げて説明したが、回路構成はこれに限定されるものではない。例えば、インバータ回路を、8つのスイッチング素子を用いたフルブリッジ型、2つのスイッチング素子を用いたフォワード型、または2つもしくは4つのスイッチング素子を用いたハーフブリッジ型により構成してもよい。
また、上記実施の形態では、電源本体部10が、高圧の直流入力電圧Vinをより低い直流出力電圧Voutに変換する降圧型のDC−DCコンバータにより構成されている場合について説明したが、逆に電源本体部を、低圧の直流入力電圧Vinをより高い直流出力電圧Voutに変換する昇圧型のDC−DCコンバータにより構成してもよい。
さらに、上記実施の形態では、本発明の電圧検出回路の一例として、スイッチング電源装置の高圧側の直流入力電圧Vinを検出する電圧検出部について説明したが、本発明の電圧検出回路は、この他にも一対の信号線間に発生している高圧の直流電圧をより低圧の直流電圧に降圧してから検出するのに好適なものに対して適用することが可能である。
本発明の第1の実施の形態に係るスイッチング電源装置の構成を表す回路図である。 図1の電圧検出部の動作原理を説明するためのタイミング波形図である。 図1の電圧検出部の動作原理を説明するための他のタイミング波形図である。 図1の電圧検出部の動作原理を説明するための他のタイミング波形図である。 図1の電圧検出部の動作原理を説明するための回路図である。 図1の電圧検出部の動作原理を説明するための他の回路図である。 本発明の第2の実施の形態に係るスイッチング電源装置の構成を表す回路図である。 図7の電圧検出部の動作原理を説明するためのタイミング波形図である。 図7の電圧検出部の動作原理を説明するための他のタイミング波形図である。 図7の電圧検出部の動作原理を説明するための他のタイミング波形図である。 図7の電圧検出部の動作原理を説明するための回路図である。 図7の電圧検出部の動作原理を説明するための他の回路図である。 第1の実施の形態の変形例に係るスイッチング電源装置の構成を表す回路図である。 第2の実施の形態の変形例に係るスイッチング電源装置の構成を表す回路図である。
符号の説明
10…電源本体部、11,21,281,31,381…トランス、11A,21A,281A,31A,381A,381C…1次側巻線、11B,21B,281B,31B,381B…2次側巻線、12…平滑コンデンサ、13…インバータ回路、13A,13B,13C,13D,24,282,341,342,382…スイッチング素子、14…共振用インダクタ、15…整流回路、15A,15B,22C,26A,32A,32B…ダイオード、16…平滑回路、16A…チョークコイル、16B…平滑コンデンサ、17…制御回路、20,20A、30,30A…電圧検出部、22…放出回路、22A…抵抗器、22B,26B…コンデンサ、25,280,351,352,380…ドライブ回路、26…保持部、27…比較部、28,38…ドライブ部、32…回生回路、HB…高圧バッテリ、LB…低圧バッテリ、T1,T2…入力端子、T3,T4…出力端子、L1H…1次側高圧ライン、L1L…1次側低圧ライン、LO…出力ライン、LG…接地ライン、W1,W2…検出信号線、Vin…直流入力電圧、Vout…直流出力電圧、V2,V3…電圧、Vgs,Vgs1,Vgs2…ゲート電圧、Vds,Vds1…ドレイン電圧、Vf…ダイオードの順方向電圧、Vref…基準電圧、Vp…ピーク電圧(保持部の出力電圧)、I1,I2…電流、Ia,Ib,Ic,Id…電流経路、S…制御信号、n1…1次側巻線の巻き数、n2…2次側巻線の巻き数、t1〜t9,t11〜t19…タイミング。

Claims (9)

  1. 第1電源から入力される直流入力電圧をスイッチングして交流電圧に変換すると共に、この交流電圧を変圧し整流して得られる直流出力電圧を第2電源に出力する電源本体部と、
    電圧検出用トランスと、スイッチング素子と、検出信号線とを有する電圧検出部と
    を備え、
    前記電圧検出用トランスが、
    前記スイッチング素子のオン・オフに応じて前記直流入力電圧が断続的に印加される1次側の第1トランスコイルと、
    前記検出信号線に接続された2次側の第2トランスコイルとを含む
    ことを特徴とするスイッチング電源装置。
  2. 前記電圧検出部は、1つの前記スイッチング素子を有し、
    前記第1トランスコイルと前記1つのスイッチング素子とが、前記第1電源の両端間に互いに直列接続されている
    ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源装置。
  3. 前記電圧検出部は、前記電圧検出用トランスに蓄積されたエネルギーを放出する放出回路を有する
    ことを特徴とする請求項2に記載のスイッチング電源装置。
  4. 前記電圧検出部は、前記第1トランスコイルの両端側に配置された2つの前記スイッチング素子を有し、
    前記第1トランスコイルと前記2つのスイッチング素子とが、前記第1電源の両端間に互いに直列接続されている
    ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源装置。
  5. 前記電圧検出部は、前記電圧検出用トランスに蓄積されたエネルギーを前記第1電源へ回生する回生回路を有する
    ことを特徴とする請求項4に記載のスイッチング電源装置。
  6. 前記スイッチング素子がオン状態のときの前記検出信号線の出力電圧を保持する保持部と、
    前記保持部で保持された電圧の絶対値が基準電圧の絶対値よりも大きい場合に、前記電源本体部のスイッチング動作を停止させるための制御信号を出力する比較部とを備えた
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のスイッチング電源装置。
  7. 前記第1トランスコイルの極性と前記第2トランスコイルの極性とが、互いに同じ向きとなるように磁気結合されている
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のスイッチング電源装置。
  8. 前記スイッチング素子が、前記第2電源からの電源供給を利用して駆動されている
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のスイッチング電源装置。
  9. 直流電圧を検出する回路であって、
    電圧検出用トランスと、
    スイッチング素子と、
    検出信号線と
    を備え、
    前記電圧検出用トランスが、
    前記スイッチング素子のオン・オフに応じて前記直流電圧が断続的に印加される1次側の第1トランスコイルと、
    前記検出信号線に接続された2次側の第2トランスコイルとを含む
    ことを特徴とする電圧検出回路。
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