JP2008085130A - ダイアタッチメントフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】耐久性の高い半導体パッケージを実現可能なDAF:ダイアタッチメントフィルムの提供。
【解決手段】ベンゾオキサゾール骨格を有するジアミン類を60mol%以上用いた芳香族ポリイミドフィルムに耐熱接着層を形成してなるダイアタッチメントフィルムを用いて半導体パッケージを構成する。ジアミン類と組み合わせるテトラカルボン酸無水物類としてはピロメリット酸無水物が好ましい。また、接着剤層としてはガラス転移温度が180℃以上350℃以下のポリイミド樹脂が好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は半導体チップの実装に用いられるダイアタッチメントフィルム(接着テープ)に関する。
半導体実装分野では、前工程の終了したウエハのプロセッシングに接着フィルム、接着テープ材料が広く用いられている。前工程が終了した半導体ウエハの回路面に貼り付けられ、ウエハを薄葉化するために裏面を削る、所謂バックグラインド工程に用いられるフィルムをバックグラインドフィルム、ないしバックグラインドテープと云う。
半導体ウエハをカッティングしてチップに分ける際に、ウエハ裏面に貼られるフィルムをダイシングフィルム、ないしダイシングテープという。これらはいずれも最終的には剥がされ、最終製品には残らない所謂工程フィルム材料である。
一方、半導体チップを実装基板に固定する為に用いられる材料をダイボンディング材、あるいはダイアタッチメント材と呼ぶ。これらは、チップを基板に固定し、そのまま半導体パッケージの一部となる。従ってかかる材料には相応の耐熱性、耐久性が必要となる。
ダイボンディング用導電性接着剤として、エポキシ樹脂に銀粉を混練した銀ペーストが多く使用されている。しかし、半導体素子の配線基板への装着方法が表面実装法に移行するに従い、銀ペーストに対する耐はんだリフロー性向上の要求が強まり、硬化後のダイボンディング用接着層のボイド、ピール強度、吸水率、弾性率等が問題視されてきている。またペーストが流体であるが故のはみ出し等も問題視されている。さらに個別に塗布を行わなければならない点が組み立てコストの面から問題視されてきている。
このような面よりダイボンディングをペーストではなく接着フィルムで行うプロセスが実用化されている。かかる用途に用いられるフィルムをダイアタッチメントフィルム、ないしダイアタッチメントテープ、ないしダイボンディングフィルム、ないしダイボンディングテープと云う。
従来ダイアタッチメントフィルムには、エポキシ樹脂シート、ポリウレタンイミドシート、シリコーン樹脂シートなどが用いられてきた(特許文献1〜3参照)。
特開2006−241174号公報 特開2005−220340号公報 特開2005−303275号公報
かかる樹脂シートからなるダイアタッチメントフィルムにおいては、被着体との接着力が全般的に劣るという問題がある。ここでの被着体は主に半導体チップ側を意味する。低い接着力はダイアタッチメントフィルムの温度に対する収縮と、被着体の収縮との差に起因する。かかる収縮量の差は接着力のみならず、半導体チップに変形応力が加わることにより、半導体パッケージ全体の信頼性低下にもつながるものである。さらに薄葉化したウエハから得られるチップは極めて破損しやすくダイボンディングペーストや、従来のダイアタッチメントフィルムでの実装は困難である。
本発明は、薄葉化された半導体チップを用いた場合においても、高い生産性と信頼性を有する半導体パッケージを実現しうるダイアタッチメントフィルムを提供することを目的とする。
すなわち本発明は、
1.ベンゾオキサゾール骨格を有するジアミンを60mol%以上含むジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸二無水物を80mol%以上含むテトラカルボン酸二無水物類とから得られるポリイミドフィルム基材と接着剤層からなるダイアタッチメントフィルム、
2.ポリイミドフィルム基材の引張弾性率が5GPa以上30GPa以下である前記1に記載のダイアタッチメントフィルム、
3.ポリイミドフィルムの線膨張係数が−2ppm以上8ppm以下である前記1又は2いずれかに記載のダイアタッチメントフィルム、
4.接着剤層が、ガラス転移温度が180℃以上350℃以下のポリイミド樹脂からなる前記1〜3いずれかに記載のダイアタッチメントフィルム、
である。
本発明の構成によるダイアタッチメントフィルムは、ウエハ段階での良好なハンドリング性、モジュール化してからの優れた半田耐熱性、耐PCT性、耐ヒートサイクル性を示す。加工プロセス中の振動、衝撃による不良発生を低減し、なおかつモジュール化、パネル化などの実装工程、実装工程後の実際の使用中にも十分な耐久性が期待される。
本発明の基材に使用するポリイミドフィルムは、ベンゾオキサゾール骨格を有するジアミン類を60mol%以上含むジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸二無水物を80mol%以上含むテトラカルボン酸二無水物類から得られるポリイミドフィルムである。
本発明におけるベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類として、下記の化合物が例示できる。
Figure 2008085130
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これらの中でも、合成のし易さの観点から、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールの各異性体が好ましい。ここで、「各異性体」とは、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールが有する2つアミノ基が配位位置に応じて定められる各異性体である(例;上記「化1」〜「化4」に記載の各化合物)。これらのジアミンは、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明においては、前記ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミンを70モル%以上使用することが好ましい。
本発明は、前記事項に限定されず下記の芳香族ジアミンを使用してもよいが、好ましくは全芳香族ジアミンの30モル%未満であれば下記に例示されるベンゾオキサゾール構造を有しないジアミン類を一種又は二種以上、併用してのポリイミドフィルムである。
そのようなジアミン類としては、例えば、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、
3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、
1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノシ)フェニル]ブタン、2,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、
1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、
2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−フルオロフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、
3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−ビフェノキシベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、2,6−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾニトリル及び上記芳香族ジアミンにおける芳香環上の水素原子の一部もしくは全てがハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基又はアルコキシル基、シアノ基、又はアルキル基又はアルコキシル基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基又はアルコキシル基で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。
本発明で用いられる芳香族テトラカルボン酸類は例えば芳香族テトラカルボン酸無水物類である。芳香族テトラカルボン酸無水物類としては、具体的には、以下のものが挙げられる。
Figure 2008085130
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これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明においては、全テトラカルボン酸二無水物の30モル%未満であれば下記に例示される非芳香族のテトラカルボン酸二無水物類を一種又は二種以上、併用しても構わない。そのようなテトラカルボン酸無水物としては、例えば、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ペンタン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサ−1−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−エチルシクロヘキサン−1−(1,2),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明では、ベンゾオキサゾール骨格を有するジアミン類を60mol%以上、芳香族テトラカルボン酸二無水物を80mol%以上用いることが必須である。使用量がこの範囲に満たないと、フィルム強度と耐熱性が低下し所望の効果を得ることができなくなる。
前記芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸(無水物)類とを重縮合(重合)してポリアミド酸を得るときに用いる溶媒は、原料となるモノマー及び生成するポリアミド酸のいずれをも溶解するものであれば特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックアミド、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、スルホラン、ハロゲン化フェノール類等があげられる。 これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。溶媒の使用量は、原料となるモノマーを溶解するのに十分な量であればよく、具体的な使用量としては、モノマーを溶解した溶液に占めるモノマーの質量が、通常5〜40質量%、好ましくは10〜30質量%となるような量が挙げられる。
ポリアミド酸を得るための重合反応(以下、単に「重合反応」ともいう)の条件は従来公知の条件を適用すればよく、具体例として、有機溶媒中、0〜80℃の温度範囲で、10分〜30時間連続して撹拌及び/又は混合することが挙げられる。必要により重合反応を分割したり、温度を上下させてもかまわない。この場合に、両モノマーの添加順序には特に制限はないが、芳香族ジアミン類の溶液中に芳香族テトラカルボン酸無水物類を添加するのが好ましい。重合反応によって得られるポリアミド酸溶液に占めるポリアミド酸の質量は、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%であり、前記溶液の粘度はブルックフィールド粘度計による測定(25℃)で、送液の安定性の点から、好ましくは10〜2000Pa・sであり、より好ましくは100〜1000Pa・sである。
本発明におけるポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)は、特に限定するものではないが3.0dl/g以上が好ましく、4.0dl/g以上がさらに好ましい。
これらの還元粘度とすることで、得られるポリイミドベンゾオキサゾールの300℃でのカール度が10%以下となす制御が容易となる。
重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミド酸の有機溶媒溶液を製造するのに有効である。また、重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封止剤を添加して重合を制御することを行ってもよい。末端封止剤としては、無水マレイン酸等といった炭素−炭素二重結合を有する化合物が挙げられる。無水マレイン酸を使用する場合の使用量は、芳香族ジアミン類1モル当たり好ましくは0.001〜1.0モルである。
高温処理によるイミド化方法としては、従来公知のイミド化反応を適宜用いることが可能である。例えば、閉環触媒や脱水剤を含まないポリアミド酸溶液を用いて、加熱処理に供することでイミド化反応を進行させる方法(所謂、熱閉環法)やポリアミド酸溶液に閉環触媒及び脱水剤を含有させておいて、上記閉環触媒及び脱水剤の作用によってイミド化反応を行わせる、化学閉環法を挙げることができる。
熱閉環法の加熱最高温度は、100〜500℃が例示され、好ましくは200〜480℃である。加熱最高温度がこの範囲より低いと充分に閉環されづらくなり、またこの範囲より高いと劣化が進行し、複合体が脆くなりやすくなる。より好ましい態様としては、150〜250℃で3〜20分間処理した後に350〜500℃で3〜20分間処理する2段階熱処理が挙げられる。
化学閉環法では、ポリアミド酸溶液をイミド化反応を一部進行させて自己支持性を有する前駆体複合体を形成した後に、加熱によってイミド化を完全に行わせることができる。
この場合、イミド化反応を一部進行させる条件としては、好ましくは100〜200℃による3〜20分間の熱処理であり、イミド化反応を完全に行わせるための条件は、好ましくは200〜400℃による3〜20分間の熱処理である。
閉環触媒をポリアミド酸溶液に加えるタイミングは特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。閉環触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどといった脂肪族第3級アミンや、イソキノリン、ピリジン、ベータピコリンなどといった複素環式第3級アミンなどが挙げられ、中でも、複素環式第3級アミンから選ばれる少なくとも一種のアミンが好ましい。ポリアミド酸1モルに対する閉環触媒の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.5〜8モルである。
脱水剤をポリアミド酸溶液に加えるタイミングも特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。脱水剤の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などといった脂肪族カルボン酸無水物や、無水安息香酸などといった芳香族カルボン酸無水物などが挙げられ、中でも、無水酢酸、無水安息香酸あるいはそれらの混合物が好ましい。また、ポリアミド酸1モルに対する脱水剤の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.1〜4モルである。脱水剤を用いる場合には、アセチルアセトンなどといったゲル化遅延剤を併用してもよい。
本発明のポリイミドフィルムの厚さは特に限定されないが、通常1〜150μm、好ましくは5〜110μm、さらに好ましくは9〜40μmである。この厚さはポリアミド酸溶液などのフィルム原料液を支持体に塗布する際の塗布量や、ポリアミド酸溶液などののフィルム原料液における原料濃度によって容易に制御し得る。
本発明の(ポリイミド)フィルムには、滑剤を(ポリイミド)フィルム中に添加含有せしめるなどしてフィルム表面に微細な凹凸を付与しフィルムの滑り性を改善することが好ましい。
滑剤としては、無機や有機の0.03μm〜3μm程度の平均粒子径を有する微粒子が使用でき、具体例として、酸化チタン、アルミナ、シリカ、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、燐酸水素カルシウム、ピロ燐酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、粘土鉱物などが挙げられる。
本発明の(ポリイミド)フィルムは、無延伸フィルムであっても延伸フィルムであってもよく、ここで無延伸フィルムとは、テンター延伸、ロール延伸、インフレーション延伸などによってフィルムの面拡張方向に機械的な外力を意図的に加えずに得られるフィルムをいう。
本発明に於けるポリイミドフィルムの引張弾性率は5GPa以上であり、好ましくは7GPa以上、さらに好ましくは9GPa以上である。引張弾性率がこの範囲に満たないと、バックグラインドにて薄葉化されたウエハから得られるチップの補強効果が発揮出来ない。
本発明に於けるポリイミドフィルムの引張弾性率は30GPa以下であり、好ましくは21GPa以下であり、さらに好ましくは15GPa以上である。引張弾性率がこの範囲を超えると、逆に半導体チップにストレスがかかりやすくなる場合がある。
前記ポリイミドフィルムの線膨張係数は、−2ppm以上、8ppm以下であり、好ましくは0ppm以上6ppm以下である。線膨張率がこの範囲を超えると半導体チップにストレスがかかりやすくなり信頼性の低下につながる。
ポリイミドフィルムの引張弾性率、線膨張係数は、ベンゾオキサゾール構造を有するジアミン類と芳香族テトラカルボン酸二無水物類を所定の量用い、面配向度を適宜制御することにより実現することができる。
本発明のダイアタッチメントフィルムに使用される接着剤層は、十分な耐熱性を有する物であれば特に限定はされず、公知の熱硬化型樹脂、熱可塑性樹脂から選択した物を用いることができる。具体的には、エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂、イミド系樹脂、ラジカル重合物質であるアクリレート・メタクリレート・マレイミド化合物等が挙げられ、好ましくは硬化剤とともに用いられる。エポキシ樹脂の場合、硬化剤として公知のイミダゾール系、ヒドラジド系、三フッ化ホウ素−アミン錯体、スルホニウム塩、アミンイミド、ポリアミンの塩、ジシアンジアミド等の硬化剤又はその混合物が用いられ、エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA,F,S,AD等から誘導されるビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック、クレゾールノボラックから誘導されるエポキシノボラック型樹脂、ナフタレン骨格を有するナフタレン系エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビフェニル・脂環式等の1分子内に2個以上のグリシジル基を有する各種のエポキシ化合物、その他公知のエポキシ樹脂が単独あるいは混合して用いられ、これらのエポキシ樹脂には不純物イオンである、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ハロゲンイオン、特に塩素イオンや加水分解性塩素等を300ppm以下に低減した高純度品を用いることがエレクトロマイグレーション防止や回路金属導体の腐食防止のために好ましい。
シアネートエステル樹脂としては、ビス(4−シアナトフェニル)エタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−シアナトフェニル)メタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、α,α’−ビス(4−シアナトフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、フェノール付加ジシクロペンタジエン重合体のシアネートエステル化物等が挙げられ、そのプレポリマーなどが単独若しくは混合して用いられる。その中でも、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン及び2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−シアナトフェニル)等が硬化物の誘電特性が特に良好であるため好ましい。シアネートエステル樹脂の硬化剤として金属系反応触媒類が用いられ、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛等の金属触媒類が用いられ、具体的には、2−エチルヘキサン酸塩やナフテン酸塩等の有機金属塩化合物及びアセチルアセトン錯体などの有機金属錯体として用いられる。
金属系反応触媒の配合量は、シアネートエステル類化合物に対して1〜3000ppmとすることが好ましく、1〜1000ppmとすることがより好ましく、2〜300ppmとすることがさらに好ましい。金属系反応触媒の配合量が1ppm未満では反応性及び硬化性が不十分となる傾向があり、3000ppmを超えると反応の制御が難しくなったり、硬化が速くなりすぎる傾向があるが制限するものではない。
本発明で使用するラジカル重合物質(ラジカル重合性化合物)は、ラジカルにより重合する官能基を有する化合物で、(メタ)アクリレート樹脂、マレイミド樹脂、シトラコンイミド樹脂、ナジイミド樹脂などがあり、2種類以上を混合して使用してもよい。またラジカル重合性化合物は、モノマー、オリゴマーいずれの状態でも使用することができ、モノマーとオリゴマーを混合して用いてもよい。
(メタ)アクリル樹脂としては、(メタ)アクリレートをラジカル重合させることで得られるもので、(メタ)アクリレートとしてはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、エテレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールテトラ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートトリシクロデカニル(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ウレタン(メタ)アクリテート、イソシアヌール酸エチレンオキシド変性ジアクリレートなどが有り、単独又は2種類以上を混合して用いても良い。また、必要によっては、ハイドロキノン、メチルエーテルハイドロキノン等のラジカル重合禁止剤を硬化性が損なわれない範囲で使用しても良い。
さらに、リン酸エステル構造を有するラジカル重合性物質を使用した場合、金属等無機物に対する接着力を向上することができる。リン酸エステル構造を有するラジカル重合性物質の使用量は、0.1〜10質量部であり、好ましくは0.5〜5質量部である。リン酸エステル構造を有するラジカル重合性物質は、無水リン酸と2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの反応生成物として得られる。具体的には、モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、ジ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート等が有り、単独でも混合して使用しても良い。
マレイミド樹脂としては、分子中にマレイミド基を少なくとも1個有しているもので、例えば、フェニルマレイミド、1−メチル−2,4−ビスマレイミドベンゼン、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−p−フェニレンビスマレイミド、N,N’−4,4−ビフェニレンビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3−ジメチルビフェニレン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3−ジメチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3−ジエチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルプロパンビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルスルホンビスマレイミド、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−s−ブチル−3,4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、1,1−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)デカン、4,4’−シクロヘキシリデン−ビス(1−(4−マレイミドフェノキシ)フェノキシ)−2−シクロヘキシルベンゼン、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパンなどが有り、単独でも2種類以上を混合して使用しても良い。
シトラコンイミド樹脂としては、分子中にシトラコンイミド基を少なくとも1個有しているシトラコンイミド化合物を重合させたもので、シトラコンイミド化合物としては、例えば、フェニルシトラコンイミド、1−メチル−2,4−ビスシトラコンイミドベンゼン、N,N’−m−フェニレンビスシトラコンイミド、N,N’−p−フェニレンビスシトラコンイミド、N,N’−4,4−ビフェニレンビスシトラコンイミド、N,N’−4,4−(3,3−ジメチルビフェニレン)ビスシトラコンイミド、N,N’−4,4−(3,3−ジメチルジフェニルメタン)ビスシトラコンイミド、N,N’−4,4−(3,3−ジエチルジフェニルメタン)ビスシトラコンイミド、N,N’−4,4−ジフェニルメタンビスシトラコンイミド、N,N’−4,4−ジフェニルプロパンビスシトラコンイミド、N,N’−4,4−ジフェニルエーテルビスシトラコンイミド、N,N’−4,4−ジフェニルスルホンビスシトラコンイミド、2,2−ビス(4−(4−シトラコンイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−s−ブチル−3,4−(4−シトラコンイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、1,1−ビス(4−(4−シトラコンイミドフェノキシ)フェニル)デカン、4,4’−シクロヘキシリデン−ビス(1−(4−シトラコンイミドフェノキシ)フェノキシ)−2−シクロヘキシルベンゼン、2,2−ビス(4−(4−シトラコンイミドフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパンなどが有り、単独でも2種類以上を混合して使用しても良い。
ナジイミド樹脂としては、分子中にナジイミド基を少なくとも1個有しているナジイミド化合物を重合したもので、ナジイミド化合物としては、例えば、フェニルナジイミド、1−メチル−2,4−ビスナジイミドベンゼン、N,N’−m−フェニレンビスナジイミド、N,N’−p−フェニレンビスナジイミド、N,N’−4,4−ビフェニレンビスナジイミド、N,N’−4,4−(3,3−ジメチルビフェニレン)ビスナジイミド、N,N’−4,4−(3,3−ジメチルジフェニルメタン)ビスナジイミド、N,N’−4,4−(3,3−ジエチルジフェニルメタン)ビスナジイミド、N,N’−4,4−ジフェニルメタンビスナジイミド、N,N’−4,4−ジフェニルプロパンビスナジイミド、N,N’−4,4−ジフェニルエーテルビスナジイミド、N,N’−4,4−ジフェニルスルホンビスナジイミド、2,2−ビス(4−(4−ナジイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−s−ブチル−3,4−(4−ナジイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、1,1−ビス(4−(4−ナジイミドフェノキシ)フェニル)デカン、4,4’−シクロヘキシリデン−ビス(1−(4−ナジイミドフェノキシ)フェノキシ)−2−シクロヘキシルベンゼン、2,2−ビス(4−(4−ナジイミドフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパンなどが有り、単独でも2種類以上を混合して使用しても構わない。
上記ラジカル重合性化合物を使用した場合には、重合開始剤を使用する。重合開始剤としては、熱又は光によってラジカルを発生する化合物であれば特に制限はなく、過酸化物、アゾ化合物などを用いることができる。
本発明では熱可塑性、熱融着性の接着剤層を用いることができる。本発明における熱融着性接着剤、熱可塑性接着剤としては熱可塑性を示す耐熱高分子からなる層を用いることができる。具体的にはフッ素系樹脂、全芳香族ポリエステル、ポリエーテルイミド、ポリアクリルイミド、ポリアミドイミド、など〜選択される半導体ウエハの双方に良好な接着性を示す物であれば、特に限定されないが、好ましくは、ポリエーテルイミドである。
本発明の熱融着性、ないし熱可塑性接着剤層のガラス転移温度は180℃以上が好ましく、200℃以上がさらに好ましく、220℃以上がなお好ましく235℃以上がなおさらに好ましい。ガラス転移温度がこの範囲に満たない場合、ウエハから切り出したチップを実装する際に耐熱性が不足してフィルムの剥離やブリスター発生などのトラブルにつながることがある。ガラス転移温度の上限は350℃程度である。
本発明の熱融着層の貯蔵弾性率は0.5〜10GPaの範囲であることが好ましい。貯蔵弾性率の下限は0.8GPa以上であることが好ましく、1.2GPa以上であることがさらに好ましく、1.5GPa以上であることがなお好ましい。一方、上限は7GPa以下、さらに好ましくは5GPa以下である。接着剤の貯蔵弾性率がこの範囲に満たないとフィルムによるウエハの補強効果が得られがたくなる。また接着剤の貯蔵弾性率がこの範囲を超えると、貼り合わせなどの際の歪みによりウエハに想定外の歪み応力が生じる場合がある。
本発明における貯蔵弾性率E’は、接着剤を厚さ2〜200μm程度のフィルムを作製して硬化させた硬化物薄膜を固体粘弾性装置RSA−II(レオメトリック社製)を使用し、下記条件で測定したものである。
引張りモード: (auto tension)
測定温度: 30℃
周波数: 10Hz
本発明で好ましく用いられる接着剤層は、ガラス転移温度が180℃以上350℃以下のポリイミド樹脂である。かかるポリイミド樹脂は、ジアミン類及びテトラカルボン酸無水物類の全成分に対し、分子内に1個以上のエーテル結合を有する成分を30mol%以上、好ましくは45mol%以上、さらに好ましくは66%以上用いることにより得ることができる。
本発明における半導体ウエハとは、ダイヤモンド、シリコン、ゲルマニウム等の単元素からなる単結晶、多結晶、炭化珪素のようなIV族同士の単結晶、多結晶、ガリウム砒素、窒化ガリウム、ガリウムリン、インジウム、リン等のIII−V族化合物半導体、テルル化カドミウム、セレン化亜鉛等のII−VI族化合物半導体の単結晶、多結晶、さらにはアルミニウムガリウム砒素、アルミニウム、ガリウム、インジウムリン、銅インジウムセレン、銅インジウムガリウムセレン、等の多元系化合物半導体の単結晶、多結晶のインゴットから薄板状に切り出された物を云う。
これらウエハの表面に、いわゆる半導体プロセスによる加工を経て、個別に切断されることにより半導体チップを得る。
本発明が適用されるウエハの厚さは800μm以下が好ましく、450μm以下がさらに好ましく、250μmがなお好ましく。150μm以下が、なおさらに好ましい。ウエハ厚さがこれより厚い場合にはフィルム貼り付けによる補強効果が有意に認識されない。また本発明に於けるウエハの厚さの下限は8μm以上、好ましくは15μm以上、さらに好ましくは25μm以上、なおさらに好ましくは45μm以上である。下限がこの範囲を下回るとフィルム貼り付けまでのハンドリング性があまりに低下するために困難となり、所定の効果を得ることが難しくなる
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定される物ではない。なお実施例中の獲得性は以下の方法で測定した。
1.ポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドンに溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により30℃で測定した。
2.ポリイミドフィルムの厚さ
マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン1254D)を用いて測定した。
3.ポリイミドフィルムの引張弾性率
測定対象のポリイミドフィルムを、流れ方向(MD方向)及び幅方向(TD方向)にそれぞれ100mm×10mmの短冊状に切り出したものを試験片とした。引張試験機(島津製作所製、オートグラフ(商品名)機種名AG−5000A)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmの条件で、MD方向、TD方向それぞれについて、引張弾性率、引張強度及び破断伸度を測定した。
4.ポリイミドフィルムの線膨張係数(CTE)
測定対象のポリイミドフィルムについて、下記条件にてMD方向及びTD方向の伸縮率を測定し、30℃〜45℃、45℃〜60℃、…と15℃の間隔での伸縮率/温度を測定し、この測定を300℃まで行い、全測定値の平均値をCTEとして算出した。MD方向、TD方向の意味は上記「3.」の測定と同様である。
機器名 ; MACサイエンス社製TMA4000S
試料長さ ; 20mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/min
雰囲気 ; アルゴン
5.熱融着層の貯蔵弾性率
固体粘弾性装置RSA−II(レオメトリック社製)を使用し、下記条件で測定した。
引張りモード: (auto tension)
測定温度: 30℃
周波数: 10Hz
6.熱融着層のガラス転移温度(Tg)
固体粘弾性装置RSA−II(レオメトリック社製)を使用し、下記条件で測定して得られたチャートのE’の変曲点より求めた。
引張りモード:(auto tension)
測定温度: 15℃〜300℃/昇温速度 5℃/分
周波数: 10Hz
実施例などで使用する化合物の略称を下記する。
PMDA:ピロメリット酸二無水物
ODA:4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
PDA:パラフェニレンジアミン
〔ポリアミド酸溶液Aの調製〕
アモルファスシリカの球状粒子シーホスターKE−P10(日本触媒株式会社製)を1.22質量部、N−メチル−2−ピロリドン420質量部を、容器の接液部、及び輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである容器に入れホモジナイザーT−25ベイシック(IKA Labor technik社製)にて、回転数1000回転/分で1分間攪拌し予備分散液を得た。予備分散液中の平均粒子径は0.11μmであった。
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器の接液部、及び輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後、223質量部の5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾールを入れた。次いで、4000質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液を420質量部と217質量部のピロメリット酸二無水物を加えて、25℃にて24時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Aが得られた。この還元粘度(ηsp/C)は3.8dl/gであった。
〔ポリイミドフィルムAの作製〕
上記で得たポリアミド酸溶液Aを、ポリエチレンテレフタレート製フィルムA4100(東洋紡績(株)製)の無滑剤面上に、コンマコーターを用いてコーティングし(ギャップは、480μm、塗工幅1240mm)、4つの乾燥ゾーンを有する連続式乾燥炉に通して下記所定条件で乾燥した。
第1ゾーン 上側温度 105℃、下側温度 110℃
風量 上下とも20立方m/分
第2ゾーン 上側温度 110℃、下側温度 110℃
風量 上下とも30立方m/分
第3ゾーン 上側温度 110℃、下側温度 110℃
風量 上下とも20立方m/分
第4ゾーン 上側温度 110℃、下側温度 110℃
上側風量 15立方m/分、下側風量 20立方m/分
各ゾーンの長さは同じであり、総乾燥時間は12分である。
また風量は各ゾーン毎の吹き出し口からの風量の総計である。
乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムをポリエステルフィルムから剥離して、両端をカットし、厚さ65μm、幅700mmのそれぞれのグリーンフィルムを得た。
得られたグリーンフィルムを、ピンテンターにて両端を把持した状態で窒素置換された連続式の熱処理炉に通し、第1段が180℃で5分、昇温速度4℃/秒で昇温して第2段として400℃で5分の条件で2段階の加熱を施して、イミド化反応を進行させた。その後、5分間で室温にまで冷却することで、褐色を呈する厚さ25μmのポリイミドフィルムAを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
Figure 2008085130
以下同様に、表1に示すテトラカルボン酸二無水物とジアミンを用い、ポリアミド酸溶液及びポリイミドフィルムB,C,Dを得た。得られたポリイミドフィルムの特性を表1に示す。なお酸無水物ないしジアミンに二種類のモノマーを用いた場合にはmol比にてDAMBO/DAMBO以外のジアミンが70/30となるように調整した。
〔ポリアミド酸溶液Xの調製〕:熱融着性ポリイミド用
<4,4’−オキシジフタル酸無水物からなるポリアミド酸の重合>
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン930質量部を入れ、N,N−ジメチルアセトアミド15000質量部を導入し、均一になるようによく攪拌した後、コロイダルシリカをジメチルアセトアミドに分散してなるスノーテックス(商品名)DMAC−Zl(日産化学工業株式会社製)40.5質量部(シリカを8.1質量部含む)を加え,この溶液を0度まで冷やし、4,4’−オキシジフタル酸無水物990質量部を添加、17時間攪拌した。薄黄色で粘調なポリアミド酸溶液Xが得られた。得られた溶液のηsp/Cは3.1dl/gであった。このポリアミド酸から得られたポリイミドフィルムの特性を表2に示す。ガラス転移温度は245℃であった。なおフィルム化方法は基本的に先の方法と同じであるが、熱処理の最高温度を240℃に抑えて行った。
Figure 2008085130
(実施例1〜3、比較例1)
先に得られたポリイミドフィルムA〜Dの両面にプラズマ処理を行い、次いでポリアミド酸溶液Xを乾燥厚さ5μmとなるように両面に逐次塗布乾燥し、同様に熱処理して片面にポリアミド酸溶液Xから得られた熱融着性のポリイミドを両面に配した3層ポリイミドフィルムを得た。
<ラミネート>
直径約100mm、厚さ0.8mmの単結晶シリコンウエハ(Siと略記する)にバックグラインドテープをラミネートし、ウエハ厚さが75μmに達するまで研磨した。
先に得られた3層ポリイミドフィルムの熱融着面とバックグラインドしたウエハのグラインド面を重ね合わせて仮付けし、ウエハと反対側の面にダイシングテープを配してプレス機に仕込んで室温から150℃まで昇温速度約5℃/分で加熱し、その後電源を切って室温まで冷却した。
<バックグラインドテープ剥離性評価>
3層ポリイミドフィルムをラミネートしたウエハよりバックグラインドテープを剥離し、作業性ならびに異常の有無を確認した。
<ハンドリング性評価>
得られたウエハを大日商事社製の100mmウエハ用キャリアに入れ、振幅10mm、周期5〜20Hzの連続振動を5時間加えた後に、ウエハの破損状況を確認し、ハンドリング性評価とした。結果を表3に示す。
Figure 2008085130
<ダイシング性評価>
得られたウエハをダイシングソーにて10mm×7mmのチップに分割した。その際の作業性、異常の有無を確認した。結果を表3に示す。
<半田耐熱性評価>
ウエハから分割されたチップをダイシングテープから剥がし、アルミナ基板にダイアタッチメントフィルム面を基板側に向けて搭載し、リフロー半田装置を用いて240℃×3分間の加熱処理を行い、チップの異常、特にフィルム貼り付け面の外観検査を行った。結果を表3に示す。
<耐PCT性評価>
ウエハから分割されたチップをBTレジン製のモジュール基板に搭載し、280℃にて加熱圧着した。次いで得られたモジュールを、ステンレスメッシュ性の籠に入れ、平山製作所製PCT装置PC242−IIIを用いて121℃2気圧の飽和蒸気圧中で96時間、加圧加熱試験を行った。試験後のモジュールの異常を外観検査にて評価した。結果を表3に示す。
<耐ヒートサイクル性評価>
同様にモジュールを、ステンレスメッシュ性の籠に入れ、−50℃のメタノール浴と+120℃のシリコーンオイル浴に各々30分ずつ交互に10回浸積処理を行い、試験後のチップの異常の外観検査を行った。結果を表3に示す。
以下同様に、ポリイミドフィルム、ウエハ、接着剤の組み合わせを変えて同様に評価した。結果を表3に示す。
以上述べてきたように、本発明の構成によるポリイミドフィルム、ダイアタッチメントフィルムとして優れた特性を示し、特にウエハ段階での良好なハンドリング性、モジュール化してからは優れた半田耐熱性、耐PCT性、耐ヒートサイクル性を示し、加工プロセス中の振動、衝撃による不良発生を低減し、なおかつモジュール化、パネル化などの実装工程、実装工程後の実際の使用中にも十分な耐久性が期待され、高信頼性が要求される半導体パッケージの構成部材として有用な物である。

Claims (4)

  1. ベンゾオキサゾール骨格を有するジアミンを60mol%以上含むジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸二無水物を80mol%以上含むテトラカルボン酸二無水物類とから得られるポリイミドフィルム基材と接着剤層からなるダイアタッチメントフィルム。
  2. ポリイミドフィルム基材の引張弾性率が5GPa以上30GPa以下である請求項1記載のダイアタッチメントフィルム。
  3. ポリイミドフィルムの線膨張係数が−2ppm以上8ppm以下である請求項1又は2いずれかに記載のダイアタッチメントフィルム。
  4. 接着剤層が、ガラス転移温度が180℃以上350℃以下のポリイミド樹脂からなる請求項1〜3いずれかに記載のダイアタッチメントフィルム。
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